平成22 年度税制改正大綱
http://www.cao.go.jp/zei-cho/etc/pdf/211222taikou.pdf
http://www.cao.go.jp/zei-cho/etc/pdf/211222taikou.pdf
法人税 「40%は高い」といいながら実は…
ソニー12% 住友化学16%
日本のトップ大企業の利益にかかる法人課税の実際の負担率が優遇措置によって30%程度であることが本紙の試算でわかりました。日本経団連は現在40%の法人実効税率が高すぎるとし、減税を要求していますが、大企業が払っている税金ははるかに低いのが実態。法人税減税の財源を消費税増税に求めるのは身勝手すぎます。
優遇税制で大まけ
平均3割
試算は大企業に対する優遇税制が一段と強まった2003年度から09年度の7年間を対象にしています。経常利益の上位100社(単体)で負担率は平均33・7%でした。
財界は法人税の実効税率を25%に引き下げるよう政府に要求していますが、日本経団連の会長企業、住友化学が払っている法人課税の負担率はわずか16・6%でした。前会長の企業、キヤノンは34・6%です。
自動車メーカーでは最大手のトヨタ自動車が30・1%、本田技研工業は24・5%でした。電機ではパナソニックが17・6%、ソニーが12・9%。鳩山由紀夫前首相が大量の株式を保有していたブリヂストンは21・3%でした。
大企業は研究開発減税で大幅な恩恵を受けるほか、海外進出を進めている多国籍企業には外国税額控除などの優遇措置があり、40%の税率は骨抜きにされています。
法人実効税率は国税である法人税に地方税である法人住民税、法人事業税を加えた税率です。この試算では、景気変動の影響を除くため各社の決算データから7年間の税引前当期純利益と法人3税の合計額で実際の負担率を計算しました。銀行・証券・保険業と純粋持ち株会社は除きました。
日本経団連の税制担当幹部
「法人税は高くない」
「日本の法人税はみかけほど高くない」と財界の税制担当幹部自身が認めています。
阿部泰久・日本経団連経済基盤本部長は税の専門誌『税務弘報』1月号で、法人税について「表面税率は高いけれども、いろいろな政策税制あるいは減価償却から考えたら、実はそんなに高くない」との見解を表明。「税率は高いけれども税率を補う部分できちんと調整されている」と説明しています。
阿部氏はまた別の専門誌『国際税制研究』(2007年)で、大企業の実際の税負担率が高くない理由について二つの要因を指摘。一つは、研究開発減税や租税特別措置などの政策減税。製造業では「実際の税負担率はおそらく30%台前半」。もう一つは、大企業は「税金の低い国でかなりの事業活動を行って」いることから、「全世界所得に対する実効税率はそれほど高くない」。そして、「他の国がもっと税率を下げてしまったので、調整が必要だというのは建前的な発言」だと、明かしています。
研究開発減税 企業が製品開発や技術改良のために支出した試験研究費の一定割合を法人税額から差し引ける制度。研究開発費の多い大手製造業に得な制度です。減税額の9割程度が資本金10億円以上の大企業。2007年度決算データから推計するとトヨタ自動車は822億円、キヤノンは330億円の減税です。
外国税額控除 海外に進出した日本企業が外国で法人税を払う場合、その分を日本で払う法人税から差し引く制度。外国企業に優遇税制を敷いている途上国で法人税の減免措置を受けた場合でもその分を払ったとみなして控除される場合があります。
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「日本の消費税率は低い」は大ウソ
【政治・経済】
2010年6月26日 掲載
http://gendai.net/articles/view/syakai/124824
財務省の論法にダマされるな!!
●税率を単純比較するのはナンセンス
菅首相が突然ブチ上げ、参院選の争点に急浮上してきた消費税率の引き上げ論議。財務省がよく使うのが、「世界でも日本の消費税率は低い」という“解説”だ。しかし、これにダマされたらダメだ。とんでもないカラクリがあるのである。
消費税を導入している国は現在、145カ国。財務省のホームページを見ると、日本と主要国の消費税を比較する資料があり、日本の5%に対して、フランス19.6%、ドイツ19%、イギリス17.5%、スウェーデン25%――などとなっている。数値を見れば、日本の税率が低く見えるが、そんな単純な話ではないのである。
「主要国の多くは、食料品など生活必需品の税率を軽くしています。イギリスでは食料品、国内旅客輸送、医薬品などの税率はゼロ。フランスも新聞、医薬品の税率は2.1%です。アイルランド、オーストラリアも食料品の税率がゼロ。日本のようにすべての国民を対象に、日用品も贅沢品も関係なく一律に分捕る制度ではないのです」(経済ジャーナリスト)
一概に比較できない数値を“喧伝”して「増税やむなし」の雰囲気をつくろうとする財務官僚には注意した方がいい。税収(国税)に占める消費税の割合を比べると、日本の36.3%に対して、イギリスは38.4%。日本の2倍の消費税(10%)のオーストラリアは26.8%だから、日本国民の消費税負担が極端に軽いワケではない。
「『日銀貴族』が国を滅ぼす」の著者で、旧日本長期信用銀行出身の経済評論家・上念司氏はこう言う。
「米国・カリフォルニア州では家の売買に消費税はかからない。課税対象が限定されている国と、すべてに課税される日本を比べて消費税率を論じるのはおかしいのです。これは『日本の法人税率は高い』という言い方にも当てはまる。ナフサ原料の非課税(約4兆円規模)などの税制優遇があるのに、法人税だけを見て、日本の企業の税負担は大きいというのは乱暴です」
仮に消費税増税の方向に向かうとどうなるのか。
「増税で財政再建した国はどこもありません。EU統合の際、財政赤字を減らすために各国が取った方法には『歳出削減』と『増税』の2通りあったが、増税を選んだのは(事実上破綻した)ギリシャとイタリアの2カ国でした。デフレ下の日本で増税すれば、さらにモノが売れなくなり、税収も落ち込む。官僚たちの言い分を信じてはいけません」(上念司氏)
菅首相にはもっともっと説明を求めなければダメである
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税理士 今村 仁
ITに関する税制知識に定評のある税理士・今村 仁氏がマネジメント層が知っておきたい最新のIT税制について、解説を行なう。
第5回 中小企業に手厚い平成20年度税制改正大綱のポイント
2007年12月13日、自民党が「平成20年度税制改正大綱」を発表しました。この税制改正大綱は2008年4月に改正する予定の税制の基本プランであり、これを読み解けば、今後の税制が企業活動にどのような影響を及ぼすか推測できます。今回は、この税制改正大綱の中で、特にマネジメント層が知っておくべき項目に焦点を絞り、解説します。
ただし、注意点が1つ。例年ならば、税制改正大綱は閣議決定後、国会審議を経て、ほぼ素案どおりのものが決定されます。しかし、今年は衆議院と参議院でそれぞれ第一党が違う「ねじれ国会」となっているため、発表された税制改正大綱がそのまま4月の税制改正に反映されるかが不透明です。そのため、今回の解説する内容が4月以降、実際の税制として施行されるかどうかは現時点では不明である点をご理解下さい。
適用枠が拡大される情報基盤強化税制
まず、注目すべきは「情報基盤強化税制」に関する改正です。この税制は優れたセキュリティ機能を搭載した情報システムへの投資を企業に促すもので、今年度いっぱいで終了される予定でしたが、その期間が2年間延長され、その内容も以下の3つの点から見直されています。
(1)中小企業の適用条件の緩和
(2)新たな情報システムが対象に
(3)SaaS・ASP事業者への適用
まず、(1)の中小企業の適用条件の緩和についてです。これまでこの税制が資本金1億円以下の青色申告法人で適用されるためには、ITシステムへの投資が「年間300万円以上」必要でしたが、この改正案では「年間70万円以上」に引き下げられています。たとえば、これまで年間250万円ほどのシステム投資を行なっている中小企業では、この税制の恩恵を受けられませんでしたが、今回の改正が行なわれれば、投資額の約7%にあたる年間17万5000円の税額控除が受けられます。
ただし、資本金10億円を超える大企業に対しては逆に条件が厳しくなり、年間200億円を超えたIT投資に関しては、この税制の対象から外れます。
次に(2)の対象となる情報システム追加ですが、新たに「部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウェア」を対象資産として追加するようです。政府は日本企業におけるIT利用の実態として、個々の部門で最適化されたシステムを導入していながら、全体最適を促すような部門間の情報システムの連携が不足していると考えているようです。そのため、部門間連携を図るためのミドルウェアのようなソフトがこの税制の適用対象に加えられるでしょう。
また、この改正案では(3)のように、政府が力を入れているSaaS・ASP事業者を、この税制の適用対象に含めると明記しています。
これまでの情報基盤強化税制は、あくまで自社の情報システムに対する投資に限られていました。そのため、SaaS・ASP事業者がユーザーに提供するサービスのためのシステム投資には適用されませんでした。SaaS・ASP事業者はこの税制を活用することで、セキュリティ面を強化したシステム基盤を構築できます。政府はこの改正によって、SaaS・ASP事業者だけでなく、サービスを利用するユーザー企業に対するセキュリティ強化も目的としているのでしょう。
適用のハードルが低くなった人材投資促進税制
教育訓練費に対する税制上の優遇措置である「人材投資促進税制」も適用条件が緩和され、企業のさらなる活用が期待できそうです。現在の税制が適用されるには、企業の教育訓練費の金額が、「過去2年分の教育訓練費の平均」より上回る必要がありました。しかし、改正案では、教育訓練費が「労働費用」の0.15%を超えれば、この税制が適用されるようになります。労働費用とは、企業が労働者を雇用する上で支払うものすべてを指し、給与だけでなく、健康保険や教育訓練費などを含んだものです。
税額控除率は労働費用における教育訓練費の割合に応じて、8%~12%までとされています。たとえば、従業員500人の企業が1人あたり年間3万円を人材教育に投資したとします。この企業が労働者1人当たりに支払う労働費用を450万円とすると、労働費用における教育訓練費の割合は450万円÷3万円で0.67%となり、0.15%を超えているので税額控除が適用されます。
具体的な控除率は以下の計算式で求められます。
控除率=8%+(教育訓練費÷労働費用-0.15%)×40
上記の例をこの式にあてはめてみると、
8%+(3万円÷450万円-0.15%)×40=28.8%
となりますが、控除率の上限は12%ですので、一人当たりの控除額は
3万円×12%=3600円
となります。これだけだと、あまり大きな減税には思えませんが、社員が500名いれば年間180万円が税額控除されるわけです。従業員一人あたり年間2~3万円の教育訓練費用を投じる企業は珍しくないため、多くの企業で活用できる税制になるでしょう。
なお、現行の税制では企業の規模に関係なく適用されていましたが、この改正案では資本金1億円超の企業は対象外とされているため、4月以降この税制を利用できなくなります。
中小企業の競争力強化を狙う平成20年税制改正大網
ここまで見てきてわかるように今回の税制改正大綱は、大企業に対しては、情報基盤強化税制の適用上限を設定したり、人材投資促進税制の適用が受けられなくなるなど、優遇措置を大きく見直しています。その一方で、中小企業が今まで以上に利用しやすい税制に変わっています。
このような中小企業優遇の動きは他の税制でも見られます。この3月で終了するはずだった中小企業を対象とした減税措置である「中小企業投資促進税制」や「少額減価償却資産の特例」についても期限が2年間延長される予定です。
大企業が軒並み最高益を達成していながらも、中小企業はまだまだ十分な成長軌道に乗っていないという日本経済の実態を踏まえ、政府は中小企業の投資を促すための優遇措置を準備しています。こういった政府の動きを捉えながら、適切な投資を行なっていくことが今の経営者に求められているといってよいでしょう。
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