2010年4月28日水曜日

【米軍基地】 日米地位協定第三条

 日米間での密約に鈍感になりだしたように思えてしまう。核再持込はじめとし過去の密約を「現在は生きていない」とする外務省の根拠しのものを疑ってみる必要があるのなら、一度すべてを公にして其処から再構築をするしか方法はないだろう。


基地管理権で密約 米軍権限弱めた60年地位協定
2010年4月28日

 【東京】日米地位協定3条の米軍基地の管理権をめぐり、1960年に旧協定(行政協定)から現協定に変わった際、基地運用のあり方について「(米側が)権利、権力、権能を有する」とした文言を「すべての措置を執ることができる」にあらため、米側の権限を弱めるように表現を緩和したが、実際は旧協定で定めた権限を変えずに引き継ぐことで日米が秘密裏に合意していたことが27日、分かった。

 60年1月6日に藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が署名した秘密了解文書に記されていた。文書は、日米関係研究者の新原昭治氏が2008年に米国立公文書館で入手した。新原氏は「米軍特権の中身を変えずに継承され、基地運用に日本が及ばない根源的なよりどころとなっている」と指摘。嘉手納基地の深夜・早朝の米軍機飛行など「米側が思い通りに使える背景にある」とした。

 旧協定は、米側の権限の例示として(1)施設・区域を浚渫(しゅんせつ)や埋め立てする(2)必要な港湾、水路、道路、橋などを造る(3)施設・区域内や近くの水上、空間、地上で軍事上必要とされる船舶、航空機、車両の離着陸・操作を管理する―などとされた。

 1960年6月、米国務省が米議会に説明した資料では「米国の権利は、現協定の文言のもとで旧協定(の内容)と変わることなく続く」と明記。新原氏は「例示された以外にも管理権の範囲は無限に広がる。米軍の自由使用を秘密合意は保障している」と指摘した。


しんぶん赤旗から
米軍基地権でも密約

新原氏暴露 旧安保の特権温存

 1952年発効の旧日米安保条約下で米軍に基地の使用や運営などのために必要なあらゆる「権利、権力、権能」が与えられていた問題で、現行の安保条約のもとでもそうした米軍の基地特権が引き続き堅持されることを日米両政府が秘密了解覚書を結び、確認していたことが、初めて分かりました。国際問題研究者の新原昭治氏が27日、日本平和委員会主催のシンポジウムで明らかにしました。

 旧安保条約に基づく行政協定3条1項は、米軍が基地内で「設定、使用、運営、防衛又は管理のため必要な又は適当な権利、権力及び権能を有する」と規定していました。しかし、行政協定は60年の安保改定に伴って日米地位協定に代わり、同条も基地内で米軍は「設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」という規定になり、「権利、権力、権能」という文言が消えました。

 ところが、新原氏が入手した米政府解禁文書によると、「日本政府は、(地位協定)3条1項の新しい文言のもとで施設及び区域内の米国の権利を変更しないままにすることを文書で確認」することで合意。60年1月6日に当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が、「米軍の施設・区域内での米国の権利は、地位協定3条1項の改定された文言のもとで、行政協定のもとでと変わらなく続く」とする秘密了解覚書に頭文字署名をしました。

 当時、日本政府は行政協定の改定などをもって日本の自主的権限があたかも強まったかのように説明しました。しかし、協定の文言の手直しが行われたにもかかわらず、米軍基地の治外法権的な実態は旧安保条約下とまったく変わりませんでした。

 新原氏が明らかにした密約は、その根本原因を明らかにし、米軍基地問題での日本政府のアメリカ言いなりの実態を示すものです。


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日米地位協定

前文
日本国及びアメリカ合衆国は、千九百六十年一月十九日にワシントンで署名された日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条の規定に従い、次に掲げる条項によりこの協定を締結した。


第三条
1 合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なす
べての措置を執ることができる。日本国政府は、施設及び区域の支持、警護及び管理のための合
衆国軍隊の施設及び区域への出入の便を図るため、合衆国軍隊の要請があつたときは、合同委員
会を通ずる両政府間の協議の上で、それらの施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領
水及び空間において、関係法令の範囲内で必要な措置を執るものとする。合衆国も、また、合同
委員会を通ずる両政府間の協議の上で前記の目的のため必要な措置を執ることができる。

2 合衆国は、1に定める措置を、日本国の領域への、領域からの又は領域内の航海、航空、通
信又は陸上交通を不必要に妨げるような方法によつては執らないことに同意する。合衆国が使用
する電波放射の装置が用いる周波数、電力及びこれらに類する事項に関するすべての問題は、両
政府の当局間の取極により解決しなければならない。日本国政府は、合衆国軍隊が必要とする電
気通信用電子装置に対する妨害を防止し又は除去するためのすべての合理的な措置を関係法令の
範囲内で執るものとする。

3 合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払つて
行なわなければならない。

第三条に関する合意議事録

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【給油活動】 The Voice of Russia(ジブチ基地)

 このニュースが流れた時に、自民党の佐藤正久議員の問うてみた。氏からは、すぐに返事がきて、多少ニュアンスは違うのだが、おおむね事実と相違ないという話である。

このことは、国会でも取り上げられ、審議をされていたのであるが、見逃していた懸案であった。

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ジブチに建設される海上自衛隊基地をめぐって
2010, 04, 28.19:41
http://japanese.ruvr.ru/2010/04/28/7048749.html

 ソマリア沖の海賊問題を受け、紅海沿岸のジブチ共和国で、日本の海上自衛隊基地建設が近日中に着工される。日本国外に建設される初の日本の、また史上初のアフリカ大陸の日本基地となる。

 北川敬三海上自衛官は現地で、今年の初夏には基地建設が開始し、その約半年後に終了すると述べた。APF通信が伝えた。日本にとって、このような海上自衛隊基地建設は前代未聞。日本は第二次世界大戦後に憲法を採択してから、国際問題解決の手段として武力を行使することを永遠に放棄すると宣言している。これに関連して2009年、日本政府は、日本の駆逐艦2隻をソマリア沖での海賊対策に参加させるため、新たな法律を採択した。その後1年が経過したが、その間ソマリア沖での事態は悪化する一方だ。日本の船舶の所有者は警鐘を鳴らしている。日本は危険地域からほぼすべての原油を入手しており、日本向け輸出に最重要な航路のひとつがこの地域を通っているため、航路の変更は不可能である。結論として、日本は自国の船舶を護衛するため、第二次世界大戦後初の海外での海上自衛隊基地を創設するという、少し前には考えもつかなかった行動に出る用意を進めている。問題となっているのは日本の軍事ドクトリン全体の見直しだが、なぜソマリア沖の海賊が、日本という遠い国の法律を変えてしまうほど影響力をもつのだろうか。

 モスクワ東洋学研究基金のセルゲイ・ルジャニン教授は、海賊による脅威は実際に深刻なものだが、実際より誇張として、次のように語った―

「肝心なのは、西側主要先進国が当初、報道も軍の諜報機関も、海賊行為とは、貧困にあえぐ人々が生活の糧を手にするため犯罪に及んだものだとする、間違った解釈をしていたことにある。しかし実際はそうではない。この海賊行為が、自前の教育・訓練養成システム、諜報機関や最新の通信機器、巨大な資本を有した、強力な国際機構であることに、いまや疑いの余地はない。またこの国際機構は、過去にいずれかの国で諜報機関に関係していた専門家を利用していると考えるに十分な根拠がある。これは新たな形の国際テロリズムであり、政治に大きな影響を与える。また海賊の正体を正しく評価できないこと等により、戦いは非常に困難なものとなる」

  実際、この西側諸国の基地が密集する地域の目と鼻の先で、いかにしてソマリア沖の海賊がすばやく略奪を成功させているのか、理解に苦しむところだ。ジブチには最大規模のフランス在外海軍基地があり、また2003年にはそれを上回る規模のアメリカ海軍基地が建設された。日本はこの地で第3の海上自衛隊基地を建設することになる。すでに明らかなように、この地のアメリカやフランスの基地には海賊への抑止力はない。アメリカやNATO軍のなしえなかったことに日本が成功し、この地域の海賊行為に決定的な打撃を与えることができればいいが、その望みは薄いだろう。実際のところ、西側諸国の基地や強力な装備にもかかわらず、海賊は常に活動を続けている。今のところ、海賊らは一歩先を行っている。そしてこの問題は、この海域全体が西側列強のまさに軍事的利益ゾーンと今にも宣言されるような規模に発展しそうな雰囲気だ。

 ちなみにこの地域の歴史には、そうしたことがかつてあった。面白いことに当時も、まさに海賊対策がその口実とされたのである。

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海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律
平成二十一年六月二十四日法律第五十五号

本則

(目的)
第一条
この法律は、海に囲まれ、かつ、主要な資源の大部分を輸入に依存するなど外国貿易の重要度が高い我が国の経済社会及び国民生活にとって、海上輸送の用に供する船舶その他の海上を航行する船舶の航行の安全の確保が極めて重要であること、並びに海洋法に関する国際連合条約においてすべての国が最大限に可能な範囲で公海等における海賊行為の抑止に協力するとされていることにかんがみ、海賊行為の処罰について規定するとともに、我が国が海賊行為に適切かつ効果的に対処するために必要な事項を定め、もって海上における公共の安全と秩序の維持を図ることを目的とする。
(定義)
第二条
この法律において「海賊行為」とは、船舶(軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶を除く。)に乗り組み又は乗船した者が、私的目的で、公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)又は我が国の領海若しくは内水において行う次の各号のいずれかの行為をいう。
一  暴行若しくは脅迫を用い、又はその他の方法により人を抵抗不能の状態に陥れて、航行中の他の船舶を強取し、又はほしいままにその運航を支配する行為
二  暴行若しくは脅迫を用い、又はその他の方法により人を抵抗不能の状態に陥れて、航行中の他の船舶内にある財物を強取し、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させる行為
三  第三者に対して財物の交付その他義務のない行為をすること又は権利を行わないことを要求するための人質にする目的で、航行中の他の船舶内にある者を略取する行為
四  強取され若しくはほしいままにその運航が支配された航行中の他の船舶内にある者又は航行中の他の船舶内において略取された者を人質にして、第三者に対し、財物の交付その他義務のない行為をすること又は権利を行わないことを要求する行為
五  前各号のいずれかに係る海賊行為をする目的で、航行中の他の船舶に侵入し、又はこれを損壊する行為
六  第一号から第四号までのいずれかに係る海賊行為をする目的で、船舶を航行させて、航行中の他の船舶に著しく接近し、若しくはつきまとい、又はその進行を妨げる行為
七  第一号から第四号までのいずれかに係る海賊行為をする目的で、凶器を準備して船舶を航行させる行為
(海賊行為に関する罪)
第三条
前条第一号から第四号までのいずれかに係る海賊行為をした者は、無期又は五年以上の懲役に処する。
前項の罪(前条第四号に係る海賊行為に係るものを除く。)の未遂は、罰する。
前条第五号又は第六号に係る海賊行為をした者は、五年以下の懲役に処する。
前条第七号に係る海賊行為をした者は、三年以下の懲役に処する。ただし、第一項又は前項の罪の実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
第四条
前条第一項又は第二項の罪を犯した者が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
前項の罪の未遂は、罰する。
(海上保安庁による海賊行為への対処)
第五条
海賊行為への対処は、この法律、海上保安庁法(昭和二十三年法律第二十八号)その他の法令の定めるところにより、海上保安庁がこれに必要な措置を実施するものとする。
前項の規定は、海上保安庁法第五条第十七号に規定する警察行政庁が関係法令の規定により海賊行為への対処に必要な措置を実施する権限を妨げるものと解してはならない。
第六条
海上保安官又は海上保安官補は、海上保安庁法第二十条第一項において準用する警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)第七条の規定により武器を使用する場合のほか、現に行われている第三条第三項の罪に当たる海賊行為(第二条第六号に係るものに限る。)の制止に当たり、当該海賊行為を行っている者が、他の制止の措置に従わず、なお船舶を航行させて当該海賊行為を継続しようとする場合において、当該船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるときには、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。
(海賊対処行動)
第七条
防衛大臣は、海賊行為に対処するため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において海賊行為に対処するため必要な行動をとることを命ずることができる。この場合においては、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十二条の規定は、適用しない。
防衛大臣は、前項の承認を受けようとするときは、関係行政機関の長と協議して、次に掲げる事項について定めた対処要項を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。ただし、現に行われている海賊行為に対処するために急を要するときは、必要となる行動の概要を内閣総理大臣に通知すれば足りる。
一  前項の行動(以下「海賊対処行動」という。)の必要性
二  海賊対処行動を行う海上の区域
三  海賊対処行動を命ずる自衛隊の部隊の規模及び構成並びに装備並びに期間
四  その他海賊対処行動に関する重要事項
内閣総理大臣は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項を、遅滞なく、国会に報告しなければならない。
一  第一項の承認をしたとき その旨及び前項各号に掲げる事項
二  海賊対処行動が終了したとき その結果
(海賊対処行動時の自衛隊の権限)
第八条
海上保安庁法第十六条、第十七条第一項及び第十八条の規定は、海賊対処行動を命ぜられた海上自衛隊の三等海曹以上の自衛官の職務の執行について準用する。
警察官職務執行法第七条の規定及び第六条の規定は、海賊対処行動を命ぜられた自衛隊の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、同条中「海上保安庁法第二十条第一項」とあるのは、「第八条第二項」と読み替えるものとする。
自衛隊法第八十九条第二項の規定は、前項において準用する警察官職務執行法第七条及び同項において準用する第六条の規定により自衛官が武器を使用する場合について準用する。
(我が国の法令の適用)
第九条
第五条から前条までに定めるところによる海賊行為への対処に関する日本国外における我が国の公務員の職務の執行及びこれを妨げる行為については、我が国の法令(罰則を含む。)を適用する。
(関係行政機関の協力)
第十条
関係行政機関の長は、第一条の目的を達成するため、海賊行為への対処に関し、海上保安庁長官及び防衛大臣に協力するものとする。
(国等の責務)
第十一条
国は、海賊行為による被害の防止を図るために必要となる情報の収集、整理、分析及び提供に努めなければならない。
海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第二十三条の三第二項に規定する船舶運航事業者その他船舶の運航に関係する者は、海賊行為による被害の防止に自ら努めるとともに、海賊行為に係る情報を国に適切に提供するよう努めなければならない。
(国際約束の誠実な履行等)
第十二条
この法律の施行に当たっては、我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないよう留意するとともに、確立された国際法規を遵守しなければならない。
(政令への委任)
第十三条
この法律に定めがあるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
[編集]附則

附則 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して三十日を経過した日から施行する。ただし、附則第六条の規定は、犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第   号)の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日から施行する。
(経過措置)
第二条
犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律の施行の日がこの法律の施行の日後である場合におけるこの法律の施行の日から犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律の施行の日の前日までの間における組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の規定の適用については、第三条第一項及び第四条の罪(第二条第四号に係る海賊行為に係るものに限る。)は同法第十三条第二項に規定する罪と、第三条第一項から第三項まで及び第四条の罪は同法別表に掲げる罪とみなす。
第三条
第三条第四項ただし書の規定は、この法律の施行後に自首した者がその施行前にした行為についても、適用する。
第四条
この法律の施行の際現に自衛隊法第八十二条の規定により行動を命ぜられている自衛隊の部隊の当該行動については、第七条第一項後段の規定は、適用しない。

2010年4月27日火曜日

【政治資金規正法】 起訴相当議決文書

 4月27日に出された小沢一郎氏に対する検察審査会の議決文であるが、感情を非常に強く出した議決文と思える。検察審査会の審査員は一般から選ばれるが、議決書の作成は一般の人間が作るわけではなく、審査補助員弁護士が作成をする。

審査補助員の弁護士米澤敏雄氏は、元刑事裁判官で東京弁護士会所属で最近弁護士に登録した模様。【弁護士登録番号 37337】


平成22年東京第五検察審査会審査事件(申立)第10号

申立書記載罪名 政治資金規正法違反
検察官裁定罪名 政治資金規正法違反
議 決 年‐月 日 平成22年4月27日
議決書作成年月日 平成22年4月27日
議決の要旨
審査申立人   (氏名) 甲
被疑者 (氏名)  小沢一郎こと 小 澤 ― 郎
不起訴処分をした検察官 東京地方検窯庁 検察官検事 木 村匡 良
議決書の作成を補助した審査補助員 弁 護 士 米 澤 敏 雄
上記被疑者に対する政治資金規正法違反被疑事件(東京地検平成22年検第1443号)につき,平成22年2月4日上記検察官がした不起訴処分(嫌疑不十分)の当否に関し,当検察審査会は,上記申立人の申立てにより審査を行い,検察官の意見も聴取した上次のとおり議決する。

議決の趣旨
本件不起訴処分は不当であり,起訴を相当とする。

議決の理由
第1 被疑事実の要旨
被疑者は,資金管理団体である陸山会の代表者であるが,真実は陸山会において平成16年10月に代金合計8億4264万円を支払い,東京都世田谷区深沢所在の土地2筆を取得したのに
1 陸山会会計責任者A(以下Aという。)及びその職務を補佐するB(以下Bといぅ。)と共謀の上、平成17年3月ころ,平成16年分の陸山会の収支報告書に,本件土地代金の支払いを支出として,本件土地を資産としてそれぞれ記載しないまま,総務大臣に提出した
2 A及びその職務を補佐するC(以下「C」という。)と共謀の上,平成1
8年3月ころ,平成17年分の陸山会の収支報告書に,本件土地代金分過大の4億1525万4243円を事務所費として支出した旨,資産として本件土地を平成17年1月7日に取得した旨それぞれ虚偽の記入をした上総務大臣に提出した
ものである。
第2 検察審査会の判断
l 直接的証拠
(1)Bの平成16年分の収支報告書を提出する前に,被疑者に報告・相談等した旨の供述
(2)Cの平成17年分の収支報告書を提出する前に,被疑者に説明し,被疑者の了承を得ている旨の供述
2 被疑者は,いずれの年の収支報告書においても,その提出前に確認することなく:担当者において収入も支出も全て真実ありのまま記載していると信じて,了承していた旨の供述をしているが,きわめて不合理で不自然で信用できない。
3 本件事案について,被疑者が否認していても以下の情況証拠が認められる。
(1)被疑者からの4億円を原資として本件土地を購入した事実を隠蔽するため,銀行への融資申込書や約束手形に被疑者自らが署名,押印をし,陸山会の定期預金を担保に金利(年額約450万円)を支払つてまで銀行融資を受けている等の執拗な偽装工作をしている。
(2)土地代金を金額支払つているのに,本件土地の売主との間で不動薄引渡し完了確認書(平成16年10月29日完了)や平成17年度分の固定資産税を買主陸山会で負担するとの合意書を取り交わしてまで本基記を翌年にずらしている。
(3)上記の諸工作は,被疑者が多額の資金を有しておると周囲に疑われ,マスコミ等に騒がれないための手段と推測される。
(4)絶対権力者である被疑者に無断でA・B・Cらが本件のような資金の流れの隠蔽工作等をする必要も理由もない。
これらを総合すれば,被疑者とA・B・Cらとの共謀を認定することは可能である。
4 更に,共謀に関する諸判例に照らしても、絶大な指揮命令権限を有する被疑者の地位とA・B・Cらの立場や上記の情況証拠を総合考慮すれば,被疑者に共謀共同正犯が成立するとの認定が可能である。
5 政治資金規工法の趣旨・目的は,政治資金の流れを広く国民に公開し,その是非についての判断を国民に任せ,これによって民主政治の健全な発展に寄与することにある。
(1)「秘書に任せていた」と言えば,政治家本人の責任は問われなくて良いのか。
(2)近時,「政治とカネ」にまつわる政治不信が高まっている状況下にもあり,市民目線からは許し難い。
6 上記1ないし5のような直接的証拠と情況証拠があつて,被疑者の共謀共同正犯の成立が強く推認され,上記5の政治資金規政法の趣旨・目的・世情等に照らして,本件事案については被疑者を起訴して公開の場(裁判所)で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべきである。これこそが善良な市民としての感覚である。
よって,上記趣旨のとおり議決する。
             東京第五検察審査会

2010年4月17日土曜日

【月刊日本】 鈴木宗男

 北方4島返還のために、今何をしなければならないのか。鈴木氏に対する批判は昨年も行われていて、櫻井よしこ女史が無謀にもイチャモンをつけている。(参考

ムネオバッシングが行われた当時の北海道新聞のまとめ→(こちら

鈴木宗男氏を救う方法はないものなのか・・・・・。ここにも、また一人の被害者が間違いなくいる。


【月刊日本特別講演会 1鈴木宗男氏の到着まで「北方領土は時間との闘い】
【月刊日本特別講演会 2鈴木宗男 故小渕元総理と野中官房長官のやりとり】
【月刊日本特別講演会 3鈴木宗男 対ソ連と対ロシアでは対応法は変わる】
【月刊日本特別講演会 4鈴木宗男】
【月刊日本特別講演会 5鈴木宗男】
【月刊日本特別講演会 6鈴木宗男】
【月刊日本特別講演会 7鈴木宗男】
【月刊日本特別講演会 8鈴木宗男】
【月刊日本特別講演会 9鈴木宗男】
【月刊日本特別講演会 10鈴木宗男】
【月刊日本特別講演会 11/11鈴木宗男】


【単刀直言】鈴木宗男衆院外務委員長(新党大地代表) 「北方領土交渉で鳩山首相支える」
2009.9.23 17:56

 外務省による税金の無駄遣い、対露外交、核持ち込みや沖縄返還に関する日米密約問題を中心に、私はこれまで政府に対し1900本近くの質問主意書を出しました。外交官が「ちょうネクタイにフォークとナイフ」の世界に閉じこもり、国民の理解を得ようとしなければ、国益を背負った外交は成功しないとの思いからです。衆院外務委員長として、今後も立法府の立場から政府に説明責任を求めていくつもりです。

 自民、公明両党は18日、私が受託収賄罪などで公判中であることを理由に、委員長就任に反対したそうですが、私は無罪を主張し最高裁で争っているのだから、無罪推定の原則が働くはずです。しかも、2回も国民の審判を受けて衆院議員になっているので、私を選んでくださった国民の信任にこたえるためにも、委員長の職責をしっかり果たそうと思います。
 
領土交渉を動かす
 鳩山由紀夫首相からは「北方領土問題を動かしたいので協力してほしい」と言われています。外交は政府の専管事項ですから、立法府の側から、鳩山首相、岡田克也外相のラインをしっかりと支えていきたい。

 私の役割は環境整備です。まずは国会議員に領土問題をよく理解してもらわなければいけない。「四島一括返還」ということを平気でいう人がいるのですから驚きます。

 私が考える返還の道筋と、産経新聞の社説とは少し違うところがあるかもしれませんが、国後(くなしり)、択捉(えとろふ)、歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)の四島の日本への返還という原理原則は一致しています。ただ、「四島一括返還」は旧ソ連時代に使っていた表現で、この切り口からでは、ロシアは交渉に乗ってきません。

 旧ソ連崩壊後の1993(平成5)年、細川護煕(もりひろ)首相とエリツィン露大統領との間で「四島の帰属問題を解決する」ことで合意した東京宣言以来、森喜朗政権までは間違いなく交渉は進んでいました。しかし小泉純一郎首相から麻生太郎首相までの政権が過度な対米追従外交を行い、北方領土問題への勉強不足と相まって交渉は後退しました。外務委員会で専門家に意見を述べてもらうなどして、世論喚起や啓発に努めたいですね。
 
現実的返還論
 交渉を進めるには、2001(平成13)年に当時の森首相とプーチン露大統領が日ソ共同宣言の有効性を公式文書で確認した「イルクーツク声明」まで時計の針を戻す必要があります。歯舞、色丹返還を明記した1956年の日ソ共同宣言、東京宣言、イルクーツク声明の3つを担保に交渉すれば必ず解決できます。

 日本政府にとって大事なことは「四島」の旗を降ろさないことです。麻生政権下で「面積2等分論」「3.5島返還論」などという、足して2で割るような話が出てきましたが、バナナのたたき売りじゃないんだから、そんなのは駄目です。この点で産経新聞は実によく闘ったと思います。産経新聞が声を上げなければ、北方四島が日本から遠ざかってしまったかもしれません。

 日本に返ってくるにはどうしたらいいか考えつつ、外交交渉上は現実的なアプローチをとるべきです。日本側から四島返還の旗を降ろすから混乱が起きました。

 四島の帰属が未解決であることは東京宣言で日露両国首脳が確認しているのだから、まず2島を返してもらい、残り2島で日露両国が経済協力や共同統治をして交渉を続けるなど、いろいろなやり方ができます。「現実的返還論」でいくべきです。政府も「四島の帰属が確認されれば、実際の返還の時期、態様および条件は柔軟に対応する」としているのですから。

 私はかつて「二元外交」をしていると誤解を受けましたが、政府の方針通りやってきたんです。「二島返還だけでいい」なんて考えたことも言ったことも一度もありませんよ。

 鳩山首相は「領土問題は鈴木先生の考えでいい」と言ってくれています。身命を賭(と)して日ソ共同宣言に調印した鳩山一郎元首相の孫として、自分の手で領土問題を解決したいという首相の思いを実現するため、一生懸命に支援したいと考えています。(加納宏幸)
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【Russia Watch】領土交渉 水面下で「2島先行」論
2010.5.28 10:41
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100528/erp1005281043001-n1.htm

 かつて対ロシア「二元外交」を批判された新党大地の鈴木宗男代表(62)が5月10~13日、衆院外務委員長として訪露し、政界関係者らと北方領土問題などを協議した。一連のスキャンダルで逮捕・起訴されて以降、8年ぶりに対露外交の封印を解いた形だ。そこには以前の鈴木氏が主導した、いわゆる「2島先行返還」論がちらつく。

 ■「露の名誉が大切」
 「ソ連が日ソ中立条約を侵犯して日本を攻撃したという点だけを取り上げ、激しく非難する人々がいる」
 鈴木氏は露外交アカデミーで講演し、こうした立場を批判したうえで、「政治家の使命は現実的な交渉をし、結果を出すことだ」「領土交渉ではロシアの名誉と尊厳が守られることが大切だ」と強調した。

 さらに、鳩山政権が領土交渉の基礎と考える文書として、(1)平和条約締結後の歯舞(ほぼまい)、色丹(しこたん)両島の引き渡しを定めた日ソ共同宣言(1956年)、(2)択捉(えとろふ)、国後(くなしり)を含めた4島が係争地域であることを認め、「法と正義」の原則で交渉するとした東京宣言(93年)、(3)両宣言を明示的に確認したイルクーツク声明(2001年)-を挙げた。

 鈴木氏の戦術は、(3)のイルクーツク声明を含んだことに見てとれる。声明は「色丹、歯舞両島の返還にはロシアも同意している。焦点は残る2島だ」という日本側の意図を反映して策定されたからだ。これは「歯舞、色丹両島の返還時期や態様」と「残る2島の帰属問題」を合わせて協議する「2島先行返還」や「同時並行協議」論者が拠(よ)って立つ文書といえる。

 ■根強い平和条約不要論
 鈴木氏は自民党時代の2000年前後、外務省に強い影響力を持って「2島先行返還」路線を主導したものの、外務省内の反発や対露外交の混乱を招いた。その後、あっせん収賄罪などに問われ、1、2審で懲役2年の実刑判決を受けている。

 日露関係筋は「最高裁に上告中の鈴木氏には、対露外交で存在感を見せて実刑確定を避けたいとの焦りがある」と指摘する。鈴木氏は自らが失脚して以降の対露外交を「空白の10年」と批判しており、かつての持論をテコにして民主党政権の領土交渉に突破口を開きたい思惑があるとみられる。

 鈴木氏は滞在中、コンスタンチン・コサチョフ下院国際問題委員長(47)やアルカージー・ドボルコビッチ大統領補佐官(38)らと会談。ロシアの望む先端技術分野での経済協力にも積極的に取り組む考えを伝え、歓迎された。

 ロシアでは、鈴木氏にまつわる一連の事件が「大政治弾圧」(アレクサンドル・パノフ元駐日大使)とみられている。「4島返還」派に比べ、鈴木氏がロシアにとって組みやすい相手であるのは間違いない。

 ただ、ロシア側がやすやすと「2島先行返還」論に乗ることは考えにくく、鈴木氏の戦術が「2島返還」で終わる危うさをはらむのも事実だ。今のロシアには択捉、国後両島の帰属を議論するつもりが毛頭なく、エリート層には「平和条約がなくとも日本との経済関係は発展する」との考えが根強いからだ。

 ■「4島返還の放棄を」
 「日ソ共同宣言は平和条約の締結と2島の引き渡しで問題を終わらせると明記した文書であり、東京宣言とは全く両立しない」。露科学アカデミー日本研究センターのビクトル・パブリチェンコ上級研究員は「両国が批准し、外交条約の手続きを経た日ソ共同宣言と、意思表明のプロトコールにすぎない東京宣言やイルクーツク声明では重みが違う」とも語り、「2島先行返還論は失敗を運命づけられている」と断じる

 さらに、「議論に足る解決策は、日本が完全に『4島』の主張を放棄し、日ソ共同宣言に立ち返ることだけだ」と政権の立場を代弁する。

 日露間では年内に3度の首脳会談が予定され、日本外交筋は「領土交渉の活発化」を期待する。だが、セルゲイ・ラブロフ外相(60)が最近、「北方領土問題に関するいかなる対話も日本が第二次大戦の結果を認めることから始まる」と述べたように、ロシア側の態度はむしろ硬化しているのが現実だ。

 鈴木氏は滞在中、「鳩山首相に4島の旗を降ろす気持ちはない」と言明する一方、「現実的な外交」の必要性を訴えた。その目指す着地点は、まだ見えない。(モスクワ支局 遠藤良介/SANKEI EXPRESS)