小沢氏が韓国国民大学での講演
元東大名誉教授であった江上波夫教授の話を引用し、日本の成り立ちを朝鮮半島からの騎馬民族説を語っている。
この講演を、右翼(主にネット右翼といわれている方々)の方々には面白く無いようで非難を浴びたのであるが、この動画全部を見る限りでは、江上教授の騎馬民族説を取り上げているだけの話でしかない。
故江上教授の説を小沢氏が聞き、そして話したという程度のもので、日本国内でも江上教授の唱えた騎馬民族征服王朝説にロマンを感じた方も多いと思う。
この騎馬民族征服王朝説も佐原真氏の「騎馬民族は来なかった」などの反論に会い、 この学説は忘れられつつあったように思う。そんな中で小沢氏はこの学説をロマンを持って韓国国民大学の講演の題材に用いたのであって何ら違和感を持つ必要はない。
何よりも佐原真氏の「騎馬民族は来なかった」の中では、馬の血の話がどうしたの去勢がどうしたの類の話ばかりで、 江上教授のロマンに満ちた学説とは対照的で無味乾燥した話にしか思えなかった。
江上教授のロマンにあふれた学説と佐原真氏の学説では佐原真氏の学説の方が、反論のための屁理屈にさえ思え非常につまらないものと自分には写ったのも事実である。
そんなロマンのある江上説を語る小沢氏を韓国に対して”ゴマをすっている”だの”小沢は韓国人”だのと非難をすること自体、発想(ロマン)の乏しい人間に見えてしまう。
蛇足として「騎馬民族征服王朝説」の概要を書き出すと
①前期古墳文化と後期古墳文化は、根本的に異質である。
②その部分の変化が急激で、その間の自然な推移を認めがたい。
③農耕民族は一般的には、自己の伝統的な文化に固執する性向が強い。ゆえに、 急激に他国・他民族の文化を受け入れて自己の伝統的な文化の性格を変容させる傾向はほとんど見られず農耕民であった倭人の場合でも同様の性向であったと思われる。
④国内にみる、後期古墳文化における大陸北方系騎馬民族文化複合体は、大陸及び朝鮮半島におけるものと共通し、その複合体のあろものが部分的もしくは選択的に日本で受け入れられたとは認められない。 すなわち大陸北方系騎馬民族文化複合体が、一体としてそっくりそのまま日本に持ち込これたものであろうと推測できる。
⑤弥生式文化および前期古墳文化時代に、牛馬の数が少なかった日本において、後期古墳文化時代に入り急激に多数の牛馬の飼育するようになった。
この点においても牛馬のみが大陸から渡来し、人の渡来しなかったとの解釈は無理があり、騎馬を常習とした民族が馬を伴って、多数の渡来人が大陸や半島から日本へ渡来したと考えるほうが自然である。
⑥後期古墳文化が王侯貴族的・騎馬民族的な文化であり、その弘布の仕方が武力による日本の征服・支配を暗示させる。
⑦後期古墳の濃厚な分布地域が軍事的要地と認められる所に多い。
⑧アラブ・ノルマン・蒙古などを例にとるまでもなく一般に騎馬民族は陸上のみの征服活動だけで満足をするわけでなく、海上を渡っての征服欲も満足せしめようとする傾向にある。 したがって南朝鮮まで騎馬民族の征服活動がおよんだ場合には、日本への侵入も十分あり得る。
ここで気をつけたいのは「騎馬民族征服王朝説」と「日ユ同祖論」と非常によく似た説であることにだけは気をつけるべきであろう。なんせ、伊瀬神宮の石灯籠に描かれた「六芒星」をもってして欧米とのつながりまで関連つけたという事実まである日本という国である。その部分は注意が必要な気がする。
江上教授の説は、天皇制の遠い起源が北方ユーラシアのステップ地帯にあると考え、 ここから満州・朝鮮を南下した扶余族系の騎馬民族が、ひとまず任那に「辰王国」を建てた後、 九州に上陸してその後、紀伊半島の和歌山県・三重県までずうっと海岸伝いに来て、今の奈良県に入り、奈良盆地で政権を樹立した大和へ東征し、日本国家の基礎をつくったと想定したというもの。古事記の神武東征の話である。
小沢氏は、この説を支持しているに過ぎない
そもそも、このビデオ自体が特定の意図を持って見る人に先入観を与えるような文章も付いて無く、たまたま取材した講演をインターネットに載せただけというもので、特定の人間から攻撃を受けるようなものでもないはずである。
2本目のビデオの8分の発言は非常に重要であろう。これを伝えたマスコミが過去にあっただろうか。
日本の天皇もあいさつで言ったことでありますけども、平城京、京都、平安京を作った桓武天皇、794年、西暦794年に京都の都が出来たんですが、その桓武天皇の生母は百済の王女様だったと天皇陛下自身が認めておられます。と。
この陛下の発言は、2002年の日韓ワールドカップを前にした記者会見でのもので、陛下は次のような発言をなさった。「私自身としては、桓武天皇の生母(高野新笠)が百済の武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています。」と。
桓武天皇の生母が渡来系の子孫であることは、中学教の科書にも書いてあるはずであるが、韓国人へ差別感を持っている日本人が少なからずいると思うのだが、その方たちは「天皇家に百済人の血が混じっていることを知らないのだろうか」と思うと・・・。
どちらにしても、平城京でも渡来人が多く住んでいたようで、羽田氏は京都の秦氏と同根であるし、松尾大社、そして伏見稲荷も秦氏の創建とされているのである。
参考資料として
http://www.youtube.com/watch?v=CbJnAW6eCSM
小沢一郎 國民大 講演 (2)
http://www.youtube.com/watch?v=hR5TF83kGK8
小沢一郎 國民大 講演 (3)
http://www.youtube.com/watch?v=WsOwC13DVVw
小沢一郎 國民大 講演 (4)
http://www.youtube.com/watch?v=vTiu5wtdBUU
小沢一郎 國民大 講演 (5)
http://www.youtube.com/watch?v=mQtHln8204Q
どうでも良いことなのだが、嫌韓や反中の方々の気持ちもわからないではないが、大陸とのつながりは昔からのものであるし、今更嫌いだの何だのと言うほうがおかしいし・・・・。
追記(2011年1月26日)
古くから朝貢外交をしてきた日本が、貢先をアメリカに変えただけでしかなく、それを今更、中国が脅威だの韓国が嫌いだのと言っても始まらないし、何よりも先日のウィキリークスでの小沢・鳩山潰しの外電が韓国から発せられたものである以上、嫌韓でいることに何のメリットがあるのだろうか?
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