2012年6月27日水曜日

虚偽報告書問題

<虚偽報告書問題>検察幹部 組織的関与の否定に追われる 毎日新聞 6月27日(水)22時4分配信 yahoo用  「田代政弘元検事の捜査報告書は虚偽とは言えない」「上司らが不適切な取り調べを指示したことはない」。小沢一郎元民主党代表が強制起訴された陸山会事件を巡る「虚偽」報告書問題で、最高検は27日、処分内容を公表した。フリージャーナリストも受け入れ2時間余の「説明会」で、検察幹部は組織的な関与の否定に追われた。【山田奈緒、吉住遊】  説明会には林真琴・最高検総務部長ら4人が出席。報告書について「誤解を受けかねないが、意図的な虚偽記載ではない」とし、問題の根幹を「衆院議員の石川知裕被告の供述を維持することに固執した田代元検事の個人の判断」と強調。佐久間達哉・前特捜部長ら上司については「再捜査にあたり、具体的にどういう調べをするのか検事同士に共通の認識がなかった」と田代元検事に対して特別な指示をしていなかったとの認識を示した。  また、11年1月の段階で報告書と実際の取り調べ内容に食い違いがあることを認識していたにもかかわらず、公表しなかった点を問われると「発覚時に調査したが、石川被告の裁判が進行中で影響を与えたくなかった」と釈明した。  一方、元代表の弁護団も同日夕、東京・霞が関で記者会見を開いた。弘中惇一郎弁護士は「田代元検事の弁解をうのみにし、刑事責任を追及せず、懲戒処分も軽い。他人に厳しく自分の組織に寛大で検察の威信を下げた」と批判した。  ★田代政弘検事 98年任官。45歳。横浜、甲府地検などを経て05年4月~06年3月と09年4月~11年3月の計3年間、東京地検特捜部に在籍。06年4月から3年間、証券取引等監視委員会にも出向した。「優秀で熱心な『調べ検事』。先輩や部下の信望も厚い」(元同僚)との評もあり、2度目の特捜部時代は主に陸山会事件で小沢一郎・民主党元代表の元秘書、石川知裕衆院議員の取り調べを担当。元代表の関与を認める供述を引き出した。  ★捜査報告書問題 小沢一郎・民主党元代表が強制起訴された陸山会事件で、東京地検特捜部(当時)の田代政弘検事が元秘書の石川知裕衆院議員を再聴取した際、実際にはなかったやりとりを捜査報告書に記した問題。石川議員の「隠し録音」で発覚した。報告書は検察審査会に送られ、2度目の起訴議決に影響したとして市民団体が刑事告発、東京地裁も元代表への判決(4月)で検察に調査を求めた。  ◇「処分が軽い」石川被告  小沢元代表の元秘書で衆院議員、石川知裕被告(39)は毎日新聞の取材に「田代検事の思い違いはあり得ない」と最高検の調査結果を批判。大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件と比較し「処分が軽い。田代検事だけに責任を押しつけているからではないか。これではトカゲのしっぽ切りだ」と話した。  また、刑事告発した市民団体は「検察は動かぬ証拠があるにもかかわらず不起訴とし、非常に軽い行政処分のみで終わらせようとしている。容認できるものではなく、強く抗議する」とのコメントを出した。【鈴木一生】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 毎日(自前) 虚偽報告書問題:検察幹部 組織的関与の否定に追われる 毎日新聞 2012年06月27日 22時04分(最終更新 06月27日 22時08分)  「田代政弘元検事の捜査報告書は虚偽とは言えない」「上司らが不適切な取り調べを指示したことはない」。小沢一郎元民主党代表が強制起訴された陸山会事件を巡る「虚偽」報告書問題で、最高検は27日、処分内容を公表した。フリージャーナリストも受け入れ2時間余の「説明会」で、検察幹部は組織的な関与の否定に追われた。【山田奈緒、吉住遊】  説明会には林真琴・最高検総務部長ら4人が出席。報告書について「誤解を受けかねないが、意図的な虚偽記載ではない」とし、問題の根幹を「衆院議員の石川知裕被告の供述を維持することに固執した田代元検事の個人の判断」と強調。佐久間達哉・前特捜部長ら上司については「再捜査にあたり、具体的にどういう調べをするのか検事同士に共通の認識がなかった」と田代元検事に対して特別な指示をしていなかったとの認識を示した。  また、11年1月の段階で報告書と実際の取り調べ内容に食い違いがあることを認識していたにもかかわらず、公表しなかった点を問われると「発覚時に調査したが、石川被告の裁判が進行中で影響を与えたくなかった」と釈明した。

関電株主総会

関西電力(1)「原発いらない!」会場前に反対派が占拠…株主の関心は橋下市長の発言 2012.6.27 09:57 (1/2ページ)[株式・株主] 関西電力の株主総会の会場前で、株主に原発再稼働反対を訴える人たち=27日午前、大阪市北区  関西電力の株主総会が27日午前10時から、大阪市北区の梅田芸術劇場で開かれる。大飯原発3、4号機の再稼働に加え、筆頭株主の大阪市の橋下徹市長が直接会場入りするとあって関心は高く、午前8時ごろから続々と会場に向かう株主たちの姿がみられた。会場前の広場は反原発グループで埋め尽くされ、拡声器で「原発はいらない」などと叫び声を上げるなど騒然とした。 発言ブレてるけど…橋下市長に注目  京都市伏見区から来た無職の男性株主(75)は「原発には反対だけど、夏場の電力供給を考えると運転は仕方ないと思う」。会場に来る予定の橋下市長については「最近の橋下さんは発言がぶれているのが気になる。今日はどうなるのだろう」と話した。  大阪市東淀川区の無職の女性株主(84)は「原発が良いか悪いかなんて神様しかわからないと思う。地震は怖いけど、電気がなければ始まらないでしょ。橋下さんが来ているので興味があって来た」。 大阪市天王寺区の無職の女性株主(44)も「知り合いに株主がいるので、橋下さんを見に代わりに来た」と話した。   会場入りする一般株主からは橋下市長の発言に注目が集まっている。 関西電力(2)静寂のなか総会スタート 混乱前の静けさ 2012.6.27 10:53 [株式・株主] 株主に報告を行う八木誠・関西電力社長=27日午前、大阪市福島区のプレスルームで画面複写(彦野公太朗撮影)  関西電力の定時株主総会が27日午前、大阪市北区の梅田芸術劇場で始まった。株主の大阪、神戸、京都の3政令市は「脱原発」関連の計13議案を提案。大阪市の橋下徹市長らは自ら出席して持論を唱える構えだ。これまで「物言わぬ大株主」だった地元自治体の異変で“大荒れ”の様相も。関電と橋下市長らの攻防に注目が集まる。  《午前9時過ぎから続々と集まる株主。9時58分に会場内の音楽が消され、森詳介会長ら役員が登壇。株主に向かって一礼し、着席する。10時、議長の森会長が発言》  森会長「ただいまから第88回定時株主総会を始めます」  《事務局職員から「議決権888万9868個のうち本日出席者と前日までに行使された議決権が計609万4個。株主総会が成立する」と報告される》  《前面の大型スクリーンで平成23年度の事業報告がビデオ上映された。原子力発電所の稼働率低下、火力発電用の燃料費増加などで連結最終損益が2422億円の大幅赤字だったことが説明されたが、ここまでで役員陣が頭を下げる場面はなかった》 関西電力(3)「原子力は重要」八木社長の発言に拍手とヤジ 2012.6.27 11:44 (1/3ページ)[株式・株主] 株主に報告を行う八木誠・関西電力社長=27日午前、大阪市内のプレスルームで画面複写(彦野公太朗撮影)  《ビデオ上映が終わり、八木誠社長が「対処すべき課題」について報告を始めた》  八木社長「平成23年度は東日本大震災の影響で原発プラントが再稼働できず、過去最大の赤字を計上し、非常事態の1年となりました。この夏の電力需給安定に向けて全力尽くしています。大飯3、4号機の再稼働の判断をいただいたが、節電のご協力をお願いする事態になってしまいました。深くおわび申し上げます」  《一礼した後、報告は続く》  「さまざまな課題が山積し、厳しい状況が続いております。24年度は原発再稼働、電力安定供給に全力を尽くします。足下をしっかり固め、成長軌道への回帰を目指している。社会的要請に対し、全部門をあげて原発の保全計画、東京電力福島第1原発事故を踏まえた安全対策、信頼回復、地震、津波、台風など大規模災害に備える対策も強化します。低炭素社会に向けて、火力、太陽光、風力発電の導入、スマートグリッドの構築に取り組みます。厳しい状況が続きますが、この難局を乗り切るため、新たな期待やニーズを真摯(しんし)にうけとめ、誠実に対応し、使命を果たしたい。株主の皆様におかれましては今後もご指導、ご鞭撻(べんたつ)たまわりたい」 《時折、株主からやじが起きるが、八木社長の報告に会場から拍手が起こる。この後、株主からの事前質問に対する一括回答を開始。まず、八木社長が経営全般について回答した》   八木社長「まずは原子力について。現在、エネルギー源の多様化などの観点から議論が進んでいます。再生可能エネルギー、化石燃料への依存度を高めれば、コストが高く、原子力は引き続き重要なエネルギーだと考えています」  《会場からは、やじが起きるが、八木社長の回答は続く》  「電気料金の値上げは今のところ考えておりません。財務体質が悪化し、安定、安価な提供が難しくなれば、あらゆる対策を講じなければなりません。さらなる効率化、原子力の再稼働に全力を尽くします。再生可能エネルギーについては電力会社間で協力し、さらなる導入を考えています。しかし、エネルギー自給率の向上、導入に伴うコストへの影響についても考えなければなりません」  《ピーク抑制のための需給計画や、環境対策、液化天然ガス(LNG)の輸入問題、役員報酬などについて、八木社長の回答は続く》 「ピーク抑制のための需給計画については、需給調整契約に多く参加していただけるよう、割引幅を拡大しています。環境問題では中長期的に地域の低炭素化を進めています。再生可能エネルギーについては福島第1原発事故の影響で、お客さまからの問い合わせは増えており、営業所を通じて説明しています」  「燃料調達について。わが国では天然資源の埋蔵量が少なく、パイプラインも整備されていません。将来の北米からの輸入について、調達先のひとつとして検討します。役員報酬の総額は事業報告書で開示しています。個別の開示を義務づけられている(1億円以上の)役員はいません」 関西電力(4)「静粛にしてください」激しくなるヤジ 騒然とする会場 2012.6.27 12:27 (1/4ページ)[株式・株主] 関西電力が株主総会=27日午前、大阪市内(モニター画像の複写)  《開会から約1時間が経過、書面による事前質問への回答が続く。経理に関して廣江譲常務が説明に立った》  廣江常務「平成23年度の有利子負債残高は3兆8649億円、支払い利息は513億円。使用済み核燃料は資産として計上していますが、処理方法によって価値が左右されるものです」  《原子力発電所を廃止した場合の財務的影響についての質問も》  廣江常務「原子力発電所設備の帳簿価格は3666億円、解体費総見積もり額は5278億円となっています。原子力発電は引き続き重要と考えており、現時点で廃止する予定はございません。仮に廃止すると、これら帳簿価格や引当金が一時的に費用として発生する可能性があります」  《答弁に会場から拍手が起きた。続いて原発関連の質問について答えるため、豊松秀己副社長が登壇した》  豊松副社長「原子力に関する質問についてお答えいたします。東京電力福島第1原子力発電所の事故により、皆様に大変なご心配とご迷惑をおかけしておりますことを、同じ原子力を扱う者として重く受け止めております。当社は二度と同じ事故を起こさない固い決意を持ち、緊急対策を直ちに実施してまいりました」  《福島事故について緊張した様子で話した後、大飯原発の安全性について言葉に力を込めた》  豊松副社長「政府においても、大飯3、4号機について福島事故のような地震、津波が起こったとしても、事故対策は整っており、炉心損傷に至らないことが確認されています。当社は規制の枠組みにとらわれず、安全性向上の対策を自主的かつ継続的に進めることが不可欠と考えており、今後も新たな知見への対応、諸外国の動向をふまえた対策を着実に実施してまいります」  《女性のやじが飛び、さらに豊松副社長の声に力が入る》  豊松副社長「6月8日、政府から再稼働のご判断を賜りました。大飯3、4号機が再稼働に準備作業を進めております」  《大飯の安全対策について技術面の説明を続けるが、ヤジはどんどん激しくなる。豊松副社長は大飯原発が加圧水型原子炉で、福島第1原発の沸騰水型原子炉とは違うことを説明》  豊松副社長「漏洩した水素は廃棄設備を用いて滞留することなく排出されるため、爆発しない」  《豊松副社長は、やじに立ち向かうように言い切った。大飯の社員常駐態勢、事故時態勢や現場へのアクセスルートも、陸路だけでなく船やヘリを確保していることを強調。大飯3、4号機は中央制御室の会議室において十分な広さ、耐震性、津波回避できる高さ、空調設備を備えているとした》  豊松副社長「事故時の対応に問題はありません。免震事務棟を着実に実行します。運転期間については、技術的に運転開始後60年の長期的安定運転が可能であることを確認しており、この内容は国にも審査、了承を得ております。しかしながら、美浜1号機および今後、40年を超える原子力プラントの運転については原子力規制法の改正をふまえ対応します」  《説明から約10分、会場が騒然とする中、議長が「静かにお聞きください」とヤジをいさめた》  豊松副社長「耐震安全性に関しては『止める』『冷やす』『放射能物質を閉じこめる』ため、万全の地震対策を行っています。耐震向上にも自主的に取り組んでいます。活断層の連動も想定したうえで、耐震安全性を評価しています」  《話が高速増殖炉に及ぶと、ヤジもヒートアップして会場が混乱している様子。議長「静粛にしてください」とおさめる。豊松副社長の約15分の答弁が終わると、会場は大きな拍手が起こった》 関西電力(5)「原発に依存しないエネルギーの構築が求められる」神戸市長迫る 2012.6.27 12:46 (1/3ページ)[株式・株主] 株主に報告を行う八木誠・関西電力社長=27日午前、大阪市内のプレスルームで画面複写(彦野公太朗撮影)  《午前11時現在、昨年の1・6倍にあたる3673人が会場に詰めかけた。多くの株主のお目当ては筆頭株主である大阪市の橋下徹市長だ》  森詳介会長「ご出席の皆様の質問をおうかがいします。質問は簡潔に3分以内でお願いします。質問は原則1問、最大2問とします」  《「はい」という声が会場内のあちこちから聞こえる》  女性株主「去年、東京電力福島第1原発で想定外の事故が起きました。大飯原発における想定外の事故はどんなことなのか。いま原発を動かすのは危ない」  豊松秀己副社長「若狭湾には(太平洋側にあるような)海溝型プレートがなく、想定される津波は2~3メートルと考えています。関電では福島と同じような津波、そこからプラス9メートルほどの津波を想定して安全対策を進めています。再稼働の判断について、昨年7月に国によるストレステスト(耐性検査)導入が決まって以降、外部有識者による検討の結果、追加の安全対策を含め福島と同じ津波が来ても安全上問題がないとされました。福島での知見を踏まえ、さらなる安全対策30項目について、法制化を先取りするかたちで対応を進めています。福井県、おおい町の了解の下、安全性の確保を踏まえた上で再稼働を判断しています」  《場内から拍手が起こる》  森会長「続いて新聞を持った男性株主、どうぞ」  《男性がマイクを持つ。神戸市の矢田立郎市長だ》  矢田市長「この総会では大阪、京都両市と一部共闘しながら6つの議案を提案しています。質問は2つ。原発事故が起きれば広範囲に影響が出ます。再生可能エネルギーなど多様な代替電源を確保し、原発に依存しないエネルギー体系の構築が求められています。御社には経営の透明化、市民への説明責任を図り、日々の安心安全の確保と電力の安定供給をお願いしたい」  「質問ですが、原発の依存度低減、エネルギーミックスのあり方が国から示されていますが、関電においても原発依存度の引き下げ、代替電源確保に関するロードマップの作成が必要となります。そして、その作成には市民の理解が求められます。どうやって取り組むかを伺いたい」  八木誠社長「エネルギーミックスについて、現在、国の国家戦略室エネルギー環境会議で議論が進められています。経済性、地球温暖化への対応などから多様なエネルギー源の導入が議論されています。関電でも火力発電所の高効率化、原発の安全性の確保など多様なエネルギー源に向けた導入を考えています。そして自治体からの理解や協力は不可欠。再生可能エネルギーの導入、スマートコミュニティー導入にも自治体や市民の皆様とも連携を深めることは重要です」 関西電力(6)橋下徹市長ほえる「関電はこのままではつぶれる」 2012.6.27 12:59 (1/4ページ)[株式・株主] 関西電力の株主総会で発言し、会場を出る大阪市の橋下徹市長=27日午前、大阪市北区  《矢田立郎・神戸市長の質問に対する関電側の回答が終わった》  森詳介会長「次に発言を求めます。2階席の男性の方どうぞ」  《大阪市の橋下徹市長だ》  橋下市長「大阪市長の橋下です。関電はこのままではつぶれると危惧(きぐ)しています」  《拍手が場内に響き渡る》  橋下市長「(関電は)衰退産業が歩んだ道を歩んでいます。関電経営陣は経営上の将来リスクに関する株主への説明が不十分。2つについて質問しますが、細かな事実に積み重ねてうかがいます」  「核燃料サイクル、核燃料の再処理事業は今後も継続するのですか。中間貯蔵施設は増設するのですか。高放射性廃棄物の最終処分地はいつまでに作るのですか。このような状況で関電管内の使用済み核燃料をいつまでもたせるのですか」  「将来の経営上のリスクについてうかがいます。家庭用電力の自由化は2年後ですか。発送電分離は実現するのですのか。原発について、国際標準の安全基準が議論されていますが、コスト上昇分はいくらなのでしょうか。国は発電電力量に占める原子力依存度を15%と打ち出すつもりですが、関電として何%を想定しているのですか。2030年の時点で関電の原発依存度は何%なのですか。そして、原発は何基止まれば赤字になるのですか。これから…」  《一気にまくし立てる橋下市長》  森会長「3分を超過しています」  橋下市長「あと少し。政権が変わりエネルギー政策が変わり、依存度がゼロになったとき、関電はどう対応するのですか」  《「早く質問を終わらせろ」などの怒号が出始める》  橋下市長「今は転換点。そのリスクを念頭に置いて新たなエネルギー供給体制を築いてください」  《質問を終えた市長。会場から大きな拍手を浴びる》  白井良平常務「わが国はエネルギー自給率が低いため、さまざまなリスクがあります。原子燃料サイクルは安定供給のためには重要と考えています。6月21日に国の会議で、全量処分再処理などの選択肢が示されましたが、使用済み核燃料を再処理し、原子燃料サイクルが必要とされています。日本原子力発電は安全と品質確保を最優先し、再処理工場稼働開始に向け試験を進めています」  「中間貯蔵について、当面は利用可能となる範囲で再処理を行い、それ以上は中間貯蔵するとしています。ただ、関電として中間貯蔵施設について具体的に話できる段階ではありません。最終処分の実施を円滑に実施のために国民の理解強力が不可欠です」  《再び怒号が大きくなる》  岩根茂樹副社長「まず家庭向け電力の自由化について、小売りの自由化を全顧客に拡大する場合、電力の安定供給の確保、公益性を確保しないとお客さまの利益が損なわれる可能性もあります。制度設計にあたっては検討が必要と考えています」  「発送電分離は国の審議会で検討されています。広域的な視点が重要と考えており、逼迫(ひっぱく)時には協調し合って融通するようにしています。公平なネットワークの構築が議論の目的と思われる一方、これまで発送電一体で効率的な運営がなされたこともあり、目的と手段とをしっかり分けて議論していきたい」  「将来的な原発比率ですが、大事なのは安全の確保と長期的なセキュリティーの確保。すべての課題を克服しながら安定で安価な電気を提供するといった観点から検討していきます。現時点で何%が適正かは言えません。原子力が何基止まれば、赤字が解消するかについて、平成23年度は原子力の利用率が38%程度でしたが、その前年は80%あり、利用率半減で代替火力の燃料調達費など5千億円のコスト増となりました。今後、原発の稼働がなければさらに4千億円コストが増えます。すべての原発が止まれば9千億円のコスト増となり、原発の再稼働がなければ継続的な経営が難しいと思っています。関西に電気を安価に提供することで企業価値を高めていきたい」  《会場から拍手が起こる》 関西電力(7)株主「原発ゼロ考えられぬ」、関電副社長「安住することなく安全向上」 2012.6.27 13:13 (1/3ページ)[株式・株主] 関西電力が株主総会=27日午前、大阪市内(モニター画像の複写)  《大阪市の橋下徹市長への答弁が終わった後、聞き取れないほど騒がしいやじが飛ぶ。そんな中で、株主と経営陣の質疑応答が続いた》  男性株主「原発については、客観的な情報を広く知らせるのが重要だ。ベトナム、トルコは日本の原発技術を高く評価しているが、国内では原発に対するヒステリーが蔓延(まんえん)している。22世紀には化石燃料が使えなくなる。そういう中で、原発ゼロというのは考えられない」  岩根茂樹常務「資源の乏しいわが国では、電源のベスト構成が重要。すべての電源に長所があり、課題もあります。長所を生かして検討するのが重要です。化石燃料は価格が高く、CO2(二酸化炭素)の排出量が多い。再生エネルギーもコストがかかる。原子力は安全性向上が必要。それぞれの強み生かし、ベストミックスで考える必要があります」  《この後、京都市の門川大作市長が発言。3つの提言を行った》  「第1に持続可能な電力供給体制構築のため、脱原発依存を明確に経営方針に記してほしい。第2に分散電源、省エネ、創エネのための環境作り。3点目は発送電分離です。関電はこれまで関西の市民生活と産業の発展に尽力してきたが、福島第1原発事故を教訓とした転換が必要だ」  《森会長は「貴重なご意見としていただきます」と応じ、株主からの質問を受け付けた》  男性株主「先ほど豊松(秀己)副社長が縷々(るる)と述べられたが、今までの安全神話から一歩も出ていない。原発大国フランスでは過酷事故のためにフィルターベントを設置している。こうした中で大飯再稼働に着手したのは世界では通用しない。鴨長明の『方丈記』が記された800年前、琵琶湖では大津波が起きた。そういうことについて、それを検討したのか」  豊松副社長「福島第1原発と同じレベルの事故が起きても炉心損傷しないのかが重要なポイント。そこに安住することなく、安全向上に取り組んでおります。シビアアクシデントも着々と進めております。フィルターベントは、米国の加圧式軽水炉では不要としているが、われわれは採用します。前倒しで対策を立てております」  橋本徳昭常務「耐震に対応するため、周辺の活断層や過去の地震は徹底的に調べています。地震、津波を検討していないわけではありません」  《株主からの質問は、社外取締役の選任についても及んだ》  男性株主「大阪府市特別参与を務める村上憲郎氏の社外取締役の選任するとの株主提案を取締役会が反対しているが、その理由は」  八嶋康博常務「村上氏は大飯原発3、4号機の再稼働に反対している立場。原子力の停止を求める方が取締役に就任したら、株主様の利益に反すると判断しました」 関西電力(8)会場騒然!議長不信任動議を提案  2012.6.27 13:52 (1/5ページ)[株式・株主] 株主に報告を行う八木誠・関西電力社長=27日午前、大阪市内のプレスルームで画面複写(彦野公太朗撮影)  《株主質問が続く。議長の挙手を促す声に「はーい」「おーい」と声が上がり、会場ではうちわやノートを手に、盛んに手が上がる》  女性株主「大飯原発の破砕帯調査に関してですが、すぐできるはずのトレンチ調査さえしないのですか。安全対策をしてから動かすというなら、石橋をたたいてたたいて、それくらいしないと原発再稼働はしないでほしいです。質問に関しては具体的に回答を。橋下徹市長への回答も具体的ではありませんでした。事故や津波が起きたとき、橋が落ちたとき、どのように現場に行くのですか。それと…」  議長「質問は2問にしてください」  女性株主「では、意見を言います。福島事故の調査結果が完全には出ていないのに、原因を結論づけるのはおかしいです。それについてお答えください」  議長「ただいまのご発言は意見として承ります。質問は2問までと申し上げました」  《「2問なんていっていた?」と女性株主は不服そうだが、答弁が始まった》  橋本徳昭常務「大飯3、4号機の調査ですが、私どもは徹底した調査をした上で先生方にみていただいたわけです。これは当時の新聞記事でも『審議会では活断層問題でしっかりとした議論が行われた』と高い評価もされています。私どもはこれ以上の調査をする必要はないと考えております」  豊松秀己副社長「発電所のアクセスについてご説明いたします。事故が起きた場合、別の陸路がございます。まず第一は、54人が現地に常駐しており、対策は十分です。あとの人員は橋が落ちても他のヘリや船のルートで向かうなど万全の対策をとっています」  《議長が第2会場に質問を振った》  男性株主「原子力損害賠償支援機構法について、関電はいくら費用負担しているのでしょうか。福島事故は東電と国の責任なのに、なぜ関電が費用負担するのですか」  岩根茂樹副社長「原子力損害賠償支援機構について、機構法は被災者への迅速かつ適切な賠償を行うものです。電気の安定供給や原子炉の運転など円滑な運営に資すること、将来にわたり原子力損害賠償の支払いに対応できる相互扶助スキームで、一定の合理性はございます。当社は23年度に157億円を支払っております。今後、国との役割分担は機構法が成立してから見直しをすすめていくということでございます」  《議長が質問をあと2人受け付ける、と宣言した》  男性株主「社外取締役の選任についてですが、その基準は? 井上礼之さんは9年任期を続けています。玉越良介さんは融資をしている金融機関の担当者です。株主の利益と金融機関の利益は対立します。独立性の観点から適切ではないのではないですか。また、日本生命との取引関係は? 白紙で議決権行使するのは日本の資本主義にとって問題ではないかと思います」  八嶋康博常務「役員の選任にあたりましては、年齢、就任年数、特定の企業という画一的基準で選んでいるわけではありません。総合的に勘案し、提案しています。それぞれ経営者としての経験や識見を当社経営に生かしていただくため、候補者とした次第です。玉越取締役は融資関係にある三菱東京UFJ銀行の関係者ですが、借入額全体が大きな割合を占めるものでなく、当社営業に影響を与える重要な関係はなく、特別な関係には当たらないと考えています」  廣江譲常務「日本生命は重要な融資先です。これからも引き続きしっかりと取引を願いたいと考えています。委任状については、複数の株主からいただいておりますが、個別の議決権行使にかかわる事項になるので、ここでの回答は差し控えたいと思います」  男性株主「議長解任の動議をしたいと思います。社外取締役の案件は議案の時に討議されるべきです。それなのに質問を2人に限っています。そうでないですか、みなさん。だから議長不信任動議です」  《会場から一部拍手が起きる》  議長「ただいま、株主から議長不信任の動議が提出されました。私としては心外ではございますが、一応採決を行います」  《反対多数で動議は否決されたが、会場はざわめいた状態が続く。議長は「静かにしてください」としきりにいさめ、関電側関係者が「これは株主総会ですよ、退場、退場」と声を張り上げる》  男性株主「原子力の安全対策について、新聞やテレビでもっと広報してほしい。これを聞いたら国民は関電を信用すると思います」  八嶋常務「震災をふまえた原子力の対策について、随時記者会見をひらいたり、ホームページなど丁寧な説明に努めて参りたい。社会の皆様によりご安心いただける広報に努めて参りたいと思います」  《12時46分、議長が質疑を打ち切り、議案の審議に移った》 関西電力(9)「関電の皆さん、悪徳商売やめて」福島の女性株主辛辣提案 2012.6.27 14:02 (1/4ページ)[株式・株主] 株主に報告を行う八木誠・関西電力社長=27日午前、大阪市福島区のプレスルームで画面複写(彦野公太朗撮影)  《議長の森詳介会長が発言する》  「質疑が十分尽くされましたので、議案審議に移りたいと思います。いかがでしょうか」  《会場から拍手が起こる》  森会長「賛成多数と認められましたので、議案審議に移ります」  《「おい、勝手にとめるな」のヤジが飛ぶ中、森会長は会社から2議案、株主から28議案、計30議案について、関連性のある議案の一括審議を提案し、拍手多数で認められる》  森会長「まず、会社側の1号議案と株主さまからの12号議案を一括審議します。1号議案は剰余金の処分案です。安定的な配当の維持、財務体質の健全性確保を前提として、配当金は1株あたり30円としたい。一方、株主さま提案の12号議案は、配当金を会社提案より10円高くするというものです。取締役会としては、配当維持のためには1号議案の剰余金処分案が最適と考えており、12号議案には反対します」  《森会長は、12号議案の提案者に趣旨説明を求める》  女性株主「福島から参りました」  《会場から拍手》  「元中学校教師で定年退職して10年目です。原発の危険さ、安全神話のうそを30年前から知っていましたが、昨年3月11日、恐れていたことが現実になった。子供たちに申し訳ない気持ちでいっぱいです。一時帰宅した被災者が、命を絶ったという新聞記事も載っています。甘い汁を吸っている原子力村の皆さん。関電の皆さん、悪徳商売はやめてください。私たちはふるさとを失った。第2、第3の福島をつくらないでください」  森会長「それでは、1号議案と12号議案の採決をお願いします。賛成の人は挙手をお願いします」  《拍手はぱらぱら》  森会長「反対の人は挙手をお願いします」  《拍手多数》  森会長「反対多数で否決されました。次に1号議案の採決を行います」  《拍手多数》  森会長「賛成多数で可決されました」  《続いて、森会長は、定款変更を求める株主提案の5号、27号議案を提案。5号議案は取締役を12人以内、27号議案は同10人以内とする内容》  森会長「取締役会は両議案とも反対であります。それでは、提案者は趣旨説明を3分以内でお願いします」  男性株主「株主総会の招集通知では、5号議案に対する取締役会の意見として、多岐にわたる課題に対処するため、議案に反対すると書かれているが、まったく課題に対応できておらず間違っている。社会のニーズにこたえているのか。まったく逆だ。株主であることを情けなく思う。関電の取締役の報酬額は4千万円から5千万円。これでは従業員と労働者に犠牲を求める態度なので、経営陣の削減を強く求めます」  《続いて、27号議案を提案した大阪市の代理人弁護士が趣旨を説明する》  弁護士(男性)「取締役会は招集通知に書かれた反対理由で『原子力発電の自主的かつ継続的な安全性向上のため』としているが、あきれる。現経営陣は無用。関電の役員報酬は日本一高いといわれ、東京電力より高いといわれています。関電の取締役は東電の半分程度で十分。取締役の削減に踏み切ってもらいたい。自ら身を切る覚悟なくして、どうするのでしょうか」  《ここで、5、27号議案が一括審議され、ともに賛成の拍手は少数》  森会長「反対多数で、否決が確定しました」 関西電力(10)社長解任、大阪市提案の社外取締役人事案 反対多数で否決 2012.6.27 14:48 (1/4ページ)[株式・株主] 関西電力が株主総会=27日午前、大阪市内(モニター画像の複写)  《午後1時を回ると、会場の株主から「動議」の声が響く》  男性株主「長丁場なのでこのへんで食事休憩はいかがでしょう」  《緊張した空気が和み、拍手と笑い声が起きる》  森詳介会長「議事運営に関わるため、動議としては取り上げないことにします」  《大阪市が提案した議案の審議に入り、同市の代理人である男性弁護士が、取締役の人事などについて発言する》  男性弁護士「関電は当社の取締役としてふさわしい能力や経験などを勘案しているから問題ないと言いますが、今のままでは国民のための必要なエネルギー政策の展開が出来ません。さらに就職の世話などを持ちかけて、反対派を取り込み、切り崩すことも行われてきました。官民癒着をここで止めないといけない。関電は役所から人材をもらわないとやっていけないのでしょうか。このままでは関電の体質がおかしくなります。これを阻止するには厳しい人事のルールが必要だと思います」  森会長「左側のブロックで紙を上げる株主様、発言をどうぞ」  男性株主「この提案、大賛成です。天下りがこれだけ言われているのに関電はまだやっている。ぜひ株主の皆さん、賛成してほしい。ところで議長、総会での議決についてだが、本当に賛成多数なのか。最後の1個の数まで言えとは言わないが、どの程度の賛成多数かをはっきりさせてほしい。大株主もきているのだから、それくらい説明がほしい」  森会長「ご意見として承ります」  《「採決」「議事進行」という男性の声が響く》  森会長「採決に移ります。この議案に賛成の方、挙手をお願いします。  《「おら」などの怒号が飛ぶ》  森会長「反対の方、挙手をお願いします」  「反対多数により否決されたこととします。続いて八木誠社長の取締役解任の議案について、趣旨説明をお願いします」  男性株主「福島の原発事故の原因は明確には分からない。調べようにも調べられない、これが実態です。放射能が出続けています。原発事故はそういうものです。どうして福島と同じ事故が起きないと言えるのでしょうか。電力不足を理由に再稼働を強弁するのは原発サギだ。詐欺師を取締役に置くことは許されません。これまでは運が良かっただけです。ギャンブルだ。福島の事故で原発事故はもはや仮定のものではなくなった。再稼働にあたっては責任の所在を明確にするのは当然だと考えます」  森会長「それでは採決を行います。賛成の方の挙手をお願いします」  《しんと静まりかえる》  森会長「反対の方の挙手をお願いします」  《場内から「はーい」の声が聞える》  森会長「反対多数のため否決されたとします」  《続いて会社提案の取締役選任案が審議される。森議長が予定者を読み上げられ、賛成多数で可決された。再び大阪市の代理人である男性弁護士が大阪府、大阪市の特別参与である村上憲郎氏を社外取締役に選任するよう求める提案の趣旨説明を行う》  男性弁護士「村上氏は大阪府、大阪市のエネルギー戦略会議の委員で高い見識と経験を持っています。この人(の取締役選任)に対して関西電力は拒否回答しています。大阪市も過去には天下りをやっていました。遺憾だと思います。市のOBを関電の役員に入らせていました。橋下徹市長はそれをやめました。その代わりに(見識を持った)ちゃんとした人ということで推薦しています。取締役会がなぜ拒否しているのかというと、脱原発という会社にとって不利な意見を持つ人を入れたくないという排外的な理由です。そこに原子力は絶対やると言う鉄の意志が感じられます」  森会長「3分を超過しています」  男性弁護士「大飯再稼働を見切り発車して、事故が起きた場合どうするのか。皆さんの賛同をお願いしたいと思います」  森会長「採決します。反対の方の挙手をお願いします。反対多数で否決しました」 《この後も議案の審議が続く》