2011年3月31日木曜日

責任逃れ

 この度の地震・津波・原発事故に関しては備忘録に残すのさえ腹立たしく思える事柄が多すぎる。そんな中で枝野幸男官房長官が「住民の健康被害についてはコメントするなと指示があった」ことがニュースとして伝えられた時には思わず、唖然としてしまった。

確かに不用意な発言がなされた場合には収集がつかなくなる恐れがあったとしても、早期に住民を避難させなかったのは菅政権であることは間違いのない事実である。

住民の健康を考えた場合に早期に避難をさせるべきであり、健康被害についても明確に伝えるべきであろう。

東日本大震災:原発から20キロでも放射線量が高濃度

http://megalodon.jp/2011-0331-1643-51/mainichi.jp/select/science/news/20110316k0000e040048000c.html


 福島第1原発から北西に約20キロ離れた福島県浪江町内の放射線量が、一般の人の年間被ばく限度の2233~2890倍に当たる1時間当たり255~330マイクロシーベルトに達していることが、文部科学省の調査で分かった。浪江町内には介護施設などに避難できない住民が多数いるとの情報もあり、文科省は「問題がある数値で官邸に報告した」と説明した。

 調査は15日午後8時40分~同50分にかけ、同町内3地点で計測機器を積んだ「モニタリングカー」を使って実施した。その結果1時間当たりの放射線量は、19キロ離れた場所で車外255マイクロシーベルト、車内223マイクロシーベルト▽20キロ離れた場所で車外270マイクロシーベルト、車内220マイクロシーベルト▽21キロ離れた場所で車外330マイクロシーベルト、車内300マイクロシーベルト--となった。

 文科省によると一般の人の年間被ばく限度は1000マイクロシーベルト、同町内の数値は屋外にいると3時間前後で限度に近付くことになる。屋内でも車内に近い数値が計測されることも予想され、文科省は16日から「測定者の健康に被害が出ない範囲で計測を続ける」としているが、住民の健康被害については「枝野幸男官房長官からコメントするなと指示があった」と説明している。【篠原成行】


2011年3月28日月曜日

宇都宮会長の声明

追記

2011年3月25日に日本弁護士連合会会長である宇都宮健児氏から声明が出されている。

その中で「原子力災害対策本部による情報開示は、情報伝達の遅れ、東京電力との情報の食い違い開示情報が不十分であると指摘をしている。またこの指摘は国際原子力機関(IAEAからもなされ批判さえされている。一時期は諸外国からの情報に日本国民が頼るという非常にありえない状況にまで追い込まれていた。

また、過去に色々な方からこの安全性が担保できていないことを指摘されていたことも伝えられるに至っては原発推進を掲げていた現政権のみならず先の自公政権での原発に対する認識を改めて問いたいとの思いに駆られる方も少なくないと察する。

ウィキリークスが、危険な日本の原子力の危険性を米公電が指摘していた事を伝え、それをフランスのル・モンド紙が記事にするに至っては、「もはやこれまで」と観念をしていただきたい思いでもある。

同時に、原発反対派であった河野太郎議員を電力会社が全てのTV局に河野国会議員をTVに出すなを指示したことがウィキリークスに暴露され、電力会社が自らの不正を明らかにした結果となっている。

この備忘録の記事は3月26日朝に書かれたものであるが、その26日夜に当の本人河野太郎氏のブログ「ごまめの歯ぎしり」の中で経産省と電力会社の癒着は、シロであることが証明されない限り、クロだ。と・・・
彼らしい論法ではあるのだが。・・・彼がこの論法(シロかクロかの二者択一)をとる限り中々真実には到達できない可能性だあるように思えて非常に残念でもある・・・(気がしている)

宇都宮健児氏の声明文に書かれている「今回の福島第一原子力発電所の事故により、想定されている地震、津波が過小評価であること、そして地震に対しては複数の故障が同時に生じ、安全性が確保されないことが明らかになった」としてある。これが今後、被害者からなされる東電や国への訴訟にどのような影響を与えるか注意深く見守りたい。


東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故に関する会長声明

1 本年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこの地震によって引き起こされた大津波により、東京電力福島第一原子力発電所では、1号機から4号機で、外部電源や非常用ディーゼル発電など炉心や使用済核燃料プールの冷却機能を働かせるために必要な電源が全て失われ、核燃料棒が冠水できず、高温状態が継続して、炉心溶融・水素爆発等による建屋や圧力抑制室の損壊・使用済核燃料プールの水温上昇などの事故が発生し、放射性物質が原子力発電所から環境中に放出されるなど予断を許さない深刻な事態が進行している。そのため、原子力発電所から半径20km以内は避難指示、半径20~30kmの範囲では屋内待避指示が出される異常事態となっている。

当連合会は、避難指示及び屋内待避指示を受けた住民の皆様にお見舞い申し上げるとともに、現在も原子力発電所事故の現場で懸命の努力が続けられている原子炉の冷却作業等によりこれ以上の深刻な被害が回避されるよう心から祈念する。

2 福島原子力発電所事故に対する危機管理は、原子力災害対策特別措置法により行われているが、原子力災害対策本部による情報開示は、情報伝達の遅れ、東京電力との情報の食い違い、開示情報が不十分であるなどの問題があり、国際原子力機関(IAEA)を中心とする諸外国からも批判がなされている。

日本の原子力発電所は、設計の際に想定した地震や津波を基に安全性評価を行っており、かつ、原子力発電所の安全装置の一つが働かなくなっても、他の装置が働いて安全性を確保できるという単一故障指針に基づいて設計されてきた。今回の福島第一原子力発電所の事故により、想定されている地震、津波が過小評価であること、そして地震に対しては複数の故障が同時に生じ、安全性が確保されないことが明らかになった。

また、国や電力会社は、放射性物質が外部に漏出しないよう、燃料被覆管、圧力容器、格納容器、原子炉建屋で多重に防護されているから安全であるとしてきた。しかし、今回のような冷却剤喪失等の事故が起これば、原子力発電所の安全性が確保できないことも明らかになった。

今回の地震と同じ大規模なプレート境界地震である東海地震等の発生が予測されており、その想定される震源域の直上に位置する浜岡原子力発電所をはじめ、全国には地震と津波の危険にさらされている多数の原子力発電所や原子力施設が存在するが、今回の事態を受けて、原子力発電所の建設が進められていた上関原子力発電所、東通原子力発電所、大間原子力発電所については工事を一時見合わせることが発表された。

当連合会は、従前より、地震及び津波による原子力発電所事故の危険性を指摘し、原子力発電所の新増設の停止と既存の原子力発電所の段階的廃止を訴えてきた(2000年10月6日第43回人権擁護大会決議)。今回の事態は、当連合会の表明してきた危惧が現実のものとなったものである。今こそ、原子力発電所に頼ってきた従来のエネルギー政策を抜本的に見直し、エネルギーの消費削減と再生可能エネルギーなど他のエネルギー源への転換を速やかに図らなければならない。

3 よって、当連合会は、現下の緊急事態に鑑み、地域住民と広く国民の生命と健康、安全と安心を守る立場から、関係機関に対し、早急に以下の措置を講じるよう強く求める。

(1) 原子力災害対策本部は、福島第一原子力発電所事故の現状及び今後想定されるあらゆる事態、並びに、各地の放射能汚染の実情と被曝による長期的なリスクに関する情報、被曝防護に関する情報を正確かつ迅速に国民に提供し、適切な範囲の住民を速やかに避難させること。

(2) 国及び東京電力は、今回の事故により避難及び屋内待避の指示を受けた住民等に対し十分な支援及び被害補償を行うこと。

(3) 国、電力会社その他原子力関係機関は、二度とこのような原子力発電所事故を繰り返さないために、原子力発電所の新増設を停止し、既存の原子力発電所については、電力需給を勘案しつつ、危険性の高いものから段階的に停止すること。

2011年(平成23年)3月25日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児


河野太郎氏に関しては自分は、今ひとつ信頼できない部分がある。
それは、彼の選挙区に住んでいたことと切り離して考えた場合に非常に大きな部分を占めているのがtwitterの件である。

「twitterはしない」とテレビ等で明言をしていた彼が「実は別アカウントで登録をし英文でツイートをしていた」という事実・・・。なにやらオリジナル民主党の口先議員と同根のように思えてしまうのである。

2011年3月16日水曜日

天皇陛下から被災者へのメッセージ

 16日に天皇陛下が、東日本大震災の被災者と国民に向けたお言葉をビデオで発表しました。

そのお言葉の中で「これからも皆が相携え、いたわり合って、この不幸な時期を乗り越えることを衷心より願っています。」と。






 天皇陛下のお言葉の全文です。

 このたびの東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0という例を見ない規模の巨大地震であり、被災地の悲惨な状況に深く心を痛めています。地震や津波による死者の数は日を追って増加し、犠牲者が何人になるのかも分かりません。一人でも多くの人の無事が確認されることを願っています。また、現在、原子力発電所の状況が予断を許さぬものであることを深く案じ、関係者の尽力により事態の更なる悪化が回避されることを切に願っています。

 現在、国を挙げての救援活動が進められていますが、厳しい寒さの中で、多くの人々が、食糧、飲料水、燃料などの不足により、極めて苦しい避難生活を余儀なくされています。その速やかな救済のために全力を挙げることにより、被災者の状況が少しでも好転し、人々の復興への希望につながっていくことを心から願わずにはいられません。そして、何にも増して、この大災害を生き抜き、被災者としての自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています。

 自衛隊、警察、消防、海上保安庁をはじめとする国や地方自治体の人々、諸外国から救援のために来日した人々、国内のさまざまな救援組織に属する人々が余震の続く危険な状況の中で日夜救援活動を進めている努力に感謝し、その労を深くねぎらいたく思います。

 今回、世界各国の元首から相次いでお見舞いの電報が届き、その多くに各国国民の気持ちが被災者と共にあるとの言葉が添えられていました。これを被災地の人々にお伝えします。

 海外においては、この深い悲しみの中で、日本人が取り乱すことなく助け合い、秩序ある対応を示していることに触れた論調も多いと聞いています。これからも皆が相携え、いたわり合って、この不幸な時期を乗り越えることを衷心より願っています。

 被災者のこれからの苦難の日々を、私たち皆が、さまざまな形で少しでも多く分かち合っていくことが大切であろうと思います。被災した人々が決して希望を捨てることなく、身体(からだ)を大切に明日からの日々を生き抜いてくれるよう、また、国民一人びとりが、被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ、被災者と共にそれぞれの地域の復興の道のりを見守り続けていくことを心より願っています。

2011年3月11日金曜日

チェルノブイリ事故・新聞切り抜き帖



1989年 


89/02/04 朝日新聞:モスクワ=ロイターES時事
ソ連当局はこのほど、白ロシアの20の村に避難命令を出した。国営テレビが2日伝えたもので、チェリノブイリ原発から約270kmも離れた17の地区で高いレベルのセシウム137が依然として記録されている。

89/02/11 福井新聞:RP共同
9日のモスクワ放送によると、白ロシア共和国の新聞に、同国の汚染状況を示す詳細な地図が事故後初めて発表された。汚染地域は汚染程度により4つに分類されている。

89/02/12 朝日新聞:モスクワ時事
11日付のプラウダによると、白ロシア共和国のコワリョフ副首相の談話では、放射能汚染は当初の予想より広範囲に及んでおり農地の5分の1が汚染され、モギレフ、ゴメリ州で24700人が避難、10万㌶が立ち入り禁止、415の村(10万3千人)が恒常的な監視区域に指定されいる。

89/02/16 北海道新聞:モスクワ=共同
15日発売のモスクワ・ニュースによると、ウクライナ共和国で事故後家畜の奇形が急増しているほか、甲状腺異常の児童が増えている。チェリノブイリ西50~90kmのジトミール州にあるペトロフ・コルホーズでは、事故後1年間に奇形の豚が64頭、1988年は9月までに76頭生まれた。事故前までは3頭生まれただけだった。同州ナロジチ地区では1988年秋、0.2mR/hrのガンマ線でキエフ(0.014mr/hr)の約14倍。セシウム137の蓄積は、住民の4%で、5~10マイクロキュリーに達している。

89/02/16 北海道新聞:モスクワ15日
14日のコムソモリスカヤ・プラウダは、白ロシアの汚染地図を掲載。当局の対応があまりにも遅いと批判。
89/02/27 北海道新聞:モスクワ=共同
25日アルメニア原発1号機が運転停止。3月18日には2号機も運転停止に。
89/03/05 福井新聞:モスクワ=共同
4日のタス通信によるとソ連当局は、ウクライナの5つの村の住民を別の場所に移動させるよう勧告。ジトミール州ナロジチ地区の3つの村とキエフ州ポレスキ地区の2つの村。

89/03/12 北海道新聞:モスクワ=共同
タス通信が10日伝えたところでは、エストニア共和国のシラマエ(チェリノブイリから約900km)にある幼稚園で、24人の園児に集団で頭髪が脱毛。専門家の委員会を設置し原因究明に。シラマエの放射能レベルは正常値だった。

89/03/21 信濃毎日新聞:モスクワ=共同
ソ連気象予報委員会イズラエリ議長はプラウダに、3年たった現在の汚染地図を含めた報告を寄稿。事故当初(?)0.2mr/hrを越える汚染地域が20万平方km以上。保健省は、一生の間の被曝線量を35レム以下に抑えるよう決定。15Ci/平方km以上の地域は「厳重管理区域」とし、飲食物などの制限。

89/03/21 毎日新聞:モスクワ
プラウダは21日、イズラエリ国家気象委員会議長の論文を掲載。0.2mr/hr以上の汚染地域は20万平方kmに達した。

89/04/04 朝日新聞:広河隆一
3月中旬チェリノブイリ訪問。原発南25kmの所で農婦が農作業中、その村では100人ほどが疎開先から勝手に帰村。ナロジチ地区ペトロフスキー・コルホーズの議長によると、目に異常のある豚が昨年30頭生まれた、事故前は年に1,2頭だった。ナロジチ病院の看護婦によるとは、子供のうち2人に1人は甲状腺肥大が見られる。

89/04/24 毎日新聞:モスクワ=共同
ソ連政府は、昨年末地震多発地帯の原発6カ所の建設中止を決めたのに続いて4月22日、新たにチェルノブイリ5、6号機など4基の建設中止を決定。さらに、耐用年数のくる原発の閉鎖、チェルノブイリ型原発は今後建設しない、70年代に建設した14原発は建設し直す、90年代半ばから新世代の原発に切り替える、などの方針を決め、原子力計画の大幅な修正に踏み切った。

89/05/19 朝日新聞(?):ロンドン=共同
17日発売のネーチャーによると、チェリノブイリ30km立ち入り禁止区域内に、老人を中心とする村民千人、労働者6千人が居住。労働者は月の半分だけ。
89/05/22 朝日新聞:ロイター=共同
17日のコムソリスカヤ・プラウダによると、作家アダモビッチが「モスクワを放射能汚染から救うため、事故当時人工的に雨を降らせたのではないか」と事故対策委員会議長シチュルビナ副首相に公開質問状。

89/05/22 日経新聞:記者ルポ
15、16日のモスクワで開かれた世界原子力発電事業者協会設立総会の後、チェリノブイリ発電所を公開。発電所から10kmのところで0.2mr/hr、4号炉から500mのところで9mr/hr。石棺内部の最高温度は現在200度C。キエフの放射線医学研究所では、67万3千人に特別の医療カードを発行、検査が継続中。200レム以上は55人、このうち400~600レムは17人、600レム以上は1人(存命中)。

89/07/01 北海道新聞:モスクワ=時事
30日発売のニジェーリャによると、白ロシア共和国モギレフ州で児童の貧血や視力低下、血液成分異常が発生している。同州の病院長ペニコフスキー氏が明らかにしたもので、このほか運動機能障害、無筋力症、ビタミン欠乏症、免疫異常が認められる。同州のレオノフ党第1書記によると、事故から3年たっても、学者の予測に反して、放射能の値は低下していない。同州の1430平方kmが汚染されている。

89/07/27 北海道新聞:ワシントン=共同
チェリノブイリ事故当時、骨髄移植を行ったゲール教授は、手術した13人のうち生存しているのは2人であると報告。

89/07/31 毎日新聞:モスクワ=共同
白ロシア共和国最高会議は29日、汚染がひどい地域から新たに10万6千人を避難させると決定。計画全体にかかる費用は100億ルーブル(2兆2千億円)。24日付のプラウダによると、モギレフ州の2つの村では140Ci/平方kmの汚染。

89/08/01 河北新聞:モスクワ=時事
チェリノブイリ北方50~60kmのロシア共和国ホイニキ市で、児童の間に貧血やのどの炎症が広がっている。30日付イズベスチャが同市600人の署名した手紙を掲載したもの。「放射能の影響はない」とした当局や学者の誤りを指摘し、過去3年間に地区の党第1書記ら幹部や大半の医師が住民を残し脱出したと非難。

89/08/08 サンケイ新聞:モスクワ=記者
ウクライナの反体制ジャーナリストで人民代議員のヤロシンスカヤ女史は、ネジェーリャ最新号で、ウクライナ共和国のチェリノブイリ西方12の村で住民が高濃度の汚染により危険にさらされている、と当局を批判。女史が入手した公式データによると、ナロードニーチェスキー地区の12の村で70年間に受ける被曝線量は、35.5~113レムとされ、ソ連自身の基準35レムを越えている。子供たちに甲状腺などのどの疾患や貧血、のど、胃、食道などのガンが増大。牧草地で160Ci/平方kmの汚染が見つかっている。ウクライナ共和国当局は、いかなるデータも公開しないようかん口令。

89/08/10 北海道新聞:モスクワ=記者
9日のソビエツカヤ・ロシアによると、ロシア連邦共和国ブリャンスク州のクラスナゴールスキー地区では、きわめて汚染の高い12の村に約3千人が生活。ザボーリャ村のコルホーズ議長によると、「私の家のガンマ線量は室内許容値の10倍以上」。同村の野菜畑の大部分でセシウム汚染は100Ci/平方km以上。86年に同地区で甲状腺ガンはなかったが、この2年間に15人。慢性的気管支炎は、3年前の千人当り94人から、今年前半は175人。結核症状の認められた家畜は、87年46頭、88年139頭、今年前半は337頭に急増。これらはすべて白血病によるもの。

89/08/15 朝日新聞:モスクワ=記者
タスが14日伝えたところでは、チェリノブイリ事故で住民が避難した白ロシア共和国の3つの地域に特別保護区を設けることが決まった。この地区の動植物に異常がみられ追跡調査するため。今後千ヘクタールの森林が死滅すると予測。また松の葉が大きくなったり、子供の手のひらほどのアカシアの葉が観察されている。貯水池の底には放射能が蓄積、カマス、スズキ類に多量の放射能が蓄積。ハリネズミやトガリネズミにも異常な集中が観察されている。

89/08/19 河北新聞:モスクワ=共同
17日発売のソベセドニックによると、チェリノブイリ事故で汚染された肉がソーセージなどに混入されて大量に販売されていたことが判明。事故後、ソ連保健省は通常の放射能値に対し牛肉は8~9倍、豚肉は5倍までは人体に害はないとして販売を許可、それ以上は廃棄とした。ところがウクライナ共和国のキエフ、ジトミール州、白ロシア共和国のゴメリ、モジレノ州、ロシア共和国のブリャンスク州の5州から基準以上の肉が出回った。基準を越えた肉は、86年3万2千㌧、87年1万2千㌧、88年2千8百㌧。正常値以上で基準値以下の肉は、86年55万㌧、87年63万㌧、88年52万㌧に達する。

89/08/22 朝日新聞:モスクワ=記者
白ロシア共和国は最近、独自の銀行口座を設け募金活動を開始。同共和国は汚染対策により財政が破綻しかねない状態にある。全連邦レベルで募金・資金を募る口座ができていたが、そこに集まったお金がどこにどう使われているのかはっきりしないため、白ロシア独自の口座を開いたもの。

89/10/02 毎日新聞:モスクワ=記者
白ロシア共和国で30日、当局の汚染対策の手ぬるさに抗議する大規模な集会が開かれた。このミンスクの集会は「人民戦線」が組織、1万5千人が参加。参加者たちは治安当局の制止を振り切って雨の中をデモ行進。

89/10/02 毎日新聞:モスクワ=共同
30日の「ソビエト文化」は、白ロシア共和国で奇形児の出産やガン患者が急増していると報道。ゴメリ州ホイニキ地区では、今年1月から6月の間に13人の奇形児。昨年の奇形児出産は3件。奇形児の出生率は事故前の85年に比べ3~4倍、死産も増加。モギレフ州スラブゴロド地区では、85年に11人しかいなかったガン患者が、昨年は70人に急増。今年1~6月は新たに34人。同地区の人口は過去2、3年の間に約20%減少しており、ガン発生率の上昇は明らか。ゴメリ州などでもこうした傾向。スラブゴルド地区では動物の奇形出産も急増。

89/10/12 毎日新聞:モスクワ=共同
11日発売のモスクワ・ニュースは、白ロシア共和国で染色体異常や免疫異常などの影響が確認され、とくに汚染地域では敗血症、子供の甲状腺肥大などの病気が増えている、と報道。「大きなウソ」と題された記事は、作家アダモビッチなど4人の座談会をまとめたもの。またソ連最高会議発電・核安全問題小委員会のシェルバク委員長は、事故で放出された放射能の量は、公式に発表された5千万キュリーではなく、10億キュリーと明らかにし、64億キュリーと推定する専門家もいると述べた。ウクライナ、ナロジチ地区のブジコ第1書記は、同地区では甲状腺肥大などのため健康な子供は事実上いないと強調。

89/10/21 毎日新聞:モスクワ=共同
18日付イズベスチアの投書で、労働者レーピン氏は「ともに放射能除去を行った若者たちが急死している。死者の数は増え続けている」と告発。事故直後動員されたイグナチェフさんは1カ月後に倒れ、翌年には歯が22本抜け、脱毛、頭痛、ぜんそく、胃の痛みなどを訴え、昨年7月21才の若さで死亡。多数が闘病生活を強いられている。同紙編集部は、事故後原発地区に入った労働者は約60万人に上ると述べ、発病の事実に目をつぶることは罪だ、と強調。

89/11/02 読売新聞:モスクワ=共同
1日付トルードによると、ソ連児童基金は白ロシア共和国モギレフ、ゴメリ両州の幼稚園児と小中学生7万3千人以上を避難させる計画を決定。共和国政府はすでに両州を中心に10万7千人を他の地域に避難させることを決めている。

89/11/04 朝日新聞:モスクワ=共同
3日付コムソリスカヤ・プラウダは、白ロシア共和国の汚染地域に住む613町村の住民を避難させると伝えた。実施時期は明らかにされていないが、3段階にわけて実施され、第1,2段階は今後も住民が住めない261町村、第3段階は352町村となっている。同紙によると、ゴメリ、モギレフ両州では奇形児の出産や子供たちの甲状腺肥大などの病気が増えているという。

89/11/05 毎日新聞:ロンドン=共同
西ドイツ、ブレーメン大学のシュミットら4人は、3日発売の英医学雑誌「ランセット」に、チェルノブイリ事故後、西ドイツ南部地域の新生児死亡率が、それ以前の低下傾向から上昇傾向に転じたと発表。

89/11/09 毎日新聞:モスクワ=時事
8日発売のソ連週刊誌「モスクワ・ニュース」は、チェルノブイリ事故の、消火や放射能除去作業に従事した労働者のうち、250人以上がこれまでに死亡。「チェルノブイリ同盟」の結成を伝える記事とともに報道。

89/11/11 朝日新聞:ウィーン=ロイター共同
チェリノブイリ事故除染作業で250人以上が死亡したという報道について、ソ連当局は10日、事故との関連を否定。ソ連保健省生物物理研究所のブルダコフ副所長によると、「除去作業には少なくとも10万人が従事しており3年半の間に250人ほどが死んだ。この数は、正常な成人の死亡率と一致する」。

89/12/09 毎日新聞:モスクワ=記者
7日のプラウダによると、ウクライナのクラマトルスク市で住宅団地の建設に汚染したコンクリートパネルが用いられ、入居者が白血病で死亡していたことが明らかになった。コルジェ一家がこの団地に転居して数年後、長男が白血病で死亡。もう一人の子供も同じく白血病と診断された。同じアパートに前に入居していた一家も白血病で2人の死者を出しており、当局が調査したところ、子供部屋の壁の放射能汚染が判明。セシウムまたはコバルト汚染と見られるが原因は不明。

89/12/17 東京新聞
チェルノブイリ避難民の村、チェルノポリスカヤ村のルポルタージュ。155軒420人。避難後村民の死亡は16人。交通事故の1人を除き15人は老人。赤ん坊12人はみな正常児



2011年3月8日火曜日

メア氏講義メモ

米国務省のメア日本部長の発言が少々問題発言であったようで、なにやら揉めそうな雰囲気fではある。琉球新報の記事にアクセスをしようとしたら随分重くて時間を要してしまった。

発言内容に関しては、各自の記事に読み方で違いが出てくると思うのであえて言及はさけようと思っている。佐藤優氏の弁によれば沖縄の方は強かな面も持ち合わせてはいると。だからと言って地元に基地を誘致したいという住民はまずはいないはずである。

これで叉基地問題に火がつくように思えてならない。


メア氏講義メモ全文(日本語訳)
2011年3月8日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-174366-storytopic-3.html

 ケビン・メア米国務省日本部長(前在沖米総領事)が昨年12月、米国務省内で大学生に対して行った講義を記録したメモの全文は以下の通り。


 私は2009年まで在沖米国総領事だった。日本にある米軍基地の半分は、沖縄にあると言われているが、その統計は米軍のみが使用している基地だ。もし日本の自衛隊と米軍が共同使用している基地を考慮すると、沖縄の基地の割合はかなり低い。議論になっている在沖米軍基地は、もともと田んぼの真ん中にあったが、今は街の中にある。沖縄人が、基地の周囲を都市化し、人口を増やしていったからだ。

 在沖米軍基地は地域の安全保障のために存在する。日米安保条約下の日本の義務は基地のために土地を提供することだ。安保の下での日米関係は不均衡で、日本にとっては有利だが、米国にとっては損失だ。米軍が攻撃された場合、日本は米国を守る義務はないが、米国は、日本の国民と財産を守らなければならない。

 集団的自衛権は、憲法問題ではなく、政策の問題だ。

 海兵隊と空軍は、1万8千人ほど沖縄に駐留している。合衆国は二つの理由で沖縄の基地を必要としている。基地が既に沖縄にあるという点と、地理的にも重要な点である。

県民は米国よりも日本に怒り

 (東アジアの地図を指し示しながら)在日米軍は、東京に司令部がある。物流中核の位置にあり、危機が発生した場合、補給と軍の調整ができる。米国の基地として最もロシアに近い三沢基地は冷戦時に重要な基地だった。岩国は韓国からたった30分だ。その上で沖縄の地理的状況は、地域の安全保障に重要である。

 沖縄はかつて独立した王国で、中国に貢ぎ物を献上していた。とはいえ、中国の一部では決してなかった。米国は1972年まで沖縄を占領していた。

 沖縄県民は、米国よりも直接日本に対し怒りを持ち不満を募らせている。民主党政権は沖縄を理解していない。日本政府はコミュニケーションの「パイプ」を沖縄に持っていない。私が沖縄県民にコンタクトを取りたいと依頼したとき、民主党の高官は「ぜひ! ぜひやってください」と言った。まだ自民党の方が、最近の民主党よりも沖縄に通じていて沖縄の懸念について理解していた。

 3分の1の人たちが、軍隊がなければより平和になると信じている。そのような人たちと話をするのは不可能だ。

 2009年の総選挙は、民主党へ力をもたらした。それは日本政府の初めての政権交代だった。鳩山氏は左派の政治家だった。民主党政権で、鳩山総理大臣だったのにもかかわらず、日本とアメリカは5月に2+2(ツー・プラス・ツー)合意を成し遂げた。

 (メア氏は教室を離れ、同僚2人が日米の経済関係について講義した。その後メア氏が戻って講義を再開し、2人は部屋から出て行った)

本土には受け入れる場所ない

 米国は、沖縄における軍事的負担を減らすため8千人の海兵隊を普天間からグアムへと移転させる。この計画は米国が、地域での安全保障や抑止力を保つための軍事的なプレゼンスを維持するものになる。ロードマップの下で、日本政府は移転に必要な資金を提供するとしているが、このことは日本側の明白な努力の証しだ。民主党政権は計画の実行を遅らせてきたが、私は現行案を履行してくれるものと確信している。東京は沖縄の県知事に伝える必要があるのだ。「お金が欲しければ、(移設案に同意し)サインしなさい」と。 ほかに海兵隊を配置する場所はない。民主党は本土での代替施設を提案したが、本土には受け入れる場所がないのだ。日本の「和(調和)」を重んずる文化は意見の一致に基づいている。合意形成は日本文化において重要なものだ。日本人はこれを「合意」と呼ぶ一方、それは「ゆすり」を意味し、彼らは「合意」の文化を「ゆすり」の手段に使っている。合意を模索するとみせかけ、できるだけお金を引き出そうとするのだ。沖縄の人々は日本政府を巧みに操り、ゆすりをかける名人である。

改憲は米国の利益にならない

 沖縄の主要産業は観光業だ。農業もあるが、主要産業は観光業だ。沖縄の人たちはゴーヤーを栽培しているが、他県の栽培量の方が多い。沖縄の人は怠惰すぎて栽培できないからだ。
 沖縄は離婚率、出生率(特に非嫡出子)、度数の高い酒を飲む沖縄文化による飲酒運転率が最も高い。

 日本に行ったら本音と建前に気を付けるべきだ。本音と建前とは、言葉と本当の考えが違うということだ。私が沖縄にいたころ、「普天間飛行場は特別に危険ではない」と話した。沖縄の人たちは、私の事務所の前で発言に抗議した。沖縄の人たちは普天間飛行場が世界で最も危険な飛行場だと主張するが、彼らはそれが本当のことではないと知っている。福岡空港や大阪伊丹空港だって同じように危険だ。

 日本の政治家はいつも本音と建前を使う。沖縄の政治家は東京での交渉で合意しても、沖縄に帰ると合意していないと主張する。日本文化があまりにも本音と建前を重視するので、駐日米国大使や担当者は真実を話すことによって常に批判される。

 米軍と自衛隊は思考方法が違う。米軍は起こり得る展開に対し準備して訓練するが、自衛隊は実際の展開を準備せずに訓練する。たいてい夜間に戦闘が起きている現代の戦争では夜間訓練は必要だが、地元の人は米軍の夜間訓練に反対する。夜間訓練は抑止力維持に不可欠だ。

 私は、日本国憲法の9条が変わるべきだと思わない。私は、そもそも9条が変えられることを疑問に思っている。もし日本が米軍を必要としないことを理由に改憲したのなら、米国にとってよくないことだ。もし改憲したら、米国は米国の利益のために日本の土地を使用することはできなくなるだろう。日本政府が現在、支払っている高いホストネーションサポート(接受国支援)は米国にとって有益だ。私たち米国は日本に関して非常によい取引を得ている。



メア氏、県民と「対話不可能」 軍隊否定 理由に
2011年3月8日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-174332-storytopic-1.html

 米国務省のケビン・メア日本部長(前在沖米総領事)が米大学生への講義で「沖縄はゆすりの名人」などと差別発言した問題で琉球新報は7日、学生たちが作成した講義メモの全文を入手した。メア氏は「(沖縄県民の)3分の1の人たちが軍隊がなければより平和になると信じている。そのような人たちと話をするのは不可能だ」と述べ、在沖米軍が打ち出してきた「良き隣人政策」を自らほごにしているともとれる発言をしていたことが、分かった。

 日本国憲法9条については「もし日本が米軍を必要としないことを理由に改憲したら米国にとってよくない。米国は米国の利益のために日本の土地を使えなくなる」と述べ、9条により、日本の土地を使い続けられることが「米国の利益」と考えていることも明らかになった。

 一方で「集団的自衛権は、憲法問題ではなく、政策の問題だ」とも話していた。
 このほか講義では「議論になっている在沖米軍基地は、もともと田んぼの真ん中にあったが、沖縄人が、基地の周囲を都市化し、人口を増やしていった」と、在沖米総領事時代に問題になった内容と同様の発言を繰り返していた。
 自衛隊への批判的見方も表明。「米軍と自衛隊は思考方法が違う。米軍は起こり得る展開に対し準備して訓練するが、自衛隊は実際の展開を準備せずに訓練している」と話していた。

 民主党政権に対しては「沖縄を理解していない。日本政府は沖縄にコミュニケーション『パイプ』を持っていない」と批判。沖縄県民に接触するため民主党の高官に依頼した際「ぜひ、ぜひやってください」などと言われた経験を挙げ「まだ自民党の方が、最近の民主党よりも沖縄に通じ沖縄の懸念を理解していた」と述べていた。
 講義メモ(A4判4ページ)はメア氏講義を聞いた複数の学生の記録を基に作成した。



「沖縄、ゆすりの名人」 メア米日本部長が発言
2011年3月7日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-174327-storytopic-53.html
   ケビン・メア氏
 米国務省のメア日本部長(前在沖米総領事)が昨年末、米大学生らに国務省内で行った講義で、日本人は合意重視の和の文化を「ゆすりの手段に使う」「沖縄はごまかしの名人で怠惰」などと発言していたことが6日までに分かった。メア氏は米軍普天間飛行場の移設問題など日米交渉に実務者として深く関与、移設先を名護市の辺野古崎地区とした現行案決着を米側で強く主張してきた人物の一人。発言は差別的で、日本と沖縄への基本認識が問われる内容だ。

 講義を聞いた複数の学生がメモを基に作成した「発言録」(A4判3ページ)によると、メア氏は「日本の和の文化とは常に合意を追い求める」と説明した上で「日本人は合意文化をゆすりの手段に使う。合意を追い求めるふりをしながら、できるだけ多くの金を得ようとする」と述べた。沖縄については日本政府に対する「ごまかしとゆすりの名人」「怠惰でゴーヤーも栽培できない」などと発言。普天間飛行場は「(住宅地に近い)福岡空港や伊丹空港と同じ」で特別に危険でないとし、日本政府は仲井真弘多知事に「お金が欲しいならサインしろ」と言うべきだと述べている。

 講義は米首都ワシントンのアメリカン大の学生ら14人に対して、彼らが東京と沖縄へ約2週間の研修旅行に出発する直前の昨年12月3日、大学側の要請で行われた。

 発言録を作成した学生たちは「メア氏は間違いなくこのように言った」と証言。「米政府の地位ある人物の偏見に満ちた言葉にとても驚いた」「人種差別的発言と感じた」などと話している。

◆「正確ではない」
 ケビン・メア米国務省日本部長の話 学生たちにはオフレコ(公にしないこと)で講義を行った。彼らが私の発言をどのように解釈し、ノートに取ったかまでは関知し得ないが、学生からの2次的な情報を基に、特定の発言を私の発言とするのは不適切だ。発言録は正確でも完全でもない。



メア米日本部長が差別的発言 「沖縄はごまかしの名人で怠惰」
2011年3月6日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-174291-storytopic-1.html

 米国務省のメア日本部長(前駐沖縄総領事)が昨年末、米大学生らに国務省内で行った講義で、日本人は合意重視の和の文化を「ゆすりの手段に使う」「沖縄はごまかしの名人で怠惰」などと発言していたことが6日までに分かった。

 メア氏は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題など日米交渉に実務者として深く関与、移設先を同県名護市の辺野古崎地区とした現行案決着を米側で強く主張してきた人物の一人。発言は差別的で、日本と沖縄への基本認識が問われる内容だ。

 沖縄については、日本政府に対する「ごまかしとゆすりの名人」「怠惰でゴーヤーも栽培できない」などと発言。
(共同通信)

2011年3月2日水曜日

点検漏れ33機器

柏崎原発で新たに点検漏れ33機器

 東京電力は28日、柏崎刈羽原発で発覚した機器の点検漏れ問題で、新たに33機器で点検期限の超過が明らかになったと発表した。

安全性に問題はないとしている。東電は同日、経済産業省原子力安全・保安院に最終報告をした。全7基と共用設備での点検漏れの総数は117機器に上った。

  新たな点検漏れは、2号機が7機器、3号機が21機器、4号機が5機器。このうち、法律で検査が義務づけられているのは、2号機の3機器と、3号機の5機器。

3基は中越沖地震を受け停止している。

 (新潟日報 2011年2月28日)




東電、原発点検漏れ400超える 国に最終報告

 原発機器の点検状況を調べていた東京電力は28日、新潟県と福島県の3原発の全17基で計429機器の点検漏れがあったとする最終報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。

東電は「機器の健全性は確認しており、安全上の問題はない」としている。

  点検漏れがあったのは柏崎刈羽原発(新潟県)で375機器、福島第1原発で33機器、福島第2原発で21機器で、非常用ディーゼル発電機の空気圧縮機や廃棄物処理系のポンプなど。

  東電は点検計画表への記載ミスなどが原因とし、「1基あたり数万ある機器の管理を人に頼ったことが無理だった。システム化して再発防止を図る」と釈明した。
     (*点検項目数が多いので見逃した? 点検以前の問題!
柏崎刈羽で特に多いのは「中越沖地震の復旧に追われて管理が不十分だったことと、過去の点検漏れも調べたため」としている。

  保安院は昨年4月、中国電力島根原発の点検漏れを受け、電力各社に調査を指示し、順次、各原発への保安検査で状況を調べている。今回の点検漏れも柏崎刈羽の保安検査で保安院が発見し、福島第1、第2原発でも調べるよう指示していた。 

( 2011/02/28 18:43  共同通信)


 福島第1原発で新たに33機器点検漏れ 

  保守管理の規定の期間を超えても点検を実施していない点検漏れの機器が見つかった問題で、東京電力は28日、経済産業省原子力・安全保安院に調査結果を最終報告した。

報告では福島第1原発で新たに33機器で点検漏れが見つかった。県は「信頼性の根本に関わる問題」と東電に再発防止策の徹底を求めた。
*柏崎の33機器とは別

  東電によると、福島第1原発で見つかった点検漏れは定期検査で行われる機器ではなく、東電の自主点検で定期点検が行われている機器。

しかし、最長で11年間にわたり点検していない機器があったほか、簡易点検しか実施していないにもかかわらず、本格点検を実施したと点検簿に記入していた事例もあった。      
*点検簿の偽造
(2011年3月1日 福島民友ニュース) 


 福島第一原発でも点検漏れ 健全性に支障なし

 東京電力福島第2、柏崎刈羽の両原子力発電所で機器の点検漏れがあった問題で、東電は福島第一原発でも33機器に点検漏れがあったことを確認し、経済産業省原子力安全・保安院に報告した。 
東電が28日発表した。福島県内の福島第1、第2両原発の点検漏れは合わせて54機器となった。 
  東電によると、点検漏れがあったのは5号機11機器、6号機6機器、1号機と2号機、4号機が各3機器、3号機2機器、共用設備5機器。 
いずれも自主点検の対象機器で、原子炉再循環ポンプの電源の周波数を変える装置など。 
*再循環ポンプ 原子炉再循環系構成機器の一つである。原子炉再循環系は、原子炉圧力容器内の原子炉冷却水を、原子炉再循環ポンプによりジェットポンプを介して炉心へ強制循環させ、炉心で発生した熱を除去する機能のほか、ポンプの速度を制御して炉心へ冷却水供給量を変化させて原子炉熱出力を制御する機能をもつ。
最長で点検時期から11年が経過していた。 
東電は機器の交換や点検などにより、健全性確保に支障はないとしている。 
  福島第二原発では21機器、柏崎刈羽原発では375機器で点検漏れがあった。
東電はチェック体制の強化など再発防止に取り組む。また、点検実施の行程をコンピューター管理するシステムを今年7月から一部で導入し、平成25年度に本格的に運用する。 
点検簿の為だけ管理システム?) 
  県原子力安全対策課は福島第一原発の点検漏れについて「極めて遺憾。適切な機器点検は基本であり、再発防止に真剣に取り組むべき」としている。 

 (2011/03/01 09:41)福島民報 





 福島第一原発の33機器で点検漏れ 最長は11年間   

 東京電力は28日、柏崎刈羽原発(計7基)の多数の機器で点検漏れがあったことを受けた調査で、福島第一原発の1~6号機でも33機器で点検漏れが見つかったと発表した。 
6号機の原子炉建屋内にあり、残留熱除去系の電動弁に電力を供給する分電盤は11年間点検していなかった。 
* 残留熱除去系  原子炉を停止した後の燃料の崩壊熱除去や、非常時に原子炉水を維持するために原子炉へ注水する系統) 
東電は同日、調査結果と再発防止策を国に報告した。 
  東電によると、点検の計画表作成時の記載ミスや点検発注時の書類の確認不足などのため、各号機で2~11機器の点検漏れがあり、点検期間を半年~11年過ぎていた。これらは定期検査ではなく、自主点検の対象という。いずれも健全性に問題はないなどとして運転は継続する。 
(*あくまでの点検簿不備だけの問題?) 
  福島第二原発1~4号機でも21機器で点検漏れが見つかり、2月2日に発表した。 
 (2011年3月1日 朝日)

追記

 繰り返された検査漏れ、問われる東電と政府の姿勢 【3月24日 AFP】 

 東北地方太平洋沖地震と津波を引き金に日本列島が原発危機に陥る11日前の2月28日、福島第1原子力発電所を操業する東京電力(Tokyo Electric Power Co.、TEPCO)は経済産業省原子力・安全保安院に、運転開始から40年が経過しているこの原発の1~6号機で計33機器の検査漏れがあったと報告していた。

不正報告などの過去を持つ東京電力と、原子力産業に甘いとみられてきた政府に対するいっそうの疑問を生じさせる出来事だ。

  この報告では、原子炉の温度調整を行う電動弁に電力を供給する分電盤が11年間点検されていなかったことや、実際には簡易点検だったにもかかわらず本格点検を実施したと記載していた事例などが明るみになった。

  保安院は他の電力会社の原発で点検漏れが発覚したことを受け、電力各社に原発機器の点検が適切に実施されているかどうか調査するよう指示していた。2月28日に報告された点検漏れは東京電力が実施した点検状況の調査で見つかったが、この調査では非常用ディーゼル発電機やポンプのモーターなど、冷却システム関連の装置は対象になっていなかった。

  東京電力の報告提出から2日後の今月2日、保安院は、「点検長期計画表の策定」や「保守管理における保全の実施」などが適切に行われていなかったと結論付け、東京電力に対し6月2日までに再発防止対策を策定し、報告するよう指示した。

 ■ 「検査漏れの影響、なかったとは言えない」、ある保安院幹部

  しかし、非常時に炉心にある燃料棒が過熱して溶け出し、危険な放射性物質が放出されるのを防ぐ緊急炉心冷却装置を作動させるはずだった非常用電源は、3月11日に発生したマグニチュード(M)9.0の地震とそれに伴う10メートルを超える津波で機能しなくなってしまった。

  保安院のある幹部は、2月28日に報告された一連の過失が、今回の危機に至るまでの一連の出来事に影響がなかったとは言えないと述べた。

そして、今回の事故に至るまでの東電の行動については徹底的な調査を行うつもりだが、今は福島第1原発での当面の作業に全力を注いでいると述べた。

  福島第1原発で起きた爆発を捉えた映像は世界中を震え上がらせた。そして、過去において安全性に関する問題を抱え、しかもそれを隠ぺいしようとした東京電力の姿勢を知る多くの日本人は、福島原発からの不透明で一定しない情報に対する疑念を強めている。

 ■ 「否認の文化」で不祥事相次ぐ?  

2002年には、原発施設の点検記録に不正・改ざんがあったことを東京電力が認め、調査のために福島原発を含む同社の全17基の原子炉が停止される事態となり、会長と社長が引責辞任した。

  2007年には新潟県中越沖地震で、同じく東電が操業する世界最大級の柏崎刈羽原発で放射能漏れが起きるという、今回の危機の予兆のような事態が起きた。この時の放射能漏れは当初の東京電力の発表を上回り、東電は後になって、施設に対する地震の影響を過小評価していたと発表した。

  科学者と原子力反対運動家らによる東京の団体、原子力資料情報室(Citizens' Nuclear Information Center、CNIC)のフィリップ・ホワイト(Philip White)氏は、「人びとはTEPCOを信用していないし、TEPCOが真実を語るとは期待していない」と厳しく語る。

「問題は、否認の文化(culture of denial)だ…こういう事態が起こりうるということの否認、日本が大震災に見舞われる可能性の否認、今回のような大規模の津波が発生しうるという考えの否認だ」

  福島原発についての東京電力の対応は、メキシコ湾(Gulf of Mexico)の原油流出事故の際の英エネルギー大手BPの対応と似ている。

東京電力の株価は震災後暴落し、同社の市場価値は1兆9300億円も失われた。

  最初の爆発から1時間以上も首相官邸に報告がなかったことについて、菅直人(Naoto Kan)首相は東電本店に詰めかけ、「いったいどうなっているのだ」と声を荒げて叱責した。

  2月28日の報告書が公表された時点で、福島県は「信頼性の根本に関わる問題」だとして、東電に再発防止の徹底を求めていた。

この報告の前に東京電力は柏崎刈羽原発の検査漏れも明らかになったと報告していた。別の保安院関係者は、「(東電が柏崎刈羽の検査漏れを)報告したのは、報告しなかった場合に問題になることを恐れたから」だと語った。

 (c)AFP/Kimiko de Freytas-Tamura 2011年03月24日 21:01 発信地:大阪
 http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2792227/6995860