小沢一郎インタビュー(マスコミで「巨悪」のイメージを作られてしまった小沢だが、田中角栄直系の良質な保守である。
宮崎 あれはどういう判断だったんですか。
小沢 たぶん負けることは分かってたんだと思いますよ。だけど岡田君や枝野君や前原君達は、みんなやれでしょ。彼らはもともと自民党とやりたかったんじゃないですか。
宮崎 自民党と連立を?
小沢 そう。だから、若い連中はもうみんな死ね、残った連中でやると。それで、自民党はたぶん過半数取れないだろうから自民党と連立を組む。というのが、彼らの考えだったという人がいるが、確かにそうかもしれない。そうでなきゃ解散なんてあり得ないもの。
宮崎 ということは、今回のちょっと意味不明みたいな解散は、野田さんの決断の背景にあったのは、反小沢グループの生き残り策ということなんですね。
小沢 どっちみち解散が年明けになったって負けるだろう、でも自民党もたぶん過半数は獲れないだろう、という中でやったということでしょうかね。
宮崎 (20数%で70%近い議席をとる小選挙区制の問題点を指摘)。
小沢 だけど次の選挙でまた変わりますよ。そういうふうにつくったんだから。
宮崎 小選挙区制をですか?
小沢 そういう選挙制度にしたんですよ。1党で権力を持ち続けるのはいけない。
政権与党がいい加減な政治をすればいつでも野党にとって代わられる。そういう緊張感の中で、政党がお互いに競い合って良い政治を実現する。それが民主主義だということです。だから、ちょっとの得票でもって政権交代できるようにと。その中でだんだん大人になっていけばいいと。
小沢事件の検察捜査については次のように述べている。
「完全に政権交代を防ぐためでしょうね。
阻止するためです。
それ以外に民主主義社会で選挙の5、6ヵ月前に野党の第一党の党首を何の証拠もなしにやるなんて言うことはありえないことです。
民主主義が成熟していないほとんど独裁国家のやることだ」
「青年将校の暴走というのは実は彼らのカムフラージュで、結局、法務・検察全体の意思だと思う。
そうでなきゃできっこない」
「彼らは私を有罪にしたかったんだろうけど、無罪になってしまった。
しかし、結局彼らは成功したんですよ。
だって、3年半も私の行動を束縛できたんですから。
その間に民主党はダメになっちゃったんだから。
恐るべきことですよ。国家権力というのは」
「日本においては、政治家はまったく権力を持っていないですね。
権力を持っているのは、みんな官僚です。
それはシステムがそうだということと同時に、やっぱり資質の問題があります。政治家の資質であり、それはイコール国民の資質です。残念ながらこのレベルが低い。
私に言わせると、自立していない国民が選んだ自立していない政治家だから、役人の権力集団に勝てない」
「イギリスでは、テロが頻発した結果、警察がものすごく強くなっていったわけですが、そうした中で、ある国会議員が十分な根拠もないまま逮捕されました。
その際、英国議会では与野党がすぐ警察に抗議して、結局警察はこの議員を釈放せざるを得なくなったということがありました。
そういう意味で、政治家が見識を持ち、民主主義を理解し、それを国民が支持することが大切なのです。
しかし日本の国民はまだそこまできていません。
自立していないですね、日本人というのは」
「いま永田町では「小沢一郎は終わった」「小沢一郎の時代ではない」という声があるがどう思うか」と聞かれて次のように応えている。
「日本にはまだ民主主義が根付いていない。
日本にはまだ形だけの民主主義しかない。
民主主義の基本的な機能は「政権交代」です」
「国民にも、「政権交代はもうない」と思っている節があります。
でも、いまの状態は、あの2003年に自由党と民主党が合併する前の状態に戻ったようなものです(合併当時の衆院勢力は民主114、自由22)。
必ずしも政界再編に議員の数は必要ない。
要は政策の意思決定が明確で、国民に対して正しいメッセージを訴えることができればよいのです」
「私は、安倍政権はそう長く続かないと見ています。
今のうちに自民党に代わる受け皿をつくっておかないと、日本の政治は究極の大混乱に陥ってしまう」
「次の衆議院選挙の結果、再びいまのようなかたちで自民党政権が続き、野党がバラバラの状態だったら、日本には議会制民主主義が永久に定着しない恐れがある。
自民党のごたごたが行き着くところまで行き、日本は大混乱に陥ります」
「政権与党が少しでも油断すれば政権交代が起こりやすい制度にしたわけです。
かつての自民党も民主党も、国民の期待を裏切る政治をしたので、政権交代が起きた。
第2次安倍政権の政策が国民のための政治ではないと気づかれたら、また自民党政権を失うでしょう。
だから、我々を含め、野党の政治家がしっかりしていれば、3度目の政権交代は決して不可能なことではありません」
「新しい受け皿ができたと国民が感じるのは、数の多少ではありません。
そこに国民が納得できる政策、政治思想が備わっているかどうかが重要です。
かつての自由党も民主党に合流した時は30人にも満たない国会議員しかいなかった。
当時、我々が政権を取るとは誰も思っていなかった。だから、いまの状況は、あの時期にもどったと考えればいい」
「参院選後の早い段階で、安倍政権は持たなくなると思う。
安倍政権の政策では、いつまでたっても国民の生活が良くなりませんからね。
アベノミクスの行き詰まりがはっきりすれば、期待していた国民の数が多いだけに、左記の民主党と同様、自民党に対する国民の失望は大きなものになる。
「自民党には任せられないから、野党はまとまるべきだ」という国民からの声が必ず湧き上がってくる」
70歳の小沢はいまだ政権交代に執念を燃やしているのだ。
小沢の「志」は受け継がれていくだろう。
「論」も愉しとは、故筑紫哲也氏の言葉である。 近ごろ「論」が浅くなっていると思いませんか。 その良し悪し、是非、正しいか違っているかを問う前に。 そうやってひとつの「論」の専制が起きる時、 失なわれるのは自由の気風。 そうならないために、もっと「論」を愉しみませんか。 ・・・・「論」を愉しむためには、いろいろな事を知っていた方が良いと自分は考える。沢山引き出しを持っていた方が、人生を愉しめるような気がする。
2013年8月17日土曜日
2013年3月1日金曜日
遺伝子組換え食品
松永和紀氏の記事を残しておこうと思う。
遺伝子組換え食品
海外での
“大事件”が報じられない日本
“大事件”が報じられない日本
「遺伝子組換えトウモロコシに発がん性」?~消費者の『知る権利』だけでは語れない表示制度問題
2013年01月21日(Mon)2013年02月01日 松永和紀 (科学ジャーナリスト)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2498?page=1
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2505?page=4
遺伝子組換え食品について2012年、海外で大きな “事件”がいくつもありました。フランス人研究者によって書かれた「遺伝子組換えトウモロコシに発がん性がある」とする論文をめぐる大騒動、米国カリフォルニア州で行われた表示をめぐる州民投票、米国で遺伝子組換えサケの食品としての認可へ近づいたこと……。
どれも、欧米のマスメディアは大々的に報道しています。今後の遺伝子組換え食品の動向、つまりは、世界の食料情勢を検討するにあたっての重要材料だと思いますが、日本ではほとんど報道されていません。これでは、日本人は井の中の蛙になりかねないではありませんか! 2回にわけてご紹介しましょう。
フランス発
「ついに遺伝子組換えの有害性が明らかに」?
「ついに遺伝子組換えの有害性が明らかに」?
まずは、発がん性研究の顛末。フランスCaen大学の分子生物学教授Gilles-Eric Séralini (セラリーニ)らが昨年9月19日、「除草剤耐性トウモロコシNK603を2年間にわたってラットに与えたところ、乳がんや脳下垂体異常、肝障害などになった」とする論文を学術誌で発表し、一般メディアでも大々的に報じられました。
このトウモロコシは既に米国やEU、日本でも安全性評価が行われ、「問題がない」として認可されています。それが発がん性あり、というのですから、本当なら非常に深刻な問題です。2年というのはラットのほぼ寿命にあたる期間で、こうした長期試験はこれまでほとんど行われた例がなく、「ついに遺伝子組換えの有害性が明らかとなった」と、EU内のメディアの多くがおどろおどろしい写真と共に報じました。
実は問題山積の研究だった
しかし、発表後、すぐさま多くの研究者から反論が上がりました。実験がさまざまな条件を満たしておらず、信用に値しない、というのです。「食べさせたら、がんができたのだから、証拠は明白ではないか」と思う人が多いでしょうが、そうとは言えません。じつは、この手の食品の安全性を評価する動物実験をきちんと実施するのは難しいのです。
食品はそもそも、非常に多くの物質を含みます。栄養成分や未知の成分があるほか、土壌中にある重金属や化学物質等も吸収し、栽培中にカビがつくとカビ毒が多くなり、農薬が使われれば残留します。そして、品種や栽培方法や気象条件、貯蔵方法等で、それぞれの含有量は大きく変わります。
こうした試験では通常、安全性の評価対象となる食品を与えるグループと、そうではない食品を与えるグループとを同じ条件で飼って比較します。今回の場合、遺伝子組換え技術が導入されているかどうか以外はすべて同じトウモロコシを2種、揃えないと、遺伝子組換え技術の影響を見る比較試験はできません。
しかし、「同じ条件に揃える」というのは極めて難しいので、この手の発表が行われた時には、科学者たちは真っ先に、どのようにしてエサを調製し、どんな実験系を組んだかを吟味します。
ところが今回の場合、論文にそもそも、飼料の詳しい情報が掲載されていませんでした。成分組成や貯蔵方法、含まれる可能性のある有害物質の含有量など、なにも書かれておらず、各々のマウスがどれだけの量を食べたかも不明です。まともな研究者の論文ではありえないことです。
しかも、比較に必要なグループ数を満たしていません。また、こうした発がん性を検討する試験においては、一つのグループにおけるラットの数は最低50匹必要というのが国際的なガイドラインなのに、各グループのラット数はわずか10匹でした。これでは、統計学的に妥当な解析をすることはできません。
そのほかにも問題が山積している研究でした。科学者らが次々に欠陥を明らかにして、最初は騒いだマスメディアも急にトーンダウン。最終的に、EUで食品の安全性についてリスク評価を行う「欧州食品安全機関」(EFSA)が11月、「実験設計と方法論の深刻な欠陥があり、許容できる研究水準に達していない。したがって、これまでのNK603のリスク評価を見直す必要はない」という見解を明らかにしました。6つのEU加盟国も独自に評価して同じ結論に達し、これにより騒動は終息しました。
「第三者には取材しない」というとんでもない条件
これだけなら、おかしな科学者のおかしな実験結果で済むところ。しかし、この問題は、欧米でより深刻にとらえられています。それは、発表したセラリーニ氏にマスメディアやフランス政府が当初、やすやすと手玉にとられてしまったからです。
学術論文は通常、掲載の少し前に報道関係者には公開され、掲載日までエンバーゴ、つまり「報道してはいけませんよ」という縛りがかけられます。報道関係者はその間に執筆した科学者に取材し、第三者にその研究に対する評価などを聞き、論文がオープンになったその日に、一般市民にもわかりやすい記事やニュースにして報じます。ところが、セラリーニ氏は記者に事前に論文を見せる条件として、第三者には取材しないことを約束させたのです。
実は、セラリーニ氏は、遺伝子組換えにこれまでもずっと反対して来た研究者で、しかも、「遺伝子組換えが危険」と主張する論文や報告書を何度も発表し、そのたびにEFSAなどに「ずさんな研究」と批判されて来た経緯があります。
セラリーニ氏は、取材する記者が論文を吟味し批判する力がないことを見越して、「第三者には取材しない」というとんでもない条件と引き換えに、記者たちに論文を見せました。そして実際に、新聞等にはおどろおどろしい写真と共に「遺伝子組換えに発がん性」という見出しが大きく出ました。フランスの首相も「研究が確かなら、欧州全土での禁止措置を要請したい」と発言しました。
センセーショナルに報じられたのはわずか数日の話。でも、その後に、いくら「批判する科学者が多い」という続報が出たところで、それが最初のニュースの爆発的な拡散力に比べて小さく、影響力を持ちにくいことは、本欄読者も思い当たるところが多々あるのではないでしょうか。つまり、セラリーニ氏は「遺伝子組換えは危険」という宣伝に大成功したのです。
メディアの取材力の低さ、エンバーゴの悪用、学術誌による掲載審査の甘さ、EUの中でも強硬な遺伝子組換え反対国であるフランス政府の軽率さ等々、さまざまな問題が、今回のセラリーニ氏の騒動で露になりました。
興味深いのは、アメリカの経済誌「Forbes」。同誌は、セラリーニ氏の研究を一貫して批判し、マスメディアの一部が手玉にとられた顛末を報道しました。つまり、これは、一部メディアの科学報道の稚拙さ、という問題に留まらず、社会的、経済的に影響がある重大事だ、というのが、この雑誌の見解です。遺伝子組換え作物を全世界に売ってゆきたいアメリカ農業界、経済界の思惑が当然、反映されているでしょう。
一連の議論を知らない日本の一般市民
ところが、日本のメディアはこの騒動をほとんど報じませんでした。セラリーニ氏が発表した時と、それに対する批判を「時事通信」がごく短く伝え、AFP通信の配信ニュースを翻訳し掲載するAFPBBNewsも伝えた程度です。
遺伝子組換え作物は日本に大量に輸入されています。ISAAA(国際アグリバイオ事業団)によれば、日本は年間1800万トンの遺伝子組換え作物を輸入し、主に食用油や異性化糖などの原料、飼料として消費しています。日本の米の消費量が年間約860万トン(農水省まとめ)なのですから、遺伝子組換え作物の動向を無視はできないはず。なのに、今回の問題を社会的な事件として報じたマスメディアは、日本にはなかったのです。
日本の食品安全委員会は、今回の研究結果について見解を表明しています。また、市民団体「サイエンスメディアセンター」日本支部は、セラリーニ氏の発表の翌日には、批判する科学者のコメントを翻訳してメディア関係者に流しましたし、「食品安全情報ネットワーク」もウェブサイトで、一般財団法人残留農薬研究所毒性部長の青山博昭氏のコメントを掲載しました。国立医薬品食品衛生研究所の安全情報部第三室長の畝山智香子氏も、ブログで解説しました。
ちなみに、私が運営している消費者団体「Foocom」のウェブサイト「Foocom.net」でも、10月はじめには有料会員向けのメールマガジンで「疑わしい研究」と報じ、どなたでも読めるウェブサイトでも10月末、宗谷敏氏が詳細な解説をしています。
しかし、一般市民はこの欧米で大騒ぎだった事件を知りません。メディアが取り上げなかったのはこの時期、政局がらみの報道や原発問題、アメリカの大統領選などニュースが多く、細かくややこしい、この手の科学にまつわる動きを伝える必要性などなかったからだろう、と推測します。
「みんなが政局がらみの取材をしているわけではないだろうに」と思われるかもしれませんが、新聞、週刊誌にしてもテレビニュースにしても、掲載される記事量や放送時間は限られるので、ほかの話題が食い込む余地はそれほど大きくはないのです。
科学報道の受け止め方
経験なしには“免疫力”もつかない
経験なしには“免疫力”もつかない
その結果、「遺伝子組換えに発がん性」という間違った情報が日本の市民には伝わらず、よかった、という意見も、食品メーカーや組換え作物関係者にはあります。でも、世界から取り残された感は否めません。こうした経験は、市民が科学報道の受け止め方を学ぶ機会でもあるのですが、経験なしには“免疫力”もつきません。
それに、遺伝子組換えの反対運動を繰り広げる市民団体などは、やっぱり断片的にセラリーニ氏の研究結果を利用しています。市民団体だけならよいのですが、民主党所属の参議院議員が11月末、参議員会館内で開かれた「映画を観て遺伝子組み換えとTPPを考える院内集会」を自身のブログで紹介した際、文頭で「フランスでGMトウモロコシの発がん性に関する衝撃的な実験結果が公表されました。GM作物は安全性が確認されていない事と、雑草も害虫も耐性を持ち結局農薬の使用は増え農業が破綻してしまうという問題があります」などと記しています。
11月末の時点で、セラリーニ氏の研究を持ち出して「GM作物は安全性が確認されていない」とするのは、参議院議員としては不適切でしょう。それに、「雑草も害虫も耐性を持ち結局農薬の使用は増え農業は破綻してしまう」という内容も、誤解を招きます。前半の「雑草や害虫も耐性を持ち」の部分は、米国で実際にそうした現象が指摘され、同国ではたびたび報道されています。しかし、「農薬の使用は増え農業は破綻してしまう」という証拠はなく、同国の農業関係者は、問題点を踏まえ遺伝子組換え作物を上手に利用していくためのさまざまな対策を講じています。でも、日本ではどちらの動きも一般市民には伝わらないのです。
遺伝子組換えはやっぱり革新的な技術ですから、人によって賛否が分かれるのは当然です。が、賛成するにせよ、反対するにせよ、科学的な根拠、妥当性がなければ建設的な議論とはなりません。ところが、科学的な議論どころか、その前段階の、新しい情報、世界が白熱して議論している情報が市民に届かない、という状況に、日本は陥っているのです。
アメリカ合衆国では2012年、大統領選で熱い闘いが繰り広げられ、オバマ大統領が11月6日圧勝しました。実はこの時、カリフォルニア州では遺伝子組換えの表示義務化の是非を問う州民投票も行われました。
合衆国政府は、遺伝子組換え作物は非組換え作物と食品として同等である、という理由で、表示を義務づけていません。そこで、カリフォルニア州で独自の表示制度の立法運動が起こり、州民投票にまで持ち込まれたのです。そして、「表示イエス派」と「表示ノー派」が激しい運動を繰り広げました。
日本では、食品としては同等であっても消費者には区別して選ぶ権利があるとして、検査で組換えと非組換えを識別できる食品については、表示が義務づけられています。
カリフォルニア州法案も、消費者の「知る権利」を尊重すれば当然と見えます。ところが、法案の中身や解説文書をよくよく読んでみると、じつはそれほど単純な話ではありません。
有機食品を優遇する表示制度案
消費者の知る権利、と言いながら、制度案の細部は矛盾だらけで、消費者の知りたいことがわかる、という制度にはなっていませんでした。制度案の中で目立ったのは、有機(オーガニック)食品を優遇する項目。世界の遺伝子組換え生物(GMO)の動向について詳しい宗谷敏氏は、FOOCOM.NETのコラム「GMOワールドII」の中でこう解説しています。
『要するに、この表示制度はGM嫌いでこの世からどうしても抹殺したい一部の消費者運動活動家と、訴訟頻発による収入目的の弁護士たちと、シェア拡大を目論む有機食品のグループに、もしかしたら有機農産物の拡販に熱心な州政府も荷担しての「消費者の知る権利」をお題目にしながら、実は市場での一人勝ちを画策する「有機食品の、有機食品による、有機食品のための表示制度」でしかないのだ。』
(提案された制度の細部については、宗谷さんのコラムをお読みください。複雑怪奇なこの案が、4回にわたって詳細に解説されています)
有機食品については、FAO(国連食糧農業機構)とWHO(世界保健機構)が設置した食品の国際規格を決める組織「コーデックス委員会」で、ガイドラインが定められています。その中で、遺伝子組換え技術と技術を利用して作られた生物は利用しない、と決められています。
そのため、有機農業関係者と遺伝子組換え関係者は常に対立してきました。カリフォルニア州は、アメリカの中でももっとも有機農業が盛んな州であり、これまでも郡や地区単位で、遺伝子組換え作物の商業栽培禁止を求める市民運動が起こされてきた経緯があります。
カリフォルニア州はさまざまな環境運動、市民運動が盛んで、ハリウッドなども抱えてとかく目立つ州。市民団体の中には、カリフォルニア州で運動を仕掛け映画人を巻き込んでPRに努め、全米への波及効果を狙うところもあります。遺伝子組換えの表示制度は、他州の中にも検討中のところがあり、カリフォルニア州の州民選挙でもし制度が成立すれば、影響は小さくありません。
州民投票の結果は……
表示義務化イエス派の1位は、Dr.Joseph Mercolaの企業。「天然」などをうたうサプリメント を販売し、FDAから違法な表示や宣伝を止めるように何度も警告されているシカゴの有名医師。2位は有機農業を推進する活動家。3位以下にも、有機関係の企業や団体等がずらりと並ぶ。一方、表示ノー派には、遺伝子組換えの開発メーカーのほか、大手食品メーカー等が寄付をした。州民投票が「知る権利」というよりも、利害をめぐる闘いという側面が大きかったことが伺える (出典:MapLight)
http://votersedge.org/california/ballot-measures/2012/november/prop-37/funding
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http://votersedge.org/california/ballot-measures/2012/november/prop-37/funding
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こうしたことから、この州民投票は全米の注目を集めることに。「表示イエス」運動は有機食品の生産や販売関係者が後押しし、「表示ノー」は遺伝子組換え開発メーカーや大手食品メーカーなどが中心となり主張を展開しました。それぞれ、920万ドルと4600万ドルの資金を投入してPRし、全米のマスメディアがたびたび報道しました。表示制度が義務化されると、消費者の金銭的な負担が増えるという研究結果も、コンサルタント企業から公表されました。また、学術誌「Science」を発行している学術団体The American Association
for the Advancement of Science(AAAS)は、10月に反対意見を表明しています。
さて、州民投票の結果は?
ロサンゼルス・タイムズはじめ主要各紙が、こぞって反対への投票を勧める社説を掲げたこともあってか、「表示ノー」が僅差で勝利をおさめました。
日本人にとっての注目ポイントは、一見「知る権利」論争に見えて、内実は自らの利害を冷徹に計算し尽くした壮絶な攻防戦がカリフォルニア州で繰り広げられた、という事実でしょう。他州でも、遺伝子組換えの表示制度や栽培禁止を模索する運動が出てきています。前述の宗谷さんは、日本の食品製造や価格に影響を与える可能性を指摘しています。
日本でも、組換え反対派(そこには、多くの有機農業者が含まれます)が表示制度の変更を求めており、一部の評論家などはカリフォルニア州の州民投票の結果が出る前は、「アメリカでもうすぐ、すばらしい表示制度ができる。それに引き換え日本は…」などと発言していました。そうした際には必ず、消費者の「知る権利」が引き合いに出されました。
実態は、そのような“きれいごと”ではない。ところが、このカリフォルニア州の州民投票も、日本のマスメディアは簡単に結果を報じたのみで、その内実に踏み込む報道はありませんでした。
「フランケンフィッシュ」?
遺伝子組換えサケの行方
遺伝子組換えサケの行方
最後に、遺伝子組換えサケについて。遺伝子組換え作物はこれまで、トウモロコシや大豆など、飼料や油の原料などとして主に使われてきました。どこの国でも、消費者が直接食べる食品、いわゆるテーブルミートに組換え技術を導入することへの抵抗感は強くあります。そのため、組換え小麦等の開発もアメリカやEUなどで行われながらも、まだ遅々とした歩みです。
ところが、アメリカで年末も押し詰まった12月21日、食品医薬品局(FDA)が環境アセスメントにおいて、組換えサケが環境に重要な影響をもたらさない、とする結果を発表したのです。FDAは、すでに食べても非組換えサケと同等に安全とする評価を公表しています。今後は、環境アセスのパブリックコメントを経て、食品として認可するかどうか、最終ステップに差し掛かる、ということになります。
同年齢の遺伝子組換えサケ(大きい個体)と、非組換えサケ。開発したAquaBounty 社は、1950年代から60年代にかけて農業が飛躍的に生産性を高めた「緑の革命」にならい、海洋資源を守るための「青の革命」と位置づけている
(出典: Aquabounty社) http://www.aquabounty.com
(出典: Aquabounty社) http://www.aquabounty.com
この組換えサケは、別種のサケが持つ成長ホルモンの遺伝子が導入されており、成長スピードが2倍程度早いとされています。よく、組換えされた大型のサケと、同年齢の小さい非組換えサケが並んだ写真が掲載されるため、組換えサケはばかでかい、と思っている人が多いようですが、成魚の大きさ自体は変わりません。
少ない飼料で育ち、しかも海ではなく内陸のタンクで養殖します。こうすることで、環境、消耗が激しい海の資源も守ることができるというのが、開発した企業の主張。たしかに、魚は中国の人口増で消費量が増えているうえ、欧米でもDHA等体によい成分が含まれ肉に比べて健康と推奨され、人気を集めています。今後も消費量は増えるとみられ、養殖にも期待がかかります。
FDAは、環境アセスを行った結果、内陸で養殖され、しかも不妊化されたメスを飼育するので、逃げ出して野生のサケと繁殖して自然に影響を及ぼすリスクはきわめて低い、と結論づけました。しかし、遺伝子組換えには比較的寛容なアメリカ人であっても、食卓の皿の上に乗る魚が……と考えると抵抗感を覚えるのか、「フランケンフィッシュ」などと表現するメディアもあり、2013年のアメリカはおそらくこの問題で、大揺れになるはずです。
そもそも、FDAのこの環境アセス案は、2012年5月4日の日付。FDAはこの内容の公表を何カ月も“塩漬け”にしていたのです。この行動は、賛成派、反対派の双方に波紋を呼んでおり、「今年は大統領選の年だったからね」とコメントしている市民団体もあることを、Natureニュースも伝えています。食は身近な問題で関心が高く、なおかつ、だれでも一家言持っているもの。オバマ大統領が選挙前の論戦を避けた、というのは、あながち外れていないだろう、と思えます。
この問題、日本では朝日新聞が2012年12月22日、報じました。しかし、G-searchの新聞・雑誌記事横断検索で調べても13年2月1日現在、ほかのメディアはこの環境アセス案をまったく取り上げていません。
アバウトな情報ばかりで
是非を論じることもできない日本
是非を論じることもできない日本
主な“事件”を駆け足で追いかけてきました。2012年が遺伝子組換え技術を巡って世界が大きく揺れた年であったことを、わかっていただけたと思います。
2013年も年明け早々、英国の英国環境・食料・農村地域省のOwen Paterson大臣が「オックスフォード農業会議」の席上で、遺伝子組換え技術は農薬やエネルギーの使用量を減らし、リスクとベネフィットのバランスを検討すると、ベネフィットが非常に大きい技術だとして、支持を明確にしました。英国はこれまでも、遺伝子組換え技術を食料増産の一方策と位置づけ、近年はリスクコミュニケーションに力を入れています。改めてその姿勢を明確にしたのです。また、これまで過激な反対運動を続けてきた活動家が同じ会議で「科学的に検討した結果、これまでの活動をお詫びする」と謝罪し、遺伝子組換え推進の姿勢を明確にしました。この“転向”は英国だけでなく米国や他のEU各国、アジア、アフリカ等でも、大きな話題となっています。
では、日本は?
日本人も前篇で書いたように、遺伝子組換え作物を食用油や清涼飲料水などの糖分などとして大量に摂取し、家畜の飼料に用い、その家畜の肉や卵、乳などを食べています。なのに、世界の動きが一般市民には伝えられず、報道されるのは、「TPPに参加すると、アメリカの制度と同じになるに決まっている」というような、あまりにもアバウトな話ばかり。これでは、是非を論じることもできない。この危機をこそ、皆さんに気づいてほしいのです。
参考文献>
・FOOCOM.NET「GMOワールドII」バックナンバー
http://www.foocom.net/category/gmo2/
・コーデックス委員会の有機食品ガイドライン(農水省訳)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/codex/standard_list/pdf/cac_gl32a.pdf
・Los Angeles Times社説
http://www.latimes.com/news/opinion/endorsements/la-ed-end-prop37-20121004,0,2668604.story
・ScienceInsider 「Scientists Spar Over Wisdom of California Ballot Effort to Require Labeling of Genetically Modified Foods」
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/11/s
・FDAの遺伝子組換えサケにかんするページ
http://www.fda.gov/AnimalVeterinary/DevelopmentApprovalProcess/GeneticEngineering/GeneticallyEngineeredAnimals/ucm280853.htm
・Naturenews「Transgenic fish wins US regulatory backing」
http://www.nature.com/news/transgenic-fish-wins-us-regulatory-backing-1.12130
・The Guardian「GM food: British public 'should be persuaded of the benefits'」
http://www.guardian.co.uk/environment/2013/jan/03/gm-food-british-public-persuaded-benefits?INTCMP=SRCH
・FOOCOM.NET 編集長コラム「遺伝子組換えサケ、あなたはどう思う?」
http://www.foocom.net/column/editor/8459/
・英国オックスフォード農業会議
http://www.ofc.org.uk/
・FOOCOM.NET「GMOワールドII」バックナンバー
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http://www.nature.com/news/transgenic-fish-wins-us-regulatory-backing-1.12130
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http://www.guardian.co.uk/environment/2013/jan/03/gm-food-british-public-persuaded-benefits?INTCMP=SRCH
・FOOCOM.NET 編集長コラム「遺伝子組換えサケ、あなたはどう思う?」
http://www.foocom.net/column/editor/8459/
・英国オックスフォード農業会議
http://www.ofc.org.uk/
2013年2月2日土曜日
グアム移転費用
①沖縄海兵隊のグアム移転経費は、グアム協定によって総見積額102億7千万ドルのうち60億9千万ドルを日本が負担するが、そのうち28億ドルは直接的に提供する資金(いわゆる真水まみず)。これは、既に昨年(H.21年度)から始まっており、その額は約346億円。つづく #futenma
②日本の防衛省の平成21年度予算の沖縄海兵隊グアム移転経費約346億円の内訳は、フィネガヤン地区基盤整備事業(第一段階)約129億円、アンダーセン空軍基地北部地区基盤整備事業約28億円、アプラ地区基盤整備事業約174億円、『設計費』約16億円。つづく #futenma
③H.21年度グアム移転経費の中の設計費・約16億円の内訳は、消防署(フィネガヤン地区)、下士官用隊舎(フィネガヤン地区)、港湾運用部隊司令庁舎(アプラ地区)、診療所(アプラ地区)。この段階での在グアム米海兵隊は10名!日本の税金で一から建設が始まったのだ。続く #futenma
④H.22年度のグアム移転経費の真水は約468億円。内訳はフィネガヤン地区基盤整備事業(第二段階)約290億円。建設工事:消防署(フィネガヤン地区)約24億円、港湾運用部隊司令部庁舎(アプラ地区)約23億円、診療所(アプラ地区)約90億円。設計費:約41億円。続く#futenma
⑤④の設計費の内訳は、基地本部庁舎、海兵後方群司令部、警察署、複合体育施設、下士官用庁舎、下士官用複合隊舎(全てフィネガヤン地区)。もし報道通り米議会でグアム移転経費が7割削減されるなら、日本側の予算も執行停止し、早急に普天間の危険性除去の措置をとるべきだ。終 #futenma
2013年1月27日日曜日
Atlantic Charter
The President of the United States and the Prime Minister, Mr. Churchill, representing His Majesty's Government in the United Kingdom, have met at sea.
They have been accompanied by officials of their two Governments, including high-ranking officers of their Military, Naval, and Air Services.
The whole problem of the supply of munitions of war, as provided by the Lease-Lend Act, for the armed forces of the United States and for those countries actively engaged in resisting aggression has been further examined.
Lord Beaverbrook, the Minister of Supply of the British Government, has joined in these conferences. He is going to proceed to Washington to discuss further details with appropriate officials of the United States Government. These conferences will also cover the supply problems of the Soviet Union.
The President and the Prime Minister have had several conferences. They have considered the dangers to world civilization arising from the policies of military domination by conquest upon which the Hitlerite government of Germany and other governments associated therewith have embarked, and have made clear the stress which their countries are respectively taking for their safety in the face of these dangers.
They have agreed upon the following joint declaration:
Joint declaration of the President of the United States of America and the Prime Minister, Mr. Churchill, representing His Majesty's Government in the United Kingdom, being met together, deem it right to make known certain common principles in the national policies of their respective countries on which they base their hopes for a better future for the world.
First, their countries seek no aggrandizement, territorial or other;
Second, they desire to see no territorial changes that do not accord with the freely expressed wishes of the peoples concerned;
Third, they respect the right of all peoples to choose the form of government under which they will live; and they wish to see sovereign rights and self-government restored to those who have been forcibly deprived of them;
Fourth, they will endeavor, with due respect for their existing obligations, to further the enjoyment by all States, great or small, victor or vanquished, of access, on equal terms, to the trade and to the raw materials of the world which are needed for their economic prosperity;
Fifth, they desire to bring about the fullest collaboration between all nations in the economic field with the object of securing, for all, improved labor standards, economic advancement, and social security;
Sixth, after the final destruction of the Nazi tyranny, they hope to see established a peace which will afford to all nations the means of dwelling in safety within their own boundaries, and which will afford assurance that all the men in all the lands may live out their lives in freedom from fear and want;
Seventh, such a peace should enable all men to traverse the high seas and oceans without hindrance;
Eighth, they believe that all of the nations of the world, for realistic as well as spiritual reasons, must come to the abandonment of the use of force. Since no future peace can be maintained if land, sea, or air armaments continue to be employed by nations which threaten, or may threaten, aggression outside of their frontiers, they believe, pending the establishment of a wider and permanent system of general security, that the disarmament of such nations is essential. They will likewise aid and encourage all other practicable measures which will lighten for peace-loving peoples the crushing burden of armaments.
FANKLIN D ROOSEVELT
WINSTON S CHURCHILL
(The Ministory of Foriegn Affairs "Nihon Gaiko Nenpyo Narabini Shuyo Bunsho : 1840-1945" vol.2,1966)
WINSTON S CHURCHILL
大西洋憲章
(一九四一年八月十四日大西洋上ニテ署名)
アメリカ合衆国大統領及ヒ連合王国ニ於ケル皇帝陛下ノ政府ヲ代表スル「チャーチル」総理大臣ハ会合ヲ為シタル後両国カ世界ノ為一層良キ将来ヲ求メントスル其ノ希望ノ基礎ヲ成ス両国国策ノ共通原則ヲ公ニスルヲ以テ正シト思考スルモノナリ
- 一、両国ハ領土的其ノ他ノ増大ヲ求メス。
- 二、両国ハ関係国民ノ自由ニ表明セル希望ト一致セサル領土的変更ノ行ハルルコトヲ欲セス。
- 三、両国ハ一切ノ国民カ其ノ下ニ生活セントスル政体ヲ選択スルノ権利ヲ尊重ス。両国ハ主権及自治ヲ強奪セラレタル者ニ主権及自治カ返還セラルルコトヲ希望ス。
- 四、両国ハ其ノ現存義務ヲ適法ニ尊重シ大国タルト小国タルト又戦勝国タルト敗戦国タルトヲ問ハス一切ノ国カ其ノ経済的繁栄ニ必要ナル世界ノ通商及原料ノ均等条件ニ於ケル利用ヲ享有スルコトヲ促進スルニ努ムヘシ。
- 五、両国ハ改善セラレタル労働基準、経済的向上及ヒ社会的安全ヲ一切ノ国ノ為ニ確保スル為、右一切ノ国ノ間ニ経済的分野ニ於テ完全ナル協力ヲ生セシメンコトヲ欲ス。
- 六、「ナチ」ノ暴虐ノ最終的破壊ノ後両国ハ一切ノ国民ニ対シ其ノ国境内ニ於テ安全ニ居住スルノ手段ヲ供与シ、且ツ一切ノ国ノ一切ノ人類カ恐怖及欠乏ヨリ解放セラレ其ノ生ヲ全ウスルヲ得ルコトヲ確実ナラシムヘキ平和カ確立セラルルコトヲ希望ス。
- 七、右平和ハ一切ノ人類ヲシテ妨害ヲ受クルコトナク公ノ海洋ヲ航行スルコトヲ得シムヘシ。
- 八、両国ハ世界ノ一切ノ国民ハ実在論的理由ニ依ルト精神的理由ニ依ルトヲ問ハス強力ノ使用ヲ抛棄スルニ至ルコトヲ要スト信ス。陸、海又ハ空ノ軍備カ自国国境外ヘノ侵略ノ脅威ヲ与エ又ハ与ウルコトアルヘキ国ニ依リ引続キ使用セラルルトキハ将来ノ平和ハ維持セラルルコトヲ得サルカ故ニ、両国ハ一層広汎ニシテ永久的ナル一般的安全保障制度ノ確立ニ至ル迄ハ斯ル国ノ武装解除ハ不可欠ノモノナリト信ス。両国ハ又平和ヲ愛好スル国民ノ為ニ圧倒的軍備負担ヲ軽減スヘキ他ノ一切ノ実行可能ノ措置ヲ援助シ及助長スヘシ。
- フランクリン・ディー・ローズヴェルト
- ウィンストン・チャーチル
2013年1月22日火曜日
バックエンド総事業費
バックエンド総事業費約19兆円とは?
バックエンドとは、原子力発電が終わった後に生じる後始末に関わる部分。
約19兆円というのは、電気事業連合会が2003年11月11日に開かれた総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)電気事業分科会の小委員会に報告した数字。
六ヶ所再処理工場を40年動かすとして、その建設・操業費と、工場の廃止措置(2078年まで)が合わせて約11兆円。海外からの返還分も合わせた高レベル廃棄物の貯蔵および処分、輸送、中間貯蔵など他の「バックエンド」事業も合わせた総額が約19兆円との計算。
六ヶ所で再処理されると想定されているのは、2004年度までに生じている1.4万トンと2005年度から2036年度までに生じる分のうちの1.8万トン(残りは中間貯蔵)の使用済燃料。この合計3.2万トンを2046年度までの40年間で再処理するとの想定(年間800トン)。2046年度までに中間貯蔵が3.4万トン生じる計算。
業界 18兆8000億円と試算
負担の合意形成が課題
核燃料サイクル政策の見直し論で焦点となっているのがバックエンド費用の取り扱いだ。電気事業連合会の試算では十八兆八千億円。このうち約十兆円は既に電気料金で回収する仕組みができているが、残る約九兆円の回収の仕組みづくりはこれからである。いずれにせよ、その大半は国民の負担が避けられず、徹底した論議が求められる。
試算は、再処理工場が二〇〇六年から四十年間運転することを前提に、その後に解体・処分に必要な七八年ごろまでの期間が対象。内訳は、再処理工場の操業や廃止などが十一兆円と最も多く、次いで再処理した際に出てくる高レベル放射性廃棄物の輸送・処分が二兆七千四百億円。プルトニウムとウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料の加工工場の操業や廃止で一兆千九百億円、使用済み燃料の中間貯蔵も一兆百億円かかると算定された。
再処理関連だけで十一兆円もかかることから、次期長計の策定に当たっては、米国などのようにウラン燃料を一回しか使わずに処分するワンススルー方式も検討すべきだという「柔軟路線」への変更を求める声が出ている。
ただし、ワンススルー方式にも多くの欠点がある。再処理では廃液をガラス固化した高レベル放射性廃棄物を地中深く埋めるが、使用済み燃料をそのまま処分するとなると容量が大きいため、処分コストが高くつき、処分場の選択も難しくなる。放射能レベルもガラス固化体より強い。
さらに、一回の使い捨てだとウラン資源が約六十年しかもたないため、最低でも千年単位で動かせる高速増殖炉を中心とした核燃料サイクルと比べてエネルギーの安定供給に不安を抱える。
一方、バックエンド費用で鍵を握るのが費用負担の問題である。十八兆八千億円のうち、既に十兆千億円については電力会社が引当金制度を設け、電力料金から回収する仕組みがあるが、残る八兆七千億円については制度が未整備だ。
これについて、経済産業相の諮問機関である総合エネルギー調査会が現在、費用負担の枠組みづくりを検討中。年内にはまとまる見通しだ。
今月二十二日に開かれた同調査会電気事業分科会では、MOX燃料の加工費など約四兆円は燃料コストに当たるとして除外し、残る約五兆円について家庭に負担してもらう仕組みを了承した。
試算では標準世帯で月額約五十円程度の負担増となる。これまで制度化されていた分も合わせると、バックエンド費用全体の国民負担額は月額約百七十円という。
ただ、これもあくまで現時点での想定だ。
再処理工場の建設費が当初計画の三倍に膨れ上がったように、費用が今後、さらにかさんで国民負担が増す可能性があると指摘する声もある。
原子力発電の後処理(バックエンド)費用(電気事業連合会)
事業内容 費用(兆円)
再処理工場の操業や廃止など 11.00
海外から返還される高レベル放射性廃棄物の輸送や貯蔵など 0.30
海外から返還される低レベル放射性廃棄物の輸送や処分など 0.57
海外返還分以外の高レベル放射性廃棄物の輸送や処分など 2.74
再処理・MOX燃料工場などで発生する超ウラン元素(TRU)の地層処分 0.81
使用済み燃料の輸送 0.92
使用済み燃料の中間貯蔵 1.01
MOX燃工場の操業や廃止など 1.19
ウラン濃縮工場の後処理 0.24
合計 18.80
【注】端数処理の関係で合計は合わない
出典:業界18兆8000億円と試算 負担の合意形成が課題 中国新聞2004年5月30日
再処理の費用は最初はどのくらいと考えられていたか。
ゼロ。
回収されたウランとプルトニウムの価値が大きく、それによって再処理費用はまかなえると考えられていた。だから料金原価上も再処理費用を費用の中に入れていなかった。それが途中で、再処理費用の方が回収核物質の価値を大きく上回ることが分かって、あわててこの費用を電力消費者から取り立てることにしたと次の文書にある。
電気事業審議会料金制度部会中間報告(1981年12月2日「原子力バックエンド費用の料金原価上の取扱いについて」(pdf)
【問題の所在】
原子力バックエンドのうち、使用済核燃料の再処理は、減損ウラン及びプルトニウムの回収と高レベル放射性廃棄物の分離、凝縮との両面の性格を併せ持っている。現在の電気事業会計は、回収されるウラン及びプルトニウムの価値により再処理費用を賄えるという前提に立って設定されており、料金原価上も、再処理費用を費用とせず、資産としてレートベースに算入することとしている。しかしながら、最近に至って再処理費用が回収されるウラン及びプルトニウムの価値を大幅に上まわることが明らかになってきており、現行の取扱いを継続していくことは、電気の消費者の世代間の負担の不公平を招くという問題が生ずる。したがって、現行の取扱いの改善につき検討が求められている。また、再処理費用以外の原子力バックエンド費用についても、将来確実に発生することが明らかであるので、これについても将来の消費者に負担させることの適否が問題となっており、同様に検討が求められている。
【結論】
(1) 原子力バックエンド費用のうち、高レベル放射性廃棄物のガラス固化費用を含む使用済核燃料の再処理費用については、炉内で燃焼している時点で引当金を積立てる方式により、料金原価に算入することが適当である。なお、引当金方式の採用に伴い、企業会計及び税制上の取扱いとの整合性が図られることが望ましい。
(2) 放射性廃棄物の処分及び廃炉の費用については、現時点では、処分方法等につきなお不確定な要素が多く、将来の費用を合理的に見積もることが困難であるので、引続き内外の事態の推移を見極めながら、その取扱いを検討していくことが適当である。
六ヶ所再処理工場の建設費は?
1999年日本原燃は、建設費の見積もりをそれまでの「1兆8,800億円」から「2兆1,400億円」に変更した。1989年に事業許可申請が出されたときの建設費見積もり額は7600億円だった。
工事費について
ア.総工事費
再処理工場の総工事費については、現在の「1兆8,800億円」から「2兆1,400億円」に変更します。
バックエンドが問題になってきたのは?
18.8兆円のうち、六ヶ所再処理工場建設・操業費や高レベル廃棄物処分費用などの10.1兆円については回収する仕組みがあったが、工場の廃止措置費用など残りの8.7兆円を誰がどう負担するかが問題になった。
東奥日報2004年7月3日(土)
核燃料直接処分は再処理の半分以下/政府が試算を公表せず
原発から出る使用済み核燃料を地中深く直接埋めて捨てれば、再処理方式に比べて半分以下と大幅に安くなるとの政府試算がありながら、公表していなかったことが二日明らかになった。核燃料サイクル見直し論議が高まるのを政府が恐れたためとみられる。重要な情報開示を怠っていたことで、核燃サイクル政策の是非を検討する原子力委員会の議論にも影響を与えそうだ。
試算は一九九四年と九八年に実施し、再処理方式が直接処分方式の二―四倍割高となる。当時の議論で電力会社側が「割高との試算が公表されると、サイクル事業が成り立たなくなる」などと主張。政府は、今年三月の国会でも「試算はない」と答弁していた。
経済産業省資源エネルギー庁は二日、試算があったことを認め、原子力委員会に資料を提出することを明らかにした。
総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)は六月、再処理の総費用は十八兆八千億円との試算をまとめており、一部は電力料金に上乗せする計画。
三月の参院予算委では、直接処分の費用に関する福島瑞穂(ふくしま・みずほ)社民党党首の質問に、日下一正(くさか・かずまさ)資源エネルギー庁長官(当時、現経済産業審議官)が「再処理しない場合の試算はない」と答弁した。
これについて日下審議官は二日、「試算があることは知らなかった」と述べた。エネ庁の柳瀬唯夫(やなせ・ただお)原子力政策課長は「当時の経緯は分からないが、議論は非公開なので、公表しなかったのは不思議ではない」としている。
九八年三月に通産省(当時)の外郭団体、財団法人原子力環境整備センター(同)が行った試算は、直接処分の場合は約四兆―六兆円、再処理後に処分する場合は約三・四兆―五兆円としている。処理期間など前提条件は違うが、現在、再処理工場の操業や解体などのコストとされている約十一兆円を加えると、再処理方式は十四・四兆―十六兆円となり、直接処分の二―四倍程度になる計算だ。
◇
重大な問題
鹿内博県議(無所属) 試算しておきながら政府が公表をしなかったことは重大な問題である。再処理ありきの前提で、政策の選択肢の提示を意図的に抑えてきたことになる。情報がきちんと示されていない以上、六ケ所再処理工場のウラン試験は実施すべきでない。
◇
推進変わらず
滝沢求自民党県連政調会長 核燃サイクルを推進する立場に変わりはない。このたびの報道に関しては事実関係が分からないのでコメントしようがない。
バックエンド措置についての電力会社の言い分は?
既に原発の電気を使った顧客が、2005年から本格化する電力自由化のために、特定規模電気事業者(PPS=Power Producer & Supplier)から電気を買うようになった場合に、その顧客から既発電分について回収しておくべきだった分をどうやって回収するかが問題になるから、制度を完備する必要があったというもの。
原子力事業本部原燃計画グループ
チーフマネジャー 小田英紀
原子力発電の「バックエンドコスト」に注目が集まっている。原子燃料を繰り返し有効利用するリサイクル路線を堅持する一方、電力市場の自由化も加速度的に進むなか、バックエンドコストは誰が、どのように負担すべきなのか──原子力事業本部原燃計画グループの小田英紀・チーフマネジャーに訊いた。
──そもそも「バックエンド」とは何か? //////////
バックエンド(後処理)とは、原子力発電所でウラン燃料を燃やした後の工程のこと。使用済み燃料を再処理し、燃え残ったウランや新たに発生したプルトニウムを取り出してMOX燃料に加工したり、再処理工場などから出る放射性廃棄物を処理処分したりすることをいう。
これらの工程全般を指して「バックエンド」と呼ぶが、実際の工程は発電後すぐに行えるものではないし、短期間で終わるものでもない。例えば使用済み燃料は再処理前に数年間の冷却期間が必要だし、高レベル放射性廃棄物は最終処分までに30~50年間冷却して放射能レベルを下げる。さらに最終処分(地層処分)した後も、何十年間もモニタリングする。つまりバックエンドとは、100年オーダーの長々期にわたる事業だということをまず知ってほしい。
──そのバックエンドコストとして電気事業連合会は2003年末、再処理工場を40年間運転した場合、総額約18.8兆円が必要との試算を公表した。非常に莫大な費用という印象だが? //////////
18.8兆円という数字は、再処理工場やMOX燃料加工工場の操業費から、これらの工場が運転終了した後の廃止措置に関わる費用、さらにはその際に発生する放射性廃棄物の処分費用まで、バックエンド事業全般を網羅したもの。これらの中には、今までの電気料金に含まれていたものもあれば、含まれていなかったものもある。確かに巨額だが、今後「新たに」18.8兆円必要ということではない。今回改めてバックエンドコストを──これまでにプールしたものも、していないものも含めて──全部積み上げたら18.8兆円かかる計算になった、ということだ。
──具体的には、今までの電気料金には何が含まれており、何が含まれていなかったのか? //////////
代表的なものを挙げると、含まれていたのは、使用済み燃料の再処理費用、高レベル放射性廃棄物の最終処分費用など。これらは再処理引当金制度や、NUMO法(特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律)に基づく積立金制度に則り、電気料金に織り込まれている。一方、含まれていなかったものには再処理工場の廃止措置費用や、TRU廃棄物(超ウラン核種を含む放射性廃棄物―燃料集合体の被覆管など)の処分費用などがある。
バックエンド事業は非常に長期にわたるため、不確定要素も多い。だからこれまでは見積が可能なものから、あるいは制度の整ったものから、順次電気料金に織り込むという方法でやってきた。結果、本来は過去の電気料金に含まれるべき費用も、未回収になってしまっているものもある。
──その「未回収分」はどうするのか? 電気料金に上乗せされるのか? //////////
未回収分がどれくらいあり、どのような措置を講じるかは、今後、経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会電気事業分科会で議論されることになっており、現時点では未定だ。ただ、電事連としては、自由化範囲の拡大に伴い、過去に原子力発電による電気を使用したお客さまから回収することが現実的には不可能となるため、これまで原子力の恩恵を受けてきた国民の方々に「広く薄く」負担していただきたいと主張している。
なぜなら未回収分とは「過去の発電」に起因するコスト。つまり自由化拡大以前の、すべてのお客さまが原子力発電所でつくった電力会社の電気をお使いいただいていた時点で、本来回収させていただくべきだったものだ。合理的見積もりができない等の理由により、電気料金として回収することが適当でなかったため回収が遅れてしまったが、だからといって電力会社のお客さまだけから回収したのでは、新規参入者に乗り換えたお客さまが過去に使った電気のコストを、一般家庭など自由化対象外のお客さまに強いることにもなりかねず、公平性を損なう。従って過去の発電に起因する未回収分だけは、なんらかの形で「広く薄く」国民のみなさんにご負担いただきたいと考えているのである。ただ、広く国民のみなさんにと言っているのは、あくまで自由化拡大以前の発電に起因する部分で、18.8兆円のすべてではない。
また、エネルギーセキュリティや環境適合性といった原子力のメリットは、特定地域や特定のお客さまだけでなく、国民誰もが享受しており、その意味でも「広く薄く」負担していただくことが公平性に適っている。
──ただ、それでは国民は、未回収分を負担したうえ、さらにバックエンドコストを上乗せした高い電気を買うことになる。そもそも原子力は経済優位性もメリットのひとつだったはずだが、その優位性が崩れるのでは?
そんなことはない。実際、今回のバックエンドコスト試算と同時に電源別の発電原価も試算したところ、運転年数40年、割引率3%の場合、原子力は5.3円、石炭火力が5.7円、LNG火力6.2円、石油火力10.7円(いずれもkWh当たり)。発電所建設コストの低減などもあり、前回試算の5.9円よりさらに安くなる。確かに石炭火力との差は接近しているが、長期的に見れば依然として最も割安な電源といえる。
もちろんこの5.3円は、バックエンドコスト0.81円を含んだ数字。0.81円の中には、これまで電気料金に含まれていなかった再処理工場の廃止措置費用なども入っている。つまりバックエンドコスト18.8兆円の項目をほぼ網羅して、これを織り込んだ発電原価が5.3円だ。従って巷間囁かれている「バックエンドコストを加味すれば割高になる」というのは間違い。バックエンドコストを含めても、原子力の経済性は他の電源との比較において遜色はない。
──とはいえ今後の政策如何によっては、原子力を取り巻く情勢が大きく変わる可能性もある。電力会社は相当のリスクを抱えることにならないか?
確かにそうだ。もちろん今回試算した18.8兆円は、絶対的・確定的なものではなく、ある程度の変動幅も見込んだ数字。規制の見直しや設計・施設の合理化など、合理的範囲内での環境変化には対応できるが、大きな政策転換までは考慮していない。従来の規制下なら、原価主義に基づくコスト回収が可能だった面もあるが、将来の自由化拡大に伴い、いかに経営努力を重ねようと大きな政策変更による増分コスト回収は困難になる。
そうならないためにも、リサイクル路線を進める中での官民の役割を明確化してほしいと要望しており、これについても今後、電気事業分科会で議論される予定だ。
──審議の予定や制度設計の見通しなど、今後のスケジュールは?
契約電力50kW以上のお客さまにまで自由化対象が拡大される2005年がひとつのポイントになる。それまでになんらかの制度をつくっておかないといけないから、2004年1月下旬からの電気事業分科会で審議が行われ、2004年中には結論が出ることになるだろう。議論の結果がどうなるかはまだ分からないが、我々としては、1)バックエンドコスト18.8兆円の試算は、相応の合理性をもって算出したものであること 2)バックエンドコストを含めても原子力の経済性は、他の電源と比較において遜色はないこと 3)自由化拡大以前の発電に起因する未回収分については、公平性の観点から「広く薄く」負担していただくのが望ましいこと──この3点を主張し、公平かつ妥当な制度設計を要望していきたいと考えている。
電力自由化との関係とは?
2005年度から50kWの顧客まで自由化の範囲を広げることを盛り込んだ電気事業法改正案が2003年に衆(5月)参(6月)両院を通過した際、次のような附帯決議がなされていた。
我が国のエネルギーセキュリティと環境保全等の両立の観点から、原子力発電を中核的な電源と位置付け、原子力発電の開発・利用を推進するため、優先給電指令制度の整備など電力供給システムの一層の整備を図ること。
バックエンド事業については、国の責任を明確化した上で、徹底した情報開示と透明性の高い国民的議論の下で、官民の役割分担の在り方、既存制度との整合性等を整理し、経済的措置等具体的な制度・措置の在り方について早急に検討を行い、平成16年末までに必要な措置を講ずること。
なぜ未手当のものがあったのか。
電気事業連合会は次のように説明する。
これらの費用が将来発生することは以前から予見できていましたが、費用を明確に見積もることができなかったため、これらを総括原価制度(適正な原価に適正な事業報酬を加えたものが、総収入に見合うように料金を設定する方式)の料金原価に含めることは政府に認められていませんでした。
この19兆円に関する「上質な怪文書」とは?
「19兆円の請求書─止まらない核燃料サイクル─」(pdf, 416kb)
再処理に批判的な官僚が書いた文書とされる。
核燃料サイクル路線を正当化するものは何もないと説明し、最後は次のように結んでいる。
ちょっと待った!サイクル!
この核燃料サイクルを巡る構図は、古くは国鉄、住専、最近では道路公団、年金問題と同じ
(問題の先送りによるツケが国民に回ることに)
──>
核燃料サイクルについては一旦立ち止まり、国民的議論が必要ではないか
19兆円の中身を示した詳しい表は?
資料1
http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/bunkakai/cost/rireki/1st/cost1--1.pdf
資料3
http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/bunkakai/cost/rireki/1st/cost1--3.pdf
http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/bunkakai/seido_sochi/2th/shiryo4.pdf
http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/bunkakai/seido_sochi/1th/shiryo5.pdf
再処理施設の操業費用
再処理施設の廃止措置費用について
MOX燃料加工事業費用について
返還廃棄物管理費用について
高レベル放射性廃棄物の輸送・処分費用について
TRU廃棄物の地層処分費用について
使用済燃料輸送費用・中間貯蔵費用について
ウラン濃縮工場バックエンド費用について
バックエンドコスト算定に係る共通補足事項資料
バックエンド事業費の海外との比較
バックエンドコスト算定における主な変動要因について
モデル計算による各電源の発電コスト
バックエンドコストと今後のバックエンド事業
2005年に定められたバックエンド事業制度・措置は?
2005年5月11日に成立し、10月1日に施行となった法律で定められたのは:
電力料金に上乗せして徴収していた対象を拡大する。
これまでの対象
再処理操業本体費用
高レベル放射性廃棄物のガラス固化費用
追加される対象
ガラス固化体貯蔵
返還廃棄物管理
TRU廃棄物の処分
再処理施設の廃止等
これまでは電力会社内部で積み立てていたものを外部積立とする
既に内部で積み立てられている分については、15年以内に外部積立に移す。
既発電分に関する上の追加対象については、15年に渡って分割回収する。自由化で特定規模電気事業者(PPS=Power Producer & Supplier)から電力を購入するようになる消費者からも回収する。電力会社(一般事業者)の送電線を使って特定規模電気事業者の電力を運ぶ「託送」制度を利用し、送電線使用量に上乗せして回収する仕組み。
これまでは、発生する使用済燃料すべてについて準備金を積み立てていたが、新制度では、六ヶ所再処理工場で再処理される分についてのみ積み立てる。2010年以後中間貯蔵が始まった場合、そこに送られ、その後第二再処理工場か直接処分に向かうものについては、当面、準備金の積立を行わない。
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