2010年2月18日木曜日

【公共工事】 胆沢ダム

「胆沢ダム工事の怪・談合」

 小沢事務所の政治資金収支報告書については会計専門の方々が色々検討されているが、もう一方の「胆沢ダム斡旋収賄問題」について私なりの考えを述べてみたい。

また、前原国土交通大臣が国会で入札に関し、疑問を呈していたのだが、明らかに誘導に乗ったものと思われる。前原は、うかつな性格なのであろう。何しろ、当時与党である自民党から自民党から野党であった小沢氏へ対しての入札への関与の疑惑であり、与党と官僚がしらべ「シロ」となったものが、与党になった民主党への野党からの質問に対し疑問を呈すこと自体ある意味では異様だと言える。

 まず胆沢ダムとは何か。
『事業計画資料などによると、岩手県奥州市に建設中の胆沢ダムは、岩石や土砂を積み上げて造る国内最大級の「ロックフィルダム」。国土交通省が昭和63年、水害軽減や農業用水供給などを目的に事業を開始し、平成25年の完成を目指している。総事業費は約2440億円にのぼる。』・・産経ニュース2009.3.14
 そうコンクリートダムではない。土砂や砕石を縦の層状に積み上げて造るいわば「土堰堤」の大きなものだ。

 問題となった2004年度は次のような工事が行われている。
『胆沢ダム本体工事は03年1月から五つの工事に分離発注され、鹿島、清水建設などの共同企業体(JV)が04年10月に193億円で落札。原石山材料採取工事を大成建設、熊谷組などのJVが05年3月、151億円で落札しました。下請けにはいずれも、小沢氏側に2回にわたって計1億円を提供したと元幹部が供述している水谷建設などのJVが受注しています。』・・2010年1月30日(土)「しんぶん赤旗」

 さらに
『捜査関係者によると、同ダムの工事は一般競争入札で行われるケースが多かったが、大型工事すべての入札で、大手ゼネコンが「仕切り役」となり、事前にゼネコン間の受注調整が行われていたとみられる。談合で、「チャンピオン」と呼ばれる落札予定の企業や共同企業体(JV)が決まると、大久保容疑者が仕切り役から結果を聞き、これを了承していた疑いがある。』・・産経ニュース2009.3.14
 文中の談合云々は後で述べるが、要するにこれらの工事は「一般競争入札」で行われた事に注目されたい。

 「一般競争入札」は談合を防ぐために、「指名競争入札」と違って業者の選抜をしない。指名競争では施工能力を勘案して業者を選び出し札を入れさせる。しかし業者を選ぶ段階で恣意が入りやすいし、選ばれた少数の業者間で談合も容易だ。
 ところが一般競争入札では参加業者がどれだけになるか分からないし、「思わぬ奴」に餌をさらわれる恐れが十分にある。議員とツーカーの業者がはたしてうまく落札できるだろうか。受注できれば万々歳なのだが。

 とはいえ100億円クラスの工事であれば施工可能な業者も絞られようから、談合をできないことはない。たとえば次の新聞記事はいかがだろう。
 『 民主党の小沢一郎幹事長の地元、岩手県の胆沢ダムの本体工事について、前原誠司・国土交通相は17日、衆院の予算委員会で、入札直前に国交省に談合情報が寄せられていたことを明らかにした。分割発注された2工事で、いずれも談合情報通りの共同企業体(JV)が落札したという。
 ・・・・・・・
 前原国交相の答弁などによると、談合情報が寄せられたのは平成16、17年に入札が行われた「堤体盛立(第1期)工事」と「原石山材料採取(第1期)工事」で、前者は鹿島などのJVが193億8千万円(落札率93・97%)、後者は大成建設などのJVが151億5千万円(同94・42%)で落札した。いずれも談合情報通りで、水谷建設が後者工事の下請けに入ることも事前に指摘されていたという。』・・産経新聞2010.2.18

 この記事の中に「分割発注」という言葉がある。これは1件の工事を2つに分ける事を意味する。先にこのダムは「ロックフィルダム」だと述べた。だとすれば提体に盛り土をする工事が、材料を採取する工事よりも先に発注されたということも変だが、そもそも2つに分ける必要があったのか。材料採取と転圧工事は一体ではないのか。材料が到着しなければ、盛り土はできまいに。

 「工事費が多すぎる」だから2つに分けた、というのがおそらく説明であろう。「より多くの業者に取らせたい」これが発注者(国)の本音だろう。担当者にすれば2件の工事より1件のほうが、設計書作成の手間も竣工検査の回数も半分で済むのだ。たぶん上部の政治的判断が働いたのだと思う。

 これら2件の工事はいずれも2004年度発注工事である。10月とぎりぎりの3月であるから、金額から見て2005年度までまたいだ工事であることは予想が付く。2件とも「落札率」が大きい。一般に95%付近以上であれば十分に談合が疑える。「談合情報」は本当かもしれない。しかし次の話はどうだろう。

 『談合情報を受け、国交省は当時、公正入札調査委員会を開き、業者への事情聴取などをしたが、談合を裏付けられなかったといい、前原国交相は「入札制度改革に向け、胆沢ダムの問題も含め、しっかりと検証したい」と述べた。』・・朝日新聞2010.2.18
 結局当時は、談合の存在を確認できなかったそうだ。時の政権党が、業者の間で「小沢ダム」と呼ばれているのを知らなかったのだろうか? そこで談合が行われていると情報が入ったとき、小躍りして捜査させなかったのだろうか?

 『両工事の下請けに参入した水谷建設(三重県桑名市)の前社長らは「受注目的に04年10月と05年4月、小沢氏秘書に5千万円ずつ計1億円を渡した」と供述。』・・長崎新聞01月30日のニュース
 あれちょっと遅いんじゃない。 >『いずれも談合情報通りで、水谷建設が後者工事(05年3月受注)の下請けに入ることも事前に指摘されていたという。』
入札前の情報ですでに「水谷建設」は確定していたんじゃないのか。後払いだったのか?

 こんなのもある。
『小沢氏側が「天の声」を出す仕組みはこうです。
(1)ゼネコン側が小沢事務所に陳情
(2)小沢事務所の了承が得られたら談合の仕切り役に連絡
(3)仕切り役が小沢事務所に「天の声」を確認する―というもの。』・・2010年1月30日(土)「しんぶん赤旗」
 しかし小沢事務所が「天の声」を発したからといってどうなるのか。野党の議員が一言言えば大ゼネコンたちが「はい」と言って従うのが分からない。国家公務員が仕切る入札業務に四の五の口を挟めた身分ではあるまいに、「天の声」に従わないとどのような妨害を食らったのかゼネコンにぜひ聞いてみたいものだ。「談合をバラすぞ」と凄んだのか?

 私の結論としては「談合」は多分あった。しかしその談合情報は歓迎されざるものであった。問題は政権が変わった今になって、なぜこの情報が蒸し返されたかだ。

 談合は業者のみでもできるのに、なぜ小沢事務所の「天の声」が必要だったのだろう? 「天の声」とは業者達にとってみれば煩いものでしかない。「天の声」があったにしても、談合情報がタレこまれたのだ。こうした情報を発信するのは、たいてい談合で弾かれた「不満分子」なのだ。
 


「胆沢ダム工事の怪2・平成20年度12月入札工事」

 今度は平成16年度工事(16年10月に193億円で落札、17年3月に151億円で落札)の続きの話。

 堤体盛土と材料採取工事はこのダムのメインであるから、平成20年度に両方の第2期工事が発注されている。それが以下のとおり。

[胆沢ダム工事平成20年度12月入札]・・東北地方整備局 建設工事の入札結果データ(平成20年12月分)

①工事名  胆沢ダム堤体盛立(第2期)工事
 入札年月日 2008/11/28
 契約年月日 2008/12/5
 工種区分  一般土木工事
 入札方式  随意契約
 入札業者名 胆沢ダム堤体盛立工事鹿島・清水・大本特定建設工事共同企業体
 予定価格  14,731,480,000円(税抜き)
 見積金額  14,700,000,000円(税抜き)
 落札率 99.79%

②工事名  胆沢ダム原石山材料採取(第2期)工事
 入札年月日 2008/11/28
 契約年月日 2008/12/8
 工種区分  一般土木工事
 入札方式  随意契約
 入札業者名 胆沢ダム原石山材料採取工事大成・熊谷・間特定建設工事共同企業体
 予定価格  8,668,840,000円(税抜き)
 見積金額  8,660,000,000円(税抜き)
 落札率 99.9%

 ①と②で注意すべきことは、同日に入札が行われているということである。これならば第1期工事のような不自然さはない。降雪期に向かうのになぜこの時期に、とは言うまい。

 次に注意すべきことは「入札方式」である。第1期工事は「一般競争入札」で行っていた。今度は「随意契約」である。随意契約に参加する業者は1社のみで競争相手はいない。「予定価格」より下回った「見積金額」を提示した段階で、入札は終わりとなる。

 なんで4年も経っているのに一般競争入札にしなかったんだという意見もあろうが、引き続き同じ業者にやらせたかったんであろう。深くは詮索すまい。

 最後に「落札率」を見よう。異常に高い。これは随意契約では起こりうることなのだが、最初予定価格よりちょっと高い価格から始まって、少しずつ金額を下げていけば御覧のような高率で落札も可能である。逆に6割7割などというダンピングはまず起こらない。

 問題はそのような危険性のある入札方式を、なぜ採用したのかだ。東北地方整備局平成20年度建設工事全部を見ても、ダム関連では上記2件を除いては次の2件しかない。
 石淵ダム堤体災害緊急復旧工事(6月発注)
 森吉山ダム旧電力施設撤去工事(3月発注)
随意契約は極力回避するのが昨今の入札だ。それを同月に2件続けてやっている。

 第2期工事で競争入札の結果業者が代わっても、同じ品質で造らせればよいだけのことで、発注者は第1期工事が完了した時点で検査をし構造物を一度引き取っているはずだ。

 なぜ同じ業者が揃いも揃って随意契約で高落札率の工事を取れたのか? 偶然か、そうでなければ公務員のかなり上層部の関与が疑われる。しかし公務員は危ない橋を渡ったところでさして得にはならないと思うのだが。
 


「胆沢ダム工事の怪3・随意契約」
 前回の「胆沢ダム工事の怪2・平成20年度12月入札工事」で、2つのJVが第2期工事も随意契約で続けて手に入れたと述べた。これを表すと次のようになる。

《平成16年度・一般競争入札》 数字は『産経新聞2010.2.18』より
・胆沢ダム堤体盛立(第1期)工事・19,380,000,000円(税抜き)
・胆沢ダム原石山材料採取(第1期)工事・15,150,000,000円(税抜き)

《平成20年度・随意契約》 数字は『随意契約結果及び契約の内容』より
・胆沢ダム堤体盛立(第2期)工事・14,700,000,000円(税抜き)
・胆沢ダム原石山材料採取(第2期)工事・8,660,000,000円(税抜き)


 これにより2つのJVは次の金額を手にすることになった。

・鹿島・清水・大本特定建設工事共同企業体→19,380,000,000円+14,700,000,000円
 計 340億8千万円
・大成・熊谷・間特定建設工事共同企体→15,150,000,000円+8,660,000,000円
 計 238億1千万円


 さらに表現を変えれば
『《胆沢ダム概要》より
  総事業費         2,440億円
  平成15年度まで       759億円 進捗率31.1%』

193億8千万円+151億5千万円=345億3千万円←平成16年度第1期工事2件
147億円+86億6千万円=233億6千万円   ←平成20年度の第2期工事2件
 計   578億9千万円 ←胆沢ダム総事業費の23.7%

となり、これはおいしい話ではなかろうか。総事業費の4分の1弱を2つの共同企業体が手に入れたことになるのだ。共同企業体とはいっても、大ゼネコン同士が力を併せて施工しあうわけではない。実質は共同企業体の中の1社が工事を指揮することになる。他の企業は一種の保険だ。だから工事費はたぶん山分けとはならない。


 水谷建設の下請け談合云々よりも、はるかに興味がわいてくる。しかも次の文書を御覧いただきたい。
 
(随 意 契 約 理 由 書・件名 胆沢ダム堤体盛立(第2期)工事)
『本工事は、胆沢ダム堤体盛立( 第1 期)工事において当該工事の受注者と随意契約を行う旨の公告がなされているものである。
また、第1期工事においては適切な施工が行われているところである。』

(随 意 契 約 理 由 書・件名 胆沢ダム原石山材料採取(第2期)工事)
『本工事は、胆沢ダム原石山材料採取(第1期)工事において、当該工事の受注者と随意契約を行う旨の公告がなされているものである。
また、第1期工事においては適切な施工が行われているところである。』


 平成16年度の第1期工事落札時に、第2期工事は「随意契約」で自動的に同企業体が取るものと決まっていたのだ。こんなあきれた契約案にはんこを押したのは誰だ、と調べてみると

・13.4.26~18.9.26   小泉純一郎(首相)
・15.9.22~16.9.27   石原伸晃 (国土交通大臣)
・16.9.27~18.9.26   北側一雄 (国土交通大臣)


 北側一雄氏は公明党だ。この時から国土交通大臣は2代続けて公明党から出ている。まさか経世会まがいのことを公明党がするだろうか。ましてや野党の代表代行ごときが国土交通省を動かせるものだろうか。そこで次の表を見ていただきたい。

《胆沢ダム建設事業の概要》・・記者発表参考資料・平成16年3月より
Ⅰ.事業の歩み
 昭和44年 4月 予備調査開始
 昭和58年 4月 実施計画調査開始l (調査事務所設置)
 昭和63年 4月 建設事業着手(エ事事務所設置、新石淵ダムを胆沢ダムに名称変更)
 平成元年 9月 環境影響評価縦覧
 平成 2年 5月 胆沢ダムの建設に関する基本計画告示
 平成 4年 2月 補償基準調印
 平成 5年 3月 水源地域対策特別措置法に基づく整備計画告示
 平成 7年 3月 付替国道工事着手
 平成11年 2月 転流エ工事着手
 平成12年 6月 胆沢ダムの建設に関する基本計画(変更)告示
 平成13年 3月 水源地域対策特別措置法に基づく整備計画(変更)告示
 平成15年 1月 本体工事着手(基礎掘削工事、 原石山準備エ事等)
 平成15年 5月 付替国道第一次供用区間、上・下流迂回路供用開始
 率度15年10月 胆沢ダム本体工事着工式、転流エエ事完成.転流式


 これを見ると、平成15年10月には本体工事が着工している。従って平成16年4月には16年度の発注計画もできているはずである。ではそのときの大臣は? 自由民主党の石原伸晃氏である。今回はここまで。
 

「胆沢ダム工事の怪4・国土交通大臣」

前回の「胆沢ダム工事の怪・3」で述べた平成16年度発注の「おいしい工事」は、たとえ第1期工事で叩き合いをやった末に受注しても、後の第2期工事で自社の随意契約と約束されているのだから大損はしない。当然第1期工事獲得に各社血眼になるはずである。たとえば津軽ダムの平成20年度発注工事で見てみると

東北地方整備局入札監視委員会(第一部会第4回定例会議)審議概要
審 議 対 象 期 間:平成20年10月1日 ~ 平成20年12月31日
 1 一般競争方式(WTO対象)
   [津軽ダム本体建設(第1期)工事] 契約金額:13,038,900千円 5社参加
  質 問:落札率が約70%と低くなった理由は何か。
  回 答:あくまでも推測ですが、大規模工事案件でもあり、応札業者の受注意欲の結
      果かと思われます。

と発注者は答えている。それでは胆沢ダム平成16年度発注ではどうだったのか。

①工事名  胆沢ダム堤体盛立(第1期)工事
 落札率   94.42%
②工事名  胆沢ダム原石山材料採取(第1期)工事
 落札率   94.42%

という高い落札率であるからおかしいのだ。80%台に落ちても不思議ではないのに。ほかのダム事務所の数値は、まさにこのレベルなのである。地方公共団体発注の工事などは、まさに「最低制限価格」に張り付いている。その価格を割ってしまうとアウトだから。

 だから上記2件に関しては「談合情報」が寄せられなくても十分グレーだ。まさか1企業体しか入札に参加しなかったんじゃあるまいな?


 さて国土交通大臣の話に入ろう。石原伸晃氏は大臣就任時には大盤振る舞いが好きだったようだ。次の2つのダムを見てみよう。

『質問主意書(平成十六年三月五日提出 質問第三〇号)
 [ 奈良県大滝ダムの「基本計画変更」に関する質問主意書 ]
 国土交通省が奈良県に建設中の多目的ダム・大滝ダムは、これまでに三,二一〇億円の膨大な費用を投入し、二〇〇二年度末を事業完了としていた。ところが、二〇〇三年四月に、川上村白屋地区で地すべり現象が発生した。
 ・・・・・・・・・・
 石原伸晃国土交通大臣は、平成一六年二月四日付で、「大滝ダムの基本計画第五回変更」として、約二七〇億円の事業費追加と工期を平成二一年度まで延長することをダム使用権者に通知した。』


『[ 八ッ場ダムの事業規模を引き上げたのは石原伸晃国土交通大臣 ]
 2003年に石原伸晃国土交通大臣(当時)が八ッ場ダムの事業規模を2,110億円から4,600億円に引き上げました。ダム最大の受益者である東京都と都知事は御存じ石原慎太郎です。国税分とは別に東京都として1,280億円の負担をしております。』・・Hatena:Diary 2009-11-10

 簡単に言うと石原伸晃国土交通大臣は
大滝ダムで総事業費を   3,210億円 → 3,480億円
八ッ場ダムで総事業費を  2,110億円 → 4,600億円 に引き上げる事に判子を押したということだ。


だがダム工事では驚くにはあたらない。当初計画の総事業費で完成できると思うのが間違っている。2倍3倍は普通のことだ。最初の計画時には100%の精度では調査しない。「100%の精度」とはそのまま発注できるぐらいの精密さを言うが、まず必要なのは国と地元に説明できる工法と金だ。後は採択になってからじっくり調査をすればよい。
 そして工事が進むにつれ、あれよあれよという間に事業費は増大する。そしてそれは業者の懐も副次的に潤す。


 次に国は落札率85%未満の工事を「低入札工事」と呼んでいる。その推移を見てみると

 (中部地方整備局における低入札工事の経緯)
  H11 -  0.54%
  H12 -  0.54%
  H13 -  0.82%  (平均落札率:70%)
  H14 -  1.26%  (平均落札率:69%)
  H15 -  1.73%  (平均落札率:74%)
  H16 -  1.35%  (平均落札率:68%)
  H17 -  5.08%  (平均落札率:69%)

 平成16年度までは低く、平成17年度になって跳ね上がっている。みんな真面目に競争するようになったということか。低入札工事とは問題点も多いのだが。
 これの原因かどうかは分からぬが、平成16年9月に国土交通大臣が自由民主党から公明党に交代している・・。


 いったい政権党が大きな利権を生むことが可能なダム工事を、一野党議員の好き勝手にさせておくことをよしとするだろうか。自分の庭を荒らしまわる野良犬を黙って見ていられるものだろうか。六十余年も政権について全国隅々まで集金システムを張り巡らした自民党が、そんなことをするはずはないだろうと私は考えるのだが。

国交相「胆沢ダム談合情報あった」
2010.2.18 01:23

 民主党の小沢一郎幹事長の地元、岩手県の胆沢ダムの本体工事について、前原誠司・国土交通相は17日、衆院の予算委員会で、入札直前に国交省に談合情報が寄せられていたことを明らかにした。分割発注された2工事で、いずれも談合情報通りの共同企業体(JV)が落札したという。

 同工事をめぐっては、下請け受注した水谷建設(三重県)の元幹部らが東京地検特捜部の調べに対し、小沢氏側に「計1億円を渡した」などと供述しており、質問した笠井亮議員(共産)は「談合による不正な利益が小沢氏側に還流されていた疑いがある」と指摘した。

 前原国交相の答弁などによると、談合情報が寄せられたのは平成16、17年に入札が行われた「堤体盛立(第1期)工事」と「原石山材料採取(第1期)工事」で、前者は鹿島などのJVが193億8千万円(落札率93・97%)、後者は大成建設などのJVが151億5千万円(同94・42%)で落札した。いずれも談合情報通りで、水谷建設が後者工事の下請けに入ることも事前に指摘されていたという。

 笠井議員は、胆沢ダムの本体工事を受注した17社から5年間で、献金やパーティー券の購入費として計約3千万円が小沢氏側に提供されていることを挙げ、裏献金疑惑も含め「小沢氏側への還流ではないか」と指摘。前原国交相は「(還流は)類推の域を出ない」としながらも、「公共事業の受注企業から多額の献金を受けることはいかがかと思う」と答えた。

 談合情報を受け、国交省は当時、公正入札調査委員会を開き、業者への事情聴取などをしたが、談合を裏付けられなかったといい、前原国交相は「入札制度改革に向け、胆沢ダムの問題も含め、しっかりと検証したい」と述べた。

 

【グアム移転】 伊波洋一(宜野湾市長)


平成22年2月18日、衆議院第1議員会館において、与党国会議員に対して宜野湾市長による下記の内容の説明を行いましたので、その内容を掲載します。

このページの末尾に配布レジュメ及びプレゼンテーション資料のPDFデータを貼りつけています。

平和フォーラム・ヒアリング 2010/02/18

 「 普天間ヘリ部隊のグアム移転の検証について」

 伊波洋一(宜野湾市長)


1.海兵遠征部隊31MEUが沖縄に駐留していないと台湾や韓国に1日で展開できないので抑止力の致命傷になると主張する学者や評論家、政治家がいるが、素人の国民をだます真っ赤な嘘。

● 31MEUは、1年の半分は沖縄におらず、佐世保の強襲揚陸艦エセックス等に載って西太平洋の同盟国での演習に参加している。

● 2006年の普天間飛行場ヘリ部隊の海外派遣資料によると、1月から5月の5ヶ月で約3ケ月は、グアム、フィリピン、韓国、タイの海外演習・訓練に出ていた。さらに、9月下旬から11月下旬まで米比合同訓練のためエセックスに載ってフィリピンに出ていた。(添付資料1)参照

● 31MEUの重要な役割は、佐世保の強襲揚陸艦エセックスなどの海兵隊艦船と、西太平洋での米国の同盟国(韓国、フィリピン、タイ、オーストラリア)との安全保障条約を実証するために、毎年定期的に同盟国を訪れて合同演習や合同訓練を実施することである。

 フィリピン・・・バリタカン (対テロ訓練)     第3海兵遠征旅団

         タロンビジョン(米比合同演習)  第3海兵遠征旅団

水陸両用上陸演習

 タ   イ・・・コブラゴールド(米タイ合同訓練) 第3海兵機動展開部隊

 オーストラリア ・・フリーダム・バーナー・クロコダイル(米豪合同訓練) 第3海兵遠征旅団

         タリスマンセーバー(米豪合同訓練)第3海兵機動展開部隊

 韓   国・・・フォールイーグル(米韓合同訓練) 第3海兵機動展開部隊


演習から帰還の車両陸揚げ公開/沖縄の米海兵隊(2009/08/12 四国新聞社)                 在沖縄米海兵隊の第31海兵遠征部隊(31MEU)が12日、オーストラリア軍との合同演習を終えて米海軍ホワイトビーチ(沖縄県うるま市)に帰還し、水陸両用艇で軍用車両を陸揚げする作業を共同通信に公開した。

31MEUは、在日米軍再編で沖縄の海兵隊員約8千人がグアムへ移転後も、沖縄に残る部隊。隊員約2200人は7月にオーストラリアで合同軍事演習「タリスマン・セーバー」に参加し、上陸作戦や市街地戦闘の訓練を実施した後、米海軍佐世保基地(長崎県)を母港とする強襲揚陸艦エセックスや揚陸艦デンバーで帰還した。エセックス搭載のホーバークラフト型揚陸艇(LCAC)3隻が、水しぶきを上げながらホワイトビーチに上陸。

沖合に停泊するエセックスから載せてきた、迷彩色の装甲車などを、次々に陸地に揚げた。揚陸艦に搭載され演習に同行したヘリコプターも、物資搬送に飛び交った。

 海兵隊によると、31MEUは例年、韓国やフィリピン、タイなどの各軍との演習や訓練にも参加。隊員たちは佐世保配備の揚陸艦に乗り、1年の半分程度は沖縄を離れて活動しているという。

● 西太平洋の同盟国演習への出発地は、2014年に沖縄からグアムに代わる。

  2010年のQDR(4年毎の国防見直し)は、グアムを西太平洋地域における  安全保障活動のハブとする、としている。

2.普天間飛行場のヘリ部隊がグアムに移転することを示す証拠が幾つもある。

証拠その1. 

 2006年7月の「グアム統合軍事開発計画」で「海兵隊航空部隊と伴に移転してくる最大67機の回転翼機と9機の特別作戦機CV-22航空機用格納庫の建設、ヘリコプターのランプスペースと離着陸用パットの建設」を記述。

証拠その2. 

 2007年7月に沖縄本島中部の10市町村長でグアム調査し、アンダーセン空軍基地副司令官に沖縄の海兵隊航空部隊の施設建設予定地を案内され「65機から70機の海兵隊航空機が来ることになっているが、機数については動いていて確定していない。海兵隊航空戦闘部隊1500人がアンダーセン基地に来る予定」との説明を受けた。

証拠その3. 

 2008年9月15日付で海軍長官が米国下院軍事委員会議長へ提出した国防総省グアム軍事計画報告書に沖縄からグアムへ移転する部隊名が示された。列挙された11の普天間基地に関連する海兵隊部隊の中に海兵隊中型ヘリ中隊が入っている (中型ヘリは普天間基地にしか所属部隊はなく、31MEUの主要構成部隊) 。

証拠その4. 

 2009年11月20日に公表された「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」によるとグアムのアンダーセン航空基地のノースランプ地区に海兵隊回転翼部隊としてMV-22オスプレイ2個中隊24機を含めCH53E大型ヘリ4機、AH-1小型攻撃ヘリ4機、UH-1小型多目的ヘリ3機の合計37機が配備される。うちひとつのMV-22オスプレイ中隊がMEU構成と予想される。MEU構成の中型ヘリ中隊にはCH53E、AH1、UH1が追加される。ちなみに、現在、普天間基地にはヘリ36機が駐留している。

  環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフトの騒音評価で回転翼機の飛行訓練として常駐のMV-22オスプレイ中隊12機とCH53E大型ヘリ4機、AH-1小型攻撃ヘリ4機、UH-1小型多目的ヘリ3機が年間19,255回の飛行回数を増やすとされている。

 このオスプレイ中隊は、Assault Transport(強襲輸送)とされており、MEUの乗り込む強襲揚陸艦エセックス(USS Essex)をAmphibious Assault Shipと呼ぶのでMEU構成中隊と予想できる。

証拠その5. 

 2007年7月に沖縄本島中部の10市町村長でグアム調査し、グアム州政府から説明された資料に、移転を想定している海兵隊部隊として31st Marine Expeditionary Unit ・第31海兵遠征部隊2000人があった。同資料では、アプラ港に接岸桟橋を建設する強襲揚陸USS Essexやドック型揚陸USS Juneau、USS Germantown、USS Fort McHenry などの海兵隊戦艦が海兵遠征部隊31MEU と共に来ることが説明されている。

 このことから、グアムに来る37機の回転翼機には、31MEUのヘリ部隊である普天間の海兵航空ヘリ部隊が含まれると推察できる。

証拠その6. 

 2006年5月の「再編実施のための日米のロードマップ」で、

「約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する。」とされた。沖縄の海兵隊の家族数が9000人を超えたことは、1972年の沖縄返還後38年間で4年間しかなく、9000人はこれまでの海兵隊家族数の最大の時の人数であり、現状は8000人に満たない。家族を伴う常駐部隊はすべてグアムに移転すると考えられる。普天間の中型ヘリ部隊は家族を伴う常駐部隊であるから、グアムに移転すると考えるのが妥当。


証拠その7.

 2009年11月20日の「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」は、2002年からの地球規模で海外米軍基地を削減する基地見直しにより、太平洋地域の米軍再配置で国防総省は沖縄の海兵隊の適切な移設先をグアムとしたことを明らかにしている。

そして2010QDR(4年毎の国防見直し)は、おける安全保障に係る活動のハブにする、としている。すなわち、2014年以降は、グアムが西太平洋での海兵隊の拠点になり、当然、西太平洋の米同盟国との合同演習に参加する現在の普 天間海兵航空基地の役割もアンダーセン基地のノースランプに移っていく。

証拠その8. 

 2009年6月4日付の米海兵隊総司令官から米上院軍事委員会への報告書は、約8000人の海兵隊員の沖縄からグアムへの移転は、沖縄の海兵隊が直面している民間地域の基地への侵害(Encroachment)を解決するためとしている。普天間基地こそ真っ先に解決すべき場所。

3. 2006年5月の「再編実施のための日米のロードマップ」合意で、沖縄の海兵隊の部隊は、ヘリ部隊を含めて、ほとんどがグアムに移転する。

 沖縄の海兵隊兵力12,402人(2008年9月末)から10,600人がグアムに移転。

● 2006年5月のロードマップは、「約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する」とした。

● 2006年7月の「グアム統合軍事開発計画」は、グアムの海兵隊兵力について、常駐配備7200人とUDP配備2500人の計9700人としている。うち、海兵航空部隊関連は、2400人。

● 2008年9月15日付で海軍長官が米下院軍事委員会へ提出した国防総省グアム軍事計画報告書では、海兵隊兵力について、常駐配備8550人とUDP配備2000人の計10550人としている。うち、海兵航空部隊関連は、常駐配備1850人。

● 2009年11月20日に公表された「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」は、海兵隊兵力について、常駐配備8600人とUDP配備2000人の計10600人。うち、海兵航空部隊関連は、常駐配備1856人とUDP配備250人の2106人。

● 2008年9月15日付で海軍長官が米下院軍事委員会へ提出した国防総省グアム軍事計画報告書に沖縄からグアムへ移転する部隊名が示された。

主要な部隊の多くがグアムに移転することがわかる。

4. 米国は、グアムを含むマリアナ諸島全域を沖縄に代わる広大な軍事拠点とするために「マリアナ諸島複合訓練場計画 MARIANA ISLANDS RANG COMPLEX 」を進めている。

● 「マリアナ諸島複合訓練場計画」は、グアムを中心に、サイパン、テニアンなどの島々の訓練施設や広大な訓練空域や制限海域、射爆撃場、戦闘訓練場、ライフル射撃場、弾薬貯蔵施設、等を含む。

● 沖縄からグアムへの海兵隊移転で、一番重要視されているのが、グアムやマリアナ諸島での訓練場や射撃場の確保であり、グアム移転の前提、必須条件とされている。特に高度な統合訓練場の確保が求められており、テニアンで計画されている訓練施設は大隊部隊上陸や大規模機動訓練など戦術的シナリオ訓練を可能にする、としている。

● グアム移転で繰り返し強調されているのが、アメリカ領土での多国籍軍事訓練の実施であり、そのための「マリアナ諸島複合訓練場計画」は、2014年までに実施されていくと思われる。

● 2009年6月4日付の米海兵隊総司令官ジェームズ・コンウェイ大将の米上院軍事委員会への報告書は、訓練や施設の要件を調整し、適切に計画・実施されれば、グアムへの移転は即応能力のある前方態勢を備えた海兵隊戦力を実現し、今後50年間にわたって太平洋における米国の国益に貢献する、としている。

5. 沖縄の代替施設完成後、グアム移転部隊を移す第3海兵遠征軍の資料

第3海兵遠征軍の司令部資料によると、ロードマップ合意のグアム移転部隊

 である第1海兵航空団司令部等を沖縄に戻すことが考えられている。

以下、資料。






 ※平成21年11月26日に使用した資料
 ※平成21年12月11日に使用した資料