2009年3月26日木曜日

【西松事件】 捜査を推進した検事達

 この記事は、昨年(2009年3月末)のものに追加をして書いているので、記事の期間が広がり多少分かりつらい事は勘弁願いたい。

 西松事件の着手し小沢氏および小沢氏秘書である大久保氏を逮捕・起訴をするために特捜部は、東京地検、東京高検、最高検の決済を仰ぐ。つまり、どこかがNoと言えば着手はしないと言う事である。ところが今回は着手をしたと言う事は、東京地検、東京高検、最高検のすべてがGOサインを出したと言う事である。

ちょうど、資料庫であるココログからの移転で色々なメモを見ながら、当時の検察の検事たちの移動先をまとめて、控えておこうと思う。

「関係者」という言葉は用いたくは無いのではあるが、名前を出せないようなので東京地検関係者としましょう。

今回の小沢氏に仕掛けた「西松事件」は、当時・東京地検検事正であった岩村修二氏(60)がGOサインを出したと言われている。彼は現在(この資料庫移転時・2010/06/14)現在には、仙台高等検察庁検事長へと移動している。

この岩村氏が、特捜部長時代の2003年に自民党・坂井隆憲元衆院議員の政治資金規正法違反事件を指揮をしている。

Wikiによると

2003年3月7日、業際研事件が引き金となり、献金約1億6800万円を不正処理の政治資金規正法違反容疑と公設秘書給与約2400万円を国から騙し取った詐取容疑で、衆議院本会議にて逮捕許諾決議が可決し、東京地検特捜部に逮捕され、自民党を除名処分に。3月25日、衆議院本会議にて議員辞職勧告決議可決されるも辞職拒否。同年10月10日衆議院解散までの約7ヶ月間、議員在職。12月18日に保釈金2000万円で9ヶ月ぶりに保釈。

2004年10月、東京地裁で懲役2年8ヶ月の実刑判決、控訴するも後に自ら取り下げ、量刑が確定。


このように書かれている。
リクルート事件の江副容疑者への判決が下った同じ日、大蔵省出身の当時自民党所属の代議士、坂井隆憲氏の秘書が逮捕され、続いて代議士本人も逮捕されている。

岩村氏は、どちらかと言うと理論派と言われてはいるが、普通社会では理屈屋といわれる人種に当るだろう。坂井氏の場合も、従来は形式犯という見方が強く、立件は略式や在宅での起訴だったものを、ハードルを地検自らが下げた形となる。結果、彼はハードルを下げたままで事件に当る事になったと言う事であろう。

日大の岩井奉信教授が西松事件の際に設置をされた民主党の第三者委員会の中で、「今回は、ハードルを下げて判例を取りにいった」ように思えると語ったのが非常に印象的であった。

つまり、形式犯と言われがちな政治資金規正法違反のハードルを下げて、フリーハンドで政治家を摘発できるように判例を取るために仕掛けたとも思える。「地検関係者」によると、証拠を読ませたら右に出るものはいないとのこと。つまり屁理屈上手と言う事であろうか。

次は、事件当時は、最高検検事であった谷川恒太氏である。彼は現在(2010/6)は、宇都宮地地方検察庁の検事正である。谷川氏は、同期の大鶴氏に出世では遅れを取っていたのであるが、あまりにも大鶴氏の捜査が強引過ぎるとの批判から入れ替えられてという。

この谷川恒太氏がヤマリン事件で、鈴木宗男氏を取り調べた検事であり当時は東京地検副部長という立場であった。西松事件や陸山会問題では東京地検次席検事という立場である。この彼が一躍有名になったのが、週刊朝日への抗議ならびに山口編集長への出頭命令がtwitterで駆け巡ったのをご存知の方も多いと思う。

週刊朝日との顛末は下記のURLでご覧いただけます。

彼は、この呼び出し事件で一躍有名になり過ぎて、いち早く移動を願い出たとも聞く。鈴木宗男氏の話(週刊誌に書かれていた記事であるが)によると
「礼儀正しかった記憶がありますが、私の疑惑を取り上げた『サンデー毎日』の記事を机に置き、ムネオハウスやアフリカへのODA(政府開発援助)疑惑は本当ですか』などと聴かれました。警察と違って検察は“手足”がないので、マスコミ情報に依拠せざるを得ないのでしょう」との印象を受けたとの事。




鈴木宗男氏のヤマリンつながりでもう一名忘れてはいけない検事が吉田正喜東京地検・特捜部副部長と言う事になる。ヤマリン事件当時は、東京地検の検事であった。彼が、鈴木宗男氏と佐藤優氏を逮捕して取り調べ、公判を担当した検事である。

ヤマリン事件というよりムネオ事件を指揮したのが、最高検伊藤鉄男次長検事である。東京高検次席検事、東京地検検事正と出世をし東京地検ナンバー2となったのだが、足利事件の菅谷さんが釈放され謝ったのだが、「絶対許さない、私の目の前に来て謝ってほしい」と言われる始末。

この吉田特捜副部長が西松事件と陸山会事件で石川議員の取調べにもあたっているのであるが、石川議員に向かって「そろそろ小沢の呪縛から離れたらどうだ」と威嚇していた「特捜のエース」がこの吉田氏だと言われている。石川議員が拘置所で弁護士と面会した際に「検事は、まるでヘビのような男だった」と語ったとも言われている。

この吉田氏に関しては、昨年のサンデー毎日にも面白い記事が載っていた。
もう一人、ムネオ事件の中枢にいた検事がいる。今回の捜査の最前線、特捜部特殊第1班の吉田正喜副部長(52)だ。さぞヤリ手かと思いきや、ムネオ事件の公判過程で「失点」が露呈した。鈴木氏にワイロを贈ったとされる会社社長の陳述書には、こうある。

〈鈴木代議士に渡したお金の趣旨は官房副長官就任のお祝いでした。しかし、私を取り調べた吉田正喜検事から「業者が政治家にお金を渡すのは『お礼』か『お願い』しかないとこまごまと説明され、「どちらなのだ」と言われて、この件は「お礼」という趣旨では通らないと思い、「お願い」としてしまったのです〉

「渡したカネは林野庁への口利きのお願い」という特捜部が描くストーリー通りの供述を強要したことを暴露されていたのだ。

覚えているだろうか、石川議員の話を。「小沢が不起訴になっても、検察審査会がある。そして、2回起訴相当になる。今度は弁護士によって、国民によって小沢は断罪される」と言ったのがこの吉田特捜副部長である。


特捜部副部長の名前が出たのですから、当然特捜部部長ということになる。ご存知有名人の東京地検特捜部・佐久間達哉部長と言う事である。もっとも彼も大津地検検事正となる事が決まったようである。当初は、甲府だと聞いていたのだが甲府の検事正は4月に決まったので・・・さてどのような経緯であったか。

佐藤栄佐久前福島県知事の汚職事件とされる時に、佐久間氏は副部長であり特捜部長があの有名な大鶴基成氏であった。その佐藤栄佐久氏の事件の顛末はたびたび語られている事から事件をご存知の方も多いと思う。この大鶴氏が特捜部長時代に指揮をしたのが、ライブドア事件や村上ファンド事件である。つまり見る方が見たなら実質はほとんどの捜査は失敗続きともいえる。

この、元福島県知事・佐藤氏の事件の際に摘発をしたのが、水谷建設であり検察の証人でありながら、「証言はうそである」と佐藤氏側の弁護士である宗像氏に語っているのである。






佐久間氏が副部長時代に手がけた事件に防衛施設庁の談合事件があるのだが、このたび(2010年7月)東京地検特捜部部長に就任をする堺徹副部長も、この防衛施設庁の談合事件の捜査をしている。つまり、大鶴・佐久間・堺氏の3名は防衛施設庁談合事件を手掛けた仲間と言う事になる。堺徹・東京地検公安部長は、特捜副部長時代に旧緑資源機構の官製談合事件も手がけ公安部長、そして特捜部長という形で移動をしている。


この佐久間氏と同期なのが、三井環事件と郵便不正事件で名を馳せてしまった、元大阪地検特捜部部長・大坪弘道氏である。現在は京都地検・次席検事である。そもそも三井環事件は、大阪地検・加納駿亮検事正が、高知地検検事正時代に調査活動費約400万円以上を指摘に流用していたことを告発をしようとしたことに端を発している。

三井氏は、当初は確かに私憤からだと本人も語ってはいるが、「あまりの酷さに本格的に告発」をしようと考えたようである。

 1997年11月、特捜部長時代「関西検察のエース」と呼ばれていた大阪地検次席検事(当時)の加納駿亮(かのう・しゅんすけ)氏が指揮した京都地検での贈収賄事件で、三井氏(当時、大阪高検刑事部検事)の進言により、ある教授の逮捕が見送られた。この事件は内偵不足が明らかだったのだ。結局、この独自捜査は失敗に終わる。そしてそれは、指揮官である加納氏の責任であった。

 その後、三井氏は当時の高松高検の村田恒検事長にこの京都事件の顛末(てんまつ)と自身の意見を手紙に書いて送った。ところが、この手紙が思わぬ災いのきっかけとなってしまう。 1998年春、村田検事長が京都地検の武内徳文検事正と会い、彼に手紙の件を話し、それが大阪高検の幹部に伝わった。そして、それが加納氏に伝わってしまったのだ。それ以降、加納氏は三井氏に対し不快感を露骨に表すようになる。そして、三井氏は関西検察にいることができない状況になってしまった。

 そこで、三井氏は大阪高検・荒川検事長に異動願いを出した。

1998年4月、三井氏は名古屋高検総務部長に着任。その年の末、法務省筋は三井氏の高松高検次席検事への異動を提案したが、加納氏らがこれに異を唱え、見送りとなる。このことは、三井氏が加納氏を告発する遠因となる。

 1999年7月、三井氏は名古屋高検総務部長から大阪高検公安部長へ異動になった。

 ここでまた加納氏らの〝横やり〟が入る。本来、高検公安部長の給料は検事2号俸ポストなのだが、三井氏は3号俸ポストのまま据え置かれた。これは加納氏の逆恨みによるものであった。

 このとき三井氏は、この加納氏の行為を自分に対する侮辱であると同時に、自らが愛する「検察への冒とく」と受け止め、調査活動費・裏金問題で加納氏を告発しようと決意する。

この三井氏を逮捕をしたのが大坪弘道氏だという。当時検事総長であった原田明夫氏と森山眞弓元法務大臣の姿がテレビに映し出される度に、この事件の醜さを思い出すのだが、この検察の不正を隠すために鈴木宗男氏の事件が大きく報道をされた結果三井氏は、来年まで刑務所に留め置かれる事となってしまった。また鈴木宗男氏も現在上告中である。

話は前後するが、大坪氏が仕掛けた郵便不正事件であるが、西松事件に対抗をしたものなのか、それとも捜査のタイミングが総選挙真近か言われていた時期であったことから非難がおきていたものを大阪でも事件を起こし目をそらさす目的と民主党議員の摘発が目的ではなかったか疑いがもたれている。

現実に名前が取りざたをされた民主党・石井一議員に関して裁判中に下記のような記事まで出ている。





写真をごらん戴いたらお分かりになると思うのだが、原田検事総長と誰が写っているか。2004年小泉内閣時代のものである。

小泉内閣時代に起きた、この三井環事件がある意味ででは、内閣に検察が弱みを握られたかもしくは、相身互いの関係になってしまったように思えてならない。






この大坪弘道氏の部下であった田中素子氏である。彼女は、昨年3月に名古屋地検特捜部長に就任しているのであるが、名古屋に移動をするまでは大阪地検で大坪氏の下で郵便不正事件などを手がけていたのである。

今になると郵便不正事件の捜査の怪しさが暴露されているのだが、西松事件と前後して郵便不正事件が起きているのであるが、大阪で最初に摘発をされた新生企業社長の宇田敏代(当時容疑者)は、福島県で同様の事業をしていたと言う。その福島県から大阪へ移転をして犯罪に手を染めたと言う事であるが、なぜに東京ではなく大阪であったのだろうか。

名古屋地検に大坪氏の部下であった田中特捜部長がおり、滋賀の大津地検には佐久間検事正、京都地検に大坪次席検事という事になる。新幹線でも1時間以内・車でも2時間以内の距離に現・元特捜部長が3人揃った事になる。なにやら充分に悪巧みが出来そうな位置関係である。

佐久間氏で忘れてはならないのは、2010年6月15日付けで辞職をした樋渡利秋元検事総長である。彼、樋渡氏の秘蔵子として佐久間氏をかわいがったと言われているのであるが、樋渡氏が検事総長まで上り詰められた理由は2点であろうか。
一つ目が「総長にまで上り詰めたのは司法制度改革審議会の事務局長として裁判員制度創設の功績が大きい。
二つ目が特捜部時代のリクルート事件での、江副浩正元会長の事情聴取であろうか。半蔵門病院に入院中の江副氏を病室で事情聴取を行うという荒業を用いている。

その樋渡氏の後釜が大林宏氏である。2010年6月17日付けのようである。この大林氏は東京高検検事長からの出世となるが、このたびの西松事件や陸山会問題は半分はこの大林氏の人事が絡んでいるのであろうか。既定路線とされながらも民主党の小沢氏の「検事総長を民間から登用」の一言が効いたようである。

現実には、民間からの登用は可能なのである。が部下のいじめに遭うだろうとと思われる。

 検事総長は、検察庁法15条1項で一級の検察官とされ、同法19条1項で一級の検察官の任命資格が定められています。

第十九条 一級の検察官の任命及び叙級は、次の各号に掲げる資格のいずれかを有する者についてこれを行う。
 一 八年以上二級の検事、判事補、簡易裁判所判事又は弁護士の職に在つた者
 二 最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官又は判事の職に在つた者

さてこの大林氏の東京高検検事長の後任に、広島高検検事長であった笠間治雄氏が就任するようである。さてこの人物に関しては、郷原氏は総長になって欲しかったという。


笠間東京検事長には格別の意味があります。特捜部長経験者の中で最も適切な判断ができる人で、この人が東京にいたら昨年3月以降の東京特捜の暴走捜査はなかったはずです。総長になってもらいたかった
昨年の3月20日前後に記録をして残していたものを加筆をしたらずいぶん長くなってしまった。これもまた何かの役にたつこともあるだろう・・・・か。

しかし、メモを書き足しながら、ほとんどロクナやつはいない・・・という気になってしまう。

2009年3月24日火曜日

【西松事件】 小沢氏の会見&ぶらさがり

 毎日のようにいろいろな事件が起きているが、この西松事件ほど、摩訶不思議な事件も珍しい。野党第一党の党首であり、次の総選挙で政権交代が起きたら、内閣総理大臣になろうかという民主党小沢一郎党首の公設第一秘書を、突然逮捕・起訴をしてしまうという前代未聞の事件である。


3月4日記者会見
民主党の小沢一郎代表は4日午前、自らの公設第一秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕されたことを受けて、東京・永田町の同党本部で記者会見した。会見の詳細は以下の通り。

「今回の問題について私から報告と説明をいたします。まずこのたび私の秘書である大久保の逮捕を含めて、西松建設からの政治献金にかかわる関連のことで強制捜査が行われたわけですが、いわゆる強制捜査の根拠を聞きますと、その政治団体からの献金か、あるいは企業からの献金か、その認識の違いを根拠にし、企業からの献金を認識した上で虚偽の記載をしたと。こういう検察の言い分のようであります。このような、この種の問題で今まで逮捕、強制捜査というようなやり方をした例はまったくなかったと思います。まさに検察の強制捜査の、今回は、普通の従来からのやり方を超えた、異常な手法であったと思っております。それから、衆院の総選挙が取りざたされている時期において、このような今までやられたことのなかったような異例の捜査が行われたことに関して、私は非常に政治的にも法律的にも不公正な国家権力、検察権力の行使だというふうな感じを持っております」

 「事実関係について申し上げますが、私ども政治家はみんな国民のみなさんから法人であれ、個人であれ、献金をいただいて、その浄財でもって政治活動をやってきているわけです。私はそのみなさんからの浄財を収入、献金の入りも出も、支出も含めてすべて公開をいたしてきております。したがって、この2つの政治団体から献金を、寄付を受けたということについてはこれも政治資金規正法にのっとって適法に処理し、報告をし、公開されているところだ。したがって、献金を受けたということはその通り事実でございます。私は秘書からの報告についてもこの政治団体が寄付をしてくれるということでございましたから、政治資金管理団体で受領することにしたということで、私はもっとも当たり前の当然のことだろうと解釈をいたしております。もしこれが西松建設そのものからの企業献金だという認識に立っているとすれば、政党支部は企業献金を受けることが許されておりますので、そういう企業献金という認識に立っていたとすれば、政党支部でそれを受領すればなんの問題も起きなかったわけでして、私どもの資金管理団体の担当者はそれは政治団体からの寄付という認識のもとであったから、政治資金管理団体で受領したということであったと報告を受けているし、また、私は、それは至極当たり前のことだろうと思っております」

「献金していただくみなさんにそのお金の趣旨や、いろいろな意味において、そういうことをお聞きするということは、それは、好意に対して失礼なことでもございますし、通常、これは政治献金の場合だけじゃなくして、私はそのような詮索(せんさく)をすることはないんだろうと思っております。そういう意味で私どもとしてはまったく政治資金規正法に、その通り、忠実にそれにのっとって報告をしてオープンになっている問題でありまして、このような逮捕を含めた強制捜査を受けるいわれはないというふうに考えております」

「このような、いわゆる検察権力、国家権力がこういう形で強制捜査を行うと。この種の問題でこういう形で行うということは、普通の民主主義社会ではあり得ないことだと思います。したがって、日本の場合でもこのようなことは前例がなかった。今回のことで一番心配しているのは、このように強制力を持つ公権力が思うままにその権力を行使するというようなことが今後もまた行われるということになれば、本当に国民の人権を守ることはできないし、社会は暗澹(あんたん)たるものに陥ってしまうだろうと、そのように思っていて、日本の民主主義の成熟のということを考える上においても、先に申し上げたように、今度のこの種の問題で逮捕、強制捜査というやり方は大変民主主義を危うくするものであり、公正さを著しく欠くものであると考えている次第です。何ら政治資金規正法に違反する点はありません」

 「そして、さらに付け加えて言えば、その献金が何らかの形で私や私の秘書が相手方に対して便宜を供与したとか、何らかの利益を与える行為を伴っていたということがあるとするならば、それは、私はあまんじて捜査を受けます。しかし、私も秘書もまったくそういう事実はありません。したがって、今申し上げましたように、今回の強制捜査についてはその公正さについて、納得がいかない。疑いを抱かざるを得ないというのが私の現時点での認識でございます」

 「事実関係はもうみなさんもご存じの通り、ごくごく単純、簡単なものですから、おわかりのことと思います。これ以上の事実関係の説明はありませんし、不要だと思います。私がこの件についてみなさまにご報告とご説明を申し上げるのは、以上でございます」

--党内外から代表辞任を求める声が上がっているが、進退についてどう考えるか

 「今申し上げましたように、私自身として、何らやましいこともありませんし、また私の秘書の行った行為は、政治資金規正法にのっとって適法にきちんと処理し、届け出た。そして公にされていることでありますので、私としては、それによってどうこうということを考えてはおりません」

--献金を受けたときは西松建設が出所というのは知っていたか。そのことを知っていたけども政治団体を経由していたから問題ないと判断したのか

 「私が直接やったわけではありませんけれども、すべての献金について秘書ないし、担当者がやっておりますが、今回の大久保の話によれば、今さっきから説明している通り、政治団体からの献金であるという認識であったから、政治資金管理団体でそれを受領したということに尽きると思います」

 --公設第1秘書が逮捕された事態は政権交代を目指す民主党にとって大きな衝撃だ。次期衆院選への影響、特に政治と金にまつわる事件が起きると政治不信が高まると思うが、選挙に向けてどのような訴えをするのか

 「私は、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、政治献金については収入、支出、入りも出もすべて公開をいたしております。今回の問題になっている献金についても全部報告して、きちんと処理を適法にいたしています。したがって、大久保が今、逮捕されておりますけれども、遠からずその嫌疑は晴れるものと信じておりますので、私はそのことによって、少なくとも私自身と民主党に対するそういった国民みなさんの疑念は晴らすことができると思っております」

 --小沢代表の秘書だけではなく多くの議員が2つの政治団体から献金を受けているが、なぜ検察のターゲットが小沢氏の秘書になったと考えるか

 「全く分かりません。先ほど申し上げたように、私は今、民主党、野党第一党の党首、代表をしています。そして、政治献金に関しては、何度も言うように、すべて法にのっとって報告しオープンにいたしております。多分収支を全部オープンにしているのは私だけではないかと思っておりますが、それがどうのという意味じゃありませんが、私はそういうふうに明朗にきちんといたしております。それにもかかわらず、このような、一方的ないわゆるこじつけたような理由でもって、検察権力の発動ということは非常に公正を欠く、政治的にも法律的にも公正を欠く行為ではないかと感じております」

 --代表から謝罪の言葉がないが、秘書が逮捕され世間に動揺を与えたことへの謝罪もないということでよいか

 「私は何度も何度も申し上げておりますように、何らやましい点もありませんし、また政治資金規正法にのっとって正確に処理し報告し、そして収支も全部オープンにしています。従って、今回、秘書が逮捕される、強制捜査を受けるということについては全く合点がいかない、理解できないところでございます。従いまして、必ず近いうちにその嫌疑が晴れ、私どもの正当性が証明されるものと思っておりますので、そういう意味において、今、おわびするというその意味においては、理由は私は見あたらないと思っております」

 --「近いうちに嫌疑が晴れるだろう」ということで謝罪はないが、起訴された場合でもその考えは変わらないという認識でいいか

 「私は起訴などということはないというふうに信じております。そして起訴に値するような法律違反、違法なことはやっていない。そういうふうに思って、そう認識しております」

--ゼネコンから多額の献金が入っていたことが分かった。自民党と同質ではないかという指摘については

 「あなたはそのゼネコンだけの話をいたしますが、私は、たいへん大勢の個人のみなさんからも献金をいただいていますし、ゼネコンだけじゃなくその他の企業についても身に余るほど献金をいただいております。心から皆さんに感謝しております。従いまして私の旧来から政治資金に関して、そのほかの日本社会全体の関しての私の考えですけれども、献金を企業はいけないとか、だれはいけないとかそういう意味で制約するやり方ではなくて、献金はどこから受けたって構わないけれども、それはどこからいただき何に使ったかすべて公開しろと」

「それを国民がみて、ああこういうところからもらってんのか、こういうふうにつかってんのかということが判断できるような仕組みに。いわゆるディスクロージャー。一般の企業でも何でも同じですが、行政でもそうです。なかなか真実をオープンにしない。そういう、私は公にしない社会の体質がいけないという風に思っております。従いまして、従来からの私の主張はあくまでも明朗、公開、オープン、何事も。そして、それが妥当かどうかは、国民が、主権者が審判を下すというのがわたくしは民主主義の在り方だと思っておりますので、その、今の自民党と同じ体質だというようなたぐいの意見は全く心外であります」

 「私はずっと以前から全部公開しろといってきました。自民党はひたすらいやがってきたわけであります。それは年金や医療の、社会保険庁の行政を見てもそうじゃないですか。全部隠してきたじゃないですか。これがオープンになっていればもっともっと早く改善できただろうと思っております。行政各省庁、全部そうです。ですから、わたくしはディスクロージャー、日本をよりオープンな社会にして、国民が判断する資料を、材料を国民のまえに提供するという社会にすべきだというのがわたくしの持論だ」

 --政治団体の献金や金額をチェックする機能はあるのか

 「チェックつうのはどういう意味ですか」

 --政治団体が献金を受けてますよね

 「はい、はい」

 --大きな金額の背景を小沢代表事務所では調べないのか

 「一般的にいって、私はわたくしの事務所だけでなくして、献金くれるという方について、このおカネは、どういうところから出るのかということは普通の一般常識として、個人間でもみんな同じだと思いますが、どっから持ってきたカネだとか、そういうたぐいの詮索(せんさく)はしないのがわたくしは大多数だと思っております。従ってその意味で、献金してくださる皆さんの善意を信じてやっているというのが現状だと思います。個人で言えば全くもう、知らない人からもたくさん献金をいただいております。その意味で、先般も申し上げましたように、お金そのものが、違法であるということが、明らかに違法だと分かったときはそれは返却することにして、それでけじめを付けているつもりであります」

 --個人献金ではなく企業献金だという疑惑がある。政治改革を進めてきた政治家として脱法行為なのではないかという疑惑をどう思うのか

 「ですから、私どもの政治資金の処理の仕方としてはその政治団体の原資がどういう形でどういうところから入ってくるのか、それは知るすべもありません。そういう意味で、政治団体という、(政治団体)からの寄付ということだったので、政治団体で受領したということであります。そして、もし、あなたおっしゃったように、西松建設の中でそのような脱法といいますか、違法な形で作られたおカネだとはっきりした時点で、さっき申し上げましたように、それは返却するつもりであります」

 --なぜ釈明が今日になったのか

 「別に意図的に遅らしたわけでも何でもありません。全く予期しなかったことでありますから。あ~、大久保がどうなってんのか、それすら分かりませんし、そういうことを問い合わせたりなんかしている間に時間が経過したということだけでございます。ですからきょうは役員会でお話しし、そのすぐ後で皆さんにご報告、説明しているということであります」

 --秘書は政治団体からの献金だったという認識だったというと、便宜供与はなかったという話だが、捜査の過程でこれが覆った場合、代表としてどのような対応をとるか

 「私は覆ることはないと。さっきから言っている通り。必ず近いうちに嫌疑は晴れると。正当に適法に対応してきたということになるものと信じております」

 --献金の原資が脱法的であれば返却するということか

 「そうです。過去にも、水谷建設だったかな。それも嫌疑が確定した段階できちんと返却いたしました。今まだ確定していないでしょ。確定したときにはそのつもりでおります」

 --代表には陸山会の代表者であり、監督する責任があると思う。その際に代表者としてどこまでチェックし、担当者から聞き取りし、関係情報まで目を通しているのか

 「政治家は1人で政治活動を全部やることは不可能です。ですからスタッフ、秘書のサポートを借りながら活動を続けているわけであります。この政治資金につきましても、私も、みなさんご承知のように、非力ながら民主党の代表として選ばれて、務めさせていただいております。全国、一生懸命、国民のみなさまに語りかけ、話しかけ、あるいはわれわれの政策をご理解していただく努力が最大の私は党首、代表としての任務だと思って、ずっと就任以来やってきました」

 「民主党になってから、だけではありませんけれども、私も40年やっておりますので、最初の当選したときよりもだんだんそういう仕事が増えてきております。従いまして、細かな政治献金の一つ一つについて私が全部チェックするということはいたしておりません。秘書を信頼してやる以外に現実問題として不可能なことでありまして、報告は受けて、全体の報告は受けて、それを了としてきておりますけれども、個別の一つ一つについてまでの目を通す時間的、能力的余裕は現実にはないということであります」

 --多額の献金を出す場合、企業側は自分たちが献金を出していることは分かってもらいたいだろう。西松建設のにおいすらしない状態だったのか

 「私が直接、窓口としてやっていたわけではありません。従いまして、大久保の話を、報告を聞けば、自分としてはもう政治団体としての寄付行為、献金だという認識で法律にのっとって処理したという報告を受けておりますので、私はその意味で、さっきから申し上げておりますように、どういうふうにしてその原資がつくられたかというところまでは知り得る術がありませんので、私は秘書が、担当者がそういうことをそのまま受け取ったということについて至極自然のことだと思っております」

3月6日 ぶらさがり

民主党の小沢一郎代表は6日昼、自身の秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕された事件について、現段階ではその責任をとって代表職を辞任する考えのないことを改めて強調した。東京・永田町の民主党本部で記者団の質問に答えた。詳報は以下の通り。

 --秘書逮捕後、次々と事件に関して疑惑の報道がされているが

 「あのー、疑惑が出ているとは私は思っておりません。私自身は、それこそいま、いろいろと報道されてますが、そういうこの間の会見でも申し上げましたが、いわゆる、今の状況ですと、何か私が収賄の被疑者のような報道がされてますけれども、この間も申し上げましたように、私は、そういう事実は全くないということは、今もって変わっておりません。

 それで、個別のことについては私は秘書を信頼して、秘書に任せておりますので、個々の一つひとつの献金のことはわかりません。

 ただ、政治献金であっても何であっても、献金してくれる方、あるいは、一般社会で言えば、慈善事業に寄付してくれる方とか、そういう意味ではありがたく、献金はいただいて、その浄財で政治活動をしておりますし、また、ずっと政治活動続けていく中で、今、問題になってる西松建設うんぬんのだけではなくて、いろんな、会社の方であれ、個人の方であれ、お礼とお願いのごあいさつをするのは当たり前だと思いますんで、そういう意味では、私は何も問題はないんじゃないかと思っております。

 あと、個別のことは、大久保(隆規容疑者、公設第1秘書)が逮捕されて、いませんので、聞くわけにいかないので、その個々の具体的なことについては、私わかりませんので、申し上げるのはちょっと今は無理です」
--政治団体からの献金で、実際は西松からの献金とはわかっていなかったとのことだが、西松あてに請求書が出されていたということだが、食い違いがあるが、どう説明するのか

 「どういう形で具体的な手続きとしてやってたか、それは分かりませんが、多分、政治団体からの寄付なので、政治団体で、事務的に受けたということだと思います。

 それで、その2つですか、の政治団体のお金がどのような形で集められたのか、そういうことは他の人は知る術はありませんし、このお金はどういうお金ですかということは、今言ったように、一般社会でもせっかくの行為に対して、そのようなことは詮索(せんさく)することはありえないと思ってますので、私はそういう意味では、政治団体から、政治団体ということで事務処理をしてきたということは、事務的には問題ないんじゃないかと思っております」
 --大久保容疑者しか、細かいことわからないということだが、大久保容疑者が起訴された場合に代表の責任はどう取るのか

 「起訴された場合っつっても、今、大久保が逮捕されている理由ちゅうのは、要するに報告書に実態は、西松のお金がすべての団体だったちゅうことなんでしょ。団体のお金は、政治団体のお金は、西松の会社のお金だったちゅうことでしょ。

 それは、全くわからないわけですから、ですから、その意味では、政治団体から政治団体というふうに、事務的に処理していたということ自体はですね、もちろん、そういう事実が最初からわかっていれば、それは企業の献金が許されている、政党支部で受ければいいことですし、後になってわかったということであれば、それは、収支報告を訂正するということで、従来からも自民党の、あるいは、総理の方々であっても、修正報告ということで、みんな済まされてきたことだと思うんです。

 ですから、今、私の秘書が逮捕、そういうレベルの問題で、逮捕されたということはね、それは本当にさらに、それ以上の何かがあるということであれば、私、会見でも言ったでしょ。収賄の容疑があるとかいうたぐいのこと、そして、私と大久保も含めて、そういう事実上の行為が、斡旋(あっせん)したとか、口利きしたとか、便宜を図ったとか、そういうことをやったというんなら、それはもう、どんな捜査を受けてもやむを得ないし、当たり前のことだと思います。

 私は、そして大久保もそうだと確信してますが、そういうたぐいのことは事実として一切ないということでございますので、そういう意味において、あたかも何かそのような、犯罪をおかしているかのような前提で論じられるのは、ちょっと私としては心外だと、この間の会見でも申し上げた通りです」

--この間の会見で、小沢代表は検察批判を展開されたが、言い過ぎだという声が出ているが

 「あ、そうですか。そう、言うんじゃ、言葉遣いがまずかったなら、訂正するのはいくらでもしますけど、現実に今、言ったように、私どもは報告書の結果として、認識の違いあったことは、多分そうなんでしょうね、結果を見れば。

 しかし、政治団体から政治団体へという事務的な作業をしただけですから、その種の問題で、即、逮捕とはいまだかつてなかったことで、ですから、それ以上の犯罪があるという前提の立ってのことだと。
 ならば、別ですけれど、私としては、繰り返しますが、そういった行動は一切しておりませんし、大久保もしてないと確信しております」

 --西松建設サイドが、小沢代表に何かを期待していたということについては

 「それは、あの、例えば、私の個人で献金してくださっている方も、何百とおられます。それぞれ献金する方々の気持ちは、それぞれ違う思いを持っていると思います。

 ただ、本当に一般の方々が自分の収入から、献金してくださるのは、これを使って、政治活動をしながら、いい政治をしてください。そして、自分たちの日本が、自分たちの生活が、平和で安定して生活できるような、そういう社会をつくってくださいという、そういう期待をして、献金してくださっているんだと思います。

 ほいで、また、企業の方もそれぞれの思いはあるかと思いますが、私どもとしては、その献金を今、言ったと同じように、お国のために、みんなのために使ってくださいという善意と受け止めて、ありがたくいただいております。
 ですから、内心の思いまでは分かりませんけれども、今、申し上げましたように善意を信じておるということであります」

--民主党内から進退に言及する発言も出ているが

 「現時点においては、今、申し上げましたように、その政治資金の報告書の問題についての認識の違いはありますけれども、その事務的な違いは別として、それ以外の犯罪的な事実や行為は一切しておりませんので、私としては、現段階で、その問題について、自分の進退については考えておりません。いずれ、きちんと結論が出てからのことだと思っております」

 --西松建設との付き合いはいつぐらいからで、どういう関係だったのか

 「西松建設と関連の企業グループのみなさんが、私を応援する後援会をつくってくれました。それで、私は年に1回、みんなが集まったときには出席して、お礼のごあいさつを申し上げたということでございます。

 ですから、私は多分、その席には、そんなあの、社長だの、何だの、トップの人は出席しておらなかったと思います。こんどあれ、何て社長でしたっけ、辞めた元の、いずれにしても、その社長さんともまったく面識はないと思います」

 --東京地検が、秘書逮捕に関連して、小沢代表から事情を聴きたいという意向があるようだが
 「あなた方の質問にもちゃんと答えてんですから、どなたでもお話したいということであれば、地検であろうが、他の方であろうが、可能な限り話し合いはいつでもいたします」

3月7日 ぶらさがり

--西松建設の違法献金疑惑について、政府高官が「自民党には捜査が及ばない」と発言した問題で、与野党から批判が出ているが、見解は

 「うん、ボクは直接その話は聞いてませんので、コメントする立場じゃないですけれども、それが事実とすれば、ちょっと奇異な感じがしますね」

 --二階俊博経済産業相に捜査の手が伸びているという情報があるが、見解は

 「それはもう、人様のことですから分かりません」

 --小沢氏は昨日、自らの進退問題について「結論が出た段階で判断する」と述べたが、結論とはいつの段階を言うのか

 「それは分からない。最終的にこうだという結論が出たときということです」

 --それは起訴された段階か。判決が出た段階か

 「だから、その時点、私どもはその今回の逮捕についても合点がいかないということ言っているわけですし、それから、従って、それが起訴されたり、あるいは裁判で罪になったりというようなことは考えていないというのが現状の段階ですから、まあ、いずれにしても、時期がいつか私から何日とか、いつごろとかということではないと思います。常識的に、最終的な結論が出た場合ということで申し上げました」

 --自民党の議員は献金を返金する意向を示しているが。

 「ですから最初から申し上げております。これもまた、そういった違法な仕方で、脱法か、な仕方で政治団体の原資が集められたものだったということが、今はまだマスコミを通じてしか分からないわけですから、それが確定した時点におきましては、私は最初からそういう場合には返金したいと言っております。ですから、それは変わりありません」

--二階氏については裏献金を受けていたと報じられている。自民党の説明責任についてはどう考えているか

 「それはもう、今さっきも言ったように、二階さんのことについて私は分かりませんから。とやかく今、論評する何ものも持っておりません。それから、自民党の国民に対する、本人と自民党の国民に対する説明責任は、それはそれぞれ、本人と自民党が考えることだと思います」

 --逮捕された大久保隆規秘書は岩手県内で影響が大きかったという話が出ているが

 「私は、彼がそれだけの力というか、影響力とか、いうのを持っているとは思いませんし、また、それをいろんなかたちで行使したというふうには思っておりません」

 --大久保秘書が西松建設本社に行き、西松建設幹部と献金方法の詳細について話し合っていたそうだ。そのことを知っていたか。事務所の体質として問題はないか

 「あの、会見の時からずっとこの問題、起きてから、申し上げておりましたが、献金は本当に大勢の方々から個人、法人問わず頂いておりますから、個別の献金のことにつきましては、私は報告は受けておりませんから分かりません。ただ、一般論として、献金してくださる方にお願いを申し上げるということは、直接、お願いできる方もあるし、それから大勢ですから、直接、お願いでもって、会って回ることもできない方も、そのような方には今回も、あるいは今年もよろしくお願いしますという文書でお願いをしておるということは知っております。それは、いずれにしても、献金をしてくださる方に、その、よろしくお願いしますということ自体は、これは社会通念的にも、政治献金だけじゃなくてそれはごくごく当然、自然のことだと思います」

 --衆院選に向けた地方行脚の再開のめどは
 「地方行脚、したいけれども、こうやって、もう諸君に囲まれてちゃ、地方行脚もできないから、できるだけ早く、もう、地方へ出て、晴れてみなさんとまた話し合い、ふれあいの期待を設けられたい、できるだけ早くそういう機会がまた来るように、というふうに願っています」

【名古屋市長選】
 --名古屋市長選に関して昨日、立候補予定の河村たかし衆院議員と面会していたが、どんな言葉をかけたのか

 「市長選挙については、まあ、もう、すでにみんな知っていると思うけれど、県連、市議団、県議団の中で、いろいろ、議論があって、最終的に私に調整を任せるということで県連会長以下、市議団と県議団の代表もおいでになって、そして任されたわけです。

 そこで河村君を呼んで、とにかく彼がなんとしても出るということであれば、仲間のみんなが了解するようなことじゃきゃだめだよということで、私が提示しましたのは、推薦するにあたってきちんと誓約してくれと。そのひとつは政策の決定、発表にあたっては、特に名古屋市議団のみなさんと十分、話し合った上で結論を得るようにしてくれと。それからもうひとつは、市長選に回るとすれば、(衆院愛知)1区の後継の候補者の問題がありますから、これについては市長選の選挙の結果がどうであれ、河村君自身と後援会、この両者が全面的に県連、そして最終的には党本部の決めた候補者を全力で推薦すると。この2つを誓約してくれということで、話しまして、そして昨日、誓約書に本人と後援会長の署名・捺印の誓約書の文書を持ってこられましたので、それでじゃあ、ということで、みなさんと話し合ってくれということで帰ってもらいました。

ですから、それでよしとなれば、次の常幹(党常任幹事会)にかけられるかどうか、まだちょっと分かりませんけれども、よしとなれば推薦ということになるだろうと思います」

 --どんな言葉を河村氏にかけたか

 「特に、議員の場合は、それは民主党所属の議員としての最低のルールは守らなければいけないけれど、ある程度、自由気ままな言動も許されるけれども、首長ということになると本当に市民の生活そのものの問題だし、またみんなの協力と理解を得られなければ現実、市政、できないのだから。そういう意味で、今言った2つのことだけはきちんと守って、守るということを約束した上で、というふうに話をしました」

--この後、「鳩山一郎50年祭」に出席するのか

 「(鳩山由紀夫)幹事長から、ぜひちょっとでもいいから顔を出してくれというお話がありましたので、行くつもりでおります」

3月10日記者会見

 --今日午前の党常任幹事会でどのような説明したのか。新聞各社の世論調査で代表を辞任すべきだとの声が多いが、進退についてどう考えるか

 「まずは、先週から、私の政治資金にかかわることで大変、同志の仲間のみなさんはもちろんのことですが、国民のみなさんにも大変、迷惑をおかけし、ご心配をおかけいたしましたことをこの機会におわびを申し上げたいと思います。

今日の常任幹事会では、まず、そのことを申し上げながら、特段、そんなに詳しい話をしたということではありません。もう単純な事実でございますので、もう、みなさんもお分かりの通りで、まあ少し、ちょっと経過を申し上げたとすれば、3日でしたかね、3日だな、あれ、3日の朝に大久保(隆規秘書)から急に突然、連絡がありまして、これまた『地検からちょっと話を聞きたいという連絡があった』ということで、『ああそうか』と。『そんならありのままに話してくればいいじゃないか』と。『はい、そうします。分かりました』と言って、出かけたっきりなんですけれども、午後に会うということになっておったようですけれども、ボクも1時間、2時間すれば終わって連絡があるかと思っていましたが、全然なくて、マスコミみなさんからの情報で逮捕するとか、されたとかという話を聞いておったことでして、大変、突然、逮捕ということで、びっくりいたしました。私が今日、常任幹事会で申し上げましたのは、その出だしのところでございます。

それから、もうひとつ、言いましたのは、私の政治家としての生涯かけての大目標は、ひとつは官僚主導の政治行政を国民主導の、国民の側に立った政治行政に改めると。それがひとつ。それからもうひとつは、日本に真の議会制民主主義を早く定着させなければいけないと。以前から諸君にもお話ししていたと思いますが、このふたつを実現するには、政権を代える以外ない。それが私の政治家としての生涯の大目標であり、夢であり、使命であるということで、私個人うんぬんの問題ではないと。その大いなる目標を達成したいと。何としても実現したいということを申し上げたということであります。

 第2のことでございますけれども、大久保の逮捕から1週間を経過して、もう8日目ですかね、に、なったわけですが、その間、私も、これもまた申し上げておりますように、収賄罪か何かの被疑者、犯人のような、ずーっと毎日、毎日の報道でございましたから、国民のみなさんがそういう中で、辞めた方がよかろうというふうに思われるとしても、それはむべなるかなと。そういうふうに感じるだろうなというふうに思っております。

ただ、まだ収支報告書の事務処理の問題点という以外に何も明らかにされていないわけでございますので、私はそういう意味で、事柄がその他のことも含めまして明らかになれば、その時点で、国民のみなさんのご判断をいただければいいのではないかと。従いまして、私は進退については、最終的な結論が出るまでは現時点ではまったく考えておりません」

 --世論調査は厳しい数字も出ているが、衆院選への影響も進退の判断材料になるか

 「今、申し上げましたように、私の政治家としての最大の大目標、目標は、そして私はそれを使命と感じておりますが、それは政権交代、それによって国民主導の、国民の側に立った政治行政を確立する。そしてこの大激変が予想される、世界的な激変が予想される今日の中で、1日も早く議会制民主主義を日本の社会に定着させる。そのことが私の大使命であると。また、生涯かけての目標でありますから、そのためには総選挙で勝利を得なければなりません。私の今後の行動の基準は、あくまでもその点において、物差しをそこにおいて判断したいと。そう思っております」

 --小沢氏の地元の建設業者が「小沢氏との関係が深くないと公共事業を受注できない」と話しているとの報道があるが

 「それはどなたが言っているのか分かりませんけれども、いろんな方もおられますし、また、そういった私どもとの関係と、そういった公共事業の受注のうんぬんという結果とは関係があるとは私は思っておりません」

3月12日 ぶらさがり
 --連合の笹森清前会長が先月代表と会った際、代表が「円高なので、済州(チェジュ)島を買ってしまえ」と言っていたと紹介したが事実関係は

「なにチェジュ島って?」

 --済州島、韓国の。

「そんなこと言ってませんよ。あのー、なんだ今、対馬を韓国資本が買ってるんですって。何だか僕は知らないけれど。お互いの自由なんだから、そりゃあ、日本だって韓国の土地買えるんだから、そんなことは問題ないんじゃないですか。何か問題あるの?」

 --チェジュ島を買ってしまえとは言っていない?

「チェジュ?チェジュ?」

 --済州島

「いや、特定の話じゃないですよ。対馬を何か一生懸命買ってるっていう話あったんじゃなかったかな。確か、韓国資本が事実。だからそれはお互い自由だから、外国の企業だって土地買えるんだから、それはお互いさまだから。日本だって韓国の、買えるでしょ」

 --昨日の午前参院の若手5人と会った際に、元秘書の石川知裕衆院議員の参考人聴取が報道されていることを「選挙妨害だ」と言ったと伝えられているが、そのような事実はあるのか

「いやあ、僕自身は言ってませんよ。ただ、そういう選挙の直前で、みんなに迷惑をかける、という類の話はしました」

 --石川氏について東京地検が参考人として事情を聴きたいようだが、今把握されている事実関係は?

「事実関係っちゅうのは?」

--実際、石川議員が事情を聴かれているかどうか

「ああ、あれはうちではあなた方がよく言うような金庫番というような類の者はおりません。うーん、先輩から後輩へ、それぞれそのときどきで経理を担当していますから、石川も経理の担当をしておったことがありますから、まあ、その意味で参考意見聞きたいっちゅうこっちゃないですか。もう、ありのまま話してくればいいと思います」

 --石川氏から、地検が事情を聴きたいとの意向を持っていることは、伝えられているのか

「あなた方の報道からです。いいですか?」

3月17日 記者会見

民主党の小沢一郎代表は17日午後、党本部で記者会見し、自らの進退について「結論が出ましたときに今後のことについては判断を致したい」と述べた。記者会見の詳細は次の通り。

 --西松建設の事件だが、検察の強制調査着手以来、報道でいろんな疑い指摘されているが、そういったことに対してどう説明するのか。あるいは現状を今どのようにとらえていて、進退を含めた今後の政治活動についてどう考えているのか

 「あの、事実関係は、もう皆さんもお分かりの通り、ごくごく単純な事実であります。献金を受けておったことは事実でありますし、そして政治資金規正法の、法の趣旨にのっとってその通り報告をしていたしてきたところでございます。うーん、いろいろと今、捜査をいたしているところと推測しておりますけれども、検察当局の公正な結論が出ますことを期待しております。また私の今後のことにつきましては、いずれそう遠くないうちに当局の判断が示されるものと思いますので、私としては、最初から申しあげております通り、政治資金規正法の趣旨にのっとって、政治団体からの寄付だから政治団体で受けたと、その通りに報告をしたということでありますので、それが理解してもらえることを期待しておりますし、いずれにいたしましても、その結論が出ましたときに判断を、今後のことについては判断を致したいと思っております」

--検察当局の結論ということだが、代表は、ご自身も大久保秘書も潔白だという主張をしているととらえているが、仮に起訴になった場合でも、その内容が逮捕容疑と同じあるいは範囲に留まってそれ以上、事件が進展することがない場合は、逮捕以後の対応と同様、代表職にとどまる考えか

 「今お話し申しあげました通り、私もそして、きっと大久保自身も、法の趣旨にのっとって正直に報告をしてきただけだという認識だと思いますので、しかし、現実に逮捕されておるわけでございますので、いずれ、検察当局が結論を下すだろうと思いますので、私自身の今後のことについてもその結論を見た上で、私どもとしては逮捕、起訴されるというのは、今言ったように政治資金規正法上のその通り、法律の趣旨の通り報告をしているわけですので、なんも悪いことをしていないという認識でおりますので、その意味で繰り返しますが、検察当局も公正な結論を出していただくことを期待しております。いずれにしろ、その結論が出る前に、とやかく言う問題ではないと思いますので、結論が出てから、また皆さんとお目にかかる機会になりましたら、そのときにお話ししたいと思います」

--進退について判断する際の基準は。また、検察の判断が示されて以降、どのぐらいで判断を示すのか。もう一つは、今後、4月の千葉県知事選はじめ、地方選が続々とある。こうした地方選の結果が、総選挙に影響があるかないかが代表の判断に含まれるのか。もし、代表職にとどまると判断すれば、その段階から地方行脚を再開するのか

 「結論が出ましたならば、これはあの、法律解釈の問題が、かなりの、その認識の違いですから、政治資金規正法の。おー、判断を、私自身も、よく見聞きして、きちんと認識した上でどういうことの結論なのかということをよく認識した上で、そんな、それ以降、遠くなく私自身の考えを申しあげたいと思っております。それから地方選挙、これは私自身がいろんな意味で、仲間の皆さんやら支援者の皆さんに、ご迷惑をかけているということは、先日来も申し上げております。

今、地元からは、ぜひ応援に入ってくれ、応援に来てくれ、という要請がありますけれども、私としては、このように大きな問題になっておることですので、その結論を見た上でというふうに、考えてはおりますが、いずれにしても、この選挙戦、これはもう、いつも言っていることですけれども、地方選挙と国政選挙とは必ずしもリンクしているとは、あのー、限りません。

えー、千葉の選挙も、わが党は最終的に推薦候補を擁立しましたけども、自民党はどっちだかわかんない分裂状態にありますし、秋田もかなり自民も我が方も、ねじれたまんまのお話になっていますし。まあ、名古屋の方だけはどうにか民主党一本で戦える態勢をつくりたいというふうに思ってますし、地元の皆さんもまた候補者と目されている人も、今懸命のコンセンサスを得るための努力をしているようでございます。

まあ、従いまして、この地方選挙、非常に大事な選挙戦でございますけれども、そのことが、さっきから言われている、私自身の今後のこととイコールのことではまったくない。地方選挙負けるたんびにどうたこうだっつう話ではない。じゃ、勝ったときはそれでいいのかっちゅうことにもなりますし、それとこれとは質の違う話だと思っております。それから、選挙がいつか分かりませんので、えー、早くということは主張は変わりませんけれども、まあ、いずれにしろ、この問題の決着をつけて、その上でどうするかということは考えていきたいと思います」

--昨日の参議院の予算委員会で、この事件に関連して麻生太郎首相が、「明らかに違法であったゆえに逮捕ということになったんだ」と述べた。個別の事案に対して首相がこのような答弁をするのは通常は考えられないが、この点についてどうお考えか。また、ここへ来て検察の捜査や報道に対する問題について、検察への批判も出てきている。これについて現時点ではどう考えるか

 「あのー、検察は法律を学ぶときは準司法的性格を持っているという表現の仕方で、よくものの本には書いておりますけれども、行政の一部であるっちゅうことは間違いのないことであります。したがって、その行政の長がそのような発言するちゅうことは、多分いまだかつてなかったことだろうと思いますし、それは総理として最高の責任者として、いかがかと思っております。それから検察の捜査につきましては、今、さっきから申しあげてます通り、私どもは、政治資金規正法の趣旨にのっとって、献金を受け取った相手方を記載するという趣旨にのっとってやっておりますので、公平な公正な結論を出してくれるものと期待しております。前から言ってます通り、私自身がその、収支報告書以外のいわゆる犯罪に手を染めていたと、関与していたということであるならば、私はどのような処置をされようが、処罰されようが、そりゃあもう、甘んじて受けなきゃなりません。しかし、私はそういうことを、まったく事実としてありませんし、秘書の大久保もそのようなことはないものと信じております」

--代表の地元の選挙区支部は地元の建設会社から広く献金を受けているが、こうした建設会社の一部は、ゼネコンからの依頼や指示で献金をしたということが報道の取材などで出てきているが、そういった献金をしている企業のバックにゼネコンがついているということは把握しているのか。またそのような事実についてはどのように考えるか

 「あのー、地元の皆さんの応援は、投票だけでなくして、金銭的にも本当に有り難い支援をいただいております。それは別に建設関係だけの方ではありません。そしてまた、その方々は、いわゆるゼネコン、ゼネコンちゅうと大手をイメージしますが、そういう関係とはまったく違った、もうずーっと、何十年来の支援者の方々がほとんどでございます。ですから、その意味におきましては、私も皆、よく存じ上げてる方々ですけれども、それといわゆる大手ゼネコンとのつながりうんぬんということは、まったく認識しておりません」

--先週の記者会見では、進退について、政権交代をもの差しに判断するという趣旨の話をしていたが、今日は検察の結論という発言が多い。世論調査や千葉県知事選の結果など、世論の動向で自分の進退を判断するということあるのか。また民主党はかつて問題が起こるとすぐ代表の交代が起きてきたが、今は非常に冷静だ。民主党の同僚議員に対して思うことがあればうかがいたい

 「私どもの大目標と大きな責任、使命というのは、政権を担ってそして本当に一つは国民の側に立った、国民主導の政治を実現すること。それから、先進国の中でたった一つ日本だけが本格的な政権交代ちゅうのがないというこの現実。その意味において、議会制民主主義、政権交代、国民の手によって政権が選ばれる。そういう中で緊張した国民サイドの政治を実施していくと。本来の民主主義の機能を十分発揮できるようにと。

こういう大きな眼目でもって次の総選挙に臨もうと、そう思っているところでありますので、私自身の個人的なうんぬんという話とはまったく異質なものでありまして、これはもうずっと前から何度も諸君には申し上げている通り、私個人の欲や何かでやっているわけではありません。今言った大いなる目標と大いなる責任を、使命を果たしていくと。

その一点に絞って、私のこの政治家人生の集大成として全力を挙げて頑張っていきたいと、そのように思っております。現実の選挙、さっきも言った通り、地方の選挙はいろいろな複雑な地域の事情が絡みます。本来ならば欧米のように、議会制民主主義あるいは大統領制もまあ、アメリカあたりはあります、大統領制ですが、実質的に民主主義というのはほぼイコール現実の姿は政党政治であります。

ですから欧米各国では大きな、まあ日本で言えば県知事とか政令指定都市とかいう選挙は政党間で争われます。ご存じの通りです。だけれども、わが国の場合は、まだそこまで民主主義というか政党政治というか、それが定着しているわけではありませんので、どうしても国政と地方選挙とは、選ぶ方の主権者の側、そのときそのときの地方選挙の場合は、事情があっての選挙戦になるということもありますので、地方選挙イコール国政選挙、民主党の政権への道うんぬんというふうにとらえてはおりません。これもまた何回も諸君にお話ししてきたとおりであります。ですから、もちろん勝利することに越したことはないんで、これは全力で頑張んなきゃいけませんが、今さっき言ったように、千葉でも秋田でもその地域のいろんな事情で、いろんな紆余(うよ)曲折があるということは知っての通りでございますので、そういういろんな事情の中でも、ぜひとも何とか私どもに近い考えの人に当選してもらって、そしてそういった諸々の力を合わせて総選挙に臨みたいということが私の気持ちであります」

 --冷静な民主党に一言
「あ、党内?党内のことは僕も、皆さんの四六時中監視の中にありますんで、党内の皆さんとはなかなか接触する機会がありませんけれども、いずれにしてもこの問題の決着がついて、そして党内の皆さんのご意見も、ご判断を伺いながら、その後のことについては考えていきたいと思います」

--事実関係の確認になるが、代表自身が現在までに東京地検特捜部の事情聴取を受けていることはないか。また大久保容疑者を除いて、事務所の他の秘書らが聴取を受けていることはないか。またテーマは変わるが、今日、代表は党本部で台湾民進党の蔡英文党首と会っていたようだが、事実関係とどのような話をしたかを説明いただきたい

 「あのー、私はときどきそういう質問に出くわしますが、いまだ地検から何の連絡も受けておりません。また、うちの秘書といいますか、うちではもう皆さんもご存じの通り、俗に政界では金庫番、金庫番という言い方がありますけれども、うちの事務所では金庫番といわれるような存在はまったくありません。みんなそれぞれが、そのときどきの先輩から後輩へ、あるいは、向き不向きもありますけれども、それぞれが順番に代わって経理を行っているということでございます。ですからその経理のことについてのお尋ねについてはあるかと思いますけれども、それ以上のものではないと思います」

 --台湾の件
 「あ、台湾。はい、台湾の民進党の党首とお会いたしました。本当に、久しぶりの、台湾の方とは、政界の関係の人と会うのは久しぶりでございましたので、そういう意味で、特に皆さんが知りたいような政治話をしたわけではありません。お互いに、その境遇ちゅうかな、立場ちゅうかな、それが非常に似てますねと、民進党と民主党と。

ただ私が言ったのは、台湾の方が日本より一歩先んじて民主主義が進んでいる。あの国民党の半世紀にわたる独裁から、選挙による総統選出ということになっていると。これは台湾の皆さんが、本当に政権交代という民主主義の姿を体験したわけだから、私はそういう意味において、わが国においても、日本国民も、一度この政権交代を体験しさえすれば、みんな私はあの、優秀な国民だと思ってますので、実体験さえすれば、ああこういうことが民主主義なのかということをすぐ理解することができますので、とにかく一度、本格的な政権交代。私も15、6年前のときに、これでできたと一瞬思ったんですけれども、短期間で終わってしまいました。今度こそはいわゆる二大政党的な選挙の中で、政権を代える、それによって本当の、民主主義と国民側に立った政治を実現すると。そういうようなことで話をしました」

--代表の事件を受けて、政治資金規正法改正の議論が活発になってきている。民主党内の一部では、いわゆる公共事業の受注企業からの献金を全面的に禁止すべきだという意見や個人献金の条件を緩和して企業献金から個人献金に移行すべきだという意見が出ている。代表の考えとは少々違うと思うが、今後の政治資金規正法の改正のあり方についての考えは

 「あのー、私の考えと違うちゅうわけじゃありません。私は日本の社会はもう少しオープンにすべきだと。政治資金も同じ。あるいは行政も同じ。民間の会社経営も同じ。もう少しディスクロージャー。これを徹底することによって、国民がその資料を基に判断するというのがもっとも民主的な私は社会だと言っているわけであります。

ただ、私自身の不徳の致すところもあって、こういうことになっておりまして、その中から企業献金。公共事業ということではなくて、公共事業といいますとね、あなた方はそのゼネコンのことばっかり思い浮かぶでしょうけれども、ほとんどの企業が、例えばこの間、防衛庁のああいう汚職事件ありましたが、三菱重工をはじめ、それこそ何千億の事業を引き受けているわけでしょう。

大小あっても、全部、ほとんどの企業が国や市町村と県と都道府県市町村と何らかの形で関係ありますから、禁止するということであれば、私は企業献金、そして今回それこそ問題になっている団体献金。これを全面的に禁止するということだと思います。

公共事業でもって仕分けはできない、事実上。ですから、いろんな業界が政治団体、個人、会社や業界、政治団体いっぱい持っているでしょう。その政治団体通じて寄付っちゅうこともいっぱい行われていることでしょう。そうすっとその出資者はかなりのケースで企業でしょう。だから、そういう意味では今度のことの問題を教訓とすれば、全企業、企業、団体献金を禁止するということならば、私はいいんじゃないか。それで、なるべく個人献金しやすいような制度的なものにするとか、あるいはみなさん方がもう少し強力に啓蒙(けいもう)活動をやっていただくとか。

なにしろ、オバマさん600億(円)ものお金集めてやってきたわけですから、だからそれが個人献金の金額にするとどの程度の割合なのかは私は知りませんけれども、いずれにしても本当に大勢の人が、トータルの量は別として、数では献金したことは間違いわけですから、その意味で私は日本においても、そういうような、もしやるとするならば企業献金、団体献金の禁止、徹底しなきゃ意味がないと、そう思います」

3月24日記者会見
「えー、それでは、この度の私の政治団体をめぐる問題につきまして、私の思いと現在の心境を、申し上げさせていただきたいと思います。まずもって、私自身の政治資金団体をめぐる問題につきまして、仲間の皆さん、同志の皆さんをはじめとして、国民の本当に大勢の皆さまにご心配とご迷惑をおかけいたしましたことを心からおわび申し上げるものでございます。

 今月の3日に秘書の大久保が逮捕されて以来、私自身が犯罪を犯したような、印象を与える状況の中で、本当に自分自身、悔しい思いと、無念の思いを抱きながら、必死に耐えて頑張って参りました。このような状況にもかかわりもせず、仲間の皆さん、そして大勢の国民の皆さんからお励ましの言葉をいただきました。私は、この皆さんの激励がなかったならば、今日まで、耐えてくることはできなかったように思いまして、本当に国民の皆様の大勢の方々の負けるな、頑張れという声に励まされ、今日まで参りました。本当に、国民の皆様に、そして同志の皆さんに心から感謝を申し上げます。

 私は、今月3日の逮捕以来、皆さんの前で機会ある度に申し上げてまいりましたが、私自身が収賄罪と、犯罪に手を染めていたということであるならば、それはどのような捜査でも、どのような処罰でも甘んじて受けると。しかし、自分にはそういう事実がないと繰り返し、皆様にも申し上げてまいりました。本日はその意味で、私の主張してきたことが、事実であるということが明らかになったのではないかと、そう思っております。しかしながら、それはそれとして、秘書が結果として逮捕され、起訴されたと、このことについての自分の責任は非常に大きいと、特に民主党に期待してくださった、また直接、激励してくださった皆さんに大変申し訳ない、そういう思いでいっぱいでございます。

きょうの秘書の起訴の理由を聞きますと、収支報告書の政治資金規正法違反、すなわち収支報告書の記載の仕方についての問題が起訴の根拠と、理由とされております。私どもとしては、献金を受けた事実はそのまま報告しておりますし、献金をいただいた相手方をそのまま記載するのが、規制法の法の趣旨であるというふうに理解しておりまして、その認識の差が今日の起訴という事実になったことと思います。

 今までの過去の例を見ましても、この種の問題につきまして、逮捕、強制捜査、起訴という事例は記憶にありません。そういう意味で政治資金規正法の趣旨から言っても、またそういう点から言っても、私としては、合点がいかない、納得がいかないというのが、今日の心境でございます。特に総選挙、まさに秒読みの段階に控えておる今日でありまして、私の責任の重大さを感じると同時に、そういった形での結果につきましては、自分としては納得できないという思いでございます。

 従いまして、先程来、役員会、常任幹事会に私の心境を述べさせていただきました。私は、40年になんなんとする政治生活でございますが、別に代表の地位や、あるいは政権を取って総理うんぬんということになんの未練も執着もありません。ただ思いは、何としても、日本に議会制民主主義を定着させる、それが私の自民党を離党して以来の大目標でありまして、自分の思いであり、そしてこれが、最後の機会だと。この機会になんとしても、国民の皆さんの理解を得て、政権の交代を実現することによって、官僚機構の上に立った自公政権、これを覆して本当に国民主導の、国民の側にたった政治を実現させる、それが、私の最後の政治家としての仕事だと、そう思っています。

 その意味におきまして、みなさんのご理解をいただいて、本当にこの目的をみんなと一緒に力を合わせて今後も頑張っていきたいという趣旨の話を役員会、常幹(常任幹事会)においても行いました。その役員会でも、とにかく、そういう大目標を、そして大いなる使命を達成するために、一緒に頑張ろうと、本当に温かいご支援の声をいただきました。私といたしましては、本当に微力で、ふびんな才能でしかありませんけど、本当にみんなと一緒に、みんなのこういった温かいご支援をいただいて、自分の、そして民主党の、国民の皆さんの期待に応えるよう、今後も頑張ってまいりたい、そのように決意を新たにいたしたところでございます。

 今回のことにつきましては、本当に、仲間の皆さんに、そして多くの民主党に期待する皆さんに、ご心配とご迷惑をおかけしたことを重ねておわびを申し上げながら、私の報告と、今日の心境といたしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします」

--代表を辞任せずに続投するということでいいのか。また、進退に関しては衆院選への影響を第一に考えるということだったが、この点はどう判断したのか。

 「進退については、今申し上げましたように、私ひとりで決するという、今あまりにも大事な大きな問題でございますので、役員会の皆様のご判断を仰ぎ、また常幹の皆さんのご意見、ご判断を仰いだ、ということでございます。それから、衆議院の総選挙で政権交代を実現し、本当に国民主導の、国民の側に立った政治を実現するということが、私の政治家としての生涯の目標であり、夢であり、そして今日、最後の自分の仕事だと心得ております。したがいまして、今後もそのことをこれからのいろいろな状況、どうなるか分かりませんが、そのことを前提にして、それで今後も考えていきたいと思います」

 --秘書が刑事被告人になることで、民主党へのダメージや世論の批判がある中で、あえて代表に留まることが政権交代に、民主党にとってどういう形でプラスになるという判断があったのか。そして、選挙の顔としてあくまで選挙の時期や捜査の進展にかかわらず、代表を続けるという理解でよいか。

 「今、先ほどの質問にも答えました通り、私の目標、そして私の夢は、政治家としての夢は、日本に本当の議会制民主主義を定着させること。そのためには、本格的な政権交代ということによって、主権者の国民の皆さんの議会制民主主義への理解を深めることが私はできると。

そしてまた政権交代しか本来の民主主義の機能であるこのことによってしか、日本に議会制民主主義が定着することがないだろうと、そういう思いに立っておりますので、そのことの私が、今日、皆様のご理解の下で、代表をこのまま続けるということに、ご承認いただいたわけでありますけれど、あくまでも総選挙で勝利ということを前提に、何事も、私自身、考えていきたいと思います。今日の時点において、私が代表をそのまま続けることが、プラスかマイナスか、それは私に判断することはできません。すべて国民の皆さんの受け取り方次第だと思っております。繰り返しますが、いずれにしても、総選挙で政権交代を実現して、国民のための政治、議会制民主主義を定着させる。その一点で今後も対処していきたいと思っております」 

--総選挙に勝利した場合は、これまで通り内閣総理大臣に就任する考えはあるのか。検察をこれまでしていたが…

 「うん?」
 --検察批判をしていたが、政権交代を実現して、内閣総理大臣として政権運営にあたる場合にも、検察と戦い裁判闘争を続けるのか。

 「あのー、第一点はもう何度も言いますように、私が民主党の代表として民主党が過半数を国民、皆さんにいただいたときは、それはその責任を果たすのは当然だとそう思っております。それから私たちの戦いといっちゃあなんですが、選挙戦の相手は別に検察ではありません。自公政権でございます。そういう意味において、検察は検察の職責を果たしたということであろうと思いますが、いずれにしろ、私どもの対決するのは自公政権。これは国民のためにならない。そういう思いの中でこれからの選挙に向けて努力してまいりたいと思います」

 --今回の事件では、違法行為があったかどうかということとは別に、西松建設という違法行為をしていたとみられる企業から、国民の感覚で言えば非常に多額の政治献金が代表のところに来ていたことが明らかになった。そのこと自体について、普通の感覚では理解できない、これだけの額の政治献金がきていながらいろんな事実が分かっていなかったのか、という意識が国民の中にあると思うが、そのような意識を国民が持っていることを理解しているか。民主党のイメージが傷ついたと思うが、「政治とカネ」の問題を含めてどう改善していくのか。

 「あのー、事務所の不動産のときにも皆さんから同じようなことを言われました。私は、今、西松建設、西松建設といわれますが、別に西松建設からいただいていたわけではありません。数で言えば、はるかに個人の皆さんからの献金が私の献金の中身でございます。したがって、私はその献金を、浄財を、ありがたくちょうだいして、そしてそれを政治活動に使うという点において何ら、国民の皆さん、また献金をしていただいた皆さんに隠すべき点も恥ずる点もありません。今回のことにつきましても、確かに大きなお金であることは間違いありませんが、それを別に隠していたわけでもありませんし、使い道をこれまた事務所経費をこの間も申しあげましたが、マスコミに全部公開をいたしました。そういう意味であとは主権者の皆さんが判断することであろうと思っております」

--代表の持論は政治資金をすべて公開し国民の判断に委ねる、ということだが、今回の事件はダミーの政治団体を使い、いわばその盲点をついたことになっている。しかもその経緯を秘書が知っていたということが起訴の内容になっている。強制捜査が異例というのはあるとしても、秘書が小沢代表の持論を骨抜きにするような内容で起訴されたことについて、自身の言行に照らして反省するところがあるのか、ないのか。また、今回の事件を機に民主党の議員は小沢代表は自分たちと比べて政治資金がなぜ必要かという声がある。かつての自民党の派閥の幹部でもないのに、なぜお金が政治活動に必要なのか説明を

 「第一の点ですが、これはダミー云々とか迂回して云々とかの議論がみなさんの中で、いろいろ言われているが、先ほど申し上げように、政治資金規正法の趣旨は献金を受け取った相手方を明らかにするということであると解釈し、その通りの事務作業をしたものと思っている。私のディスクロージャー、オープンにということは、その意味で矛盾する問題ではない。みなさんもお分かりと思います。こういうことを申し上げると差し支えあるかもしれないが、若い政治家の方々以上にはるかにスタッフもいっぱいいるし、いろんな意味で選挙をはじめ、いろんなお手伝いもさしていただいて、また会館の他に事務所があるのはけしからんという議論に立てば別だが、当然、人も事務所経費もある。その意味においてまったく同列にそれを論評されると、ちょっと私もどう答弁したらいいのか。あなた方の方が実態はよく分かっているはずですから。

その意味において私は政治活動の経費も、たぶんほかの人以上にかかっていることは間違いないと思っているし、それがある意味においては代表として、また年長のものとして、いろんな形で秘書が手伝いをしたり、なんなりするということが、ごく自然のことと思っている」

 --今朝の代議士会で一部議員から「新生民主党」で総選挙に臨むべきだとの声が出た。代表を代えてということだが、こうした声が党内から出ていることについて、どのように受け止めているか

 「そういう意見もあるだろうと思います。従って私は自分ひとりでこのまま続けるということを決めるには、大きな問題である。そう思って幹事長に諮りまして、役員会、常任幹事会という党の機関のみなさんの意見や判断をいただき、一緒にがんばろうとの結論になった」

--今後の世論調査で小沢代表は辞めるべきだとの声が依然高かった場合、そして民主党の支持率が浮上しなかった場合、それを受けて代表辞任の考えはあるのか。また、小沢代表は会見の中で涙ぐんでいたが、この間のつらかった日々を思い浮かべたのか、あるいは検察への怒りなのか 同志の温かい声を受けた涙なのか

 「これから国民のみなさんがどういう受け止め方をするか、それについては予測は私にもわかりません。ただ、何度も申し上げますように次の総選挙で国民のみなさんの支持を得る、そして今の官僚機構に支えられた自公政権に代わって、国民サイドに立った政権を打ち立てる。それがひいては議会制民主主義の定着につながるとの思いをもっている。常にそのようにことを基準に考えたい。私はこのようなことを言っては僭越に聞こえるかもしれないが、自分自身、国民の中に入っていろんな意見を聞き、直接声を交わしているつもりです。そういうことは、そういう中から自分で判断する。

 男が不覚な涙で恐縮ですが、つらかったからというわけではない。本当に私があたかも犯罪を犯したかのような世間の状況のなかで、多く仲間のみなさん、特に一般のみなさんから本当に多くの励ましの言葉をいただいた。そのことを申し上げるときに胸が詰まって不覚の涙ということです」

 --党内ではきちんと説明をしてほしいとの声がある。秘書の逮捕直後の世論調査では、多くの国民が最初の会見のときの代表の説明は納得できないとの声があった。逮捕から今日までを振り返り、十分な説明責任を果たしたと考えるのか

 「もし私の説明に分からない点があれば、私は全国行脚するときには毎日のように、みなさんの質問に答えているわけで、どうか国民のみなさんの中にそういう声があれば、代弁してそれを質問してください。私はなんにも隠すこともなんもありません」

2009年3月23日月曜日

【雑誌記事】 米TIME(小沢一郎)

表紙:「独りでも闘う男(The Maverick)」

独占インタビューで小沢一郎は、どうやって日本をリードし、チェンジしていくかを明らかにした。ただ、日本は彼についていけるか?

小沢一郎氏:「日本を救いたいと願う男」
米TIME(タイム)誌 マイケル・エリオット国際版編集長、ココ・マスターズ東京支局長(東京)
2009年3月23日付(紹介記事は下記関連記事参照)

 民主党の小沢一郎代表は、実務的な仕事が性に合っていて、「賑々しい表舞台に立つのはそれほど好きではない」と話す。しかし、これからは脚光を浴びることに慣れる必要があるだろう。現在の世論の動向が持続し、もし(大きな「もし」の話だが)日本で最近明らかになった政治献金のスキャンダルで致命傷を負わなければ、小沢代表はもうすぐ日本の次の首相に就任するかもしれない。衆議院の総選挙は、9月10日までには実施されることになっている。しかし、東京の観測筋は、選挙は早ければ5月24日になることもあると見ている。その日は奇しくも小沢代表の67歳の誕生日である。民主党が現実に自由民主党に代わって政権を担うことになれば、それは歴史上、画期的なことと言わなければならない。自民党は日本の戦後政治体制が固まった1955年から(1993年のごく短期間を除いて)常に日本の政治を牛耳ってきた。今回の選挙の結果次第では、単に野党の旧来の指導者ではなく、日本の政界の舞台裏で20年近く辣腕をふるってきた異色の政治家が政権の座に就くことになる。その小沢代表は、自民党をひどく嫌い、日本がその持てる力を十分に発揮するためには、国とその政治の在り方を変えなければならないと従来から主張している人物だ。

 日本人に変化が必要だと納得させるのは、容易なことではない。しかし、国が斬新な理念で政治に取り組む人物を緊急に必要としているという正にそのために、小沢代表はいま、待ち焦がれた政権に手の届きそうなところにいる。世界規模の不況は、他のどの先進諸国よりも深刻な打撃を日本に与えた。輸出は激減し、日本経済は10%以上も収縮し、国内の大企業は浮き足立っている。「現状を維持する」姿勢が解決策として今ほど見当違いである時代は滅多にない。けれども、自民党は信頼するに足る景気回復への取り組みを示すことができないように思われており、国民は金で動く政党のその場しのぎの対策と失策にうんざりしている。

 日本は旧態依然とした政治家をご用済みにすることを切望しているように見える。しかし、小沢代表は見かけほどに、実際に現政治体制のアウトサイダーなのであろうか?小沢代表はまた、そのときが来たら日本をどこに導こうとしているのだろうか?

 まず、今回のスキャンダルである。それは、小沢代表の権力掌握を頓挫させる可能性が十分にある。小沢代表の第一秘書である大久保隆規氏は3月3日、西松建設のダミー団体から違法な政治献金を受け取って虚偽の報告をしたとして、東京地検に逮捕された。これらの献金は同代表の政治資金に組み入れられたとされている。当TIME誌が3月7日に行った取材で小沢代表は、この逮捕に「非常に驚いた」と語り、この種の事件は従来、「政治資金の収支報告書に関する記載ミス」として、記載の修正だけで済まされてきた、と説明した。捜査はその後、西松建設から自民党所属の国会議員への献金疑惑に広がっているが、これまでのところ、焦点は依然として民主党に向けられている。党代表を辞任する気はない、と小沢氏は述べているが、秘書逮捕のニュースが公表されて数日後に行われた日本の三大新聞の世論調査では、回答者の多数が代表を辞すべきだと答えている。


小沢代表のパラドックス

 日本の現首相である麻生太郎氏(同氏は2006年に小泉純一郎氏が退任して以来3人目の首相で、前任者たちと同様に精彩を欠いている)と比較すると、小沢代表に対する支持率の方が上回っている。それにもかかわらず、西松建設の政治献金スキャンダルにおける同代表の位置に関するすっきりしない印象は、日本の政治で小沢代表が占めている立場のパラドックスを反映している。小沢代表は日本の戦後政治体制の最も過激な批判者として抜きんでている(自民党が1993年に政権の座から滑り落ちるきっかけとなったのは、自民党を離党するという小沢氏の決断だった)。同時に、代表自身がそうした体制のこれ以上ない見本でもある。

 日本の非常に多くの政治家たち(もう1人の異色の政治家である小泉純一郎氏も含む)と同様に、小沢代表も政治家の息子として、27歳で衆議院に初当選して政界入りした。ワシントンにある戦略国際問題研究所(CSIS)の日本部長であるマイケル・グリーン氏は20年以上前から小沢氏を知っているが、その当時の小沢氏のことを、本州北部の岩手県にある選挙区に「予算を持ってくることに励む」旧来型の政治家だったと記憶している。小沢代表の政界の指南役は田中角栄氏や金丸信氏である。田中氏は1972年から1974年まで日本の首相を務め、小沢氏を息子のようにかわいがり、結婚のお膳立てまでした。また金丸氏は、副首相と自民党副総裁にまでなった。田中氏や金丸氏は政界の伝説的なフィクサー(黒幕)であり、小沢代表も自民党を離党するまではそうだった。両氏とも結局は汚職事件で失脚した。1980年代になって日本中が好景気に沸いたとき、評論家たちは日本のこのような有様を「経済は一流、政治は三流」であるとしきりに口にした。好むと好まざるとにかかわらず、小沢代表の経歴の大半は、そのように忌み嫌われる政治システムそのものにどっぷり浸かっていたのである。今回のスキャンダルが明るみに出たとたん、小沢代表の支持率が落ちたのは驚くに当たらない。

 しかし、小沢代表は決して政界の内幕にあって細工するだけの人物ではなかったし、今もそうではない。同代表は1990年代初期から、日本は「普通の国」でなければならない、つまり、自国本来の国益を有し、国の目標は選挙で選ばれた政治家たちが定め、官僚は政策を決めるのではなく、政治家の決めた政策の実施をその仕事とするべきだ、というビジョンを明確に打ち出している。東京の永田町にある民主党の質素な党本部で行われた当誌のインタビュー取材で、日本は「普通の国」になるべきだという分析は今でも当たっているかとの質問に、小沢代表は「まったく該当する」と強く肯定し、「政治が官僚によって主導されている今日の在り方を、私たちは根本的に変えなければならないし、それを、政治家が政策を立案して自分たちの責任で実行していくという政治体制に変えていかなければならない」と述べた。現在の自民党政権に対する小沢代表の侮蔑感には、きわめて根深いものがある。代表は「与党の中には、全面的に官僚に依存しきっていて、まったく無為に過ごしている人々がいる」と話した。

 最近の自民党政治の実績がお粗末に過ぎることは、確かにほとんど議論の余地がない。小泉首相後の3人の後継リーダーたち(安倍晋三、福田康夫、麻生太郎の各氏)は、後になるほど見劣りしてくるように思える。先月、麻生内閣の中川昭一財務大臣は、重要な国際会議の後で開かれた記者会見の席で、酒に酔っていたように見える応答ぶりを披露し、辞任を余儀なくされた。タンタロン・リサーチ・ジャパンCEOのイェスパー・コール氏は「従来なら、概して不況は自民党にとって追い風になっていた。しかし、今回は情けない状況である。政府はまったく信用されていない。打ち出されてくる政策は、あくび交じりの対応どころか、全くの無関心で迎えられている」とコメントした。

 また、日本はとてつもなく大きな課題に直面しているという小沢代表の指摘も、まったくその通りである。日本国内では人口の急速な高齢化が進む一方で、出生率は低下し続けている。65歳以上の高齢層は現在の2800万人から2025年までに3500万人へと飛躍的に増加し、人口の35%近くに達すると見込まれている。この人口構造の変化は、日本の企業に働き手の激減という重圧をかけるものであり、政治指導者たちが真っ正面からこの問題に向き合おうとするならば(そのような人物はこれまでに見当たらないが)、多数の移民を受け入れることでしか事態の改善策にはならない。そのためには、これまで閉鎖的だった社会を外に向かって開く準備をしなければならない。さらに、高齢化社会は医療保障と年金に対する要求で大混乱に陥るであろう。

 海外においては、日本は東でよみがえりつつあるライバル国と張り合わなければならない。わずか20年前には、「日本はやがて米国をしのぐ世界一の経済大国となるだろう」と予言する日本関連の書籍が多く出版された(いま読み返すと今昔の感に唖然とする)。日本がかつてそうであったように、現在では中国の経済モデルが世界でもてはやされている。これまでアジアでは、日本と中国が同時に強力な経済力を誇り合ったことはない。それは、そうした状態が起きるのは不可能だということを意味するのではなく、どちらの国も、お互いに苦々しいライバル国同士として競い合わないようにするためには、賢明なリーダーが必要であることを意味する。(米国もまた、東アジアのこの2大国がどちらも米国にとって重要なパートナーであることを、双方に納得させる賢明さが必要である。)

 とりわけ日本は、その戦後の繁栄と社会の安定をもたらした経済モデルが破綻したことに対応しなければならない。日本の輸出志向産業は目覚ましい成功を収めて、日本が世界第2位の経済大国に成長する原動力となったし、終身雇用という企業方針は気前のよいいろいろな手当制度とあいまって、西欧諸国ではお馴染みの包括的な社会セーフティネットを不要なものにしていた。そして、バブル経済が訪れた。1980年代に金融市場が自由化された後、日本は、現代のアメリカ人がアーミッシュ〔訳注:キリスト教プロテスタントの一派。規律から現代文明を拒否して自動車や電気を用いず質素な生活様式を保持する〕の農民一家ほどにも思えるような、借金をして浪費する経済に突入した。株価は成層圏に届くほどに高騰し、不動産価格は狂乱的に跳ね上がったので、東京の中心に位置する皇居近くの地価は、カリフォルニア全土のそれをも上回るという比喩がはやった。

 このようなバブル経済は、当然ながら弾ける。バブル(泡)は弾けるものなのだ。日本の官僚たちが金融システムの危機に直面して術なく右往左往する間に、日本経済は「失われた10年」と称される長いトンネルに入った。株式市場は急落し、ある時期に下げ止まったのち、さらに落ち込んだ(日経指数は1989年のピーク時から82%も失われ、最近、26年ぶりの底値を記録した)。かつて世界中が瞠目した日本の諸銀行に、公的資金の注入が行われた。新しい世紀に入ると、中国と米国の需要に引っ張られ、日本の経済成長はようやく勢いを盛り返しかけた。しかし、それも新たな世界不況と外需の不振のために再び打ちのめされた。この2月、日本の輸出は前年比で実に46%も落ち込んでいる。


生活保障の模索

 何をしなければならないかについて、小沢代表の分析は明快である。代表は「従来のやり方に立ち戻ることはもとより論外である。(中略)私たちは市場原理と自由競争を、終身雇用制度にうまく組み込まなければならない」と認識している。成功への鍵は、輸出依存度を低くし、もっと国内需要に頼るようにすることである。これは、民主党の政策文書が「すでに20年も前から言われてきたことである」と辛辣に指摘する処方箋である。しかし、日本人にお金を金庫にしまっておかないでせっせと買い物をするよう説得するのは、口で奨励するだけでは全く効果がないことを、小沢代表はよく認識している。同代表は「生活が保障されているという安心感を国民に与えなければならない」と述べた。その点で、人口問題に難題を抱えている現状では、医療保険制度と年金制度で真の改革が必須となる。小沢氏は「若い世代ですら、将来は年金が受給されないのではないかと不安に思っている」と指摘する。前述のコール氏はさらに、「日本人に『定年後の生活は心配ない』と請け負うためにできる施策があれば、必要とされる分まで国内需要を押し上げることに大いに役立つだろう」と説明している。

 これに対して懐疑的な人々もいる。長年にわたり日本についての研究成果を発表してきた米コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授(政治学)は、民主党がセーフティネットを強化しようとしていることを認めつつも、オバマ米大統領が数週間のうちに米議会で可決させたような景気刺激策を提案する決意が同党にあるだろうか、と疑問を呈している。小沢代表は、政策を注意深く考え抜く人というよりも、カーティス氏の言葉を借りれば「自分自身がカール・ローブ氏〔訳注:ブッシュ前大統領の首席補佐官〕になっているように見える」。

 しかし、首相となった場合には、小沢代表はまさに政策を注意深く考え抜かなければならなくなる。これまで、日本は自らの国益を意識する「普通の国」でなければならないという小沢氏の決意が、「米国にとっては同氏が付き合いにくいパートナーとなりそうだ」と思わせる時が何度かあった。例えば、小沢氏は最近、民主党政権のもとでは、東アジアにおける米国のプレゼンスは横須賀を基地とする第7艦隊だけで「十分だろう」と述べた。これは、日本にある他のすべての米軍基地は閉鎖されるべきだという含みのあるコメントである。米国との関係が「日本にとって最も重要な国際関係である」と言う一方で、小沢代表は米国と距離を置いている。同代表はTIME誌に「米国が単独で決め、あるいは実行する軍事行動には、日本は追従することはできない。しかし、国際紛争の解決が国際社会の協力を得て国連の枠組みの中で取り決められるならば(中略)日本は最大限の積極的な協力を惜しむべきではない」と語っている。

 CSISのグリーン氏は、小沢氏の「エイハブ船長〔訳注:復讐の念にとりつかれた『白鯨』の船長〕のような自民党潰しの執念」は、時として反米的な口調も辞さない態度になって現れ、日米同盟関係に巻き添え的な被害を及ぼすという。しかし、日本のどんなリーダーも世の中の現実をわきまえている。小沢氏は首相になれば、権力を維持するためにも「米国との強い結びつきを求めるであろう」と、グリーン氏は見ている。


怖じ気を克服して

 目下のところ、日本が直面している最大の課題は国内問題である。バブル経済の崩壊後、怖じ気づいてしまった日本人は、物事がかつてのままではならないということを知っている。「日本人は根本からの変革を望んでいる。しかし、そのために一票を投じる候補者が誰もいない」と、東京の日本大学で政治学を教える岩井奉信教授は言う。コール氏は「真の問題は、政治が再び若い世代にとって魅力あるものとなるかどうかだ。つまり、自分の今の生活だけでなく、将来に影響するのだから、実際に政治に関わる必要があるのだと意識させ得るかどうかだ」と分析する。

 問題の核心はそこにある。時に日本の将来に関する明快な分析に加えて、自民党に取って代わるという強い気概を持ち合わせて行動しているように見える小沢代表ほど、日本の政治文化のなかに深く浸ってきた人物が、変化を推し進める魅力ある担い手になり得るかどうかに、問題はとどまるものではない。21世紀が要求している経済と社会の在り方に向かって、身を切るような変革を成し遂げる意欲が日本にあるかどうか、ということである。

 確かに、日本には脱皮する能力がある。この国は現代に入って2度、それを成し遂げた。1度目は19世紀後半の明治維新以降のことだ。長年にわたって鎖国されていた社会を徹底的に近代化し、欧州列強の1つであったロシアとの戦争で勝利した。2度目は、敗戦の灰燼から新たな経済を立ち上げた1945年以後である。

 しかし、日本にはいつも、予測できない未来よりも、分かりやすいと思われる過去へのノスタルジアがある。東京の太田記念美術館では3月、楊洲周延〔訳注:ようちゅう・ちかのぶ。明治期に活躍した浮世絵師。憲政資料室所蔵の『枢密院会議之図』も周延の作品〕による見事な浮世絵展〔訳注:『生誕170年記念 楊洲周延展』〕が催されている。これは、西洋の音楽、軍服、鉄砲、フープスカートのドレスといった西洋の風俗が、日本古来のものに取って代わり始めた明治時代を偲ばせる作品の展示だ。

 古典的な浮世絵という枠の中に描かれている近代の様子は、奇妙で落ち着かない気持ちをかき立てる。まるで、浮世絵師が新しい世界にあっさりと溶け込むことができなかったかのようであり、おそらくはそれを嫌がっていたのであろう。例えば、ある浮世絵作品では、伝統的な着物姿で髪をつややかに結った女性が、下ろした髪を後ろになびかせて楽しそうに自転車に乗る少女を物憂げに見つめている。

 日本は自転車にまたがり、敢然と未来に乗り出そうとペダルをこぐのだろうか?多くの人がその答えを知りたいと望んでおり、それは日本人だけではない。

取材協力:オダ・ユキ記者(東京)
日本語訳:民主党国際局

2009年3月12日木曜日

【記者クラブ問題】 漆間発言と記者クラブ

 前日(3月11日)に、産経新聞が漆間発言に関し、情報源の秘匿という部分で記事を書いているのだが、フリージャーナリストの上杉隆氏は、根本的な問題として記者クラブの存在が「大きな問題」の一因だとし、ダイヤモンドオンラインに寄稿をしている。


漆間発言で思う、「オフレコ」を当然と思う日本メディアの甘さ
2009年3月12日

漆間巌・内閣官房副長官のオフレコ懇談が話題になっている。

 首相官邸で開かれている週1回の定例懇談会の席上、「政府高官」として、西松建設の政治資金規正法違反事件に絡んで、「自民党議員への波及はない」と語ったのが騒動の発端だ。

 それを共同通信が報じて、「国策捜査」を裏付けるものとして野党が批判し、続いて、記者クラブ各社が「政府高官」の氏名の公表を迫ったというものだ。

「政府高官」の発言内容そのものは、まったくもって論外であり、もはや是非で論じるレベルのものでもない。また、漆間氏の政治的な志向については、拙著『官邸崩壊』と『宰相不在』で指摘しているので、ここでは改めて言及しない。

 今回論じるのは、漆間氏の発言そのものではなく、彼を取り巻く記者クラブメディアのオフレコ懇談への対応の酷さだ。

海外とは「オフレコ」の意味が大きく異なる

 結論から言えば、今回の漆間氏の発言は、日本特有の記者クラブの中ではいざ知らず、少なくとも、全世界のジャーナリズムのルールでは、「オフレコ」の要件を満たしていない。

 まず、「オフレコ」の概念が日本と海外では大きく異なるのでそれを説明する。

 海外での「オフレコ」とは、文字通り「オフ・ザ・レコード(off the record)」であり、記録することは出来ず、原則的に記事にすることもできない。日本の記者クラブの「オフレコ」は、「政府高官」や「政府筋」などの匿名で報じることができる点を考えると、おそらく「バックグランド・ブリーフィング(background briefing)」を指しているようだ。

 ここで、用語の違いをとやかく言うつもりはない。問題は、漆間氏のオフレコ懇談の環境が、「オフレコ」の条件をまったく満たしていないことにある。

 海外で「オフレコ」(以下BBもオフレコに統一)が認められるのは、情報源を明示することによって生命の安全が脅かされる可能性のある場合、あるいは氏名公表によって著しい不利益を蒙る可能性が高い場合に限定される。

 よって、公人中の公人である権力側の「政府高官」のオフレコは、基本的には認められない。国民の税金で口を糊する権力者の発言は、政治利用の恐れがあるため、実名が原則だ。それが事務次官会議を主宰し、官僚トップの官房副長官ならばなおさらだ。いかなる言動についても、公人としての説明責任が伴うのである。

 さらに、今回の懇談は、首相官邸という高い公共性を帯びた建物の中で、定例の記者懇談という形で行なわれている。当然、生命の安全を脅かされることも、不利益を蒙ることも考えられない。

 本当に、私的なオフレコ懇談が必要ならば、ホテルなどのプライベートな空間で開けばいいだけの話だ。そもそも複数の記者の前で、「オフレコ」が完全に通じると思う「政府高官」の認識が甘い。逆に、そうした「談合」を許し続けてきた記者クラブ側の意識の低さも今回の騒動の遠因にもなっている。実際、記者クラブ記者たちのそうした認識の低さは、きょうの産経新聞の斎藤勉・編集担当のコラムに顕著だ。

〈記者懇に対しては政権側との「談合」「癒着」などといった批判も聞かれる。しかし、現場の政治記者にとっては国民の「知る権利」に応えるべく、建前論に流れがちな記者会見から一歩も二歩も踏み込み、政局の真相の一端に迫るため長年かけて編み出した取材の知恵といってよい〉(「漆間発言」とメディア 取材源 安易に暴露していいのか/3月11日付)

 取材源の明示は「知る権利」の中の最重要の要素だ。誰が語ったかということは、その発言の真偽を判断する上で不可欠の材料となる。筆者の所属したニューヨーク・タイムズでは、すでに10年前でも「政府高官」の匿名コメントは一切認められなかった。ところが、この産経コラムはこう書く。

〈米国でも、例えば国務省で報道官が公式会見を行ったあと、同じ報道官との懇談は取材源を「国務省高官」として発言の引用が許される慣例がある〉(同前)

 念のため、ニューヨーク・タイムズのアーカイブを探したのだが、筆者はこの種の記事を見つけることができなかった。もしかして見落としたかもしれない。だが、こうした取材方法と記事は、もはや米国の新聞ではほとんど認められていないことを付記しておく。

 1970年代、すでに「政府高官」の取り扱いについてはひとつのルールが定まっていたという。ワシントン・ポストとキッシンジャー国務長官の間で発生した「政府高官」をめぐるエピソードは次のニューヨーク・タイムズの同僚の言葉を紹介すれば十分だろう。少し長いが拙著より引用する。

〈その時に、日本人スタッフのひとりが教えてくれたのが、ワシントン・ポストのブラッドリー編集主幹とキッシンジャー国務長官(ともに当時)の「戦い」である。ベトナム戦争当時、ワシントン・ポストの国務長官担当記者が、キッシンジャーから国務省に関する機密情報を教えてもらった。だが、記事にするには条件が付帯されている。それはソースがキッシンジャーであることを伏せるというものであった。

 当時のワシントン・ポストではすでに公人のクレジットについては、明確にすべしという指針が存在していた。ブラッドリーは掲載すべきかどうか悩む。情報はのどから手が出るほど欲しいものだが、なにしろウラが取れない。しかし発言者は国務省のトップで当事者である国務長官だ。ブラッドリーはその記者をキッシンジャーの元に行かせ、氏名の掲載許可を求めた。

 ところがキッシンジャーは頑として許可をしない。怒り狂ってその記者を罵倒したという。だが記者も引き下がるわけにはいかない。粘りに粘った末に引き出した条件が、「政府高官」というクレジットならばいいというものであった。

 だが、それでもブラッドリー編集主幹は納得がいかない。そこで自らもう一度交渉を試みるが、キッシンジャーの提示条件は変わらなかった。

 ついにブラッドリーは「政府高官」での掲載を認める。記事中のソースはすべて政府高官の情報によると、と書かれている。キッシンジャーの氏名は約束通り、一切使用されていない。ただ、記事中にはひとりの男の写真が掲載されていた。そのキャプションには「政府高官」とあり、写真はキッシンジャーのものだった。

 これが米国のジャーナリズムだ〉(拙著「ジャーナリズム崩壊」から引用)

 仮に、現在、米国の「政府高官」が匿名でのコメントを求めたら、ほとんどの記者が席を立って、その場からいなくなることだろう。なぜならば、政府高官の「オフレコ」がジャーナリズムの精神として許されないばかりか、仮に、取材済みの情報と重なってしまったら、それこそ信義上、記事にできなくなるからだ。

 こうした傾向は米国だけに限らない。世界中のジャーナリズムが、政治権力との距離感については、すでに30年以上前からずっと気を遣い、頭を悩ませ、そして戦い続けているのだ。

〈米国のジャーナリズムでは犯罪や犯罪組織を利するようなケースを除き、取材源の秘匿は徹底して守られるべきだとの空気が根強い。

 かつてニクソン米大統領を失脚させた「ウォーターゲート事件」で、スクープを放ったワシントン・ポスト紙の情報源(ディープ・スロート)だったマーク・フェルト元FBI副長官は30年後に自ら名乗り出るまで、名前は秘匿され続けた。

 今回のケースと一概には比較できないが、「取材源の秘匿」の重さには変わりがない。取材源の安易な暴露はジャーナリズムの自殺行為になりかねない〉(同前)

 確かに、ジャーナリズムに携わる者がもっとも重視しなくてはならないのは取材源の秘匿である。仮に、投獄されても、暗殺されても、記者ならばそれは守り抜かなければならない――。ニューヨーク・タイムズで筆者が繰り返し教えられたのはそうだった。

 だからこそ、ワシントン・ポスト記者のウッドワード氏とバーンスタイン氏は、フェルト元長官を守り続けたのだろう。

 とはいえ、斎藤氏のいうような無制限の取材源の保護には賛成しかねる。氏はこうも言う。

〈不文律ではあっても「取材源の秘匿」という原則をメディア側、政権側ともあまりに軽々しく考えてはいまいか。せっかく積み上げてきた「取材現場の知恵」が傷ついたことで、政府各機関の記者懇にも負の影響が出ることが懸念される〉

 ジャーナリズムの守るべき取材源は、相対的に、社会的な弱者である。強者の保護は限定されるべきではないか。だからこそ、政治家や権力者などの公人のコメントは、原則としてオフレコが解除されて当然だと考える。

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3月12日の産経は、前日の常務の記事で漆間発言の幕引きを図りたかったのであろうか。しかし、フリージャーナリストの上杉氏の寄稿分で、記者クラブ問題に火がついてしまった形である。この記者クラブ問題が、民主党政権、つまり政権交代が起きた時にどのような影響が出てくるのか期待をせずにいられない。

現実には、12日の記事を読むと、記者クラブ問題よりは小沢氏が党首を続けるかどうかがカギのような書き方であるが、だとしたらはじめから小沢氏の影響力を削ぐためにこの西松事件が起きたのではないだろうかとさえ思えてくる。

小沢氏、打つ手なし? 代表退けば浮上できぬ…
2009.3.12 00:23

 政治資金規正法違反事件で公設秘書が逮捕された民主党の小沢一郎代表は、党内でくすぶり続ける「小沢降ろし」や世論の反発を受けても、代表に当面はとどまる意思を変えていない。小沢氏が代表にこだわるのはなぜなのか。生き残りをかける小沢氏の執念が透けて見える。

 小沢氏は11日、党本部で、自身に近い同党中堅・若手議員らと会談し、代表続投を求められ、「何としても次期衆院選で勝つ。オレは悪いことはしていない。いずれ真実が分かれば国民も理解してくれる」と述べた。事件についても、潔白を訴えながら「検察批判」を展開し、代表続投への意欲をにじませた。

 また、東京地検特捜部による石川知裕衆院議員の事情聴取報道に関しては、「参考人聴取は内々にやるものだ。半年以内に衆院選があるのに、こんなことが報じられたら、選挙妨害以外の何ものでもない」と憤りを隠さなかった。

 小沢氏の胸中をめぐっては、さまざまな憶測が党内で飛んでいる。「事件が秘書の政治資金規正法違反にとどまれば、世論の風向きが反転すると読んでいる」(中堅)との見方がある一方、周辺からは「次期衆院選で勝つためには、代表を退く腹を決めているのだろう」との声もある。

小沢氏が代表にとどまるのは、退いた場合、政治的に後がなくなることを危惧(きぐ)しているためだ。小沢氏はこれまで、節目の際には必ずその後の政局を見越して「返り咲き」を果たしてきている。自民党幹事長辞任後は、旧竹下派の会長代行に就任。同党を離党してからは、細川連立政権誕生の立役者になった。旧新進党が解体し、旧自由党党首に就いたときも、小渕政権で連立を組んだ。

 民主党幹部は「小沢氏は、代表を降りたら『次の一手』がないと思っている。今までなら、すぐに代表を辞めていたはずだ」と語る。二大政党下での政権交代が現実味を増す中、政界再編の機運は盛り上がっていない。代表職をほうり投げては、二度と政界で浮上できなくなる-。事件のあおりで小沢氏はギリギリの状況に追い込まれている。

 自民党を離党後、政権交代を自らの手で実現したい悲願に加え、選挙対策や国会運営などで指導力を発揮し、麻生太郎政権を追い込んだという強烈な自負もある。次期衆院選の候補者擁立を取り仕切り、新人候補者を発掘してきた小沢氏にすれば、選挙後には多くの「小沢チルドレン」が当選し、党内で影響力を保持できる。

もっとも、小沢氏周辺では、公設秘書が勾(こう)留(りゆう)期限の切れる24日にも起訴されれば、早期辞任に追い込まれるとの見方が多い。土俵際に追い込まれた小沢氏に劣勢挽回(ばんかい)の策はあるのか。旧知のベテラン議員は「小沢氏はもともと本音では首相になりたくないはずだ。代表を辞めて、幹事長や選挙対策責任者に就けばいい」と話している。

2009年3月11日水曜日

【西松事件】 政府高官の発言

 漆間発言で、大揺れになってしまった。結果、産経新聞では常務が記事を書いているのであるが、少なくても、常務が記事を書かなけばならないような異常事態であったということであろう。
つまり、民主党政権が小沢氏の手によって行われ、小沢氏が総理の座について一番困るのが既存の大手マスコミ、すなわち記者クラブであることを明確に知らしめたという事いなる。


「漆間発言」とメディア 取材源、安易に暴露していいのか
2009.3.11 12:09
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090311/stt0903111210006-n1.htm

 ジャーナリズムは、取材形態がどうあれ、取材源との約束事を守る信頼関係の上に成立している。その信義が崩れた時、ジャーナリズムは堕落する。

 漆間巌(うるま・いわお)官房副長官が西松建設の政治資金規正法違反事件にからんで、自民党議員への波及を否定したと受け取れる発言をしたのは、5日の首相官邸での定例記者懇談の場だった。通称「記者懇」あるいは「オフレコ懇」と呼ばれ、メモも録音もとらず、取材源の副長官は「政府高官」と匿名にする代わりに、発言の中身は報道してよいとの不文律の取り決めがある。

 記者懇に対しては政権側との「談合」「癒着」などといった批判も聞かれる。しかし、現場の政治記者にとっては国民の「知る権利」に応えるべく、建前論に流れがちな記者会見から一歩も二歩も踏み込み、政局の真相の一端に迫るため長年かけて編み出した取材の知恵といってよい。

 米国でも、例えば国務省で報道官が公式会見を行ったあと、同じ報道官との懇談は取材源を「国務省高官」として発言の引用が許される慣例がある。

 漆間氏は記者懇の慣例に従い、背景説明の一環として「一般論」という形で「自民党議員…」の発言を行ったとされる。記者懇の内容はまず共同通信が配信し、民主党を中心に「検察と内閣の連携だ」「やはり国策捜査だ」といった声が政界に一気に広がった。

 問題はこの後のメディアの対応である。漆間氏は匿名を前提に「背景説明」を行ったのだが、朝日新聞は7日付の朝刊1面で「『自民側は立件できない』発言の高官 民主、漆間氏とみて追及」との見出しで「6日夜、…この高官に身分を公表するよう求めたが拒まれた」と報じた。

 これは2つの点で記者懇ルール違反の疑義がある。1つは、記者懇で朝日の記者は懇談後、漆間氏に対し氏名の公表を要求していないのに、翌6日、政界が事態を重大視し始めるや一転、高官に名前公表を迫った点だ。第2に、朝日は「民主党の見方」に転嫁する格好で漆間氏の実名を一方的に明かしてしまった点だ。双方が合意した時にのみ取材源の公表は認められるべきではないか。

 翌7日、今度はTBSテレビが「内閣記者会として高官の氏名公表を求めたい」との提案を行ったが、全社の賛同は得られず(産経新聞は拒否)、結局うやむやになった。

 ところが、河村建夫官房長官が翌8日のフジテレビとNHKの報道番組で問題の発言をした高官は漆間氏だったことを自ら認めてしまったのだ。「このままでは国会を乗り切れないと事態の収束を図って名前を出してしまった」(政界筋)との見方が強い。これを機に全メディアが漆間氏の実名公表に雪崩を打った。

 不文律ではあっても「取材源の秘匿」という原則をメディア側、政権側ともあまりに軽々しく考えてはいまいか。せっかく積み上げてきた「取材現場の知恵」が傷ついたことで、政府各機関の記者懇にも負の影響が出ることが懸念される。

 米国のジャーナリズムでは犯罪や犯罪組織を利するようなケースを除き、取材源の秘匿は徹底して守られるべきだとの空気が根強い。

 かつてニクソン米大統領を失脚させた「ウォーターゲート事件」で、スクープを放ったワシントン・ポスト紙の情報源(ディープ・スロート)だったマーク・フェルト元FBI副長官は30年後に自ら名乗り出るまで、名前は秘匿され続けた。

 今回のケースと一概には比較できないが、「取材源の秘匿」の重さには変わりがない。取材源の安易な暴露はジャーナリズムの自殺行為になりかねない。
 (常務取締役編集担当 斎藤勉)

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【西松事件】 各大手既存メディアの役割

 3月11日になると、産経の西松事件そのものの記事もめっきり減り、小沢氏をバッシングするためだけの記事や報道一色になっている。

いつも政治家の献金、つまり政治家のお金にまつわる事件が報道をされ始めると「事件の内容より、政治家そのものへの思い込み評価」を刷り込む作業が行われているように思えてならない。

たとえば、今日の産経新聞の記事であるが、一見すると小沢氏側の言い分を載せているように思えるが、対する東京地検の見解を載せない限りは公平性に欠く。なぜなら、一度逮捕をされたら、どんなに正しい事を述べたとしても「ずうずうしい」・「開き直っている」とみられる傾向が強いのである。それに対し、東京地検特捜部の見解を載せる事で初めて公正な記事となる。つまり、大手既存マスコミの一方的な報道によるラベル貼りは、このようにして作られるのである。

同時に読売新聞は、かつて小沢氏と近い間柄であった二階氏を引き合いに出し、小沢氏のイメージを落とす役割を果たしている。この今回の事件は、読売と産経も東京地検にとって重要なプレィヤーを担っているように思える。しかし、今回は、この2社だけではなく、すべての大手既存のマスコミがプレィヤーとして動いているようにさえ思える。

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【西松献金】小沢氏、石川議員聴取は「選挙妨害以外の何ものでもない」
産経新聞2009.3.11 11:52

民主党の小沢一郎代表は11日午前、党本部で自身に近い同党の中堅・若手議員らと会談し、西松建設による違法献金事件で東京地検特捜部が小沢氏の元秘書の石川知裕衆院議員に事情聴取する方針を固めたことについて、「選挙妨害以外の何ものでもない」と述べた。さらに、「権力を乱用する者に権力を持たせてはいけない。だから政権交代しなければいけない」と地検の捜査を批判した。

 出席者によると、小沢氏は議員から代表続投を求められ、「何としても衆院選で勝つ。オレは悪いことはしていない。いずれ真実が分かれば国民も理解してくれるだろう」と意欲を示したという。

 石川氏は次期衆院選で、中川昭一前財務・金融担当相の地元、北海道11区からの立候補を予定している。




西松献金、小沢氏・二階氏へ途切れなく…転籍後も提供先変え
 準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)が、ダミーの政治団体を使うなどして、個人や派閥の政治団体に多額の資金を提供していた小沢一郎・民主党代表と二階俊博・経済産業相。

 かつて二人は共に自民党を離脱し、その後、たもとを分かって現在に至るが、西松建設は、二人の足取りをたどるかのように、資金提供先も変えていた。

 同社が長年にわたり、小沢氏側と二階氏側を手厚く支援していた実態が浮かび上がる。

 小沢氏と二階氏は1993年6月、一緒に自民党を離脱して旧新生党を結成。その後、旧新進党、旧自由党と2000年まで行動を共にした。二階氏は小沢氏の側近とも言われた。

 二階氏は同年4月、旧自由党を離れて、旧保守党の結党に参画。さらに03年11月、自民党に合流し、二階グループ(現在の二階派)を率いることになった。

 一方、小沢氏の旧自由党は、03年9月に旧民主党と合併。小沢氏は副代表などを経て、06年4月から民主党の代表を務めている。

 政治資金収支報告書などによると、西松建設は、二人が旧新進党や旧自由党に所属していた95~99年の5年間、両党の献金窓口だった政治資金団体「改革国民会議」に、同社や子会社の松栄不動産、ダミーの政治団体「新政治問題研究会」の名義で、総額約1億円を献金していた。

 二階氏が旧保守党を結党した00~02年の3年間には、西松建設は同党の政治資金団体「保守政治協会」に計約330万円を同社名義で献金した。

 西松建設は改革国民会議への献金を00年以降も続けていたが、小沢氏の旧自由党が旧民主党と合併した03年以降は、新たに小沢氏の資金管理団体「陸山会」を献金の提供先の一つにするようになった。以後、陸山会への献金は06年まで続く。すべて「新政治問題研究会」など二つのダミーの政治団体経由だった。

 旧自由党が国会議員30人の小所帯で「小沢色」が強かったのに対し、旧民主党との合併で200人を超す大所帯となった。このため、関係者によると、献金先を小沢氏個人の資金管理団体に変更したという。

 一方、二階氏が自民党に合流すると、西松建設は04~06年にダミーの二つの政治団体名義で、自民党二階派の政治団体「新しい波」から計838万円分のパーティー券を購入した。また、06年以降も、二階氏の政党支部「自民党和歌山県第3選挙区支部」の口座に、同社社員や家族計60人の名義を無断で使い、毎年計300万円を振り込んでいた。

(2009年3月11日09時58分 読売新聞)

2009年3月10日火曜日

【西松事件】 大久保秘書逮捕から一週間

 3月10日になるとめっきり西松事件の実際の内容は話されず、小沢バッシング一辺倒である。

いつも「政治とカネ」の問題が起きると、入りの部分や出の部分だけを取り上げて騒ぐのが常であった。今回の小沢氏の西松建設の問題も形の上では入りの部分の問題である。

政治資金規正法は、入り出を透明化しろというのが主眼とされているように思えてならない。事務所費に関しても結局は、出の部分を架空経費にした事で事務所費問題なども起きているのである。また日歯事件は、寄付金を明らかに受け取っていながら、記帳をしなかった事からおきた事件である。

その部分で考えた場合に、小沢氏の場合は、明らかに違うと言う事になる。さて、東京地検特捜部は、どんなお年どころを考えているのであろうか。

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【主張】小沢民主党代表 有権者が疑念突き付けた
産経新聞2009.3.10 03:19
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090310/stt0903100319001-n1.htm

民主党の小沢一郎代表はこの数字をどう受け止めるのか。西松建設をめぐる政治資金規正法違反事件を受けて行われた各種世論調査で、小沢氏が説明責任を果たしていないとの回答が圧倒的多数を占め、代表を辞任すべきだとの意見も多数に上った。

 民主党支持率や小沢氏個人の評価も低下した。事件や小沢氏の対応によって、民主党に期待した多くの人が、裏切られたとの印象を抱いたからだろう。

 党内からも「国民に説明できない」と現状を懸念する声が出始めている。だが、党独自の調査を行うなどの自浄努力の具体的な動きはまだみられない。国民の疑念を払拭(ふっしょく)し、信頼を取り戻す機会ととらえるべきだ。

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査によると、麻生太郎首相と小沢氏の「どちらが首相にふさわしいか」で、小沢氏は15ポイント近く支持を失った。事件により小沢氏のイメージが「以前より悪くなった」と思う人も6割を超えた。

 次期衆院選での投票先(比例代表)や、民主党を中心とする政権への期待値も下がった。数字の上で次期衆院選に対する事件の影響が鮮明になっている。

 世論調査結果に対し、鳩山由紀夫幹事長は説明責任が不十分だと受け止められていることは認め、「新事実が判明すれば新たな展開になる」と小沢氏の代表続投に影響が出るとの見方も示している。しかし、逮捕された小沢氏の公設第1秘書の起訴や新たな容疑の浮上など、状況の変化を待っているだけでは問題は解決しない。

 民主党は平成19年参院選での政権公約(マニフェスト)で、政治資金規正法の改正により、迂回(うかい)献金の禁止や企業団体献金を受ける政党支部の制限などを行い、政治とカネの透明化を図る必要性を訴えていた。

 その考え方と照らし合わせ、西松建設側からの資金提供に問題がなかったかどうか、党として調査することくらい、やる気になればすぐにできるだろう。

 麻生内閣の支持率はやや上向いたとはいえ、低迷を脱したといえる状況ではない。首相としては、引き続き諸懸案への取り組みに全力を挙げるしかない。

 献金疑惑が自民党議員に波及しているのに、党執行部が静観を決め込んでいるのも、政治不信を助長しかねない。
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小沢氏、改めて説明へ 進退問題への言及が焦点
産経新聞2009.3.10 10:28
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090310/stt0903101028004-n1.htm

民主党の小沢一郎代表は10日午前の党役員会・常任幹事会で、公設秘書が逮捕された政治資金規正法違反事件について、自身の見解や今後の対応などを改めて説明する。報道各社の世論調査で、代表の自発的辞任を求める声が大勢になっていることを踏まえ、進退問題に関し、どう言及するかが焦点だ。

 小沢氏は秘書の逮捕後に行われた4日の記者会見で、東京地検特捜部の捜査を批判するとともに、献金の違法性を全面否定した。10日の役員会などでも同様の説明を行い、理解を求めるとみられる。

 ただ、党内には、小沢氏が謝罪の意を表明しなかったことに不満が出ているほか、次期衆院選への影響を懸念し、小沢氏が自ら辞任を表明することに期待する向きもある。

 常任幹事会メンバーの岡田克也、前原誠司両副代表は、東南アジア歴訪中のため、欠席する。


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小沢氏「迷惑をかけた」と陳謝 民主「現体制」での結束確認
産経新聞2009.3.10 12:12
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090310/stt0903101212010-n1.htm

民主党の小沢一郎代表は10日午前、党本部で開かれた常任幹事会に出席し、自身の公設秘書が逮捕された政治資金規正法違反事件について、「党員のみなさん、わが党に好意をもって政権交代実現に期待しているみなさんに迷惑をかけた」と陳謝し、引き続き代表として党運営にあたる考えを表明した。常任幹事会では反対や批判は出ず、小沢氏のもとで結束していく方針が確認された。
 小沢氏はこれに先立つ党役員会で、「ご迷惑をおかけしている」としたうえで、「政治資金規正法通りきちんとやっている」と、違法性がないとの認識を改めて強調した。

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「私の不徳、衆院選控え申し訳ない」と小沢氏 党内から進退問う声なし
産経新聞2009.3.10 13:26
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090310/stt0903101331012-n1.htm

民主党の小沢一郎代表は10日午前、党本部で開かれた役員会と常任幹事会に出席し、自身の公設秘書が逮捕された政治資金規正法違反事件を陳謝するとともに、秘書と自らの潔白を強調。そのうえで、引き続き代表として党運営に当たる考えを表明した。出席者から進退を問う声は出なかった。同党は今後、小沢氏のもとで結束していく方針。ただ、東京地検特捜部の捜査の進展次第で、代表交代論が再び噴出する可能性もある。

 小沢氏は冒頭のあいさつで、「仲間のみなさん、国民のみなさん、期待をしていただいているみなさんに、多大なご迷惑をおかけした。私の不徳の致すところであり、衆院選を控え、大変申し訳ない」と陳謝した。

 そのうえで、「議会制民主主義の実現には、政権交代しかない。国民サイドに立って行動し、政治生命をかけて、大目標に向かって私の主張を続けさせていただきたい」と、代表を続ける意向を示した。

 事件に関しては、「事務的な処理の問題だ。政治資金規正法通りきちんとやっており、一点の曇りもない」と、違法性がないとの認識を改めて強調した。

 常任幹事会では、鳩山由紀夫幹事長が「党の結束が一番大事だ。小沢氏の思いが国民に伝わるように頑張っていきたい」と表明した。

 もっとも、FNN(フジニュースネットワーク)が7、8両日に行った合同世論調査で、小沢氏が辞任すべきだとの回答は47・4%となったほか、民主党のイメージが悪化したとの受け止めは50・9%に上り、政党支持率も自民党に逆転された。報道各社の世論調査でも、民主党の支持率は下落しており、党内で「小沢氏が代表のままでは衆院選を戦えない」との声がくすぶっている。

 このため、秘書が起訴されるなど、東京地検の捜査が新たな展開を迎えた段階で、小沢氏の交代論に火がつく可能性がある。二階俊博経産相側に対する西松建設の献金疑惑で、二階氏が閣僚を辞任する事態になり、辞任論が小沢氏に飛び火することも想定される。


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小沢氏「最終的な結論出るまで進退考えない」
産経新聞2009.3.10 15:39
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090310/stt0903101543013-n1.htm

民主党の小沢一郎代表は10日、党本部で記者会見し、公設秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕された事件に伴う自らの進退について、「(事件の)最終的な結論が出るまで、(辞任は)まったく考えていない」と述べ、辞任する考えがないことを改めて強調した。

 また、「政治収支報告書の事務処理の問題以外、何も明らかにされていない。ほかのことも含めて(新事実が)明らかになれば、その時点で、国民の判断をいただく」と説明した。

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西松との関係を否定 献金問題で増田前知事
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090310_1
(現在は、リンク切れ)
【東京支社】西松建設の巨額献金事件で、前知事の増田寛也氏は9日、岩手日報社の取材に答え、知事在職時代について「関係者との面識や付き合いは全くない。(公共工事をめぐり)働きかけを受けたこともない」と全面否定した。
 同社は1996年度から2005年度にかけて県内で14件の国・県発注工事を受注している。当時現職知事だった増田氏は「会社関係者や、(公設第一秘書が逮捕された民主党代表の)小沢一郎氏の関係者から、働きかけや照会を受けたことはない」と説明。
 「個別の工事で知事のもとになんか来ないだろうし、県は(発注業者の選定過程で)入札を実施しているから(便宜を図るのは)無理だ」と述べた。
 逮捕された小沢氏の公設第一秘書、大久保隆規容疑者とは「秘書になってから、会ったり、話をしたことはないんじゃないか」とし、小沢氏との関係は「知事の2期目からぎくしゃくして、話す機会はほとんどなかった。そもそも、行政運営には関与しない-というスタンスだったと思う」と語った。(2009/03/10)

2009年3月9日月曜日

【西松事件】 漆間発言の影響

  ブログの引越しのために3月9日の新聞記事一年以上経てから、再度読み直しているのだが、よくこれで堂々と「マスコミでございます」と言えるものである。ふと思ったのは記事を書いたら、記者は二度と自分で書いた記事を読み返すことはないのであろうか?

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【西松献金】二階氏、直接献金は否定
産経新聞2009.3.9 16:43
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090309/stt0903091649008-n1.htm

 二階俊博経済産業相は9日の参院予算委員会で、西松建設の違法献金事件に関連して、西松側からの直接の政治献金の有無について「西松に限らず政治資金を受け取ったときは政治資金規正法にのっとって報告しており、西松からそうした資金を受け取った記憶はない」と否定した。共産党の山下芳生参院議員の質問に答えた。

 また、麻生太郎首相(自民党総裁)は、同事件をめぐり複数の自民党議員に不正献金授受の疑惑があるとの一部報道について、「報道の情報源は不正確なので、それに基づき調査はしない。関係者が報道に生々しくしゃべろうと、苦々しくしゃべろうと、ただちに嫌疑があるとは考えない」と述べ、自民党として調査は行わない考えを示した

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小沢、小泉両氏は金総書記と同じ独裁-山崎氏
産経新聞2009.3.9 21:36
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090309/stt0903092140013-n1.htm

自民党の山崎拓元副総裁は9日夜、都内の集会であいさつし、民主党の小沢一郎代表と自民党の小泉純一郎元首相の名を北朝鮮の金正日総書記と並べて挙げ「1942年生まれの同年代で、独裁的体質を持っている」と批判した。

 同時に小沢、小泉両氏に関し「いずれも政界から一歩後退している」と指摘した。
 また、自民党の森喜朗元首相は沖縄県沖縄市で、小沢氏の自民党離党後の政治経歴に触れながら「言うこととやっていることがまったく違う」と疑問を呈した。

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【小沢氏秘書逮捕】小沢氏周辺にも「自発的辞任」の声
産経新聞2009.3.9 22:10
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090309/stt0903092216015-n1.htm

民主党の小沢一郎代表の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、小沢氏に近い議員の間から小沢氏の自発的な代表辞任を求める空気が出始めた。だが、潔白を主張する小沢氏は10日の役員会で、これまで通り代表職にとどまる意向を示す方針で、党内の反応が注目される。

 同党の渡辺周衆院議員は9日、民放のテレビ番組に出演し、「小沢氏の言葉を信用するが、新たな局面を迎えれば、小沢氏自らが決断するだろう」と述べ、東京地検特捜部の捜査の進展次第で、小沢氏が辞任表明するとの見方を示した。鳩山由紀夫幹事長も8日に同様の考えを示したが、9日には「挙党態勢でこの難局を切り抜けていくことが一番望ましい」と述べた。

 小沢氏は9日、都内のホテルで過ごし、記者団の前には現れなかった。同氏周辺は「小沢さんは今でも代表を退く意思はない。二大政党制が定着した今、辞めれば次の展望がない」と小沢氏の心情を代弁する。

実際、小沢氏は前日の8日夜、国民新党の亀井静香代表代行に電話し、メディアの世論調査で「辞任すべきだ」とか、「説明責任を果たしていない」との意見が多いことについて怒りをぶちまけた、という。

 こうしたいきさつについて亀井氏は、9日夜のBS報道番組で「小沢氏は自分の説明を国民が理解してくれていないという気持ちが非常に強い。小沢氏は潔白で、自分の秘書も逮捕されるようなことをしていないという確信を持っているようだ」と述べた。

 ただ、「小沢氏は今の時点で政治責任をとなければならないという気持ちはないと思う」と強調する一方で、「今後、潔白であることとは別に、政治家として全体的な判断をする可能性は私には分からない」とも述べた。

 民主党内にも各種世論調査で小沢氏の辞任を求める声が多いことから、「挽回(ばんかい)は難しい。永田町の論理で代表を続ければ、次期衆院選でしっぺ返しを食らう」(幹部)との懸念が出ている。

 ここ数日、小沢氏に近い議員にも辞任論がくすぶり始めており、「進退問題で党内がゴタゴタすれば嫌気がさして辞める可能性がある」(中堅)、「党に迷惑をかけたという形でやめるのが一番いい」(幹部)との声も出始めている。この場合、「選対本部長について選挙を仕切ればいい」との意見もある。

 代表辞任論の動きが出ている背景には、東京地検が近く、二階俊博経済産業相側に強制捜査を行う観測が出ている事情もある。強制捜査で二階氏が閣僚を辞任すれば、小沢氏への世論の風当たりがさらに強まることが予想されるためだ。

 民主党執行部がどこまで「小沢擁護」論を堅持できるかは流動的だ。
【】

2009年3月8日日曜日

【西松事件】 報道の異様さを感じる事件

  3月8日の産経新聞であるが、構想日本・志田玲子氏が「小沢ショックに見る政治とカネ」と言う記事を6日に書いて記事としてWEB上に流れている事から、大久保秘書が逮捕をされて、1日2日おいて書かれたものであろうか。

驚くのは、彼女の記事の中に「捜査関係者」を情報源にした報道が続々!」と書かれていて、いかに普通の状態で新聞・テレビの報道のされ方が異様であったのかを知る事ができる。


2009年03月06日
http://focus.allabout.co.jp/contents/focus_closeup_c/jijiabc/CU20090306M/index/?from=dailynews.yahoo.co.jp

「捜査関係者」を情報源にした報道が続々!

小沢氏の秘書逮捕で、続報が続々! 3月3日、西松建設から違法献金を受け取ったとして、民主党の小沢代表の公設第一秘書(大久規容疑者)らが逮捕された事件。その額は、十数年間で総額約3億円に上るとされていますが、ここで焦点になるのは、秘書や小沢氏が、同社OBを代表とした政治団体からの献金を、同社からのものだと知っていたかどうか、です。これについて、秘書も小沢氏も否定。しかし、連日のニュースでは、「秘書が西松建設に対し、小沢代表側の3つの政治団体への献金を分散するよう、献金額を個別に指示していた」など、秘書が知っていたかのような報道が目白押し! 各紙の報道では、情報源として「捜査関係者」なる人物が大活躍……。

西松建設絡みのカネは、与野党に浸透!

一方、自民党も、西松建設絡みの「政治とカネ」については、「対岸の火事」とはいかないようです。二階氏を会長とする二階派は、同社に購入してもらったパーティー券代計838万円の返金方針を決定。山口首相補佐官や加納国土交通副大臣も、献金・パーティー券代の返却を表明。また、献金300万円とパーティー券代100万円を受け取った森元首相は、弁護士を通じて「返還の方策を検討する。道義的観点からであり、違法性を認める趣旨ではない」。西松建設と言えば、昨年6月以降、東京地方検察庁の強制捜査を受け、今年1月には、海外から裏金を持ち込んだ外国為替法違反の容疑で、前社長らが逮捕されています。道義的観点を言うなら、なぜもっと早い段階で返金しなかった? 「政治とカネ」この古くて新しい問題からは、与野党議員とも自由ではいられないようです。

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小沢氏監督責任も 起訴なら失職の可能性 政治資金規正法
産経新聞2009.3.8 01:39
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090308/crm0903080140001-n1.htm

小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部が小沢氏本人にも規正法違反の疑いがあるとみていることが7日、捜査関係者の話で分かった。規正法は政治団体の代表者に、会計責任者への監督責任について罰則を設けており、これに違反する疑いがある。特捜部は政治資金収支報告書の虚偽記載への関与の有無の解明と並行して、監督責任についても調べを進めるもようで、監督ミスが認定され、起訴された場合には、小沢氏は最終的に衆院議員を失職する可能性も出てくる。小沢氏への参考人聴取でも、監督責任について確認するとみられる。

 地検によると、西松建設がダミーにしていた政治団体は、「新政治問題研究会」(新政研)と「未来産業研究会」(未来研)。陸山会の会計責任者で小沢氏の公設秘書、大久保隆規容疑者(47)は平成16年3月~19年3月、西松から受領した2100万円を新政研と未来研からの献金とする虚偽の記載を、政治資金収支報告書にするなどした疑いが持たれている。

 規正法は、政治団体の代表者が、会計責任者の選任と監督について相当の注意を怠っていた場合、50万円以下の罰金を科すと規定している。起訴されて規正法違反罪で罰金刑になると、裁判官の判断によっては公民権が停止され、被選挙権を失う。国会法の109条は、現職の衆院議員が衆院議員選挙の被選挙権を失った場合、自動的に失職すると規定している。

特捜部は15年、元参院議長で埼玉県知事だった故土屋義彦氏の資金管理団体の虚偽記載事件で、会計責任者だった土屋氏の長女が起訴された際に、土屋氏から事情聴取。土屋氏は監督責任を認め、特捜部は土屋氏の監督ミスを認定した。ただ、土屋氏は知事を辞職したことなどから、特捜部は「反省の情がみられる」として起訴猶予処分とした。

 捜査関係者によると、特捜部では、大久保容疑者が西松側に直接、献金を要求した上、金額などを具体的に指示していた悪質性を重視。12年から長期間にわたり、大久保容疑者に会計責任者を任せていた小沢氏の監督責任は、決して軽くはないとみているもよう

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「内閣のど真ん中と検察との間でやりとりがあった」政府高官発言で、民主・鳩山幹事長
産経新聞2009.3.8 13:21
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090308/plc0903081322003-n1.htm

西松建設の違法献金事件に関する捜査は、自民党議員に拡大しないとの見通しを示した政府高官が、漆間巌官房副長官であることを河村建夫官房長官が8日午前のフジテレビ系列の「新報道2001」で明らかにしたことについて、民主党の鳩山由紀夫幹事長は同日、「やっぱり内閣のど真ん中と検察との間で会話のやりとりがあったとしか思えない。大いに問題がある。何らかのやりとりがあったと思われても仕方がない」と厳しく批判した。都内で記者団に語った。

 その上で鳩山氏は「あす(9日)予算委員会があるから、そこで委員から、この問題はお尋ねしたい。必要に応じて、官房副長官にお出ましを願うということはあり得る」として、参院予算委員会に参考人招致して、漆間氏に対し、事実関係を追及する考えを示した。

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「未来研」小沢氏側への献金専用か 西松建設
産経新聞2009.3.8 16:24
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090308/crm0903081628013-n1.htm

西松建設が小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」に企業献金を行う際、ダミーに使っていた2つの政治団体のうち「未来産業研究会」(未来研)は、主に小沢氏側に献金するためのものだったとみられることが7日、捜査関係者の話で分かった。東京地検特捜部は、事実上の小沢氏側“専用”だった疑いがあるとみているもようだ。

 西松は与野党の政治家側に対し、平成7年に設立したダミーの政治団体「新政治問題研究会」をトンネルにして企業献金をしていたが、小沢氏側とは当初から、年間2500万円前後を献金するように取り決めていた。
 政治資金収支報告書によると、未来研は16~18年、陸山会と小沢氏が代表を務める「民主党岩手県第4区総支部」、小沢氏が最高顧問についている「民主党岩手県総支部連合会」の3つの政治団体に、総額900万円を献金しているが、ほかに献金先はなかった。

 12年1月以降、政治資金規正法の規定で資金管理団体への企業献金が禁止されることになっていたことから、西松は年2500万円前後の献金を維持するため、11年に未来研を総務省に届け出たとみられる。

 小沢氏側は、献金を受ける際、西松に請求書を出しており、特捜部はこれを押収。規正法違反容疑で逮捕された陸山会の会計責任者で小沢氏の公設秘書、大久保隆規容疑者(47)が、西松による献金と認識していた事実を裏付ける証拠とみているとみられる。

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61%が小沢氏に「代表辞任」求める 共同通信世論調査
産経新聞2009.3.8 17:04
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090308/stt0903081707003-n1.htm

各社の世論調査で民主党の小沢一郎代表に「代表辞任」を求める声が強まっている。共同通信社の全国電話世論調査(7、8日実施)では、西松建設の献金事件で「小沢氏が党代表を辞めた方がよい」との回答が61.1%と6割を占め、続投支持の28.9%を大きく上回った。毎日新聞の調査(6、7日実施)でも「辞めるべきだ」は57%で、民主党は強い逆風にさらされることになった。

 共同通信の調査では、公設秘書逮捕をめぐる小沢氏の説明を「納得できなかった」との答えが78.4%と約8割に達し、「納得できた」は12.4%で、小沢氏の説明への不満が広がっていることが分かった。

 フジテレビの「新報道2001」の世論調査(5日実施)でも、小沢氏の検察批判を「支持しない」との回答が72.6%で、「支持」は16.2%だった。

 この調査では、民主党の支持率も先週より9ポイント減の26.0%で、逆に麻生内閣の支持率は、同4.4ポイント増の18.2%と上向いた。

 共同通信の調査では、望ましい政権の枠組みは「民主党中心」が2月17、18両日の前回調査より9.9ポイント下がって43.5%となり、「自民党中心」の31.6%との差が縮まった。麻生太郎首相と小沢氏の「どちらが首相にふさわしいか」では、小沢氏は同12.8ポイント減の33.6%で、麻生氏が同5.2ポイント増の25.6%だった。政党支持率は自民28.6%、民主27.4%と逆転した。麻生内閣の支持率は16.0%と同2.6ポイント微増し、不支持率は70.8%だった。

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西松献金で「解散時期は左右されず」自民・菅氏
産経新聞2009.3.8 17:42
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090308/plc0903081744005-n1.htm

自民党の菅義偉選対副委員長は8日、千葉県船橋市内のホテルで講演し、衆院解散について「麻生太郎首相が5月から9月の間に景況感を見て判断する。西松事件で左右されることはない」と述べ、西松建設に絡む違法献金事件が解散時期の判断に影響を与えることはないと強調した。追加経済対策を盛り込んだ平成21年度補正予算案の提出については「厳しい(経済)状況の中で大型補正予算案は当然提出されるだろう」の見通しを示した。

 一方、漆間巌官房副長官が同事件の捜査が同党に及ばないとの見通しを示したことについては、「(警察庁出身との)色眼鏡で見られる。不用意な発言は絶対にすべきじゃない」と、講演後、記者団に語った。

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【新報道2001】西松事件で激論(8日放送)
産経新聞2009.3.8 19:33
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090308/stt0903081934004-n1.htm

8日放送されたフジテレビ系の「新報道2001」では、自民党の山本一太参院議員、民主党の細野豪志衆院議員、無所属の江田憲司衆院議員らが、西松建設の違法献金事件や政治とカネの問題について議論した。

 --世論調査で多くの人が小沢一郎代表の説明に納得していないが

 細野氏「国策捜査だとは思いたくないが、漆間巌官房副長官の発言を含め政府側にどうなんだということは突き付けていかなければならない」

 --漆間発言は

 山本氏「極めて不適切な発言で、非常に怒りを感じる。いらぬ誤解を与える発言を、ああいう立場の方がすべきではない」

 --事件の構図は

 山本氏「こういうことがあったのならば当然厳しく罰せられるべきだが、背景には政治に金がかかるという問題がある。企業側には政治家へ献金して口利きしてもらおう、政治家側も見返りを提供して資金を集めようという感覚があるが、この政治文化を変えないといけない」

 江田氏「自民も民主も『資金の流れを透明化すればいい』というが、きれい事では済まない。政党助成金で税金が政党に入っているのに、政党支部をたくさん作って企業献金を受け入れるのは、明らかに国民への裏切りだ」

 --民主党は平成15年のマニフェストで公共事業受注企業からの政治献金全面禁止を訴えているが

 細野氏「批判は承るが、チェックする仕組みがないのも事実だ。仕組みそのものを作るところまでなかなか行けていない」

「新報道2001」世論調査結果は以下の通り。

【問】麻生内閣を支持するか
支持する18.2%
支持しない75.8%
その他、分からない6.0%

【問】首相にふさわしいのはどちらか
麻生太郎首相23.6%
小沢一郎民主党代表32.4%
その他、分からない44.0%

【問】次の総選挙後にどういう政権を期待するか
自民党中心の政権15.0%
民主党中心の政権24.8%
自民、民主両党による大連立政権37.2%
自民、民主以外の新たな第三勢力による政権17.0%
その他、分からない6.0%

【問】秘書逮捕で検察を批判した小沢氏の発言を支持するか
支持する16.2%
支持しない72.6%
その他、分からない11.2%

【問】次の衆院選はどの政党に投票するか
自民党21.0%
民主党26.0%
公明党2.2%
共産党2.4%
社民党1.4%
国民新党0.2%
新党日本0.0%
無所属・他1.4%
棄権1.2%
未定44.2%

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「政府高官」は漆間副長官 河村長官が明言 民主党は国会で追及へ
産経新聞2009.3.8 19:55
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090308/stt0903081043000-n1.htm

 西松建設の違法献金事件をめぐり、政府高官が「自民党には波及しない」との見通しを示したとされる問題で、河村建夫官房長官は8日の報道番組で、政府高官を元警察庁長官の漆間巌官房副長官であることを明らかにした。河村氏は「発言は極めて不適切だ」として漆間氏を厳重に注意したことを明かし、「漆間氏はあくまで刑事手続きの一般論を説明しただけだ。(検察との情報交換は)あり得ない」と強調した。

 民主党は「内閣と検察が通じ合っていたとしか思えない。逆指揮権ではないか」(鳩山由紀夫民主党幹事長)と反発しており、9日の参院予算委員会で麻生太郎首相らを追及する。漆間氏を参考人として国会に呼ぶことも検討している。

 問題の端緒は、漆間氏が5日夕に首相官邸で行った定例の記者懇談会。西松建設の違法献金問題が話題になり、漆間氏がオフレコを前提に話した内容を一部メディアが「政府高官が『捜査が自民党に及ぶことは絶対にない。額が違う』と述べた」と報じた。

 漆間氏は6日夜、記者団に「私は『自民党に捜査が及ぶ』等の表現は使っていないし、『絶対にない』とは一度も言っていない。『捜査がどこに及ぶかは検察が決めることだ』と断ったはずだ。私は検察の情報が入る立場ではなく、一般論として違法性の認識の立件がいかに難しいかを説明しただけだ」と述べた。

 河村氏は8日のフジテレビの新報道2001で、すでに漆間氏から事情を聴いたことを明らかにし、「漆間氏は『一般論を述べただけで特定の議員への影響や捜査の帰趨(きすう)に関する説明をした覚えはない』と話している」と説明。その上で「警察庁長官の経歴を持つ人なので極めて不適切な発言だ。厳重に注意し、もう少しはっきり説明した方がよいと言った」と述べ、漆間氏に何らかの形で経緯を説明させる考えを明らかにした。漆間氏の処分は「一切ない」と否定した。

また、河村氏はNHKの番組で、政府と検察が情報交換した可能性について「法治国家の根幹を崩しかねない話であり、まったくあり得ない。言われなきことを言われ理解に苦しむ」と強く反発。「検察は厳正中立、不偏不党で、法と証拠に基づき捜査していると確信している。それを私の方がとやかく言う立場にない」と述べた。

 首相は7日夜、この問題について河村氏と対応を協議。事態収拾に向け、「漆間氏にも説明責任を果たしてもらう必要がある」と判断したという。

 漆間氏は8日、取材に対し、9日の定例記者会見で自らの発言の真意を説明する考えを示すとともに、「国会に呼ばれれば誠実に対応する」と述べた。 

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自民、民主「共倒れ」 ほくそ笑む共産
産経新聞2009.3.8 21:12
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090308/stt0903082113005-n1.htm

民主党が小沢一郎代表をめぐる違法献金疑惑で揺れる中、共産党が好機到来とばかりにほくそ笑んでいる。同党は「蟹工船」ブームで若者を中心に関心を集めるなど元気だが、「自民党もダメ、民主党もダメ」という世論が高まれば、次期衆院選で“確かな第三極”の姿が明確になり、行き場のない無党派層の支持が集められるのではないか計算する。果たして…。

 近年の国政選挙で民主党は「反自民・公明票」の受け皿として野党では独り勝ちし、次期衆院選で政権交代を果たすのは確実ともみられていた。だが、小沢氏側の疑惑で民主党がつまずきつつあり、共産党は「麻生政権迷走で民主党に緊急避難的に流れていた支持層の一部をわが党が取り込める」(共産党関係者)とにんまりだ。

 同党が5日の幹部会で「金権腐敗政治」の一掃に向けた「共産党の役割」をアピールする方針を確認したのも、その戦略上にある。

 共産党は平成19年10月以降、新規入党者数は16カ月連続で増加(対前月比)し合計1万6000人に上るなど人気を呼んでいる。格差や「派遣切り」問題に取り組んできたほか、志位和夫委員長の「メディア露出作戦」も奏功している。その中で、目の上のタンコブの民主党を襲った「小沢ショック」は共産党にとって渡りに船というわけだ。

 小沢氏が秘書の逮捕翌日の4日に行った「釈明記者会見」について、他の野党が「一応の説明責任は果たした」(福島瑞穂社民党党首)、「事実関係がはっきりしてくるまで何とも言えない」(亀井久興国民新党幹事長)などと批判を避けた。だが、志位氏は「国民に対する説明責任を果たしたとは、とうてい言えない」と糾弾してみせた。

小沢氏側の事件について、共産党の市田忠義書記局長は5日の記者会見で「自民も民主も基本路線や金権腐敗政治という点で同質同類ということが、非常に分かりやすい形で出た」と述べ、従来の主張である「企業・団体献金の禁止」を訴える考えを強調した。

 ただ、党内に「浮かれたことは慎むべきだ」(共産党関係者)との空気が強く、市田氏は、自民、民主への批判や不満の受け皿になる可能性については「共産党の立場や考え、路線、政策を丸ごと知ってもらう努力なしには、自動的に共産党に来るということはない」と慎重だった。

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「代表交代論」に勢い 逆風強まり民主結束ほころぶ
産経新聞2009.3.8 21:15
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090308/stt0903082117006-n1.htm

民主党の小沢一郎代表の公設秘書逮捕に対し、世論から「代表辞任」を求める声が強まり、民主党の「続投への結束」がほころび始めた。鳩山由紀夫幹事長が8日、小沢氏の責任論について「新たな事実が判明すれば、新たな展開になる」と述べ、進退問題に発展する可能性に言及し始めた。小沢氏が代表にとどまれば世論が民主党から離反しかねないとの声は次第に大きくなりつつある。

 鳩山幹事長は8日のNHK番組で、進退問題に発展する可能性を示唆したが、その中で「進退問題が浮上しないと言い切るつもりはない」と述べ、世論の反発を強く意識してみせた。

 同党幹部は、この発言の真意を「『新たな事実』とは収賄容疑などだが、そうした事実はないという前提だ」と解説して、辞任論の拡大回避に躍起だが、代表辞任を完全否定できなくなったのは明らかだ。

 鳩山氏ら党執行部や小沢支持派には、小沢氏の陣頭指揮で、国会運営や次期衆院選の準備を進め、麻生政権を追い込んできただけに、代表交代に消極的な空気が強い。小沢氏自身も代表を辞任する考えがないことを強調している。

だが、反小沢勢力を中心に「潔く辞任すべきだ」(幹部)との声があるのも事実だ。事件で民主党への追い風が弱まり、「小沢代表のままでは次期衆院選で単独過半数がとれなくなる」(同)との危機感も強まっている。実際、仙谷由人元政調会長は7日、「これからは本物の政権を担う政党をつくらなければならない」と、代表交代の可能性に言及しており、箝口(かんこう)令の下で表面化してこなかった「辞任やむなし」の声が抑えきれなくなっている。

 小沢氏は献金は適切に処理したと強調しており、今後の捜査で、発言と食い違う事実が明らかになれば、反小沢勢力の勢いが増すのは確実だ。中堅議員は「代表を辞めてくれという感じが党内で広がれば、小沢氏は察するだろう」と、小沢氏が党内情勢を見極めて自身の進退を最終判断するとの見方を示している。


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小池氏「小沢批判」テコに存在感 政権批判は封印
産経新聞2009.3.8 22:59
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090308/stt0903082302007-n1.htm

自民党の小池百合子元防衛相が「ポスト麻生」をにらみ、動き出した。昨年9月の総裁選で応援を受けた議員の地元を中心に全国遊説を始めており、8日には千葉県船橋市で小泉チルドレンを応援した。スタイルは「鋭い小沢批判」。政権批判は封印し、かつて行動をともにした民主党の小沢一郎代表を舌鋒(ぜっぽう)鋭く切り捨てることをテコに、民主党との最終決戦に臨む「自民党の顔」としての存在感を示したいようだ。

 小池氏は船橋市内のホテルで、まだ使いこなす議員が少ないプレゼンテーション用ソフトを使い、ライフワークの環境政策を中心に1時間近く講演した。「政策を中心に話す」といいつつも、旧新進党などで行動をともにし、その後決別した小沢氏への批判は痛烈だった。

 「生活が第一といいながら、『政局が第一』という人。政権交代さえすればすべてうまくいくと言った方の秘書が逮捕され、この混乱が国民生活に不安を与えるのではないか。この十何年を振り返ると、小沢さんの、小沢さんによる、小沢さんのための政治がずっと続いてきた」

自民党内では、「麻生太郎首相では選挙を戦えない」という声が広がり、首相に批判的な中堅・若手が次々とグループを結成している。昨年9月の総裁選で小池氏を推した中川秀直、武部勤両元幹事長が後見役と目されるが、小池氏は最近、あえて両氏と距離を置き「麻生批判」は封印している。

 講演でも「100年に一度の危機で政治混乱のヒマはなく、首相にはしっかりリーダーシップをふるってもらいたい。私どもにも麻生政権を実現させたPL法的な製造物責任がある」と支持を明確にした。

 ただ、内閣支持率の低迷で小池氏を「ポスト麻生」にとの声は出始めている。

 「われわれは麻生首相をリリーフ投手として選んだ。次の選挙では新しいリーダーを立てて新しい日本を目指す。『他にいない』というが、小池さんとかがいるじゃないか」

 武部氏は講演後のパーティーでこう語り、目の前の小池氏を持ち上げた。総裁選で麻生氏を推した町村派中堅でさえ「10%台の支持率で選挙するより、少しでも高い支持率で戦いたい。小池さんは嫌いだが、生き残るためには眼をつぶる」と言うほどだ。

小池氏はこうした声に無関心を装うが、2月のテレビ番組では「一度は総裁選に出て首相を目指した私ですから…。どういう形がいいかはこれからの政治環境次第ですね」と意欲をにじませた。最近は足場固めをするかのように、愛知、山梨両県、北海道などを訪れ、総裁選で小池氏を支持した議員を応援した。

 しかし、経済危機の中で首相を批判することが、自民党員である自らへの批判に跳ね返ってくることは十分に自覚している。党内には小池氏の政治遍歴に対する不信感もある。

 「今はコップの中の争いをしている場合じゃないでしょ。敵は外にいるのよ」

 小池氏は4日夜、都内の居酒屋で親しい議員にこう語りかけた。民主党と戦う姿勢をみせながら、機が熟すのを待っているようだ。(加納宏幸)

2009年3月7日土曜日

【西松事件】 マスコミ各社の異様な報道合戦

大久保秘書が逮捕をされてからm5日目となる 3月7日

漆間官房副長官の発言が政府高官から「漆間」とはっきり表に出てきた。つまり、オフレコ発言でなら「本当のことを話す」が記者クラブに加盟をしていた新聞・テレビ各社は、正直に記事を書いてこなかったという事であり、また報道をしてこなかったという事を認めたという事である。

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【民主党解剖】第1部 政権のかたち(5)「小沢後」をひそかに模索
産経新聞2009.3.7 01:03
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090307/stt0903070104001-n1.htm

黙っていては「外堀」を埋められかねない焦りか。前日は都内の個人事務所や自宅に蟄居(ちつきよ)していた民主党代表、小沢一郎は6日、表舞台に出た。

 「私が被疑者のような報道がされているが、そういう事実はまったくない」

 2日ぶりの党本部で自らマイクの前に立った小沢は、辞任する考えはないことを改めて強調した。

 秘書が政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕されて3日。取材嫌いで知られる小沢が進んで記者団に語るのは異例だった。波状的に流される疑惑報道に小沢が反撃に出た。

 側近は「報道には小沢だけでなく、弁護士出身の議員などを集めてチームを結成し、打ち返していくことを考えている」と語る。

 しかし執行部からは「小沢を援護射撃しようにも情報がないから動けない」という、いらだちの声も出始めている。

 「物言えど、くちびる寒しだからな」。小沢に近い国対委員長、山岡賢次は8日のテレビ朝日の報道番組出演をキャンセルした。代表代行の菅直人も同日予定の番組出演を断った。執行部は、視界不良の捜査の行方に地団駄(じだんだ)を踏むだけだ。

 「絶対に勝たなきゃいけない」。小沢は6日、名古屋市長選挙(4月26日投開票)に転戦する衆院議員、河村たかしを党本部に迎え、こうハッパをかけた。

 自民党との事実上の一騎打ちとなる「民主党王国」愛知での県都決戦。「検察と断固戦う」と意気込む小沢にとって、その勝敗は重い意味をもつ。とりこぼせば、自らをとりまく疑惑の後遺症を認めざるを得ないうえ、次期衆院選の「党の顔」は小沢しかないという神話が崩壊するからだ。

 小沢は「心配かけるているな」と河村の肩をポンとたたいて送り出した。

 小沢はこの日、自民党旧田中派時代からの盟友である副代表、石井一に党本部で約30分話し込んだ。

 「党内でいろいろ言う奴(やつ)はいるが、全部じゃない。気にすることはない」。石井の助言に、小沢は「わかった」とうなずいた。「小沢降ろし」のときをじっと待つ党内の非小沢勢力と、西松建設事件での小沢サイドの立件に意欲を示す検察-。自らの思いを直接、間接問わず発信し始めた小沢の動きは、眼前で対峙(たいじ)する二つの敵に向け「小沢は動じない」と宣言する“情報戦”とも受けとれる。

 しかし、小沢の思いとは裏腹に党内では、「小沢で結束」の空気にも微妙な変化が生じつつある。

小沢擁護派の中堅幹部は6日、「週末に議員たちのマグマがたまり、週が明けると風向きが変わるかもしれない」と語った。週末に地元に戻る議員たちが「小沢ショック」の影響を目の当たりにすれば、「静」を決め込むわけにはいかない。マスコミ各社も、小沢の秘書の逮捕後初めての世論調査を予定している。

 菅サイドもひそかに、「小沢辞任」を想定した新体制の検討に入った。

 「代表空席のまま、現執行部の菅と幹事長の鳩山由紀夫に、党内で最も待望論が強い副代表、岡田克也を加えた『新トロイカ体制』をつくる案を練っている。衆院選前に代表選をやっている時間的余裕はないという大義がある」

 菅が主宰するグループの中堅議員はこう打ち明ける。岡田を抱き込むことで、現執行部総退陣を回避したい菅の思惑も透けてみえてくる。

 党内では、24日に予想される小沢の秘書の起訴を待たずに「小沢降ろし」が“解禁”され、同党の年中行事だった内紛が勃発(ぼつぱつ)する様相を呈している。

 「冷静に捜査の進展をみつめていくしかない。あれこれいうには現段階では情報が少なすぎる」

 民主党最大の支持組織、日本労働組合総連合会(連合)会長、高木剛は5日の記者会見で言葉を選んでこう語った。だが、次期衆院選が迫る中、連合にとって「小沢なき民主党」はない。組織は揺れ動いている。

 小沢は平成18年4月に党代表就任後、前代表の前原誠司の時代に冷え込んだ連合との関係修復に真っ先に取り組んだ。19年からは小沢と高木と“二人三脚”の全国行脚を始め、地元の連合幹部との宴席も重ねた。小沢は二次会のカラオケで八代亜紀の「舟唄」を披露したこともあった。連合前会長の笹森清に「連合を本気にさせた初めての民主党のトップだ」と言わしめた。それだけに「小沢が辞任したら心理的影響は大きい」(連合山形)という。
「1人でも票をいただける組織を大事にするのは政治家として当然のことだ」

 小沢は連合との関係強化の意義をこう語ってきた。その戦略は19年の参院選での圧勝をもたらし、イメージ重視の空中戦に頼っていた党に組織的に地上戦も対応する土台をつくった。

 小沢は独自作成の「参院選の結果調べ」というデータブックを常に携え、選挙戦略を構築してきた。「小沢の選挙手法が党を政権交代の手前まで成長させたが、小沢が辞めれば党内の体制は緩み、すべてがまぼろしになる」。側近議員はそんな危(き)惧(ぐ)を抱く。

 岡田と前原は8~13日まで、党内の喧噪(けんそう)を避けるかのように東南アジア諸国を訪問する。小沢と距離を置く中堅は「動きが出れば岡田、前原に緊急帰国してもらう。当然、彼らもわかっている」と語る。

 「小沢ありき」だった民主党の政権構想は崩れようとしている。(敬称略)=第一部おわり
 この連載は、高木桂一、松本浩史、小島優、斉藤太郎、原川貴郎、佐々木美恵、坂井広志が担当しました。


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【小沢氏秘書逮捕】「東北は何と言っても小沢さん」献金は受注狙いか
産経新聞2009.3.7 01:25
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090307/crm0903070129003-n1.htm

 小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、献金の目的が、東北地方の公共工事受注を期待したものだった疑いが強まっている。小沢氏側は東北での影響力を否定しているが、業界関係者によると、ゼネコン側は“小沢事務所詣で”を繰り返していたという。「工事をお願いした」「献金しないと受注の邪魔をされる」。西松建設などゼネコン関係者が、畏怖(いふ)の念を込めてこう口々に語る“豪腕・小沢”側の真の実力とは、どのようなものだっただろうか。

 ▼地元の「裏選対」
 「東北は何と言っても小沢さん。献金は、小沢さんの公共工事での影響力を期待したから」

 西松の元幹部は、西松がダミーの政治団体を使って多額の違法献金を続けてきた理由をそう話す。

 政界関係者によると、小沢氏は、建設業界に長く君臨した故田中角栄元首相や、故金丸信元自民党副総裁の腹心で、自民党を出た後も業界に影響力を持ち続けてきたといい、特に岩手、青森、秋田の北東北3県で強いといわれる。

 ゼネコン側は、その影響力を頼りに、選挙では小沢氏側の集票と資金集めに奔走するという。ゼネコン汚職が摘発された平成5年には、新生党代表幹事だった小沢氏の地元選対が、ゼネコン社員を動員した“裏選対”を組織していたことが国会で取り上げられた。

 当時の名簿によると、総括責任者が鹿島、本部長が大成建設のそれぞれ地元支店幹部で、委員には西松の支店幹部も名を連ねた。

▼元秘書側が考案?
 ゼネコン関係者によると、東北地方では古くから、ゼネコン最大手の鹿島が、強固な営業基盤を誇っていたという。西松の元幹部は、「西松は東北では後発だったため、受注拡大を図るには、小沢さんに頼るしかなかった」と話す。

 西松関係者によると、小沢氏側の窓口となったのが、陸山会の会計責任者、大久保隆規容疑者(47)の前任者で、小沢氏の「側近中の側近」といわれた元秘書だったという。

 西松は平成7年ごろ、元秘書側と、毎年2500万円前後の献金をすることで合意。ダミーの政治団体「新政治問題研究会」を使ったトンネル献金システムを考案したとされる。11年からは「未来産業研究会」もダミーに加えた。

 ある国会議員秘書は「北東北3県の公共工事は、鹿島の東北支店幹部と元秘書側が調整し、受注高に応じて小沢氏側への献金額を決めていた」と証言する。

 ▼180億円受注
 こうしたノウハウを元秘書側から引き継いだとされるのが、12年に陸山会の会計責任者となった大久保容疑者だった。東北地方の建設会社幹部は「仕事を取るためだけでなく、邪魔をされないためにも献金する。大久保さんは小沢さんの代理人。東北の業界では知らない人はいない」と語る。

 業界関係者によると、西松も大久保容疑者の“言いなり”で、献金を続けたことによって、東北での受注を拡大したという。

 工事経歴書によると、西松が16~20年に着工した国や自治体発注の主な公共工事は10件で、総額は約180億円にのぼる。最も受注額が高かったのが、国土交通省東北地方整備局が18年に発注し、西松が受注した岩手県の胆沢(いさわ)ダム関連施設工事で約47億円。また、秋田県の森吉山ダムの本体工事が約44億円、山形県の長井ダムの本体工事が約41億円と続く。

 ダムではほかに、宮城県の長沼ダムも約16億円で本体工事を受注した。胆沢ダムをめぐっては、西松前社長の国沢幹雄容疑者(70)が、大久保容疑者に工事受注の口利きを依頼していた疑惑もある。特捜部は地元・岩手の小沢事務所関係者からも事情を聴くなど調べを進めている。

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【主張】西松献金疑惑 与野党問わず厳正対処を
産経新聞2009.3.7 02:53
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090307/stt0903070254003-n1.htm

準大手ゼネコン「西松建設」関連の資金が与野党の複数の国会議員に提供されていたことは、政治とカネの不透明な構図をまざまざと見せつけている。

 献金を受けた自民党議員らは、相次いで資金を返還している。小沢一郎・民主党代表側より金額が小さいとはいえ、西松側のダミー政治団体を経由するなど同じ構図である。資金の返還で一件落着とはならない。違法性の有無を含め、捜査当局には厳正な捜査を求めたい。

 小沢氏の公設第1秘書が逮捕されたのに続き、自民党二階派の政治団体が平成16~18年の間、西松建設側に838万円分のパーティー券を購入してもらっていたことが、政治資金規正法違反にあたるとの疑いが浮上している。

 二階俊博経済産業相は5日の派閥総会で全額返還すると表明し、パーティー券購入について問題はないとの見解を示している。

 山口俊一首相補佐官や加納時男国土交通副大臣も各200万円、献金やパーティー券代を受けており、返還するという。このほか、森喜朗元首相も西松建設関連の献金など400万円を返還する考えを弁護士を通じて示した。

 河村建夫官房長官は「国民の目から見て疑念が残ってはいけない意図だ」と、返還処理に理解を示し、違法性などの問題はないとの立場をとっているが、内閣の対応として不十分ではないか。

 政府高官が「捜査は自民党議員に及ばない」といった与党寄りの見通しを示す発言をしたことも、与野党双方の反発や誤解を招いている。政府には、公正な捜査に少しの疑いも持たれないよう慎重な言動を求めたい。

 田中角栄首相当時に推し進められた「土建国家」政治は、公共事業を中心に政官業の強固な癒着構造を生みだし、小沢氏も属した自民党旧田中派、道路族議員らが利権を握り今日に至っている。

 迂回(うかい)献金禁止などが何度も求められていたが、いっこうに是正されずゼネコンからの不透明な資金提供が繰り返されている。利権構造の温存を断つ具体的な透明化措置が必要だ。

 小泉改革で着手された道路特定財源の一般財源化も骨抜きが図られ、削減してきた公共事業の規模も景気対策の名目で増加傾向にある。これ以上政治不信を招かないよう既得権益構造を完全復活させてはならない。

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民主若手「小沢代表は頻繁に説明を」 西松問題、企業献金に疑問の声続々
産経新聞2009.3.7 10:09
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090307/stt0903071010004-n1.htm

民主党の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」や自民党二階派が西松建設から事実上の企業献金を受けていたとされる問題で、民主党の渡辺周衆院議員は7日午前のTBS番組で「小沢代表の政治団体についてはわれわれもわからない。党員や党所属議員に対して小沢代表は頻繁に説明してほしい」と述べた。その上で「多額の献金となると普通は怖さを感じる。(献金したのは)どういう人なのか当然知っておかなければいけない。与野党ともにカネの入りはもっと厳格にすべきだ」と指摘した。

 一方、番組では企業献金を問題視する声が相次いだ。共産党の小池晃政策委員長は「こういう事件を招いたのだから自民党も民主党も政党助成金を返納すべきだ。政党助成金は企業献金をやめるために作ったはずだ」と主張。民主党の浅尾慶一郎参院議員も「個人献金だけにするのが一番フェアだ」と賛同した。

 自民党の衛藤征士郎元防衛庁長官も「企業献金をやめ、個人献金に限定するのが一番よい」と同調。公明党の高木陽介選対委員長は「公明党は公明新聞の売り上げで党の活動を賄っている」と述べた。

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【小沢氏秘書逮捕】小沢氏側「表のカネ」要求 西松献金システム構築の背景か
2009.3.7 12:07
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090307/crm0903071214015-n1.htm

小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」が、西松建設から事実上の企業献金を受けていた政治資金規正法違反事件で、小沢氏側が西松から受領する資金について、政治資金収支報告書に記載できる「表の金」として提供するよう西松側に要求していたことが7日、捜査関係者の話で分かった。著書の『日本改造計画』で「政治資金の全面公開」という自説を展開している小沢氏の資金管理団体が、公開されているという事実を“隠れみの”に、西松のダミー団体を使って政治資金の出所を偽っていた疑いが強い。

 西松関係者によると、小沢氏側は平成7年ごろから西松に対し、年2500万円前後の資金提供をするように要請したという。

 捜査関係者によると、小沢氏側は献金の開始にあたり、提供される資金が収支報告書に記載できる献金の形態を取るように要求したという。西松はこれを受け、7年に「新政治問題研究会」(新政研)を設立し、毎年の献金を始めた。

 規正法が改正され、12年1月以降、政治家の資金管理団体への企業献金が禁じられることになったため、西松は11年に「未来産業研究会」(未来研)もダミーの政治団体に加え、トンネル献金の“仕組み”を強化。一見、適法な献金のスタイルでの資金提供を維持してきた。

 ほかにも西松は、下請け業者に水増しした工事代金を渡し、小沢氏側の政党支部に企業献金させていた。

主な献金先は、陸山会のほか「民主党岩手県総支部連合会」「民主党岩手県第4区総支部」の3団体。特捜部は、西松がダミーの政治団体や下請け業者を使って複数の献金先に資金を納めていたのは、献金元と献金先を分散させて金額を少額に抑えることで、目立たなくする狙いがあったとみているもようだ。

 小沢氏は4日の記者会見で、「2つの政治団体から献金を受けたということについては、政治資金規正法にのっとって適法に処理し、報告をし、公開されているところだ」と説明。西松側からの献金が、正規の手続きで処理されたものであることを強調していた。特捜部は、「表の金」という小沢氏側の要求が、ダミーを使った献金システムが考案された背景にあるとみている。

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【小沢氏秘書逮捕】進退問題「最終的に結論が出た時に言う」
産経新聞2009.3.7 13:06
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090307/stt0903071313005-n1.htm

民主党の小沢一郎代表は7日昼、党本部で記者団の取材に応じ、西松建設による違法献金事件をめぐる自らの進退について「最終的に『こうだ』という結論が出た時に言うことだ」と述べた。

 その上で小沢氏は「私どもは今回の(公設第1秘書の)逮捕について合点がいかないと言っている。従って起訴されたり、裁判で罪になったりということは考えていない」と潔白を重ねて強調。逮捕された秘書についても「彼がそれだけ影響力を持っているとは思わないし、それをいろんな形で行使したとも思っていない」と擁護した。

 また、小沢氏は、自民党の二階俊博経産相への違法献金疑惑については「人様のことなので分からない。説明責任は自民党と本人が考えることだ」と言及を避けた。政府高官が自民党に波及しないとの見通しを示したことには「直接その話は聞いていないのでコメントする立場にないが、事実だとすれば奇異な感じがする」と語った。

 小沢氏は7日午前、宿泊していた都内の個人事務所を出て民主党本部入り。小沢氏が土曜日に執務のため党本部入りするのは異例。

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【小沢代表ぶら下がり詳報】「彼が影響力を行使したとは思っていない」(7日昼)
産経新聞2009.3.7 13:53
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090307/stt0903071359006-n1.htm

民主党の小沢一郎代表は7日昼、西松建設による違法献金事件をめぐる自らの進退について「最終的に『こうだ』という結論が出た時に言うことだ」と述べた。東京・永田町の民主党本部で記者団の質問に答えた。詳報は以下の通り。

【西松建設問題】
 --西松建設の違法献金疑惑について、政府高官が「自民党には捜査が及ばない」と発言した問題で、与野党から批判が出ているが、見解は

 「うん、ボクは直接その話は聞いてませんので、コメントする立場じゃないですけれども、それが事実とすれば、ちょっと奇異な感じがしますね」

 --二階俊博経済産業相に捜査の手が伸びているという情報があるが、見解は

 「それはもう、人様のことですから分かりません」

 --小沢氏は昨日、自らの進退問題について「結論が出た段階で判断する」と述べたが、結論とはいつの段階を言うのか

 「それは分からない。最終的にこうだという結論が出たときということです」

 --それは起訴された段階か。判決が出た段階か
 「だから、その時点、私どもはその今回の逮捕についても合点がいかないということ言っているわけですし、それから、従って、それが起訴されたり、あるいは裁判で罪になったりというようなことは考えていないというのが現状の段階ですから、まあ、いずれにしても、時期がいつか私から何日とか、いつごろとかということではないと思います。常識的に、最終的な結論が出た場合ということで申し上げました」

 --自民党の議員は献金を返金する意向を示しているが。

 「ですから最初から申し上げております。これもまた、そういった違法な仕方で、脱法か、な仕方で政治団体の原資が集められたものだったということが、今はまだマスコミを通じてしか分からないわけですから、それが確定した時点におきましては、私は最初からそういう場合には返金したいと言っております。ですから、それは変わりありません」

--二階氏については裏献金を受けていたと報じられている。自民党の説明責任についてはどう考えているか

 「それはもう、今さっきも言ったように、二階さんのことについて私は分かりませんから。とやかく今、論評する何ものも持っておりません。それから、自民党の国民に対する、本人と自民党の国民に対する説明責任は、それはそれぞれ、本人と自民党が考えることだと思います」

 --逮捕された大久保隆規秘書は岩手県内で影響が大きかったという話が出ているが

 「私は、彼がそれだけの力というか、影響力とか、いうのを持っているとは思いませんし、また、それをいろんなかたちで行使したというふうには思っておりません」

 --大久保秘書が西松建設本社に行き、西松建設幹部と献金方法の詳細について話し合っていたそうだ。そのことを知っていたか。事務所の体質として問題はないか

 「あの、会見の時からずっとこの問題、起きてから、申し上げておりましたが、献金は本当に大勢の方々から個人、法人問わず頂いておりますから、個別の献金のことにつきましては、私は報告は受けておりませんから分かりません。ただ、一般論として、献金してくださる方にお願いを申し上げるということは、直接、お願いできる方もあるし、それから大勢ですから、直接、お願いでもって、会って回ることもできない方も、そのような方には今回も、あるいは今年もよろしくお願いしますという文書でお願いをしておるということは知っております。それは、いずれにしても、献金をしてくださる方に、その、よろしくお願いしますということ自体は、これは社会通念的にも、政治献金だけじゃなくてそれはごくごく当然、自然のことだと思います」

 --衆院選に向けた地方行脚の再開のめどは

 「地方行脚、したいけれども、こうやって、もう諸君に囲まれてちゃ、地方行脚もできないから、できるだけ早く、もう、地方へ出て、晴れてみなさんとまた話し合い、ふれあいの期待を設けられたい、できるだけ早くそういう機会がまた来るように、というふうに願っています」

--名古屋市長選に関して昨日、立候補予定の河村たかし衆院議員と面会していたが、どんな言葉をかけたのか

 「市長選挙については、まあ、もう、すでにみんな知っていると思うけれど、県連、市議団、県議団の中で、いろいろ、議論があって、最終的に私に調整を任せるということで県連会長以下、市議団と県議団の代表もおいでになって、そして任されたわけです。

 そこで河村君を呼んで、とにかく彼がなんとしても出るということであれば、仲間のみんなが了解するようなことじゃきゃだめだよということで、私が提示しましたのは、推薦するにあたってきちんと誓約してくれと。そのひとつは政策の決定、発表にあたっては、特に名古屋市議団のみなさんと十分、話し合った上で結論を得るようにしてくれと。それからもうひとつは、市長選に回るとすれば、(衆院愛知)1区の後継の候補者の問題がありますから、これについては市長選の選挙の結果がどうであれ、河村君自身と後援会、この両者が全面的に県連、そして最終的には党本部の決めた候補者を全力で推薦すると。この2つを誓約してくれということで、話しまして、そして昨日、誓約書に本人と後援会長の署名・捺印の誓約書の文書を持ってこられましたので、それでじゃあ、ということで、みなさんと話し合ってくれということで帰ってもらいました。

ですから、それでよしとなれば、次の常幹(党常任幹事会)にかけられるかどうか、まだちょっと分かりませんけれども、よしとなれば推薦ということになるだろうと思います」

 --どんな言葉を河村氏にかけたか

 「特に、議員の場合は、それは民主党所属の議員としての最低のルールは守らなければいけないけれど、ある程度、自由気ままな言動も許されるけれども、首長ということになると本当に市民の生活そのものの問題だし、またみんなの協力と理解を得られなければ現実、市政、できないのだから。そういう意味で、今言った2つのことだけはきちんと守って、守るということを約束した上で、というふうに話をしました」
【今後の予定】

 --この後、「鳩山一郎50年祭」に出席するのか

 「(鳩山由紀夫)幹事長から、ぜひちょっとでもいいから顔を出してくれというお話がありましたので、行くつもりでおります」