2010年7月23日金曜日

口蹄疫の説明(旧備忘録より)

口蹄疫の説明 ビデオニュース・ドットコムより

口蹄疫は適正な対策でも感染拡大が止まらない異例の事態
2010年5月25日 ビデオニュース・ドットコム

 宮崎県で口蹄疫の感染が拡大を続ける中、今回日本で発生した口蹄疫は、国際機関の指針に則った対応を適切に実施しているにもかかわらず、感染の拡大が食い止められていなことが、獣医微生物学の専門家の指摘で明らかになった。
 
 東京大学大学院農学生命科学研究科の明石博臣教授は、今回宮崎で発生した口蹄疫に対する対策は、家畜の国際的な安全基準OIE(国際獣疫機関)が定める指針を基に農水省が定めた「特定家畜伝染病防疫指針」に基づいて適正に行われており、過去の発生事例からの知見が凝縮されているその指針が、現時点での最善の対策であると考えられると言う。しかし明石教授は、それにもかかわらず感染拡大が止まらない異例の事態となっているとの見方を示した。
 
 感染拡大が止まらないことを受けて、政府の初動の遅れなどを批判する声もあがっている。だが明石氏は、現時点で口蹄疫については上記の基準以上の方策は考えにくいとし、「農水省はじめ宮崎県も防疫指針で定められた作業を重ねているが、不幸なことに感染が止まらないのが現状だ」と語り、これをいたずらに政治問題化することには否定的な見方を示した。
 
 今週のニュース・コメンタリーでは、獣医微生物学の専門家の明石博臣氏に、口蹄疫の現状と適正な対策とは何かを聞いた。
 
神保(ジャーナリスト): 口蹄疫については、赤松農相がゴールデンウィーク中に外遊に出て初動が遅れたとの批判があり政治的な問題もあるようですが、今回は口蹄疫そのものについて、東京大学大学院農学生命研究科教授の明石博臣先生にお話を伺いたいと思います。まず、明石先生は現状をどうご覧になっていますか。
 
明石(獣医微生物学者): 口蹄疫という病気は、農家の被害も大変なものですが、同時に国際的に畜産物の流通という面でも非常に重要な病気です。そのために発生国は非常に大きな制限を受けます。そのため、なるべく早く見つけ、殺し、埋め、ウイルスが拡散しないようにするというのが基本的な対処法です。政府は早く抑えるための一連の手順書である特定伝染病防疫指針を定め、現在それに則って作業が今行われているのですが、不幸なことになかなか感染をとめることができないというのが現状です。
 
神保: 手順書通りにやっても成功していないということですか。そもそも口蹄疫とはどういう病気なのかということについて、正確な認識を持っておきたいと思います。口蹄疫 とはどのような病気なのでしょうか。
 
明石: まず、人にはかかりません。BSEのような神経的な変化も起こさない。典型的な症状は口や鼻でウイルスが一度増えて体の中にもぐりこみ、口やひずめのところにウィルスが戻ってきて水疱を形成するというものです。水泡がそのうちやぶけて、潰瘍形成をして、そのうちかさぶたになり、かさぶたがそのうち剥がれる。それが一連の症状です。
 
神保: 放っておいても治る病気なのでしょうか。
 
明石: そうです。
 
神保: 人にはうつらないにもかかわらず、10万頭を超える殺処分をするのをニュースで見て、よほど怖い病気なんだと思っていました。
 
宮台(社会学者): 私も治る病気だと聞いておどろきです。
 
神保: 人にもうつらず、治る病気なのになぜそのような処置をそこまでする必要があるのでしょうか。
 
明石: この病気は動物のウイルス病の中でトップクラスのスピードで早くかつ広範囲に広がる病気です。ヨーロッパなどでは一つの国で発生して広がると周辺の国にどんどん広がります。そうするとかかった病気の動物の肉は食べられないので売れない、お乳も取れないということになるとその国の畜産と呼ばれている差産業は壊滅状態になってしまいます。
 
神保: 肉が売れなくなるというのは、人体への影響はないが、病気の牛の肉や乳は市場価値がないという意味ですか。これは早く押さえ込まないと経済的な畜産業という業界が影響を受けるので早く押さえ込む必要があるのだという理解でいいですか。
 
明石: そうです。
 
神保: ここまでの流れを見ていて、今回かなり広がってしまっているということですが、もう少しこういうことをしていれば段階でこうしていればここまでならなかったんじゃないかというのはありますか。
 
明石: 先ほど話した口蹄疫の防疫指針は、国際的な機関であるIEOが出している指針はじめ今までに得られたいろいろな事実を反映して策定されています。ということは考えられる限りそれがベストのやり方だからそういうやり方を日本もとったということです。それに従って防疫という作業を続けてきたのですが、たまたま理由が未だにわからない、なぜそうなのかというのはわからないけれども、結局そのベストに近いようなやり方をとってもなおかつ広がっている。その理由がわかればとめようがあるのですが、現在理由がわからない。そこが問題です。
 
神保: 現状では国際的、一般的水準でやられるべきことはもともとやられているわけですね。それは何政権であろうがやられていると。もっとやるべきだったのではないか、危機管理ということになると手順以上のこと、手順と違ったことについても政治の判断でやるべきだったという議論になると思うのですが、そこはどうでしょうか。
 
明石: それがあれば、国際的に広がっていないです。今回のケースについてもこうすればよかったというのはきっとあるのでしょう。振り返って批判することはとても簡単です。どんなことでもうまくいって当たり前という話になってしまいます。今回はうまくいかなかったケースなので、いかなかったことを批判しようと思えばいくらでも批判できるけど、誰がどうだったかと言い出すとそれがわかっていれば最初からやっているよということになりますね。基準では広がりを止められない場合というのも、想定されているわけです。広がりを止められない場合にワクチンを打って広がりを止めるそういうことも想定されています。ただ、その広がりが止まらないというのをいつの時点で判断するかというのは、科学者にできることではなくて、高度に政治的な判断です。政府はそう判断したのです。
 
宮台: マスメディアの情報だけ見ていると、国際機関が指定した手順書通りやるしかなないのだということがよく伝わっていないので、そこまでやらなくてもいいのではないかという見方が出てきてしまうのではないでしょうか。政府なのかメディアなのか責任の所在はよくわからないのですが、今のところできることが決まっていて、手順書通りやるしかない以上、宮崎の農家の方も手順書通りやっていただくしかなくて、保障については別途政府と交渉してくださいというしかないということですね。
 
明石: お金の話になるとわれわれには理解の外の話なので、科学的な論拠に基づいた議論ではないですね。だから政治がワクチンを打つ、今が打つ時期だと決める、だとすると一番効果的なワクチンはどれかは科学的に立案することはできますが、打たれる人に対して嫌だと言わないでくださいとは科学者としては言えないですし、それは政府が言うことですね。
 
神保: 感染力を抑えるという意味で、ワクチンは有効なものですか。口蹄疫にかからなくということですか。
 
明石: ワクチンを打てば完全にかからないということはない。それはどんなワクチンでもそうです。病気を少なくするが、ワクチンを打っても病気になるという例はいくらでもありますから100%完全なワクチンというのはこの世にあり得ない。口蹄疫のワクチンもそうです。ただ、かかっても重篤にならないという効果があります。これも一般的なワクチンの効果ですね。
 
宮台: 宮崎県知事が現地の人が納得しなければワクチンや殺処分ができないんだというふうに言っているというのは、今の話を伺う限りではポピュリズムのにおいがしていやな感じがしますよね。つまりやらなきゃいけないことは決まっていると。やらなきゃいけないことをやったから必ずおしとどめられるわけではないが、やらないよりはましということが経験的に分かっているということであるならやるべきであって、保障などの後処理は別途やるべきだと。そうしないとその地域の農家がどうなるという問題をこえて大変な問題になってしまうと。そういう問題なのだということがニュースを見ていてもよく伝わってこなかったですね。難しいですね。
 
神保: 政治の初動が遅いうんぬんという話は手順書通りやっているのだからということである程度納得したのですが、現在も続いているカリブ海での原油漏れについて見ると、事故が4月20日に起きたあとオバマ大統領は5月2日には現地に行って、明らかに演出されたメキシコ湾が見えるところに記者会見台を設置して、前代未聞のことになる可能性があるので、しっかり対応するということを約束すると表明しました。そのことの意味がどれくらいあるかは、実際は手順通りやるだけでさして大きなものではないかもしれませんが、同じようなことがなかなか日本ではできない状況にあるということが、政治的には非常に深刻なのかなという感じがしますね。
 
宮台: 政治的な危機管理をする能力ないしそういう能力を提供するアドバイザリーグループが機能していないということですね。今の先生の話を伺っている限りは、直接今回手順の踏み間違いがあったということではなくて、演出上、ややうまくなかったということのようですね。
 
神保: いずれにせよまだ終息には程遠い段階です。今後も気をつけて見ていかなければなりませんね。
 

出演者プロフィール

明石博臣(あかしひろおみ)
東京大学大学院農学生命科学研究科教授。1947年京都府生まれ。71年東京大学農学部卒業。77年東京大学農学研究科博士課程修了。農学博士。農林省家畜衛生試験場研究員、農林水産省家畜衛生試験場室長、独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所上席研究員を経て、2001年より現職。共編著に「獣医微生物学」、「動物微生物学」、「動物の感染症」など。

【給油活動】 The Voice of Russia()

 このニュースが流れた時に、自民党の佐藤正久議員の問うてみた。氏からは、すぐに返事がきて、多少ニュアンスは違うのだが、おおむね事実と相違ないという話である。

このことは、国会でも取り上げられ、審議をされていたのであるが、見逃していた懸案であった。

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ジブチに建設される海上自衛隊基地をめぐって
2010, 04, 28.19:41
http://japanese.ruvr.ru/2010/04/28/7048749.html

 ソマリア沖の海賊問題を受け、紅海沿岸のジブチ共和国で、日本の海上自衛隊基地建設が近日中に着工される。日本国外に建設される初の日本の、また史上初のアフリカ大陸の日本基地となる。

 北川敬三海上自衛官は現地で、今年の初夏には基地建設が開始し、その約半年後に終了すると述べた。APF通信が伝えた。日本にとって、このような海上自衛隊基地建設は前代未聞。日本は第二次世界大戦後に憲法を採択してから、国際問題解決の手段として武力を行使することを永遠に放棄すると宣言している。これに関連して2009年、日本政府は、日本の駆逐艦2隻をソマリア沖での海賊対策に参加させるため、新たな法律を採択した。その後1年が経過したが、その間ソマリア沖での事態は悪化する一方だ。日本の船舶の所有者は警鐘を鳴らしている。日本は危険地域からほぼすべての原油を入手しており、日本向け輸出に最重要な航路のひとつがこの地域を通っているため、航路の変更は不可能である。結論として、日本は自国の船舶を護衛するため、第二次世界大戦後初の海外での海上自衛隊基地を創設するという、少し前には考えもつかなかった行動に出る用意を進めている。問題となっているのは日本の軍事ドクトリン全体の見直しだが、なぜソマリア沖の海賊が、日本という遠い国の法律を変えてしまうほど影響力をもつのだろうか。

 モスクワ東洋学研究基金のセルゲイ・ルジャニン教授は、海賊による脅威は実際に深刻なものだが、実際より誇張として、次のように語った―

「肝心なのは、西側主要先進国が当初、報道も軍の諜報機関も、海賊行為とは、貧困にあえぐ人々が生活の糧を手にするため犯罪に及んだものだとする、間違った解釈をしていたことにある。しかし実際はそうではない。この海賊行為が、自前の教育・訓練養成システム、諜報機関や最新の通信機器、巨大な資本を有した、強力な国際機構であることに、いまや疑いの余地はない。またこの国際機構は、過去にいずれかの国で諜報機関に関係していた専門家を利用していると考えるに十分な根拠がある。これは新たな形の国際テロリズムであり、政治に大きな影響を与える。また海賊の正体を正しく評価できないこと等により、戦いは非常に困難なものとなる」

  実際、この西側諸国の基地が密集する地域の目と鼻の先で、いかにしてソマリア沖の海賊がすばやく略奪を成功させているのか、理解に苦しむところだ。ジブチには最大規模のフランス在外海軍基地があり、また2003年にはそれを上回る規模のアメリカ海軍基地が建設された。日本はこの地で第3の海上自衛隊基地を建設することになる。すでに明らかなように、この地のアメリカやフランスの基地には海賊への抑止力はない。アメリカやNATO軍のなしえなかったことに日本が成功し、この地域の海賊行為に決定的な打撃を与えることができればいいが、その望みは薄いだろう。実際のところ、西側諸国の基地や強力な装備にもかかわらず、海賊は常に活動を続けている。今のところ、海賊らは一歩先を行っている。そしてこの問題は、この海域全体が西側列強のまさに軍事的利益ゾーンと今にも宣言されるような規模に発展しそうな雰囲気だ。

 ちなみにこの地域の歴史には、そうしたことがかつてあった。面白いことに当時も、まさに海賊対策がその口実とされたのである。

2010年7月21日水曜日

【東京地検特捜部】 不当逮捕

 色々な方が、石川議員の逮捕は不当であり、陸山会事件そのもの自体がでっち上げだとする論もある。自分も過去に何度か書いている。

それ以外でwebに流れている中で、秀逸なものを載せておきたい。

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起訴は不当だった。その根拠を、ここに明らかにすることにしました。

2004年~2007年迄の収支報告書を詳細に分析しました。

結果、虚偽記載の事実は一切ありませんでした。

石川さん、検察とマスコミを提訴してください。冤罪とする根拠はこれです。

【根拠1】
2004年10月に小沢氏からの借入金4億円を収支報告書に収入として記載しなかったとされる件

2004年_平成16年分政治資金収支報告書
⇒http://www.soumu.go.jp/main_content/000047155.pdf#page=162
の247頁の本年収入の内訳に、「 借入金 小澤 一郎 400,000,000 」と記載されている。

【根拠2】
2004年に関連政治団体からの寄付1億4500万円を収支報告書に収入として記載しなかったとされる件

当該報告書の248頁の本年収入の内訳_寄付の内訳に、
「 (政治団体分) 民主党岩手県第4区総支部 150,000,000 」と記載されている。

【根拠3】
小沢氏に返済するために陸山会が07年に支出した4億円について、同報告書に記載しなかったとされる件

2005年_平成17年分政治資金収支報告書
 ⇒http://www.soumu.go.jp/main_content/000047150.pdf#page=164
の247頁の支出の内訳_政治活動費に、
「 その他の経費 239,702,734 」と記載されており、243頁の資産等の内訳に、
「 借入金 小澤 一郎 263,939,061 」と記載されていることから、
4億円の内、2億円が返済されていることは、明白です。

2006年_平成18年分以降の政治資金収支報告書
 ⇒http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/

(検索方法)
平成19年 9月14日公表(平成18年分 定期公表)」 (希望年度の定期公表を選択)
→資金管理団体の「リ」を選択→陸山会を選択

平成18年分の37頁の政治活動費の内訳に、
「 その他の経費 239,702,734 」と記載されており、243頁の資産等の内訳に、
「 借入金返済 200,000,000 平成18年03月31日 小澤 一郎 」と記載されていることから、残りの2億円が返済されていることは、明白です。

つまり、返済は2006年迄にすでに完済されております。

以上の通り、虚偽記載の事実は一切ありませんでした。

ここからは、詳細な分析の中身を解説いたします。

【分析1】
2004年の4億円の資金の動きについては、当時、小沢氏は4億円の現金とは別に4億円以上の定期預金も持っていて、その定期預金を担保に4億円を小沢氏個人で借入をした上で、最終的に陸山会に4億円を貸し付けた、ということです。

尚、2004年の収支報告書を見れば解かりますが、当時陸山会には担保にするほどのお金はありませんでしたから、政治資金を担保としたものではなく、これは小沢氏の個人的な借入金ということは明白です。

【分析2】
一方、小沢氏の個人資金である4億円の現金にて支払った手付金と土地代金については、この時点では小沢氏の個人的な支払をしたと考えるべきでしょう。

(理由1)
登記料・登記手数料等の付随費用が未だ発生していないので、土地計上金額が確定していない。

(理由2)
未だ登記がされていないということは、この時点で所有権はないのであるから、例えば土地は小沢氏の所有とし、その土地を陸山会に貸し付けるという方法も可能であり、所有権を陸山会にするかどうかは未定だった。
故に、小沢氏個人に帰属する支払とみなすことが妥当と言える。

(理由3)
発生主義的、総額主義的な観点から、同一年度に土地計上と支出計上をする為には、付随費用が確定するまでは、手付金及び土地代金については小沢氏個人の取引とすることが妥当と言える。

(理由4)
翌年の登記完了日である平成17年01月07日をもって、不動産業者には付随費用を小沢氏には手付金及び土地代金相当額を支払ったことは明白。
2005年分の政治資金収支報告書の支出の内訳_経常経費に
「事務所費 415,254,243」(この中に土地計上額が含まれていることは明白)
資産等の内訳_(土地)に
「世田谷区 342,640,000 17.1.7 」と記載されている。

【まとめ】
検察の起訴理由を推察すると、おそらく、次のようなことでしょう。
小沢氏個人の銀行からの借入も収入計上すべきであり、当該銀行への返済も支出計上すべきところが不記載であると言っているものと推測されます。

つまり、小沢氏の個人資金の動きまで収支報告書に記載せよと言っている訳です。
こんなんで、現実に起訴できちゃうものなんですか。恐ろしいーー。

検察の起訴理由など、ヤクザ屋さんの因縁より理が通りません。
  
政治家は家計簿まで、収支報告書に記載せよと言っていることと同じです。

「平成18年分の37頁の政治活動費の内訳に、
「 その他の経費 239,702,734 」と記載されており、243頁の資産等の内訳に、・・・」

の部分が間違っていました。

正しくは、
「平成18年分の30頁の政治活動費の内訳に、
「 その他の経費 236,406,365 」と記載されており、37頁の資産等の内訳に、・・・」
です。

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<04・05年陸山会収支報告書の記載は正しい>

石川議員ら3人は、「04年10月29日に土地を購入した際、小沢氏が4億円支払ったことを4年の収支報告書に記載せず、05年の収支報告書に記載した」期ずれ報告が違法ということで起訴されたが、投稿者は、「収支報告書の記載時期は正しく、記載のずれはない」とする見解だ。


以下、投稿者の主張(投稿文から抜粋)

「◆【豆知識03:陸山会の正しい土地の計上時期】
 陸山会は、法人税法用語で『人格のない社団等』に該当します。
 まず、この意味から説明します。『人格のない社団等』とは、文字通り法律上の人格を持たないということです。法律上の人格を持っていれば、法務局に法人登記(人間で言う出生届)をします。同時に実印登録を行います。これにより、印鑑証明書が必要な土地取引や土地登記等を行える権利を法人自体がもてるということに成ります。
つまり、一言で言うと、 『陸山会は、土地の登記ができない社団である』
 従って、陸山会代表としての小沢一郎では、2004年中には、当該土地取引は出来なかったということになります。
 尚、本登記が2ヶ月余り遅れたのは、当該土地が農地であった為、農地転用の手続き期間(農業委員会は1,2ヶ月に一度だから)が必要であった為と、埋め立て工事、地ならし工事等を経て、更地にしてから引き渡しをするという、社会通念上の、土地の引き渡し要件を満たす為であった、と考えられます。
 そして、2005年1月7日に小澤一郎個人として本登記すると共に登記料・登記手数料等(等の中には、農地転用費用・不動産取得税などの更地にするまでの一切の費用が含まれます)を業者に支払い、この時点で当該土地は小澤一郎個人のものとなりました。
 さて、今度は小澤一郎個人から陸山会代表としての小沢一郎へ当該土地の譲渡をしようにも方法はありませんから、権利書と交換で、当該土地の利用権を譲渡した場合と同等の意味をもつ「確認書」を取り交わしましょう、ということになります。
 「確認書」により、登記上の移動があるわけではありませんから、不動産取得税は関係ありませんが、『現金・預金出納帳』に記載されている通り、実際に陸山会から小澤一郎個人に3億4264万円の支払いという実態がありますから、民法上は売買としてみなされることとなります。
 以上のことから、2005年の収支報告書に当該土地が記載されているのは当然であり、むしろ、2005年の方が、正しい会計処理であった、と言うことであります。     」


<「収支報告書の記載は正しい」はもっともだ>

投稿者の見解はこうだ。

04年10月29日時点では、小沢氏がお金を支払ったのだから、小沢氏個人と売主の売買であり、陸山会収支報告書に記載することはできない。05年1月7日に登記が完了し、陸山会と小沢氏個人との間で、権利書の交換、確認書の取り交わし、3億4264万円の支払いが行われた。この時点が、陸山会と小沢氏個人との民法上は売買とみなされるから、この時点で、陸山会収支報告書に記載すべきである。

至極わかりやすい説明だ。
石川議員らは正しい会計処理をしていたということだ。

正しい会計処理をしているのに、捜査段階で検察に追及され、石川議員が「記載ずれ」を認めてしまったようだ。異常な取調べの中で、5年以上も前のことを高圧的に追及されれば、やむをえなかったと思う。

郷原信郎氏など多くの識者も記載ずれがあったと解釈した。検察の解釈も同じだし、メディアもそのように報道している。
投稿者が「このことに言及しているのは日本で自分ひとり」と言っているがその通りだと思う。実態がわからない国民は「記載ずれがあった」ということは認識している。

投稿者のように、事実を確認し冷静な見方をすることが大切だと思う。


<小沢さん側に違法行為は全くなし、検察の言いがかりだけだ>

「記載が正しい」となると、大変なことになる。

小沢氏が「やましいところはない」と言っていた通り、小沢側に違法の事実はひとつもなかったことになる。これまでのことは、全て検察の言いがかりだ。

秘書3人の起訴は不当だ。

検察が収支報告書に虚偽記載があるとしたため、検察審査会は、その虚偽記載に関与したとして小沢氏"起訴相当"の議決をした。虚偽記載でないとしたら、起訴相当などの判決はないはず。

検察の責任は大きい。


<「収支報告書の記載が正しい」とすれば、今後の展開は180度変わる>

石川議員は「記載が正しい」と頑張っていれば検察は起訴出来なかったと思う。しかし、それは詮無いこと。

一市民Tは石川議員に会う機会に、投稿者の考えを直接伝える。

石川議員はこれから、裁判で「記載は正しい」として争えばよい。完全無罪を勝ち取れるはず。


9月には、第5検察審査会で、小沢氏の起訴をめぐって再度審査が行われる。

「記載のずれに小沢氏が関与した」との容疑に対し審査されることになっている。
記載のずれがないとしたら、小沢氏が関与したかどうかなど関係ない話になる。

小沢氏側は土地に絡む金銭の動き、登記、権利書の交換、確認書等を再確認し、「記載時期」はどの時点が正しいのか確認してほしい。

そして、投稿者の言う通りであれば、その旨を上申書などで検察審査会に伝えるべきだと思う。

補助弁護人はこのことを審査員に伝えて審査に入るべきだ。
審査員がメディアに如何に洗脳されていたとしても、起訴相当などの議決はできないだろう。

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『虚偽記載』容疑で逮捕しておいて、起訴の段階で、『起訴事実は公判で明らかにする』などと言い、公判前整理手続き中の6月16日には、『やっぱり、「裏献金」5千万円を立件する』と言い、このような公訴権乱用の暴挙を許してしまったということは、もはや、日本国は、検察の支配下に置かれているということを認識すべきです。

 このような状況下での参議院選挙で、何が生まれるのか、空恐ろしい気がします。

◆◆◆【収賄容疑は不当であるとする根拠】

◆◆【「裏献金」を受け取る動機が無い】
 平成18年分(2006年)の収支報告書に「(その他の経費)返還金 \120,000 水谷信夫」との記載がありました。それと、もう1件だけ、同じ三重県桑名市の川村尚という人物にも、同額が同じ平成18年9月に返還されていました。(2004年と2005年の返還については、官報である為、確認不能)
 調べて見ると、問題の2004年と2005年に、両氏からの寄付として12万円ずつが入金しているでは、ありませんか。

 つまり、陸山会は、2004年当時から、水谷建設を「ブラックリスト」に載せていたと思われます。
 そして、たとえ、水谷建設関係者からの「表献金(個人献金)」であっても、丁重に『突き返す』ように指示していたと言うことが、窺えるのであります。

 これほど、水谷建設を警戒していた最中に、『水谷建設からの「裏献金」を石川氏にホテルで手渡した』などと言われても、その、信憑性は、まったく無いのであります。

 また、別の観点から考察すると、2004年の「現金預金の次年度繰越額 610,051,380円」を見ても解かる通り、当該5千万円が無かったならば、当該土地の購入が出来なかったとは、到底言えない状況であり、「裏献金」を必要とする動機が、まったく、見当たらないのであります。

 ちなみに、検察様のおっしゃる通り、4億円も不記載ということになれば、10億1千万円以上の現金預金が年末にあったことに成っちゃったりする訳で、益々、「裏献金」を必要とする動機が無いことに成っちゃうんだよね。これが。(大笑)

  検察も、どこまで『バカ』なのか、底が知れない。

◆◆【物的証拠が無い】
 水谷建設(三重県桑名市)からの「裏献金」5千万円について、10月18日に陸山会の口座に同額が振り込まれたと言っているが、石川氏にホテルで手渡したとされる5千万円が、石川氏により入金(振込)されたとは、言っていないということに留意すべきです。

 どこから振り込まれたのか、ウソなのかは、『現金・預金出納帳』を見れば、即座に、明らかに成ることです。もし、石川氏が入金していたのであるならば、とっくの昔に、贈賄罪として逮捕・起訴していたことでしょう。

 もし、『現金・預金出納帳』に記録が無い場合には、可能性として考えられるのは、石川氏が横領している場合しか考えられないので、その場合には、検察は、2004年当時に、物的証拠である、当該5千万円の札束を証拠品として押収していなければ成らないのであって、押収していないのであれば、正当な逮捕理由も物的証拠も無いまま逮捕したことになり、これは、不当逮捕です。

 だいたい、映画『マルサの女』でも解かる通り、贈賄罪として逮捕・起訴するには、現物の証拠品である当該5千万円の札束を押収するのが先ですよね。
押収したとしても、当該5千万円の札束が水谷建設からの「裏献金」であることを証明して、始めて、逮捕・起訴するのが、合法的な手順と言えるのでは、ありませんか?

 ちなみに、検察様は、『当該5千万円は、小沢さんからの借入金4億円に含まれている』とおっしゃられていたようだが、【収支報告書と全て辻褄の合うストーリー】の通り、その4億円は、銀行からの融資金を、そのまま、又貸ししちゃったものなので、その銀行からの融資金の中に含まれている訳が無いんだよね。これが。(大笑)

検察も、どこまで『バカ』なのか、底が知れない。

◆◆◆【『虚偽記載』は不当であるとする根拠】

◆◆【本事件の奇妙さ】

 近頃、検察とマスコミの陰謀なのか、日本人の常に新しい情報に群がる習性のせいなのかは知りませんが、『虚偽記載』事件が忘れ去られようとしています。

そこで、『虚偽記載』事件の知られざる真実の全てを、ここに記録しておくことにしました。

 プロの会計士や弁護士等が、現金主義会計下で作成される収支報告書は、『現金・預金出納帳』を集約したものであるということに、今もって、気がついていない理由は、

 『定期預金年末残高』 + 『現金と普通預金年末残高』= 『次年度繰越額』

 という計算式に、『たどりついていない』、ことによります。
 結果、『法四条の解釈』とか、『期ずれ』と言うような不毛な論争になってしまいました。
 もし、これに気が付いていれば、『虚偽記載の起訴事実』や『検察審議会の議決理由』の全てが検察とマスコミの『デッチアゲ』であることが証明できた事でしょう。

 それこそ、逮捕の段階で、『不当逮捕である』と逆提訴ができたのです。

 今頃は、小沢首相が、官僚主導ではない、『国民が主役の政治』を実現していた事でしょう。

 本事件の最も奇妙なことは、このことに言及しているのは、何故か、日本中で、私だけと言うことです。
本を出版されている方達には、これを認めると『本に書いたことがウソになる』等の理由で、無視していることは考えられますが、石川議員や小沢擁護派の人達までも、気が付く気配すら無いというのは腑に落ちません。

 本稿を読んで頂ければ解かりますが、『現金・預金出納帳』は、公判で有利な材料となることはあっても、不利になるようなことは、絶対にありません。
 故に、安田弁護士等が、『現金・預金出納帳』の記録内容について、わざわざ、公判まで触れないでいる必要など、まったく無い、ハズなのです。

◆◆【冤罪と断定する物的証拠】:(【豆知識01】参照)
 まず、『虚偽記載の起訴事実』や『検察審議会の議決理由』が検察とマスコミの『デッチアゲ』であるという証拠が、

『現金・預金出納帳』

 に全て記録されているということを覚えておいて下さい。

 そして、収支報告書は、その『現金・預金出納帳』を集約したものにすぎないということも覚えておいて下さい。

 従って、過去に「不記載」や「架空計上」等があれば、今日、現在の現金預金の手持ち有り高が『現金・預金出納帳』と相違することになることから、収支報告書においては、絶対に「不記載」や「架空計上」等は発生し得ないということも覚えておいて下さい。

 それに、よく考えてみて下さい。収支報告書に「不記載」や「架空計上」等を恣意的にしたとしても、脱税や粉飾決算ができる訳でもなく、そんなことを、する意味が無いでしょう。

 おっと、『「裏献金」は恣意的に「不記載」にするだろう』ってか。
 それは、【収賄容疑は不当であるとする根拠】に戻って、もう一度読んで下さい。
 それから、報道によれば、『虚偽記載』の起訴事実の中には、「裏献金」は入っていませんでした。何故か解かりませんが、「裏献金」については、起訴の時点になって、検察がマズイと気がついたのでしょうか、起訴事実の中から外しているのです。

◆◆【4億円の収入が不記載】:(【豆知識04】参照)
 【2004年 収支報告書の記載内容】の通り、4億円の収入は、ちゃんと、記載されています。
【収支報告書と全て辻褄の合うストーリー】の通り、2004年10日29日午後、小澤一郎個人が銀行から融資(返済期限が2007年)を受けた4億円については、そのまま、陸山会に又貸ししたことが2004年の収支報告書に記載されており、2005年と2006年に、それぞれ2億円ずつ、小澤一郎個人に返済されていて、それを原資として、小澤一郎個人が、返済期限である2007年に銀行に返済しており、この件は、完結しています。

 とすると、2004年の借入と2007年の返済の4億円の不記載の件は、『小澤一郎個人と銀行との取引』を、『小澤一郎個人と陸山会との取引』と言うように、検察が、話を『すり替えて』報道させていたようですね。

 ちなみに、検察様のおっしゃる通りならば、2004年~2007年もの長期間に、『現金・預金出納帳』と実際のお金が4億円も相違したままで、しかも、『1円も使わないで持っていた』って事に、成っちゃったりする訳なんだな。これが。
でも、こんな起訴理由が、どうして、まかり通っちゃったワケ? (笑えない現実です)

 検察も、どこまで『バカ』なのか、底が知れない。

◆◆【土地代金が不記載と期ずれ】:(【豆知識02】【豆知識03】参照)
 政治資金管理団体は、土地の登記が出来ません。
 故に、2004年10月29日に仮登記をして、土地代金を支払ったのは、小澤一郎個人ですから、『現金・預金出納帳』に記載がある訳がありません。

つまり、『期ずれ』の問題では無かったということです。

 検察は、ここでも、『小沢さんと売主との取引』を、『陸山会と売主との取引』と言うように、話を『すり替えて』報道させていたようですね。

 尚、地目変更、埋め立て、地ならし等の更地にするまでの工事を年内中に終えて2005年1月7日に小澤一郎個人で本登記をした後、「確認書」により、権利書と引換えに、小沢さんに土地代金相当額を支払ったことが『現金・預金出納帳』に記載されているハズです。

 ただ、検察は、どこまでウソをついているのか解かりませんから、社会通念上、土地代金を支払う時期は、更地に成った後の、本登記後に支払うのが通例ですので、この場合には、2005年1月7日に、小沢さんに替わり、陸山会が直接に売主に支払っていることも考えられます。(「確認書」参照)

 いずれにせよ、2004年に土地計上をするなんてことは、大間違いです。

 ちなみに、『?を隠蔽するため本登記を恣意的に翌年に延ばした』などと、ワケの解からない、『検察審議会の議決理由』は、『ヤクザ屋さんの、いんねん』なんかよりも、『レベル』が低いよね。
 『脳みそ』が、腐ってんじゃないの。
 『一体、何という犯罪なのか言ってみろ!』 っつーーの!
 でも、こんな議決理由が、どうして、まかり通っちゃったワケ? (笑えない現実です)

 検察審議会も、どこまで『バカ』なのか、底が知れない。

 追:『幹事長を辞職したから、許して』などと、上申書を提出するとは、
『情けない!』 『弁護士達は、何やってんだ!』

◆◆【収支報告書と全て辻褄の合うストーリー】
以下、登記の記録等を根拠とした私の推測したストーリーを述べます。
(『』内は、登記記録の内容より抜粋)

(1)2004年10日5日
 『原因 平成16年10月5日売買予約』ということから、小澤一郎個人の定期預金を担保に銀行に4億円の融資申し込み(返済期限2007年)を行ったと推測します。
 (銀行への融資申し込みには、正当な理由が必要です。)

(2)2004年10日29日午前中
 小澤一郎個人として土地代金の3億4200万円(推定)を支払った。
 (銀行の融資が降りるのが遅れたため、小沢さんの個人資金より支払う。)
 『登記の目的 所有権移転請求権仮登記 受付番号 平成16年10月29日 第77290号 権利者 岩手県水沢市袋町2番38号 小澤一郎』ということから、小澤一郎個人で仮登記の受付をしたことが明らかです。

(3)2004年10日29日午後
 小澤一郎個人に降りた使途を失った融資金4億円は、そのまま陸山会に貸し付けた。
 陸山会は、これを2億円の定期預金2本として組んだ。
 陸山会は、2004年の収支報告書に「(収入)借入金_小澤一郎 4億円」と「(負債)借入金_小澤一郎 4億円」と「(資産)預金等(定期預金を意味します) 4億円」を記載した。

(4)2005年1月7日
 『登記の目的 所有権移転 受付番号 平成17年1月7日第695号 原因 平成17年1月7日売買 所有者 岩手県水沢市袋町2番38号 小澤一郎』ということから、小澤一郎個人で本登記し、登記料・登記手数料等を業者に支払ったことが明らかです。
 土地利用権を陸山会に移譲する為、「確認書」を取り交わすと共に、陸山会は権利書と引換えに、土地代金及び登記料・登記手数料等相当額の3億4264万円を小澤一郎個人に支払った。
 陸山会は、土地代金相当額に登記料・登記手数料等の付随費用を加算した金額3億4264万円を取得原価として、2005年の収支報告書に「(支出)事務所費」と「(資産)土地」に記載した。

(5)2005年中
 陸山会は、2億円の定期預金を解約し、小澤一郎個人に返済した。
 陸山会は、2005年の収支報告書の「(負債)借入金_小澤一郎」と「(資産)預金等(定期預金を意味します)」より、それぞれ2億円を減額して記載した。
 同時に「(支出) その他の経費」に2億円を記載した。

(6)2006年中
 陸山会は、2億円の定期預金を解約し、小澤一郎個人に返済した。
 陸山会は、2006年の収支報告書の「(負債)借入金_小澤一郎」と「(資産)預金等(定期預金を意味します)」より、それぞれ2億円を減額して記載した。
 同時に「(支出) その他の経費」に2億円を記載した。

(7)2007年中
 小澤一郎個人は、銀行の返済期限が到来したので、2005年と2006年に陸山会から返済を受けた4億円を原資として、銀行に返済した。これにより、定期預金の担保が取れて定期預金証書の返却を受けたので定期預金を解約した。

 以上のストーリーが正しければ、2004年~2007年迄の収支報告書の内容は一点の曇りもなく、全て、完璧に、正しく記載されていたことになります。

◆◆◆【豆知識集】
◆【豆知識01:現金・預金出納帳】
 『現金・預金出納帳』上の残高は、定期預金と普通預金の残高については、通帳及び銀行残高証明書により、確認されています。現金については、毎日若しくは週2~3回行われる現金実査(金種表のような現金実査票により現金の枚数を数えて帳簿上の残高と合っている事を確認する作業)により、「不記載」や「架空計上」等があれば、その場で、発覚します。

◆【豆知識02:政治資金規正法第四条】
 政治資金規正法第四条の話をする前に、発生主義会計と現金主義会計の違いから、説明いたします。

 そもそも発生主義会計は、継続企業を前提としているため、期間損益の平準化の要請から人為的に1会計期間に区切った損益を適正に按分計算するために必要な、現金の出入りを伴わない、未収金、未払金、経過勘定項目、引当金、減価償却費等の勘定科目を使用した会計を意味します。

 これに比べて、現金主義会計は、現金の出入りが伴う会計事象に係る勘定科目のみを使用した会計を意味します。従って、仮払金、仮受金、立替金、預り金、前払金、前受金等も、こちらに該当します。

 従って、土地代金の支払いが、仮払金であろうと、立替金であろうと、もともと、現金主義会計下での会計事象でありますから、収支報告書の「支出」には、ちゃんと、記載されています。

  つまり、政治資金規正法第四条の解釈は、無用ということです。

 プロの会計士等が、勘違いしてしまったのは、土地代金が2004年に支払われているから、2004年に支出として計上すべきという根拠が、発生主義だと思われた点でしょうね。(もっとも、支払ったのは小澤一郎個人であって、陸山会では無いのですが。)

 それ故、政治資金規正法第四条の解釈上の論争となり、『支出は2004年に計上すべきであるが、土地の計上は翌年でよい』などと、とんでもなく、間違った意見を述べ合ってしまったのだと思います。

 まだ、納得のいかない諸君は、【2005年 収支報告書の記載内容】を見て下さい。
「事務所費 415,254,243円」と「(土地)世田谷区 342,640,000円」と記載されている通り、『支出』と『土地』は、同時計上されています。
 このように、例えば、土地の取得原価が確定していない等の理由で、仮払金として会計処理した場合においても、『資産』である「仮払金」は、記載不要項目なので、収支報告書への記載は無くなりますが、『支出』である「事務所費 415,254,243円」の計上は変わりなく、ちゃんと、記載されています。

◆【豆知識03:陸山会の正しい土地の計上時期】
 陸山会は、法人税法用語で『人格のない社団等』に該当します。
 まず、この意味から説明します。『人格のない社団等』とは、文字通り法律上の人格を持たないということです。法律上の人格を持っていれば、法務局に法人登記(人間で言う出生届)をします。同時に実印登録を行います。これにより、印鑑証明書が必要な土地取引や土地登記等を行える権利を法人自体がもてるということに成ります。
   つまり、一言で言うと、

   『陸山会は、土地の登記ができない社団である』

 従って、陸山会代表としての小沢一郎では、2004年中には、当該土地取引は出来なかったということになります。

 尚、本登記が2ヶ月余り遅れたのは、当該土地が農地であった為、農地転用の手続き期間(農業委員会は1,2ヶ月に一度だから)が必要であった為と、埋め立て工事、地ならし工事等を経て、更地にしてから引き渡しをするという、社会通念上の、土地の引き渡し要件を満たす為であった、と考えられます。

 そして、2005年1月7日に小澤一郎個人として本登記すると共に登記料・登記手数料等(等の中には、農地転用費用・不動産取得税などの更地にするまでの一切の費用が含まれます)を業者に支払い、この時点で当該土地は小澤一郎個人のものとなりました。

 さて、今度は小澤一郎個人から陸山会代表としての小沢一郎へ当該土地の譲渡をしようにも方法はありませんから、権利書と交換で、当該土地の利用権を譲渡した場合と同等の意味をもつ「確認書」を取り交わしましょう、ということになります。

 「確認書」により、登記上の移動があるわけではありませんから、不動産取得税は関係ありませんが、『現金・預金出納帳』に記載されている通り、実際に陸山会から小澤一郎個人に3億4264万円の支払いという実態がありますから、民法上は売買としてみなされることとなります。

 以上のことから、2005年の収支報告書に当該土地が記載されているのは当然であり、むしろ、2005年の方が、正しい会計処理であった、と言うことであります。

◆【豆知識04:検察リークによるマスコミの悪質な情報の捏造】
 以前、小沢さんは不明朗な27億円を現金で持っていたなどという記事が報道されたことがありましたが、その27億円の金額は『4億円と5億円が3回出入りした』として、検察が勝手に捏造して報道させたものでした。さすがに、検察も起訴理由にしたのは、4億円の出入りの8億円だけで、あとの19億円は預かり金であるとして問題としませんでした。

 で、その5億円は、何のお金を指しているのか解かりますか?

 検察に代わって説明するのも変ですが、銀行の融資には、実行率というのがあって、通常80%程度なので、5億円の定期預金を担保にして、4億円の借入ができるのです。たぶん、この5億円を指しているのではないでしょうか。

 また、小澤一郎個人名義の5億円の定期預金を担保に銀行から4億円を借入して、陸山会に又貸しするという、何故こんなややこしいことをするのかと言うと、陸山会では4億円の融資枠が無いため借入ができず、小澤一郎個人名義の定期預金を担保として小澤一郎個人名義で借入するしか方法が無かったのではないかと考えられます。

 それに、この方法なら、陸山会にマタ貸しすることにより、陸山会が直接銀行から借入したのと同等の効果がありますからね。
同等の効果というのは、例えば、金利の計算・管理などは銀行がやってくれるので、毎月、小沢さんが銀行に支払った金利相当額を、陸山会は小沢さんに支払うだけなので、金利計算等の煩わしい事務処理が省けるということです。

 とすると、【収支報告書と全て辻褄の合うストーリー】をもう一度見てほしいのですが、検察の起訴理由の2004年の4億円の収入の不記載と2007年の4億円の返済の不記載というのは、小澤一郎個人と銀行との間のお金の動きのことを指しているのだと言うことが解かります。

 このように、検察の『デッチアゲ』の手口は、『小澤一郎個人と銀行との取引』を、『小澤一郎個人と陸山会との取引』というように、うまく、話を『すり替えて』、マスコミに報道させるという、卑劣極まりない所業なのであります。

◆◆◆【資料集】

◆【登記記録】
順位番号   4
登記の目的 所有権移転請求権仮登記
受付番号   平成16年10月29日 第77290号
原因      平成16年10月5日売買予約
権利者   岩手県水沢市袋町2番38号 小澤一郎

登記の目的  所有権移転
受付番号   平成17年1月7日第695号  
原因     平成17年1月7日売買
所有者   岩手県水沢市袋町2番38号 小澤一郎

◆【確認書】
http://specialnotes.blog77.fc2.com/blog-entry-2327.html


◆【現金と普通預金の年末残高の計算式】
前年繰越額+本年収入額-支出総額=次年度繰越額
次年度繰越額-預金等(定期預金を意味する)=現金・普通預金繰越額

【2004年の収支報告書より】
151,229,466+580,024,645-121,202,731=610,051,380
610,051,380-471,500,000=138,551,380
【2005年の収支報告書より】
610,051,380+339,099,635-679,964,189=269,186,826
269,186,826-256,500,000=12,686,826
【2006年の収支報告書より】
269,186,826+134,586,054-325,390,217=78,382,663
78,382,663-56,500,000=21,882,663
【2007年の収支報告書より】
78,382,663+103,854,350-115,060,981=67,176,032
67,176,032-56,500,000=10,676,032

◆【2004年 収支報告書の記載内容】
【収入】
前年繰越額 151,229,466
寄付 政治団体分 157,100,000
借入金 小澤一郎 400,000,000
【支出】
事務所費  38,355,343
【資産】
預金等(定期預金) 471,500,000
【負債】
借入金 小澤一郎 491,478,416

◆【2005年 収支報告書の記載内容】
【収入】
前年繰越額 610,051,380
寄付 政治団体分 309,060,000
【支出】
事務所費 415,254,243
その他の経費 239,702,734
【資産】
預金等(定期預金) 256,500,000
(土地)世田谷区 342,640,000 17.1.7 476㎡
【負債】
借入金 小澤一郎 263,939,061

◆【収支報告書のありか】

2004年_平成16年分政治資金収支報告書
http://www.soumu.go.jp/main_content/000047155.pdf#page=162

2005年_平成17年分政治資金収支報告書
http://www.soumu.go.jp/main_content/000047150.pdf#page=164

2006年_平成18年分以降の政治資金収支報告書
http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/
【検索方法】
平成19年 9月14日公表(平成18年分 定期公表)」 (希望年度の定期公表を選択)
→資金管理団体の「リ」を選択→陸山会を選択  

2010年7月15日木曜日

【検察審査会】 陸山会(第一検察審査会)

 7月8日に、何の脈略もなく産経新聞が、陸山会事件の平成19年度分を書いてきた。平成16・17年度に関しては、第五審査会が受け持っているのであるが、こちらの方は、一回目に「起訴相当」の議決が出て驚かさせられた。しかし、検察は、「不起訴」としている。

ちょうど、参議院選挙終盤の8日に、まるで隠れるように第一審査会がもようされた。このことは産経新聞の8日の記事に載っていることから伺いしれる。しかし、東京地検特捜部の担当検事を呼び、意見を聴いた日には、採決をしていたことになる。

何よりも、議決要旨の判断部分、【結論】(2)のウの部分には、こう書かれている。
被疑者に対する取り調べは、回数もわずか3回であり、調書の内容も「秘書がそんなことを言っているとは信じられない」

東京地検特捜部の担当検事を8日に一度だけ呼んで8日にすぐ議決を出した検察審査会がいえる言葉であろうか。あきれてものが言えなくなる。

===============産経新聞=============================

【小沢氏「不起訴不当」】政治とカネ…指導力発揮できぬ菅首相
2010.7.15 22:57
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100715/plc1007152258012-n1.htm

 菅直人首相は15日夜、東京第1検察審査会が民主党の小沢一郎前幹事長に対し「不起訴不当」の議決を出したことについて、記者団に「私の立場で、あれこれコメントすることは控えたい」と述べるにとどめた。首相は小沢氏の「政治とカネ」の問題の実態解明に消極的だった。しかも参院選の敗北を受け小沢氏との面会を求めている最中であり、疑惑解明に首相の指導力発揮は期待できない。

 仙谷由人官房長官や枝野幸男幹事長も「所感を述べることは差し控える」(仙谷氏)、「圧力のようなとらえ方をしたりするのは良くないのでコメントは差し控えたい」(枝野氏)と、首相と足並みをそろえた。

 首相は10日、福井県坂井市での街頭演説で「政治とカネのことで少し心配をおかけしたが、それもクリアした」と強調していた。鳩山氏や小沢氏の辞任で、問題にけりがついたことにしたかったようだが、検察審査会の議決で問題は何も解決されていないことを改めて突きつけられた形だ。

 民主党は参院選マニフェスト(政権公約)で、「とことんクリーンな民主党へ」とうたった。だが、この看板が偽りであることを示す問題が菅政権発足直後から相次いで浮上した。

 荒井聡国家戦略担当相が漫画や女性下着を事務所費に経費計上したことが発覚。仙谷氏が昨年9月に行政刷新担当相に就いた後も、複数の企業から弁護士顧問契約料を受け取っていたことも判明した。

 民主党は「違法ではない」などと説明するが、明確な法律違反でなければ何でも構わないというのでは政治倫理は語れない。

 民主党はマニフェストで企業・団体献金の全面禁止を主張した。だが、同党の政治資金規正法改正案は企業や労組が政治団体をつくって献金する抜け道を残しており実効性は疑わしい。


===================================================

【小沢氏「不起訴不当」】「検察は追及不足」検察審査会、起訴促す
2010.7.15 22:07
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100715/crm1007152210037-n1.htm

 民主党の小沢一郎前幹事長について、平成19年の政治資金規正法違反容疑で審査し「不起訴不当」と議決した東京第1検察審査会。16、17年分について最も重い「起訴相当」の議決を出した東京第5検察審査会よりも一段階軽い判断だったが、第5検審と同様に「公開の場で事実関係が論じられることが、同法を実効的に発展させていく」と言及し、検察側に再捜査で起訴することを促している。

 東京地検特捜部は2月、陸山会が16年10月に東京都世田谷区の土地を購入した際、土地代金の原資として小沢氏から借りた4億円を収入として政治資金収支報告書に記載せず、土地代金約3億4千万円の支出も記載しなかったなどとして、元私設秘書で衆院議員の石川知裕被告(37)らを起訴した。

 起訴状によると、元私設秘書の池田光智被告(32)は、17年1月に土地購入を装って同年の収支報告書に土地代金を支出として記載。19年に元公設第1秘書の大久保隆規被告(49)と共謀し、借入金の返済名目で小沢氏に支出した4億円を収支報告書に記載しなかったなどとされる。

 第1、第5両検審は小沢氏と元秘書3人が共謀したかを審査した。第1検審の議決書の要旨は第5検審の倍のA4版用紙6枚にわたり、小沢氏にとってより厳しく踏み込んだ部分もあったが、第5検審より軽い判断になった理由は不明だ。

 第5検審が「直接証拠」とした石川被告の供述について、第1検審は「不記載の理由、不記載について報告して了承を得た」と報告内容にまで言及し、「信用性は相当高い」とした。

 検察側はこの供述について「具体的でなく、小沢氏がどこまで石川被告の説明を理解していたのかも定かではない」と信用性に疑念を抱き、小沢氏不起訴の一つの論拠にした。しかし、第1検審は「上下関係を考えれば、小沢氏が理解していることを確かめながら報告して了承を求めるはず」と指摘した。

 石川被告が土地購入直後に別の4億円で定期預金を組み、これを担保に同額の融資を受けた点には「原資隠蔽(いんぺい)以外にあり得ない。小沢氏も同じ動機を共有したという根拠になりうる」とした。

 19年分の収支報告書不記載については、小沢氏自ら現金で4億円の返済を受けている点などを挙げ、「秘書に任せていた」という弁解は「不自然」と指摘。小沢氏への聴取が3回だったことについても「追及不足」と批判している。

================================================

【小沢氏「不起訴不当」】第一検察審査会の議決要旨
2010.7.15 21:03
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100715/crm1007152105031-n1.htm

 民主党の小沢一郎前幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、小沢氏を「不起訴不当」とした東京第1検察審査会の議決要旨は次の通り。

 【容疑内容】
 小沢氏は資金管理団体である陸山会の代表者であるが、会計責任者の大久保隆規、元私設秘書の池田光智の2被告と共謀の上、平成20年3月ころ、東京都選挙管理委員会において、19年分の陸山会の収支報告書に関連政治団体からの寄付計1億5千万円、小沢氏への借入金返済4億円を記載せず、関連政治団体からの架空寄付計7千万円の虚偽記入をしたほか、「本年の収入額」欄に8千万円過少、「支出総額」欄に4億円過少の各虚偽の金額を記入して総務大臣に提出した。

 【審査会の判断】
 1、証拠関係の検討
 小沢氏は否定するが、元私設秘書で衆院議員の石川知裕被告と池田被告は、収支報告書提出前に小沢氏に原案を示して説明した旨供述している。「小沢先生の決裁を得た」という以上、小沢氏がある程度は内容を理解していることが前提と考えられる。

 検察官も指摘するとおり、年約450万円という金利負担を伴う経済的に合理性のない銀行からの4億円の借り入れの目的は、石川被告が供述するように原資隠蔽(いんぺい)以外にあり得ないことは、誰しも考えることである。

 加えて、4億円もの大きな金額の借り入れに際し、手形に自ら署名していることについて、何の説明も受けることなく求められるままに書類に署名した、というのも不自然である。

 検察官は、この事情が収支報告書への不記載とどこまで結びつくか疑義があるとするが、小沢氏が提供している資金について、その原資を隠蔽するという動機があったことは、石川被告の供述から明らかである。

 小沢事務所に水谷建設から資金提供があったという事実について、水谷建設関係者は、水谷建設から小沢事務所に資金提供をした旨供述するところ、その供述は具体的であり、その本人のみしか知り得ない事情も含まれていて、その信憑(しんぴよう)性はかなり高いものであるといえる。

 この資金提供の事実の存否は、一見すると本件の虚偽記載等とは直接結びつくものではないが、4億円の原資を隠蔽する必要性があったことの根拠に十分なりうるものである。

 2、結論
 以上のとおり、検察官が嫌疑不十分の理由としてあげる事項については、小沢氏との上下関係からみて、秘書が独断でなしうるとは考えられない事柄であったり、小沢氏のおかれた客観的状況と整合しない無関心を示す事柄であると言わざるをえない。

 当検察審査会としては、こうした見地から次の各点について再捜査を求める。

 (1)本件動機に重大なかかわりがあると思われる水谷建設からの資金提供について、これを否認する石川被告に対する取り調べを含むさらなる追及をすること。
 (2)大久保、石川、池田の3被告と小沢氏について、自分の行動を記録しているはずの手帳やメモ等の提出を求め、事実関係の裏付けをとること。
 (3)小沢氏に対する取り調べは回数もわずか3回であり、調書の内容も「秘書がそんなことを言っているとは信じられない」で終始している感があるなど、追及不足という印象を免れないので、改めて、詳細な取り調べを行うこと。

 これらの再捜査を経ない限り、検察官の不起訴処分を支持することは到底不可能であり、本件不起訴を不当と考える次第である。

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【小沢氏「不起訴不当】視点 「外圧」排除し公平審査を 小沢氏「不起訴不当」
2010.7.15 20:52
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100715/crm1007152053030-n1.htm

 2つの検察審査会で小沢一郎氏に対する判断が分かれた。第1検審の「不起訴不当」議決を受け検察は再捜査するが、再び不起訴となる公算が大きく、小沢氏が強制的に起訴されるか否かの判断は第5検審に絞られることになった。ただ第5検審の再審査は難航し、議決が出されるのは秋ごろの見通しとなっている。

 改正検察審査会法に基づき、昨年5月の裁判員裁判制度導入と同時に大幅に権限が強化された検審。小沢氏や鳩山由紀夫前首相の政治資金規正法違反容疑などを扱い社会的に注目される中、その中立性や独立性を脅かすような「外的圧力」が問題となっている。

 第5検審が小沢氏に対して「起訴相当」議決を出した直後の5月には、民主党の辻恵副幹事長が検審事務局に審査手続きの説明を求めていたことが判明。辻氏は「圧力とは違う」としたが、政治家からの接触自体が批判の対象となった。

 審査自体に影響を及ぼしかねない事態も起きている。起訴相当議決後、審査補助員を務めた弁護士のもとには批判が集中した。弁護士が所属する弁護士会関係者は「審査補助員の選定などについて、政界関係者からの問い合わせは多数あった」と話す。

 再審査では必ず審査補助員を置き、法的助言を受けなければならないが、関係者によると、1回目の弁護士が再任を拒否し、第5検審の審査補助員は空席のまま。審査が遅れている要因の一つとされ、「こんな状態ではだれも手を挙げないだろう。このままではなり手がいなくなってしまう」(法曹関係者)と危惧(きぐ)する声も聞かれる。

 「国民の常識や視点を反映する」という当初の趣旨を機能させていくためには「外圧」の排除は言うまでもない。公平に審査できる体制づくりが求められている。(上塚真由)

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【小沢氏「不起訴不当】「秘書独断ありえぬ」と検察審査会
2010.7.15 20:49
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100715/crm1007152051029-n1.htm

 民主党の小沢一郎前幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京第1検察審査会は15日、平成19年分の政治資金収支報告書への虚偽記載容疑に関し、不起訴処分となった小沢氏について「不起訴不当」と議決したと公表した。議決は8日付。東京第5検審は16、17年分の虚偽記載容疑について「起訴相当」と議決しており、同一の事件で判断が分かれたが、第1検審も不起訴処分の妥当性を否定した。

 東京地検特捜部は16、17年分について改めて不起訴とし、第5検審が再審査の手続きに入っている。19年分については特捜部が再捜査で起訴しなければ、不起訴が確定する。

 第1検審が審査した容疑内容は、陸山会会計責任者だった元公設第1秘書、大久保隆規被告(49)=同法違反罪で起訴=と元私設秘書、池田光智被告(32)=同=と共謀、陸山会が16年の土地購入費となった小沢氏からの借入金4億円を19年に返済したのに、19年分の収支報告書に記載しなかったなど。

 議決書によると、池田被告は「(小沢)先生に返済した4億円については収支報告書に載せません」と報告し、小沢氏が「そうか、分かった」と了解したと供述した。さらに、私設秘書だった衆院議員、石川知裕被告(37)=同=と池田両被告は「収支報告書提出前に先生に原案を示して説明した。先生の決裁を得た」と供述した。

 第1検審はこれらの供述を重視、「小沢氏と石川、池田被告の上下関係を考えれば、両被告はある程度詳しく内容を説明していることが十分推認できる」と判断した。

 さらに、小沢氏事務所側に「裏献金」を提供したという水谷建設元幹部の供述については「信憑(しんぴよう)性はかなり高く、本件の動機に重大なかかわりがあると思われる」と指摘した。

 第1検審は「秘書が独断でなしうるとは考えられない。不問に付してしまえば、司法手続きに対する信頼を損なう」として、検察側に小沢氏や石川被告の再聴取など再捜査を求めた。

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【小沢氏「不起訴不当】「小沢氏は身動きできない」反小沢グループ
2010.7.15 20:30
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100715/stt1007152031011-n1.htm

 民主党の小沢一郎前幹事長に対し東京第1検察検査会が「不起訴不当」と議決したことで、9月に予定されている党代表選にも影響が出そうだ。小沢氏と距離を置く議員グループや現執行部に近い議員からは「小沢氏はもう身動きがとれない」と歓迎の声が上がった。小沢氏に近い議員は渋い表情だが、復権を狙う小沢氏の動きが止まることはないとみられる。菅直人首相ら執行部と小沢グループとの暗闘は9月に向けさらに深まる見通しだ。

 「9月の代表選は小沢くん、堂々と立候補したらいいんじゃないか。菅くんも堂々とやれ。どちらかが勝ったら、負けた方は勝った方に全面的に協力する。これが民主主義政党だ」

 15日夕、渡部恒三元衆院副議長はBS番組の収録で余裕たっぷりの表情でこう言い放った。東京第1検察審査会の議決が「シロ」と出なかったことで、小沢氏が代表選で党内の大勢から支持を得るのは難しくなったと判断したのだ。

 小沢氏と距離を置く議員グループからは、小沢氏が参院選の投票日前の8日から公の場に姿を見せなかったことについて、「この日の議決を予測し、早々と雲隠れしていたのだろう」との冷ややかな見方も。

 “反小沢”の立場では代表格の生方幸夫前副幹事長は、先の通常国会で小沢氏自身が政治倫理審査会への出席に言及したこともあることを念頭に、「(不起訴不当では)嫌疑が晴れたとはいえない。小沢さんも中途半端だといやだろう。ご自分で臨時国会で説明して国民に判断してもらうのが一番だ」と指摘した。

 一方、小沢氏を支持する議員グループ「一新会」の鈴木克昌会長は「最終的な判断が下されたわけではない。何ら問題がなかったという結論が早く出ることを望む」と述べた。小沢氏に近い松木謙公衆院議員も「(議決は)残念な内容だ」と言葉少なだ。

 一新会からは代表選で小沢氏自身に立候補を求める声も出ていただけに、「動きにくくなった」との声もある。もっとも、「起訴相当」ではなかったため「よかった」(小沢氏側近)との本音も漏れる。高嶋良充参院幹事長は「最終的には検察が再び不起訴と決定するだろう。小沢氏にとって1つの問題をクリアされたと思う」と明言した。若手の一人も「(この審査会は)これで終わりだ。1つハードルを越せた」と述べた。

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【小沢氏「不起訴不当】「コメント差し控えたい」民主枝野幹事長
2010.7.15 19:18
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100715/stt1007151919009-n1.htm

 民主党の枝野幸男幹事長は15日夜、東京第1検察審査会が小沢一郎前幹事長の資金管理団体の政治資金規正法違反事件で、小沢氏に対して「不起訴不当」と議決したことについて、「刑事手続きのプロセスにある話だ。私から申し上げて圧力のようなとらえ方をしたりするのは良くないので、コメントは差し控えたい」と述べ、言及を避けた。民主党本部で記者団に答えた。枝野氏は弁護士で、党内の反小沢勢力の代表格とされる。


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【小沢氏「不起訴不当】自民大島氏、参院での小沢氏喚問も示唆
2010.7.15 17:58
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100715/stt1007151800008-n1.htm

 自民党の大島理森幹事長は15日、東京第1検察審査会が小沢一郎民主党前幹事長の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、小沢氏について「不起訴不当」と議決したのを受けて、衆院予算委員会での証人喚問を与党側に改めて要求する考えを示した。さらに、与党が拒否すれば野党が多数を握る参院での喚問実現を示唆し、与党を揺さぶる構えをみせた。

 大島氏は党本部で記者会見し、「不起訴不当の結論は非常に重く、小沢氏は国会での説明責任を一層負った。民主党代表の菅直人首相も指導力を発揮しないといけない。民主党が賛成すれば衆院で(証人喚問が)できる」と強調した。

 さらに「野党全体で過半数を得た参院で協議していく方法もあるのかもしれない」とも述べた。
 公明党の山口那津男代表は同日の記者会見で、小沢氏に国会での説明を求めるとともに「菅さんがどう行動を促すか。党首の責任にもつながると国民は思うのでないか」と述べた。

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【小沢氏「不起訴不当】「当局が適切に対処」仙谷氏

2010.7.15 17:30
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100715/crm1007151731022-n1.htm

 仙谷由人官房長官は15日の記者会見で、小沢一郎前民主党幹事長の資金管理団体の収支報告書虚偽記入事件のうち2007年分について、検察審査会が小沢氏を不起訴不当と議決したことに関して「個別の議決への所感は述べない。検察当局がしかるべく適切に対処すると考える」と語った。

 政局への影響は「官房長官としてコメントする話ではない」と述べるにとどめた。

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小沢氏、19年分は「不起訴不当」 検察審査会が議決
2010.7.15 14:38
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100715/trl1007151438002-n1.htm

 民主党の小沢一郎前幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京第1検察審査会は15日、平成19年分の政治資金収支報告書にも虚偽記載をしたとして同法違反罪で告発され、嫌疑不十分で不起訴処分となった小沢氏について「不起訴不当」と議決したと発表した。議決は8日付。

 小沢氏をめぐってはすでに別の検審で16、17年分の虚偽記載が「起訴相当」と議決され、再度の不起訴処分を受けて検審が再審査している。同じ規正法違反事件で検審の判断が分かれる形となった。

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特捜検事が意見陳述、19年分の小沢氏不起訴処分めぐり 東京第1検察審査会
2010.7.8 11:20
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100708/crm1007081122004-n1.htm
 小沢一郎前民主党幹事長の資金管理団体の平成19年分の政治資金収支報告書について、小沢氏の政治資金規正法違反容疑の不起訴処分について審査している東京第1検察審査会が、東京地検特捜部の担当検事を呼び、意見を聴いていたことが8日、分かった。不起訴とした理由などについて説明を受けたとみられ、今月中にも1回目の議決が出される可能性が出てきた。
 小沢氏をめぐっては、16、17年分の同容疑について、異なる構成メンバーの東京第5検察審査会が先に審査しており、今年4月末、11人の全員一致で「起訴相当」と議決。再捜査した特捜部が5月に再び不起訴としたため、2回目の審査を行っている。改めて「起訴すべき」と議決すれば、東京地裁が指定する弁護士によって、強制起訴されることになる。

=============日経新聞============================

「政治とカネ」に厳しい視線 小沢氏「不起訴不当」
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E3E7E2E7EA8DE3E7E2E5E0E2E3E29191E3E2E2E2;at=ALL

小沢氏、政局で身動きとれず 検察審の議決待ち
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819691E3E7E2E2E78DE3E7E2E5E0E2E3E29C9CEAE2E2E2

小沢氏、07年分は「不起訴不当」 陸山会事件で検察審
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E3E7E2E6868DE3E7E2E5E0E2E3E29F9FEAE2E2E2;at=ALL

山口公明代表「小沢氏は国会で説明を」 「不起訴不当」議決で
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381949EE3E7E2EB8B8DE3E7E2E5E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;at=ALL

=============毎日新聞============================

陸山会事件:小沢氏側「起訴相当」出ず安堵

 民主党の小沢一郎前幹事長の資金管理団体を巡る事件で、東京第1検察審査会が07年分の収支報告書の虚偽記載容疑について「不起訴不当」と議決したことで、強制起訴につながる「起訴相当」ではなかったことに小沢氏側からは安堵(あんど)の声が漏れている。ただ、焦点は、4月に東京第5検察審査会が小沢氏の強制起訴につながる「起訴相当」を出した事件。今秋にも結論が出ると見られ、政府・民主党内には推移を見守るムードが広がっている。

 小沢氏に近い高嶋良充参院幹事長は、国会内で記者団に「小沢前幹事長は、一つの問題を大きくクリアされたものと思う」と語り、小沢氏が抱える懸案が軽減したとの認識を示した。小沢グループに所属する衆院議員の一人も「(不起訴不当の議決は)小沢氏に風が吹いている」と歓迎した。

 これに対し、菅直人首相は15日夜、首相官邸で「私の立場であれこれコメントすることは控えたい」と述べるにとどめた。枝野幸男幹事長も記者団に「私から申し上げて圧力のようなとらえ方をしたりするのは良くない」と沈黙を守った。

 野党側は与党を揺さぶる。自民党の大島理森幹事長は「参院で野党全体として過半数をいただいたので、そういう所で協議していく方法もある」と述べ、小沢氏を参院で招致することをほのめかした。

 ただ、与野党が注目するのは、小沢氏が強制起訴されるか否かの結論となる東京第5検察審査会の議決。今秋の結論が有力視されているが、9月の党代表選での小沢氏側の行動に影響するからだ。民主党内には「第5検察審査会の結論が出なければ、独自候補は擁立できない」とする声がある一方、「結論が出ないからこそ、小沢氏本人が出馬する」とさまざまな憶測が飛び交っている。【念佛明奈】

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社説:検審「不起訴不当」 小沢氏はやはり説明を
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100716k0000m070149000c.html

 市民が2度続けて検察の不起訴処分に異議を申し立てた。

 民主党の小沢一郎前幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる事件で、東京第1検察審査会が、小沢氏を不起訴とした検察の判断に対し「不起訴不当」を議決した。

 この事件をめぐっては、東京第5検察審査会が既に「起訴相当」の議決をしている。

 事件では、石川知裕衆院議員ら事務担当の元秘書ら3人が、陸山会が東京都内に土地を購入した際に小沢氏から4億円を借り入れながら、返済分も含め政治資金収支報告書に記載しなかったとして起訴された。

 第5審査会は、04~05年分の「借り入れ」時の虚偽記載容疑を審査し、第1審査会は、07年の小沢氏への「返済」時の虚偽記載容疑について審査したのである。

 両審査会の審査では、一連の事件として共通する証拠も多かったとみられるが、審査員は別であり、結果的に議決は異なった。

 審査員11人中8人以上が「起訴すべきだ」に賛成すれば起訴相当の議決となり、過半数の6人か7人の賛成ならば不起訴不当の議決となる。起訴相当の場合、検察が再び不起訴にしても、再審査して8人以上の賛成で起訴議決をすれば、強制的に起訴される。その意味で第5審査会の議決の影響力が大きいのは事実だ。

 だが、議決内容では第1審査会の方が小沢氏側に対し、より厳しい判断をしている部分がある。小沢氏側の原資として中堅ゼネコン「水谷建設」からの提供資金があった疑惑について、水谷建設側関係者の供述は具体的で信ぴょう性は高いと踏み込んでいるのだ。一方で、「秘書に任せていた」と言えば政治家の責任が問われなくてもいいのかといった指摘は第5審査会と共通する。

 まずは、議決の指摘を踏まえ、検察は再捜査を尽くす必要がある。

 また、小沢氏は今回の判断を受け止め、会見を開くなどして改めて国民に分かりやすく説明すべきだ。先月閉会した通常国会では、小沢氏が衆院の政治倫理審査会に出席する話も出ていたが、菅直人首相に代わり、選挙対応優先の中で「政治とカネ」の問題がうやむやになってしまった。菅首相や枝野幸男幹事長の対応も改めて問われる。

 検察審査会のあり方にも注文したい。どんな議論をしたのか説明がないため、証拠の内容や評価が第三者には分かりにくい。議決要旨では認定内容について数行程度の記述で「~のはずである」などと記述するが、強引な印象もぬぐえない。やはり審議について情報公開が必要だ。第5審査会の2回目の議決に向け、その方法を工夫してほしい。

=================読売新聞===========================

第1検察審議決 小沢氏不起訴にまた疑問符(7月16日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100715-OYT1T01144.htm

 民主党の小沢前幹事長に対する捜査の不十分さが、検察審査会から改めて指摘された。検察は重く受け止めるべきだ。

 東京第5検察審が小沢氏の強制起訴につながる2度目の議決を出すかどうかが注目される中、これとは別に、東京第1検察審が「不起訴不当」の議決をした。

 小沢氏の資金管理団体「陸山会」が都内の土地を購入する際に使った4億円を隠蔽
いんぺい
するため、2004年、05年、07年分の収支報告書に虚偽記入をしたとして、石川知裕衆院議員ら小沢氏の元秘書3人が起訴された。

 しかし検察は、小沢氏については嫌疑不十分で不起訴とした。これを不服とする市民らの申し立てを受け、04年分と05年分の虚偽記入については第5検察審、07年分については第1検察審が処分の妥当性を審査してきた。

 第5検察審は4月末、1度目の「起訴相当」の結論を出し、検察の再度の不起訴処分を受けて2度目の審査段階にある。次に「起訴すべき」との議決が出れば、小沢氏は強制起訴される。

 9月には民主党代表選が予定されており、再議決の時期は政治的にも関心が高まっている。

 今回の「不起訴不当」議決に対しては、検察が再捜査で不起訴とすると、2度目の審査はない。

 とはいえ、第1検察審は、「秘書に任せていた」という小沢氏の弁明を「不自然である」と言い切り、検察に、これまで以上に徹底した捜査を迫っている。

 報告書への不記載について、小沢氏に報告し、了承を得たという石川議員や別の元秘書の供述を信用できるとした上で、小沢氏に対する検察の聴取を「追及不足の印象は免れない」と批判した。

 元秘書や小沢氏から、行動を記録しているはずの手帳やメモを提出させ、事実関係の裏付けをとるよう求めている。市民から選ばれた審査員が、捜査方法にまで注文を付けるのは異例のことだ。

 検察が結論ありきの形式的な再捜査をすることに、クギを刺したということだろう。検察は捜査を尽くすべきである。

 小沢氏は、検察の不起訴処分を自らに有利に解釈し、国会でも一切の説明を拒んできた。衆院政治倫理審査会への出席も、うやむやになってしまった。

 第1検察審の議決は、小沢氏のこうした姿勢にも「ノー」を突きつけたものだ。小沢氏に重ねて求められるのは、国民への説明責任を果たすことである。

(2010年7月16日01時17分 読売新聞)

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小沢氏「不起訴不当」…検察審査会、07年分で
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100715-OYT1T00684.htm

 小沢一郎・前民主党幹事長(68)の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京第1検察審査会は15日、同会の2007年分の政治資金収支報告書の虚偽記入を巡り、東京地検特捜部が不起訴(嫌疑不十分)とした小沢氏について「不起訴不当」とする8日付の議決を公表した。

 議決は、小沢氏と元秘書らの上下関係を踏まえ、虚偽記入は「秘書が独断でなしうるとは考えられない」と指摘。特捜部に対し、小沢氏の再聴取を行うよう強く求めた。特捜部は再捜査をしたうえで、改めて小沢氏の刑事処分を判断することになる。

 小沢氏は4月、陸山会が小沢氏から借り入れた4億円で東京都世田谷区の土地を購入した事実を04年分の収支報告書に記載せず、05年分に虚偽記入したとの容疑に関して、東京第5検察審査会から「起訴相当」の議決を受けたが、今回の議決の対象は、07年5月に同会が4億円を小沢氏に返済した事実を同年分の報告書に記載しなかった容疑。

 議決によると、元私設秘書で同会元事務担当者・池田光智被告(32)が特捜部の調べに対し、07年分について「先生に返済した4億円は収支報告書には載せませんので」と小沢氏に報告し、「そうか、分かった」と了解を得たと供述していた。

 また、三重県の中堅ゼネコン「水谷建設」の元幹部が04年10月に陸山会側に5000万円を資金提供したとする供述について「具体的で信ぴょう性が高い」と判断。資金提供の事実は、同時期に小沢氏が、土地代金に充てるため用意した4億円の原資を隠蔽
いんぺい
する動機を裏付けるものだと指摘した。

 議決はまた、この4億円などを04年分の報告書に記載しなかったことについて元私設秘書で事務担当者だった石川知裕衆院議員(37)が「小沢先生に報告して了承を得た」と供述していたことにも言及し、「その信用性は相当高い」と述べた。

 そのうえで、特捜部による小沢氏の事情聴取について「追及不足という印象を免れない」と批判。小沢氏や石川被告の再聴取を行うよう求め、「これらの再捜査を経ない限り、不起訴を支持することは到底不可能」と結論づけた。

 04、05年分の収支報告書の虚偽記入については、特捜部が小沢氏を再度不起訴としたため、東京第5検察審査会が、第2段階の審査に入っており、起訴議決がされた場合、小沢氏は強制起訴される。

 再度の議決は、秋以降になる見通しだ。

 ◆不起訴不当=容疑者を不起訴とした検察官の判断に対し、検察審査会が「もっと捜査を尽くしてから結論を出すべきだ」と判断した場合の議決で、11人の審査員のうち6人以上の賛成が必要。8人以上が「起訴すべきだ」とする「起訴相当」議決の場合と同様、検察側は再捜査を行い、不起訴とした判断の是非を再検討する。ただ、起訴相当議決とは異なり、検察が再び不起訴とすると、検察審査会の第2段階の審査は行われず、不起訴が確定する。

(2010年7月16日03時04分 読売新聞)

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 小沢一郎・前民主党幹事長に対する東京第1検察審査会の議決要旨の判断部分全文は次の通り(敬称略)。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100715-OYT1T00931.htm

 【証拠関係の検討】

 (1)Aの供述について

 収支報告書への具体的な記載については、担当秘書であったC、Bらが行っており、これに関する被疑者(小沢前幹事長)の関与及び認識の有無・程度も自分には分からない旨供述しているが、陸山会の会計責任者という立場でありながら、その虚偽記載等の事実が発覚した場合に、最悪の場合、代表者の政治生命が絶たれることもあり得ることも併せ考慮すると、秘書らが勝手に処理したというようなことは考えられないことから、その点についてのAの供述は信用できない。

 (2)Cの供述について

 Cは、陸山会の04年分の収支報告書の不記載等の理由、同収支報告書の不記載等について被疑者に報告して了承を得た旨述べており、この供述の信用性は相当高いものと思われる。

 検察官は、党の代表選挙の時期が本件土地の資産計上等を1年繰り延べた理由にはならないなどとして、動機に関するCの供述の信用性に疑念を呈するが、4億円の原資を隠さなければならないと考えたCが、事実関係が表に出ることを少しでも遅くしようと考えるのは不自然ではなく、特に信用性が損なわれるとは思えない。

 また、検察官は、Cが被疑者に対し、どのような場面で了承を得たのか具体的な供述はなく、それに対する被疑者の応答も「おう、分かった」などというものであるから、被疑者がどこまでCの説明を理解していたのかも定かではないと述べて、共謀の状況に関するCの供述の信用性に疑念を呈するが、被疑者とCの上下関係を考えれば、Cとしては、被疑者が理解していることを確かめながら報告をして了承を求めるはずであり、被疑者の返答もそのことを前提にしたものと考えることができる。

 (3)Bの供述について

 Bは、本件被疑事実である07年分の収支報告書について、「先生に返済しました4億円については収支報告書には載せませんので」と報告したところ、被疑者が「そうか、分かった」と答えて了解したことを供述している。Bの立場も、前述したCの立場と全く同じであり、被疑者が理解していることを確かめながら報告をして了承を求めているはずである。

 (4)被疑者が収支報告書提出前に、C及びBから、その原案を示され、説明を受けていたという事実について

 被疑者は否定するが、C及びBは、収支報告書提出前に被疑者に原案を示して説明した旨供述している。「小沢先生の決裁を得た」という以上、被疑者がある程度は内容を理解していることが前提であると考えられるし、被疑者との間の上下関係を考えると、もし理解も得ないまま「決裁を得た」などと言えば、後日被疑者から叱責(しっせき)を受ける可能性があるので、Bらがある程度詳しく内容を説明していることが十分推認できる。

 (5)銀行からの4億円の借り入れに際し、被疑者が融資申込書や約束手形に自署している事実について

 検察官も指摘するとおり、年約450万円という金利負担を伴う経済的に合理性のないこの借り入れの目的は、Cが供述するように原資隠蔽(いんぺい)以外にあり得ないことは、通常人であれば誰しも考えることである。

 加えて、4億円もの大きな金額の借り入れに際して、手形に自ら署名していることについて、何の説明も受けることなく求められるままに書類に署名した、というのも、いかにも不自然である。検察官は、この事情が収支報告書への不記載とどこまで結びつくかについて疑義があるとしているが、今回のケースでは、被疑者が提供している資金について、その原資を隠蔽するという動機があったことは、Cの供述から明らかであり、そのような理由であえて経済的合理性を欠く行為を行っている点において、被疑者も同じ動機を共有したという根拠にはなりうる。

 (6)被疑者事務所にD社から資金提供があったという事実について

 D社関係者は、D社から被疑者事務所に資金提供をした旨供述するところ、その供述は具体的であり、その本人のみしか知り得ない事情も含まれていて、その信ぴょう性はかなり高いものであると言える。

 この資金提供の事実の存否は、一見すると本件の虚偽記載等とは直接結びつくものではないが、4億円の原資を隠蔽する必要性があったことの根拠に十分なりうるものであり、被疑者がCらとの間で動機を共有していることの裏付けになる事情である。

 (7)07年2月の記者会見等について

 被疑者は、07年2月20日、本件土地購入に関し記者会見を開いて釈明したこと、また、同年5月に自ら現金で4億円の返済を受けていることが認められる。

 被疑者が4億円という大金を直接受領しておきながら、その処理手続き等に何らの関心も持たないということは通常は考えられないことである。被疑者が現金4億円の返済を受けたという07年5月といえば、「事務所費」についてマスコミが取り上げて、釈明の記者会見が行われたり、週刊誌の取材があった時期のすぐ後である。このようなタイミングで、問題となった「事務所費」とほぼ近い4億円の現金の処理について、被疑者が無関心でいられるとは考えられない。

 これらの事情は、被疑者が政治資金収支報告書の記載内容について重大な関心を抱かざるをえないことを示しており、その後に作成提出された07年分の収支報告書については、「秘書に任せていた」というそれまでの弁解が一層不自然なものとなることは明らかである。

 【結論】

 (1)以上のとおり、検察官が嫌疑不十分の理由としてあげる事項については、被疑者との上下関係からみて秘書が独断でなしうるとは考えられない事柄であったり、被疑者の置かれた客観的状況と整合しない無関心を示す事柄であると言わざるをえない。このまま不問に付してしまえば、「秘書に任せていた」と言えば済んでしまうのか、という不満が残り、司法手続きに対する信頼を損なうことにもなりかねない。

 (2)当検察審査会としては、検察官の本件不起訴処分は、上記のような見地から再検討されるべきであると考える。その際、特に次の各点について再捜査を求める。

 ア 本件の動機に重大なかかわりがあると思われるD社からの資金提供について、これを否認するCに対する取り調べを含む、更なる追及をすること。

 イ A、C、B、そして被疑者について、自分の行動を記録しているはずの手帳やメモ等の提出を求めて、それに基づいて事実関係の裏付けをとること。

 ウ 被疑者に対する取り調べは、回数もわずか3回であり、調書の内容も「秘書がそんなことを言っているとは信じられない」で終始している感があるなど、追及不足という印象を免れないので、改めて、詳細な取り調べを行うこと。

 (3)これらの再検討、再捜査を経ない限り、検察官の不起訴処分を支持することは到底不可能であり、本件不起訴を不当と考える次第である。

 【最後に】

 当検察審査会が、本件一連の審査を行ってつくづく感じたことは、政治資金規正法は政治家にとって都合のよい、いわゆる抜け道が多くあるということであった。同法第1条に規定される目的によれば、同法は、「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われる」ために、係る政治資金の収支の公開等の規正等の措置を講じて、政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与することにあるとされているが、それには、政治家自身が、「公開された内容を知らなかった」などと言って責任を免れることを許さない制度を構築すべきである。それを達成するために、例えば、収支報告書を提出する際、宣誓書には、代表者の署名・押印を必要的記載事項とするなどの規定に改正できないかということである。そうすれば、本件のような会計責任者、同補助者と代表者との共謀の有無について問題となるような事案は少なくなるはずである。

 本件の再検討・再捜査が行われて公開の場で事実関係が論じられること自体が、同法をより実効的なものに発展させていく一助になると確信する。

     ◇

 議決中のAは小沢氏の元公設第1秘書で陸山会元会計責任者・大久保隆規被告、Bは同会元事務担当者の池田光智被告、Cは同会元事務担当者で衆院議員の石川知裕被告、D社は水谷建設

(2010年7月15日21時23分 読売新聞)

==================時事通信=============================

小沢氏、07年分は「不起訴不当」=再聴取など要求-陸山会規正法違反・検察審査会

 小沢一郎民主党前幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件で、2007年分の収支報告書への虚偽記載容疑に関して小沢氏を不起訴とした東京地検特捜部の処分について、東京第1検察審査会は15日までに、小沢氏への聴取などの再捜査を求める「不起訴不当」を議決した。議決は8日付。

 特捜部は近く改めて不起訴処分にする方針とみられ、07年分については不起訴が確定する見通し。東京第5検察審査会は04、05年分について、起訴すべきだとする「起訴相当」と議決しており、対象年によって結論が分かれた。

 議決書は、虚偽記載を小沢氏に報告し、了承を得たとする衆院議員石川知裕被告(37)の供述について、「信用性は相当高い」と判断。元私設秘書池田光智被告(32)が虚偽記載を報告し、小沢氏が「そうか、分かった」と了承したとする新たな供述も明らかにし、「両被告と小沢氏との上下関係を考えれば、ある程度詳しく内容を説明したと推認できる」とした。

 「小沢事務所に資金提供した」とした中堅ゼネコン水谷建設関係者の供述についても、「信ぴょう性はかなり高く、原資を隠す必要があった根拠になり得る」と言及した。

 その上で、「不問に付せば司法手続きへの信頼を損なう」と指摘。小沢氏への事情聴取が3回のみで、内容も追及不足だったとして、改めて聴取するよう求めた。水谷建設からの資金提供についても、石川被告をさらに追及するよう要求した。

 特捜部は07年分について、池田被告と会計責任者だった元公設第1秘書大久保隆規被告(48)を起訴したが、小沢氏は嫌疑不十分で不起訴とした。告発した市民団体が、これを不服として審査を申し立てていた。(2010/07/15-19:42)

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不起訴不当
http://www.jiji.com/jc/c?g=tha_30&k=2010071500829

 不起訴不当 検察審査会の審査員11人のうち8人以上が起訴すべきだと判断した場合は「起訴相当」となり、検察官が起訴しなければ2回目の審査が行われる。一方、6人以上が不起訴を妥当だとすれば「不起訴相当」となる。これ以外の場合は、検察官に再捜査を求める「不起訴不当」が議決される。不起訴不当となった場合、検察官は改めて処分を決めなければならない。2回議決されると強制的に起訴される起訴相当とは異なり、検察官が再度不起訴にしても、2回目の審査が行われることはない。ただし検察官が不起訴の理由を嫌疑不十分から起訴猶予に変更するなどした場合、再度の申し立ては可能。(2010/07/15-18:45)

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政権への影響「分からない」=検察審議決に官房長官
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010071500716

 仙谷由人官房長官は15日午後の記者会見で、小沢一郎民主党前幹事長の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、小沢氏を不起訴とした検察の処分は「不当」と議決した検察審査会の判断について、「所感を述べることは差し控える。検察当局は適切に対応されると考える」と語った。政権運営への影響に関しては「分からない」と述べた。(2010/07/15-17:19)

=====================朝日新聞======================

小沢氏強制起訴の是非、7月中の結論見送り 検察審査会
2010年7月15日3時4分
http://www.asahi.com/national/update/0714/TKY201007140560.html

 小沢一郎・前民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、東京第五検察審査会は14日までに、小沢氏を強制的に起訴するかどうか、7月中には結論を出さない方針を固めた。強制起訴の可否を決める2回目の議決をするのは、1回目に「起訴相当」の議決をした11人のメンバーが全員入れ替わる8月以降になる模様だ。

 審査会はくじで選ばれた市民11人で構成される。任期は半年で、3カ月ごとに半数の5~6人ずつ入れ替わる仕組み。現在の顔ぶれで審査するのは7月末までで、8月1日に5人が入れ替わる。次に6人の任期が切れるのは10月末で、8月1日からの3カ月の間に証拠を読み込んで審査する可能性が高い。このため、9月中に予定される民主党代表選の日程によっては、2回目の議決は代表選の後になる。

 審査の対象は、陸山会の2004、05年分の政治資金収支報告書をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑。

 審査会は、東京地検特捜部の不起訴処分(嫌疑不十分)を不服とした市民団体の申し立てを受け、4月末の1回目の議決で、小沢氏と元秘書らとの共謀を認定して「起訴相当」とした。しかし、5月に特捜部が再び小沢氏を不起訴としたため、2回目の審査をすることになった。

 2回目も起訴すべきだとする「起訴議決」をすれば、裁判所が指定した弁護士によって小沢氏は強制的に起訴される。起訴すべきだとした1回目の議決にかかわった審査員5人が残る顔ぶれのまま、今月中に議決が出るかどうかが注目されていた。

 検察審査会法で、2回目の審査で起訴議決をするには、担当検事から必ず意見を聴くことになっているが、審査関係者によると7月中の呼び出しはないという。

 一方、07年分の容疑については、別の市民で構成される東京第一検察審査会が、1回目の審査中。すでに担当検事から意見を聴いており、7月中に議決を出すとみられる。

 告発されたのは、陸山会が04年に約3億5千万円の宅地を購入した際に原資となった小沢氏からの借入金4億円を07年に返済した事実を記載せず、登記も05年にずらすなどした一連の容疑。

====================================================

小沢氏の07年分規正法違反容疑「不起訴不当」 検察審
2010年7月15日14時48分
http://www.asahi.com/national/update/0715/TKY201007150348.html

小沢一郎・前民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、東京第一検察審査会は、2007年分の政治資金収支報告書をめぐる小沢氏の政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑を不起訴とした東京地検特捜部の処分について「不起訴不当」と議決し、15日に公表した。議決は8日付。

 今回の議決を受けて特捜部は再捜査するが、不起訴の判断を変えないとみられる。

 小沢氏については、04、05年分の同容疑について別の市民で構成される東京第五検察審査会が先に審査し、4月末に「起訴相当」と議決した。2度目の審査で「起訴すべきだ」とする議決(起訴議決)をすれば、裁判所が指定した弁護士によって強制的に起訴されるが、07年分は1度目が「不起訴不当」にとどまったため、こうした手続きにはならない。

 小沢氏が市民団体により告発されていたのは、陸山会が04年に約3億5千万円の宅地を購入した際に原資となった小沢氏からの借入金4億円を07年に返済した事実を記載せず、登記も05年にずらすなどした一連の容疑。

 04、05年分と07年分に分けて告発があったため、特捜部もそれぞれ判断し、いずれも小沢氏を不起訴とした。審査会への申し立ても07年分は04、05年分より遅かったため、別々の審査会が担当することになった。

2010年7月11日日曜日

植草一秀 月間日本特別講演 

 植草一秀氏の月間日本での特別講演の動画である。植草氏が冤罪であろうが冤罪でなかろうがある意味ではどうでもいい話であり、元気に復帰さえしてくれたらこれ以上喜ばしい事はない。

動画を見ながら色々な思いや当時の感情が思い出されるのだが、今は何も言うまい。
検察・警察が何をし何をしてきたのか・・・いつの日か白日の下に曝け出される日が来ることを待ち望んでいる。


月刊日本特別講演会 講師 植草一秀氏紹介 司会の南丘喜八郎主幹


月刊日本特別講演会 植草一秀 始めに:政権交代を期待して来た一人だが

月刊日本特別講演会 植草一秀 P1 政権交代の大義

月刊日本特別講演 植草一秀 P2「官権政治」から「民権政治」へ

月刊日本特別講演会 植草一秀 P3 「弱肉強食社会」から「共生社会」へ

月刊日本特別講演 植草一秀 P4 企業(団体)献金全面禁止に向けて

月刊日本特別講演 植草一秀 P5 対米隷属政治の系譜

月刊日本特別講演会 植草一秀 P6 メディア支配の現状 悪徳ペンタゴンとは

月刊日本特別講演 植草一秀 P7 法の運用における「裁量」①

月刊日本特別講演 植草一秀 P7-2 法の運用における「裁量」②

月刊日本特別講演会 植草一秀 P8〜10 主権者国民政権と小泉竹中政治の大罪

月刊日本特別講演会 植草一秀 P11 日本の金融危機への対応

月刊日本特別講演会 植草一秀 P12 官僚主権構造の温存

月刊日本特別講演会 植草一秀 P13 りそな銀行処理の深い闇 (1)

月刊日本特別講演会 植草一秀 P14-15 りそな銀行処理の深い闇(2)(3)

月刊日本特別講演会 植草一秀 P16 UFJ銀行を追い詰めた金融庁の闇

月刊日本特別講演会 植草一秀 P17~18 郵政民営化の真相

月刊日本特別講演 植草一秀 P19日経平均株価(1992年1月ー2010年6月)の推移

月刊日本特別講演会 植草一秀 P20 100年に一度の金融津波の発生

月刊日本特別講演会 植草一秀 P21-22 財政デフレを回避した鳩山政権

月刊日本特別講演会 植草一秀 P23-25 菅大臣「デフレ宣言」に財務省の影

月刊日本特別講演会 植草一秀 P26 一般主要税目税収の推移

月刊日本特別講演会 植草一秀 P27/27 菅政権の基本路線



2010年7月9日金曜日

【安全保障】 日米安全保障条約と日米同盟

 外務省が、公文書の公開を7日(2010年7月)から行われ、産経が下記のような記事を書いている。基本的に、この備忘録では個人的な意見は書きたくはないのだが、どうもこの安保での対象範囲が同盟では広げられている事実に気がついていない方が多いように見うけられることから、一部意見も混じってしまうと思う。

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「朝鮮、台湾の巻き添え困る」安保改定時に対象範囲拡大を拒否 岸元首相
2010.7.8 18:06
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100708/plc1007081807007-n1.htm

 昭和35年に改定された日米安全保障条約をめぐる日米交渉で、米側が適用範囲を「太平洋地域」とする案を示したのに対し、当時の岸信介首相が賛同しなかったことが、外務省が公開した外交文書で明らかになった。この結果、現行の安保条約の対象範囲は改定前と同じ「極東」となった。

 文書は「覚」と記された手書き資料で、安保改定の文書ファイルに含まれていた。

 それによると、米側は33年10月4日に東京で始まった改定交渉で、適用範囲を「太平洋地域」とする草案を提示。また、外務省は「極東及び太平洋」とする試案をまとめた。山田久就外務事務次官(当時)が18日に岸首相を訪ね、これらの報告を行った。

 この際、岸首相は「沖縄、小笠原について米国とともに渦中に投ぜられることは覚悟しなければならないが、朝鮮、台湾の巻き添えになることは困る」と語った。

 34年5月には藤山愛一郎外相(当時)がマッカーサー駐日米大使(同)に「『太平洋地域』の問題は議会関係では極めて重要」と削除を求め、米側も応じた。

 当時は社会党などが激しい安保改定反対闘争を繰り広げており、対象範囲を拡大すれば国会承認がより困難になると判断したとみられる。

 政府は35年に極東の範囲について「韓国、台湾地域を含む」とする見解を出している。
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日米安保交渉で米側が適用範囲を「太平洋地域」とする案を示したという。しかし、岸総理が拒否をし、範囲を「極東」とし、「韓国、台湾地域を含む」という形で落ち着いたということである。

しかし、昨年(2009)春に、元駐イラン大使であり現防衛大学校教授の孫崎享氏が、「日米同盟の正体~迷走する安全保障 」を上梓してから、この日米安保の正体が見えてきた。

孫崎享氏の著書『日米同盟の正体』には、この日米安保の範囲が広げられていることが書かれている。
安保条約は1年ごとの自動延長なのだが、(いつでも、双方とも1年後に解消可能)、2005年10月29日に日本の町村外務大臣・大野防衛庁長官と米国のライス国務長官・ラムズフェルド国防長官がサインした文書「日米同盟 未来のための変革と再編」で内容ががらりと変わってしまったというもの。

外務省の文書では、相変わらず(仮訳)と書かれ、細部の微妙な言い回しをわざと隠しているのでは無いかとさえ思えてしまう。(英文は→こちら

「日米同盟 未来のための変革と再編」のポイントは下記の部分であると思われる。

========(日米同盟 未来のための変革と再編)==================

 日米安全保障体制を中核とする日米同盟は、日本の安全とアジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠な基礎である。同盟に基づいた緊密かつ協力的な関係は、世界における課題に効果的に対処する上で重要な役割を果たしており、安全保障環境の変化に応じて発展しなければならない。

日本及び米国は、日米同盟の方向性を検証し、地域及び世界の安全保障環境の変化に同盟を適応させるための選択肢を作成するため、日米それぞれの安全保障及び防衛政策について精力的に協議した。
(中略)

安全保障環境に関する共通の見解を再確認した。また、閣僚は、アジア太平洋地域において不透明性や不確実性を生み出す課題が引き続き存在していることを改めて強調し、地域における軍事力の近代化に注意を払う必要があることを強調した。この文脈で、双方は、2005年2月19日の共同発表において確認された地域及び世界における共通の戦略目標を追求するために緊密に協力するとのコミットメントを改めて強調した。
(中略)

自衛隊要員及び部隊のグアム、アラスカ、ハワイ及び米本土における訓練も拡大される。

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この中で、2005年2月19日の共同発表において確認された地域が問題となる。

2005年2月19日にワシントンで共同発表された「日米安全保障協議委員会」の記事にこの地域(範囲)が書かれているのであるが、地域(範囲)は「アフガニスタン、イラク及び中東全体」「アジア太平洋地域において」という文言の後に地域が書かれている。

地域における共通の戦略目標には、以下が含まれる。
*日本の安全を確保し、アジア太平洋地域における平和と安定を強化するとともに、日米両国に影響を与える事態に対処するための能力を維持する。
*朝鮮半島の平和的な統一を支持する。
*核計画、弾道ミサイルに係る活動、不法活動、北朝鮮による日本人拉致といった人道問題を含む、*北朝鮮に関連する諸懸案の平和的解決を追求する。
中国が地域及び世界において責任ある建設的な役割を果たすことを歓迎し、中国との協力関係を発展させる 。
*台湾海峡を巡る問題の対話を通じた平和的解決を促す。
*中国が軍事分野における透明性を高めるよう促す。
アジア太平洋地域におけるロシアの建設的な関与を促す。
*北方領土問題の解決を通じて日露関係を完全に正常化する。
*平和で、安定し、活力のある東南アジアを支援する。
*地域メカニズムの開放性、包含性及び透明性の重要さを強調しつつ、様々な形態の地域協力の発展を歓迎する。
*不安定を招くような武器及び軍事技術の売却及び移転をしないように促す。
*海上交通の安全を維持する。

ここ会見に出てくる、アジア太平洋地域とは、APECの範囲(地域)とも読み取れる。つまり、非常に広い範囲をこの会見では示唆をしている事になる。

APECのメンバーマップ

つまり、このAPECにアフガニスタン、イラク及び中東全体を含む範囲が日米同盟の守備範囲とも取れるのある。日米安保の範囲であった「韓国、台湾地域を含む」極東地域であったものが、2005年から一気にアメリカによりアジア太平洋地域&中東まで引きずり出されてしまったという事になる。もう少し懐疑的に共同会見の範囲を考えると、「海上交通の安全を維持する。」と書かれていることから、範囲(地域)は広がる可能性さえ見えてくる。

この点を孫崎享氏は、指摘をしているのである。

昨年(2009年)4月東京新聞が孫崎氏のこの本について社説を書いている。
 
筆洗  2009年4月20日

日米安保条約にとって代わった文書が存在する。こんな話をされたら「いつの間に」と不思議がる人もいよう。外交上の秘密文書ではない。二〇〇五年十月二十九日、日米の外務・防衛担当閣僚が署名した文書である▼正式な題は「日米同盟・未来のための変革と再編」という。今春、防衛大学校の教授を退いた孫崎享(うける)さんが著書『日米同盟の正体』で指摘している。外務省の国際情報局長や駐イラン大使を歴任した情報分析の専門家である▼肝心なのは冒頭部分の<緊密かつ協力的な関係は、世界における課題に効果的に対処する上で重要な役割を果たしており…>というくだり。国民の側に意識がなくとも、これで<日米の安全保障協力の対象が極東から世界に拡大された>とある▼アフリカ東部ソマリア沖の海賊対策で、海上自衛隊の哨戒機P3Cに派遣準備命令が出された。周辺に展開される自衛隊は、やがて陸海空合わせて千人規模になる。世界の課題に日米で対処する一つの事例に見える▼自衛隊の海外派遣が際限なく拡大していくのではないか。こんな危惧(きぐ)を持つ。日本から米国に対し、新たな日米安保共同宣言の策定に向けた協議を提案していたとの報道があるから、なおさらである▼自衛隊の海外派遣を、いつでも可能にする恒久法制定の布石とも分析できる。「いつの間に」とならぬよう、心していよう。

国会審議など記憶にない。こんな事でいいのか。航空自衛隊総体の司令部がこともあろうに外国軍基地である横田基地内に移るのだから常人から見れば、この世のことともおもえないことも小泉時代にはおおありなのだろう。著者孫崎氏は外務省の出身。国際情報局長の後防衛大学教授の経歴をもつ。外務省には、91年ごろまで日本の国益を第一に考える真っ当な空気があったが、その後、巧妙で執拗な米国の間接的な人事介入で米国におもねる気風が一般的になったようだ。「影響力の代理人」は日本の各界にいる。孫崎氏もその毒牙にかかったのか。私などあまり米国大使館の工作が小泉時代うまくいきすぎて、シャー時代の駐イラン米大使館とおなじユーフォリアに浸っていると警告しているのだが、はたして効くものか。日米関係への著者の懸念は本書147ページに要約されているが、第8章の核武装に関する見解も参考になる。講談社現代新書 本体価格760円
この書籍内容紹介は次のように書かれている。

アメリカの戦略が大きく変わったことをどれくらいの日本人が知っているのか?
「核の傘」は本当にあるのか?
ミサイル防衛は本当に有効なのか?
なぜ日本はいつも北朝鮮外交でアメリカに振り回されるのか?
専門家による衝撃の書!!


構成

第一章 戦略思考に弱い日本
日本に戦略思考がないと明言するキッシンジャー/シーレーン構想の真の目的/
統幕議長ですらシーレーン構想の意図を理解できなかった/上兵は謀を伐つ

第二章 二一世紀の真珠湾攻撃
ブッシュ政権はテロ予告情報になぜ反応しなかったのか/
陰謀は悪ではない/北方領土の利用価値

第三章 米国の新戦略と変わる日米関係
ソ連の脅威が消滅するショック/ソ連崩壊後の最大の脅威は日本/
米国が警戒した樋口レポート/新たな日米安全保障関係の構築

第四章 日本外交の変質
日本外交はいつから変質したか/「同盟の非対称性」をどう見るか/
日本はなぜ「日米共通の戦略」の道を邁進するか/日米関係を変える中国という要因

第五章 イラク戦争はなぜ継続されたか
米国の各種戦略とイラク戦争/駐留長期化は治安維持に寄与しない/
戦争が継続された二つの要因

第六章 米国の新たな戦い
オサマ・ビン・ラディンの戦いの目的/コーランの教えは過激か/
ハマス・ヒズボラへの対応が中東和平への道/

第七章 二一世紀の核戦略
核兵器の限定的使用を模索したブッシュ政権/ジョセフ・ナイの論理/
戦争に勝利する手段としての核兵器/一九六〇年代の核戦略に学ぶ

第八章 日本の進むべき道
核兵器保有は日本の安全保障拡大に利さない/米国の北朝鮮政策を読み違える日本/
ミサイル防衛は有効か/グローバリズムと抑止効果/国際的に高い評価を得る日本

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この東京新聞の記事にすぐに反応をしたのが、天木直人氏であった。氏のブログには次のように書かれている。氏の個人的な考えもあろうと思われることから、あえて一部を引用せず全文を転載しておこうと思う。http://www.amakiblog.com/archives/2009/04/21/

ついに東京新聞が「日米同盟の正体」を取り上げた


 ついに大手新聞が取り上げた。4月20日の東京新聞は一面の社説「筆洗」で孫崎享氏の著書「日米同盟の正体」(講談社新書)について書いた。しかもその著書の核心部分である「日米安保条約は外務官僚の手で国民の知らない間に書き換えられていた」という事を正面から指摘した。

 東京新聞の社説はこういう書き出しで始まっている。

 「日米安保条約にとって代わった文書が存在する。こんな話をされたら『いつの間に』と不思議がる人もいよう。外交上の秘密文書ではない。2005年10月29日、日米の外務・防衛担当閣僚が署名した文書である。正式な題は『日米同盟・未来のための変革と再編』という・・・」

 問題はこの社説の意味をどこまで読者が、国民が、理解できるかということである。

 そのためにも、この社説がきっかけとなって他の大手新聞、メディアがこの問題を次々と取り上げられていかなければならない。
 
 外交・安保問題を専門とする学者や評論家が「日米同盟の正体」の著書の内容の是非について正面から論ずるようにならなければならない。

 その事によって、結果として何も知らなかった国民の頭の中に問題意識が芽生えるようにならなければならない。

 果たしてそうなるだろうか。残念ながらそうはならないだろう。政府・外務省、防衛省は孫崎氏の「日米同盟の正体」が論議されるようになって困るのだ。だから必死に押さえ込むだろう。朝日新聞などは決して孫崎氏の著書を持ち上げはしないだろう。

 孫崎氏の著書「日米同盟の正体」が正しく評価される日本にならなくてはならない。すべては国民の覚醒にかかっている。

 
 朝日新聞の劣化は目を覆うばかりだ

 たとえば4月19日の新聞各紙を読み比べでみて、今更ながら朝日新聞の劣化を痛感した。

 東京新聞は、今年の7月末に、韓国が(北朝鮮ではない。念のため)、人工衛星搭載のロケット打ち上げを計画していること、それが日本の領海上空を通過することで日韓両国が最終調整していることがわかった、とスクープしている。政府は、北朝鮮のミサイル発射で大騒ぎする一方で、韓国のミサイルが領海上空を飛ぶ事については口をふさいで国民に隠していた、ということだ。

 産経新聞は、北朝鮮がミサイル発射前の3月に、米政府がカーター前大統領を極秘裏に訪朝させて北朝鮮に発射実施を思いとどまらせようとしていた事を教えてくれている。 やはり米国は米朝協議を重視していた。これからも米朝協議を模索するだろう。ますます日本は蚊帳の外に置かれることになる。

 日経新聞は、訪米中の安倍元首相が、ワシントンでの講演会で、同行した民主党の前原誠司副代表の名前を出して、「前原さんが民主党政権で首相になれば、自民党とほとんどかわらない」、などという発言をしたことを報じていた。その発言の内容もさることながら、政権を投げ出した安倍元首相はどの面をさげて訪米できるのか。

 毎日新聞は、東京で開かれているパキスタン支援会議に出席中の米国特別代表ホルブルック氏が、東京の外国特派員協会で会見し、「アフガニスタンとパキスタンのテロリストたちが東京など世界主要都市への攻撃を計画しているのは間違いない」と発言したと報じている。 とんでもないウソの脅迫発言だ。他の主要都市はいざ知らず、日本が反米、反イスラエルのテロに狙われるはずはない。狙われるとしたら米国に加担させられたからだ。

 これらの記事の一つ一つは重要な問題を含んでいる意味のある記事だ。

 それにくらべ朝日新聞には興味ある記事がまったくない。それどころか一面トップで報じられている記事といえば、家電販売大手「ベスト電器」の郵政不正事件であり、舟橋洋一主筆とガイトナー米財務長官とのインタビュー記事である。

 前者は西松事件と同じ構図の民主党叩きであり、後者は舟橋主筆の宣伝インタビューでしかない。内容はまるでない。そもそもガイトナー米財務長官で米国の金融危機が乗り切れるのか。

 朝日新聞はもはや購読に値しない新聞になりさがりつつある。毎日熱心に大手新聞を読み比べている私がそう思うのだから間違いない。


 朝日新聞の経営陣は読者の声に謙虚に耳を傾けるべきだ


 朝日新聞の劣化について書いたところ複数の読者から、自分もそう思っていた、ながらく愛読してきたがついに購読を止めることにした、などなどの意見が寄せられた。

 朝日の愛読者だからこその意見であろう。朝日新聞の経営者はそのような貴重な読者の声に謙虚に耳を傾けるべきだと思う。

 われわれが新聞に期待するのは、迅速で正確な事実の提供である。しかしそれだけであれば新聞は一つでいい。

 われわれが新聞に期待するのは、同時にその事実の背後にある解説であり、論評である。そしてその解説、論評記事の中にこそ、各新聞社の存立意義があるのだ。その拠って立つ主義、主張が失われればどうなるか。

 かつての朝日新聞は、権力を監視し、平和、人権を尊重するリベラル紙を標榜していた。その考えに共感するからこそ読者は朝日新聞を購読していたのだ。その基本的な軸が、いつの間にぼやけ、ついに権力側に与するようになってしまった。

 読者が離れるのも無理はない。朝日新聞を購読する意味はなくなったと多く読者が思うゆえんである。
 それにしても、朝日新聞は変わった。変わっただけでなく紙面がおどろくほどに劣化した。朝日に一体何が起こったのであろうか。

 
 政治の軸にならない貧困問題

 東京新聞に時々掲載されるロナルド・ドーア氏の「時代を読む」という論評がある。彼の肩書きは英国ロンドン大学政治経済学院名誉客員である。その論評に私は共感を覚える事が多い。4月19日の「政治の軸にならない貧困」という見出しの論評もそうであった。

 彼は、先日発表された麻生首相の緊急経済対策について、小泉・竹中路線から転向し、供給面の規制撤廃より、総需要刺激策のほうが景気対策にとって必要だ、やっと麻生首相はそれに気づいたか、めでたい、めでたい、と皮肉交じりに一応は歓迎してみせる。

 私が注目したのは、その後に続く次のくだりだ。

 彼は56.8兆円のうち、雇用対策費は4.4兆円、金融対策費はその十倍の44.8兆円である、と指摘した上で、『麻生政権の関心の優先順位はそんなもんか』と失業者は怒らなければならないと言う。

 他の先進国、特にアングロサクソンの国でも、新自由主義に基づく「制度改革」による不平等化は見られるが、日本で不思議な事は、この不平等の問題が政党政治の重要な軸にならないことだ、と言う。

 貧困関係の本が書店にあふれ、メディアの関心も外国に比べ強いにもかかわらず、日本では貧困・再配分の問題が政治論争の主要軸にならないという。

 ドーア氏はその理由については何も書いていない。それどころか、この論評を、「なぜだろう」という問いかけで終えている。

 なぜだろうか。その答えは勿論私にもない。しかしいくつかの問題提起はできる。

 労働組合をバックに持つ社民党や共産党は、湯浅誠を自らの政党の候補者としてなぜ取り込もうとしないのか。彼を政治家にさせ、この国の雇用問題、所得格差問題について政治の場で活躍させれば間違いなく雇用、失業問題は政治の中心課題となるだろう。

 もし湯浅誠がそのような誘いを受けているのならば、みずからのライフワークを完成させるためにも、彼の支持者と一緒に政治の場で活躍すべきだ。もし湯浅が社民党や共産党のような既存政党に飽き足らないのであれば、湯浅新党を立ち上げて政治に風穴をあけるべきである。

 もし社民党や共産党が湯浅誠とその背後にいる派遣労働者を政治の中に取り込もうとしないのなら、社民党や共産党の雇用対策、失業対策は口先だけと言うことだ。政治を、貧困問題の真の解決よりも、自分たちの組織存続、拡大を優先しているということだ。

 そしてもし湯浅誠が、あくまで政治から距離を置き、貧困問題の解決は政治家の仕事だ、と突き放しているのなら、政治の力を過小評価しているということだ。自らが政治家になったときに及ぼしうる影響力に気づいていないということだ。

 貧困問題が政治の軸にならないようでは、その真の解決はおぼつかない。これだけははっきりしている。

  政治の軸にならない平和問題と国民新党の役割


 私は、ロナルド・ドーア氏の論評を引用して、この国では貧困問題が政治の軸にならない、政治家は誰も本気になって貧困問題を政治の場で解決しようとしない、国民もまたそれを政治に要求しない、と書いた。

 同様のテーマはもう一つある。それは平和の問題である。平和もまた政治の対立軸になっていない。

 政治家は憲法9条を踏みにじる政府・官僚を本気になって追及できない。国民は平和の問題を政治の主要テーマにしない。

 これは由々しい事だ。我々の生活の基本である憲法9条(平和)と25条(生存権)が、政治の軸にならないのである。

 ここ数ヶ月間、与野党は解散・総選挙絡みの駆け引きばかりに終始し、国会において、平和の問題もまた放置してきた。

 米海兵隊のグアム移転協定しかり。海賊対策法しかり。いずれも重大な憲法9条違反の法案であるにもかかわらず、まともな審議が行なわれないまま急いで成立させられようとしている。

 しかも政府は国民に嘘をついてまで成立を急いでいる事が明るみになったと言うのに、である。

 たとえば沖縄からの米海兵隊削減計画である。我々は8000人削減されると繰り返し聞かされてきた。そのように報道されてきた。しかし4月3日の衆院外務委員会で、外務省の梅本和義北米局長は、社民党辻元清美氏の質問に対し、それが嘘である事を認めた(4月9日朝日新聞)。07年9月時点での在沖縄海兵隊の実数は1万3200人という。その数が1万人になるだけなのだ。わずか3200人の削減に過ぎない。その見返りに膨大なグアム移転費を負担させられようとしている。国民に十分な説明がないままに国民の税金が使われようとしている。

 海賊対策法の嘘もまた明らかになった。4月19日の東京新聞は、ソマリア沖に派遣されている海上自衛隊がこれまでに警護した日本関係船舶は、政府が説明していた数の3割程度しかなかったことをスクープしている。不景気によって航行する日本関係船舶が急減しているのだ。

 本来ならば派遣そのものを見直さなければならないのに、現実は逆だ。政府は海賊対処法の成立を強行しようとしている。

 政治は何をしているのか。護憲政治家は何をしているのか。共産党や社民党の政治家が怠慢だとは言わない。圧倒的に少数なのだ。非力なのだ。そして雇用問題と同様に、野党第一党の民主党が動かないのだ。

 そのような中で、私は国民新党の動きに注目している。4月21日の新聞各紙は、国民新党の亀井久興幹事長が横浜市で記者会見し、一旦受け入れた民主党の海賊対処法修正案にもとづく与党との修正協議から、国民新党は離脱する方針を決めた、と報じた。海上自衛隊の海外派遣に反対する社民党との連携を重視して方針転換したという。

 国民新党は平和の政党になったのか。そういえば国民新党の亀井静香代表代行の最近の発言を聞いていると、平和外交の重要性を言い出し始めた。国民新党は平和の政党に脱皮しようとしているのだろうか。そうだとすれば私はそれを歓迎する。

 やがて国会で海賊対策法案をめぐる審議が始まる。私は国民新党が民主党より憲法9条に忠実な立場を取ろうとしている事に注目している。

 保守的な国民新党が平和を標榜する政党になれば、より幅広く国民に訴える事が出来るのではないか。護憲・平和問題が左翼イデオロギー政党の独占物でなくなった時こそ、護憲・平和問題が政治の軸になる時かもしれない。国民新党の活躍に期待したい。


先日も、朝日新聞や産経が日米同盟を50年と書いていたのだが、新聞社自体が「日米安保」と「日米同盟」をごちゃ混ぜにしているのであろうか。日米安保では極東アジアが範疇であったものが同列で日米同盟という言葉を用い「錯覚のうちに」世界中に自衛隊が派遣できるとした「日米同盟」を根本から見直さなければならないように思えてならない。