2010年7月23日金曜日

口蹄疫の説明(旧備忘録より)

口蹄疫の説明 ビデオニュース・ドットコムより

口蹄疫は適正な対策でも感染拡大が止まらない異例の事態
2010年5月25日 ビデオニュース・ドットコム

 宮崎県で口蹄疫の感染が拡大を続ける中、今回日本で発生した口蹄疫は、国際機関の指針に則った対応を適切に実施しているにもかかわらず、感染の拡大が食い止められていなことが、獣医微生物学の専門家の指摘で明らかになった。
 
 東京大学大学院農学生命科学研究科の明石博臣教授は、今回宮崎で発生した口蹄疫に対する対策は、家畜の国際的な安全基準OIE(国際獣疫機関)が定める指針を基に農水省が定めた「特定家畜伝染病防疫指針」に基づいて適正に行われており、過去の発生事例からの知見が凝縮されているその指針が、現時点での最善の対策であると考えられると言う。しかし明石教授は、それにもかかわらず感染拡大が止まらない異例の事態となっているとの見方を示した。
 
 感染拡大が止まらないことを受けて、政府の初動の遅れなどを批判する声もあがっている。だが明石氏は、現時点で口蹄疫については上記の基準以上の方策は考えにくいとし、「農水省はじめ宮崎県も防疫指針で定められた作業を重ねているが、不幸なことに感染が止まらないのが現状だ」と語り、これをいたずらに政治問題化することには否定的な見方を示した。
 
 今週のニュース・コメンタリーでは、獣医微生物学の専門家の明石博臣氏に、口蹄疫の現状と適正な対策とは何かを聞いた。
 
神保(ジャーナリスト): 口蹄疫については、赤松農相がゴールデンウィーク中に外遊に出て初動が遅れたとの批判があり政治的な問題もあるようですが、今回は口蹄疫そのものについて、東京大学大学院農学生命研究科教授の明石博臣先生にお話を伺いたいと思います。まず、明石先生は現状をどうご覧になっていますか。
 
明石(獣医微生物学者): 口蹄疫という病気は、農家の被害も大変なものですが、同時に国際的に畜産物の流通という面でも非常に重要な病気です。そのために発生国は非常に大きな制限を受けます。そのため、なるべく早く見つけ、殺し、埋め、ウイルスが拡散しないようにするというのが基本的な対処法です。政府は早く抑えるための一連の手順書である特定伝染病防疫指針を定め、現在それに則って作業が今行われているのですが、不幸なことになかなか感染をとめることができないというのが現状です。
 
神保: 手順書通りにやっても成功していないということですか。そもそも口蹄疫とはどういう病気なのかということについて、正確な認識を持っておきたいと思います。口蹄疫 とはどのような病気なのでしょうか。
 
明石: まず、人にはかかりません。BSEのような神経的な変化も起こさない。典型的な症状は口や鼻でウイルスが一度増えて体の中にもぐりこみ、口やひずめのところにウィルスが戻ってきて水疱を形成するというものです。水泡がそのうちやぶけて、潰瘍形成をして、そのうちかさぶたになり、かさぶたがそのうち剥がれる。それが一連の症状です。
 
神保: 放っておいても治る病気なのでしょうか。
 
明石: そうです。
 
神保: 人にはうつらないにもかかわらず、10万頭を超える殺処分をするのをニュースで見て、よほど怖い病気なんだと思っていました。
 
宮台(社会学者): 私も治る病気だと聞いておどろきです。
 
神保: 人にもうつらず、治る病気なのになぜそのような処置をそこまでする必要があるのでしょうか。
 
明石: この病気は動物のウイルス病の中でトップクラスのスピードで早くかつ広範囲に広がる病気です。ヨーロッパなどでは一つの国で発生して広がると周辺の国にどんどん広がります。そうするとかかった病気の動物の肉は食べられないので売れない、お乳も取れないということになるとその国の畜産と呼ばれている差産業は壊滅状態になってしまいます。
 
神保: 肉が売れなくなるというのは、人体への影響はないが、病気の牛の肉や乳は市場価値がないという意味ですか。これは早く押さえ込まないと経済的な畜産業という業界が影響を受けるので早く押さえ込む必要があるのだという理解でいいですか。
 
明石: そうです。
 
神保: ここまでの流れを見ていて、今回かなり広がってしまっているということですが、もう少しこういうことをしていれば段階でこうしていればここまでならなかったんじゃないかというのはありますか。
 
明石: 先ほど話した口蹄疫の防疫指針は、国際的な機関であるIEOが出している指針はじめ今までに得られたいろいろな事実を反映して策定されています。ということは考えられる限りそれがベストのやり方だからそういうやり方を日本もとったということです。それに従って防疫という作業を続けてきたのですが、たまたま理由が未だにわからない、なぜそうなのかというのはわからないけれども、結局そのベストに近いようなやり方をとってもなおかつ広がっている。その理由がわかればとめようがあるのですが、現在理由がわからない。そこが問題です。
 
神保: 現状では国際的、一般的水準でやられるべきことはもともとやられているわけですね。それは何政権であろうがやられていると。もっとやるべきだったのではないか、危機管理ということになると手順以上のこと、手順と違ったことについても政治の判断でやるべきだったという議論になると思うのですが、そこはどうでしょうか。
 
明石: それがあれば、国際的に広がっていないです。今回のケースについてもこうすればよかったというのはきっとあるのでしょう。振り返って批判することはとても簡単です。どんなことでもうまくいって当たり前という話になってしまいます。今回はうまくいかなかったケースなので、いかなかったことを批判しようと思えばいくらでも批判できるけど、誰がどうだったかと言い出すとそれがわかっていれば最初からやっているよということになりますね。基準では広がりを止められない場合というのも、想定されているわけです。広がりを止められない場合にワクチンを打って広がりを止めるそういうことも想定されています。ただ、その広がりが止まらないというのをいつの時点で判断するかというのは、科学者にできることではなくて、高度に政治的な判断です。政府はそう判断したのです。
 
宮台: マスメディアの情報だけ見ていると、国際機関が指定した手順書通りやるしかなないのだということがよく伝わっていないので、そこまでやらなくてもいいのではないかという見方が出てきてしまうのではないでしょうか。政府なのかメディアなのか責任の所在はよくわからないのですが、今のところできることが決まっていて、手順書通りやるしかない以上、宮崎の農家の方も手順書通りやっていただくしかなくて、保障については別途政府と交渉してくださいというしかないということですね。
 
明石: お金の話になるとわれわれには理解の外の話なので、科学的な論拠に基づいた議論ではないですね。だから政治がワクチンを打つ、今が打つ時期だと決める、だとすると一番効果的なワクチンはどれかは科学的に立案することはできますが、打たれる人に対して嫌だと言わないでくださいとは科学者としては言えないですし、それは政府が言うことですね。
 
神保: 感染力を抑えるという意味で、ワクチンは有効なものですか。口蹄疫にかからなくということですか。
 
明石: ワクチンを打てば完全にかからないということはない。それはどんなワクチンでもそうです。病気を少なくするが、ワクチンを打っても病気になるという例はいくらでもありますから100%完全なワクチンというのはこの世にあり得ない。口蹄疫のワクチンもそうです。ただ、かかっても重篤にならないという効果があります。これも一般的なワクチンの効果ですね。
 
宮台: 宮崎県知事が現地の人が納得しなければワクチンや殺処分ができないんだというふうに言っているというのは、今の話を伺う限りではポピュリズムのにおいがしていやな感じがしますよね。つまりやらなきゃいけないことは決まっていると。やらなきゃいけないことをやったから必ずおしとどめられるわけではないが、やらないよりはましということが経験的に分かっているということであるならやるべきであって、保障などの後処理は別途やるべきだと。そうしないとその地域の農家がどうなるという問題をこえて大変な問題になってしまうと。そういう問題なのだということがニュースを見ていてもよく伝わってこなかったですね。難しいですね。
 
神保: 政治の初動が遅いうんぬんという話は手順書通りやっているのだからということである程度納得したのですが、現在も続いているカリブ海での原油漏れについて見ると、事故が4月20日に起きたあとオバマ大統領は5月2日には現地に行って、明らかに演出されたメキシコ湾が見えるところに記者会見台を設置して、前代未聞のことになる可能性があるので、しっかり対応するということを約束すると表明しました。そのことの意味がどれくらいあるかは、実際は手順通りやるだけでさして大きなものではないかもしれませんが、同じようなことがなかなか日本ではできない状況にあるということが、政治的には非常に深刻なのかなという感じがしますね。
 
宮台: 政治的な危機管理をする能力ないしそういう能力を提供するアドバイザリーグループが機能していないということですね。今の先生の話を伺っている限りは、直接今回手順の踏み間違いがあったということではなくて、演出上、ややうまくなかったということのようですね。
 
神保: いずれにせよまだ終息には程遠い段階です。今後も気をつけて見ていかなければなりませんね。
 

出演者プロフィール

明石博臣(あかしひろおみ)
東京大学大学院農学生命科学研究科教授。1947年京都府生まれ。71年東京大学農学部卒業。77年東京大学農学研究科博士課程修了。農学博士。農林省家畜衛生試験場研究員、農林水産省家畜衛生試験場室長、独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所上席研究員を経て、2001年より現職。共編著に「獣医微生物学」、「動物微生物学」、「動物の感染症」など。

【給油活動】 The Voice of Russia()

 このニュースが流れた時に、自民党の佐藤正久議員の問うてみた。氏からは、すぐに返事がきて、多少ニュアンスは違うのだが、おおむね事実と相違ないという話である。

このことは、国会でも取り上げられ、審議をされていたのであるが、見逃していた懸案であった。

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ジブチに建設される海上自衛隊基地をめぐって
2010, 04, 28.19:41
http://japanese.ruvr.ru/2010/04/28/7048749.html

 ソマリア沖の海賊問題を受け、紅海沿岸のジブチ共和国で、日本の海上自衛隊基地建設が近日中に着工される。日本国外に建設される初の日本の、また史上初のアフリカ大陸の日本基地となる。

 北川敬三海上自衛官は現地で、今年の初夏には基地建設が開始し、その約半年後に終了すると述べた。APF通信が伝えた。日本にとって、このような海上自衛隊基地建設は前代未聞。日本は第二次世界大戦後に憲法を採択してから、国際問題解決の手段として武力を行使することを永遠に放棄すると宣言している。これに関連して2009年、日本政府は、日本の駆逐艦2隻をソマリア沖での海賊対策に参加させるため、新たな法律を採択した。その後1年が経過したが、その間ソマリア沖での事態は悪化する一方だ。日本の船舶の所有者は警鐘を鳴らしている。日本は危険地域からほぼすべての原油を入手しており、日本向け輸出に最重要な航路のひとつがこの地域を通っているため、航路の変更は不可能である。結論として、日本は自国の船舶を護衛するため、第二次世界大戦後初の海外での海上自衛隊基地を創設するという、少し前には考えもつかなかった行動に出る用意を進めている。問題となっているのは日本の軍事ドクトリン全体の見直しだが、なぜソマリア沖の海賊が、日本という遠い国の法律を変えてしまうほど影響力をもつのだろうか。

 モスクワ東洋学研究基金のセルゲイ・ルジャニン教授は、海賊による脅威は実際に深刻なものだが、実際より誇張として、次のように語った―

「肝心なのは、西側主要先進国が当初、報道も軍の諜報機関も、海賊行為とは、貧困にあえぐ人々が生活の糧を手にするため犯罪に及んだものだとする、間違った解釈をしていたことにある。しかし実際はそうではない。この海賊行為が、自前の教育・訓練養成システム、諜報機関や最新の通信機器、巨大な資本を有した、強力な国際機構であることに、いまや疑いの余地はない。またこの国際機構は、過去にいずれかの国で諜報機関に関係していた専門家を利用していると考えるに十分な根拠がある。これは新たな形の国際テロリズムであり、政治に大きな影響を与える。また海賊の正体を正しく評価できないこと等により、戦いは非常に困難なものとなる」

  実際、この西側諸国の基地が密集する地域の目と鼻の先で、いかにしてソマリア沖の海賊がすばやく略奪を成功させているのか、理解に苦しむところだ。ジブチには最大規模のフランス在外海軍基地があり、また2003年にはそれを上回る規模のアメリカ海軍基地が建設された。日本はこの地で第3の海上自衛隊基地を建設することになる。すでに明らかなように、この地のアメリカやフランスの基地には海賊への抑止力はない。アメリカやNATO軍のなしえなかったことに日本が成功し、この地域の海賊行為に決定的な打撃を与えることができればいいが、その望みは薄いだろう。実際のところ、西側諸国の基地や強力な装備にもかかわらず、海賊は常に活動を続けている。今のところ、海賊らは一歩先を行っている。そしてこの問題は、この海域全体が西側列強のまさに軍事的利益ゾーンと今にも宣言されるような規模に発展しそうな雰囲気だ。

 ちなみにこの地域の歴史には、そうしたことがかつてあった。面白いことに当時も、まさに海賊対策がその口実とされたのである。