2010年2月18日木曜日

【グアム移転】 伊波洋一(宜野湾市長)


平成22年2月18日、衆議院第1議員会館において、与党国会議員に対して宜野湾市長による下記の内容の説明を行いましたので、その内容を掲載します。

このページの末尾に配布レジュメ及びプレゼンテーション資料のPDFデータを貼りつけています。

平和フォーラム・ヒアリング 2010/02/18

 「 普天間ヘリ部隊のグアム移転の検証について」

 伊波洋一(宜野湾市長)


1.海兵遠征部隊31MEUが沖縄に駐留していないと台湾や韓国に1日で展開できないので抑止力の致命傷になると主張する学者や評論家、政治家がいるが、素人の国民をだます真っ赤な嘘。

● 31MEUは、1年の半分は沖縄におらず、佐世保の強襲揚陸艦エセックス等に載って西太平洋の同盟国での演習に参加している。

● 2006年の普天間飛行場ヘリ部隊の海外派遣資料によると、1月から5月の5ヶ月で約3ケ月は、グアム、フィリピン、韓国、タイの海外演習・訓練に出ていた。さらに、9月下旬から11月下旬まで米比合同訓練のためエセックスに載ってフィリピンに出ていた。(添付資料1)参照

● 31MEUの重要な役割は、佐世保の強襲揚陸艦エセックスなどの海兵隊艦船と、西太平洋での米国の同盟国(韓国、フィリピン、タイ、オーストラリア)との安全保障条約を実証するために、毎年定期的に同盟国を訪れて合同演習や合同訓練を実施することである。

 フィリピン・・・バリタカン (対テロ訓練)     第3海兵遠征旅団

         タロンビジョン(米比合同演習)  第3海兵遠征旅団

水陸両用上陸演習

 タ   イ・・・コブラゴールド(米タイ合同訓練) 第3海兵機動展開部隊

 オーストラリア ・・フリーダム・バーナー・クロコダイル(米豪合同訓練) 第3海兵遠征旅団

         タリスマンセーバー(米豪合同訓練)第3海兵機動展開部隊

 韓   国・・・フォールイーグル(米韓合同訓練) 第3海兵機動展開部隊


演習から帰還の車両陸揚げ公開/沖縄の米海兵隊(2009/08/12 四国新聞社)                 在沖縄米海兵隊の第31海兵遠征部隊(31MEU)が12日、オーストラリア軍との合同演習を終えて米海軍ホワイトビーチ(沖縄県うるま市)に帰還し、水陸両用艇で軍用車両を陸揚げする作業を共同通信に公開した。

31MEUは、在日米軍再編で沖縄の海兵隊員約8千人がグアムへ移転後も、沖縄に残る部隊。隊員約2200人は7月にオーストラリアで合同軍事演習「タリスマン・セーバー」に参加し、上陸作戦や市街地戦闘の訓練を実施した後、米海軍佐世保基地(長崎県)を母港とする強襲揚陸艦エセックスや揚陸艦デンバーで帰還した。エセックス搭載のホーバークラフト型揚陸艇(LCAC)3隻が、水しぶきを上げながらホワイトビーチに上陸。

沖合に停泊するエセックスから載せてきた、迷彩色の装甲車などを、次々に陸地に揚げた。揚陸艦に搭載され演習に同行したヘリコプターも、物資搬送に飛び交った。

 海兵隊によると、31MEUは例年、韓国やフィリピン、タイなどの各軍との演習や訓練にも参加。隊員たちは佐世保配備の揚陸艦に乗り、1年の半分程度は沖縄を離れて活動しているという。

● 西太平洋の同盟国演習への出発地は、2014年に沖縄からグアムに代わる。

  2010年のQDR(4年毎の国防見直し)は、グアムを西太平洋地域における  安全保障活動のハブとする、としている。

2.普天間飛行場のヘリ部隊がグアムに移転することを示す証拠が幾つもある。

証拠その1. 

 2006年7月の「グアム統合軍事開発計画」で「海兵隊航空部隊と伴に移転してくる最大67機の回転翼機と9機の特別作戦機CV-22航空機用格納庫の建設、ヘリコプターのランプスペースと離着陸用パットの建設」を記述。

証拠その2. 

 2007年7月に沖縄本島中部の10市町村長でグアム調査し、アンダーセン空軍基地副司令官に沖縄の海兵隊航空部隊の施設建設予定地を案内され「65機から70機の海兵隊航空機が来ることになっているが、機数については動いていて確定していない。海兵隊航空戦闘部隊1500人がアンダーセン基地に来る予定」との説明を受けた。

証拠その3. 

 2008年9月15日付で海軍長官が米国下院軍事委員会議長へ提出した国防総省グアム軍事計画報告書に沖縄からグアムへ移転する部隊名が示された。列挙された11の普天間基地に関連する海兵隊部隊の中に海兵隊中型ヘリ中隊が入っている (中型ヘリは普天間基地にしか所属部隊はなく、31MEUの主要構成部隊) 。

証拠その4. 

 2009年11月20日に公表された「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」によるとグアムのアンダーセン航空基地のノースランプ地区に海兵隊回転翼部隊としてMV-22オスプレイ2個中隊24機を含めCH53E大型ヘリ4機、AH-1小型攻撃ヘリ4機、UH-1小型多目的ヘリ3機の合計37機が配備される。うちひとつのMV-22オスプレイ中隊がMEU構成と予想される。MEU構成の中型ヘリ中隊にはCH53E、AH1、UH1が追加される。ちなみに、現在、普天間基地にはヘリ36機が駐留している。

  環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフトの騒音評価で回転翼機の飛行訓練として常駐のMV-22オスプレイ中隊12機とCH53E大型ヘリ4機、AH-1小型攻撃ヘリ4機、UH-1小型多目的ヘリ3機が年間19,255回の飛行回数を増やすとされている。

 このオスプレイ中隊は、Assault Transport(強襲輸送)とされており、MEUの乗り込む強襲揚陸艦エセックス(USS Essex)をAmphibious Assault Shipと呼ぶのでMEU構成中隊と予想できる。

証拠その5. 

 2007年7月に沖縄本島中部の10市町村長でグアム調査し、グアム州政府から説明された資料に、移転を想定している海兵隊部隊として31st Marine Expeditionary Unit ・第31海兵遠征部隊2000人があった。同資料では、アプラ港に接岸桟橋を建設する強襲揚陸USS Essexやドック型揚陸USS Juneau、USS Germantown、USS Fort McHenry などの海兵隊戦艦が海兵遠征部隊31MEU と共に来ることが説明されている。

 このことから、グアムに来る37機の回転翼機には、31MEUのヘリ部隊である普天間の海兵航空ヘリ部隊が含まれると推察できる。

証拠その6. 

 2006年5月の「再編実施のための日米のロードマップ」で、

「約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する。」とされた。沖縄の海兵隊の家族数が9000人を超えたことは、1972年の沖縄返還後38年間で4年間しかなく、9000人はこれまでの海兵隊家族数の最大の時の人数であり、現状は8000人に満たない。家族を伴う常駐部隊はすべてグアムに移転すると考えられる。普天間の中型ヘリ部隊は家族を伴う常駐部隊であるから、グアムに移転すると考えるのが妥当。


証拠その7.

 2009年11月20日の「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」は、2002年からの地球規模で海外米軍基地を削減する基地見直しにより、太平洋地域の米軍再配置で国防総省は沖縄の海兵隊の適切な移設先をグアムとしたことを明らかにしている。

そして2010QDR(4年毎の国防見直し)は、おける安全保障に係る活動のハブにする、としている。すなわち、2014年以降は、グアムが西太平洋での海兵隊の拠点になり、当然、西太平洋の米同盟国との合同演習に参加する現在の普 天間海兵航空基地の役割もアンダーセン基地のノースランプに移っていく。

証拠その8. 

 2009年6月4日付の米海兵隊総司令官から米上院軍事委員会への報告書は、約8000人の海兵隊員の沖縄からグアムへの移転は、沖縄の海兵隊が直面している民間地域の基地への侵害(Encroachment)を解決するためとしている。普天間基地こそ真っ先に解決すべき場所。

3. 2006年5月の「再編実施のための日米のロードマップ」合意で、沖縄の海兵隊の部隊は、ヘリ部隊を含めて、ほとんどがグアムに移転する。

 沖縄の海兵隊兵力12,402人(2008年9月末)から10,600人がグアムに移転。

● 2006年5月のロードマップは、「約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する」とした。

● 2006年7月の「グアム統合軍事開発計画」は、グアムの海兵隊兵力について、常駐配備7200人とUDP配備2500人の計9700人としている。うち、海兵航空部隊関連は、2400人。

● 2008年9月15日付で海軍長官が米下院軍事委員会へ提出した国防総省グアム軍事計画報告書では、海兵隊兵力について、常駐配備8550人とUDP配備2000人の計10550人としている。うち、海兵航空部隊関連は、常駐配備1850人。

● 2009年11月20日に公表された「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」は、海兵隊兵力について、常駐配備8600人とUDP配備2000人の計10600人。うち、海兵航空部隊関連は、常駐配備1856人とUDP配備250人の2106人。

● 2008年9月15日付で海軍長官が米下院軍事委員会へ提出した国防総省グアム軍事計画報告書に沖縄からグアムへ移転する部隊名が示された。

主要な部隊の多くがグアムに移転することがわかる。

4. 米国は、グアムを含むマリアナ諸島全域を沖縄に代わる広大な軍事拠点とするために「マリアナ諸島複合訓練場計画 MARIANA ISLANDS RANG COMPLEX 」を進めている。

● 「マリアナ諸島複合訓練場計画」は、グアムを中心に、サイパン、テニアンなどの島々の訓練施設や広大な訓練空域や制限海域、射爆撃場、戦闘訓練場、ライフル射撃場、弾薬貯蔵施設、等を含む。

● 沖縄からグアムへの海兵隊移転で、一番重要視されているのが、グアムやマリアナ諸島での訓練場や射撃場の確保であり、グアム移転の前提、必須条件とされている。特に高度な統合訓練場の確保が求められており、テニアンで計画されている訓練施設は大隊部隊上陸や大規模機動訓練など戦術的シナリオ訓練を可能にする、としている。

● グアム移転で繰り返し強調されているのが、アメリカ領土での多国籍軍事訓練の実施であり、そのための「マリアナ諸島複合訓練場計画」は、2014年までに実施されていくと思われる。

● 2009年6月4日付の米海兵隊総司令官ジェームズ・コンウェイ大将の米上院軍事委員会への報告書は、訓練や施設の要件を調整し、適切に計画・実施されれば、グアムへの移転は即応能力のある前方態勢を備えた海兵隊戦力を実現し、今後50年間にわたって太平洋における米国の国益に貢献する、としている。

5. 沖縄の代替施設完成後、グアム移転部隊を移す第3海兵遠征軍の資料

第3海兵遠征軍の司令部資料によると、ロードマップ合意のグアム移転部隊

 である第1海兵航空団司令部等を沖縄に戻すことが考えられている。

以下、資料。






 ※平成21年11月26日に使用した資料
 ※平成21年12月11日に使用した資料

0 件のコメント:

コメントを投稿