1 <報道・記事執筆の基本>
2 正確さとスピード
3 誰のために書くのか
4 <見出し>
5 1. スナップ、見出しに使う記号
6 2.見出しの注意点
7 3.ニュースソースの表示方法
8 4.見出しの具体例
9 <記事本文(クオートなど)>
10 <引用文と意訳文>
11 <句読点と修飾語>
12 <接続詞、受身、繰り返し>
13 <用語ルール>
14 <マーケット記事について>
15 <記事の署名>
16 <インタビュー>
17 <調査記事のルール>
18 <スナップからUPDATEまで>
<報道・記事執筆の基本>
正確さとスピード
正確さをスピードのために犠牲にしてはならない。
もしロイターが正確な報道機関としての評価を失うことがあれば、全てを失うことになる。
記事の訂正に正直であるというロイターのポリシーは、正確さを期するという読者へのコミットメントである。
固有名詞や数字など典型的な訂正が出る場所を二重にチェックすること。記事は公平でバランスがとれているか、また記事の構成(書き方)も公平でバランスのとれたものになっているかを出稿する前に確認しなければならない。
記事の正確性とは、正しい事実をつかむことだけではなく、信頼できるソースによる事実の解説(意味付け)のバックアップが必要である。
誰のために書くのか
記事を実際に書くときはもちろん、取材のときも読者のことを考えなくてはならない。ロイターの読者とは、複数のメディアを使ってニュースをみている金融の専門家や、教育水準が高く、世界の情報や金融や政治に関心ある読者のことである。
スナップはターゲットとなる読者を念頭に配信するべきであるし、一部の記事は特定分野の読者向けだけに書かれるかもしれない。しかし、ロイターの記事は特定のマーケットや国を超えて読まれることがあると認識しなくてはならない。高いレベルの意味付けや背景を記事に入れることが必要になる場合がある。
読者が当該記事に関する話題に詳しいと想定して記事を書いてはならない。原則的にテクニカルな専門・業界用語は文中で説明することが必要である。
望ましい記事構成
I. 見出し:ニュースで最重要な情報、ソース
II. リード:全文の要約
III. サポート:リードを補完する詳細な情報
IV. クオート:ゴールデンクオートを追求。2行程度
V. コンテクスト:意味づけ(今後や他方面への影響、見通し、課題なども)
VI. バックグラウンド:追加的な情報
文章構成・各論
<見出し>
見出しは記事の内容全てを凝縮して伝える。最良の見出しを提供できれば、読者はその後記事を読む必要がないといっても過言ではない。32文字以内という制約の中で、要点を端的に表現するものでなければならないが、短ければ短いほど良いというものではなく、32文字を最大限に活用し、そのスペースに最大量の情報を盛り込む。
1. スナップ、見出しに使う記号
= 主語やニュースソースの明示
─ ソースを2つ入れる場合(新聞の引用など)例:利上げする─FRB議長=新聞 「 」 抜き出して伝えることで意味付けを図るような場合カッコでくくる。製品名なども。( ) 統計のスナップで事前予想や過去の数字を入れる場合などに使う。 : 「こうみる」のほか、訂正、参照、ワッペンなどの場合のみ “ ” 原則として使わない。
2.見出しの注意点
見出しの数字は原則として半角、「GDP2次速報」や「M2+CD」といった数字も半角。但しG7など固有名詞は例外。見出しのアルファベットは全角。
長文は避ける。句点「、」を入れることで読みやすさを工夫する。「、」は一回のみの使用とする。
時期を明示している場合や将来に関することと明確にわかる場合には「へ」を付けない。
統計ニュースなどは数字を入れるのが基本。 例:×外国人保有比率が過去最高(半数なのか4分の一なのか程度がわからない) ○外国人保有比率、最高の23.7%に
市場が注目している要人の発言はできるだけ正確に発言を伝えるようにする。ただし、わかりにくい言い回しや、言い換えたほうが発言趣旨を正しく使えることができる場合は記者が判断し言い換える。
感情的な表現や過剰な修飾語は使わない。 例:利益が劇的に上昇 「劇的」は感情移入が強すぎ、かつあいまいな表現。何を示すのか不明。劇的な上昇とはどのような上昇か、明確に示すことが必要。
主観的な形容詞は避ける。
利益など量は増加/減少、指数などは上昇/低下。 原則32文字(64バイト)以内、但しタグ([外為マーケットアイ]など)や固有名詞が長い場合は最大40文字(80バイト)までとする。
3.ニュースソースの表示方法
基本型 1)ニュースソースは必ず明示する。 2)ソースの位置は、情報源であれば見出しの末尾に置く。 例:経済は良好=官房長官 2)主語と情報源が同じ場合は見出しの冒頭におく。 例:トヨタ、設備投資を増額
ニュースソースもしくは主語はできるだけ、文頭に置く。特に本文やUPDATEの見出しではスナップの形にとらわれず、主語を冒頭におく構成を考える。
例: ☓ 来年1月以降の国内線の運賃値上げを検討=原油高でJAL ○ JAL、原油高受け来年1月以降の国内線運賃値上げ検討
企業の社長発言は、社長の発言=会社の計画というのが明らかなので「=社長」を除いてもよい。しかし「量的緩和解除を歓迎する=トヨタ社長」という場合は、社長の意見とも言えるので「トヨタ、量的緩和解除を歓迎」とするのは避ける。ケースごとに適切に判断する。
ニュースソースの表示として、「関係筋」「関係者」「市場関係者」は多用しない。特に「複数の市場関係者」という表現は大げさなので控えたい。複数のソースに確認することは原則として前提であり、あえて言う必要はない。
原則として「=」はソースを表示する。ただ、主語とソースが一致し、かつ複数の情報を見出しに盛り込む必要がある場合は、区切りとして=を使い、情報を加えることもできる。
ニュースソースについては、主語と同一の場合(企業の発表もの)、誰が(何が)ソースが明白な場合、常識的に判断できる場合は省略してよい。たとえば、官房長官の公式発表は政府の発表なので、その場合はソースを明示しなくてもいい。 例: ○ 首相、補正予算編成を指示 ☓ 補正予算編成を指示した─首相=官房長官
与党議員やぶら下がりでの発言はソースを入れる。 ○首相が補正予算編成を指示=公明党代表 同様に広報が発表した会社の正式コメントであり、=広報担当者とする必要はない。
テレビなど他のメディアのピックアップについては、発言がライブで放送されていれば見出しに出典を入れる必要はない。本文のなかではもちろん出典の言及は必要。ニュース番組などで生の発言ではなく、原稿で読み上げられた場合や、局の判断が含まれているような場合はソースを入れる。 翻訳物の場合、原文(速報含む)の見出しにTV、PAPERなどのソースがなければ翻訳記事の見出しには入れない。
[焦点]など分析記事や特集記事の場合はソースの表示に=をつかってはならない。
4.見出しの具体例
例えば、以下の例では主語がないため見出しだけでは理解不能。見出しを見ただけでも、その記事の内容・主旨がわかるように努める。
悪い見出し例:[焦点]外国人の買いで先物が午後急騰、景気底入れを確認 (どこの市場のこと?株?債券?)
ニュースソースと主語が一緒の場合は文の前に出すほうがすっきりする。特に企業ものでは、主語とソースが同一である場合がほとんどであり、主語は見出しの一番前にもってくるのが原則。
☓ 第3四半期ライセンス収入は予想上回る、通期予想も引き上げ=独BOBSAP ○ 独BOBSAPの第3四半期ライセンス収入は予想上回る、通期予想も引き上げ
ただし、そうでない場合もある。以下の場合では主語=ソースは後ろに持ってくるほうが望ましい事例。
☓ 財務相、為替介入を実施したと表明 ○ 為替介入を実施した=財務相
この場合ソースの明示よりも為替介入を実施したことが重要。見出しで何を前に出すかはケースバイケースで考えるべきである。原則はより重要な情報を前に持ってくるということ。
下の見出しは、文の主語ではないソースを前に持ってきた結果、意味が混乱したケース。「見通し示す」という述語を入れたため、冗長さも増した。 ☓ 訪朝した米州知事、北朝鮮が11月初めに6カ国協議に復帰との見通し示す ○ 北朝鮮、11月初めに6カ国協議に復帰の見通し=訪朝した米州知事
「・・・で」はなるだけ使わない。「で」を使うと、見出しの内容を理解するために再び文頭に戻らなくてはならない。できるだけ避けるべきである
☓ 振れないリーダーシップ、覚悟と決意もった人=首相後継像で自民幹事長 ○ 次期首相像、振れないリーダーシップや覚悟と決意もった人=自民幹事長 ただし、以下のような例では、「で」を使った方がわかりやすい。
○ 為替はファンダメンタルズを反映し安定的に推移することが望ましい=円安で財務相 ☓ 円安、為替はファンダメンタルズを反映し安定的に推移することが望ましい=財務相
大原則は、より重要な情報を前に持ってくること。
☓ 衆院特別委で政治改革法案が与党の賛成多数により可決、きょう衆院通過の見通し ○ 政治改革法案を与党の賛成多数で可決=衆院特別委 ○ 政治改革法案を衆院特別委で可決、きょう衆院通過の見通し
上記の場合、重要度は、政治改革法案(何が)→可決(どうした)→衆院特別委(どこで)→きょう衆院通過の見通し(今後は)→与党の賛成多数(その他の情報)の順になる。
スナップ(見出し)は正確さとスピード優先。早く出すべきなので、内容を必要最小限にとどめる。
衆院を解散=小泉首相
これ以上の情報は最初のスナップ見出しには必要ない。ただしUPDATEでは記事内容だけでなく、見出しにも情報を追加する。
例:UPDATE1: 首相が衆院を解散、総選挙の投開票は9月11日
分析や企画記事など長文の記事には小見出しを入れる。単語を入れるのではなく、その段落の要点を簡潔な見出しとして記す。
<前文(リード)>
前文には、記事の主要構成要素を全て盛り込むことが原則。見出しにした内容は必ず入れる。前文の長さは、記事の種類にもよるが、一行40文字で、3─5行程度が望ましい。長すぎる前文はニュースのポイントが不明確になる。言い換えれば、何が重要なニュースで、何を率先して伝えるべきかをしっかり決めた上で前文を書く。
前文に入れるべき要素とは「5W1H」。すなわち、
• 主語 (WHO) • 出来事 (WHAT) • 時間 (WHEN) • 場所 (WHERE) • 理由 (WHY) • 方法・手段(HOW)
前文には、必ずそのニュースが重要性あるいは意味合いを示す表現を入れること。過去最大、戦後初、三年ぶり、など。そのためには当該ニュースに関連する過去の数字や動きなどをチェックしておくことが必要。ただし、経済指標や決算数字を羅列すると読みにくいので、これは避ける。
閣僚発言などを報じる場合は、前文に直接クオートを入れることも可能。これによって、それに続く本文で引用が重複することを避ける。特に、為替など金融市場に関する発言で、実際の言葉遣いが相場に影響を与える可能性がある場合は、前文に「 」で直接引用する。ただし、その場合は、発言の意味するところを簡潔に地の文で示す努力を怠ってはならない。UPDATEでは、そのダイレクトクオートが意味するところを地の文でできるだけ示す。
ニュース分析や企画記事などは、ニュースの第一報を繰り返すことはできるだけ避け、書くべき要点を前文でしっかりと表現する。文章も、読者がそれに続く本文を読みたくなるよう、冗長にせず、表現を練ること。
<記事本文(クオートなど)>
無意味なダイレクトクオート、5行以上もあるような「・・・」は避けて、「Golden Quote(最も価値のある言葉)」を引用する。コメントの引用は正確に行う。これは曲げられない原則だが、引用が長すぎると、記事は冗長になり、読者に与える印象は悪くなる。日銀総裁など市場に大きな影響を与え、その微妙なニュアンスまで伝えることが必要な人物の発言は別として、エコノミストやアナリストの引用は、簡潔に、重要な部分だけを取り出し、他は地の文で書いたほうが読みやすい。
*クオートの羅列は避ける 例:○○は「・・・・・・」と述べた。また××は「・・・・・・」と語った。一方△△は「・・・・・」との見方を示した。
これは読みにくい。この場合は、全体の状況、つまり意見がどのように分かれているか簡潔にまとめた上で、引用の数を最小限にとどめる、などの構成が必要。
引用すべき内容は、その人物の意見や判断を示す言葉であって、指標がどうだった、というような単なる事実関係は引用としては書かない。事実関係は地の文で、理由や裏側、判断や見通しの部分をクオートにするという原則を頭に入れる。しかし、事実関係であっても、その人物しか知りえない内容や一般には公表されていない事実であれば、クオートにいれてもかまわない。
長すぎるクオートは避ける(最大でも3行程度)
<引用文と意訳文>
一般的にいって情報源が事実関係について述べている場合には意訳文がふさわしく、情報源が理由を述べたり、感情を表していたり、判断を下しているような場合には引用文が適切である。
☓ 「選挙で勝利を収めた党の党首らを招集し、連立政権設立に向けての話し合いを月曜日にも始めたい」とABC党のウイニング党首は述べ、ABC党の圧勝は彼らが掲げる反移民政策が国民に指示されたことの証であるとした。
○ 「今回の圧勝は国民がわれわれの反移民政策を支持していることの証である」とABC党のウイニング党首は述べ、選挙で勝利を収めた党の党首らを招集し連立政権設立に向けての話し合いを月曜日にも始める意向を示した。
<句読点と修飾語>
必要のない句読点は、文章の意味を変えてしまう場合があるので、避けなければならない。
語句の列記や箇条書きには読点を打つ。 例:名誉も、地位も、家庭も捨てるつもりか。 例:日本は1)3カ月の参入延期、2)通信販売解禁、3)保険自由化の拡大──などの譲歩案を示した。
誤読、難読を避けるため読点を使う。 例:晴れた夜、空を仰ぐと・・・ 例:衆議院農林水産委員、長谷川四郎氏は・・・(漢字やひらがなが続く場合) 例:☓ ECBは利下げ議論、必要ない=オランダ中銀総裁 例:○ ECB、利下げを議論する必要ない=オランダ中銀総裁
「」前の助詞や動詞の後 例:小泉首相は15日の閣議で「次回サミットは・・・」と述べ・・ =「閣議で」と「次回サミット」の間にテンは不要 ☓ 首相は、「・・・」と述べた。 ○ 首相は「・・・」と述べた。 ☓ 市場参加者によると、「相場は相当に強い」、という。 ○ 市場参加者によると「相場は相当に強い」という。 ☓ 市場参加者によると、相場は相当強い、という。 ○ 市場参加者によると、相場は相当強いという。
ひとつの文章で形容詞・節を2つ以上つけるときは、意味合いに注意する。
悪い例:白い夕日で染まる花 白い夕日なのか、白い花が夕日で染まっているのかわからない。 長い形容詞・節は先に持ってくるというのが原則 改善例:夕日で染まる白い花
「・・・したもの」という表現は原則使わない。他メディアでもほとんど死語。
「豪華なスペース」「やすらぎのある空間」など過剰な修飾語は使わない(特に新製品発表のような記事で)。どうしても必要と思われるような場合は、地の文ではなく「」に入れ、あくまでも当事者(企業など)が、そう主張していることをハッキリさせる。
<接続詞、受身、繰り返し>
接続詞はできるだけ使わない。 使用禁止:「こうしたことから」「ここにきて」 使わない努力を:「そのうえで」「このため」「これについて」「これに関し」「このように」 最小限に:「また」「さらに」「ただ」「もっとも」
前置きと繰り返しに注意。 「・・・とするなか、」=背景説明が付くことで文章が長くなる 「・・・と述べた。・・・と述べた。・・・と述べた」=繰り返しは読みにくい。 「・・・という。・・・という。・・・という」=間接話法の多様は避ける。
受身的表現は避ける。客観性を担保しようとして受身表現を多用すると、文章が冗長になるだけでなく、文意が婉曲的、間接的になり、報道責任を回避している、あるいは記者が逃げ腰になっている、という悪いイメージにつながりかねない。
☓ 10月10・11日に行われた金融政策決定会合では・・・・ ○ 10月10・11日の金融政策決定会合では・・・・ ☓ 「・・・と強く懸念されていた」 ○ 「・・・との強い懸念が出ていた」 ☓ 「・・・との指摘が聞かれている」 ○ 「・・・との指摘があった」「・・・との指摘が出ていた」 ☓ 「・・・といった売り物も観測されたという」 ○ 「・・・といった売り物もあったという」 ☓ 「・・が強まる可能性が指摘されている」 ○ 「・・が強まるとの見方が出ている」 ☓ 「・・・との声が聞かれた」 ○ 「・・・との声が出ていた」「・・・との声があった」
<用語ルール>
時間・期間 • 年は西暦(2005年)、元号(昭和・平成)は使わない。 (ヒント)平成12年=2000年が基本。 平成年から12を引くと西暦になる。 例:平成17年=05年 昭和は25を足すと西暦になる。 例:昭和60年=1985年
決算の中間期は上期・下期。(注)共同ハンドブックでは上半期・下半期となっているが、上期・下期に統一する。(意味は同じで1文字分のスペースを節約)
• 四半期決算は「第1・四半期」と中黒「・」を入れて表示。ただし見出しでは字数節約のため「第1四半期」と中黒を除く。
• 前年の同じ期間と比較するときは「前年同期比(もしくは前年比)」、直前の期と比較するときは「前期比」。
• 時間の表現:原則記事中は、午前/午後で表示。30分は「半」。24時は午前零時、12時は午後零時。昼の12時00分は正午。マーケットアイや行事予定は24時間表記とする。
• 記事の文中では日付表記が原則。前日、前月などは使ってよい。「きょう」「あす」「先週」「先々週」などは使用禁止。先週末ではなく前週末とする。
• 見出しでは「きょう」と「あす」をできるだけ使用する。これらが使える場合、日付は使わない。しかし、「おととい」「あさって」「しあさって」は使用禁止。
• 見出しについて、日時を示す表現がある場合は未来形を示す「~へ」は使用しない。 例: 首相あす衆院解散 (衆院解散へ、とはしない)
増減の表現 • 量が変化するものは増減、比率が変化するものは上昇・低下。
• 数字の変化については、見出しは「+-」、本文中は「プラス・マイナスもしくは増減・上昇/低下」で表示。
• マイナス記号「-」の見出しは全角ハイフン。本文中は減少/低下と表すが、1─3月期のような場合は、「よこ」と打って出る記号を使用。それ以外は文字化けするので注意。
その他の注意 • 送り仮名などは「共同記者ハンドブック」に準拠。 • 翻訳略語は()内に英語の翻訳略語を入れる。 例:「国内総生産(GDP)」、「政府短期証券(FB)」 例外:GDPデフレーター 国内総生産(GDP)デフレーター、とはしない。 • 「○ヶ月、○ヶ国」ではなく、「○カ月、○カ国」。「カ」はカタカナ大文字。 • 「“”」は使用不可。「」内にもうひとつ「」を使いたい場合は『』(二重カッコ)を使う。 • 空欄は原則記事内に使わない。「・」中黒を使用するようにする(例:HD・DVD)。ただし、「こうみる」の見出しで会社名と名前の間だけは空ける。また会社名で空欄がある場合はそのまま使用する。例:ジャパン インターナショナル 例:日銀こうみる:利上げ確実=ロイター証券 山田氏
• 「総理」ではなく「首相」。「財務大臣」ではなく「財務相」(他の閣僚も同じ)。
• 「イギリス」ではなく「英国」。
• 氏名の表記は、記事中で最初に言及する場合、日本人、外国人ともフルネーム表記を原則とし、二回目以降の言及は苗字だけとする。日本企業の外国人社長などの氏名も日本人名と同様にフルネーム表記とする。
• 例外として、市場リポートでの表記は日本人、外国人とも同様に苗字と肩書きのみでも可。外国人名は、特定できる立場、肩書きのある人で慣例としてフルネームにしてない人についても、苗字のみで可とする。(例:ブッシュ大統領、ブレア首相など。) ただし、外国人でも、中国、台湾、韓国人など氏名が漢字表記の場合はフルネーム表記とする。
• アルファベット(GDPなど)は見出し、本文ともに全角。ただし、翻訳などで、読み方がわからない外国の人名や地名、社名を原文表記のまま使うは半角とする。全角表記はスペースをとるため。
• 「その上」ではなく「そのうえ」。「その中」ではなく「そのなか」。ただし「そのうえで」はできるだけ使わない。
• 為替の表示:「ドル/円」とすればドルが主語。ドルの対円レートになる。
• 経済指標などの表示:原則は、年・月→国→当該指標 例:5月の中国CPI、例:5月全国消費者物価指数・・=総務省
• 金利の変化の表示については、誤解を招かないような場合(FRBの利上げとか)には0.25%の引き上げとしてよい。ただし報道頻度が比較的少ない(政策)金利などについては0.25%ポイントもしくは25ベーシスポイントとする。
• FRB:米連邦準備理事会(FRB)と表示。「制度」は入れない。FEDも使わない。
• 非上場企業の場合、原則として本社所在地を()のなかに入れる。
• 「○名」ではなく「○人」。
• 銀行の融資先を数える表現などに使われる「…先」という言葉は、基本的に「…社」もしくは「…企業・機関」に言い換える。
• 大台乗せ、水準割れなどを書く場合は、数字を丸めないで正確に表現する。「49.9%」を「50%達成」、「9999億円」を「1兆円乗せ」などとしてはならない。 • 国債入札時における応札倍率:1)原則は小数点第3位を四捨五入し、小数点第2位までを表記、2)四捨五入によって1の位の数字が変わってしまう場合には、特例として大台が変わらない範囲まで小数点以下の数字を並べてもいい(大台が変わることで、イメージ上、誤解を受けやすくなる懸念があるため)。 例:4.9972ならば、4.997倍 例:4.9999972ならば、4.999997倍
<マーケット記事について>
マーケット記事は、市場参加者のプロフェッショナルなニーズに応える専門性を維持する一方で、当該市場以外の金融市場参加者や一般読者にとっても読みやすく、わかりやすくなるよう、できるだけ平易な文章と用語を使うよう心がける。
専門的な情報が盛り込まれた記事と、読みやすい平易な表現の記事は両立する。専門用語と業界用語は区別し、業界用語はできるだけ使わない。
オプション市場やスワップ市場、クレジット市場など専門性の強いマーケットのレポートにおいても、専門用語に枕詞やカッコを使って説明を付けたり、その言葉・文章が意味する相場の動向を付け加え、よりわかりやすくする。
コメントを直接引用する場合、そのままの表現でわかりにくい場合は、書き方を工夫し、必要に応じて説明を付ける。
言い換え事例 (以下は実際にあったケース) • 「ストップ・ハンティング」→「ストップロスをつけに行く動き」 • 「ユーロ/ドルが前日海外市場安値(1.2064ドル)を割り込む形でギブンされ」→「~を割り込む形で売り込まれ」 • 「ビッド地合い」→「買われやすい地合い」 • 「こうした動きが散見され」→「こうした動きが一部にみられ」 • 「1月31日エンドのXXで0.009%ヒゲ」(クレジット市場)→「1月31日期限のXXで0.009%台程度」。 • 「103.65円付近の安値を示現した」→「103.65円付近の安値を付けた」 • 「年越えについても、次第にプレミアムがはげ落ちていく」→「プレミアム分が縮小していく」 • 「イールドカーブは5─7年ゾーンでへこみ気味で推移」→「・・ゾーンでやや低下して推移」 • 「135円を割り込んで午後寄りした」→「午後の9月限は135円を割り込んで寄り付いた」 • 「ビッド水準から一段甘くなっている」、マーケットでよく出てくる用語「甘く」。その対象により、上昇を意味したり、拡大を意味したりする曖昧な表現なので、使用の際には注意する。 • 商い薄→薄商い • 「ヘッジ売りが踏まされた」→「ヘッジ売りをしていた向きの買い戻しを誘った」 • 「余資つぶしの・・・」→「余資運用の・・・」 • 「平準バイヤー」→「定期的に買いを入れる平準バイヤー」 • 「輪番オペ」→「国債買い切りオペ」
<記事の署名>
記事署名スタイル ※(ロイター日本語サービス 山田太郎 ロイターメッセージング:taro.yamada.reuters.com@reuters.net Eメール:taro.yamada@reuters.com 電話:03-5x73-3741)
上記のスタイルで冒頭の表と本文の間にバイラインを入れる。文末にも名前と連絡先をつける。「インタビュー」「BOJウォッチャー」「兜町ウォッチャー」「永田町ウォッチャー」「情報BOX」には冒頭のバイラインはなし。文末には名前と連絡先を入れる。
複数記者の合作の場合は、中心となる記者ひとりを上記のとおりとし、文末に名前と連絡先を入れる。企画に関与した記者名は取材協力あるいは編集協力として名前だけをつける。中心の記者が特定できない場合は、冒頭のバイラインはいれず、文末に名前を並べる。
翻訳記事は、従来どおり原文筆者と翻訳者(場合によっては編集者)の名前と連絡先を文末にいれる。
SLOTが署名するケース • 焦点、アングル、検証などのフィーチャー記事には、スロットの名前を入れる。 • スポット記事のUPDATEでも、記事に大きく編集を加えた場合は入れる。 • 市場レポートには原則入れないが、SLOTが大きく手を入れた場合は入れる。
例:※(ロイター日本語ニュース 山田太郎 編集協力:鈴木一郎 ロイターメッセージング:taro.yamada.reuters.com@reuters.net Eメール:taro.yamada@reuters.com 電話:03-5x73-3741 編集:田中誠)
<インタビュー>
質問は分の冒頭を一字空け、──を付けて書く。棒線は“ヨコ”と入力し変換、2つ続ける。最後はマル、改行して一段落空ける。答えは一字あけてカギカッコでくくる。 <例> ──量的緩和の解除時期は。 「わかりません」 ──量的緩和は効いたのか。 「市場の安定を図った効果はあった。お金が当座預金残高にジャブジャブになることで、デフォルトリスクは消滅し、金融システムへの不安を和らげる効果はあったのではないか」
<調査記事のルール>
• 回答数が10以下の場合は「POLL」(ロイター調査)は付けない。 • 回答数100以下の場合はパーセンテージを使わず、実数を書く。 • 100以上の場合はパーセンテージを優先する。実数は必要に応じて入れる。票には必ず実数を入れる。
補足ルール 1) 100以下の回答でも50以上であれば、まず実数を書き、その後にカッコでパーセンテージを入れる。 2)50未満は実数のみで、パーセンテージをいれない。
よくある質問 1、ロイター企業調査は回答数が質問によって50を割れる可能性もあるが、以下の場合どう対応するのか?
例: 回答企業80社のうち、42社がゼロ金利解除は年内にあると回答、38社が年内にはないと回答。解除が年内にあると答えた42社のうち、3社が6月中に、24社が7-9月に、15社が10-12月にあると予想した。
回答:このケースでは、全体の回答数が50を上回っており、日本語ニュースの補足ルールのうち、1)が適用される。以下は記事例。
記事: ロイター企業調査によると、ゼロ金利解除について解答をよせた80社のうち、42社(52.5%)がゼロ金利は年内に解除されると予想、38社(47.5%)が年内解除はないと予想した。年内の解除を予想した42社のうち、3社が6月中、24社が7-9月期、15社が10-12月期の解除を予想した。
2、回答数が100以下の調査で、かつ50以上の場合、速報では%は使えないのか?
例: 有効回答数が合計65で、望ましい首相は誰かとの回答が以下の通りだった場合。安倍晋三氏45、福田康夫氏18、麻生太郎氏1、その他1
回答:日本語ニュースの補足ルールは記事本文に適用されるルールで、速報もしくは見出しでは、ロイタールールが適用される
例: 安倍氏が65人中45人、福田氏が18人
なお、回答数が50未満の場合は、本文も実数のみの表記となる。
3、GDPや短観等の最重要指標発表前は、新聞に先がけて民間調査機関の予測を数社程度でまとめるが、その場合[ロイター調査]や[指標予測](いずれも英語で[POLL])のワッペンをつけてよいのか。
回答:10以下であればロイタールールが適用され、[ロイター調査]や[指標予測](いすれも英語で[POLL])のワッペンをつけず、ストレートニュースの形式で記事化する。
4、外資系証券などのリポートによくあるケースですが、回答数が50未満の調査に対しても、ヘッドラインや本文で%表示が付いている調査リポートがほとんど。このケースでの記事のスタイルにもロイタールールを適用するべきか。
回答:ロイタールールは、ロイターの調査が対象となる。外資系のリポートを記事化する場合は、リポートに書いてある通りに記事化する。
<スナップからUPDATEまで>
スナップ 文字数は見出しと同じく原則32文字、最大40字。ソースは原則入れる(定例の会社発表など自明な場合は不要)。企業のスナップにはカンパニーIDを付ける。一回のスナップでチェーン化して打てるのは19本まで。
スナップの目的は読者に最重要な情報を入れた事実(FACT)をいち早く伝えること。そのニュースが1)市場を動かす、2)顧客の判断に影響を与える、3)国際的な関係に重要な意味がある──と記者が判断できるときスナップを打つ。重要な情報が複数ある場合はチェーン化して複数本スナップを打つ。
スナップはニュースジャッジメントの質が問われる。あとでなぜスナップを打ったかという理由が付けられないような事実・情報はスナップすべきではない。スラングやJARGON(業界用語など)は、それを使うことが意味のある場合を除いて使用してはならない(入れる場合はカッコにくくる)。
ニューズブレーク スナップを打った後は、速やかにニューズブレークを付けてスナップの情報を補完しなくてはならない。ニューズブレークはスピードが命。スナップを打ってから5分以内に付けるのが原則。最大でも10分以内には付けること。
スナップと同じストーリーナンバーを付けること(原則SLOTが行う)。メッセージタイプはS(Rだと上書きされスナップが消えてしまう)。企業ニュースはヘッダーにカンパニーIDを入れる。持ち株会社の傘下の企業などについては、記事検索できるよう親会社のリックを「隠れリック」として入れる。
市場に大きな影響のあるようなニュースはUPDATEでフォローする。ニュースが予期されていないような突発的な場合は2パラグラフ以内におさめる(早く出稿するということ)。非常に複雑なニュースでバックグラウンドの記述が必要であったり、重要なクオートがあったりする場合は3パラグラフになってもよい。可能であれば事前にバックグラウンドを準備しておいて、スナップギャップを短くすること。
ニュースの状況説明がニューズブレークの目的。5W1Hをおさえ、マーケットに大きく影響しそうな情報は全て入れる。重要な情報がニューズブレークに入れられていれば、チェーン化して打ったスナップの情報全てをニューズブレークに必ずしも入れなくてもよい。その際はUPDATEでフォローする。
UPDATE
見出しの冒頭にはUPDATE1: とつける(全て半角、:の後は半角スペース)。UPDATE1はニューズブレークから30分以内が原則。マーケットリポートでもファーストテイクから30分以上経過した場合はUPDATEにするのが基本。
内容には1)意味づけ2)クオート、フォワードルッキングな切り口などを盛り込む。UPDATE2以降は新たな情報を入れて更新する。