このブログは、自分の備忘録として、ココログに残していたものをBloggerに引越しをしたものであるが、各記事を移行をしながら読み返すと、各大手既存マスコミの偏った記事を目にする事が多かった。この記事は、公開をせずに下書きをしたものであるが、「田中角栄からつながる小沢一郎」という前提を崩していない。
おそらく、この前提を大手既存のマスコミは、小沢氏が議員を引退するまで言い続けることであろう。実に困った方々だとしか言いようがない。
嶌信彦のコラム
今日のニュース・明日の予測:[301]検察対田中派の長い長い闘い 小沢幹事長は最後の1人
日本の政治は異様な様相を呈してきた。鳩山由紀夫首相、小沢一郎民主党幹事長の両トップが、政治資金規正法で地検特捜部から追及されると、小沢幹事長は戦う姿勢を見せている。時の政権の実質的な最高実力者と犯罪を追及する検察が正面切って闘いを宣言する国など、先進国では聞いた例がない。
鳩山政権は、戦後初めてといってよい本格的な政権交代で誕生した内閣だ。自民党を軸とした戦後の保守政治のアカを洗い流し、日本の旧体質を改革、21世紀のグローバル社会や中国が台頭するアジアでどんな役割を担ってゆくか--そんなカジ取りを期待されていたはずだ。それが、2010年の国会の幕開けから、国民がさんざんウンザリしてきた“政治とカネ”の問題で衝突、たぶん予算審議そっちのけの政争になるのでは、「今年もまたダメか」とタメ息が出る思いだろう。
検察の狙いは、やはり小沢幹事長の息の根を止めることではないだろうか。法律を熟知して、抜け穴をみつけ、政治資金を違法に集めたり使ったりすることは許さない、ここで最終的なケジメをつけよう、という意気込みがうかがえる。
と同時に、田中角栄一門との“最終戦争”という感慨・執念もあるのではないか。今日的な政治とカネの問題は、田中金脈事件から始まっている。権力や政治的な力を利用して業者などから違法なカネを集め、このカネで派閥の力を拡大して日本の政治を支配するやり方だ。田中元首相はロッキード事件で逮捕されたが、その後も金丸信元自民党副総裁は佐川急便事件などで捕まった。次は竹下登元首相がリクルート事件に関与し、これが引き金となって首相の座を降りた。その後も日本歯科医師連合会の献金をめぐって、橋本龍太郎元首相、野中広務元官房長官らが関与したとされ、結局は村岡兼造元官房長官が在宅起訴されることで締めくくられた。この事件で橋本、野中氏らの影響力は急速に落ち込んだ。
こうした田中人脈の中で唯一生き残ってきた実力者が小沢氏である。ちなみに鳩山首相も議員のスタートは自民党田中派だった。小沢氏は田中角栄、金丸信氏などが検察に引っ張られる過程をつぶさに見ており、特に田中ロッキード裁判は必ず傍聴して、検察がどんな手法・論理で政治家を追い詰めてきたかを熟知する。そしてその後の政治生活でその知恵を生かし、政治資金規正法に引っかからないようカネを集め、次々と新党を作り、新人議員を当選させて、ついに政権を実質的に動かす権力をつかんだ--と検察は見ているのではないか。検察としては、田中人脈の最後の大物の小沢氏を起訴することで、30年以上続いてきた田中一門との闘いを終結させようとしているように見える。たぶんこれは、東京地検特捜部の中心で働いてきた代々の先輩たちの無言の申し渡し事項だったと見てよいだろう。
田中人脈から見れば、これは検察の横暴であり、権力の乱用と見える。特に小沢氏にとっては法の問題点をすべて知り、法令違反を犯さないよう細心の注意を払ってきたはずなのに、「なぜ違反と決めつけ、事情聴取を要請したり、元の部下などを逮捕するのか。検察の要求については弁護士を通じて回答し、資料も出してきた」という思いがあるに違いない。そして官僚や検察が、実質的に日本の政治を動かし得る現在の制度を改革するため、事務次官会議を廃止したり、官僚の国会答弁を原則禁止にしたりしている。また「法務省では法務次官を務めた人間が検事総長になるという制度も他の役所と比べおかしいのではないか」などと発言、法務・検察のシステムのあり方にまで首を突っ込む姿勢をみせていた。これも検察側にとっては気になったことだろう。
こうしてみると「検察対小沢」の衝突は必然のコースであったようにも見える。ただ、検察はどこまで証拠を持ち、小沢氏を追い詰めているのか。裁判を考えると今から手持ち材料や捜査の筋を言うことはできない、というのが検察の言い分のようだが、メディアに次々と出てくる新事実の中に検察がリークして追い詰めているものも少なくないように思える。特に当初は小沢氏の資金のうち4億円の出所がはっきりしないとされ、メディアも巨額の4億円について、華々しく報道した。ところが、小沢氏が「カネの出所についてはすでに検察に通帳まで出してある」と主張し3億円以上は自分のお金を充てていると述べた途端、検察側は「まだ1億円の出所がはっきりしない」と4億から1億円強の行方に話が変わってきた。無論めまぐるしい資金の出し入れ、複雑な4億円をめぐる経緯についてまだ腑(ふ)に落ちない点も多い。それにしても4億から1億円に縮小しては随分と話が小さくなってしまい、4億円の数字はどんな意図でどこが流していたのか、と考え込んでしまう。国民からすると、悪銭にまみれた政治もゴメンだが、検察・警察の権力がギラつくのも薄気味悪い。検察もある程度の説明をしてもらいたいとも思う。
2010年1月22日