2010年7月15日木曜日

【検察審査会】 陸山会(第一検察審査会)

 7月8日に、何の脈略もなく産経新聞が、陸山会事件の平成19年度分を書いてきた。平成16・17年度に関しては、第五審査会が受け持っているのであるが、こちらの方は、一回目に「起訴相当」の議決が出て驚かさせられた。しかし、検察は、「不起訴」としている。

ちょうど、参議院選挙終盤の8日に、まるで隠れるように第一審査会がもようされた。このことは産経新聞の8日の記事に載っていることから伺いしれる。しかし、東京地検特捜部の担当検事を呼び、意見を聴いた日には、採決をしていたことになる。

何よりも、議決要旨の判断部分、【結論】(2)のウの部分には、こう書かれている。
被疑者に対する取り調べは、回数もわずか3回であり、調書の内容も「秘書がそんなことを言っているとは信じられない」

東京地検特捜部の担当検事を8日に一度だけ呼んで8日にすぐ議決を出した検察審査会がいえる言葉であろうか。あきれてものが言えなくなる。

===============産経新聞=============================

【小沢氏「不起訴不当」】政治とカネ…指導力発揮できぬ菅首相
2010.7.15 22:57
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100715/plc1007152258012-n1.htm

 菅直人首相は15日夜、東京第1検察審査会が民主党の小沢一郎前幹事長に対し「不起訴不当」の議決を出したことについて、記者団に「私の立場で、あれこれコメントすることは控えたい」と述べるにとどめた。首相は小沢氏の「政治とカネ」の問題の実態解明に消極的だった。しかも参院選の敗北を受け小沢氏との面会を求めている最中であり、疑惑解明に首相の指導力発揮は期待できない。

 仙谷由人官房長官や枝野幸男幹事長も「所感を述べることは差し控える」(仙谷氏)、「圧力のようなとらえ方をしたりするのは良くないのでコメントは差し控えたい」(枝野氏)と、首相と足並みをそろえた。

 首相は10日、福井県坂井市での街頭演説で「政治とカネのことで少し心配をおかけしたが、それもクリアした」と強調していた。鳩山氏や小沢氏の辞任で、問題にけりがついたことにしたかったようだが、検察審査会の議決で問題は何も解決されていないことを改めて突きつけられた形だ。

 民主党は参院選マニフェスト(政権公約)で、「とことんクリーンな民主党へ」とうたった。だが、この看板が偽りであることを示す問題が菅政権発足直後から相次いで浮上した。

 荒井聡国家戦略担当相が漫画や女性下着を事務所費に経費計上したことが発覚。仙谷氏が昨年9月に行政刷新担当相に就いた後も、複数の企業から弁護士顧問契約料を受け取っていたことも判明した。

 民主党は「違法ではない」などと説明するが、明確な法律違反でなければ何でも構わないというのでは政治倫理は語れない。

 民主党はマニフェストで企業・団体献金の全面禁止を主張した。だが、同党の政治資金規正法改正案は企業や労組が政治団体をつくって献金する抜け道を残しており実効性は疑わしい。


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【小沢氏「不起訴不当」】「検察は追及不足」検察審査会、起訴促す
2010.7.15 22:07
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100715/crm1007152210037-n1.htm

 民主党の小沢一郎前幹事長について、平成19年の政治資金規正法違反容疑で審査し「不起訴不当」と議決した東京第1検察審査会。16、17年分について最も重い「起訴相当」の議決を出した東京第5検察審査会よりも一段階軽い判断だったが、第5検審と同様に「公開の場で事実関係が論じられることが、同法を実効的に発展させていく」と言及し、検察側に再捜査で起訴することを促している。

 東京地検特捜部は2月、陸山会が16年10月に東京都世田谷区の土地を購入した際、土地代金の原資として小沢氏から借りた4億円を収入として政治資金収支報告書に記載せず、土地代金約3億4千万円の支出も記載しなかったなどとして、元私設秘書で衆院議員の石川知裕被告(37)らを起訴した。

 起訴状によると、元私設秘書の池田光智被告(32)は、17年1月に土地購入を装って同年の収支報告書に土地代金を支出として記載。19年に元公設第1秘書の大久保隆規被告(49)と共謀し、借入金の返済名目で小沢氏に支出した4億円を収支報告書に記載しなかったなどとされる。

 第1、第5両検審は小沢氏と元秘書3人が共謀したかを審査した。第1検審の議決書の要旨は第5検審の倍のA4版用紙6枚にわたり、小沢氏にとってより厳しく踏み込んだ部分もあったが、第5検審より軽い判断になった理由は不明だ。

 第5検審が「直接証拠」とした石川被告の供述について、第1検審は「不記載の理由、不記載について報告して了承を得た」と報告内容にまで言及し、「信用性は相当高い」とした。

 検察側はこの供述について「具体的でなく、小沢氏がどこまで石川被告の説明を理解していたのかも定かではない」と信用性に疑念を抱き、小沢氏不起訴の一つの論拠にした。しかし、第1検審は「上下関係を考えれば、小沢氏が理解していることを確かめながら報告して了承を求めるはず」と指摘した。

 石川被告が土地購入直後に別の4億円で定期預金を組み、これを担保に同額の融資を受けた点には「原資隠蔽(いんぺい)以外にあり得ない。小沢氏も同じ動機を共有したという根拠になりうる」とした。

 19年分の収支報告書不記載については、小沢氏自ら現金で4億円の返済を受けている点などを挙げ、「秘書に任せていた」という弁解は「不自然」と指摘。小沢氏への聴取が3回だったことについても「追及不足」と批判している。

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【小沢氏「不起訴不当」】第一検察審査会の議決要旨
2010.7.15 21:03
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100715/crm1007152105031-n1.htm

 民主党の小沢一郎前幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、小沢氏を「不起訴不当」とした東京第1検察審査会の議決要旨は次の通り。

 【容疑内容】
 小沢氏は資金管理団体である陸山会の代表者であるが、会計責任者の大久保隆規、元私設秘書の池田光智の2被告と共謀の上、平成20年3月ころ、東京都選挙管理委員会において、19年分の陸山会の収支報告書に関連政治団体からの寄付計1億5千万円、小沢氏への借入金返済4億円を記載せず、関連政治団体からの架空寄付計7千万円の虚偽記入をしたほか、「本年の収入額」欄に8千万円過少、「支出総額」欄に4億円過少の各虚偽の金額を記入して総務大臣に提出した。

 【審査会の判断】
 1、証拠関係の検討
 小沢氏は否定するが、元私設秘書で衆院議員の石川知裕被告と池田被告は、収支報告書提出前に小沢氏に原案を示して説明した旨供述している。「小沢先生の決裁を得た」という以上、小沢氏がある程度は内容を理解していることが前提と考えられる。

 検察官も指摘するとおり、年約450万円という金利負担を伴う経済的に合理性のない銀行からの4億円の借り入れの目的は、石川被告が供述するように原資隠蔽(いんぺい)以外にあり得ないことは、誰しも考えることである。

 加えて、4億円もの大きな金額の借り入れに際し、手形に自ら署名していることについて、何の説明も受けることなく求められるままに書類に署名した、というのも不自然である。

 検察官は、この事情が収支報告書への不記載とどこまで結びつくか疑義があるとするが、小沢氏が提供している資金について、その原資を隠蔽するという動機があったことは、石川被告の供述から明らかである。

 小沢事務所に水谷建設から資金提供があったという事実について、水谷建設関係者は、水谷建設から小沢事務所に資金提供をした旨供述するところ、その供述は具体的であり、その本人のみしか知り得ない事情も含まれていて、その信憑(しんぴよう)性はかなり高いものであるといえる。

 この資金提供の事実の存否は、一見すると本件の虚偽記載等とは直接結びつくものではないが、4億円の原資を隠蔽する必要性があったことの根拠に十分なりうるものである。

 2、結論
 以上のとおり、検察官が嫌疑不十分の理由としてあげる事項については、小沢氏との上下関係からみて、秘書が独断でなしうるとは考えられない事柄であったり、小沢氏のおかれた客観的状況と整合しない無関心を示す事柄であると言わざるをえない。

 当検察審査会としては、こうした見地から次の各点について再捜査を求める。

 (1)本件動機に重大なかかわりがあると思われる水谷建設からの資金提供について、これを否認する石川被告に対する取り調べを含むさらなる追及をすること。
 (2)大久保、石川、池田の3被告と小沢氏について、自分の行動を記録しているはずの手帳やメモ等の提出を求め、事実関係の裏付けをとること。
 (3)小沢氏に対する取り調べは回数もわずか3回であり、調書の内容も「秘書がそんなことを言っているとは信じられない」で終始している感があるなど、追及不足という印象を免れないので、改めて、詳細な取り調べを行うこと。

 これらの再捜査を経ない限り、検察官の不起訴処分を支持することは到底不可能であり、本件不起訴を不当と考える次第である。

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【小沢氏「不起訴不当】視点 「外圧」排除し公平審査を 小沢氏「不起訴不当」
2010.7.15 20:52
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100715/crm1007152053030-n1.htm

 2つの検察審査会で小沢一郎氏に対する判断が分かれた。第1検審の「不起訴不当」議決を受け検察は再捜査するが、再び不起訴となる公算が大きく、小沢氏が強制的に起訴されるか否かの判断は第5検審に絞られることになった。ただ第5検審の再審査は難航し、議決が出されるのは秋ごろの見通しとなっている。

 改正検察審査会法に基づき、昨年5月の裁判員裁判制度導入と同時に大幅に権限が強化された検審。小沢氏や鳩山由紀夫前首相の政治資金規正法違反容疑などを扱い社会的に注目される中、その中立性や独立性を脅かすような「外的圧力」が問題となっている。

 第5検審が小沢氏に対して「起訴相当」議決を出した直後の5月には、民主党の辻恵副幹事長が検審事務局に審査手続きの説明を求めていたことが判明。辻氏は「圧力とは違う」としたが、政治家からの接触自体が批判の対象となった。

 審査自体に影響を及ぼしかねない事態も起きている。起訴相当議決後、審査補助員を務めた弁護士のもとには批判が集中した。弁護士が所属する弁護士会関係者は「審査補助員の選定などについて、政界関係者からの問い合わせは多数あった」と話す。

 再審査では必ず審査補助員を置き、法的助言を受けなければならないが、関係者によると、1回目の弁護士が再任を拒否し、第5検審の審査補助員は空席のまま。審査が遅れている要因の一つとされ、「こんな状態ではだれも手を挙げないだろう。このままではなり手がいなくなってしまう」(法曹関係者)と危惧(きぐ)する声も聞かれる。

 「国民の常識や視点を反映する」という当初の趣旨を機能させていくためには「外圧」の排除は言うまでもない。公平に審査できる体制づくりが求められている。(上塚真由)

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【小沢氏「不起訴不当】「秘書独断ありえぬ」と検察審査会
2010.7.15 20:49
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100715/crm1007152051029-n1.htm

 民主党の小沢一郎前幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京第1検察審査会は15日、平成19年分の政治資金収支報告書への虚偽記載容疑に関し、不起訴処分となった小沢氏について「不起訴不当」と議決したと公表した。議決は8日付。東京第5検審は16、17年分の虚偽記載容疑について「起訴相当」と議決しており、同一の事件で判断が分かれたが、第1検審も不起訴処分の妥当性を否定した。

 東京地検特捜部は16、17年分について改めて不起訴とし、第5検審が再審査の手続きに入っている。19年分については特捜部が再捜査で起訴しなければ、不起訴が確定する。

 第1検審が審査した容疑内容は、陸山会会計責任者だった元公設第1秘書、大久保隆規被告(49)=同法違反罪で起訴=と元私設秘書、池田光智被告(32)=同=と共謀、陸山会が16年の土地購入費となった小沢氏からの借入金4億円を19年に返済したのに、19年分の収支報告書に記載しなかったなど。

 議決書によると、池田被告は「(小沢)先生に返済した4億円については収支報告書に載せません」と報告し、小沢氏が「そうか、分かった」と了解したと供述した。さらに、私設秘書だった衆院議員、石川知裕被告(37)=同=と池田両被告は「収支報告書提出前に先生に原案を示して説明した。先生の決裁を得た」と供述した。

 第1検審はこれらの供述を重視、「小沢氏と石川、池田被告の上下関係を考えれば、両被告はある程度詳しく内容を説明していることが十分推認できる」と判断した。

 さらに、小沢氏事務所側に「裏献金」を提供したという水谷建設元幹部の供述については「信憑(しんぴよう)性はかなり高く、本件の動機に重大なかかわりがあると思われる」と指摘した。

 第1検審は「秘書が独断でなしうるとは考えられない。不問に付してしまえば、司法手続きに対する信頼を損なう」として、検察側に小沢氏や石川被告の再聴取など再捜査を求めた。

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【小沢氏「不起訴不当】「小沢氏は身動きできない」反小沢グループ
2010.7.15 20:30
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100715/stt1007152031011-n1.htm

 民主党の小沢一郎前幹事長に対し東京第1検察検査会が「不起訴不当」と議決したことで、9月に予定されている党代表選にも影響が出そうだ。小沢氏と距離を置く議員グループや現執行部に近い議員からは「小沢氏はもう身動きがとれない」と歓迎の声が上がった。小沢氏に近い議員は渋い表情だが、復権を狙う小沢氏の動きが止まることはないとみられる。菅直人首相ら執行部と小沢グループとの暗闘は9月に向けさらに深まる見通しだ。

 「9月の代表選は小沢くん、堂々と立候補したらいいんじゃないか。菅くんも堂々とやれ。どちらかが勝ったら、負けた方は勝った方に全面的に協力する。これが民主主義政党だ」

 15日夕、渡部恒三元衆院副議長はBS番組の収録で余裕たっぷりの表情でこう言い放った。東京第1検察審査会の議決が「シロ」と出なかったことで、小沢氏が代表選で党内の大勢から支持を得るのは難しくなったと判断したのだ。

 小沢氏と距離を置く議員グループからは、小沢氏が参院選の投票日前の8日から公の場に姿を見せなかったことについて、「この日の議決を予測し、早々と雲隠れしていたのだろう」との冷ややかな見方も。

 “反小沢”の立場では代表格の生方幸夫前副幹事長は、先の通常国会で小沢氏自身が政治倫理審査会への出席に言及したこともあることを念頭に、「(不起訴不当では)嫌疑が晴れたとはいえない。小沢さんも中途半端だといやだろう。ご自分で臨時国会で説明して国民に判断してもらうのが一番だ」と指摘した。

 一方、小沢氏を支持する議員グループ「一新会」の鈴木克昌会長は「最終的な判断が下されたわけではない。何ら問題がなかったという結論が早く出ることを望む」と述べた。小沢氏に近い松木謙公衆院議員も「(議決は)残念な内容だ」と言葉少なだ。

 一新会からは代表選で小沢氏自身に立候補を求める声も出ていただけに、「動きにくくなった」との声もある。もっとも、「起訴相当」ではなかったため「よかった」(小沢氏側近)との本音も漏れる。高嶋良充参院幹事長は「最終的には検察が再び不起訴と決定するだろう。小沢氏にとって1つの問題をクリアされたと思う」と明言した。若手の一人も「(この審査会は)これで終わりだ。1つハードルを越せた」と述べた。

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【小沢氏「不起訴不当】「コメント差し控えたい」民主枝野幹事長
2010.7.15 19:18
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100715/stt1007151919009-n1.htm

 民主党の枝野幸男幹事長は15日夜、東京第1検察審査会が小沢一郎前幹事長の資金管理団体の政治資金規正法違反事件で、小沢氏に対して「不起訴不当」と議決したことについて、「刑事手続きのプロセスにある話だ。私から申し上げて圧力のようなとらえ方をしたりするのは良くないので、コメントは差し控えたい」と述べ、言及を避けた。民主党本部で記者団に答えた。枝野氏は弁護士で、党内の反小沢勢力の代表格とされる。


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【小沢氏「不起訴不当】自民大島氏、参院での小沢氏喚問も示唆
2010.7.15 17:58
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100715/stt1007151800008-n1.htm

 自民党の大島理森幹事長は15日、東京第1検察審査会が小沢一郎民主党前幹事長の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、小沢氏について「不起訴不当」と議決したのを受けて、衆院予算委員会での証人喚問を与党側に改めて要求する考えを示した。さらに、与党が拒否すれば野党が多数を握る参院での喚問実現を示唆し、与党を揺さぶる構えをみせた。

 大島氏は党本部で記者会見し、「不起訴不当の結論は非常に重く、小沢氏は国会での説明責任を一層負った。民主党代表の菅直人首相も指導力を発揮しないといけない。民主党が賛成すれば衆院で(証人喚問が)できる」と強調した。

 さらに「野党全体で過半数を得た参院で協議していく方法もあるのかもしれない」とも述べた。
 公明党の山口那津男代表は同日の記者会見で、小沢氏に国会での説明を求めるとともに「菅さんがどう行動を促すか。党首の責任にもつながると国民は思うのでないか」と述べた。

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【小沢氏「不起訴不当】「当局が適切に対処」仙谷氏

2010.7.15 17:30
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100715/crm1007151731022-n1.htm

 仙谷由人官房長官は15日の記者会見で、小沢一郎前民主党幹事長の資金管理団体の収支報告書虚偽記入事件のうち2007年分について、検察審査会が小沢氏を不起訴不当と議決したことに関して「個別の議決への所感は述べない。検察当局がしかるべく適切に対処すると考える」と語った。

 政局への影響は「官房長官としてコメントする話ではない」と述べるにとどめた。

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小沢氏、19年分は「不起訴不当」 検察審査会が議決
2010.7.15 14:38
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100715/trl1007151438002-n1.htm

 民主党の小沢一郎前幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京第1検察審査会は15日、平成19年分の政治資金収支報告書にも虚偽記載をしたとして同法違反罪で告発され、嫌疑不十分で不起訴処分となった小沢氏について「不起訴不当」と議決したと発表した。議決は8日付。

 小沢氏をめぐってはすでに別の検審で16、17年分の虚偽記載が「起訴相当」と議決され、再度の不起訴処分を受けて検審が再審査している。同じ規正法違反事件で検審の判断が分かれる形となった。

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特捜検事が意見陳述、19年分の小沢氏不起訴処分めぐり 東京第1検察審査会
2010.7.8 11:20
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100708/crm1007081122004-n1.htm
 小沢一郎前民主党幹事長の資金管理団体の平成19年分の政治資金収支報告書について、小沢氏の政治資金規正法違反容疑の不起訴処分について審査している東京第1検察審査会が、東京地検特捜部の担当検事を呼び、意見を聴いていたことが8日、分かった。不起訴とした理由などについて説明を受けたとみられ、今月中にも1回目の議決が出される可能性が出てきた。
 小沢氏をめぐっては、16、17年分の同容疑について、異なる構成メンバーの東京第5検察審査会が先に審査しており、今年4月末、11人の全員一致で「起訴相当」と議決。再捜査した特捜部が5月に再び不起訴としたため、2回目の審査を行っている。改めて「起訴すべき」と議決すれば、東京地裁が指定する弁護士によって、強制起訴されることになる。

=============日経新聞============================

「政治とカネ」に厳しい視線 小沢氏「不起訴不当」
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E3E7E2E7EA8DE3E7E2E5E0E2E3E29191E3E2E2E2;at=ALL

小沢氏、政局で身動きとれず 検察審の議決待ち
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819691E3E7E2E2E78DE3E7E2E5E0E2E3E29C9CEAE2E2E2

小沢氏、07年分は「不起訴不当」 陸山会事件で検察審
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E3E7E2E6868DE3E7E2E5E0E2E3E29F9FEAE2E2E2;at=ALL

山口公明代表「小沢氏は国会で説明を」 「不起訴不当」議決で
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381949EE3E7E2EB8B8DE3E7E2E5E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;at=ALL

=============毎日新聞============================

陸山会事件:小沢氏側「起訴相当」出ず安堵

 民主党の小沢一郎前幹事長の資金管理団体を巡る事件で、東京第1検察審査会が07年分の収支報告書の虚偽記載容疑について「不起訴不当」と議決したことで、強制起訴につながる「起訴相当」ではなかったことに小沢氏側からは安堵(あんど)の声が漏れている。ただ、焦点は、4月に東京第5検察審査会が小沢氏の強制起訴につながる「起訴相当」を出した事件。今秋にも結論が出ると見られ、政府・民主党内には推移を見守るムードが広がっている。

 小沢氏に近い高嶋良充参院幹事長は、国会内で記者団に「小沢前幹事長は、一つの問題を大きくクリアされたものと思う」と語り、小沢氏が抱える懸案が軽減したとの認識を示した。小沢グループに所属する衆院議員の一人も「(不起訴不当の議決は)小沢氏に風が吹いている」と歓迎した。

 これに対し、菅直人首相は15日夜、首相官邸で「私の立場であれこれコメントすることは控えたい」と述べるにとどめた。枝野幸男幹事長も記者団に「私から申し上げて圧力のようなとらえ方をしたりするのは良くない」と沈黙を守った。

 野党側は与党を揺さぶる。自民党の大島理森幹事長は「参院で野党全体として過半数をいただいたので、そういう所で協議していく方法もある」と述べ、小沢氏を参院で招致することをほのめかした。

 ただ、与野党が注目するのは、小沢氏が強制起訴されるか否かの結論となる東京第5検察審査会の議決。今秋の結論が有力視されているが、9月の党代表選での小沢氏側の行動に影響するからだ。民主党内には「第5検察審査会の結論が出なければ、独自候補は擁立できない」とする声がある一方、「結論が出ないからこそ、小沢氏本人が出馬する」とさまざまな憶測が飛び交っている。【念佛明奈】

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社説:検審「不起訴不当」 小沢氏はやはり説明を
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100716k0000m070149000c.html

 市民が2度続けて検察の不起訴処分に異議を申し立てた。

 民主党の小沢一郎前幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる事件で、東京第1検察審査会が、小沢氏を不起訴とした検察の判断に対し「不起訴不当」を議決した。

 この事件をめぐっては、東京第5検察審査会が既に「起訴相当」の議決をしている。

 事件では、石川知裕衆院議員ら事務担当の元秘書ら3人が、陸山会が東京都内に土地を購入した際に小沢氏から4億円を借り入れながら、返済分も含め政治資金収支報告書に記載しなかったとして起訴された。

 第5審査会は、04~05年分の「借り入れ」時の虚偽記載容疑を審査し、第1審査会は、07年の小沢氏への「返済」時の虚偽記載容疑について審査したのである。

 両審査会の審査では、一連の事件として共通する証拠も多かったとみられるが、審査員は別であり、結果的に議決は異なった。

 審査員11人中8人以上が「起訴すべきだ」に賛成すれば起訴相当の議決となり、過半数の6人か7人の賛成ならば不起訴不当の議決となる。起訴相当の場合、検察が再び不起訴にしても、再審査して8人以上の賛成で起訴議決をすれば、強制的に起訴される。その意味で第5審査会の議決の影響力が大きいのは事実だ。

 だが、議決内容では第1審査会の方が小沢氏側に対し、より厳しい判断をしている部分がある。小沢氏側の原資として中堅ゼネコン「水谷建設」からの提供資金があった疑惑について、水谷建設側関係者の供述は具体的で信ぴょう性は高いと踏み込んでいるのだ。一方で、「秘書に任せていた」と言えば政治家の責任が問われなくてもいいのかといった指摘は第5審査会と共通する。

 まずは、議決の指摘を踏まえ、検察は再捜査を尽くす必要がある。

 また、小沢氏は今回の判断を受け止め、会見を開くなどして改めて国民に分かりやすく説明すべきだ。先月閉会した通常国会では、小沢氏が衆院の政治倫理審査会に出席する話も出ていたが、菅直人首相に代わり、選挙対応優先の中で「政治とカネ」の問題がうやむやになってしまった。菅首相や枝野幸男幹事長の対応も改めて問われる。

 検察審査会のあり方にも注文したい。どんな議論をしたのか説明がないため、証拠の内容や評価が第三者には分かりにくい。議決要旨では認定内容について数行程度の記述で「~のはずである」などと記述するが、強引な印象もぬぐえない。やはり審議について情報公開が必要だ。第5審査会の2回目の議決に向け、その方法を工夫してほしい。

=================読売新聞===========================

第1検察審議決 小沢氏不起訴にまた疑問符(7月16日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100715-OYT1T01144.htm

 民主党の小沢前幹事長に対する捜査の不十分さが、検察審査会から改めて指摘された。検察は重く受け止めるべきだ。

 東京第5検察審が小沢氏の強制起訴につながる2度目の議決を出すかどうかが注目される中、これとは別に、東京第1検察審が「不起訴不当」の議決をした。

 小沢氏の資金管理団体「陸山会」が都内の土地を購入する際に使った4億円を隠蔽
いんぺい
するため、2004年、05年、07年分の収支報告書に虚偽記入をしたとして、石川知裕衆院議員ら小沢氏の元秘書3人が起訴された。

 しかし検察は、小沢氏については嫌疑不十分で不起訴とした。これを不服とする市民らの申し立てを受け、04年分と05年分の虚偽記入については第5検察審、07年分については第1検察審が処分の妥当性を審査してきた。

 第5検察審は4月末、1度目の「起訴相当」の結論を出し、検察の再度の不起訴処分を受けて2度目の審査段階にある。次に「起訴すべき」との議決が出れば、小沢氏は強制起訴される。

 9月には民主党代表選が予定されており、再議決の時期は政治的にも関心が高まっている。

 今回の「不起訴不当」議決に対しては、検察が再捜査で不起訴とすると、2度目の審査はない。

 とはいえ、第1検察審は、「秘書に任せていた」という小沢氏の弁明を「不自然である」と言い切り、検察に、これまで以上に徹底した捜査を迫っている。

 報告書への不記載について、小沢氏に報告し、了承を得たという石川議員や別の元秘書の供述を信用できるとした上で、小沢氏に対する検察の聴取を「追及不足の印象は免れない」と批判した。

 元秘書や小沢氏から、行動を記録しているはずの手帳やメモを提出させ、事実関係の裏付けをとるよう求めている。市民から選ばれた審査員が、捜査方法にまで注文を付けるのは異例のことだ。

 検察が結論ありきの形式的な再捜査をすることに、クギを刺したということだろう。検察は捜査を尽くすべきである。

 小沢氏は、検察の不起訴処分を自らに有利に解釈し、国会でも一切の説明を拒んできた。衆院政治倫理審査会への出席も、うやむやになってしまった。

 第1検察審の議決は、小沢氏のこうした姿勢にも「ノー」を突きつけたものだ。小沢氏に重ねて求められるのは、国民への説明責任を果たすことである。

(2010年7月16日01時17分 読売新聞)

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小沢氏「不起訴不当」…検察審査会、07年分で
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100715-OYT1T00684.htm

 小沢一郎・前民主党幹事長(68)の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京第1検察審査会は15日、同会の2007年分の政治資金収支報告書の虚偽記入を巡り、東京地検特捜部が不起訴(嫌疑不十分)とした小沢氏について「不起訴不当」とする8日付の議決を公表した。

 議決は、小沢氏と元秘書らの上下関係を踏まえ、虚偽記入は「秘書が独断でなしうるとは考えられない」と指摘。特捜部に対し、小沢氏の再聴取を行うよう強く求めた。特捜部は再捜査をしたうえで、改めて小沢氏の刑事処分を判断することになる。

 小沢氏は4月、陸山会が小沢氏から借り入れた4億円で東京都世田谷区の土地を購入した事実を04年分の収支報告書に記載せず、05年分に虚偽記入したとの容疑に関して、東京第5検察審査会から「起訴相当」の議決を受けたが、今回の議決の対象は、07年5月に同会が4億円を小沢氏に返済した事実を同年分の報告書に記載しなかった容疑。

 議決によると、元私設秘書で同会元事務担当者・池田光智被告(32)が特捜部の調べに対し、07年分について「先生に返済した4億円は収支報告書には載せませんので」と小沢氏に報告し、「そうか、分かった」と了解を得たと供述していた。

 また、三重県の中堅ゼネコン「水谷建設」の元幹部が04年10月に陸山会側に5000万円を資金提供したとする供述について「具体的で信ぴょう性が高い」と判断。資金提供の事実は、同時期に小沢氏が、土地代金に充てるため用意した4億円の原資を隠蔽
いんぺい
する動機を裏付けるものだと指摘した。

 議決はまた、この4億円などを04年分の報告書に記載しなかったことについて元私設秘書で事務担当者だった石川知裕衆院議員(37)が「小沢先生に報告して了承を得た」と供述していたことにも言及し、「その信用性は相当高い」と述べた。

 そのうえで、特捜部による小沢氏の事情聴取について「追及不足という印象を免れない」と批判。小沢氏や石川被告の再聴取を行うよう求め、「これらの再捜査を経ない限り、不起訴を支持することは到底不可能」と結論づけた。

 04、05年分の収支報告書の虚偽記入については、特捜部が小沢氏を再度不起訴としたため、東京第5検察審査会が、第2段階の審査に入っており、起訴議決がされた場合、小沢氏は強制起訴される。

 再度の議決は、秋以降になる見通しだ。

 ◆不起訴不当=容疑者を不起訴とした検察官の判断に対し、検察審査会が「もっと捜査を尽くしてから結論を出すべきだ」と判断した場合の議決で、11人の審査員のうち6人以上の賛成が必要。8人以上が「起訴すべきだ」とする「起訴相当」議決の場合と同様、検察側は再捜査を行い、不起訴とした判断の是非を再検討する。ただ、起訴相当議決とは異なり、検察が再び不起訴とすると、検察審査会の第2段階の審査は行われず、不起訴が確定する。

(2010年7月16日03時04分 読売新聞)

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 小沢一郎・前民主党幹事長に対する東京第1検察審査会の議決要旨の判断部分全文は次の通り(敬称略)。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100715-OYT1T00931.htm

 【証拠関係の検討】

 (1)Aの供述について

 収支報告書への具体的な記載については、担当秘書であったC、Bらが行っており、これに関する被疑者(小沢前幹事長)の関与及び認識の有無・程度も自分には分からない旨供述しているが、陸山会の会計責任者という立場でありながら、その虚偽記載等の事実が発覚した場合に、最悪の場合、代表者の政治生命が絶たれることもあり得ることも併せ考慮すると、秘書らが勝手に処理したというようなことは考えられないことから、その点についてのAの供述は信用できない。

 (2)Cの供述について

 Cは、陸山会の04年分の収支報告書の不記載等の理由、同収支報告書の不記載等について被疑者に報告して了承を得た旨述べており、この供述の信用性は相当高いものと思われる。

 検察官は、党の代表選挙の時期が本件土地の資産計上等を1年繰り延べた理由にはならないなどとして、動機に関するCの供述の信用性に疑念を呈するが、4億円の原資を隠さなければならないと考えたCが、事実関係が表に出ることを少しでも遅くしようと考えるのは不自然ではなく、特に信用性が損なわれるとは思えない。

 また、検察官は、Cが被疑者に対し、どのような場面で了承を得たのか具体的な供述はなく、それに対する被疑者の応答も「おう、分かった」などというものであるから、被疑者がどこまでCの説明を理解していたのかも定かではないと述べて、共謀の状況に関するCの供述の信用性に疑念を呈するが、被疑者とCの上下関係を考えれば、Cとしては、被疑者が理解していることを確かめながら報告をして了承を求めるはずであり、被疑者の返答もそのことを前提にしたものと考えることができる。

 (3)Bの供述について

 Bは、本件被疑事実である07年分の収支報告書について、「先生に返済しました4億円については収支報告書には載せませんので」と報告したところ、被疑者が「そうか、分かった」と答えて了解したことを供述している。Bの立場も、前述したCの立場と全く同じであり、被疑者が理解していることを確かめながら報告をして了承を求めているはずである。

 (4)被疑者が収支報告書提出前に、C及びBから、その原案を示され、説明を受けていたという事実について

 被疑者は否定するが、C及びBは、収支報告書提出前に被疑者に原案を示して説明した旨供述している。「小沢先生の決裁を得た」という以上、被疑者がある程度は内容を理解していることが前提であると考えられるし、被疑者との間の上下関係を考えると、もし理解も得ないまま「決裁を得た」などと言えば、後日被疑者から叱責(しっせき)を受ける可能性があるので、Bらがある程度詳しく内容を説明していることが十分推認できる。

 (5)銀行からの4億円の借り入れに際し、被疑者が融資申込書や約束手形に自署している事実について

 検察官も指摘するとおり、年約450万円という金利負担を伴う経済的に合理性のないこの借り入れの目的は、Cが供述するように原資隠蔽(いんぺい)以外にあり得ないことは、通常人であれば誰しも考えることである。

 加えて、4億円もの大きな金額の借り入れに際して、手形に自ら署名していることについて、何の説明も受けることなく求められるままに書類に署名した、というのも、いかにも不自然である。検察官は、この事情が収支報告書への不記載とどこまで結びつくかについて疑義があるとしているが、今回のケースでは、被疑者が提供している資金について、その原資を隠蔽するという動機があったことは、Cの供述から明らかであり、そのような理由であえて経済的合理性を欠く行為を行っている点において、被疑者も同じ動機を共有したという根拠にはなりうる。

 (6)被疑者事務所にD社から資金提供があったという事実について

 D社関係者は、D社から被疑者事務所に資金提供をした旨供述するところ、その供述は具体的であり、その本人のみしか知り得ない事情も含まれていて、その信ぴょう性はかなり高いものであると言える。

 この資金提供の事実の存否は、一見すると本件の虚偽記載等とは直接結びつくものではないが、4億円の原資を隠蔽する必要性があったことの根拠に十分なりうるものであり、被疑者がCらとの間で動機を共有していることの裏付けになる事情である。

 (7)07年2月の記者会見等について

 被疑者は、07年2月20日、本件土地購入に関し記者会見を開いて釈明したこと、また、同年5月に自ら現金で4億円の返済を受けていることが認められる。

 被疑者が4億円という大金を直接受領しておきながら、その処理手続き等に何らの関心も持たないということは通常は考えられないことである。被疑者が現金4億円の返済を受けたという07年5月といえば、「事務所費」についてマスコミが取り上げて、釈明の記者会見が行われたり、週刊誌の取材があった時期のすぐ後である。このようなタイミングで、問題となった「事務所費」とほぼ近い4億円の現金の処理について、被疑者が無関心でいられるとは考えられない。

 これらの事情は、被疑者が政治資金収支報告書の記載内容について重大な関心を抱かざるをえないことを示しており、その後に作成提出された07年分の収支報告書については、「秘書に任せていた」というそれまでの弁解が一層不自然なものとなることは明らかである。

 【結論】

 (1)以上のとおり、検察官が嫌疑不十分の理由としてあげる事項については、被疑者との上下関係からみて秘書が独断でなしうるとは考えられない事柄であったり、被疑者の置かれた客観的状況と整合しない無関心を示す事柄であると言わざるをえない。このまま不問に付してしまえば、「秘書に任せていた」と言えば済んでしまうのか、という不満が残り、司法手続きに対する信頼を損なうことにもなりかねない。

 (2)当検察審査会としては、検察官の本件不起訴処分は、上記のような見地から再検討されるべきであると考える。その際、特に次の各点について再捜査を求める。

 ア 本件の動機に重大なかかわりがあると思われるD社からの資金提供について、これを否認するCに対する取り調べを含む、更なる追及をすること。

 イ A、C、B、そして被疑者について、自分の行動を記録しているはずの手帳やメモ等の提出を求めて、それに基づいて事実関係の裏付けをとること。

 ウ 被疑者に対する取り調べは、回数もわずか3回であり、調書の内容も「秘書がそんなことを言っているとは信じられない」で終始している感があるなど、追及不足という印象を免れないので、改めて、詳細な取り調べを行うこと。

 (3)これらの再検討、再捜査を経ない限り、検察官の不起訴処分を支持することは到底不可能であり、本件不起訴を不当と考える次第である。

 【最後に】

 当検察審査会が、本件一連の審査を行ってつくづく感じたことは、政治資金規正法は政治家にとって都合のよい、いわゆる抜け道が多くあるということであった。同法第1条に規定される目的によれば、同法は、「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われる」ために、係る政治資金の収支の公開等の規正等の措置を講じて、政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与することにあるとされているが、それには、政治家自身が、「公開された内容を知らなかった」などと言って責任を免れることを許さない制度を構築すべきである。それを達成するために、例えば、収支報告書を提出する際、宣誓書には、代表者の署名・押印を必要的記載事項とするなどの規定に改正できないかということである。そうすれば、本件のような会計責任者、同補助者と代表者との共謀の有無について問題となるような事案は少なくなるはずである。

 本件の再検討・再捜査が行われて公開の場で事実関係が論じられること自体が、同法をより実効的なものに発展させていく一助になると確信する。

     ◇

 議決中のAは小沢氏の元公設第1秘書で陸山会元会計責任者・大久保隆規被告、Bは同会元事務担当者の池田光智被告、Cは同会元事務担当者で衆院議員の石川知裕被告、D社は水谷建設

(2010年7月15日21時23分 読売新聞)

==================時事通信=============================

小沢氏、07年分は「不起訴不当」=再聴取など要求-陸山会規正法違反・検察審査会

 小沢一郎民主党前幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件で、2007年分の収支報告書への虚偽記載容疑に関して小沢氏を不起訴とした東京地検特捜部の処分について、東京第1検察審査会は15日までに、小沢氏への聴取などの再捜査を求める「不起訴不当」を議決した。議決は8日付。

 特捜部は近く改めて不起訴処分にする方針とみられ、07年分については不起訴が確定する見通し。東京第5検察審査会は04、05年分について、起訴すべきだとする「起訴相当」と議決しており、対象年によって結論が分かれた。

 議決書は、虚偽記載を小沢氏に報告し、了承を得たとする衆院議員石川知裕被告(37)の供述について、「信用性は相当高い」と判断。元私設秘書池田光智被告(32)が虚偽記載を報告し、小沢氏が「そうか、分かった」と了承したとする新たな供述も明らかにし、「両被告と小沢氏との上下関係を考えれば、ある程度詳しく内容を説明したと推認できる」とした。

 「小沢事務所に資金提供した」とした中堅ゼネコン水谷建設関係者の供述についても、「信ぴょう性はかなり高く、原資を隠す必要があった根拠になり得る」と言及した。

 その上で、「不問に付せば司法手続きへの信頼を損なう」と指摘。小沢氏への事情聴取が3回のみで、内容も追及不足だったとして、改めて聴取するよう求めた。水谷建設からの資金提供についても、石川被告をさらに追及するよう要求した。

 特捜部は07年分について、池田被告と会計責任者だった元公設第1秘書大久保隆規被告(48)を起訴したが、小沢氏は嫌疑不十分で不起訴とした。告発した市民団体が、これを不服として審査を申し立てていた。(2010/07/15-19:42)

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不起訴不当
http://www.jiji.com/jc/c?g=tha_30&k=2010071500829

 不起訴不当 検察審査会の審査員11人のうち8人以上が起訴すべきだと判断した場合は「起訴相当」となり、検察官が起訴しなければ2回目の審査が行われる。一方、6人以上が不起訴を妥当だとすれば「不起訴相当」となる。これ以外の場合は、検察官に再捜査を求める「不起訴不当」が議決される。不起訴不当となった場合、検察官は改めて処分を決めなければならない。2回議決されると強制的に起訴される起訴相当とは異なり、検察官が再度不起訴にしても、2回目の審査が行われることはない。ただし検察官が不起訴の理由を嫌疑不十分から起訴猶予に変更するなどした場合、再度の申し立ては可能。(2010/07/15-18:45)

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政権への影響「分からない」=検察審議決に官房長官
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010071500716

 仙谷由人官房長官は15日午後の記者会見で、小沢一郎民主党前幹事長の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、小沢氏を不起訴とした検察の処分は「不当」と議決した検察審査会の判断について、「所感を述べることは差し控える。検察当局は適切に対応されると考える」と語った。政権運営への影響に関しては「分からない」と述べた。(2010/07/15-17:19)

=====================朝日新聞======================

小沢氏強制起訴の是非、7月中の結論見送り 検察審査会
2010年7月15日3時4分
http://www.asahi.com/national/update/0714/TKY201007140560.html

 小沢一郎・前民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、東京第五検察審査会は14日までに、小沢氏を強制的に起訴するかどうか、7月中には結論を出さない方針を固めた。強制起訴の可否を決める2回目の議決をするのは、1回目に「起訴相当」の議決をした11人のメンバーが全員入れ替わる8月以降になる模様だ。

 審査会はくじで選ばれた市民11人で構成される。任期は半年で、3カ月ごとに半数の5~6人ずつ入れ替わる仕組み。現在の顔ぶれで審査するのは7月末までで、8月1日に5人が入れ替わる。次に6人の任期が切れるのは10月末で、8月1日からの3カ月の間に証拠を読み込んで審査する可能性が高い。このため、9月中に予定される民主党代表選の日程によっては、2回目の議決は代表選の後になる。

 審査の対象は、陸山会の2004、05年分の政治資金収支報告書をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑。

 審査会は、東京地検特捜部の不起訴処分(嫌疑不十分)を不服とした市民団体の申し立てを受け、4月末の1回目の議決で、小沢氏と元秘書らとの共謀を認定して「起訴相当」とした。しかし、5月に特捜部が再び小沢氏を不起訴としたため、2回目の審査をすることになった。

 2回目も起訴すべきだとする「起訴議決」をすれば、裁判所が指定した弁護士によって小沢氏は強制的に起訴される。起訴すべきだとした1回目の議決にかかわった審査員5人が残る顔ぶれのまま、今月中に議決が出るかどうかが注目されていた。

 検察審査会法で、2回目の審査で起訴議決をするには、担当検事から必ず意見を聴くことになっているが、審査関係者によると7月中の呼び出しはないという。

 一方、07年分の容疑については、別の市民で構成される東京第一検察審査会が、1回目の審査中。すでに担当検事から意見を聴いており、7月中に議決を出すとみられる。

 告発されたのは、陸山会が04年に約3億5千万円の宅地を購入した際に原資となった小沢氏からの借入金4億円を07年に返済した事実を記載せず、登記も05年にずらすなどした一連の容疑。

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小沢氏の07年分規正法違反容疑「不起訴不当」 検察審
2010年7月15日14時48分
http://www.asahi.com/national/update/0715/TKY201007150348.html

小沢一郎・前民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、東京第一検察審査会は、2007年分の政治資金収支報告書をめぐる小沢氏の政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑を不起訴とした東京地検特捜部の処分について「不起訴不当」と議決し、15日に公表した。議決は8日付。

 今回の議決を受けて特捜部は再捜査するが、不起訴の判断を変えないとみられる。

 小沢氏については、04、05年分の同容疑について別の市民で構成される東京第五検察審査会が先に審査し、4月末に「起訴相当」と議決した。2度目の審査で「起訴すべきだ」とする議決(起訴議決)をすれば、裁判所が指定した弁護士によって強制的に起訴されるが、07年分は1度目が「不起訴不当」にとどまったため、こうした手続きにはならない。

 小沢氏が市民団体により告発されていたのは、陸山会が04年に約3億5千万円の宅地を購入した際に原資となった小沢氏からの借入金4億円を07年に返済した事実を記載せず、登記も05年にずらすなどした一連の容疑。

 04、05年分と07年分に分けて告発があったため、特捜部もそれぞれ判断し、いずれも小沢氏を不起訴とした。審査会への申し立ても07年分は04、05年分より遅かったため、別々の審査会が担当することになった。