2012年3月24日土曜日

これは、残しておいたほうが・・・

大飯原発「妥当」判断 「地元」の範囲めぐり見解にずれ 2012.3.23 23:00 (1/2ページ) http://sankei.jp.msn.com/region/news/120324/fki12032413290005-n1.htm  関電大飯原発3、4号機の再稼働問題が大きく動き出した。今後は関係閣僚による政治判断が焦点となるが、最終決定の前提となる地元自治体の同意をめぐっては、「地元」の範囲について政府、自治体の間で見解がずれており、対応次第では事態が迷走する危険性もはらんでいる。  「(再稼働の理解を求める)地元の範囲は数値的、機械的に判断できるものではなく、再稼働と防災の30キロは内容的に違う。連動していない」。16日、会見でこう述べた藤村修官房長官は、福井県おおい町と接する滋賀県を政府が理解を求める「地元」には含めない考えを示した。  政府は、防災対策の重点地域(EPZ)を従来の8~10キロから半径30キロに広げて「緊急防護措置区域(UPZ)」とする方針だ。  東京電力福島第1原発事故では、影響が広範囲に及び、原発の立地自治体だけでなく、周辺自治体も再稼働に強い関心を示し、電力事業者もその意向を無視できない状況となっている。  14基の原発が立地する福井県と隣接し、一部がUPZに含まれる滋賀県は、電力事業者に稼働を了承する権限も求めており、嘉田由紀子知事は藤村氏の発言に反発。「全く理解できない。なぜUPZを広げたのか。再稼働と防災が無関係というのは根っこから理解できない」と批判した。  ところが、政府は再稼働に関して、いまだに「地元」の範囲を明確に示していない。事故時に住民の安全を確保するため、立地自治体などが電力事業者と結んでいる「安全協定」の有無が基準となりうるが、中国電力島根原発(松江市)をみると、隣県の鳥取県も締結しており、必ずしも統一されているわけではない。  政府内では、「地元」を立地自治体に限定する検討も進んでいるもようで、今後、周辺自治体からの反発も予想される。  一方、民主党の原発事故収束対策プロジェクトチームは22日の総会で、再稼働の判断について「現段階では時期尚早」とする提言を決定。理由として「地元」の範囲が不明確なことを指摘、政府・与党内でも見解統一がなされていないことがあらわになっている。「本当に難しいのは立地自治体よりも周辺自治体の理解を得ることだ」(資源エネルギー庁幹部)との危惧が現実化しており、「政治判断」以前の段階でプロセスは暗礁に乗り上げかねない。(原子力取材班)

2012年3月18日日曜日

上司の指示で書き換

産経新聞web版から「石川議員の虚偽報告書、上司指示で書き換えか 複数検事、関与の可能性」との記事が配信をされたのが3月16日(金)であった。

この記事を読んでも、驚きもしない自分がいる。「さもありなん」・・・個人的な予想でしかないが、かなりの割合の読者が上司の指示で書き換えたものだと当初から考えていたのではないだろうか?

この記事の最後が面白い。
「小沢被告の公判に影響を与えることも考慮し、判決が予定されている4月下旬以降を軸に検討を進めている」と書かれているのだが、小沢氏の裁判が行われた原因は何なのかを考えたら「
公判に影響を与えることも考慮」ということがあり得るのであろうか?

何にしてもこの国は変な国になってしまったものだ(苦笑


石川議員の虚偽報告書、上司指示で書き換えか 複数検事、関与の可能性
2012.3.16 08:57
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120316/crm12031608590003-n1.htm

 強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の元秘書、石川知裕衆院議員(38)を取り調べた田代政弘検事(45)が捜査報告書に虚偽の記載をした問題で、田代検事が報告書を作成した後、上司の指示を受けて書き換えた可能性があることが15日、関係者の話で分かった。田代検事を含む複数の検事が報告書の「改変」に関与していた疑いが浮上した。検察当局は虚偽記載の背景にこうした指示があったとの見方を強めており、当時の上司らからも説明を求める方針だ。

 問題の報告書は平成22年5月17日付で、小沢被告を起訴相当とした検察審査会の1回目の議決を受けて作成された。東京地検特捜部に所属していた田代検事が、石川議員を再聴取した内容が記載されている。

 報告書には、石川議員が「『選挙民を裏切ることになる』と検事に言われ、(小沢被告の関与を認めた)供述を維持した」と話したことなどが記されているが、石川議員の隠し録音記録には、こうしたやり取りはなかった。田代検事は小沢被告の公判で「思い出して作成したので、記憶が混同した」などと釈明している。

関係者によると、田代検事は石川議員の聴取直後にいったん報告書を作成。当時の上司に内々に報告したところ、記載内容などについて具体的な指示を受けた可能性があるという。田代検事は小沢被告の公判廷で「(報告書は)数日かけて作成した」とも話しており、指示を受け数日間で書き直したとみられる。

 報告書は検審に送付され、小沢被告を起訴すべきだとした2度目の議決の根拠の一つになったとされる。市民団体の告発を受け、虚偽有印公文書作成などの罪で捜査している東京地検は田代検事から任意で事情聴取しており、立件の可否を慎重に判断する。法務省は田代検事らの行政上の処分を検討している。

 処分の時期については、小沢被告の公判に影響を与えることも考慮し、判決が予定されている4月下旬以降を軸に検討を進めている

http://sankei.jp.msn.com/images/news/120316/crm12031608590003-p1.jpg

2012年3月11日日曜日

第15回 論告求刑

「事実でなければ、無罪にすれば足りる」指定弁護士、起訴議決の有効性を主張
2012.3.9 13:02 (1/5ページ)[小沢被告 第15回]


 (10:00~11:00)
 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第15回公判が9日、東京地裁(大善文男裁判長)で始まった。検察官役の指定弁護士による論告求刑が行われる。求刑は午後になる予定だ》

 《地裁は、虚偽記載に関する小沢被告への「報告」と「了承」を認めた元秘書らの供述調書の大部分を却下。指定弁護士側は有罪として刑を求める方針だが、共謀を裏付ける直接証拠がほぼ失われた中、どのような構図を描くのか注目される》

 《指定弁護士側は「調書が採用されないのは想定内。証拠は十分にそろっている」と立証に自信をみせており、小沢被告が土地購入に際し、銀行の融資書類に自ら署名した事実や、土地原資の4億円を用立てながら、元秘書からの報告について「記憶にない」と繰り返した法廷での説明の不合理さなどを強調。間接証拠を積み上げて、小沢被告の関与を印象づけたい考えだ》

 《法廷はいつもと同じく、東京地裁最大規模の104号。小沢被告が入廷する。紺のスーツに白いシャツ、鮮やかなブルーのネクタイ姿だ。裁判長に一礼して弁護側の席に座った。いつものように目を閉じた》

 裁判長「それでは開廷します。新たな証拠請求はありませんね。双方から意見を伺います。指定弁護士から論告を開始してください」

 《弁護側に紙が配られたのを見届けた上で、指定弁護士が席を立った》

《指定弁護士は起訴内容を改めて朗読したうえで、検察審査会の議決の有効性について論じ始める。弁護側が、虚偽の捜査報告書の内容などをもとに行った起訴議決は「無効」と主張しているためだ》

 指定弁護士「まずそもそも、検察審査員が証拠の信用性について錯誤に陥った、すなわち証拠評価を誤ったとしても、そのために検察審査会の議決が無効になることはない、というべきである」
 「検察審査会に提出される証拠は、反対尋問などにさらされて、その信用性について十分吟味されたものとはかぎらない」
 「捜査関係者や裁判関係者であっても、証拠の信用性に関する判断を誤ることはあり得る」
 「いわんや、専門家でない一般市民である審査員が、証拠の信用性につき、判断を誤り錯誤に陥ることはあり得ることである」
 《指定弁護士は淡々と朗読を続ける》
 指定弁護士「検察審査会法には、検察審査会の議決が無効となる場合の定めはない。検察審査会の手続きが違法であった場合は、別途の考慮が必要となるとしても、少なくとも、それ以外の事由で議決が無効になることは予定されているとは到底考えられない」
 「検察審査会のよる起訴議決がなされた場合には、裁判所は取り調べに証拠を総合して評価し、その上で事実の証明がないとの判断に達したのであれば、判決で無罪を言い渡すべきであり、それで足りると解すべきである」
 《起訴議決は有効と主張する指定弁護士。続いて、採用された証拠をもとにした事件の構図について説明を始める。まずは小沢被告らの経歴からだ》
 指定弁護士「被告人は昭和44年12月の衆院選で初当選し、その後現在に至るまで連続して当選している。選挙区は岩手第4区。自民党内のいわゆる派閥である経世会の会長代行を務めた経験を有している」
 「(元秘書の)石川知裕(衆院議員)は、早稲田大在学中の平成8年2月に被告の書生となり、住み込みで被告の私邸周辺の道路や小鳥の小屋の掃除、散歩のお供などの書生仕事をするようになった。12年11月以降は、経理の知識はなかったものの、赤坂事務所で経理を担当した」
 《続いて政治団体の説明をする》
 指定弁護士「(陸山会、誠山会、小沢一郎政経研究会、小沢一郎東京後援会、民主党岩手県第4区総支部の)本件5団体は形式的には別個の政治団体として設立されているが、実態としては一体として活動。陸山会は個人献金、第4区総支部は企業献金、政経研究会は政治資金パーティー収入を受け入れている」
 「これら3団体が収入のある団体で、これらの収入を資金が足りない団体に移動していた。支出内容は、陸山会がその多くが不動産関連、政経研究会はパーティー関連、東京後援会と誠山会が主として人件費や経費を負担していた」
 「資金を外部に出す場合には被告ないし大久保隆規(元秘書)の指示に基づき行われた。被告個人の資産と5団体の資産とは一応峻別され、5団体の銀行口座に個人資産を預けることはなかった」
 《収支の記録については女性秘書らがパソコンに入力。収支報告書の提出期限の3月末までに誤りがないか領収書などと突き合わせを行い、大久保元秘書に報告書の原案を見せて、中身を確認していた、と説明した》
 指定弁護士「大久保(元秘書)は『江戸家老』として、東京の秘書らの福利厚生にも目を配りながら、(秘書らの)家族用の寮を建設することを考えており、平成16年夏ごろには被告の賛同を得ていた」
 《問題の土地購入に経緯について説明を始める》
 指定弁護士「被告は数日後、散歩の折に現地を確認したが、良いところだと思う旨を大久保(元秘書)に伝え、陸山会でその土地を購入することを了承した」
 「大久保(元秘書)は『師匠』である被告に気に入ってもらえたことで誉れにも感じ、購入の話を進めるための準備に入った」
 「大久保(元秘書)は平成16年9月下旬ごろ、石川(議員)にその資金として4億円を用立てられるか確認。石川(議員)は『5団体の政治資金をかき集めれば4億円をそろえることはできるかもしれませんが、運転資金が心許なくなる』と答えた」
 「大久保(元秘書)と石川(議員)は、被告のところに赴き、事情を説明して4億円を借り入れることを申し入れたところ、被告から『戻せよ』といわれて、4億円の貸し付けを受けられるようになった」
 《土地購入の手続きは石川議員が担当。16年10月に売買契約を締結したという》
 指定弁護士「石川(議員)は10月5日に本件土地の売買契約書を締結し、手付金を支払うとともに、この事実を被告に報告した」
《小沢被告の法廷での証言と異なる部分だ》
 指定弁護士「被告は16年10月12日ごろ、石川(議員)に、現金の用意ができたので、元赤坂タワーズに取りに来るように連絡。石川(議員)は同日、自動車で受け取りに行った」
 《指定弁護士は、石川議員がその後、4億円から不動産の手付金を引いた額を12回にわたって、5銀行6支店の陸山会名義の口座に分散して入金したと説明する》
 指定弁護士「石川(議員)は10月20日すぎまでに、売買契約の決済を翌年に先送りして土地取得の事実の公表を遅らせて、17年分収支報告書に記載したほうが良いと考えた」
 《指定弁護士の論告によると、石川議員や大久保元秘書は司法書士に相談し、17年1月7日に所有権の本登記をすることを決定。陸山会の4億円を定期預金にし、それを担保に小沢被告名義で4億円を銀行から借り入れることを計画するが、その手続きが終わる前の、16年10月29日午前10時17分ごろまでに土地代金は支払われ、決済はすべて終了する》
 指定弁護士「石川(議員)は、りそな銀行衆院支店の担当者から、借り入れのために必要な融資申込書や約束手形書類を受け取り、(16年12月29日)昼ごろ、被告と面談して被告の署名を受ける」
 《指定弁護士が客観証拠としてあげる重要なポイントだが、文言は意外なほどにあっさりしている。その後、石川(議員)は午後1時すぎに定期預金を設定。銀行から借り入れを受けた4億円を小沢被告の口座から引き出した》
 指定弁護士「陸山会が設定した4億円の定期預金の利率は0・03%。この定期預金を担保にした4億円の貸し付けは利率1・125%で、利息額は453万6986円だった」
 《小沢被告はときおり、指定弁護士側から渡された論告の紙に目を通しながら、じっと押し黙って座っている》
「荒唐無稽な弁解」「弁護人のひとつのアイデア」元秘書説明の不可解さ指摘
2012.3.9 15:44 (1/3ページ)[小沢被告 第15回]

自宅を出る民主党の小沢元代表=9日午前8時32分、東京都世田谷区
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 (11:00~12:00)
 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第15回公判は、検察官役の指定弁護士による論告が続けられている》
 《論告を読み上げる指定弁護士が山本健一氏から、村本道夫氏に代わった。抑揚を付けて読み上げていく》
 《指定弁護士側は、まず争点の整理を行う。小沢被告が16年に提供した4億円の収支報告書への不記載。また、その4億円を原資として、平成16年に行った土地代支出を、17年分の収支報告書にずらしたことの2点について、弁護側と食い違うポイントを丁寧に説明していく》
 《いずれも小沢被告と、16年担当の元秘書、石川知裕衆院議員=1審有罪、控訴中、17年担当の池田光智元秘書=同=との間に、共謀があったと立証したい狙いだ》
 《まずは16年の4億円の不記載について、石川議員の供述についての検討を行う》
 《指定弁護士は、16年の収支報告書にある4億円の借り入れの記載について、石川議員が自らの裁判では「小沢被告の4億円」としていたにもかかわらず、今回の公判では小沢被告の4億円と、りそな銀行から借りた4億円は「ひとつ」であり、「どちらを記載したかいうのは困難」と証言を覆したことについて指摘する》
指定弁護士「このような趣旨不明の供述をするのは、自らの罪責を逃れつつ、被告の弁護人の主張にも沿うような、荒唐無稽な弁解をしているにすぎず、検討に値しない」
 《続いて池田元秘書の供述について言及する》
 指定弁護士「池田(元秘書)は(小沢被告が提供した)本件4億円が無利息で返済期限の定めがなく、契約書面も作成されていないので、保釈後、弁護士の示唆によって『預かり金と思った』と供述する」
 「しかし、池田(元秘書)は、りそな銀行の陸山会口座を始め、政治5団体の資金状況を十二分に把握していた。現に動きのある5団体の口座に混同させて、どこにあるか分からない預かり金とすることなどはおよそ考えられない」
 「虚偽記入の故意を否定し、自らの罪責を免れようとするものであって、客観的な証拠に符号せず全く信用できない」
 《指定弁護士は弁護側の主張の検討も行う。弁護側は石川議員が秘書の立場として小沢被告から4億円を受け取ったのであり、陸山会が借り入れたものではなく、さらに、りそな銀行の定期預金も小沢被告に権利が属すると主張する》
 指定弁護士「石川(議員)は、陸山会で本件土地を購入するに当たって、その代金支払いのために被告に本件4億円の借り入れを依頼したものであり、しかも借り入れに当たって、被告から『戻せよ』と言われている」
 《さらに指定弁護士は、石川議員が小沢被告から本件4億円の交付を受けた後、陸山会の金庫にしまいこみ、手付け金の一部を補填していることなどを挙げ、断言する》
指定弁護士「本件4億円が被告からの借入金ではなく、本件定期預金になっていて、被告が所有するものであるなどとは到底解することはできない」
 《さらに、指定弁護士は小沢被告からの4億円を、池田元秘書が2年間かけて返済していることについて言及したうえで、こう指摘する》
 指定弁護士「弁護人の主張は、実際には実行されなかったが、選択可能であったひとつのアイデアにすぎない」
 「被告が用立てた4億円を『溶かさない』効果があるわけでもなく、何の実益もない」
 《また指定弁護士は、石川議員が土地登記の先送りしたことについて説明した証言の不自然さについても追及する》
 指定弁護士「石川(議員)はこれまで民主党代表選うんぬんと供述していたが、当公判では(前任の)樋高(剛議員)から政治状況についての判断を言われたからだと供述を翻した」
 「曖昧模糊とした話で、具体性が全くなく、本件売買契約の決済のわずか数日前に、突然、しかも最終的に代金を全額支払い、登記以外のすべての契約条項の履行を完了しながら、登記を翌年送りにして、翌年の収支報告書に記載しなければならない理由があったとは考えにくい」
 《こうした上で、指定弁護士は4億円の不記載や虚偽記載について、力を込めた》
 指定弁護士「確定的故意が成立したことが明らかである」
 《小沢被告はときおり時計を見ながら、指定弁護士の声に耳を傾けている。裁判長が休廷を宣言した。午後1時半から再開される》
「ああ、そうか」は事前了解と指摘 
2012.3.9 16:18 (1/3ページ)[小沢被告 第15回]

自宅を出る民主党の小沢元代表=9日午前8時32分、東京都世田谷区
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 (13:30~14:30)
 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第15回公判は、約1時間半の休廷を挟み、審理が再開された。午後も指定弁護士の論告の読み上げが続けられる》
 《大善文男裁判長が小沢被告に入廷を促した。小沢被告は裁判官らに一礼し、疲れた表情も見せず、しっかりした足取りで自分の席に向かった》
 《指定弁護士は土地の取得とその購入代金を、平成16年ではなく17年の収支報告書に記載したことの問題点の説明を始めた。小沢被告は隣に座る女性弁護士と小声で会話を少し交わした後、立ち上がって論告を読み上げる指定弁護士のほうに視線を向けた》
 《指定弁護士側は、土地の所有権移転登記は16年10月29日に行われる予定になっていたが、陸山会の申し入れで、29日は仮登記にとどまり、本登記は17年1月7日に持ち越されていたと説明。この延期で、17年分の固定資産税が売り主に課税されるが、その分を陸山会が負担することで合意していたと指摘した。購入代金の支払いは29日に完了している》
 指定弁護士「本登記を翌年送りにした時点で(元秘書の)石川(知裕衆院議員)は16年の収支報告書には購入代金の支払いなどを記載しないことを決め、17年3月に作成した収支報告書には記載しなかった」
 「池田(光智元秘書)は石川から引き継ぎを受けた17年7月までに、17年分収支報告書に記載することを決め、18年3月に作成した17年分収支報告書に購入代金の支払いなどを記載しなかった」
 《指定弁護士側は民法の解釈上、16年10月29日が土地の所有権移転の時期であることは明らかとして、16年分収支報告書に取得した土地を資産として記載すべきだったと主張した。また、16年10月29日には3億5261万円が支払われているが、この支出についても16年分に記載すべきだったと述べた》
 《続いて、小沢被告が石川議員、池田元秘書と共謀関係にあったことについて話が移る。小沢被告の指示・了解のもとに一連の会計処理などが行われたことを、2人とのやりとりなど、さまざまな間接事実を積み上げ、明らかにするつもりのようだ》
 指定弁護士「4億円を収支報告書に記載しなかったことの基本的な目的は、被告が4億円を拠出することが露見することを隠す目的があった」
 「10月12日に被告から提供を受けた4億円の大半に当たる3億7492万円を28日までに陸山会の銀行口座に集約したが、その時点での陸山会の残高は4億3千万円を超えており、翌日の決済に必要な額は超えていた。銀行から借り入れしなくても決済は可能だった。決済で運転資金の不足を生じさせることはない。むしろ年間450万円の金利負担が生じる」
「ああ、そうか」は事前了解と指摘 
2012.3.9 16:18 (2/3ページ)[小沢被告 第15回]

自宅を出る民主党の小沢元代表=9日午前8時32分、東京都世田谷区
 「一連の行動から、4億円を原資として土地を購入したことを隠蔽する方針は16年10月から一貫しており、16年分収支報告書に記載しなかったこともその方針の一環だ」
 《また、小沢被告が4億円の存在を秘書にも明らかにしていなかったことも指摘。4億円が保管されていた居室は、秘書にも関与させず、個人資産を隔離しようとする小沢被告の意志が徹底されていたという》
 指定弁護士「結局、多額の現金を手元に置く理由は、多額の資金を有していること自体を第三者の目に触れさせることなく、これを隠そうとしていたものと解するほかない」
 《借り入れは本来、必要なかったにもかかわらず、4億円を隠すために借りたと主張する指定弁護士。小沢被告は身動きもせず、じっと耳を傾けていた》
 指定弁護士「借り入れは、陸山会にとって何ら必要のないもの。その目的は購入資金が被告の本件4億円であることの露見を避けるためであること以外にない」
 「4億円を提供したことを知っている被告が、土地購入という同一目的のために多額の金利負担が生じる借り入れを承諾することは、それは被告の指示に基づくか、すでに指示・了解しているものでないかぎり、あり得ない」
 「石川(議員)が借り入れの詳しい説明をしなかったことは、あらかじめ被告の指示・了解を得た上での行為でないかぎり、ありえない」
 《さらに、指定弁護士は、4億円の趣旨について、メディアから「公私混同」と批判がでることが予想されながら、その趣旨を明らかにする措置を一切とっていないことも、4億円の提供が表に出ないことを、小沢被告自身が十分に理解していた証拠だと述べた》
 指定弁護士「被告に相談することなく、代金全額を支払いながら、登記前に不測の事態に巻き込まれた場合、担当者として強く叱責されるだけでなく、責任を免れる余地はなくなる。その責任の重大さはなおさらである」
 「石川(議員)はほぼ毎朝、被告と会っており、本登記を先送りし、代金全額を支払う処理をすることを隠す理由などは全くなかった。被告の指示・了解なしに、このような処理をすることは絶対になかったというべきである」
 《小沢被告はこの公判で、「報告は受けていなかった」と繰り返している。石川議員も法廷で、登記を翌年に回すことは報告していないという趣旨の証言した。だが、指定弁護士は法廷での証言が不自然であることや、捜査段階で石川議員が「報告しています」と供述していることなどから、「報告があったことは明らか」と述べた》
 《指定弁護士はさらに、石川議員から引き継いだ池田元秘書が、16年に支払った土地代金を17年分の支出として計上したことについて報告したときも、小沢被告が「ああ、そうか」といって、特にその処理をした理由について質問しなかったことも、事前に指示・了解していたからだと指摘した》
 《陸山会の収支報告書に不記載や虚偽記入をする理由は、元秘書らにはないと説明する指定弁護士。逆に責任者として、処罰をうける可能性があると付け加えた。陸山会は16年以前にも、不動産を多数購入しているが、収支報告書に意図的な不記載や虚偽記載はない》
 指定弁護士「取引は、被告が陸山会に対し、4億円の債権がある痕跡を薄くし、土地に関する陸山会の所有権にリスクを生じさせ、無意味に多額の金利負担を強いるなど、通常の処理をしている場合に比べ、被告・陸山会に不利なものがある。しかし、これにより、石川(議員)らは何らかの利益を得るわけではない」
 「被告の関心が強い土地の購入に関し、不利益をこうむるリスクを負う被告の指示・了解なしに、独断でこのような操作をする動機が石川(議員)らにはない。いかなる意味でも、石川(議員)らが、被告の指示・了解なしに自らの判断だけで、取引自体を操作し、収支報告書に虚偽記入をする可能性はない」
 《続いて、指定弁護士は小沢被告と元秘書の間に共謀共同正犯が成立することを立証しようとする》
 指定弁護士「(4億円の分散入金や登記の先送りなどの)平成16年10月になされた一連の工作は、16年分の収支報告書に4億円を記載せず、17年分に土地代の支出などを記載するための外形作り、ないしは操作である」
 「これが被告の指示・了解のもとに石川(議員)によって行われたことは明らかであり、被告と石川(議員)との間では16年10月に、共謀が成立していたことがゆうに認められる」
 《指定弁護士はその理由について説明を始める》
 指定弁護士「16年10月29日、石川(議員)は被告のもとを訪れ、(銀行から4億円を)借り入れるための融資申込書などの書類への署名を求めた。この日は土地取引の決済日であり、被告に隠すべき事情も、報告を制限される事情もないのに、その報告をしないことは到底考えられない」
 「しかも、本件土地の本登記は翌年1月7日に先延ばしして、それにもかかわらず代金を支払うという異例の措置をとっていた」
 「また、すでに(小沢被告が提供した)本件4億円を利用して土地代金の全額を決済したにもかかわらず、さらに4億円を借り入れるのであるから、なぜ必要なのかについて被告の了解が得られない限り、被告の署名を得ることは不可能である」
 「被告と石川(議員)との共謀は16年10月になされ、石川(議員)はこの共謀に基づき収支報告書を作成したのだから、被告に刑事責任があることは明らかだ」
 《指定弁護士は、やや早口で小沢被告の関与が共謀にあたるという主張を述べていく》
 指定弁護士「被告が石川(議員)らを指揮命令する立場にあり、犯行を止める地位にあることは疑いない。石川(議員)らの犯行が、被告に対する批判を回避するためになされたものであろうことは容易に認められる」
 「被告の法廷での供述は、きわめて不自然で、証拠上も明らかに事実と反している部分があり、到底信用できない。責任回避のための虚言だ」
 《小沢被告はほとんど身動きすることなく、じっと指定弁護士の読み上げを聞いていた》
「規範意識が鈍磨」「再犯の恐れ大きい」指定弁護士、“剛腕”を追及
2012.3.9 17:24 (1/5ページ)[小沢被告 第15回]

検察官役の指定弁護士による論告を聞く小沢一郎被告(中央)=9日、東京地裁(イラスト・井田智康)
前のニュース
 (14:30~14:50)
 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第15回公判は、検察官役の指定弁護士による論告が続いている》
 《指定弁護士は、小沢被告が公判で政治資金収支報告書の作成、提出は秘書に任せていたと証言した点の矛盾をついていく》
 《土地購入についても同じで、秘書に任せ、報告を受けていないと主張していた。指定弁護士は、小沢被告が陸山会の代表であり土地購入のために個人資産から4億円もの巨額な資金を提供したことを挙げて追及する》
 指定弁護士「(秘書から報告を受けていないとするのは)あまりに不自然な供述である」
 《こう主張した上で、指定弁護士は、小沢被告が法廷で証言した言葉を読み上げる》
 指定弁護士「『僕は任せた以上は、自分の判断でやれという風な主義の方ですので、たぶんそういう僕の気質とか考え方を知っていますので、事務的な部類の話はする必要はないという意識でいたと思います』」
 「『石川も僕の性格を知っておるので、石川も、そういうことは必要ないと思ったのではないかという風に思うということです』」
 《引用したのは、この2つで、指定弁護士は続ける》
 「しかし、石川(議員)は、これに沿う供述はしていない」
 《公判で石川議員は、小沢被告について「方針がおおざっぱであるか、細かいかはケース・バイ・ケースだ。また費用は常々節約を心がけるように指導していた」などとしていた》
 指定弁護士「石川(議員)は『事務的な報告をしない』などとは全く供述しておらず、被告が供述するような、被告と秘書との関係は認められない」
《土地の売買契約についても、石川議員は「報告したと思う」と証言していたことなどを挙げ、任せきりにしていたとする小沢被告の証言は「虚偽」であると主張した。さらに、会計処理についても、池田光智元秘書=1審有罪、控訴中=の公判での証言を元に矛盾点を追及し、動機の考察に進む》
 《弁護側は、小沢被告に「動機がない」と主張する。指定弁護士は、政治資金規正法違反罪の成立には、動機の有無は必要ないとしながらも、これについて反論していく》
 《小沢被告が秘書らに用立てた4億円。その後に4億円を担保にりそな銀行から4億円の融資を受け、土地購入代金を支払いながらも、登記は翌年にずらす…》
 指定弁護士「被告の動機は、それまでだれにも、その存在を明らかにしなかった、巨額の資金(秘書らに用立てた4億円)を有していること、およびそれを利用して、本件土地購入したことがあらわになることを避けたいというものであったことは明らかである」
 《指定弁護士は、こう主張した後、犯行の悪質さについて言及した》
 《政治資金規正法は、政治団体の会計責任者に対し、不実の収支報告書を作成することを刑罰をもって禁止している。代表者に対しては会計責任者が不実の収支報告書を作成することのないように、選任監督にあたり注意を尽くすことを求めている。この点を強調した上で指定弁護士は語気を強める》
 指定弁護士「具体的にいかなる注意を払ったかについては、担当者を信じていたというのみで全く説明できていないだけでなく、具体的な指導はしていない旨、居直りともいうべき供述をしている」
 「この供述が事実だったとすれば、法の著しい軽視であることは明らかだ。また、これが責任回避のための虚言だったとしても、責任回避のため法の要請を無視している旨、公開の法廷で供述すること自体が、法軽視の意識の反映である」
 《指定弁護士は、小沢被告が公判で自らが関与しなかった理由について、「私の関心と仕事は、ちょっと口はばったい言い方をすれば、天家国家の話でありまして、それに集中する日常を送っています」「私にはもっともっと大事な関心を集中して、努力を集中してやらなければならない政治上のことがある」と主張したことを挙げて追及する》
 指定弁護士「全国民を代表する選挙された議員として、国権の最高機関にして唯一の立法機関である国会の一員たる衆院議員が天下国家の話に関心を集中し、これに努力を集中することは当然であり、これはひとり、被告に限り要請されていることではない」
 《小沢被告はときおり顔をしかめながらも、指定弁護士の主張に耳を傾ける》
 《指定弁護士は、政治資金規正法の趣旨を説明する》
 指定弁護士「政治団体と公職の候補者が行う政治活動が、国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の収支の公開や授受の規制によって、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的としている」
 《指定弁護士は続ける》
 指定弁護士「国会議員である資金管理団体の代表者が天下国家の話に関心と努力を集中すべき選挙された議員であることを前提として、そのような資金管理団体の代表者に対して、目的に沿って不実の収支報告書が作成されないよう、会計責任者の選任監督にあたり注意を尽くすように命じている」
 「(小沢被告は)その趣旨を十分に知りながら、天下国家の話に関心と努力を集中しているからとの理由で、政治資金規正法の命ずる選任監督責任を具体的には何もしない旨、公言することは政治資金規正法の軽視であることは明らかである」
 《さらに、指定弁護士は小沢被告の公判での証言を紹介する》
《小沢被告は「政治資金規正法は収支報告書に間違いがあったり、不適切な記載があった場合、その他の政治団体の会計責任者が総務省、あるいは都道府県選管に自主申告して、収支報告書を修正することが大原則」「贈収賄、脱税、横領など実質犯罪を伴わない単純な虚偽記載は、後に修正すれば足り、そもそも刑事責任を問うべきではない」としていた》
 指定弁護士「収支報告書の不記載、虚偽記入の罪は、被告がいう実質犯罪を伴うか否かにかかわらず成立し、政治資金規正法は『実質犯罪』を伴い場合であっても刑罰に臨むことを規定している」
 「被告の主張が、政治資金規正法についての独自な解釈であることはいうまでもない。政治資金規正法を自らの都合に合わせて解釈している点も、被告の規範意識が著しく鈍磨していることは明らかである」
 《また、元秘書らが自らの公判で平成16年分、17年分の収支報告書の虚偽記載で有罪判決を受けたことにも言及する》
 指定弁護士「1審とはいえ、同人(元秘書)らが作成した収支報告書が事実と異なることを裁判所によって認定された。被告は、そのような判決を自らの秘書らが受けた後にあっても収支報告書を見ていないなどと強弁した」
 「しかるに被告は、この判決を受けた後でも、なおまだ収支報告書を見ていないと供述しているのであり、このような供述をすること自体、その真偽如何にかかわらず、被告として(収支報告書の)修正の要否を検討する意思がないことを示している」
 《指定弁護士の追及は止まらない》
指定弁護士「被告は刑事責任を回避するため、不合理な否認を繰り返し、反省の情は全くない。規範意識の鈍磨とあいまって、再犯の恐れは大きいといわざるを得ない。確かに、被告は長年にわたって選挙民に支持され、長く衆議院議員の地位にあり、政治家として重要な地位を占め、大きな影響力を有している」
 「しかし、であればこそ被告には、国民のみならず他の国会議員の模範となる行動が求められるというべきであり、それを裏切って本件犯行に及んだ以上、長く国政に尽力したとの事情を被告に有利な情状とすることは妥当ではない」
 《こう締めくくった後、指定弁護士は一瞬、間を置いた。いよいよ始まる求刑に廷内に緊張が走る》
 指定弁護士「被告人を禁固3年に処するのを相当と思料する」
 《小沢被告は、目を閉じて微動だにしない》
 裁判長「今日の審理はここまででよろしいですね」
 《ここでようやく小沢被告は目を開き、軽くうなづいた。裁判長が今後の審理予定を説明した後、約3時間半にも及ぶ論告求刑公判は終わった》


小沢元代表、法廷:大詰め迎え廷内緊張 書面100ページ超、読み上げ
 昨年10月に東京地裁で始まった民主党元代表、小沢一郎被告(69)の公判は9日、大詰めの論告を迎えた。これまでに計14回開かれた法廷で取り調べられた証拠を基に、100ページを超える膨大な書面で政界実力者の有罪を訴える、検察官役の指定弁護士。緊張感が張り詰めた法廷に響く朗読に、元代表、弁護団、裁判官がじっと耳を傾けた。【石川淳一、山本将克】
 午前10時、東京地裁104号法廷。大善文男裁判長に促され、指定弁護士が朗読を始めた。「起訴の適法性についての弁護人の(違法との)主張に理由がないことを明らかにした上、収支報告書の記載の虚偽性、被告の共謀について弁護人の(共謀がないとの)主張に理由がないことを論証し、被告に科されるべき刑について意見を述べます」
 淡々とした口調ながら、元代表提供の4億円の虚偽記載を「全てが被告の指示、了解の下に行われた不記載に端を発し、その隠蔽(いんぺい)、偽装工作として(元秘書により)実行された」と厳しく指摘。公判で虚偽記載を否定した元秘書の衆院議員、石川知裕被告(38)の証言を「公判に至って趣旨不明の供述をするのは自己の罪を逃れつつ荒唐無稽(むけい)な弁解をしているに過ぎず、検討に値しない」と一蹴した。
 小沢元代表は紺のスーツに青色ネクタイ姿で、弁護人に挟まれる形で着席。論告読み上げ前には分厚い書面が弁護人席に配布され、元代表の前にも置かれた。
 だが、元代表は書面に手を伸ばさず、読み上げ中は厳しい表情を浮かべたまま。正午過ぎの休廷までほとんど身動きしなかった。
 ◇強気の指定弁護士 複数の客観事実存在
 有罪立証の柱だった元秘書で衆院議員、石川知裕被告(38)の供述調書の証拠採用を却下された検察官役の指定弁護士だが、この日の公判でも強気の構えを崩さず論告を淡々と読み上げた。再構築した立証の柱は、小沢元代表との間の「報告・了承」を認めた元秘書、池田光智被告(34)の一部調書のほか、元代表の関与をうかがわせる複数の客観的事実の存在、それに基づく法廷での証言などだ。
 問題となった土地を購入する際、元代表は4億円を提供しながら自分名義の同額の銀行融資の書類に署名・押印。この銀行融資を指定弁護士は「石川議員が4億円提供を隠すために行った偽装工作」と位置付けている。
 石川議員は昨秋の証人尋問で「『お預かりした4億円で預金担保を組み、それでお支払いします。預金担保の書類です』と(元代表に)説明した」と証言。だが、元代表は1月の被告人質問で「(石川議員から)サインしろと言われたからサインした」「具体的な説明を受けた記憶がない」「銀行とどうするかとかは担当者の裁量の範囲内」などと説明し、石川議員の証言とのズレが鮮明になった。
 また、指定弁護士の冒頭陳述によると、巨額の「事務所費」が問題となった後の07年2月、元代表の事務所は週刊文春から土地問題の取材を受け、池田元秘書が作成した回答書案に目を通した元代表は「購入原資は銀行融資」と修正させた。池田元秘書は証人尋問で修正指示を認めたが、元代表は被告人質問で「池田に何かを指示した記憶はない」と否定。「当時は不動産所有に関しマスコミから多数問い合わせがあり、正確な記憶があるわけではない」と述べた。
 指定弁護士は冒頭陳述の約3分の1を客観的事実の提示に費やし、証人尋問や被告人質問でも時間を割いた。地裁がどのように評価するかが注目される。【和田武士】
 ■小沢元代表の関与をうかがわせると指定弁護士が主張する客観的事実
・陸山会の不動産購入で元代表が自己資金を提供したのは問題の土地だけ
・元秘書らは問題の土地購入の前年までの不動産購入や賃料払いをほぼ正確に収支報告書に記載していた
・元代表は土地購入の際に4億円を提供しているのに、同額の銀行融資の申込書類に署名・押印している
・4億円を提供したのに国会議員の資産報告書に記載しなかった
・元秘書らには、元代表提供の4億円を政治資金収支報告書に記載しなかったり土地登記の延期や銀行融資を受ける動機はない
・問題の土地が元代表名義になっていることについて「政治資金を使った蓄財」と報道され、07年2月の記者会見で自分が土地の所有権を持たないとする偽の「確認書」を公表した
・07年2月に週刊誌から土地問題を質問され、元秘書が作成した回答書に目を通した上で「購入原資は銀行融資」と修正した
・週刊誌報道などの後の07年5月、陸山会など関連政治団体に返済余裕がないのに4億円が返済され、07年分収支報告書に記載されなかった
・05年3月にも陸山会に現金4億円を交付し、同年5月に返済を受けたがいずれも簿外処理された
 ■証拠採用された池田元秘書の検察官調書の内容
・05年分収支報告書の提出前に「04年に支払った土地代金を05年分収支報告書に記載している」と説明すると、元代表は「ああ、そうか」と了解した(10年1月20日付調書)
毎日新聞 2012年3月9日 東京夕刊