2006年3月31日金曜日

【小泉内閣】 郵政法案成立

 小泉内閣時代、郵政法案成立までの時系列の記録

(リンク切れ)
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt47/20060331AS3S3100G31032006.html

(9/12)郵政法案成立へ、特別国会20日にも召集
 衆院選での自民党の圧勝を受け、政府が再提出する郵政民営化法案の成立が確実な情勢となった。先の通常国会で反対や欠席・棄権した自民党の参院議員28人のうち12人が賛成に転じる意向を示し、与党からの反対票が法案否決に必要な17票に達しない見通しとなったためだ。政府・与党は特別国会を20日にも召集する方向で調整に入り、10月中の法案成立を目指す。

 小泉純一郎首相は11日夜のNHK番組で「自民・公明連立政権で進めてきた改革を続けたい」と表明。公明党の神崎武法代表と12日午後に党首会談を開き、連立政権を継続する方針を確認する。特別国会での首相指名選挙を経て首相は第三次小泉内閣を発足させるが、郵政法案の審議を優先し、基本的に現閣僚を再任する意向。本格的な内閣改造と自民党役員の人事は法案成立後に断行する運びだ。

(9/12)日銀総裁、郵政改革進展は大きなプラス・構造改革に期待表明
 【バーゼル(スイス)=菅野幹雄】福井俊彦日銀総裁は11日夜(日本時間12日未明)、衆院選で自民党が大勝し、郵政改革が進展する見通しになったことに関して「長い目で見て非常に大きなプラスだ。資源が一定の方向にしか使われない大きな固まりが分解し、いろいろなところに使われる」と語り、構造改革の後押しになるとの期待感を示した。

 主要国中央銀行総裁会議出席のため、訪問中のスイスのバーゼルで一部記者団に語った。

 総裁は総選挙結果が日銀の金融政策に影響を及ぼすかどうかについては「まったく影響はない。われわれは中立的であり独立している」と強調。日本経済への影響について「そう直接的な影響が日本経済にあるわけではない。構造改革は長期間の課題であり、もっと努力しなければならない」と表明した。

(9/13)郵政民営化、07年10月に半年延期・法案再提出へ修正
 政府は13日、21日召集の特別国会で再提出する郵政民営化法案に関し、2007年4月としていた民営化開始時期を同年10月に半年間延期するよう修正する方針を決めた。先の通常国会で成立させる予定がずれ込んだことから民営化に必要なシステム整備が間に合わないと判断したためだ。

 小泉純一郎首相が13日午前、首相官邸で竹中平蔵郵政民営化担当相と会談。竹中氏は07年4月1日と明記している開始時期を10月1日に改める条文修正をする考えを伝え、首相が了承した。2017年4月の完全民営化の時期も半年後にずれ込むことになる。首相はかねて法案内容は基本的に変更しない考えを示しており、政府は開始時期を除く修正は最低限にとどめる方針だ。

 政府は衆院選での与党勝利を受け、郵政法案の再提出に向けた調整を本格化した。首相は閣議後の閣僚懇談会で「特別国会に向けてしっかりやってほしい」と強調。細田博之官房長官は「法案を直ちに再提出し早期成立を目指す必要がある。関係閣僚は迅速に作業するなど最大限の協力をお願いしたい」と各閣僚に指示した。

(9/13)中曽根議員、郵政民営化法案に賛成の意向表明
 通常国会で郵政民営化法案に反対した自民党の中曽根弘文参院議員は13日、都内で記者会見し、特別国会に再提出する郵政法案について「明確な国民の意思を重く受け止める」として賛成する意向を表明した。これにより、先の通常国会で同法案に反対した参院の旧亀井派全員が賛成に回る。

(9/14)郵政法案、消費税減免を見送り・政府、今月末に法案提出
 政府は13日、21日召集の特別国会に再提出する郵政民営化法案の内容を固めた。2007年4月としていた民営化時期を10月に延期するものの、過疎地の郵便局の赤字を補てんする基金の拡充など4項目の修正を経て衆院本会議で可決した法案の骨格を維持する。自民党内に要望があった新会社への消費税の減免は見送る。衆院選での圧勝を受けて法案成立が確実になったこともあり、法案修正は最小限に抑える。

 9月末に再提出するのは7月に衆院で可決された法案とほぼ同じ内容。日本郵政公社を07年10月に持ち株会社と、その傘下の郵便貯金銀行、郵便保険(簡保)、郵便局会社、郵便事業会社の4社に分割・民営化することが柱だ。2017年までに郵貯、保険の2社は完全民営化され、その後、持ち株会社が2社の株式を買い戻すことは容認する。

 郵政法案は6月末に条文が固まるまで反対派に譲歩し続けたと批判されてきた。しかし郵政民営化を掲げて選挙で圧勝したため、(1)過疎地などの郵政サービスを維持するための基金の増額(2)郵便局会社の代理業務として銀行・保険業を例示――など通常国会での4項目の衆院修正にとどめる。

(9/16)郵政民営化の半年先送り、関係閣僚会議で決定
 政府は16日午前、首相官邸で郵政民営化法案の再提出に向け、竹中平蔵郵政民営化担当相ら関係6閣僚による会議を開いた。法案成立の遅れを考慮し、民営化開始時期(2007年4月)と完全民営化時期(17年4月)をいずれも半年先送りすることを決定。衆院段階で加えた過疎地の郵便局の赤字を補てんする基金の拡充などの修正を反映した内容とすることを確認した。

 細田博之官房長官は記者会見で「実質的な修正は行わない」と説明。参院採決の際にした付帯決議の中身は取り込まないと強調した。法案の国会提出は27日以降になるとの見通しを明らかにした。

 民営化開始を遅らせることに関して竹中氏は記者会見で「準備期間のスケジュールは変更しない方針だ」と述べ、06年1月の経営委員会の発足や06年4月の民営化委員会設置などの段取りは予定通り進める考えを示した。

(9/17)政府・与党、郵政法案の10月中旬成立めざす
 自民、公明両党は、21日召集の特別国会に政府が再提出する郵政民営化法案について、10月4日に衆院で審議入りし、同14日までに参院での成立を目指す方針を固めた。衆院で3分の2を超える議席を確保した与党は国会運営で主導権を握っており、郵政法案は10月中旬に成立する見通し。11月1日までの会期は延長しない方針で、小泉純一郎首相は11月初旬に内閣改造・自民党役員人事に踏み切る意向だ。

 政府は17日未明、持ち回り閣議で特別国会の21日召集を決めた。与党は郵政法案の審議は衆参の特別委員会でそれぞれ2、3日間程度で終わらせる方針。10月6日か同7日に衆院で可決し、同12日か同14日の成立を想定している。

(9/22)郵政民営化法案を与党が了承、26日にも閣議決定へ
 与党は22日、今国会に再提出する郵政民営化法案を了承した。通常国会で否決された法案とほぼ同じだが、法案成立が当初想定より遅れることを考慮し、2007年4月の民営化開始と17年4月の完全民営化の時期をいずれも半年先送りした。政府は26日にも法案を閣議決定し、国会に送る。10月4日に審議入りし、14日までに成立させる方針だ。

 自民党は22日朝から郵政関係合同部会、政調審議会、総務会を相次いで開き、党内手続きを終えた。公明党は昼の政調全体会議で了承した。

 民営化開始時期の半年延期は、システム整備などにかかる時間を確保するためだ。

 衆院段階で加えた修正も盛り込んだ。(1)郵便局会社の業務範囲に銀行業と生命保険業を例示(2)過疎地の金融サービスを維持するための基金は1兆円を超えて積み立てが可能(3)持ち株会社が金融2社株を完全処分した後に買い戻す場合に備え、議決権を連続的に行使できるようにする――など。

 一方、参院採決の際に採択した付帯決議にある経営形態を含めた将来の見直しなどは反映させなかった。

(9/25)郵政対案で廃止か民営化の結論明記・民主党野田国対委員
 民主党の野田佳彦国対委員長は25日のNHKの討論番組で、郵政民営化関連法案の対案について「郵便貯金と簡易保険のそれぞれについて廃止か民営化か(の結論)を法案に入れ込んで提出する」と述べ、経営形態まで踏み込んだ内容の対案を示す考えを示した。

 野田氏は「予算委員会が終わるまでには(対案を)提出したい。審議にはそれなりの時間がいる」と指摘したのに対し、自民党の中川秀直国対委員長は「民意が選挙で示された。10月中旬ぐらいには成立を期したい」と強調した。

 野田氏は、岡田克也前代表が協議打ち切りを宣言した社会保障制度改革をめぐる参院両院合同会議について「まずは協議の舞台に出て行く。真摯な議論が行われるか見極めた上で判断したい」と協議を当面継続する考えを示した。〔共同〕

(9/26)政府、郵政法案を閣議決定・民営化時期を半年延期
 政府は26日午前の臨時閣議で、郵政民営化法案を決定した。同日中に国会に提出する予定。先の通常国会で廃案となった法案の骨格を変えず、持ち株会社のもとで4分社化する民営化の開始時期を2007年10月に半年延ばした。与党は10月4日に審議入りし、14日までの成立を目指す方針だ。

 民営化時期を半年延ばしたのは、時間的に余裕がないと言われてきたシステム整備に配慮したため。持ち株会社が金融2社(郵貯、保険)の全株式をいったん完全売却する完全民営化の時期も半年延ばして2017年10月とした。

 通常国会の衆院段階で法案修正した内容も反映した。有識者らで構成する郵政民営化委員会が3年ごとに実施する「検証」を「見直し」にするなどの内容を盛った。

 衆院選で与党は全議席の3分の2を超す議席を獲得。参院でも自民党内の反対派が相次いで賛成に回る見通しで、今国会での成立は確実な情勢だ。

(9/27)簡保07年廃止、郵貯は政府保証も廃止・民主が郵政対案
 民主党は27日午前の郵政改革調査会で、政府の郵政民営化法案の対案として「郵政改革法案」の概要を決めた。簡易保険は2007年に廃止し、既契約分を分割して12年までに民営化。郵便貯金は預入限度額を段階的に引き下げ、定額貯金の新規預入を停止、政府保証も廃止する。郵貯・簡保の資金を官から民に確実に流す狙いだ。

 同調査会は法案化作業を急ぎ、30日の「次の内閣」閣議で取りまとめ、国会に提出する。

 簡易保険の既契約分は、日本郵政公社の子会社として設立する2つ以上の「郵政保険会社」に分割譲渡。郵政保険会社の株式を12年9月末までに売却することで完全民営化する。

 郵便貯金は06年度中に預入限度額を1000万円から700万円に引き下げる。07年10月1日以降は公社の100%子会社として「郵便貯金会社」を設立。限度額は500万円に引き下げる。新規預入は停止し、旧貯金は郵便貯金会社の特別勘定で管理・運用する。

 郵便と、年金受け取りや振り替えなど決済サービスは「国の責任で全国的サービスを維持する」とし、郵便は公社を維持。決済サービスも郵便貯金会社で維持していく方針を示した。

(9/29)郵政公社、社宅跡など遊休不動産200件を年内に売却
 日本郵政公社は年内をメドに、社宅や郵便局の跡地など200件余りの不動産を売却する。売却額は合計で200億―300億円に達する見通し。2007年10月にも実現する郵政民営化を控えて経営効率を高めるには、不採算のリゾート施設にとどまらず、遊休不動産の整理を急ぐ必要があると判断した。

 今回売却するのは、首都圏を中心に計202物件。大半は社宅跡地だが、診療所や郵便局、物流センターなどの跡地も含まれる。東京・赤坂の旧社宅をはじめ、目黒や田園調布など高級住宅地にある物件も多い。マンション開発に適した土地も少なくなく、すでに複数の不動産業者が購入に意欲をみせているもようだ。売却額は200億円を超える見通し。

 売却の仲介会社として中央三井信託銀行を指名している。売却計画などについて10月中に中央三井から提案を受けたうえで、売却先を決定する。売却益は郵便事業の累損の補てんなどにも充てるとみられる。

(9/30)今年度の郵貯・年金の財投債引き受け、3兆500億円減額
 財務省は30日、財政投融資の2005年度の原資となる財投債(国債)の郵便貯金、簡易保険、年金資金による直接引き受けを予定より3兆500億円減らすと発表した。都市再生機構が財政融資資金特別会計への資金返済を増やし、特会の資金繰りに余裕が出るためだ。郵貯などは財投債を引き受ける予定だった資金を債券市場や株式市場に振り向ける見通しだ。

 01年度の財投改革で郵貯、年金が資金を財投に預ける制度は廃止され、財投債の発行で財源を調達する仕組みになった。財投は預かった資金を郵貯などに返済しているが、返済が終わる07年度までは財投債の発行が膨らむため、一部を郵貯、簡保、年金が市場を通さずに直接引き受けている。

(10/3)郵政公社、投信販売を開始・初の元本割れリスク商品
 日本郵政公社は3日、全国575の郵便局で投資信託の販売を始めた。郵便局が元本割れリスクのある商品を扱うのは初めて。東京・西新宿の新宿郵便局で開いた記念式典で、生田正治総裁は「(民営化という)大きな歴史の1ページをめくる寸前にある。郵便局のブランドと信頼を損なわないよう力を尽くしてほしい」とあいさつした。

 扱うのは(1)国内外の債券、株式、不動産投信に分散投資する投信(2)日経平均株価連動型投信(3)東証株価指数(TOPIX)の上昇率を若干上回る収益を目指す投信――の3種類。それぞれ野村アセットマネジメント、大和証券投資信託委託、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの商品を選んだ。

 投信を扱う職員は証券外務員の資格を取得した約4700人。今年度は1073億円の販売残高を見込んでいる。郵政公社は投信販売による手数料収入を新たな収益源に育てたい考えで、実際の販売状況をみながら取扱局や商品の種類を順次拡大する。5年目となる2009年度には販売残高1兆5300億円、手数料収入157億円を目指す。

(10/3)9月末の郵貯残高1.0%減少、9カ月連続マイナス
 日本郵政公社が3日発表した郵便貯金速報によると、9月末の郵貯残高は206兆6556億円と前月末に比べて1.0%減少した。マイナスは9カ月連続。定額貯金が満期払い戻し分の流出で1兆1149億円減ったほか、通常貯金も年金の支給月でなかったため7849億円減少した。

(10/3)郵便局の投信販売、初日は10億8000万円・「着実な出足」
 日本郵政公社は3日、全国575の郵便局で投資信託の販売を始めた。同日まとめた投資信託取り扱い状況(速報ベース)によると、初日の口座開設は1220件、販売額は10億8000万円となった。公社は「着実な出足」としている。

 単純計算すると、1人当たりの平均購入額は88万円。金融界では「投信1銘柄あたりの購入額は平均200万―300万円」(大手銀行)とされており、郵便局ルートの小口投資が目立つ。「これまで証券市場に関心がなかった人が顧客になる」(生田正治総裁)との予想が裏付けられたとの見方もある。

 郵政公社が取り扱うのは(1)国内外の債券、株式、不動産投信に分散投資する投信(2)日経平均株価連動型投信(3)東証株価指数(TOPIX)を若干上回る収益を目指す投信――の3種類。

 来年3月末までの半年間に約1100億円の販売を見込んでいるが、元本割れリスクなど顧客への説明を重視する観点から「営業現場に販売ノルマは課さない」(生田総裁)方針。東京都新宿区の新宿郵便局に一番乗りした女性も「きょうは商品の説明を聞きに来た」として購入は見送ったという。

(10/4)民主、郵政対案を提出・株式買い戻しは原則禁止
 民主党は3日、郵便貯金の規模縮小や簡易保険の分割・分離を柱とする「郵政改革法案」を国会に提出した。2007年10月に日本郵政公社の子会社として郵貯と簡保を分社化。簡保については完全民営化の時期を政府案より5年早い12年9月末までとした。公社による保険(簡保)各社の株式買い戻しを禁止する。6日の衆院本会議で政府・与党案とともに審議入りする。

 民主案は国会で否決・廃案となるのは確実。しかし国会審議のなかで郵政改革の「スピード」と「政府の関与排除」の面で政府案より進んでいるとアピールし「改革競争」で存在感を発揮したい考えだ。

(10/4)自民幹事長、郵政民営化法案反対派は月内に処分
 自民党の武部勤幹事長は4日午前の記者会見で、先の通常国会で郵政民営化法案に反対し衆院選に無所属で当選した議員らの処分について「今月中にすべてできるのではないか」と述べ、月内に処分する方針を表明した。処分を決める党紀委員会を郵政法案成立後に開き、具体的な処分内容の検討に入る段取りも示した。

(10/4)首相「郵政反対派処分は月内」
 小泉純一郎首相は4日夜、先の通常国会で郵政民営化法案に反対した議員らの処分について「今月いっぱいで国会が終わるので、やはり今月中がいい」と指摘。処分内容に関しては「私が独裁的に『除名』とかいうものではない。各選挙区の事情を勘案して執行部が党紀委員会と相談して決めるべき問題だ」との認識を示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

(10/7)麻生総務相、郵便事業の参入条件緩和検討を指示
 麻生太郎総務相は7日の閣議後の記者会見で、民間企業の郵便事業への参入条件の緩和に向けた検討を関係部局に指示したことを明らかにした。「市町村合併が進んで事情が前とは違っている」と指摘し、信書便法で義務づけている10万本の郵便ポストの設置基準数の見直しなどを含め、民間企業が参入しやすい枠組みを検討する考えを示した。

 結論の時期に関しては「早くやらないといけない」と語った。郵便事業への参入条件については、小泉純一郎首相が4日の参院予算委員会で「できるだけ参入しやすい環境をつくるべきだ。(ポスト数)10万本が固定される必要はない」と述べ、緩和に前向きな姿勢を示していた。

(10/7)首相、郵政法案「国民が生き返らせた」・衆院特別委
 衆院郵政民営化特別委員会は7日午前、小泉純一郎首相と竹中平蔵郵政民営化担当相ら関係閣僚が出席して郵政民営化法案と民主党の対案に関する総括質疑を行い、実質審議入りした。首相は再提出した郵政法案について「国民が生き返らせようとしている」と述べ、衆院選での与党の圧勝を受け、改めて法案成立に自信を示した。

 午前の審議では先の衆院選で初当選した自民党の片山さつき、佐藤ゆかり両議員らも質問に立った。

 首相は、民主党が提出した郵便貯金の規模縮小や簡易保険の分割・分離を柱とした対案に関して「通常国会で公社のままで改革できると言っていた。民主党もずいぶん、変わった」と批判。竹中担当相は今回提出した政府の郵政民営化法案は通常国会の時と骨格は変わっていないと指摘したうえで「通常国会での政府側の答弁は、今回の法案にも当てはまる」との認識を示した。

 民主党の仙谷由人前政調会長は、郵貯・簡保について「大きな資金量をそのまま運用できるのか」と述べ、同党が主張している規模縮小が必要との考えを主張した。

(10/7)参院自民、郵政法案反対の鴻池決算委員長ら更迭へ
 参院自民党執行部は7日午前、先の通常国会で郵政民営化法案に反対票を投じた鴻池祥肇決算委員長、亀井郁夫文教科学委員長、中川義雄農林水産委員長を更迭する方針を固めた。12日の参院本会議で辞任を了承し、ただちに新委員長を選任する。反対派の中核で予算委員長だった中曽根弘文氏は、9月の特別国会の冒頭ですでに更迭している。

(10/7)首相、郵政反対参院議員の処分「採決の態度で多少変わる」
 小泉純一郎首相は7日の衆院郵政民営化特別委員会で、先の通常国会で郵政民営化法案に反対した参院議員への自民党内の処分について「採決される場合に、どういう態度を取るかによって処分が多少変わってくるのではないか」と述べた。自民党執行部は厳しい処分を下す方針を示しているが、首相は今回法案に賛成すれば処分を軽減することに含みを持たせたものだ。

(10/7)日本郵政公社の引受郵便物数、8月は5.6%増・衆院選が影響
 日本郵政公社が7日発表した8月の引受郵便物数は、前年同月比5.6%増の17億1697万6000通だった。前年同月を上回るのは3カ月ぶり。衆議院議員選挙投票入場券の送付などで、はがきが7.8%増になり、手紙も0.5%増えた。

(10/9)野田聖子氏も郵政法案に賛成へ
 郵政民営化関連法案に反対した無所属の野田聖子元郵政相(岐阜1区)は9日、岐阜市の事務所で記者会見を開き「法案反対という自らの政治的主張は完敗した」と述べ、郵政民営化関連法案に賛成する意向を示した。

 野田氏は賛成へ転じる理由として、与党大勝の選挙結果を挙げ「法案が完ぺきなものでなくても、民営化のスピードを上げろという国民の声として理解した」と話した。

 自民党本部から衆院選挙区支部の解散を求められたことについて、野田氏は「やむを得ない」とし、解散準備を進めていることを明らかにした。予想される除名処分は「仮の話なので答えられない」とした。

 野田氏は7月の衆院本会議の採決では反対票を投じ、衆院選でも「法案には未熟な点が多い」と指摘していた。

 選挙後、自民党岐阜市連が野田氏に「選挙結果を踏まえて判断してほしい」と法案に賛成するよう求める要望書を提出するなど、地元でも賛成への転向を求める動きが活発化していた。〔共同〕

(10/10)自民、反対派処分で硬軟使い分け・郵政法案11日衆院通過
 郵政民営化法案が11日の衆院本会議で可決、参院に送付され、週内にも成立する。衆院選で自民党公認を得られず無所属で当選した13人の反対派の大半は賛成に転じる見通しだ。野田聖子氏も9日、岐阜市内での記者会見で「法案反対の政治的主張は完敗した」と賛成の意向を表明した。

 無所属組が方針転換した背景には、月内にも決まる党紀委員会の処分で除名を避けたい思惑がある。小泉純一郎首相は「採決でどういう態度をとるかで処分が多少は変わる」と述べ、離党勧告や党員資格停止などへの「減刑」を示唆した。

 党執行部は処分で軟化姿勢をみせる一方、強硬策も打ち出した。無所属組に選挙区支部の解散を求める通知を5日付で送付。対抗馬として当選した議員の支部に一本化するためだが、支部を窓口とする企業・団体献金を受けられなくする「兵糧攻め」といえる。

(10/11)米財務長官、郵政民営化「民間と競争条件同一に」
 訪日中のスノー米財務長官は11日午前、米大使館で記者会見し、郵政民営化について、簡易保険や郵便貯金を民営化する過程で「平等な競争の土台を整備すべきだ」と述べた。民業圧迫につながらないように、民間との競争条件を同一にすべきだとの考えを強調した。中国の通貨、人民元については「引き続き中国に前進を求める」として一段の変動幅拡大などが必要との考えを示した。

 スノー長官は郵政民営化法案が成立する見通しになったことに対して、「資本の流れが改善し、より生産性の高い分野に回すことが可能になる」と歓迎した。そのうえで民間金融機関との競争条件をそろえることで「日本の国民が本格的な競争の恩恵を受ける可能性が出てくる」と強調した。

 中国の人民元改革については、7月の対ドルでの2%の切り上げなどで「歴史的なステップを踏んだ」と評価しながらも、「市場の実勢に基づく、より柔軟性をもった為替レート制度は中国の利益にもかなう」と述べた。ただ今週末から北京で開くG20(20カ国)財務相・中央銀行総裁会議では、人民元問題は主要議題に入らないとの見通しを明らかにした。

 日本経済の現状については「成長率が以前よりも向上している」と評価した。内需主導の拡大が「世界経済の安定に貢献し、不均衡改善の道にもつながる」との考えを示した。

(10/11)民主代表「信条曲げて賛成とは寂しい」――郵政造反議員に
 「自分の信条を曲げてまで、民意だからという一点で賛成に回られたことについては寂しい思いをした」――。民主党の前原誠司代表は11日午後、党本部で記者会見し、郵政民営化法案の衆院本会議採決で先の通常国会での反対から一転し、賛成票を投じた野田聖子元郵政相ら一部無所属議員の“転向”をこう批判した。

 一方、衆院特別委員会での審議日程に関しては「非常に短い」と不満を表明。ただ、政府案に対抗して「郵政改革法案」を提出した対案路線については、「めげずに貫いていきたい」と力を込めた。

 12日から始まる参院での審議に向けては、「問題点はまだまだあるので、十分な審議を尽くしてもらいたい」と訴えた。〔NQN〕

(10/11)経団連会長、郵政民営化会社トップ「金融界以外から」
 日本経団連の奥田碩会長は11日の定例記者会見で郵政民営化に関連して持ち株会社と傘下の4事業会社のトップ人事について「生命保険や損害保険を含めて金融機関の関係者は業界の利権があるから、資格がないと聞いている」と述べた。

 郵便貯金や郵便保険の両事業会社のトップには金融界出身の民間人を登用するとの観測が出ていた。奥田氏は「利権が発生するものはやらない。選べないし、選ばないという話だ」と否定した。

 「日本道路公団や中部国際空港でトップが民間で次の人にプロパー(内部出身者)を充てたように、郵政でもそういう可能性がある」とも指摘した。

 政府は経団連の推薦候補を軸に道路公団の民営化会社などのトップ人事を決めてきた。政府は郵政民営化の作業をする準備会社を来年1月にも発足させる方針だ。

(10/11)民主、対案路線に手応え──郵政法案が衆院通過
 独自の郵政改革案を提出した民主党内では、前原誠司代表の「対案路線」による論戦の盛り上がりで一定の存在感を示せたとの受け止め方が多い。一方、巨大与党による対案の否決は仕方ないとしても「内容の粗さから政府案の問題点を追及するには迫力不足だった」(幹部)との反省も出ており、今後に課題を残した。

 前原氏は11日の記者会見で、政府案の衆院通過を「衆院選の民意として謙虚に受け止めたい」と語った。対案の効用は「我々は改革に反対しているのでなく、中身の競争をしている。国民にも分かってもらえたのではないか」と評価した。

 衆院郵政特別委員会での実質審議はわずか1日半。それでも簡易保険の分割・民営化を含む対案のおかげで「民主は反改革派」というイメージは薄れたとの見立てだ。党内は対案に前向きな反応が大勢で、「衆院選前に対案を出せばよかった」と悔やむ議員は多い。

(10/11)郵政民営化法案、200票差で衆院通過──14日成立へ
 政府が提出した郵政民営化法案は11日の衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、参院に送付された。衆院選での与党圧勝を受け、通常国会で反対票を投じ、自民党公認を得られずに当選した無所属議員のほとんどが賛成に回ったため、200票の大差で可決した。参院では12日に審議入りし、14日に成立する見通しだ。民主党が対案として提出した「郵政改革法案」は起立採決の結果、反対多数で否決された。

 政府案は記名投票の結果、賛成338票、反対138票、欠席・棄権3票だった。通常国会の衆院本会議では5票差で可決したが、今回は大差となった。

 反対派の無所属議員13人のうち、平沼赳夫氏が反対、野呂田芳成氏が欠席した以外は賛成した。反対派で国民新党を結成した綿貫民輔、亀井静香、亀井久興、新党日本に加わった滝実の各氏は反対した。参院では反対派のほとんどが賛成する意向を表明している。

(10/12)郵政法案、参院で審議入り・14日に成立へ
 政府が今国会で再提出した郵政民営化法案は12日午前、参院本会議で竹中平蔵郵政民営化担当相らが出席して趣旨説明と質疑を行い、審議入りした。本会議に続き参院郵政民営化特別委員会でも提案理由を説明し、13日には小泉純一郎首相が出席して総括質疑に臨む。同法案は14日に参院本会議で可決、成立する見通しだ。

 与党は特別委で郵便局網の維持や、民営化会社同士の取引にかかる消費税減免措置の検討などを盛り込んだ付帯決議を採択する方針。先の通常国会で採択した決議と同じ内容だ。

 先の通常国会の参院本会議で反対した自民議員の大半は賛成に回る意向を表明しており、成立は確実な情勢。仮に参院で否決されても、11日の衆院本会議で賛成した338人が再び賛成すれば、衆院の再議決で可決に必要な3分の2以上の賛成を確保できる。

 郵政民営化法案は、日本郵政公社を2007年10月に民営化し、持ち株会社のもとで郵便事業、窓口ネットワーク、郵便貯金、郵便保険の4つに分社化する内容。2017年9月末までに郵貯と保険の2社の株式を処分し完全民営化する。

(10/12)自民執行部、郵政民営化反対派の対抗馬から実情聴取
 自民党の武部勤幹事長、二階俊博総務局長は12日午前、先の衆院選で郵政民営化反対派の対立候補として擁立した片山さつき氏ら約20人から、それぞれ選挙の実態について報告を受けた。

 党紀委員会での反対派処分に向けて、執行部として選挙戦での党規違反行為を把握するのが狙い。対抗馬として戦った議員らからは除名を含めた厳格な処分を求める声が相次いだ。

 ほかに佐藤ゆかり、七条明、萩山教厳、金子一義各氏らが出席。反対派処分の在り方に関しては「国民が注視しているので、あいまいな仲良しクラブのような結論を出すと国民から批判を受ける」(佐藤錬氏)、「離党した人は安易に復党を認めないなどの分かりやすい対応が次の選挙につながる」(赤沢亮正氏)などの意見が出された。〔共同〕

(10/13)郵政完全民営化期間を3年に短縮・経済研究センター分析
 日本経済研究センター(深尾光洋理事長)は13日、日本郵政公社の完全民営化までの期間を3年程度に短縮すべきだとする金融研究報告をまとめた。補助金に支えられる郵政事業の収益構造や、民間銀行・保険会社への影響を分析。当面、新規事業を制限するなど民間と競争条件をそろえる必要があるとしている。

 郵貯資金を運用する際に上乗せされる優遇金利や、法人税の免除などを合わせると、年間で1兆円近い「見えない国民負担」が発生していると指摘。こうした恩典がなくなった場合、新たな収益源を開拓しない限り、目標利益を達成するには郵貯残高を現在の二倍弱に増やす必要があると試算した。

 一方、現在の規模を維持したままで民営化すれば、既存の銀行や保険会社にとって大きな脅威になると指摘。寡占を避けるため、政府保有株の売却期間を3年程度に短縮し、郵貯・簡保を民間の最大手以下の規模になるよう分割することなどを提言している。

(10/13)郵政法案、14日の参院本会議で成立へ
 政府が今国会に再提出した郵政民営化法案は14日の参院本会議で可決、成立する。衆院選での自民党圧勝により、採決では通常国会で反対に回った同党議員の大半も賛成に転じる見通しだ。参院郵政民営化委員会で採決後に「郵便局網の維持に万全を期す」などの付帯決議をすることも固まった。

 参院郵政委は14日午前から郵政法案を質疑し、午後には採決を実施。付帯決議は通常国会とほぼ同じ内容。その後、ただちに参院本会議に緊急上程し、郵政法案は同日午後にも成立する見通し。参院でも、衆院と同じ3日間のスピード審議となる。

 13日の委員会質疑では、小泉純一郎首相が付帯決議について「尊重して、郵便局は無くならないことを国民に分かるように対応しなければいけない」と述べた。

(10/14)郵政民営化法が成立、賛否は34票差・参院本会議
 政府が再提出した郵政民営化関連6法案は、14日午後の参院本会議で、自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。賛成は134票、反対は100票だった。先の通常国会では自民からの大量造反で、賛成108票、反対125票の大差での否決となったが、その後の衆院選で自民党が圧勝した結果を受け、反対票を投じたほぼ全員が賛成に回った。郵政民営化は、開始時期を半年間遅らせ、2007年10月から実現する運びとなった。

 本会議に先立ち、参院郵政民営化特別委員会は同日午前から6法案に関する質疑。午後の審議終了後に採決した結果、与党の賛成多数で可決し、参院本会議に緊急上程した。〔NQN〕

(10/14)郵政民営化法成立、経済界首脳が相次ぎ歓迎のコメント
 経済界首脳は14日、郵政民営化法成立を歓迎するコメントを一斉に出した。日本経団連の奥田碩会長は「総選挙の結果から国民が成立を強く望んできた法案だ」と歓迎したうえで「小泉首相が一貫して示した先見性と指導力に深く敬意を表したい」とした。郵政後の課題では社会保障制度改革、政府系金融機関改革を挙げた。

 政府の郵政民営化案を早くから支持してきた経済同友会の北城恪太郎代表幹事は「民営化の意義を十分に果たし、傘下各社が市場で健全に競争し、自立できる道筋を整備することが重要だ」と指摘。持ち株会社などの経営者の早期選任や複数の社外取締役の任命などを要請した。

 日本商工会議所の山口信夫会頭は「持続可能な社会保障制度改革、少子化対策、財政健全化など取り組むべき難しい課題は多い」と述べ、様々な改革に早く手を付けるよう注文した。

(10/14)自民、郵政法案反対派を月内処分へ・対象は反対票の59人
 郵政民営化法の成立を受け、自民党執行部は14日、先の通常国会で同法案に反対、欠席・棄権した議員の処分に向け、本格的な手続きに着手した。党紀委員会での処分対象者を反対票組の59人とすることを決定。欠席・棄権組の22人は武部勤幹事長の判断で可能な軽い処分とし、いずれも月内に決める。

 党紀委は21日に初会合を開いて審査に入る。対象者は衆院37人、参院22人。衆院選に無所属で出馬した反対組は投票行動だけでなく、党公認候補への選挙妨害も加わるため、厳しい処分になるとの見方が出ている。

 与野党の勢力が拮抗(きっこう)する参院側は除名や離党勧告などは避けたいのが本音で、役職停止などの軽い処分での決着を探る。片山虎之助参院幹事長は14日の記者会見で「処分は参院の意向を尊重してやるべきだ」と強調した。

 小泉純一郎首相は首相官邸で記者団に「それぞれの事情や選挙区が違うから、しっかりした手続きを踏み、慎重に考えてくださいと(指示している)。執行部に任せている」と述べた。

(10/14)参院、郵政民営化で消費税減免など15項目の付帯決議採択
 参院は14日の郵政民営化特別委員会で、民営化後の新会社の取引にかかる消費税減免措置や郵便局のネットーワーク維持への配慮などを求める15項目の付帯決議を採択した。内容は参院が先の通常国会で採択した決議と同じ。前回は「反対派の説得」が目的だったが、今回は参院の「存在意義」を訴えることに主眼を置いた。

 付帯決議は国会の意思として政府に尊重を求めるものだが、法的な拘束力はない。衆院では与党が3分の2超の議席を獲得し、参院は独自性の模索に躍起。自民党の片山虎之助参院幹事長は本会議後の記者会見で、参院の役割について「衆院の足らざるを補い、行き過ぎを抑え、国民の考えを立法の中に生かす」と強調した。

(10/14)郵政労組「民営化法成立、きわめて残念」
 日本郵政公社労働組合(JPU)と全日本郵政労働組合(全郵政)は14日、民営化法成立を受け「きわめて残念な事態だが、法成立という新たな現実も冷静に受け止めなくてはならない」とのコメントを発表した。

 全郵政の宮下彰委員長は同日の記者会見で「今後は組合員の不安を取り除き雇用を守る役割を果たす」と述べた。政府側と民営化の具体的な制度設計を協議する方針だ。

(10/14)郵政民営化法が成立・参院自民は棄権1で反対はゼロ
 政府が今国会に再提出した郵政民営化法が14日の参院本会議で、自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。先の通常国会では自民党から22人が反対票を投じて否決されたが、衆院選での同党圧勝を受け、造反は棄権1人にとどまった。小泉政権が最重要課題としてきた郵政民営化に道筋がついたことで、今後は11月初旬の内閣改造・自民党役員人事や、政策金融、公務員制度の改革などに焦点が移る。

 採決は記名投票の結果、賛成134票、反対100票だった。前回自民党で反対票を投じた議員のうち、亀井郁夫氏は本会議を途中退席。自民党を離党した国民新党の長谷川憲正、新党日本の荒井広幸両氏は今回も反対票を投じた。民主、共産、社民など野党各党も反対した。

 本会議に先立ち、参院郵政民営化特別委員会は郵便局網の維持や消費税の減免などを求める付帯決議を与党の賛成多数で採択した。

(10/14)郵政民営化法成立で米生保協が声明、同等の競争条件を
 【ワシントン14日共同】米生命保険協会は14日、郵政民営化関連法の成立を受けて声明を発表し、民営化後に外国企業と同等の競争条件が実現するよう省令制定など今後の手続きを注視していく考えを明らかにした。

 同協会は、現在の簡易保険が税制面などで優遇措置を受けていると指摘。こうした状態が続く限り新商品の発売を認めるべきでないと重ねて強調、民営化手続きを透明にするよう要請した。

(10/17)新会社経営陣「経験者いないと困る」・郵政公社総裁
 日本郵政公社の生田正治総裁は17日、民営化後の新会社の経営陣について「各分野について応分の知識がある人が望ましい。持ち株会社にも金融子会社のトップにも(金融の)経験者がいないのでは困る」と述べ、金融機関出身の民間人の登用を排除すべきではないとの考えを示した。都内で記者団の質問に答えた。

 2007年10月の民営化後は持ち株会社の下に郵便、郵便貯金、保険、窓口ネットワークの四つの事業会社が置かれる。生田総裁は持ち株会社のトップについては「特定分野の専門家である必要はなく、リーダーシップのある優れた経営者が就任すべきだ」と指摘。一方、傘下の四事業会社は「専門性がないと、しんどい」と語った。

 日本経団連の奥田碩会長は11日の記者会見で「金融機関の関係者は業界の利権があるから、資格がないと聞いている」と発言していた。

(10/18)郵政設立委に奥田経団連会長ら7氏内定・総務相
 麻生太郎総務相は18日午前、郵政民営化に向けた準備企画会社の設立作業を進める設立委員会委員に奥田碩日本経団連会長ら7人を内定した。民営化の具体的な計画作りを進める。政府は同日の閣議で、郵政民営化法の公布も決定した。

 準備企画会社は来年1月に発足。2007年10月の民営化に向けて、日本郵政公社の人員や資産を振り分ける「承継計画」を策定する。

 委員は奥田氏のほか、北城恪太郎経済同友会代表幹事、山口信夫日本商工会議所会頭、秋山喜久関西経済連合会会長、森下洋一郵政行政審議会会長、貝塚啓明金融審議会会長、生田正治日本郵政公社総裁の6人。

(10/19)郵政公社総裁「07年10月の民営化へ背水の陣」
 日本郵政公社の生田正治総裁は19日の記者会見で、郵政民営化法の成立に関連して「法律が決まった以上、2007年10月に民営化できるように背水の陣で臨む」と述べ、情報システムの整備を民営化までに間に合わせる方針を強調した。

(10/20)郵政公社、国際物流で全日空と提携
 日本郵政公社は20日、国際物流分野で全日本空輸と提携する方針を固めた。共同出資の貨物運送会社を設立する。同日午後発表する。今国会で成立した郵政民営化法は2006年4月以降、郵政公社による国際物流への進出を認めており、今回の提携が第1弾で、国際物流進出に向けた準備が本格化する。

 国際物流分野では中国をはじめアジア地域での成長が著しく、郵政公社が民営化前の本格参入を強く求めていた。郵政公社は今回の提携で自前の物流網を構築して海外の物流業者に対抗する。

 郵政公社は2007年の民営化をにらみ、国際物流事業を新たな収益の柱とする方向で準備を進めている。すでにオランダの国際物流会社TPGとの提携交渉も本格化している。

(10/20)自民の郵政反対派、5氏が離党届
 通常国会で郵政民営化法案に反対し、衆院選で自民党公認を得られず無所属で当選した古屋圭司(岐阜5区)、森山裕(鹿児島5区)、古川禎久(宮崎3区)の3氏が20日、党本部に離党届を提出した。落選した左藤章(大阪2区)、川上義博(鳥取2区)の両氏も提出した。

 党紀委員会の処分決定を前に離党届を提出することで除名などの厳しい処分を避け、将来の復党に望みをつなげたい思惑があるとみられる。これで衆院の郵政反対派37人のうち、新党結成組を含めた離党届提出者は計20人となった。

(10/21)関係閣僚、郵政公社・全日空提携を歓迎
 日本郵政公社と全日本空輸が国際物流で提携したのを受け、21日の閣議後の記者会見で関係閣僚は相次ぎ歓迎する意向を表明した。竹中平蔵郵政担当相は「民営化に向けた準備を公社が積極的に進めていると評価している」と指摘。北側一雄国土交通相は「どんどん外資系が参入してくる中で、荷主側にとっても、我が国企業の選択肢があることが非常に大事だ」と評価。民営郵政の肥大化への懸念は聞かれなかった。

 国際物流分野はドイツポスト傘下のDHLや米フェデラル・エクスプレスなど外資系4社の寡占状態で、成長が見込めるアジア市場でも競争が激化している。国交相は「国際競争力の維持向上を考えても物づくりと物流は車の両輪」と指摘。「今回の連携はぜひ成功してほしい」と述べ、日の丸連合に対する期待感を強調した。

(10/21)郵政公社、代引き回収代金の一括送金サービス
 日本郵政公社は24日、代金引換郵便物で配達時に回収した代金を一定期間分まとめて一括送金するサービスを始める。これまでは郵便物1個ごとに回収した代金を送金していたため、送金手数料がかさむとの不満が出ていた。手数料負担を減らすことで、通信販売業者などの配送需要を取り込めるとみている。

 新サービスは郵便小包「ゆうパック」が対象。配達と引き換えに顧客から回収した代金を、差出人が指定した期日に郵便局や銀行の口座に振り込む。配達状況や入金情報もインターネットで一覧できるようにする。

 代金引換郵便物を発送するときに、書留にしなくてもよい代金額の上限を従来の5万円から30万円に引き上げる。

(10/28)「かんぽの宿」8カ所廃止
 日本郵政公社は簡易保険事業で運営する保養施設「かんぽの宿」などのうち、赤字が続く8施設を来年3月末をめどに廃止する方針を固めた。2007年10月の民営化に向けて不採算施設の整理を進めるのが狙い。地元自治体などへの売却を軸に検討する。

 今回の廃止対象は層雲峡(北海道)、盛岡(岩手県)、米沢(山形県)、白石(宮城県)、妙高高原(新潟県)、佐渡(同)、安芸能美(広島県)、阿波池田(徳島県)の各施設。いずれも04年度決算で収支率(年間の支出に対する収入の割合)が90%を下回り、今後の採算改善も見込みにくいと判断。すでに地元自治体と調整に入った。

(10/28)竹中担当相、労使協議開始を組合側に要請
 竹中平蔵郵政民営化担当相は28日午前、郵政民営化法が成立したことを受け、日本郵政公社労働組合の菰田義憲委員長や全日本郵政労働組合の宮下彰委員長と会談した。竹中氏は民営化までに時間的な余裕がないため、準備企画会社が来年1月にできる前に、日本郵政公社と労使関係について実質的な協議を始めるように要請した。

 組合側は民営化後の職員の帰属問題などについて、政府にも配慮するように求めた。今回の会合で、郵政民営化に伴う労使間交渉が始まる基本的な環境が整った。

(10/28)郵政公社、「かんぽの宿」など12施設廃止
 日本郵政公社は28日、簡易保険加入者福祉施設「かんぽの宿」など8施設を来年3月末で廃止すると発表した。層雲峡、白石、盛岡、米沢、佐渡、妙高高原、安芸能美、阿波池田の各施設が対象。郵便貯金地域文化活動支援施設「ぱ・る・るプラザ」も青森、町田、岐阜、山口の4施設を来年10月末で廃止する。廃止後は地元自治体への売却を軸に検討する。

(10/29)郵政公社「名前入り年賀状」で民間提携
 日本郵政公社は年賀状に差出人の名前、住所などを印刷するサービスで初めて民間企業と提携する。郵便局の窓口で注文を受け付け、これを名入れ印刷首位のマイプリント(東京都多摩市、松橋徹社長)につなぐ。刷り上がった年賀状は郵便小包の「ゆうパック」で利用者のもとに届ける。年賀状は電子メールなどに押されて伸び悩んでおり、販売促進をねらう。

 東京都内の立川、町田、八王子など約400の郵便局で、来年の年賀状発売日の11月1日から注文を受け付ける。需要動向などを見きわめながら、他地域へのサービス拡大を検討していくとみられる。

(10/31)郵政公社、アジア向け物流に照準・オランダ大手と提携発表
 日本郵政公社は31日、オランダに本拠を置く国際物流大手、TNTと提携すると正式発表した。第1弾として2006年4月をめどに合弁会社を日本に設立、日本発着の国際急送便サービスを共同ブランドで展開する。成長が続くアジア太平洋市場の輸送需要を取り込み、低迷する郵便事業のてこ入れを目指す。

 郵政公社は来春をめどに、TNTの日本法人に出資し、両社の共同出資会社に衣替えする。資本金は10億円超となる見込み。出資比率は未定だが、郵政公社が過半を握る見通し。社長は外部からの人材登用を含めて検討する方針だ。

 新会社は日本発着の国際急送便サービスを展開する。まずは現地進出した日本企業の需要が大きい中国・上海向けからスタートする考えだ。将来は中国などアジア各国での合弁会社の設立も検討し、「アジア太平洋地域での主導的地位」(生田正治総裁)の獲得を目指す。

 郵政公社はこれまで日本国内で引き受けた国際郵便物を相手国の郵便事業者に引き渡すことしかできなかった。

(10/31)竹中総務相、郵政行政局の組織・業務縮小検討を表明
 竹中平蔵総務・郵政民営化担当相は31日夜の閣議後の記者会見で、「官のリストラも当然出てくる。日本郵政公社が(民営化で)なくなれば、郵政行政局は今のままである必要はない」と述べ、公社を監督する総務省郵政行政局の組織・業務の縮小を検討する考えを表明した。

 郵政民営化後の新会社の経営陣や、監視機関である郵政民営化委員会の人事に関しては「郵政民営化がうまくいくかどうかのキー(鍵)になる。首相と相談しながら決めたい」と述べ、人選を急ぐ考えを示した。

 楽天によるTBSへの経営統合申し入れについては「個別の経営の問題。いい、悪いと申し上げる立場にはない」と語った。NHKの受信料制度見直しは「簡単には答えが出ない。党の内外の意見にオープンに耳を傾けたい」と述べるにとどめた。

(11/1)郵政公社の投信窓販、参入1カ月で95億5000万円
 日本郵政公社は31日、10月から参入した投資信託の累計販売額(同日現在、速報値)が合計95億5000万円だったと明らかにした。顧客へのリスク説明を徹底したことなどもあり、控えめなスタートとなった。

 1営業日あたりの販売額は約4億8000万円、郵便局1局では1営業日で約85万円となる。口座開設件数は約9000件。1人当たりの購入額は約75万円と、大手銀行平均の200万―300万円に比べて小口だった。

(11/1)総務相:民営化後の郵政新会社トップ、大企業経営の経験者望ましい
 竹中平蔵総務・郵政民営化担当相は1日午前の閣議後記者会見で、郵政民営化後の新会社の経営陣の人選について「どのような人になるかがうまくいくかどうかの最大のキー(鍵)になる」との考えを改めて示した。その上で人選の基準について「非常に大きな企業の経営になる。経営は総合力なので大企業の経営の経験があり、組織、従業員をしっかりまとめていく力があること」を条件にあげ、民間人登用を示唆した。さらに「将来に対する洞察力と組織を引っ張っていくリーダーシップがとりわけ求められている」とも付け加えた。

 時期については「難しい人選なので、小泉純一郎首相と良く相談しながらしっかりと進めていきたい」と述べるにとどめた。〔NQN〕

(11/3)竹中氏「郵政民営化委、1カ月以内に人選」
 竹中平蔵総務・郵政民営化担当相は2日のNHK番組で、郵政民営化後の新会社の経営陣や監視役となる郵政民営化委員会の人事について「1カ月以内に小泉純一郎首相とよく相談して決めたい」と表明した。「大変重要な人選だ。郵政民営化の成否がかかっている」と強調した。

(11/11)郵政民営化推進本部、15日に初会合
 政府は11日、郵政民営化法に基づき設置した郵政民営化推進本部の初会合を15日に開くと発表した。小泉純一郎首相が本部長を務め、全閣僚で構成する。2007年10月の民営化に向け、準備作業を本格化させる。

(11/11)政府、西川氏の「日本郵政」初代社長就任内定を発表
 政府は11日、2007年10月の郵政民営化で発足する持ち株会社「日本郵政」のトップに三井住友銀行の前頭取、西川善文氏(67)を充てる人事を発表した。同日の記者会見で西川氏は民営化会社について「リスクをとって利益をあげる」「規模の拡大よりも競争力」などと収益重視の経営方針を強調した。「民営郵政」のビジネスモデルづくりが本格化し、郵政民営化は新たな段階に入る。

 首相は同日午後、首相官邸で竹中平蔵郵政民営化担当相とともに西川氏と会談し、就任を正式に要請し、西川氏が受諾した。西川氏は来年1月、持ち株会社の前身となる準備企画会社の社長にまず就任し、民営化後もトップとして経営を担う。

(11/15)西川氏らの設立委員就任を了承・郵政民営化本部
 政府は15日午前、郵政民営化法に基づいて設置した郵政民営化推進本部(本部長・小泉純一郎首相)の初会合を首相官邸で開いた。民営化後の持ち株会社の母体として来年1月に設ける準備企画会社の設立委員に、同社の社長に内定した西川善文・前三井住友銀行頭取らが就任することを了承した。

(11/15)米USTR代表、郵政民営化の「公平な実施」要請
 【釜山=加藤修平】二階経産相は15日、釜山でポートマン米通商代表部(USTR)代表と1時間程度会談した。同代表は「郵政民営化が公平な形で実施されることを期待している」と語り、米国の保険会社が不利にならないよう配慮を要請。日本が米国産牛肉の輸入を再開するよう改めて求めた。

 米国は国の出資が残る郵政民営化会社が取り扱う保険の種類を増やして業務を拡大することを警戒しており、同代表は「日米首脳会談でも求める」と述べた。

 牛肉輸入の再開については二階経産相が日本の対応を説明し、米国の要望を日本の関係者に伝えると返答した。WTOのドーハ・ラウンドの進展を目指す点では両氏とも一致した。

(11/16)窓口値上げ、ATMは下げ――郵政公社が送金手数料見直し
 日本郵政公社は16日、来年4月3日から送金決済サービスの手数料を見直すと発表した。専用用紙を使って通信販売の代金などを業者の口座に振り込む「通常払い込み」では、窓口利用時の手数料を引き上げる一方でATM手数料は据え置き、ATMの利用を促す。窓口扱いの手数料引き上げは45年ぶりだ。

 公社は見直しについて「事務の効率化が狙い。顧客サービス向上につなげたい」と話している。

 郵便貯金口座間での資金のやりとりで、一般の人もよく使う「電信振替」は窓口での手数料を据え置く。ATM利用の場合やパソコン・携帯電話の場合は引き下げる。

(11/18)竹中郵政相、郵政民営化で意見交換・ドイツポスト会長
 ドイツ訪問中の竹中平蔵総務・郵政民営化担当相は18日夕(日本時間19日未明)、ドイツポストのツムヴィンケル会長と会談し、日本郵政公社の民営化の段取りなどを説明した。ツムヴィンケル会長は「公営企業体が大きな変化を遂げるには時間がかかる」と述べ、民営化完成には十分、時間をかけるべきだとの考えを示した。(フランクフルト支局)

(11/21)特定郵便局、相続税軽減を「1回限り」条件に継続・政府方針
 政府は特定郵便局の敷地を相続した際にかかる相続税の軽減措置を2007年10月の郵政民営化後も当面続ける方針だ。特定局の敷地は局長ら個人が所有するケースが多く、税制優遇を前提に歴代の局長らが次世代に引き継いでいるため、突然軽減措置をなくすのは難しいと判断。今後1回限りで認める。

 特定郵便局は全国に約1万9000カ所あり、局長らが持つ土地・建物を使うケースが大半。「国の事業に提供された土地」との理由から、400平方メートルまでは相続税を算定する際の基準となる価格を8割減額できる。軽減を打ち切ると税負担が膨らむ局長らから不満が出る可能性があった。

(11/21)郵政公社総裁、分割後の会社間取引への消費税減免など要望
 日本郵政公社の生田正治総裁は21日、自民党の中川秀直政調会長と会談し、公社を分割して発足する民営化会社間の取引にかかる消費税の減免を検討するように求めた。貯金・保険会社の株式売却益の一部を過疎地でのサービス維持に充てる「社会・地域貢献基金」についても積立額への非課税措置を要望した。

 生田総裁は同日の記者会見で「民間企業と平等な競争条件と言いながら、郵政グループ会社にだけ大きな負担がかかるのはおかしい」と指摘した。

(11/21)郵政公社の9月中間、純利益2.7倍の9984億円――株高で含み益
 日本郵政公社が21日発表した2005年9月中間決算は公社全体の純利益が9984億円と前年同期の約2.7倍に上った。ただ株価上昇で保有株式に多額の含み益が発生するなど特殊要因による部分が大きい。郵便、郵便貯金、簡易保険の3事業とも「じり貧」傾向を脱したとはいえないようだ。

 郵政公社が中間決算を公表するのは今回が初めて。固定資産への減損会計も初めて適用した結果、郵便貯金会館(メルパルク)や「かんぽの宿」、逓信病院など134施設や遊休資産を対象に計2243億円の損失を計上した。

 事業部門別にみると、郵便事業は赤字。ただ売上高に相当する経常収益は前年同期比でわずかながら増え、減少に歯止めがかかった。はがきや封書の減少分を、郵便小包「ゆうパック」やダイレクトメール便の拡大で補う作戦が功を奏し始めたともいえる。通期では156億円の最終黒字を見込むが、生田正治総裁は「(達成を)確信している」と自信を見せる。

 郵便貯金部門の純利益は前年同期の2.5倍に膨らみ、1兆円を突破した。ただ、信託を通じて保有する株式の含み益(5936億円)を「金銭の信託運用益」として利益に計上していることが主因。これを除くベースでは4748億円と前年同期に比べて6.9%減った。

(11/22)在日米商議所、郵政民営化で政策提言
 在日米国商工会議所は22日、郵政民営化法の成立を受けた政策提言を発表した。「民間企業と対等な競争条件が確立されるまでは、郵政新会社による新規事業への参入や新商品の投入を認めるべきではない」と指摘。政府の郵政民営化委員会による認可基準を明確にしたり、決定過程の透明性を高めることを求めた。

(11/25)郵政公社総裁:三菱UFJ信との提携、郵便売り上げ減に歯止め
 日本郵政公社と三菱UFJ信託銀行と企業などを対象に郵便物の封入・発送サービスを提供する共同出資会社の設立すると発表した。同日都内で記者会見した生田正治総裁は、今回の提携の目的について「郵便事業は苦しい状況にある。普通郵便以外の分野で市場競争力を付け、トータルで売り上げ減少に歯止めをかける」と説明した。

 民営化前の郵政公社による業容拡大への積極姿勢については「公社法で許される範囲で、経営資源を活用して事業の健全性を図ることは、国民の利益に資する」と強調した。さらに、新会社が設立当初は株主総会の招集通知発送など証券代行業務を行うことを説明した上で、「証券分野に限らず、領域を広げてさらに売り上げを伸ばしていきたい」と意欲を示した。〔NQN〕

(11/28)全国の郵便局、04年度は27%が赤字・1年で2500局増
 日本郵政公社は28日、全国の郵便局の約27%にあたる5370局が2004年度に赤字だったとの試算を発表した。郵便貯金や簡易保険の利益が縮小したことで、赤字局の割合は03年度の14%(2870局)に比べてほぼ倍増した。07年10月の郵政民営化に向けて、赤字局の統合など郵便局網の効率化が課題になりそうだ。

 試算の対象は郵便、郵便貯金、簡易保険の3事業を手がける普通郵便局と特定郵便局を合わせた2万242局(簡易局は除く)。04年度決算をもとに、3事業の収益や費用を各郵便局の人員や取扱量に応じて配分した。

 赤字郵便局の割合が拡大したのは、04年度は資金運用収益の低迷などで3事業合計の利益が1兆3652億円と、前年度(2兆4676億円)に比べほぼ半減したのが主因だ。

 全国13の地域支社別にみると、最も赤字局の割合が高いのは北海道の55%。沖縄(50%)や東北(47%)など、過疎地や離島を抱える地域が続いた。首都圏や名古屋、大阪圏では赤字局の割合が全国平均を大きく下回った。支社別の損益では、北海道を除くすべての支社が黒字だった。

(12/9)郵政民営化の準備企画会社、来月23日に設立
 政府は9日、郵政民営化に向けた準備企画会社「日本郵政」を来年1月23日付で設立すると発表した。設立委員会で会社の定款などを議論したうえで、1月20日に創立総会を開く。

 竹中平蔵総務相は9日の閣議後の記者会見で、郵便、郵便局、郵便貯金銀行、郵便保険の4事業会社のトップ人事は「設立までに内定しているのが望ましい」としたうえで、「(民間企業に比べて)待遇が良くなることはありえず、いい経営者を見つけるのは難しい」と述べ、調整が長引く可能性を示唆した。

(12/10)郵便参入条件を緩和、ポスト規制も見直し・総務省方針
 総務省は、日本郵政公社が事実上独占している郵便事業への民間企業の参入を容易にするため、規制を緩和する方針を固めた。現行の信書便法を改正し、民間が参入できる範囲を郵便物の重さを基本とする客観的な基準に切り替える。郵便ポストを10万本以上設けることを参入企業に義務付けている規制も緩和する見通しだ。竹中平蔵総務相のもとに有識者で構成する委員会を月内に設置、来年6月までに結論を出す。

 委員長には住友信託銀行の高橋温会長を起用する。企業経営の経験者らの意見を参考にして、民間参入が進み、郵便分野での競争が促進される環境づくりを目指す。

 日本郵政公社の発足に伴って2003年4月に施行した信書便法では、はがきや封書、請求書など特定の受取人に意思表示する文書を「信書」と定義。日本郵政公社による取り扱いを原則としつつ、一定の基準を満たす民間企業による参入を認めている。

(12/13)竹中総務相、郵便参入規制緩和で検討委員会設置を表明
 竹中総務相は13日の閣議後の記者会見で、日本郵政公社が事実上独占している郵便事業への参入規制緩和について「民営化するしないにかかわらず、市場を常に競争的にするのは重要。全国一律サービス義務と独占分野の関係など幅広く議論したい」と述べ、有識者による検討委員会を設置する考えを表明した。

 委員会の開催時期については「年明けからフル稼働できるようにしたい」と指摘。人選を年内に終えたうえで、通信・放送の融合や地方分権に関する各懇談会と同様に来年1月に初会合を開く方針を示した。

(12/14)「日本郵政」設立委が初会合・定款案を大筋了承
 政府は13日、郵政民営化に向けた準備企画会社「日本郵政株式会社」の設立委員会の初会合を開き、民営化後の委員会等設置会社への移行などを盛り込んだ新会社の定款案を大筋で了承した。

 設立委は新会社の定款を作成し、創立総会の発起人となる。委員長には日本商工会議所の山口信夫会頭を選んだ。

 資本金額や発行株式総数、取締役の数、本社所在地など未確定の項目は、来年1月11日の第2回会合で決める。20日の創立総会を経て、23日に新会社が正式に発足する。

(12/16)竹中総務相、郵便参入促進へ有識者研究会の設置表明
 竹中平蔵総務相は16日の閣議後の記者会見で、日本郵政公社が事実上独占している郵便事業への民間参入を促すため、有識者による研究会を設置すると正式に発表した。来年1月13日に初会合を開き、半年程度で結論を出す。

 「郵便におけるリザーブドエリアと競争政策に関する研究会」は、高橋温住友信託銀行会長、井手秀樹慶大教授、宇田左近マッキンゼー・アンド・カンパニー・プリンシパル、梶川融太陽監査法人総括代表社員、黒川和美法大教授、国領二郎慶大教授、中山弘子新宿区長の7人で構成する。

 政府の規制改革・民間開放推進会議が検討しているNHKの衛星放送のスクランブル化について総務相は「予見を持たずに幅広く議論したい」と述べ、近く設置する私的懇談会で検討する考えを示した。

(12/19)自民、郵政法案造反議員の処分確定・除名は計11人に
 自民党は19日、亀井郁夫参院議員の除名を決め、先の通常国会で郵政民営化法案に造反した国会議員の処分がすべて確定した。最も重い除名処分は衆院10人、参院1人の計11人に達した。党執行部は今後、衆院選で反対派議員を支援した県連幹部らを処分し、地方組織の「正常化」を急ぐ。

 亀井氏は国民新党に移った亀井静香衆院議員の実兄。通常国会で郵政法案に反対、衆院選では党広島県連会長のまま静香氏を応援、特別国会では採決を棄権した。反党行為が重なり、参院ではただ1人、離党勧告を受けた。亀井氏は「処分が不公平」などとして不服審査請求をしたが、今月8日に却下。10日以内に離党届を提出しなかったため除名が決まった。

(12/21)郵政公社総裁、郵便事業参入「自由化は段階的に」
 日本郵政公社の生田正治総裁は21日の記者会見で、総務省が検討している郵便事業への民間参入規制の緩和について「欧州と同じように(公社や民営化会社の郵便事業が)健全になってから段階的に自由化する手順を踏んでほしい」との考えを示した。

 生田総裁は「公社の郵便事業は5000億円の債務超過で、自由化だけが進めば破綻する可能性もないとは言えない。郵便料金の値上げなど国民負担につながる可能性もある」と指摘。当面は一定の範囲で独占を容認して黒字構造が確立してから、民間参入を認めるべきだとの認識を示した。

 民間参入の範囲に関しては「信書かどうかという概念で定義しているのは日本だけ。欧米のように重さや基本料金など数字で厳正に定めるべきだ」と指摘した。

 国際物流事業で提携したオランダのTNTによるロジスティクス部門の売却に関しては「提携事業に影響はない」と述べた。

(12/22)郵政公社、セイコーマートと郵便小包取り扱いで提携
 日本郵政公社は22日、北海道を地盤とするコンビニエンスストアのセイコーマート(札幌市)と提携すると発表した。来年3月からグループの約1100店舗で郵便小包「ゆうパック」の取り扱いを順次始める。郵政公社がコンビニと提携するのは6社目。

(12/26)郵政民営化の監視機関委員長に田中直毅氏
 政府は26日、来年4月に発足する郵政民営化の監視機関、郵政民営化委員会の委員長に経済評論家の田中直毅氏を充てる人事を決めた。同日夕に発表する。

 委員はこのほか、増田寛也岩手県知事、冨山和彦産業再生機構専務、大田弘子政策研究大学院大学教授、野村修也中央大学教授で構成する。

 田中氏は郵政民営化問題に詳しく、小泉純一郎首相が2001年の政権発足直後に設置した私的懇談会「郵政3事業の在り方について考える懇談会」の座長も務めた。

(1/1)年賀状配達の出発式・総裁「民営化準備への出発式」
 日本郵政公社の年賀郵便配達出発式が1日朝、東京都新宿区の新宿郵便局で行われ、約30人の職員が自転車やバイクで、肌寒い新春の高層ビル街に一斉に繰り出した。出席した生田正治総裁は「郵政3事業の民営分割が決まり、今朝はその準備に向けての出発式でもある」とあいさつした。

 日本郵政公社によると、全国の元日配達分の年賀郵便物は昨年より7.8%少ない約20億5200万通。電子メールの広がりなどで6年連続の減少となった。

 午前8時から行われた式では、来賓の竹中平蔵総務相が「民営化は間違いなく国民のためになる。しっかりと準備に当たっていただきたい」と述べた。

 戌年にちなみゴールデンレトリバーが、同郵便局近くの飲食店に年賀状を配達した。〔共同〕

(1/4)12月末の投信販売残高、前月末の2.3倍に・郵政公社
 日本郵政公社は4日、昨年12月末の投資信託販売残高が410億1300万円と前月末の2.3倍になったと発表した。株高を背景にボーナスで投信を購入する顧客が増えたことが主因だ。

 郵政公社は昨年10月、全国の郵便局で投信の取り扱いを始めた。今年3月末の残高目標は1073億円だが、10、11月は低調だった。「職員がリスク商品の扱いに慣れてきた」(投資信託部)との声もある。株価連動型投信の売れ行きが好調だったという。昨年12月中の販売金額は前月の2.9倍に拡大した。

(1/10)郵政準備会社の自己資本、3000億円――政府が最終調整
 政府は10日、23日に発足する郵政民営化の準備企画会社「日本郵政」の自己資本を3000億円とする方向で最終調整に入った。自己資本を厚めに積み、運用益を新会社の運営経費に充てる狙い。本社は東京都港区虎ノ門の賃貸ビルに置く。11日の同社設立委員会で正式決定する。

 日本郵政公社が3000億円を全額出資し、政府に無償譲渡する。2007年10月の民営化で持ち株会社に移行して4つの事業会社を傘下に収める際に、自己資本を大幅に積み増す見込み。

(1/11)「日本郵政」の自己資本3000億円・設立委、定款案を了承
 政府は11日、郵政民営化に向けた準備企画会社「日本郵政」の設立委員会(委員長・山口信夫日本商工会議所会頭)の第2回会合を開き、新会社の自己資本を3000億円とする定款案を了承した。同委員会が発起人となって創立総会を20日に開催、23日に新会社が正式に発足する。

 新会社が設立時に発行する株式総数は600万株で、1株の価格は5万円。1500億円を資本金、1500億円を資本準備金に組み入れる。日本郵政公社が全額出資し、政府に無償譲渡する。

 新会社は2007年10月の民営化時点で持ち株会社となり、傘下に4つの事業会社を収める。委員会等設置会社への移行をにらみ、定款案では取締役を20人以内、監査役は3人とした。

(1/12)郵政公社、三越と提携へ・「手紙」付き贈答品など
 日本郵政公社と三越が電信文付きの贈答品配達など新サービスの開発を柱に提携する方向で、最終調整に入った。2007年10月の民営化をにらみサービス水準を高めたい郵政公社と、全国に約2万4000ある郵便局のネットワークを使って売り上げを伸ばしたい三越の思惑が一致した。商品配送に関する共同出資会社の設立も視野に、1月中の合意を目指す。

 提携第1弾として、ファクシミリなどを通じて利用者が依頼した文面を郵政公社が相手先に届ける「レタックス」に、三越のギフト商品を組み合わせるサービスを今年4月から始める見込み。

 慶弔時に使われることが多いメッセージサービスはNTTの電報が需要をほぼ独占しているが、贈られた人が商品を選べるカタログギフトをレタックスに加えることで、出産や昇進祝いなど「記念日」のメッセージ需要を幅広く掘り起こす。

(1/13)郵便の民間参入促進検討、総務省研究会が初会合
 総務省は13日、日本郵政公社が事実上独占している郵便事業への民間参入促進を検討する「郵便におけるリザーブドエリアと競争政策に関する研究会」(座長・高橋温住友信託銀行会長)の初会合を開いた。欧州連合(EU)の制度を参考に、民間参入を促す方向で制度を見直す。

 現行の信書便法ははがきや封書など特定の受取人に意思表示する「信書」について郵政公社による取り扱いを原則としつつ、一定の条件を満たす民間企業の参入を認めている。しかし、地域限定型の「特定信書便事業」には132社が参入する一方、全国でサービスを展開する「一般信書便事業」には1社も参入していない。

 小泉純一郎首相は昨年秋、「民間ができるだけ参入しやすい環境をつくるべきだ」として民間参入促進に向けた規制緩和を指示していた。竹中平蔵総務相は研究会の冒頭、「利用者の利便性を高める枠組みについて根本的に議論してほしい」とあいさつした。

(1/14)郵便局会社CEOにトヨタ出身の高橋氏が浮上
 2007年10月の郵政民営化で発足する郵便、郵便局(窓口ネットワーク)、郵便貯金銀行、郵便保険の4事業会社の最高経営責任者(CEO)人事が大詰めを迎えた。郵便局会社のトップにはトヨタ自動車出身の高橋俊裕日本郵政公社副総裁(66)の名が浮上している。

 4事業会社のCEOは持ち株会社の前身「日本郵政」の取締役に就任する見込み。日本郵政は3―7人の取締役で経営委員会を構成し、民営化後のビジネスモデルづくりなどを担う。これまでに持ち株会社の社長に内定した西川善文前三井住友銀行頭取、団宏明日本郵政公社副総裁、高木祥吉郵政民営化推進室副室長の3人が取締役に内定。残り4人の枠には事業会社のトップが就任する見込みだ。

(1/16)郵政反対派支援、自民が地方「けじめ」にメド
 先の衆院選で郵政民営化反対派を支援した自民党地方組織に党執行部が「けじめ」を求めていた問題が一段落しつつある。党執行部は県連幹部らの交代を強く求める一方で、離党した県議らの復党を認めるなど柔軟姿勢も見せ始めた。来年夏の参院選をにらんで地方組織との関係正常化を急ぐよう求める声が強いためだ。ただ「中央の統制」を強める執行部への地方の不満は根強く、火種は残っている。

 郵政民営化法案に反対した党国会議員の処分は終わっている。地方組織については県連による自主的な処分のほか、「反党行為が顕著」とした6県連には党執行部が直接、人事刷新などを要求。対応が遅れている徳島、岐阜などの県連を含め18日の党大会までの決着を求めている。

(1/18)郵政公社、特定局長の定年引き下げを検討
 日本郵政公社は17日、一般職の国家公務員でありながら一部に世襲が残る特定郵便局長制度を見直す方針を固めた。定年年齢を現行の65歳から60歳に引き下げ、最初に就任した郵便局から原則として転勤しない慣行もなくす。2007年の民営化をにらみ、政治との関係が深い特定局長も「聖域」とせず改革を進める。

 近く全国特定郵便局長会との調整に入る。人事制度の見直しに加え、特定局長が所有している局舎の一部を公社が買い上げる方針

(1/18)郵政公社、特定局制度の廃止明言できず・収益改善に課題
 日本郵政公社の生田正治総裁は18日の記者会見で、特定郵便局長の優遇を見直す改革案を発表した。特定局長の定年を早めたうえ、原則として転勤させない慣行を廃止する。2007年10月の民営化をにらみ、過大な経費の温床となっていた特定局長の「特権」を減らす。しかし特定局制度そのものの廃止は明言できず、郵便局の収益改善に課題も残した。

 総裁は「制度見直しが不十分なため必要のない費用が発生していた」と述べた。政治との関係の深さを背景に採算性が低いままリストラが進まなかった特定局も聖域とせずに改革を進める方針を明言したものだ。特定局長の権益維持の原動力にもなっていた「特定郵便局長業務推進連絡会」は解散する。ただ総裁は「激変緩和措置も必要だ」とも指摘、改革は段階的に進める考えを示した。

 まず今月中に特定局長の他局異動を解禁。転勤がないことで地元政治家と親密になり、その関係をテコにリストラなどに抵抗する弊害が生じていた。

(1/19)コンビニ「ゆうパック」勧誘訴訟、ヤマト運輸が敗訴
 日本郵政公社が郵便小包(ゆうパック)料金を民間よりも安く設定したり、不当な利益提供で大手コンビニエンスストアのローソンを取次店に勧誘したのは独占禁止法が禁止する「不公正取引」に当たるとして、ヤマト運輸が差し止めを求めた訴訟の判決で東京地裁(市村陽典裁判長)は19日、請求をいずれも棄却した。

 判決理由で市村裁判長は「ゆうパックの料金が不当に低いとは言えず、ヤマトの事業活動を困難にさせる恐れも認められない」と指摘。郵政公社がローソンに不当な利益提供をしたとの証拠もないとして、「不公正な取引には当たらない」と述べた。

(1/20)郵政民営化へ準備企画会社「日本郵政」が設立総会
 郵政民営化に向けた準備企画会社「日本郵政」の設立総会が20日午前、都内のホテルで開かれた。出席した竹中平蔵総務相は「21世紀型の新しい日本の市場経済をつくる歴史的意味がある」とあいさつした。民営化時の持ち株会社社長に内定している西川善文前三井住友銀行頭取ら取締役と監査役を選任し、定款を承認した。

 日本郵政は2007年10月にできる持ち株会社の母体で、23日に発足する。

 創立総会では西川氏のほか、団宏明日本郵政公社副総裁、高木祥吉郵政民営化推進室副室長を取締役に選任した。定款には600万株を発行し、自己資本を3000億円とすることを盛り込んだ。

(1/23)「日本郵政」が発足・民営化後へビジネスモデル検討
 2007年10月の郵政民営化に向けた準備企画会社「日本郵政」は23日午前、東京都内で発足式を開いた。前三井住友銀行頭取の西川善文社長ら経営陣のもとで、民営化後の事業戦略を構築する。小泉純一郎首相が改革の本丸と位置づけてきた郵政民営化が、実現に向けて本格的に始動する。

 日本郵政の自己資本は3000億円で、東京・港区に本社を置く。日本郵政公社が全額出資し、政府に無償譲渡する。初代社長には西川氏が就任、高木祥吉前郵政民営化推進室副室長、団宏明日本郵政公社副総裁が取締役に就いた。3人は経営委員会を構成し、民営化の事業戦略づくりを指揮する。当初の職員数は45人。

 経営委員会のメンバーは最大7人となっており、政府は4事業会社の最高経営責任者(CEO)含みで経営委員となる残りの取締役の人選を進めてきたが、新会社の発足には間に合わなかった。

(1/23)日本郵政社長「事業モデルお寒い状況」・準備会社発足
 2007年10月の郵政民営化に向けた準備企画会社「日本郵政」は23日午前、東京都内で発足式を開いた。前三井住友銀行頭取の西川善文社長(67)ら経営陣のもとで、民営化後の事業戦略を構築する。西川社長は「民間との競争を考えれば、いまの事業モデルはお寒い状況だ」と述べ、新しい商品やサービスの開発に意欲を示した。小泉純一郎首相が改革の本丸と位置づけてきた郵政民営化が、実現に向けて本格的に始動する。

 西川社長は「JRやNTTなどと比べても最大規模の民営化になるが、事業の競争力は(JRなどよりも)劣る」と強調。郵便貯金については「融資業務にできるだけ早く進出したい」と述べ、民間金融機関に競争を挑む意向を表明した。民営化後の政府との関係では「政府による出資は残るが、政府の介入・制約を受けることは絶対に排除しないといけない」と明言した。

 日本郵政の自己資本は国が3000億円を全額出資した。東京・港区に本社を置く。初代社長には西川氏が就任、高木祥吉前郵政民営化推進室副室長(57)、団宏明日本郵政公社副総裁(58)が取締役に就いた。3人は経営委員会を構成し、民営化の事業戦略づくりを指揮する。当初の職員数は45人。

(1/23)日本郵政の西川社長、新規業務へ積極参入の方針示す
 2007年10月の郵政民営化に向けた準備企画会社「日本郵政」が23日発足した。西川善文社長(前三井住友銀行頭取)は同日の記者会見で「事業展開に制約が加えられれば、民営化会社の経営が行き詰まる懸念もある」と強調、新規業務参入を積極的に検討する方針を示した。競合する民間企業から「民業圧迫」の批判が高まるのは必至。4月に発足する政府の郵政民営化委員会の判断に関心が集まりそうだ。

 「競争力のあるビジネスモデルがどれだけあるかというと、非常にお寒い状況だと言わざるを得ない」

 西川社長が強調したのが、日本郵政公社が担ってきた今の郵政事業の限界だ。

 同社長の専門分野である銀行業務(郵便貯金)については「定額貯金を中心に資金調達し、国債で運用するビジネスモデルは民営化後は通用しない」とバッサリ。簡易保険についても「保険市場では国内・外資とも商品や販売方法でしのぎを削っている。現状の延長線上では利用者の満足が得られない」として、取扱商品や販売手法の見直しを示唆した。

(1/24)郵政公社と三越が業務提携、新サービスや共同出資会社も
 日本郵政公社と三越は24日、慶弔メッセージとギフトを組み合わせた新サービスの開始や、「ゆうパック」の利用拡大に向けた営業活動などを柱に業務提携することで合意したと発表した。両社がそれぞれの強みを生かして補完関係を築くのが狙いで、物流業務などを念頭に共同出資会社の設立を目指すことでも合意した。

 「メッセージサービス」の名称で4月から始めるのは、信書と贈答品を組み合わせて届けるもの。メッセージと同時に届ける三越のギフトカタログから好きな商品を選んでもらい、後日ゆうパックで商品を配送する。

 料金は5000円のギフトコースの場合で6510円(消費税込み)。当初は北海道と東北地区で始め、順次全国に広げる。当面、「年間数億円の売り上げを目指す」(石塚邦雄三越社長)。

(1/25)日本郵政社長、郵貯など上限額の撤廃を
 2007年10月の郵政民営化に向けた準備企画会社「日本郵政」の西川善文社長は24日、日本経済新聞社などとのインタビューで、郵便貯金の預入額と簡易保険の保険金額は「民営化すれば制約がなくなると考えている」と述べ、限度額の早期撤廃を求める方針を表明した。郵便貯金で直営店を展開する考えも示し、民営化後に金融で拡大路線を進むことを強調した。

 来年10月の民営化後も郵便貯金の預入額と簡易保険の保険金額は上限を1000万円とすることが政府が定めた民営化の基本方針で決まっている。西川社長は「1000万円以上預けたい人がいる」と指摘し、上限額の撤廃を求める考えを示した。郵便局だけでなく、郵貯銀行が直接管理する直営店舗が「新しい商品を売るには最も効率的で、強力だ」と語った。

(1/30)日通、信書便サービスを2月13日に開始と発表
 日本通運は30日、民間業者として初めてとなる全国翌日配達の信書便サービスを2月13日から始めると正式発表した。配送料が1000円を超える書類を対象とし、企業間の文書のやり取りなどの需要を見込む。航空機を使うことで全国規模のサービスを実現する。初年度の取り扱い目標は100万通。現在この分野を独占する日本郵政公社の郵便書留のシェア切り崩しを狙う。

 新サービス「BSP」は、企業が本支店間でやり取りする社内文書や有価証券などが対象。専用の段ボールや航空機内の専用コンテナを使って機密を確保する。(1)専用段ボールを無料で提供する(2)送り主のところまで集荷に訪れる――などによって郵便とのサービスの差を鮮明にする。東京―中部間など一部地域では、書留よりも安い料金も設定する。

 産業界ではコンプライアンス(法令順守)の観点から機密文書を信書として運ぶ需要が高まっており、日通は大企業中心に荷主の開拓を進める。

(1/30)郵政公社、民間と提携加速・全日空などと貨物新会社
 全日本空輸(ANA)と日本郵政公社、日本通運、商船三井は30日、国際貨物を運ぶ貨物機運航会社を共同出資で設立すると正式に発表した。需要が伸びている東アジアを中心に、顧客の獲得を目指す。郵政公社は郵便物の落ち込みを補うため、民間企業と共同で新事業への参入を加速している。

 新会社「ANA&JPエクスプレス」には全日空が51.7%、日本郵政公社は33.3%、日本通運は10%、商船三井が5%を出資する。8月に営業を始める。3機の専用機を使って上海や香港、ソウルなど東アジアの主要都市と日本の間で貨物を運ぶ。社長にはANAの本坊憲吉貨物郵便本部長が就く。

 日本郵政公社は来年10月の民営化を前に、企業との提携を積極的に進めている。国際物流ではオランダの物流大手TNTとの提携に合意。三越とは信書と贈答品を組み合わせて送る新業務への進出などに合意した。郵便が電子メールに押されてじり貧になるなかで、「肥大化」との批判を受けつつも事業を拡大しようとしている。

(1/31)郵貯・簡保の限度額、撤廃に慎重に――田中郵政民営化委員長
 政府の郵政民営化委員長に内定した田中直毅21世紀政策研究所理事長は30日、日本経済新聞社のインタビューで、郵便貯金や簡易保険の限度額撤廃について「政府出資が残る間は自由にできるわけではないというのが大原則だ」と述べ、慎重に審議する考えを示した。限度額の早期撤廃など拡大路線を打ち出す日本郵政の西川善文社長ら経営陣との間で、2007年10月の郵政民営化後の業務内容を巡る綱引きが激しくなりそうだ。

 田中氏は現行1000万円の郵貯の預入限度額や簡保の保険金額の見直しについて、「具体的にどうするかは委員会が発足してからの議論だ」としたうえで、「米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)など諸外国の例をみても、暗黙の政府保証が残る企業はバランスシートが肥大化し、国の資源配分をゆがめる傾向がある」と指摘した。

 「無基準に業務拡大を認めれば、(経営悪化に伴う)事後的な処理コストを国民が負担することもある」と述べ、慎重に検討する考えを示した。

(2/1)郵政公社、今期は大幅な増益に・資金運用好調
 日本郵政公社の生田正治総裁は1日、都内で講演し、2006年3月期の純利益が「1兆6000億円から1兆7000億円になる」との見通しを示した。前期実績(1兆2378億円)と比べて大幅な増益となる。株価が大きく上昇したことで、郵便貯金で信託銀行に預けている資金の運用益が増えたとみられる。

 郵貯の資金は運用先の1つに信託銀行がある。委託した資金は期末ごとに評価額を洗い直し、損益を収益に反映する仕組みにしている。

 総裁は「民間企業と比べると、郵便も郵貯も収益率が低い」と指摘。収益をあげるため、民営化時には「ある程度、新規事業への参入が認められるべきだ」と語った。

(2/2)資産管理サービス信託、郵政公社の債券管理を1円で落札
 日本郵政公社が外部委託を計画する簡易保険部門の債券管理業務について、みずほフィナンシャルグループなどが出資する資産管理サービス信託銀行が1円で落札したことが2日、分かった。多額の手数料収入が見込めるため、採算がとれると判断したとみられる。

 郵政公社は2007年10月の郵政民営化に合わせて、簡保が保有する国債や公社債の管理業務の外部委託を計画。昨年末に資産管理を専門とする国内信託銀行3行を対象に指名競争入札を実施したところ、2行が1円の価格を提示した。

 郵政公社の入札をめぐっては、投資信託情報サービスを時事通信社が1円で落札した事例がある。

(2/4)郵政公社、1000局の業務集約
 日本郵政公社は全国で約4700の郵便局が手掛ける郵便物の集配や郵便貯金、簡易保険の営業業務を集約する方針だ。約1000局の業務を近隣の局に移す。2007年10月の民営化までに実施する方針として労働組合に提案した。収益力を高めるため、業務を広域で管轄する体制に切り替える。

 全国に約2万4600ある郵便局のうち、郵便物を集めて配達する「集配局」は約4700。集配局には個人と法人を対象に郵便貯金の勧誘や簡易保険の営業を手掛ける外務員がいる。約1000局で集配業務をなくし、規模の大きい近隣の郵便局が集配する体制に切り替える。外務員も原則として、地域の中核となる局に移す方針だ。

 移管を受けた局は現在と比べて広い地域で郵便物の集配や郵貯・簡保の営業を担当する。集配関連の事務作業もまとまるため、効率よく運用すればコスト削減につながる見通しだ。

(2/12)郵貯銀行、民間銀へ振込可能に──全銀システム加盟要請へ
 郵政民営化の準備企画会社、日本郵政は傘下の郵便貯金銀行がすべての民間金融機関と振込取引ができるようにするため、民間金融のシステムへの加盟を検討し始めた。実現すると、現在はいったん現金を下ろす必要があった郵貯口座から民間口座への資金移動がATM処理で可能になるなど利便性が大きく高まる。ただ、地域金融機関の反発は必至で、郵貯への預け入れ限度撤廃など規制緩和問題に影響する可能性もある。

 民間金融との振込取引を可能にするには、民間金融の為替決済を集中処理するシステム、全国銀行データ通信システム(全銀システム)への加盟が必要。日本郵政の西川善文社長は「振込など決済サービスの充実は不可欠」と判断し、全銀システムへの加盟認可を全国銀行協会へ要請することを検討している。

(2/16)日本郵政社長、企業買収を容易にする制度改正求める
 郵政民営化の準備企画会社、日本郵政の西川善文社長は16日午前の自民党総務部会で、「現行の制度では(民営化会社による)買収に制約がある。経営の自由度をできるだけ確保させてほしい」と述べ、民営化会社による企業買収を容易にするため制度改正が必要だとの認識を示した。

 西川社長は「ドイツポストの民営化が成功した秘訣の1つは、3兆円近い資金を投じて企業買収を繰り返したことにある」と指摘。「資本の力にものをいわせて買収することは考えていないが、互いにメリットがある場合は買収が必要になるケースもある」と指摘した。

 民営化会社が企業買収する場合は、監視機関である郵政民営化委員会による審査や所管官庁による許認可などの手続きを経る必要がある。

(2/17)郵政公社生田総裁、「信書」の基準明確化を要望
 日本郵政公社の生田正治総裁は16日、総務省の研究会に出席し、手紙やはがきなど特定の人にあてた「信書」を客観的な基準で定めるよう要望した。現在は民間事業者が扱うメール便との境目があいまいで、郵政公社内では「メール便と称して信書を送っている可能性がある」との不満が高まっている。生田総裁は公社が独占している一般信書への民間参入を認めつつ、公社が全国一律のサービスを保つために独占できる信書を明確に定めるべきだと強調した。

 全国で配達する一般の信書は郵便局が独占して扱ってきたが、生田総裁は信書をはっきりするために「外形基準を設けるべきだ」と述べた。具体策には言及しなかったが、一定の重さを下回れば信書とするような基準を想定しているとみられる。そのうえで「自由化していくのは当然だが、段階的に進めるべきだ」と指摘した。

 郵便事業は電子メールなどに押され、苦戦が続いている。ただ10万本のポスト設置が義務で、料金が総務相の認可制であるなど信書便への参入はハードルが高く、民間事業者にも不満が多い。

(2/24)郵政公社、05年度の純利益2兆円程度に・総裁が見通し
 日本郵政公社の生田正治総裁は24日、都内で開かれた共同通信社主催の「きさらぎ会」で講演し、2005年度決算の純利益が2兆円程度と、04年度の約1兆2400億円から大幅な増益になるとの見通しを明らかにした。株価上昇で、郵便貯金部門の株運用益が増えたことが要因とみられる。また、郵便事業の純利益が200億円台になる見通しも示し、同事業では3年連続で黒字を確保しそうだ。

 郵政公社は2007年10月に民営化される。生田総裁は、公社のままでも当面は黒字を維持できるとの見通しを示したが、「10年後は売上高は半分になり、行き詰まる」と指摘、民営化することで事業範囲を段階的に拡大して経営基盤の安定を図る必要性を強調した。

 民営化に伴う新規事業について、生田総裁は「新経営陣が決めること」と前置きした上で、民営化後の郵便貯金銀行で手掛ける新規事業として協調融資、証券化ビジネス、住宅ローンなどを挙げた。また郵便保険会社についても、現在1000万円の保険金の限度額を2000万―3000万円へと引き上げることや、医療、介護など「第3分野」への参入などを例示した。〔共同〕

 日本郵政公社は28日、重さ1キログラム以内の小型郵便物を対象にした「簡易小包」サービスを4月1日から始めると発表した。現在取り扱っている一般小包に比べて配達スピードがやや遅い代わりに、料金は全国一律で400円と、一般小包(最低600円)や定形外郵便物(1キログラム以内580円)よりも割安にする。通信販売商品などの配達需要を取り込み、民間宅配業者のメール便に対抗する。

 愛称は「ポスパケット」。大きさはA4サイズ以内、厚さ3.5センチメートル以内と郵便ポストに投函(とうかん)できる荷物に限定する。荷物を引き受ける際に受領証を交付せず、配達時の受取人の印鑑や署名も省くなど手続きを簡単にする。

(3/1)郵政公社の投信販売残高、年度内の1000億円達成確実に
 日本郵政公社は1日、2月末の投資信託販売残高が前月末比37%増の934億8100万円になったと発表した。郵政公社は昨年10月に投信の販売を開始。販売件数は毎月伸びており、3月末に1073億円とした残高の目標は達成が確実となった。

 販売が最も多いのは野村アセットマネジメントの商品。なかでも「分配コース」は販売前の予想よりも分配金が多く、2月の販売額のうち60%程度を占め、全体の残高に占める割合も46%に達した。

 販売に伴って顧客に開設してもらう口座の数は累計で7万7000強。1口座あたりの残高は約120万円で、1月末と比べて約10万円増えた。

(3/2)日本郵政公社、純利益2兆円に――06年3月期見通し
 日本郵政公社の2006年3月期の純利益は前期比6割増の約2兆円になる見通しとなった。株式相場の上昇で郵便貯金部門が保有する株式に1兆円近い含み益が発生することが主因。03年4月の公社発足から3期連続の黒字が確実となった。

 郵貯部門は信託を通じて保有する株式の含み益を毎期、利益として計上している。郵貯残高の減少に歯止めがかかっておらず、含み益を除く郵貯部門の純利益は前年比減少する見込み。

(3/7)郵貯銀の直営店舗230、簡保80・民営化時の展開を日本郵政調整
 郵政民営化の準備企画会社である日本郵政は2007年10月の民営化時に、郵貯銀行に約230、簡易保険は約80の直営店舗を設ける方向で調整に入った。郵貯銀行などは民営化で発足する郵便局会社に窓口業務を委託することが決まっている。ただ、顧客ニーズを的確にとらえるためには、一定の規模で直営の店舗を置く必要があると判断した。

 国内銀行の支店数は三井住友銀行、みずほ銀行で400前後。郵貯銀行の直営店はその半分強の規模となる。郵貯銀行は全国約2万4000カ所の郵便局と、新設する直営店で窓口業務を営む。

(3/7)郵政公社、企業広告入りはがきを限定発売
 日本郵政公社は7日、はがきの裏側に企業広告を載せた「e―センスCard」を28日から6月27日までの期間限定で発売すると発表した。1枚につき50円で、発行枚数は28万枚。広告主は14社で、それぞれが独自のイメージキャラクターなどを描く。東京中央と新宿、渋谷、横浜中央、大阪中央の各郵便局で取り扱い、東京中央では通信販売も受け付ける。

(3/15)郵政公社総裁「今期の純利益1兆6000億円」――3年連続黒字に
 日本郵政公社の生田正治総裁は15日午後の記者会見で、2006年3月期の純利益が1兆6000億円になるとの見通しを示した。3年連続の黒字。郵便貯金部門の信託運用益が1兆円程度に膨らむことに加え、郵便事業部門が「上期に売り上げが下げ止まり傾向となった」ことから243億円の黒字になる見込み。

 また、国際物流への進出のために、オランダの国際物流会社TNT日本法人に4月から出資する予定の延期を明らかにした。「当社にとって難しい提案が新しく次々とでてきており、あせらず交渉していきたい」と語り、具体的な内容への言及は避けた。

 また、郵便物流拠点を9月以降に現行の4700拠点から3700拠点へ減らす案に対し、地方から不安の声があがっていることについては、「利用者が不便になるような(物流拠点の)減らし方はしない」と述べた。〔NQN〕

(3/15)郵政公社、システム担当役員に元みずほ銀常務を起用
 日本郵政公社は、元みずほ銀行常務執行役員の吉本和彦氏(59)をシステム担当の理事兼常務執行役員に起用する人事を発表した。銀行で大規模システム障害の収拾にあたった人材を登用して、2007年10月の郵政民営化に向けたシステム対応に万全を期す狙い。4月1日付で実施する。

 吉本氏は1970年に旧富士銀行に入行し、主にシステム畑を歩んだ。02年春の3行統合時でシステム障害が発生した際には担当役員として事態の収拾に奔走。直近はグループ会社のみずほ情報総研で専務を務めていた。

 郵政公社は来年10月の郵便事業、郵便局、郵便貯金銀行、郵便保険の4分社化に向けてシステムの再構築を進めているが、作業の遅れを指摘する声も出ている。

(3/23)郵貯銀、大手銀から基幹システム買い取りへ
 郵政民営化の準備会社、日本郵政は2007年10月の民営化で発足する郵便貯金銀行の基幹システムを、大手銀行から買い取る方向で検討に入った。みずほ銀行・日本IBMと、三菱東京UFJ銀行・日立製作所に打診した。システム経費を数百億円規模で圧縮して経営効率を高める。独自開発ならシステムエンジニア(SE)不足で民営化に間に合わないと判断。利用者が他の金融機関の口座に資金を振り込めるようシステム整備を急ぐ。

 金融機関がライバルから基幹システムを買い取るのは極めて異例。

 買い取るのは、口座残高や資金移動を管理する銀行業務にとって根幹となるシステム。旧富士銀行が使っていた日本IBM製と、旧UFJ銀行が使っている日立製作所製を候補とする。みずほ銀行は04年に旧第一勧業銀行のシステムへの統合作業を完了、三菱東京UFJ銀行も08年に旧東京三菱銀のシステムへの一本化を予定し、いずれも統合で不要となる。

(3/24)郵政公社、全日空との貨物便運航会社への出資申請
 日本郵政公社は24日、全日本空輸などと共同で運営する国際航空貨物の運送事業会社「ANA&JPエクスプレス」への出資を認可するよう総務省に申請した。総務相の認可が得られれば、4月中をめどに4200万円を出資する。郵政公社にとって、初の国際物流事業となる。

 同社は全日空の全額出資子会社として2月1日に設立ずみ。郵政公社の出資が得られれば、出資比率は全日空が51.7%、郵政公社33.3%、日本通運10.0%、商船三井が5.0%になる。

(3/28)郵政公社、郵貯会館など8施設廃止
 日本郵政公社は28日、郵便貯金会館(メルパルク)など全国で8カ所の宿泊関連施設を007年3月末に廃止すると発表した。利用者数が伸び悩み、安定した利益を出す運営が難しいため。郵政事業は07年10月の民営化後、5年以内にメルパルクなどをすべて廃止する方針を定めており、採算が悪い施設は前倒しで撤退する。

 今回の廃止対象は札幌市と新潟市、金沢市、福岡市、那覇市にあるメルパルクに加え、リゾート施設の「メルモンテ日光霧降」(栃木県日光市)と「メルパール伊勢志摩」(三重県志摩市)、会議室や音楽ホールがある「ぱ・る・るプラザ千葉」(千葉市)。

(3/31)郵政民営化委事務局長に細見氏
 政府は31日、内閣審議官の細見真氏を郵政民営化委員会事務局長にあてる人事を正式発表した。4月1日付で発令する。

(3/31)郵貯、4月3日から定期貯金金利上げ
 日本郵政公社は31日、郵便貯金の金利を4月3日から引き上げる方針を固めた。対象は定期貯金で、金利引き上げは約5年半ぶり。日銀の量的緩和解除を受け、民間金融機関は3月下旬から相次ぎ定期預金金利を引き上げた。定期貯金の利率は現行は3年物で0.06%。民間金融機関の3年物は0.1%台半ばに上昇しており、郵政公社も民間の金利水準を参考に最終調整している。

 31日午後にも発表する。200兆円もの残高がある郵便貯金の利率は算定の目安が法律で定められており、定期貯金は民間の定期預金金利と同じ水準にするとされている。

 主力の定額貯金の金利については引き続き検討するが、近く上げるとみられる。

(3/31)郵貯残高、約11年ぶり200兆円割れ・民営化控え改革進む
 郵便貯金の残高が約11年ぶりに200兆円を割った。日本郵政公社が31日発表した郵便貯金速報によると、30日時点の残高は199兆9933億円。長引く低金利で郵貯の魅力が薄れている。預入限度額を超える貯金をなくすように顧客に働きかけるなど、民営化を控えた改革が順調に進んでいる。

 郵便貯金は定額や定期など4つの商品がある。定額貯金は預入期間が6カ月を超えると自由に払い戻しができる。1990年代初めには金利も高く、人気が高かった。郵貯全体では2000年2月末に約260兆円の残高を記録。現在の三菱東京UFJ銀行の預金量の2倍を超える額を国が集めた格好で、「郵政肥大化」の象徴だった。

 2000年以降は低金利が響き、10年満期を迎える定額貯金の流出が続いた。05年度はすでに約15兆円減少。一時は1000万円の預入限度額を超える額が7兆円あったとされるが、生田正治郵政公社総裁が国会答弁で「06年3月までに解消する」と発言。郵便局で顧客に別の金融機関に預け替えるよう求めたり、投資信託の購入を勧めたりしたことが、全体の残高減にもつながった。

(4/4)郵貯限度額の規制撤廃「慎重に」・民業圧迫を懸念
 郵政民営化の監視役を担う政府の郵政民営化委員会の初会合が3日開かれた。会合後に記者会見した田中直毅委員長は郵便貯金や簡易保険の限度額の緩和について「郵便貯金銀行や郵便保険会社の株式を売却する計画が確実になれば議論する」と指摘。2007年10月の郵政民営化後も政府の出資が残り、民業圧迫の懸念があるうちは限度額規制を緩めるのに慎重な考えを示した。

 民営化委員会は有識者5人で構成する政府の組織。郵政事業は民営化されてからも政府の出資が残るため、新規事業への参入が民業圧迫にあたらないかといった点について、委員会が第三者の視点でチェックする。

(4/7)定額貯金、3年以上の金利0.10%に・郵政公社
 日本郵政公社は7日、預け入れてから6カ月たつと払い戻しが自由になる定額貯金の金利を10日に引き上げると発表した。預入期間が3年以上の場合の金利は0.10%(現行は0.06%)になる。定額の金利上げは6年半ぶり。日銀の量的緩和政策解除を受け、民間金融機関が定期預金金利を上げたのに足並みをそろえる。

 引き上げ後の新金利は預入期間が1年以上の1年6カ月未満で0.04%(同0.03%)、1年6カ月以上の2年未満は0.05%(0.03%)、2年以上の2年6カ月未満は0.06%(0.04%)、2年6カ月以上の3年未満が0.07%(0.05%)。郵便貯金では、3日から定期貯金の金利も上がっている。

(4/12)郵政公社、国際物流参入決まる・貨物便運航会社へ出資
 郵政民営化の作業を監視する政府の郵政民営化委員会は12日の会合で、全日本空輸が設立した国際貨物便の運航会社に日本郵政公社が出資することを認めることで一致した。今後、郵政公社は総務相の認可を経て月内にも出資し、8月に業務を始める。郵政公社にとって初めての国際物流事業が動き出す。

 会合後に記者会見した民営化委の田中直毅委員長(21世紀政策研究所理事長)は「今回の出資には、同じ事業を手掛ける他の民間企業から特段の意見がないと聞いている」と述べ、民間企業の市場を不当に圧迫するおそれは小さいと判断したと説明した。

 しかし事業が順調に進まずに損失が発生すれば、郵便の全国一律サービスに悪影響が及ぶ可能性がある。このため民営化委は郵政公社に、事業の運営状況を定期的に報告することを求めた。これを受け、総務省は半年に一度、状況を報告するよう郵政公社に求める。

(4/16)郵政公社、投信販売目標を3倍に・2009年度
 日本郵政公社は2007年10月の民営化をにらみ、投資信託業務を大幅に拡大する。投信を扱う郵便局の数を民営化の時点で1550局に増やす。09年度の投信販売残高の目標を従来の3倍に当たる約4兆9000億円に引き上げ、金融機関の投信販売としては国内最大級となる見通し。投信販売を民営化後の郵便局と郵便貯金銀行の収益の柱に育てる方針だが、銀行も投信販売を強化しており、民業圧迫との批判も出てきそうだ。

 日銀がまとめた05年12月末の資金循環統計(速報)によると、家計が保有する投信の残高は51兆円と前年末比40%増。郵便局で約5兆円を販売すれば、現在の投信市場の1割弱を占める巨大販売窓口となる。

(4/17)郵政公社、北京に事務所開設・国際物流市場を調査
 日本郵政公社は17日、中国・北京に事務所を開設したと発表した。公社にとって初の海外事務所で、国際物流を対象に中国市場での需要動向や現地企業の動きを調べる。全日本空輸などと共同出資の貨物便運航会社で、東京と上海を結ぶ貨物便の運航を計画しており、日本と中国の間を運ぶ貨物の市場が伸びるとみている。

 事務所は5月中旬に業務を始める計画で3人を公社から派遣する。公社は約2年前から中国に事務所を設けることを検討してきたが、中国の郵政担当部署との調整を進める必要があり、設立までに時間がかかった。

 今回の事務所は国際物流に限った業務をするとしているため、金融や保険の分野での市場調査などはできない。物流に関連する分野でも現地での営業活動はできない。

(4/21)郵政公社、定期貯金金利を再引き上げ
 日本郵政公社は21日、定期貯金の金利を24日から引き上げると発表した。3年物の金利は年0.20%(現行は0.15%)で、日銀が量的緩和政策を解除してから2回目の利上げとなる。都市銀行を中心に民間金融機関が定期預金の金利を上げているのに追随する。

 1年以上、2年未満の間で満期を設定できる定期貯金の金利は年0.08%(現行は0.06%)、2年以上、3年未満の場合は0.13%(0.08%)、4年物は0.20%(0.15%)にする。

(4/23)郵政公社、投信販売に3社の商品追加
 日本郵政公社は郵便局で販売している投資信託に、6月から日興アセットマネジメント、興銀第一ライフ・アセットマネジメント、住信アセットマネジメントの3社が運用する商品を追加することを内定した。24日に正式決定する。大手銀行や証券を上回る店舗網を全国に持つ郵便局が投信販売を強化することで、個人マネーの「貯蓄から投資へ」の流れが一段と加速しそうだ。

 郵便局での販売に追加するのは(1)新興国を含む外国債券で運用する投信(2)新興国を含む外国株式で運用する投信(3)外国の不動産投資信託(REIT)で運用する投信(4)環境への配慮など企業の社会的責任を評価軸にして国内株式で運用する投信――の4種類。(1)と(2)を日興アセット、(3)を興銀第一ライフ、(4)を住信アセットが運用する。

(4/26)民営郵政、個人ローン参入・簡保上限額の引き上げも
 郵政民営化の準備企画会社、日本郵政は2007年10月からの民営化に向けた事業計画の原案をまとめた。住宅ローンなど個人向け融資やクレジットカード事業に段階的に参入し、簡易保険の保険金の上限額(現行1000万円)の引き上げも目指す。民間企業との競争へ顧客サービスを充実する。ただ民営化からしばらくは政府が持ち株会社の株式の大半を保有するため、事業拡大案には「民業圧迫」との批判が強まりそうだ。

 日本郵政は7月末までに、民営化時の人員配置や資産の振り分けなどを示す「承継計画」の骨格をまとめる。原案は計画のたたき台となるもので、民営化後の経営の基本方針となる。

 新規事業への参入の是非や時期については、民営化の作業を監視する郵政民営化委員会(田中直毅委員長)の判断に委ねられる。民営化開始時にただちに新規事業が認められる可能性は低いが、民営化委は政府保有株の市場売却が進めば段階的に容認していく見通しだ。

(4/26)郵便業務の労働効率、1年で9.9%改善・郵政公社総裁
 日本郵政公社の生田正治総裁は26日の記者会見で、全国1000カ所の郵便局で進めている郵便業務の効率改善運動で、2005年度末は前年度末に比べて労働の効率が9.9%改善したと発表した。トヨタ自動車のカンバン方式を取り入れて作業の無駄を減らした。ただ、余剰となった人員は効率化の指導要員としたため、人件費削減の効果はなかった。

 郵便物を仕分けする手順や家庭に配る順番を見直すことなどが改善の柱。一定量の郵便物を集荷して配るまでに、一定数の職員が従事する労働時間を短くする。05年度末は1000局の平均で10%近く短くなり、昨年末時点で1467人を別の業務に振り替えた。

 余剰となった職員は改善が遅れた局の指導を担当している。生田総裁は「改善の精神はすべての郵便局に広げたい」と語り、今後も取り組みを強化する意向を示した。

(4/27)郵政公社、郵便配達の一般職募集をゼロに・今年度
 日本郵政公社は27日、郵便物の家庭への配達などを担当する一般職の外務職員を今年度は募集しないと発表した。これまでは毎年2000人前後を採用してきたが、業務の効率化を進めれば当面は既存の職員だけで対応できると判断した。2007年春の採用分で、外務職員を採用しないのは初めて。郵便局内での仕事を担当する一般職の内務職員は来春も4300人を採用する。