2011年3月2日水曜日

点検漏れ33機器

柏崎原発で新たに点検漏れ33機器

 東京電力は28日、柏崎刈羽原発で発覚した機器の点検漏れ問題で、新たに33機器で点検期限の超過が明らかになったと発表した。

安全性に問題はないとしている。東電は同日、経済産業省原子力安全・保安院に最終報告をした。全7基と共用設備での点検漏れの総数は117機器に上った。

  新たな点検漏れは、2号機が7機器、3号機が21機器、4号機が5機器。このうち、法律で検査が義務づけられているのは、2号機の3機器と、3号機の5機器。

3基は中越沖地震を受け停止している。

 (新潟日報 2011年2月28日)




東電、原発点検漏れ400超える 国に最終報告

 原発機器の点検状況を調べていた東京電力は28日、新潟県と福島県の3原発の全17基で計429機器の点検漏れがあったとする最終報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。

東電は「機器の健全性は確認しており、安全上の問題はない」としている。

  点検漏れがあったのは柏崎刈羽原発(新潟県)で375機器、福島第1原発で33機器、福島第2原発で21機器で、非常用ディーゼル発電機の空気圧縮機や廃棄物処理系のポンプなど。

  東電は点検計画表への記載ミスなどが原因とし、「1基あたり数万ある機器の管理を人に頼ったことが無理だった。システム化して再発防止を図る」と釈明した。
     (*点検項目数が多いので見逃した? 点検以前の問題!
柏崎刈羽で特に多いのは「中越沖地震の復旧に追われて管理が不十分だったことと、過去の点検漏れも調べたため」としている。

  保安院は昨年4月、中国電力島根原発の点検漏れを受け、電力各社に調査を指示し、順次、各原発への保安検査で状況を調べている。今回の点検漏れも柏崎刈羽の保安検査で保安院が発見し、福島第1、第2原発でも調べるよう指示していた。 

( 2011/02/28 18:43  共同通信)


 福島第1原発で新たに33機器点検漏れ 

  保守管理の規定の期間を超えても点検を実施していない点検漏れの機器が見つかった問題で、東京電力は28日、経済産業省原子力・安全保安院に調査結果を最終報告した。

報告では福島第1原発で新たに33機器で点検漏れが見つかった。県は「信頼性の根本に関わる問題」と東電に再発防止策の徹底を求めた。
*柏崎の33機器とは別

  東電によると、福島第1原発で見つかった点検漏れは定期検査で行われる機器ではなく、東電の自主点検で定期点検が行われている機器。

しかし、最長で11年間にわたり点検していない機器があったほか、簡易点検しか実施していないにもかかわらず、本格点検を実施したと点検簿に記入していた事例もあった。      
*点検簿の偽造
(2011年3月1日 福島民友ニュース) 


 福島第一原発でも点検漏れ 健全性に支障なし

 東京電力福島第2、柏崎刈羽の両原子力発電所で機器の点検漏れがあった問題で、東電は福島第一原発でも33機器に点検漏れがあったことを確認し、経済産業省原子力安全・保安院に報告した。 
東電が28日発表した。福島県内の福島第1、第2両原発の点検漏れは合わせて54機器となった。 
  東電によると、点検漏れがあったのは5号機11機器、6号機6機器、1号機と2号機、4号機が各3機器、3号機2機器、共用設備5機器。 
いずれも自主点検の対象機器で、原子炉再循環ポンプの電源の周波数を変える装置など。 
*再循環ポンプ 原子炉再循環系構成機器の一つである。原子炉再循環系は、原子炉圧力容器内の原子炉冷却水を、原子炉再循環ポンプによりジェットポンプを介して炉心へ強制循環させ、炉心で発生した熱を除去する機能のほか、ポンプの速度を制御して炉心へ冷却水供給量を変化させて原子炉熱出力を制御する機能をもつ。
最長で点検時期から11年が経過していた。 
東電は機器の交換や点検などにより、健全性確保に支障はないとしている。 
  福島第二原発では21機器、柏崎刈羽原発では375機器で点検漏れがあった。
東電はチェック体制の強化など再発防止に取り組む。また、点検実施の行程をコンピューター管理するシステムを今年7月から一部で導入し、平成25年度に本格的に運用する。 
点検簿の為だけ管理システム?) 
  県原子力安全対策課は福島第一原発の点検漏れについて「極めて遺憾。適切な機器点検は基本であり、再発防止に真剣に取り組むべき」としている。 

 (2011/03/01 09:41)福島民報 





 福島第一原発の33機器で点検漏れ 最長は11年間   

 東京電力は28日、柏崎刈羽原発(計7基)の多数の機器で点検漏れがあったことを受けた調査で、福島第一原発の1~6号機でも33機器で点検漏れが見つかったと発表した。 
6号機の原子炉建屋内にあり、残留熱除去系の電動弁に電力を供給する分電盤は11年間点検していなかった。 
* 残留熱除去系  原子炉を停止した後の燃料の崩壊熱除去や、非常時に原子炉水を維持するために原子炉へ注水する系統) 
東電は同日、調査結果と再発防止策を国に報告した。 
  東電によると、点検の計画表作成時の記載ミスや点検発注時の書類の確認不足などのため、各号機で2~11機器の点検漏れがあり、点検期間を半年~11年過ぎていた。これらは定期検査ではなく、自主点検の対象という。いずれも健全性に問題はないなどとして運転は継続する。 
(*あくまでの点検簿不備だけの問題?) 
  福島第二原発1~4号機でも21機器で点検漏れが見つかり、2月2日に発表した。 
 (2011年3月1日 朝日)

追記

 繰り返された検査漏れ、問われる東電と政府の姿勢 【3月24日 AFP】 

 東北地方太平洋沖地震と津波を引き金に日本列島が原発危機に陥る11日前の2月28日、福島第1原子力発電所を操業する東京電力(Tokyo Electric Power Co.、TEPCO)は経済産業省原子力・安全保安院に、運転開始から40年が経過しているこの原発の1~6号機で計33機器の検査漏れがあったと報告していた。

不正報告などの過去を持つ東京電力と、原子力産業に甘いとみられてきた政府に対するいっそうの疑問を生じさせる出来事だ。

  この報告では、原子炉の温度調整を行う電動弁に電力を供給する分電盤が11年間点検されていなかったことや、実際には簡易点検だったにもかかわらず本格点検を実施したと記載していた事例などが明るみになった。

  保安院は他の電力会社の原発で点検漏れが発覚したことを受け、電力各社に原発機器の点検が適切に実施されているかどうか調査するよう指示していた。2月28日に報告された点検漏れは東京電力が実施した点検状況の調査で見つかったが、この調査では非常用ディーゼル発電機やポンプのモーターなど、冷却システム関連の装置は対象になっていなかった。

  東京電力の報告提出から2日後の今月2日、保安院は、「点検長期計画表の策定」や「保守管理における保全の実施」などが適切に行われていなかったと結論付け、東京電力に対し6月2日までに再発防止対策を策定し、報告するよう指示した。

 ■ 「検査漏れの影響、なかったとは言えない」、ある保安院幹部

  しかし、非常時に炉心にある燃料棒が過熱して溶け出し、危険な放射性物質が放出されるのを防ぐ緊急炉心冷却装置を作動させるはずだった非常用電源は、3月11日に発生したマグニチュード(M)9.0の地震とそれに伴う10メートルを超える津波で機能しなくなってしまった。

  保安院のある幹部は、2月28日に報告された一連の過失が、今回の危機に至るまでの一連の出来事に影響がなかったとは言えないと述べた。

そして、今回の事故に至るまでの東電の行動については徹底的な調査を行うつもりだが、今は福島第1原発での当面の作業に全力を注いでいると述べた。

  福島第1原発で起きた爆発を捉えた映像は世界中を震え上がらせた。そして、過去において安全性に関する問題を抱え、しかもそれを隠ぺいしようとした東京電力の姿勢を知る多くの日本人は、福島原発からの不透明で一定しない情報に対する疑念を強めている。

 ■ 「否認の文化」で不祥事相次ぐ?  

2002年には、原発施設の点検記録に不正・改ざんがあったことを東京電力が認め、調査のために福島原発を含む同社の全17基の原子炉が停止される事態となり、会長と社長が引責辞任した。

  2007年には新潟県中越沖地震で、同じく東電が操業する世界最大級の柏崎刈羽原発で放射能漏れが起きるという、今回の危機の予兆のような事態が起きた。この時の放射能漏れは当初の東京電力の発表を上回り、東電は後になって、施設に対する地震の影響を過小評価していたと発表した。

  科学者と原子力反対運動家らによる東京の団体、原子力資料情報室(Citizens' Nuclear Information Center、CNIC)のフィリップ・ホワイト(Philip White)氏は、「人びとはTEPCOを信用していないし、TEPCOが真実を語るとは期待していない」と厳しく語る。

「問題は、否認の文化(culture of denial)だ…こういう事態が起こりうるということの否認、日本が大震災に見舞われる可能性の否認、今回のような大規模の津波が発生しうるという考えの否認だ」

  福島原発についての東京電力の対応は、メキシコ湾(Gulf of Mexico)の原油流出事故の際の英エネルギー大手BPの対応と似ている。

東京電力の株価は震災後暴落し、同社の市場価値は1兆9300億円も失われた。

  最初の爆発から1時間以上も首相官邸に報告がなかったことについて、菅直人(Naoto Kan)首相は東電本店に詰めかけ、「いったいどうなっているのだ」と声を荒げて叱責した。

  2月28日の報告書が公表された時点で、福島県は「信頼性の根本に関わる問題」だとして、東電に再発防止の徹底を求めていた。

この報告の前に東京電力は柏崎刈羽原発の検査漏れも明らかになったと報告していた。別の保安院関係者は、「(東電が柏崎刈羽の検査漏れを)報告したのは、報告しなかった場合に問題になることを恐れたから」だと語った。

 (c)AFP/Kimiko de Freytas-Tamura 2011年03月24日 21:01 発信地:大阪
 http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2792227/6995860