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2009年6月15日月曜日

【マスメディア】 Public Opinion & Popular Sentiments

 元毎日新聞中部本社編集局長で「日刊ベリタ」、「プレスウォッチング」にて毎月連載記事を書いている池田龍夫氏が、「小沢辞めろ」コールとともに行われたマスコミ各社の世論調査について書いた記事である。

この記事の中に「小沢民主党側の「政治献金の処理」が不透明だったにしても、これでもか」と報道のいき過ぎに言及をしているのだが、果たして事件そのものさえ正確に伝えられていたとは到底思えない。

結果、過去にはないくらい「検察の暴走」が語られ始めた。この結果が果たして民主党の選挙結果にどのような影響を与えるのかこの記事を記録庫に残している現在では予想がつかない。

2010年1月13日 (追記)
今まで、マスコミは検察側の一方的な主張、つまり「秘書がダミー団体を通じて西松建設から違法な献金を受け取ったと」という前提で記事を書いてきた。ところが、2009年1月13日の大久保氏の第二回公判でそれが崩れたのである。お金を渡す側、つまり西松建設のお金を寄付をした側である岡崎彰文元総務部長が、「政治団体がダミーとは全く思っていなかった」と答えている。これは検察の再主尋問での答えである。この点は非常に重要であり、検察はこの点をもって政治団体がダミーであるとし、大久保氏を逮捕・起訴をしている。
大久保氏の弁護人の質問には、「OBがやっていて、届け出もしている、と被告に説明したと思う」と証言をしている。つまり、ダミーでは無いと大久保氏には説明をしたと言うことになる。同時に裁判官の質問には、「事務所も会社とは別に借りて、資金も別だった」と西松本体とは別ものであると述べている。これでもダミーだと検察は言い張れるものなのだろうか。
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「小沢問題」と報道の責任
―過剰な世論調査、物足りぬ背景分析―
ジャーナリスト 池田龍夫
 小沢一郎氏が47歳で自民党幹事長に就任(1989年)してから20年、日本の政治地図が大きく塗り替えられてきたのに、小沢氏は“政界の戦略家”であり続けた。その小沢氏が、野党・民主党代表となって3年を経た2009年5月11日、突然「代表辞任」を表明して世間を驚かせた。
 東京地検特捜部が3月3日、小沢氏の公設第一秘書・大久保隆規容疑者を政治資金規正法違反(政治資金収支報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕してから、民主党に対する世間の“風当たり”が高まり、テンヤワンヤの騒動となった。「衆院解散・総選挙近し」と観測されていた時期に、野党第一党代表に照準を合わせたような強制捜査が果たして公正と言い切れるだろうか……。
 小沢氏は「この捜査は、政治的、法律的に不公正な国家権力の行使だ」(各紙3.4夕刊)と激しく反発した。大久保容疑者起訴(3.24)を経て、「検察vs.小沢」の構図がさらに鮮明となり、民主党は窮地に追い込まれていった。
 「西松建設事件」は昨年春の“内部告発”が端緒で、海外事業を利用して裏金を作った外為法違反事件だった。捜査の過程で政治献金に流用された疑惑が浮上した事件である。大久保容疑者の起訴状によると、「大久保秘書は2003年から4年間で西松建設から計3,500万円の献金を受け取ったのに同社ОBが代表を務める政治団体からの献金と偽って政治資金収支報告書に記載した」との疑いだ。
 その間、マスコミの世論調査すべてが、小沢代表に不利な調査結果を報じており、小沢氏が「代表を続けることは、近づく総選挙にマイナス」と判断したに違いない。大久保逮捕から2ヵ月余の政局混迷に辟易していた国民は多く、「小沢代表辞意」を伝えた新聞各紙(5.12朝刊)は「遅すぎる決断」と論評し、「今後は政策で競うべきだ」と、一様に伝えていた。
 ただ、小沢民主党側の「政治献金の処理」が不透明だったにしても、これでもか…これでもかの“世論のバッシング”は一方的で、行き過ぎの印象を否めなかった。そこで、検察・小沢側双方の説明責任不足や世論調査などへの疑問点・問題点を洗ってみた。
“小沢バッシング”のような報道ぶり
 1946年に当用漢字が公布される以前、「輿論」(Public Opinion)と「世論」(Popular Sentiments)には区別があり、輿論は「多数意見」、「世論」は「全体の気分」を意味する言葉だった。佐藤卓己・京大准教授はこの違いを重視し、輿論は「理性的討議による市民の合意」、世論を「情緒的な参加による大衆の共感」と定義している。
 今回の「検察vs.小沢」で特に際立ったのが、マスコミの「世論調査」報道だった。学問的定義はともかく、「世論調査」データ(数字)に基づいて記事を作成、紙面制作や放送に利用する傾向が、ますます顕著になってきた。「面接調査」から「電話調査」へ調査方法が時代とともに変貌して、作業は容易になった。
 従来の「面接調査」は、手間とコストがかかり過ぎたうえ、家族形態の変化も調査方法転換の理由になった。「電話調査」にも試行錯誤はあったが、現在はRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)が主流。コンピューターがランダムに発生させる番号に電話して質問する方式だが、携帯電話普及によって調査対象者の年齢構成に支障を来す難題も生じている。
 3月3日の「小沢代表の公設秘書逮捕」の衝撃を受け、メディア界は世論調査合戦の様相を呈した。各社が毎月実施している調査では、内閣支持率・政党支持率がメインテーマだが、3、4月の調査は「小沢代表と政治資金疑惑」に重点を移した調査方法だった。中でも『朝日』『読売』が3月に2回も全国調査した(いずれも一面トップ)のは異例で、一連の報道を検証すると……。
【朝日3.9朝刊】「小沢代表辞任を57%/民主支持は小幅減」の大見出し。麻生内閣については「支持しますか。支持しませんか」の質問(支持14%・不支持70%)だが、小沢氏に関する質問は長ったらしく、誘導的な印象を感じたので具体例を一部引用して参考に供したい。
▽質問① 「民主党の小沢代表の秘書が、西松建設の違法な政治献金問題で逮捕されました。小沢代表は『企業からの献金と認識していなかった。やましいことはない』と弁明しています。小沢代表の説明に納得できますか」
 回答=納得できる12%、納得できない77%
▽質問② 「小沢さんは、民主党の代表を続ける方がよいと思いますか。辞めた方がよいと思いますか」
 回答=続ける方がよい26%、辞める方がよい57%
▽質問③ 「小沢代表の政治献金をめぐる問題で、あなたの民主党に対する印象はよくなりましたか、悪くなりましたか」
 回答=よくなった1%、悪くなった40%、変わらない56%
【朝日3.30朝刊】「小沢代表辞任を63%/比例投票先、民・自が接近」の大見出し。小沢氏に関する項目は更に多い(質問は要約)。
▽質問① 「比例区の投票先は何党か」
 回答=自27%(前回24) 民31%(36)
▽質問② 「小沢さんの説明をどう感じたか」
 回答=十分だ7%、不十分だ86%
▽質問③ 「小沢さんは代表を続けるべきか」
 回答=続けよ24%(26)辞めろ63%(57)
▽質問④ 「民主党への印象は?」
 回答=よくなった1%、悪くなった46%
▽質問⑤ 「小沢さんの検察批判を納得できるか」
 回答=納得できる22%、納得できない65%
【読売3.9朝刊】「小沢代表辞任を53%/説明納得できず8割」の大見出し。
▽質問① 「西松事件に関する小沢氏の説明は?」
 回答=納得11.5%、納得せず80.8%
▽質問② 「小沢氏は代表を辞任すべきか」
 回答=辞任を53.1%、不必要36.1%
【読売3.27朝刊】「小沢氏続投に納得せず68%/首相に相応しい麻生氏が逆転」の大見出し。
▽質問①「首相に相応しい人は?」
 回答=麻生氏32.2%、小沢氏23.2%
▽質問②「小沢氏の代表続行は?」
 回答=続行を22.4%、納得せず67.8%
▽質問③「小沢氏の説明に納得したか」
 回答=納得した7.9%、納得せず83.5%
検察側の説明責任も厳しく問うべき
 『読売』が5.11朝刊一面トップで「小沢氏続投『納得せず』7割/内閣支持率上昇29%」と報じた当日午後、小沢氏は代表辞任を表明しており、“引導を渡した”ような印象を受けた。
 一連の「小沢報道」を振り返って、小沢代表に説明責任を求める過剰報道に比較して、検察側強制捜査に対する説明責任の追究が足りなかった。
 政治資金の虚偽記載は形式犯に過ぎないのに、突然逮捕に踏み切った理由は何か? 検察ОBを含む有識者多数から説明を求める声が噴出したが、検察幹部は「政治的意図など全くなく、厳正に捜査した結果だ。我々の責任は裁判できっちり説明すること」と述べるに留まっており、却って検察独善の批判を招いている。
 この点に関するメディア側の追究は甘く、国民の「知る権利」に応えていたとは思えない。メディアの矛先は専ら、政局に注がれ、小沢氏の“金銭疑惑”洗い出しに取材対象を絞ったようにも勘繰れる。メディアが「世論」をどう捕らえ、報じるかはジャーナリズム永遠の課題であることを再認識し、今回の「小沢報道」を真摯に検証するよう要望したい。
 世論調査の在り方を論じた『朝日』オピニオン面(4.24朝刊)で、元世論調査センター長が「最近の世論調査は、対象者が知らないことを、しかも突然質問することが多い。そのため質問の前に長々と説明をする。そこに、誘導的な言葉が入り込む危険はないだろうか。
 説明の仕方次第で調査数字がかなり左右されてしまう可能性がある」と問題を提起。これを受けて宮崎哲哉氏(評論家)が「極端に言えば、メディアがある方向に予めバイアスのかかった世論調査を設計してしまえば、結論をも操作できるということになってしまう。……
 大胆な提起だが、内閣支持率を1面トップで取り上げるのを止めるという指針を示したらどうか。他のメディアにも世論調査の扱い方に関し慎重さを求めるいい機会になる」と強調していた。一見科学的に映る世論調査数字に依拠し過ぎた報道に警鐘を鳴らす指摘だと思う。 
 民主党は5月16日の両院議員総会で鳩山由紀夫氏を新代表に選出。全党結束して態勢立て直しに全力を挙げ、“政権選択”総選挙に命運を賭けることになった。


2009年3月11日水曜日

【西松事件】 各大手既存メディアの役割

 3月11日になると、産経の西松事件そのものの記事もめっきり減り、小沢氏をバッシングするためだけの記事や報道一色になっている。

いつも政治家の献金、つまり政治家のお金にまつわる事件が報道をされ始めると「事件の内容より、政治家そのものへの思い込み評価」を刷り込む作業が行われているように思えてならない。

たとえば、今日の産経新聞の記事であるが、一見すると小沢氏側の言い分を載せているように思えるが、対する東京地検の見解を載せない限りは公平性に欠く。なぜなら、一度逮捕をされたら、どんなに正しい事を述べたとしても「ずうずうしい」・「開き直っている」とみられる傾向が強いのである。それに対し、東京地検特捜部の見解を載せる事で初めて公正な記事となる。つまり、大手既存マスコミの一方的な報道によるラベル貼りは、このようにして作られるのである。

同時に読売新聞は、かつて小沢氏と近い間柄であった二階氏を引き合いに出し、小沢氏のイメージを落とす役割を果たしている。この今回の事件は、読売と産経も東京地検にとって重要なプレィヤーを担っているように思える。しかし、今回は、この2社だけではなく、すべての大手既存のマスコミがプレィヤーとして動いているようにさえ思える。

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【西松献金】小沢氏、石川議員聴取は「選挙妨害以外の何ものでもない」
産経新聞2009.3.11 11:52

民主党の小沢一郎代表は11日午前、党本部で自身に近い同党の中堅・若手議員らと会談し、西松建設による違法献金事件で東京地検特捜部が小沢氏の元秘書の石川知裕衆院議員に事情聴取する方針を固めたことについて、「選挙妨害以外の何ものでもない」と述べた。さらに、「権力を乱用する者に権力を持たせてはいけない。だから政権交代しなければいけない」と地検の捜査を批判した。

 出席者によると、小沢氏は議員から代表続投を求められ、「何としても衆院選で勝つ。オレは悪いことはしていない。いずれ真実が分かれば国民も理解してくれるだろう」と意欲を示したという。

 石川氏は次期衆院選で、中川昭一前財務・金融担当相の地元、北海道11区からの立候補を予定している。




西松献金、小沢氏・二階氏へ途切れなく…転籍後も提供先変え
 準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)が、ダミーの政治団体を使うなどして、個人や派閥の政治団体に多額の資金を提供していた小沢一郎・民主党代表と二階俊博・経済産業相。

 かつて二人は共に自民党を離脱し、その後、たもとを分かって現在に至るが、西松建設は、二人の足取りをたどるかのように、資金提供先も変えていた。

 同社が長年にわたり、小沢氏側と二階氏側を手厚く支援していた実態が浮かび上がる。

 小沢氏と二階氏は1993年6月、一緒に自民党を離脱して旧新生党を結成。その後、旧新進党、旧自由党と2000年まで行動を共にした。二階氏は小沢氏の側近とも言われた。

 二階氏は同年4月、旧自由党を離れて、旧保守党の結党に参画。さらに03年11月、自民党に合流し、二階グループ(現在の二階派)を率いることになった。

 一方、小沢氏の旧自由党は、03年9月に旧民主党と合併。小沢氏は副代表などを経て、06年4月から民主党の代表を務めている。

 政治資金収支報告書などによると、西松建設は、二人が旧新進党や旧自由党に所属していた95~99年の5年間、両党の献金窓口だった政治資金団体「改革国民会議」に、同社や子会社の松栄不動産、ダミーの政治団体「新政治問題研究会」の名義で、総額約1億円を献金していた。

 二階氏が旧保守党を結党した00~02年の3年間には、西松建設は同党の政治資金団体「保守政治協会」に計約330万円を同社名義で献金した。

 西松建設は改革国民会議への献金を00年以降も続けていたが、小沢氏の旧自由党が旧民主党と合併した03年以降は、新たに小沢氏の資金管理団体「陸山会」を献金の提供先の一つにするようになった。以後、陸山会への献金は06年まで続く。すべて「新政治問題研究会」など二つのダミーの政治団体経由だった。

 旧自由党が国会議員30人の小所帯で「小沢色」が強かったのに対し、旧民主党との合併で200人を超す大所帯となった。このため、関係者によると、献金先を小沢氏個人の資金管理団体に変更したという。

 一方、二階氏が自民党に合流すると、西松建設は04~06年にダミーの二つの政治団体名義で、自民党二階派の政治団体「新しい波」から計838万円分のパーティー券を購入した。また、06年以降も、二階氏の政党支部「自民党和歌山県第3選挙区支部」の口座に、同社社員や家族計60人の名義を無断で使い、毎年計300万円を振り込んでいた。

(2009年3月11日09時58分 読売新聞)