日米間での密約に鈍感になりだしたように思えてしまう。核再持込はじめとし過去の密約を「現在は生きていない」とする外務省の根拠しのものを疑ってみる必要があるのなら、一度すべてを公にして其処から再構築をするしか方法はないだろう。
基地管理権で密約 米軍権限弱めた60年地位協定
2010年4月28日
【東京】日米地位協定3条の米軍基地の管理権をめぐり、1960年に旧協定(行政協定)から現協定に変わった際、基地運用のあり方について「(米側が)権利、権力、権能を有する」とした文言を「すべての措置を執ることができる」にあらため、米側の権限を弱めるように表現を緩和したが、実際は旧協定で定めた権限を変えずに引き継ぐことで日米が秘密裏に合意していたことが27日、分かった。
60年1月6日に藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が署名した秘密了解文書に記されていた。文書は、日米関係研究者の新原昭治氏が2008年に米国立公文書館で入手した。新原氏は「米軍特権の中身を変えずに継承され、基地運用に日本が及ばない根源的なよりどころとなっている」と指摘。嘉手納基地の深夜・早朝の米軍機飛行など「米側が思い通りに使える背景にある」とした。
旧協定は、米側の権限の例示として(1)施設・区域を浚渫(しゅんせつ)や埋め立てする(2)必要な港湾、水路、道路、橋などを造る(3)施設・区域内や近くの水上、空間、地上で軍事上必要とされる船舶、航空機、車両の離着陸・操作を管理する―などとされた。
1960年6月、米国務省が米議会に説明した資料では「米国の権利は、現協定の文言のもとで旧協定(の内容)と変わることなく続く」と明記。新原氏は「例示された以外にも管理権の範囲は無限に広がる。米軍の自由使用を秘密合意は保障している」と指摘した。
しんぶん赤旗から
米軍基地権でも密約
新原氏暴露 旧安保の特権温存
1952年発効の旧日米安保条約下で米軍に基地の使用や運営などのために必要なあらゆる「権利、権力、権能」が与えられていた問題で、現行の安保条約のもとでもそうした米軍の基地特権が引き続き堅持されることを日米両政府が秘密了解覚書を結び、確認していたことが、初めて分かりました。国際問題研究者の新原昭治氏が27日、日本平和委員会主催のシンポジウムで明らかにしました。
旧安保条約に基づく行政協定3条1項は、米軍が基地内で「設定、使用、運営、防衛又は管理のため必要な又は適当な権利、権力及び権能を有する」と規定していました。しかし、行政協定は60年の安保改定に伴って日米地位協定に代わり、同条も基地内で米軍は「設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」という規定になり、「権利、権力、権能」という文言が消えました。
ところが、新原氏が入手した米政府解禁文書によると、「日本政府は、(地位協定)3条1項の新しい文言のもとで施設及び区域内の米国の権利を変更しないままにすることを文書で確認」することで合意。60年1月6日に当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が、「米軍の施設・区域内での米国の権利は、地位協定3条1項の改定された文言のもとで、行政協定のもとでと変わらなく続く」とする秘密了解覚書に頭文字署名をしました。
当時、日本政府は行政協定の改定などをもって日本の自主的権限があたかも強まったかのように説明しました。しかし、協定の文言の手直しが行われたにもかかわらず、米軍基地の治外法権的な実態は旧安保条約下とまったく変わりませんでした。
新原氏が明らかにした密約は、その根本原因を明らかにし、米軍基地問題での日本政府のアメリカ言いなりの実態を示すものです。
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日米地位協定
前文
日本国及びアメリカ合衆国は、千九百六十年一月十九日にワシントンで署名された日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条の規定に従い、次に掲げる条項によりこの協定を締結した。
第三条
1 合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なす
べての措置を執ることができる。日本国政府は、施設及び区域の支持、警護及び管理のための合
衆国軍隊の施設及び区域への出入の便を図るため、合衆国軍隊の要請があつたときは、合同委員
会を通ずる両政府間の協議の上で、それらの施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領
水及び空間において、関係法令の範囲内で必要な措置を執るものとする。合衆国も、また、合同
委員会を通ずる両政府間の協議の上で前記の目的のため必要な措置を執ることができる。
2 合衆国は、1に定める措置を、日本国の領域への、領域からの又は領域内の航海、航空、通
信又は陸上交通を不必要に妨げるような方法によつては執らないことに同意する。合衆国が使用
する電波放射の装置が用いる周波数、電力及びこれらに類する事項に関するすべての問題は、両
政府の当局間の取極により解決しなければならない。日本国政府は、合衆国軍隊が必要とする電
気通信用電子装置に対する妨害を防止し又は除去するためのすべての合理的な措置を関係法令の
範囲内で執るものとする。
3 合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払つて
行なわなければならない。
第三条に関する合意議事録
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