2003年7月30日水曜日

【自由党】 日本一新 11法案(非常事態対処基本法案) 

[非常事態]
8.非常事態に速やかに対処できる法案(非常事態対処基本法案) 

外国による侵略、大規模テロ、大規模な自然災害、経済社会の騒乱など、さまざまな非常事態に、原則として国会の承認を得たうえ、総理大臣が速やかに対処できる体制を整えます。また国民が損害を受けた場合には、国が全責任を持って補償します。

わが国に対する武力攻撃、大規模テロ、大規模災害等に備え、平時から内閣に非常事態対処会議を設け、総理大臣に権限を集中し迅速に対処します。
基本的人権の制限は必要最小限にするほか、被災者の救助、救急医療の実施や、発生した損害への正当な補償を行うこととしています。


非常事態対処基本法案

自 由 党

 (目的)
第一条 この法律は、非常事態への対処について、基本理念、非常事態の布告、非常事態対処会議の設置その他の基本となる事項を定めることにより、非常事態への対処のための態勢を整備し、もって国の安全の確保並びに非常事態における国民の生命、自由及び財産に対する権利をはじめとする日本国憲法の保障する基本的人権の保護に資することを目的とする。

 (定義)
第二条 この法律において「非常事態」とは、直接侵略又は間接侵略、テロリストによる大規模な攻撃、大規模な災害又は騒乱等が発生し、かつ、これにより、国民の生命、身体若しくは財産に重大な被害が生じ、若しくは生じるおそれが生じ、又は国民生活との関連性が高い物資若しくは国民経済上重要な物資が欠乏し、その結果、国民生活及び国民経済に極めて重大な影響が及ぶおそれが生じ、通常の危機管理体制によっては適切に対処することが困難な事態をいう。

 (基本理念)
第三条 非常事態においては、国が国民の生命、身体及び財産を保護する固有の使命を有すること並びに地方公共団体がこれを補完して当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産を保護する使命を有することにかんがみ、それぞれの役割に応じて相互に協力し、国民の生命、身体及び財産を保護するために必要なあらゆる措置が講じられなければならない。

2 非常事態への対処に当たり日本国憲法の保障する国民の自由と権利に制限が加えられる場合には、その制限は非常事態に対処するために必要最小限のものとなるようにしなければならない。

3 非常事態への対処のために国及び地方公共団体が講じた措置により生じた損失及び当該措置に係る業務に従事したことにより生じた損害については、正当な補償が行われなければならない。

4 非常事態への対処のために行う国の地方公共団体に対する指示その他の関与等については、地方自治の本旨を尊重し、非常事態に対処するために必要最小限のものとなるようにしなければならない。

 (国民の保護)
第四条 非常事態においては、国及び地方公共団体は、それにより生じる被害から国民を保護し、及び国民生活の安定と国民経済の円滑な運営を確保するため、別に法律で定めるところにより、次に掲げる措置その他の措置を講じなければならない。
 一 警報の発令、避難の指示、被災者の救助、救急医療及び消防
 二 国民生活との関連性が高い物資及び国民経済上重要な物資の供給の確保

2 国及び地方公共団体は、前項の措置の円滑な実施に資するため、別に法律で定めるところにより、防災訓練の実施、防災に必要な物資の備蓄、都市の防災構造の改善に関する事業の実施その他必要な施策を講じなければならない。

 (基本方針)
第五条 政府は、組織及び機能のすべてを挙げて非常事態に有効かつ適切に対処することができるようにするため、あらかじめ、非常事態への対処に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 非常事態への対処に関する基本的な方針
 二 非常事態の類型及び認定並びに当該類型ごとの非常事態への対処に関する基本的事項
 三 前二号に掲げるもののほか、非常事態への対処に関する重要事項

3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を非常事態対処会議の長に通知するとともに、公表しなければならない。

5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。

 (非常事態の布告)
第六条 内閣総理大臣は、非常事態に至ったと認めるときは、閣議にかけて、非常事態の布告を発することができる。

2 前項の布告には、その区域、事態の概要及び布告の効力を発する日時を記載しなければならない。

3 内閣総理大臣は、第一項の布告を発する場合には、あらかじめ、国会の承認(衆議院が解散されているときは、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認。以下この条において同じ。)を得なければならない。ただし、特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで布告を発することができる。

4 前項ただし書の規定により国会の承認を得ないで布告を発した場合には、内閣総理大臣は、直ちに、これにつき国会の承認を求めなければならない。

5 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が非常事態の布告の廃止を議決したとき、又は当該布告の必要がなくなったときは、直ちに、当該布告を廃止しなければならない。

 (国会への報告)
第七条 政府は、非常事態の布告が廃止されるまでの間、前条第三項又は第四項の規定による国会の承認を得た日から六十日ごとに、国会に対し、非常事態及びこれへの対処に関する状況について報告しなければならない。

 (内閣総理大臣の権限)
第八条 内閣総理大臣は、第六条第一項の規定に基づき非常事態の布告が発せられた場合において、非常事態への対処のための措置を迅速かつ的確に実施するため特に必要があると認めるときは、その必要な限度において、別に法律で定めるところにより、次に掲げる措置その他の非常事態に対処するために必要な緊急の措置を講ずることができる。
 一 警察の統制
 二 海上保安庁の統制
 三 非常事態への対処のための措置を実施すべき旨の地方公共団体の長に対する指示及び当該指示に基づく所要の措置を怠るときにおける代執行その他の地方公共団体が実施すべき措置の直接の実施
 四 運輸事業、通信事業、エネルギーを供給する事業その他の国民生活の円滑な運営に重大な影響を及ぼす事業を行う者に対する必要な指示

 (緊急措置)
第九条 第六条第一項の規定に基づき非常事態の布告が発せられ、法律の規定によっては国民生活の安定と国民経済の円滑な運営に関する事項について必要な措置をとることができない場合において、国会が閉会中又は衆議院が解散中であり、かつ、臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めてその措置を待ついとまがないときは、別に法律で定めるところにより、内閣は、当該措置をとるため、政令を制定することができる。

 (非常事態対処会議の設置)
第十条 内閣に、非常事態への対処を迅速かつ的確に実施するため、非常事態対処会議を置く。

(非常事態対処会議の所掌事務)
第十一条 非常事態対処会議は、第六条第一項の規定に基づき非常事態の布告が発せられた場合において、基本方針に従い、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 非常事態への対処のために実施すべき措置に係る方針の決定に関すること。
 二 国及び地方公共団体が非常事態への対処のために実施する措置の総合調整に関すること。
 三 前二号に掲げるもののほか、法令の規定によりその権限に属する事務

 (非常事態対処会議の組織等)
第十二条 非常事態対処会議は、議長及び第五項各号に掲げる議員で組織する。

2 議長は、内閣総理大臣をもって充てる。

3 議長は、会務を総理する。

4 議長に事故があるとき、又は議長が欠けたときは、次項第一号に掲げる者である議員がその職務を代理する。

5 議員は、次に掲げる者をもって充てる。
 一 内閣法(昭和二十二年法律第五号)第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣
 二 外務大臣
 三 財務大臣
 四 内閣官房長官
 五 国家公安委員会委員長
 六 防衛庁長官

6 議長は、必要があると認めるときは、関係の国務大臣、統合幕僚会議議長その他の関係者を非常事態対処会議に出席させ、意見を述べさせることができる。

7 非常事態対処会議に係る事項については、内閣法にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。

8 この法律に定めるもののほか、非常事態対処会議に関し必要な事項は、政令で定める。

 (法制上の措置)
第十三条 国は、この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正を行わなければならない。

 附 則

この法律は、公布の日から施行する。

 理 由

非常事態への対処のための態勢を整備し、もって国の安全の確保並びに非常事態における国民の生命、自由及び財産に対する権利をはじめとする日本国憲法の保障する基本的人権の保護に資するため、非常事態への対処について、基本理念、非常事態の布告、非常事態対処会議の設置その他の基本となる事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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