東京新聞
【特報】 官僚が民主復活を怖がる6つの理由
2009年5月13日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2009051302000063.html
「小沢城、落城」。十一日の小沢一郎・民主党代表辞意表明に戸惑っている人々がいる。民主党を天敵とみなし、小沢氏の秘書逮捕以来のドタバタにほくそ笑んでいた霞が関の官僚たちだ。民主党が新代表を選び、政権を奪取したら、政治任用制というキャリア官僚が真っ青の制度が導入され、官僚が嫌がる法案も次々に出されるのでは-。不安は尽きないのだ。以下、「官僚が民主党復活を怖がる六つの理由」。 (特報部取材班)
(1)幹部の政治任用 キャリア「うまみ」が激減
官僚が民主党を敵視する最大の理由は、安楽いすを針のむしろにかえる「幹部職員の政治任用」。国家公務員第1種試験に合格したキャリア官僚が横並びで課長級に昇進でき、局長級や事務次官になれなくても天下りできるという「おいしい人事システム」をぶち壊す制度だ。
05年の衆議院選挙で、幹部職員に辞表を提出させ、民主党政権に忠誠を誓う人だけを省庁幹部にすると公約。現在も政権公約に引き継がれている。
(略)
(2)厚労省は炎上? 年金・薬害追求され続け
(略)「民主党議員が大臣として乗り込んで来ることを一番恐れているのは厚労省。」
長妻昭議員から、年金保険料未納や、年金記録改ざん等を立て続けて追及され、菅直人議員からも、薬害肝炎問題などで、その姿勢を攻撃されている。
(3)取調べ可視化 弁護士と取り組み「全面」主張
(略)日弁連からは「当局に都合よい部分だけ可視化するのはかえって危険」との反応が出ており、弁護士とタッグを組んで全面可視化にこだわる民主党は煙たい存在だ。
民主党は当局が猛反対する法案も国会に出している。07年6月に議員立法で提出した「取調べの可視化法案」だ。捜査当局や与党との最大の相違点は、録音・録画する対象が「全面」である点。
(略)
(4)裁判員制に注文 「制度そのものを見直す」!?
今月21日からスタートする裁判員制度についても、小沢氏が昨夏、爆弾発言をした。「日本の風土になじまない。政権を獲得すれば制度のあり方そのものを見直す」と表明。さまざまな問題を解決してからの施行を」と、延期を主張した他の野党も腰を抜かした。
民主党内の裁判員制度関連プロジェクトチームも全面可視化実現を盛り込んだ意見書を出し、依然として制度に注文をつけている。
(略)
(5)「共謀罪」も阻止 修正案で与党をほんろう
窃盗罪など600種以上の罪について、実行しなくても話合っただけで罪に問える―という共謀罪法案。民主党は国民に不評な共謀罪の成立阻止に動いた。
小泉政権下の06年強行採決に王手を掛けたが、民主党が修正案を提出、関連省庁の足並みの乱れを誘い、法案成立は阻止された。修正案という「撒き餌」で与党を吊り上げてしまった民主党に、法務・外務両省と警察庁はうらみ骨髄だ。
(略)
小泉純一郎政権下の2006年、与党が衆院法務委員会での強行採決に王手をかけたが、民主党が対象となる犯罪を約300種類に減らした修正案を提出。(略)
修正案という「まき餌」で与党を釣り上げてしまった民主党に、法務・外務両省と警察庁はうらみ骨髄だ。
(6)人権機関の管轄 法務省からの切り離しを担う
民主党は官僚をいらだたせている。人権機関を法務省から切り離し、内閣府の下にぶら下げる「人権侵害救済法案」をぶち上げたからだ。
この記事の締めくくりは次のようになっている。最後の部分を引用する。
以下引用 「小沢氏辞意により、皮肉にも、検察内部でさえタブー視される「捜査が政局を左右する状況」が決定的に成った。ジャーナリストの大谷昭宏氏は「小沢氏は『共謀罪法案を通しても一文の得にもならない』とつるの一声で成立を阻止するなど、法務・検察の憎しみの対象。裁判員制度が凍結されたら混乱するだけに、民主党政権誕生は看過できなかったはずだ」と観測する。「捜査当局が、国民の政権選択の出はなをくじいてはいけない。民主党政権になれば、政治介入問題が論議される。震え上がるのは霞ヶ関だ」
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