2007年8月12日日曜日

【民主党】 偽メール事件の戦犯たち

国民への説明責任を果たさなかった玄葉光一郎細野豪志の厚顔

民主党メール問題検証チームの報告書は、真相を解明する目的のものではなく、逆に真実を隠蔽して事件の幕引きを図るための情報工作である。そこには真実は語られていない。すでに多くの問題が指摘されているが、報告書では仲介者(西澤孝)の向こう側にいるはずの情報源(ライブドア関係の元社員)について明らかにされていない。報告書は、「『情報提供者』の存在を含め、『メール』の作成者は不明であり、その調査は不可能である」と結論している。一ヶ月も時間をかけてメンバーに弁護士も入れて調査をしながら、情報提供者が不明で、その調査も不可能であるとはどういう言い草だろうか。偽メールは誰が何の目的で作成したのかという最も単純で肝心な問題について、調査報告書は何も回答を与えずに説明責任を放棄したまま逃げている。説明責任を果たしていない。玄葉光一郎は3/31の記者会見で「これ以上は政党の役割になじまない」などと意味不明な言い訳をしているが、その言葉に納得した国民が何人いるだろうか。民主党の態度はあまりに非常識で無責任である。

最初から真相解明する意思と能力が無いのなら、なぜ西澤孝を刑事告発して司法に任せないのか。見苦しい言い逃れはやめろ。多くの人間が喝破しているとおり、前原代表辞任と永田議員辞職は検証チームの報告書公表とセットの政治であり、要するに検証不能のエクスキューズとしての民主党の国民への代償措置であって、その目的は4/4の西澤孝の証人喚問を阻止することである。証人喚問を突きつけられて、追い詰められて逃れられなくなったのだ。報告書が真相の解明ではなくて真相の隠蔽を目的としたものである疑惑を根拠づける事実の一つは、西澤孝からの直接の事情聴取が報告書発表直前の3/30の一回だけであったという問題である。いかにも駆け込み的で帳尻合せ的な動きではないか。まず最初に3/31に報告書発表と代表辞任の日程が前提としてあり、それに向けて西澤孝からせめて一度だけでも話を聴いたという既成事実を作るべく3/30夜に滑り込みで聴取を行っている。それが無ければ報告書の体をなさないから、無理やり3/30に形だけの事情聴取をした。

本当なら、西澤孝から最初に事情を聴いた後で、その供述内容が事実かどうかを関係者に当って確認検証するという作業が必要だろうし、相手が虚言癖の西澤孝であれば、時間をかけて二度三度と慎重に聴取検証を繰り返す必要があっただろう。事件の中心にいて真相を知っているのが西澤孝であり、検証チームの目的が事件の真相解明であったのなら、当然、そのように営為したはずだ。ところが検証チームの西澤孝への接触は、報告書発表前ギリギリの(半日前の)タイミングの一回きりであり、西澤孝に何を聴き、西澤孝が何を言ったかも十分に明らかにしないまま、事前に書き上げていたアリバイ報告書をそのまま提出してしまっているのだ。要するに、始めに「辞任で幕引き」ありきであり、その日程を3/31で定めて、それに合わせて西澤事情聴取の既成事実を辻褄合わせしたのである。姑息と言うほかない。読売新聞の世論調査(4/2)では、「民主党の今回の決着のつけ方について納得できるか」という問いに対して、49%が「納得できない」と答え、「納得できる」の40%を上回っている。

国民は今回の「検証報告」に納得しておらず、民主党が説明責任を果たしたとは了解していない。幾つかの事項について報告書で明らかにするよう要求したが、民主党の検証報告書は、質問の核心的な部分は黙殺して回答を避けている。

その一つは河村たかしがテレビで何度も言っていた「メールの現物をPCの画面の中で確認した」という例の目撃情報についての検証である。河村たかしは、送受信アドレスが一致したメールを、紙ではなくPCの画面の中で見たと明確に証言していた。そして、2月下旬から3月中旬までテレビ出演していたときの河村たかしの紹介のされ方は、「メール問題検証チームにも参加している」という触れ込みだったのであり、実際に報告書の中にもメンバーとして名前が入っている。河村たかしがこの問題の証言をした日として確実に特定できるのは2/27だが、驚いたことに「調査報告書」の中では、河村たかしが目撃し証言していたこの事実に関する検証が何も登場しない。これはきわめて不自然だ。

検証チームの「検証」の内実を怪しませるものである。報告書には、今度の事件の騒動に殆ど関与していないはずの枝野幸男の名前まで登場していて、党の内部でこの問題に関わった人間の数の多さを思わせるのだが、2/16以降の事件の中心で動いていた河村たかしの言動や行動が完全に捨象されている。河村たかしが発言したメール情報についても報告書の中では何も触れられていない。無視している。これは河村たかしが嘘を言い、同じテレビのスタジオで同席していた細野豪志が河村たかしの嘘を見過していて、嘘だとバレると民主党の立場が悪くなるので敢えて報告書で捨象したか、あるいは、河村たかしの証言は事実だったのだが、その詳細を明らかにすると具合が悪くなるので、意図的に無視を決め込んだということになる。恐らく後者だろう。河村たかしの発言はテレビで何百万人もの視聴者に目撃されていて、しかもこの問題は偽メール事件の民主党の対応について国民に不審を抱かせる重要事なのだが、そこを敢然とネグレクトするとは、玄葉光一郎もなかなかよい度胸をしている。

河村たかしの証言が事実であれば、当時の民主党は、西澤孝とすでに接触して(一千万円で買収したのかどうなのかは別に)偽メールの「電磁情報」をすでに得ていたことになり、すなわち、西澤孝と全く接触できてないと言っていた民主党の当時の弁明は虚偽だということになる。


前原辞任 - 今宵勝利の美酒に酔い、生ける屍民主党を憂う
「情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわっじわっと穴を繰り抜く(岩波文庫 『職業としての政治』 P.105)」作業に耐える人格でなければならない。偽メール事件を詳らかにすることが前原体制の没落を証しすることだと私には分かっていた。ここは「判断力」の部分であり、私は自分の判断を疑わなかった。前原誠司は逃げ切れると踏んでいたのだろう。


偽メール事件の真相を包み隠さず明らかにすれば、前原誠司は代表辞任では済まない。原口一博も間違いなく議員辞職に追い込まれるだろうし、また、悪質きわまる情報隠蔽工作を主導した細野豪志と河村たかしの二人の責任も厳しく問われ、逃げる場所を失うだろう。

メール問題検証チームの報告より先に前原辞任と永田辞職を発表したということは、代表辞任のサプライズの方に世間の耳目を集中させ、すなわち真実を隠蔽した出鱈目な「検証結果」に世間の眼が向かないようにマスクするためである。真相隠蔽の政治である。つまり前原誠司のクビを差し出すから、もうこれで勘弁してくれと言っているのだ。前原誠司のクビと交換の真相隠蔽なのであり、民主党側からの世間へ土下座取引の申し出なのだ。この事件はそのイベントのスタートが西澤孝を起点としているのではない。西澤孝は二次イベントであり、事件のスタート点は前原執行部と国対チームである。ライブドア事件で武部勤を標的にするという「国対戦略」があって、その材料として用意されたのが偽メールだ。

問題解決をここまで引っ張ったのは、引っ張らざるを得ないから引っ張ってきたのであり、あれこれ立ち回りながら、世間の追及がやむ日を待ち続けてきたのである。今回の行動も駆け引きなのだ。保身のための辞任なのである。今回の前原引責辞任でマスコミと党地方組織は納得して許してくれるだろう。だが、平沢勝栄の手の内には真相情報があり、このカードはいつでも切って出すことができる。真相解明が不十分だと言うことができるし、民主党の検証チームが報告した「検証結果」を覆す新証拠を突きつけることができる。事件はまだ終わったわけではないのだ。前原誠司は辞任したが、偽メール事件における民主党の責任という意味では、これはまだ蜥蜴の尻尾切りであり、その場凌ぎの逐次責任回避行動でしかない。前原誠司の代表辞任などで幕引きなどと思ってもらっては困る。膿は最後まで出し切ってもらわなくてはならない。人心一新は真相解明のためにこそ必要なのだ。

前原誠司の辞任会見を見たが、悪びれた様子もなく、ふてぶてしく倣岸な態度は何も変わっていなかった。一議員として安保問題をやって行くなどと言っていたが、前原誠司にこの後の政治生命などがあるのだろうか。前原誠司を政治家として評価信頼して一票入れようという人間がいるだろうか。それから辞職をここまで引き延ばした永田寿康に、社会人としての今後の活躍の場が果たしてあると言えるだろうか。

永田寿康は辞職にあたって、恐らく大金を(鳩山家の金庫から)受け取ったことだと想像するし、その金額は一生食うに困らないほどのものだろうと思うが、実際のところ、永田寿康は人生を棒に振ったのであり、もうこの男には浮かぶ瀬がない。2/23に辞職していれば政治家として復活する目は十分にあった。人生の判断を間違うとはこういうことだろう。前原誠司に付き合って「生き恥を晒す」政治処世を試したがために、一生を犠牲にしてしまった。そして真相解明という形でさらにこれからツケを支払わされる。水に落ちたイヌとして叩かれる。

これから新代表が選ばれるという話だが、もう誰も民主党に期待などしないだろうし、新執行部ができても注目を集めることはないだろう。民主党は終わっている。もう党を解散してもよいのではないか。日本に二大政党制の政治体制を作る「政治改革」の試みは失敗に終わったのであり、民主党はその役目を終えた。当の民主党議員たちがそのことを一番よく理解しているのではないか。

この偽メール事件の間、党内は異常なほど無風で、前原降ろしの動きもなく、二年前の菅直人の年金未納疑惑のときに右も左も大燥ぎしていたのとは様変わりだった。今回、スタジオに呼ばれた民主党の議員たちは、それをテレビで他人事のように論じていた。松原仁は、テレビ朝日の生放送で「私は別に党を代表して来ているわけじゃないので」と評論家様になってふんぞり返っていた。国民の前で申し訳ないと恐縮していた議員は一人もいなかった。党を代表して意見を言えないような人間が党を代表してテレビに出るんじゃない。テレビに出て国民の前に出たら、議員は党の代表だろうが。

民主党は生ける屍だ。組織として危篤状態で、人材がなく、蘇生する見込みはないと私は思っている。別の政治をアイディアしなくてはいけない。前原誠司は一応の責任をとったが、「政治改革」を喧伝した山口二郎と後房雄は責任をとらないのか。


疑惑五人衆 - 馬渕澄夫,石関貴史,北神圭朗,藤末健三,松本大輔

問題の雑誌Dumontパイロット版誌上にインタビュー記事が掲載された民主党議員は、永田寿康の他に馬渕澄夫、石関貴史、北神圭朗、藤末健三、松本大輔の五氏である。テレビ局が取材した情報では、永田寿康以外にDumont誌を購入した議員はいない。

この五人の中でHPやブログ上で僅かでも事の経緯を自ら説明している議員は藤末健三だけで、3月6日の日記において簡単に触れられている。それによれば、藤末健三がDumontのインタビューを受けたのは昨年10月17日で、民主党の同僚議員の秘書に紹介されてのものだった。先週の懲罰委員会での永田寿康の弁明でも、昨年の10月に民主党の国会議員の秘書を通じて西澤孝と知り合った事実が述べられている。現在、西澤孝と最も関係の深い民主党議員は永田寿康だが、半年前はそうではなく、別の民主党議員筋が西澤孝のカウンターパートだった。それは具体的には馬渕澄夫とその秘書である大西健介である。

Dumont編集長の佐藤晶と馬渕澄夫の政策秘書の大西健介は、同じ71年生まれで京大卒の同期生であり、一部の情報によれば学生時代から友人関係であったと言われている。今回の偽メール事件の発端は昨年9月のデュモンマーケティング設立に遡り、社長となる西澤孝と取締役となる佐藤晶の二人が結びつき、雑誌Dumontの創刊が企画されるところから始まる。

この二人の出会いなり結びつきに大西健介が深く絡んでいて、パイロット版を見ても明らかなとおり、初発から前原民主党と二人三脚の関係で創刊事業が始まったことが容易に窺える。富裕層向けメンズセレブ雑誌のDumontがこれほど民主党の宣伝一色の装いで立ち上がったのは、編集長の佐藤晶の存在が大きいと私は睨んでいる。格闘技系で虚言癖のガセネタ屋である西澤孝にはどう考えてもそのような企画や発想が似合わない。雑誌Dumontを民主党の宣伝媒体にしようという意図が最初からあったのではないか。

さらに言えば、デュモン社は民主党の下請情報機関として設立されたのではなかったのか。自民党関係の醜聞情報や不正情報を諜報したり、それを国会で追及する前に週刊誌にバラ撒いたりの情報工作をする専門機関としての位置づけが、会社設立の当初からデュモン社にはあったのではないか。

富裕層向け雑誌事業というのは、あくまで表向きの見せかけの営業看板だったのではないか。そのような憶測を持たざるを得ない。今回の証人喚問の対象は西澤孝だけだが、喚問は西澤孝だけでなく、佐藤晶に対しても行われなくてはならず、そうでなければ事件の真相解明には繋がらないだろう。ひょっとしたら西澤孝は前原民主党にとってのタニマチ的な存在ではなかったのか。

平沢勝栄がテレビで明らかにしたところでは、西澤孝は、ある民主党議員が国会質問の準備で役所の官僚を呼びつけて、議員会館で質問事案のレクチャーを受けるときに、その議員の横に座って聴いていたという。

実に意外な話で驚くが、意外というのは特に、フリー記者と言っても格闘技系で醜聞ネタ系の西澤孝が、国会議員が官僚から政策制度関連の専門的な説明を受ける場に同席していたという事実で、およそ似つかわしくない場所に似つかわしくない人物がいたという事実に対してである。

この事実は、西澤孝が民主党前原グループのタニマチで、言わば一般市民が国会議員の計らいで国会の議場を特別に参観させてもらうのと同じような感覚で、国会議員以外に一般人が経験できない官僚のレクチャーヒアリングの機会を堪能させてもらっていたとしか考えられない。

西澤孝が官僚の説明を聴いて理解できる何か専門的な政策知識を持っていたとは考えられないからだ(文科省が格闘技興行の改革について説明したとか)。民主党の外部情報機関の幹部がそこに座っていたというのは理解できる。だが、それがテレビで紹介されている虚言癖の西澤孝のイメージとは結びつかない。それが佐藤晶ならよく分かるのだ。

佐藤晶ならそこに座っていて不自然ではない(厚労省の役人による外国人労働者政策とか)。今回の証人喚問は、もういい加減にしろとか、やっても無意味だという声も多いのだが、一つ一つ真面目に考えて行けば本当に不明で奇怪な事が多い。何が真実なのか一向に正確な像が見えて来ず、ミステリアスで、真相追求への関心が衰えることはない。一部に、犯罪を犯したわけでもない民間人を強制的に国会に召還するのは人権上問題だとか、このような前例を作ったら誰も野党に情報提供をしなくなるという声も上がっているが、そういう意見は間違っている。ここで大事なのは何より国権の最高機関たる国会の権威であり、それが国会議員の手で傷つけ貶められたという問題こそが重要なのだ。

永田寿康は、偽メール事件は西澤孝の愉快犯的行為の責任で自分は騙されただけだと主張し、そして西澤孝は偽メール提供は事実無根だと言っていて、双方の主張は真っ向から対立しているのだから、議院が懲罰の判断に当たって両者の主張を聞くのは当然の責務である。

西澤孝が証人喚問を忌避するのら、事実無根などと言って逃げているのではなく、堂々と記者会見を開いてありのままを釈明すればよいのだ


綿貫民輔の正論 - 「政治改革」が生んだ嘘つき民主党

ようやく永田寿康の口から西澤孝の名前が出て、偽メール事件は次の段階に一歩進むことができるようになった。しかし、それにしても本当に時間を無駄に浪費してダラダラとやっている。時間稼ぎを際限なく続けて問題をうやむやの裡に揉み潰したい民主党と、国会審議の主導権と4月の衆院補選での優勢を確保する道具として利用したい自民党の、両党の思惑が一致して、五週間前の2/17に提出された永田寿康の懲罰動議の委員会処理が、結論を出さないままこんな遠くまで延々と先送りされていた。

「まだやっているのか」というのが国民の正直な感想だろう。私も同じだ。本日(3/24)の懲罰委員会質疑の中で正鵠を射ていたのは、最後に登場した国民新党代表の綿貫民輔の議論で、まさに国民の意見を代弁する正論中の正論が展開されていた。それは懲罰委員会の意義を正面から憲法論として述べたもので、中学三年生の公民の授業でそのまま生徒に聴かせたいような内容のものだった。

明治憲法下の帝国議会に懲罰委員会の制度はなく、これは現行憲法下で新設されたものである。その意味はまさに国民主権に関わるもので、国会を国民主権の国権の最高機関として担保するためには、議院は自らその権威と品格を守らなければならないという議会制民主主義の前提があり、懲罰委員会はその原則に基づいて存在するのだという定理だった。

綿貫民輔は「国会の権威と品格」という言葉を何度も繰り返し、国権の最高機関の権威が傷つけられる事は、主権者たる国民が傷つけられている事だと力説した。基本的な議論だが、偽メール事件の本質はまさにここにある。野党が野党の主体性を失えば、議会制民主主義は実質的に機能しなくなる。綿貫民輔の主張は、憲法が綿貫民輔になりかわって永田寿康や前原誠司に諭しているようだったが、聞く永田寿康の面の皮はぶ厚く、そんな教科書じみた正論の説教は不要とでも言いたげな顔で、ふてぶてしく開き直って聞き流していた。

前原誠司とか永田寿康とか細野豪志とか、民主党の若い連中には、議会制民主主義の理念が自己の思想の内側にない。議会制民主主義を守ろうという信念や規範意識が全くない。憲法の国民主権も、議会制民主主義も、彼らにとっては単に教科書に書かれた迂遠で面倒くさい一般論であり、タテマエを規定したペーパーセオリーの存在でしかないのだ。ゴマカシとスリカエでその場その場の時間を埋め潰せば、窮地を脱して責任回避できると確信している。

細野豪志と永田寿康の二人は、この偽メール事件の一ヶ月間に実にふてぶてしい面構えと立ち回りの能力を身につけて、彼らにとっての「理想」の政治家像に近づいた。「大人の政治家」に成長した。テレビカメラの前で嘘をつきまくっても、矛盾だらけの偽りの「説明」を吐きまくっても、表情ひとつ変えない豪胆な政治家に変身した。男は三十代に剛腹な人間に成長するものだなと思う。ところが先輩の前原誠司は、何やら消耗感を標榜する顔に変わり始めた。

男も四十代を過ぎると、嘘で窮地の連続を突破する体力に衰えが出るに違いないのだ。面の皮がぶ厚くなり、口の角が曲がるのが、三十代だとまだ「男の成長」と自覚できる程度なのだが、さすがに四十代になると、それに加えて頭髪が減耗したり、顔面の小皺に転化したりで、嘘つきが精神と身体に反作用する負担が重くなるのである。一ヶ月前と較べて確かに前原誠司の顔つきが変わった。細野豪志と永田寿康と前原誠司に言っておくなら、三人がテレビの前で白々しく嘘をつき、その場をゴマカシて逃げる場面を見せれば見せるほど、民主党に対する国民の嫌悪は増幅し、反発の感情が膨張し、民主党の支持率は下がって行くのだ。現時点で意識調査をすれば、民主党への国民一般のアパシーと言うかネガティブシンボルの心理状況の程度は、公明党や共産党と同じかそれを上回るのではないか。民主党の若い人間は平気で嘘をつく。例えばメール問題の検証結果を二週間後に出すなどと平気で嘘を言う。

国民を腹の底からバカにしているから嘘が言える。それが民主党だ。自分は選ばれたエリートであり、国民は頭の悪い働きバチであり、自分は国民を騙す身分と能力があり、国民は愚鈍で無能だから自分の嘘に騙されるしかない。そう信じているから何週間でも何ヶ月でも嘘を言い続け、自民党政権にすがって偽メール政局を責任揉み消しの結末までドライブし続ける

民主党の支持率が下がっ選挙はないからどうってことはないし、どうせ来年になれば国民はバカだから偽メールの話も全部忘れても、暫くは国政ている。バレなきゃいいから嘘をつき続ける。前原誠司が言っている「生き恥を曝す」政治処世というのは、バレるまで嘘をつき続けるということであり、権力闘争に負けて責任を取らされる最後の最後の瞬間まで居直り続けるということである。さて、次は西澤孝の証人喚問だが、民主党はいつまで偽メール事件の「嘘つき芝居」の興行を続けるつもりなのか。

懲罰委員会の席には小沢一郎と菅直人の二人が座っていた。

皮肉なのか何なのか。菅直人は自分が日本の議会制民主主義を破壊している中心人物だという自覚があるだろうか。そして左サイドから「政治改革」を扇動した山口二郎と後房雄、ブログを読んでいるのなら何か言ったらどうだ。「政治改革」が生んだ嘘つき民主党を見てどう思う。責任は感じないのか。


偽メール事件の政局 - 永田辞職は確定、次の焦点は前原辞任

偽メール事件の政局が、様々な関係者の思惑を交錯させながら続いている。焦点は基本的に永田寿康の議員辞職で、本当は自民と民主は今週中に永田寿康に辞職させようとしたのだが、永田寿康が抵抗して応じなかったために新しい手を打たざるを得なかった。3/22の国会弁明というのは永田寿康を辞職に追い詰めるための「政治行事」であり、目的は弁明後の永田寿康をテレビに徹底的に叩かせるところにある。これまで「登院停止」で動いていた懲罰委員会の結論を「除名」の厳罰に変えるための状況作りの政治である。3/22の後、国民世論は「除名やむなし」に変わるはずで、3/25-26の週末に妥当な懲罰の程度を問うアンケート調査が行われるだろう。それでも永田寿康が辞職しなかった場合は、仲介者の証人喚問の場を作って、仲介者に「偽メール事件は永田寿康の自作自演だった」と証言させる。そこまで行けば懲罰委員会は永田寿康を除名処分にすることができる。が、仲介者の証人喚問まで行けば、同時に前原誠司も代表辞任が必至となる。逃げ場がなくなる。

永田寿康も除名よりは辞職を選ぶだろう。カネも掴める。永田寿康を辞職から守れる防波堤や特効薬は何もなく、現時点で議員辞職は半ば決まったも同然だ。今後の焦点は前原誠司の辞任に向かう。偽メールの捏造に関わったのは永田寿康だけではないはずで、前原誠司も何らか関与していたはずだ。2/11にメールをテレビ局で初めて見たというのは嘘(作り話)だろう。永田寿康が真実を全てバラせば、前原誠司は代表辞任では済まなくなる事態になる。渡部恒三が「起き上がらない起き上がり小法師」を前原誠司に手渡してテレビに撮らせたのは絶妙の政治で、要するに「永田寿康が議員辞職したらお前も代表辞任しろよ」というメッセージである。老獪な味のある政治だった。「生き恥を曝す」のが前原誠司の政治手法だから、前原誠司も最後の最後まで抵抗するだろうが、渡部恒三の強いところは前原誠司以上に自民党との太いパイプを持っていることで、国対委と懲罰委は渡部恒三が自由自在にドライブできる。外堀が埋められ、国会運営に関して前原誠司は実権を失った。

4月の補選前に渡部恒三暫定代表の芽もある。党内でも筒井信隆がようやく国民が納得できる正論を吐くようになり、前原誠司の代表辞任が現実味を帯びてきた。偽メール事件の真相を追及し続ければ、必ず前原誠司を代表辞任へ追い込めるし、また民主党は一刻も早く前原誠司を辞めさせて、政策的にも国会運営でも本来の野党に戻らなくてはいけない。「もううんざりだ」を言い続けて結果的に前原誠司を庇護してきたバカ左翼は、今後の民主党の動きをよく見ていればいい。バカ左翼に教えてやるならば、バカ左翼が偽メール事件の追及を「うんざりだ」と言い続けて、国民の関心を偽メール事件から逸らして、結果的に政治救済してやろうとしていた前原民主党というのは、実はバカ左翼が一番嫌いな小泉政権の一部である。前原民主党は新自由主義革命の最前衛だ。前原誠司の民主党は小泉政権の新自由主義改革路線と右翼国家主義外交を支援するための翼賛野党である。一枚岩の新自由主義ブロックだ。したがって前原体制の打倒はまさに小泉政権の一角を崩すことに等しい。

どうしてバカ左翼はこんな簡単な政治的事実が理解できないのか。議席一桁の泡沫左翼政党が国会で言っていることをブログでコピペしていれば小泉政権を倒せるのか。党利党略しか眼中にない異端イデオロギー政党のスローガンをブログで連呼していれば新自由主義の政策を転換できるのか。無力な市民がブログで政治を変えようと言うのなら、効果的なピンポイントを捉えて、リアルに政治を変えられるリアルな力と動きを作り出す以外に無いんじゃないのか。前原民主党は昨年の総選挙がもたらせた新自由主義革命の副産物であり、反小泉と反新自由主義の立場にとって真正の敵である。この国会は本当は安晋会問題で安倍晋三の首を獲ってポスト小泉の芽を潰す国会だった。民主党が追及の矛先を武部勤に振り向けたのは、武部勤を安倍晋三の身代わりにして生首を捥ぎ獲ろうと画策したからだろう。安晋会疑惑から国会と国民の関心を逸らそうとした本当の狙いがあったはずだ。次の総理である安倍晋三に恩を売ろうとしたはずだ。武部勤ならポスト小泉に何の影響もない。

その意味では、この偽メール事件の政局というのは、安倍晋三と小泉首相との暗闘の性格も一部に確かに持っていた。武部勤の首が飛べば小泉首相のレイムダック化は完全なものになり、ポスト小泉の安倍晋三が前原誠司の支援を得て3月以降の政局を自在に仕切って操縦することができた。今国会最大の難関である教育基本法改正で公明党を排除して、安倍自民党と前原民主党で手を組んで可決成立させることも容易にできた。レイムダック化を防ぐため、小泉首相は2/16の夕刻、一瞬の決断で「ガセネタ発言」をかまして喧嘩(タイマン)の大博打に出たのだ。自分の首を賭けて武部勤の首を守ったのである。その時点で前原誠司と永田寿康の陰謀は潰えた。われわれは安倍晋三の首は獲り損ねたが、その代替物として前原誠司の首を獲らねばならない。前原体制を倒し、民主党を本来の野党に戻さなければならない。菅直人であれ、岡田克也であれ、代表が代わって本来の野党の姿を取り戻せば、再び今国会会期中に安晋会疑惑を取り上げて、安倍晋三を追及できる可能性もあるだろう。

検証チーム結果報告発表延期 - 民主党における危機感の不在
本日(3/15)のテレビ朝日「スーパーモーニング」によれば、民主党はメール問題検証チーム座長玄葉光一郎の名前で番組からの質問状に対して文書で回答し、「二週間程度としていた検証結果の報告を、今月中の取り纏めを目指して作業中」と納期の変更を正式に通告した。昨日の産経新聞の記事は単なる観測気球ではなかったわけで、細野豪志と民主党は国民に重大な嘘をついたことになる。玄葉光一郎は検証チームの結果発表時期を遅らせた理由について、外部の専門家(地検特捜部出身の弁護士)を検証チームに参加させて「仲介者」の調査を担当させたためだと弁解しているが、それは全くの嘘である。番組が西澤孝の弁護士から直接に聞き出した証言によれば、民主党の調査チームからの接触は、検証チームの民主党議員からも、検証チームの代理人からも、これまでも一度もないということだった。要するに「検証チーム」は名前だけ立ち上げたものの、実際の検証作業は二週間の間、何もやってなかったのだ。

民主党はまた嘘八百を言って国民を騙した。役員室長の細野豪志のブログの3/8の記事でも、「28日の記者会見で、幹事長が二週間という期間を設定していますので、急ピッチの作業となっています」と言っている。検証チームが設置されたのは3月1日だった。細野豪志は3/2のテレビ番組でも、3/3のテレビ番組でも、二週間で検証結果を国民の前に報告すると明言していたのだが、この前言撤回について細野豪志自身は何も説明していない。これは政治家として重大な公約違反そのものだろう。国民に対して約束した自分の言葉に責任をとる義務はないのか。細野豪志は自身のHPの中で、「私は、国民に対して最大限の説明責任を果たす努力をしてきましたし、今後も続けていきます」と言っている。が、この言葉は真っ赤な嘘であるとしか考えられない。34歳で真っ赤な嘘が平気でつける人間でないと日本では政治家にはなれないということか。今朝の番組のスタジオには細野豪志の姿はなかった。都合が悪かったのだろう。

細野豪志の代わりに、今度は末松義規が釈明要員として出演していた。生放送のスタジオで話をゴマカシ、スリカエて、適当にその場凌ぎをして逃げる民主党の三流詭弁屋たち。鳥越俊太郎も含めてスタジオの常連が民主党に甘く、追及が異常に手ぬるく、まるで民主党に弁解の機会を与えてやっているような映像が続いて、見ていて不愉快でストレスが溜まる。末松義規もその辺の事情をよく心得ているのか、表情には最初から緊張感の欠片もなく、むしろテレビに出て選挙民に顔を売る絶好の機会を得たかのように、余裕で顔を綻ばせていた。テレビに出演できるのが嬉しくてたまらないのだ。検証チームに手を挙げて入ったのは、河村たかしと細野豪志を見習って、ワイドショーで偽メール事件の釈明要員をして顔と名前を売るためだったのだろうか。検証チームは二週間で二回の会合を開いただけで、しかも二回目の会合で単に外部の専門家を入れる話を決めたのみで、実質的な検証作業は何もやっていない。形だけの方便の飾りだ。

3/6の「ニュース23」で岸井成格が「民主党の国会議員に危機感が全然感じられない」と言っていたが、この点は同感で、同感であると同時に、岸井成格と同様、非常に不審で異様な光景に感じる。危機感が感じられる民主党関係者は、3/4に全国幹事長会議に出席していた地方の幹部だけだ。国政選挙の日程が直近になく、参院選挙も来年で、9月の代表選までは適当に時間を潰しておけばいいだろうと誰もが安易に思っている。幹部も若い議員もそう思っていて、誰も前原誠司の過誤の責任を追及しようとしない。内部に責任追及してくる人間(反対派)がいないことを承知しているから、前原誠司は代表の椅子にふんぞり返ったまま、平気で口角の湾曲整形に日々精を出すことができる。このままでは党が潰れるかもしれないとか、解党するかもしれないなどと言うけれど、実際のところはこの党はもう事実上潰れている。これほど執行部体制が腐食しているのに、内部の人間が誰も党を立て直そうと動かないという現実は異常である。

菅直人も小沢一郎も何も言わない。権力闘争を控えての「待機」だと言えば理由づけにはなるが、民主党の幹部として偽メール事件に対して国民の前で政治家の責任を果たす必要はないのか。偽メール事件の政治をあまりに甘く見すぎているのではないのか。それとも民主党ブランドの信頼回復は無理だと判断して、新党結成の準備に水面下で動いているのか。偽メール事件によって、国民の多くは、国政に責任を持てる政党は自民党だけだという判断を強く固めた。岸井成格や田勢康弘に言われなくても、十分にその認識を確かなものにした。この事件は昨年9月の選挙結果、すなわち国民の選択を「間違いなかったものだった」と確信させるものであり、「自民党の勝ち過ぎだったかもしれない」という警戒や懸念の意識を払拭させるものである。日本の政治のレベルの低さをイヤと言うほど見せつけられて、政治に対する期待や希望をさらに失い、増税など負担増を行政がアドミニする政治の成り行きに文句を言わず黙って従う精神を培養するだろう。

偽メール事件が日本の民主主義にとってどれほど重大で深刻な問題かを理解できた人間は少なかった。一ヶ月間にわたって「うんざりだ」を言い続けたバカ左翼の政治的不感症のみが目立った。私から見て、今度の事件の本質を正確に見抜いて、「憲政史上最悪の不祥事だ」と言葉を発したのは福岡政行だけだった。左翼学者はワイドショーのネタ扱いで遊び半分に聞き流していた。21世紀の日本の大政翼賛会は、こうして、やむを得ぬものとして、必要悪の政治として国民から支持を受ける事実上の(いずれは形式も含めて)支配体制となる。野党の主体性を作り直す必要性が分からないバカ左翼は、その政治的リアリズムの挑戦の場に踏み込んで行けない人間は、結局のところ、大政翼賛会作りを助長する無能者としての存在意義しかないのだ。

馬渕澄夫の日記 - 野田佳彦が漏らした「墓場までもっていく」秘密
偽メール政局が燻っている。3/14の産経新聞の記事では、民主党メール問題検証チームの座長の玄葉光一郎の発言として、調査結果の発表の時期が「今月いっぱいか、来月にずれ込むかもしれない」と報じられている。カギカッコで閉じた形式で玄場光一郎の発言を紹介したということは、玄場光一郎が産経新聞の記者の前で実際にそう語ったことを意味するし、その言葉を記事にさせて、民主党の検証チームの発表を遅らせる旨の観測気球を上げて、世論の反応を様子見しようとしている意図が窺い知れる。これは私の予想どおりであり、検証チームの作業がデッドロックに乗り上げた状況を暗示しているが、しかしそういう記事を書かせて、検証結果発表の遅延を既成事実化しようとする民主党の姑息な情報工作を、われわれ国民は簡単に見逃すわけにはいかないだろう。細野豪志は3/2の「ワイドスクランブル」のスタジオで、二週間後に検証結果を発表すると公言している。

細野豪志本人もブログでその事実を認めている。検証結果は約束どおり今週末の3/17には発表してもらわなくてはならない。そうでなければ、民主党は国民の前でまた嘘を言ったことになる。「しっかり事実を検証して信頼回復」と言っていた言葉が嘘になる。玄葉光一郎も真相を知って愕然としたのだろう。ありのままを公表すれば民主党が潰れる。いま焦点は永田寿康の議員辞職で、昨日は前原誠司までが永田寿康に議員辞職を迫る発言をした。卑劣な男だ。2/23に永田寿康が議員辞職しようとしたとき、無理やり辞職会見を潰して永田寿康を病院に監禁し、「辞職の必要は全くない」と言っていた前原誠司のこの変わりよう。自分の代表の地位を守るためにはここまで何でもするのか。現時点で自民党と民主党の幹部間の思惑は完全に一致していて、落としどころは今週中の永田寿康の議員辞職である。永田寿康に掴ませるカネは自民党の方が用立てている可能性もある。

少し奇妙に見えるのは、民主党が言い出したフリー記者証人喚問容認発言で、これは少し裏を読む必要があるだろう。西澤孝に国会に出て来られて全てを喋られたらいちばん困るのは前原誠司のはずで、だからこそ、これまで仲介者の名前も出さずに隠し続けてきたわけだが、ここに来て証人喚問を容認するというのは、自民党と前原誠司と西澤孝の間で何らかの「芝居」の台本が一本出来上がったからなのだろうか。何れにしても、検証チームの結果発表をズルズルと先送りしたままで、しかも懲罰委員会の結論が単に三十日間の登院停止でお咎めなしでは国民が納得するわけがなく、そこで何か国民を納得させる「イベント」が必要になって、西澤孝に国会で何か喋らせるということだろう。無論、西澤孝の病院入りという「芝居」のやり方もあるわけで、国民の憎悪を西澤孝と永田寿康の二人に集中させて、言い訳の体面をつけた格好の前原誠司がのうのうと生き延びるという作戦はある。

が、果たしてそううまくいくか。前原誠司と民主党が真相をうやむやにして隠そうとすればするほど、国民は偽メール事件の真実を知りたがるわけで、この問題への関心の圧力がそれほど急速に低下するとは思わない。この件に関連して、馬渕澄夫のブログに面白い記事が載っていて、3月8日の日記だが、2/27の週のある夜に馬渕澄夫が野田佳彦を連れ出して神楽坂のバーで酒を飲みながら偽メール事件について話を聞く場面が登場する。記事では具体的なことは何も書いておらず、ただ野田佳彦が「「イヤー、いろいろあったけど、墓場まで持ってくしかねぇなー。」と言ったと書き、そして馬渕澄夫が「私などが知らないことが本当にいろいろあるのだろう」と書いて終わっているのだが、私はこれは嘘だと思う。野田佳彦は馬渕澄夫に全て真相を話したのだろう。野田佳彦というのは、嘘つきのワルばかりが揃った民主党の中では他人に嘘をつくのが下手な正直者のところがある。

2/26の「サンデープロジェクト」でも、田原総一朗が突っ込んで聴き出せば、弱気になって少し真相を漏らしそうな気配はあった。野田佳彦が神楽坂のバーで「墓場まで持ってくしかねぇなー」と言ったのは事実だろう。だが、その墓場まで持っていく話の中身を馬淵澄夫は野田佳彦から実際に聴き出したはずだ。記事では表面上は何も聞かなかったことにしているが、それは一般読者向けの「公開情報」であり、実はこのブログ記事は意味があって、俺は野田佳彦から偽メール事件の真相を全部聴いたぞという「事実」を民主党の執行部や議員たちに伝えているのだ。政治的なシグナルなのである。俺は真実を知っているぞという立場宣言であり、聴きに来たら教えてやってもいいぞという政治的暗号でもある。野田佳彦は馬渕澄夫から呼び出しの電話がかかってきたとき、当然、この誘いは偽メール事件の情報収集だろうと分かったはずだし、それに応じて出掛けたということは、情報提供に応じたということである。

神楽坂で会談を持った日付は記されてないが、2/27には野田佳彦は国対委員長を辞任していて、その直後ということになるだろう。「墓場まで持っていくしかない」とまで野田佳彦に言わせているのだから、コトは単純な話ではないのだ。沈黙を守り続けなければ党が潰れるほどの重大事件だという意味が含まれている。だから偽メール事件は、単に西澤孝がガセネタを週刊誌に売り損なって、それを民主党に売ってカネを儲けたというような簡単な話ではない。カネが動機ではない。西澤孝が事件の起点でもない。メール捏造は永田寿康自身が最初から関与している。西澤孝が週刊誌に売り込んだのは、永田寿康や原口一博と議員会館で国対戦略会議を開いて、ライブドア事件に絡めて武部勤追及の「企画」を相談した後だ。武部追及の大きなプロジェクトの一環としてメールを週刊誌に持ち込んだのだ。カネ目当てではない。それは平沢勝栄の作り話だ。偽メールは偶発的なものではなく計画的なものである。

そこには前原誠司も何がしか絡んでいる。偽メールの計画性と前原誠司の関与、それこそが野田佳彦の言う「墓場まで持っていく」秘密である。

BIGLOBEの世論調査結果 - 前原誠司は党代表を辞任すべき
今日(3/10)になって渡部恒三から「永田寿康は議員辞職すべきだ」という話が出た。観測気球だが、予想どおりの動きである。昨日、自公が幹事長・国対委員長会談を開いて「永田寿康は自発的に議員辞職せよ」という認識で一致したという報があったが、この報道はNHKの7時のニュースで丁寧に放送された。与党のメッセージが示されている。懲罰の要求内容は「登院停止」で決定しているのだが、民主党の検証チームに揺さぶりをかけて、3/17までに永田寿康を議員辞職させろと迫っているのだ。つまり、3/17に国民を納得させられない出鱈目な検証結果を出したら、間髪を置かずに西澤孝を国会招致するぞと脅しているのである。議員辞職要求は本気だ。3/17の報告次第で再び偽メール政局になる。渡部恒三のこの動きにはもう一つの理由があって、それは党内事情、すなわち検証チームのデッドロックと権力闘争状況である。3/17のデッドラインは避けられない。だが、偽メール事件の真相を隠さずありのまま出すわけにはいかない。出せば代表辞任では済まなくなる。検証結果をどう発表するかは悩ましい問題で、西澤喚問は絶対に避けねばならず、収拾の落としどころは永田寿康の議員辞職以外にない。

この渡部恒三の観測気球は、検証チーム座長の玄葉光一郎の意を受けたものだろう。代表選前倒しは前原誠司に潰されたが、検証チームの中が紛糾して再び渡部恒三が勢いを取り戻したのである。日曜日の「サンデープロジェクト」がこの問題を大きく取り上げれば、来週の永田町界隈の動きはそれに影響されて「永田辞職」が焦点になる。永田寿康が議員辞職となれば、当然、責任問題が波及して前原誠司も代表辞任せざるを得ない立場になる。野田佳彦と永田寿康だけに責任を押しつけて済むのかという話になる。執行部と周囲は、できれば永田寿康だけに議員辞職させて、前原誠司は代表留任のままで手を打とうと立ち回るだろう。永田寿康を巧く辞職させられれば西澤孝招致の最悪の事態は避けられる。適当な辻褄合わせの検証報告でも何とか逃げられる。永田寿康に議員辞職を飲ませて、さらに真相の口チャックを得るためには、本人にカネを握らせる以外にない。最低でも五億か。本当は、永田寿康は全てを喋って潔く議員辞職すればよいのだが、2/23の辞職会見キャンセルと病院入りの騒動で機会を逸した。前原誠司と同じく「生き恥を曝す」処世を選んだわけだが、その選択の失敗のツケは実に大きい。

BIGLOBEニュースのサイトの中に偽メール問題での前原代表の責任を問うたアンケート調査のページがあり、現時点で下図のとおりの結果となっている。ブログの読者でまだ投票を済まされてない方は、ぜひとも清き一票をお願いしたい。投票者のリモホが保存されていて、投票は一回だけしかできない仕組みになっている。このアンケート調査で注目すべき点が二点ある。一点は有効票数が2403票で、偽メール事件関連で前原誠司の責任を尋ねた各種媒体調査の中で恐らくこの調査のサンプル数が最大のものであり、したがって世論の反映として数字の信頼性が高いという点である。二点目に、このBIGLOBEの投票は偽メール事件が起きた直後から始まり、集計と開票が続けられていて、現在まで三週間ほど時間をかけて調査が進められている点がある。これまで読売新聞やJNNでも調査結果が報道されてきたが、それらはどれも短期(二日間)の調査であって、すなわち瞬間的な世論(感情)の反映である。BIGLOBEの場合は調査に時間幅があるために、言わば時々の感情的な評価が均される結果となっていて、そのため読売新聞やJNNと比較して数値結果に世論の全体的な安定性が担保されていると言える。

私は実はこの集計を毎日観察していたのだが、当初は「代表を退くべき」よりも「関係者に謝罪すべき」の票の方が多かった。また両者の間にはずいぶん差の開きがあって、それは当時のマスコミの調査や論調と同じ傾向だったが、私はグラフを見てがっかりした記憶がある。ところが、2/22の党首討論の後から両者の票差が詰まって接戦になり、そして2/26の「サンデープロジェクト」の放送の後で「代表を退くべき」が逆転して第一位になった。その後はそのまま徐々に差を広げている。ブログを注目して読んでいる民主党の国会議員や関係者もいるだろうから、その事実を承知しておいていただきたい。「サンデープロジェクト」で見せた前原誠司の倣岸な態度の影響は大きかった。あれから偽メール事件は永田問題ではなく前原問題になったと言ってもいいだろう。党首討論翌日の2/23の朝だったと思うが、代表の責任問題について記者から質問された前原誠司は、「代表に責任があると言っているのはマスコミだけで、国民からは代表を辞めろという声は上がっていない」と嘯いていた。確かにその時点では前原誠司の強弁も多少の説得力はあったが、現在は違う。国民世論はこのとおり前原誠司に代表を辞めろと言っている。

この世論調査の秀逸なところは、クロスで集計を出しているところであり、その点で大いに注目すべき中身がある。集計画面のスクロールバーを下にドラッグして支持政党別のクロス集計に着目していただきたい。面白い結果が出ている。すなわち、自民党支持者においては「代表を退くべき」よりも「関係者に謝罪すべき」の方が多く、民主党支持者においては逆に「関係者に謝罪すべき」よりも「代表を退くべき」の方が圧倒的に多いのである。当然と言えば当然だが、民主党支持者の方が事件についての危機感が甚だしく、党の信頼回復のためには代表辞任しかないと深刻に判断している。自民党支持者が「代表を退くべき」に投票しないのは、言うまでもなく、前原誠司を代表に温存させた方が自民党の支配にとって都合がいいからである。前原誠司を支えようとしているわけだ。民主党関係者はこのクロス集計を凝視していただきたい。この民主党支持者こそ、前回の衆院選で民主党に投票した人々である。さて、政党支持別のクロス集計はもっと面白い結果を示していて、それは社民党と共産党の支持者が偽メール事件における前原誠司の責任問題に対してどう回答したかという問題だが、この点については稿を別にして詳しく論じたい。

ライブドア事件や偽メール事件への論評は「もううんざりだ」とか「飽きた」とか言っている政治音痴のバカ左翼がいる。こういう連中の愚昧と倒錯が前原執行部を支え、小泉政権を支えているのである。