非常に不可解であろう。
産経の記事が消えているのである。
それも、総連事件の初公判の記事が全てである。
簡単に言えば、この総連事件は、安倍が総連の土地を手に入れるためにはじめたことであり、実態が表に出そうになり逃げるために、地検を使って事件をでっち上げたというのが、真実だろう。
07年6月、安倍晋三政権下で社会的耳目を集めた「朝鮮総連本部ビル売却問題」。
この事件は当初、東京地検特捜部が電磁的公正証書元本不実記録などの疑いで関係先を家宅捜索したことから、朝鮮総連およびその代理人弁護士らを含む「競売妨害」事件として立件されるのではないか、と見られた。ところが、ご存じのように、事件はいつの間にか朝鮮総連を被害者とする詐欺容疑に切り替えられ、元公安調査庁長官の緒方重威(しげたけ)、元不動産会社社長の満井忠男被告ら3人が逮捕・起訴された。
こうして詐欺罪に問われた緒方、満井両被告の公判は37回を重ね、今月17日に結審した。その中で緒方被告は「(中央本部を差しおさえられそうだった)朝鮮総連の窮状を見かねて取引を行った。利得目的ではない」と無罪を主張。弁護側も「大声で脅迫するなど異常な取り調べを行い、検察側が思い描いたストーリーに沿うように供述を作り上げた」と批判したという。一方、検察側は「公安調査庁長官などの経歴を利用した巧妙かつ悪質な犯行」として両被告にそれぞれ懲役5年を求刑した。
ここで改めて、検察側が描く「事件の構図」を簡単に振り返っておきたい。緒方被告らは総連側から、購入代金35億円を提供する投資家がいるかのように装い、所有権移転登記をして総連中央本部の土地・建物をだまし取り、実体のない事業の違約金名目で総額4憶8400万円を詐取した、というものだ。
ところが最近になって、この取引のスキームをつくったとされる元銀行員の河江浩司氏(=有罪確定)が上申書(=左写真)を出していたことが分かった。その中で河江氏は、総連本部ビル買収の資金調達先として「富士薬品」(さいたま市)に話を持ち込み、同社役員らと複数回にわたる具体的な交渉を続け、「富士薬品でも『非常に面白い』と取引に強い関心を示し」た、との驚くべき証言をしている。
ところが、総連本部ビル事件が発生したため、社会的信用の失墜を極端に畏れた富士薬品側は態度を豹変させ、「その話は確かにあったが、すぐにお断りした。従って交渉ごとなどは一切無かった」の一点張りで検察の事情聴取に対応したという。河江氏は上申書の最後を次のように締めくくっている。
<正直私は呆然としました。今にも取引を成立させるといった勢い、意気込みを見せていたのは他ならぬ富士薬品だったからです。それをひた隠しにして「何もなかった」と検事の前で言を繰り返したことで、私は裏切りそのものだと実感を持つと同時に、無実の証が潰えたと落胆しました。私は交渉が間違いなくあったことを何度も繰り返し申し述べたのですが、取調べ検事に受け入れられなかったことが今でも悔しくてなりません。>
もっとも、この上申書が公判で証拠として採用されたかどうかは今のところ不明だ。MSN産経ニュース(=左写真)を見る限り、緒方被告の弁護人最終弁論でも、「自己の虚偽供述により、被告人や満井を陥れてでも、巧みに立ち回り最小限の責任しか取らずに逃げ切るべき強烈な動機も存在したことも見逃されるべきものではありません」と、二転三転した河江氏の供述、証言は「任意性がない」と断じている。しかし、この上申書は河江氏の有罪が確定した後に作成されたもので、すでに「逃げ切るべき強烈な動機」も存在しない。したがって、真実が含まれている可能性は非常に高いのではないか。仮に河江氏の言うことが本当なら、具体的な資金調達の交渉は存在し、総連本部ビルなどを詐取する目的だったという検察側の構図は大きく崩れることになる。
しかも、「富士薬品」という会社は資金量も豊富で、調達先として非常に有力だった。同社は未上場ながら、従業員4082人(=09年3月末現在)を抱える配置薬販売の最大手で、民間調査会社の資料などによると、08年3月期の売上高は1367億円に達する。同社は高柳一族が支配しているが、現在は2代目の高柳昌幸氏が社長に就任している。
「先代の貞夫氏は昨年、体調を崩し、経営の一線から身を引いた。実は、この貞夫氏は仕手筋の金主として有名な人物で、不動産投資にも相当のめり込んでいた。河江の総連本部ビル売却話に飛び付く素地は十分にあったと思う。貞夫氏が抱え込んでしまった不良債権は200億円を超えるとさえ言われている。その中にはいわゆる事件物も少なくない」(関係者)
この間、本誌は、河江氏の上申書の内容を「富士薬品」社長室に伝え、事実確認などを求めてきたが、現在に至るまで回答は一切ない。しかし、朝鮮総連本部ビルの他にも、同社の不動産投資案件は反社会勢力と思われるフロント企業、事件屋などが数多く関わっている。すでに本誌は、その個別案件を複数把握しており、詳細が分かり次第お伝えしたい。
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2008年05月14日(水) 15時58分
【法廷ライブ】総連事件初公判(2)罪状認否で独演「元総理の指示で国策捜査」満井被告(産経新聞)
《罪状認否を求められた緒方被告は、用意していた紙を手に取った》
緒方被告「朝鮮総連の土地・建物に関与した経緯を説明します。整理回収機構(RCC)からの競売を、合法的に回避するために加わりました」
「動機は以下の通りです。1番。総連会館は関係者においては活動拠点で、大使館機能もあります。それを失えば、在日の方々は棄民の状態に置かれる。私は旧満州から命からがら帰国し、祖国との絆の大切さを身をもって感じました。いかなる理由があろうと、絆を阻害してはいけないと」
《自らの原体験を披露し、行動の合理性を説明した緒方被告。声は大きく、主張は明確だ。さらに読み上げは続く》
「2。わが国と北朝鮮の国交は回復していないが、国交の回復はいずれありうることです。権益を擁護する動きがあることを北朝鮮が認識することは有用と考えました」
「3。公安調査庁長官の地位にもあった経験から、朝鮮総連を見守る上では、拠点が固定されていた方が国益にかないます」
「4。弁護士10年の節目で、社会に役立つことをしたいと考えていましたところ、この案件がもたらされました。意味のある仕事であり、絶好の機会と考えました」
《こう4点を挙げた後、緒方被告は「しかし」と述べた》
「結果的に遺憾な結果となりました。だまし取ったり、現金を詐取できる案件ではなく、刑事事件として取り上げること自体が間違いです。捜査には強い疑問を感じます」
《緒方被告はさらに「資金調達が可能だったと信じて疑っていなかった。だましたという詐欺の犯意、共謀については否認します」「4億8400万円の授受についても、昨年6月11日ごろ、事務所に総連の男性から教えてもらうまで知らなかった」と補足した。2件の起訴内容を完全に否定したことになる》
「審理を通じ、遠からず無実が証明されると確信しています」
《緒方被告の罪状認否は終了。続けて満井被告も用意してきた紙を読み上げようとするが、廷吏から渡された紙の厚さに裁判長はやや驚いた様子だ》
裁判長「これは相当(長い)ですね…。今日は概略的に言いたいことを言う手続きなので、5分でどうですか」
満井被告「エー、5分じゃ無理です!」
《大声が法廷に響いた。終始落ち着いた様子の緒方被告とは対照的だ》
裁判長「それでは(2時)35分までに終わってもらえますか。あと12分ほどありますので…」
《やや不満そうだが、満井被告はめがねをかけ、紙を読み上げ始める》
満井被告「まず、私は生まれたときから国を愛し、男として、正義を持って育てられました。今日まで変わることのない原点です。今回の事件の構図は、安倍(晋三)元総理対緒方元長官と私。元総理の指示で検察がやった国策捜査です」
《一連の事件を「国策捜査」と位置づけた満井被告。少し興奮気味の口調で、検察への批判をさらに続ける》
「事件は被害者なき詐欺罪と位置づけられました。逮捕は現行犯のごときスピードで実行、勾留(こうりゅう)されました。40日間の取り調べは、事件にするための虚偽の組み立てによる事実に反する調書です。『これにサインしろ』と脅迫、強要され、物心ついてから初めて拷問を受ける体験をしました。毒を飲むか、恥を飲み込むかの闘いでした」
《続いて満井被告は、昨年9月に安倍晋三前首相あてに自分が書いた手紙の「あとがきを読みます」と宣言。なかなか罪状認否の本題に入らない》
「朝鮮総連の敷地が『更地になったら見に行く』と言ったことが事実なら、指導者の要諦を得ていない。両国の関係を考えれば、権力の恐ろしさを感じた」
「誰もいさめる国会議員はいないのか。拉致問題などの外交政策は正しかったのか。私は違うと思います」
《読み上げが始まり7分ほど経ったが、満井被告の「独演会」の様相になってきた。手前の検察官は、時折、法廷後方の時計をチラチラ見ている》
=(3)に続く
2008年05月14日(水) 16時21分
【法廷ライブ】総連事件初公判(3)朗々と読み上げ…「まったくそういう事実はない」満井被告(産経新聞)
《満井忠男被告は眼鏡をかけ、下を向いたまま、ときおり言葉に詰まりながらも、力を込めて安部晋三前首相にあてたという手紙を読み続ける》
満井被告「6カ国協議が進められる中、国会議員団は早期に拉致被害者を救出するべく力添えをするべきなのです。なのにこの権力の政治感覚は何なのでしょうか。緒方(重威被告)の自宅、事務所を強制捜査し、さらに私に対する強制捜査が行われました。検察庁の(東京地検)特捜部組織を動員して、緒方と私を悪人に仕立て上げました。私は自宅に帰られず、逃亡の日々を強いられました。人権を無視した、天を恐れぬ行いです。私の人権を蹂躙し、おもちゃのように扱ったのです」
「今日の、人権問題に厳しい世界の趨勢(すうせい)に反していることを、時の権力者は重く感じるべきなのに、国費を私物化する行為を国民が許すはずがありません。私は国を愛しています。健全な国家運営のために命をかけることにしました。己の悔しさをかみしめ、命を尽くして戦うつもりです。この法廷は国民の太陽です」
《ここで、満井被告はさらに言葉に力を込める》
満井被告「最後に特捜部への認識を示します。特捜部は、時の権力者の意思で盲動することがあってはなりません。国民国家のために熟慮のうえに行動すべきなのです」
《ここで、裁判長が言葉をはさみ、満井被告の手紙朗読は中断する》
裁判長「予定の時間ですが、あと少しですか」
満井被告「はい、すみません」
《満井被告は、こう言って、さらに手紙を読み始めた》
満井被告「国民のため、民主国家が崩壊するのを防ぐため、行動すべきなのです。最後に裁判官に申し上げます。このたびは私の熟慮が足りないために、このようなことになり、裁判長、裁判官、北朝鮮のみなさん、朝鮮総連、私のことを心配してくださる方々にご迷惑をかけましたこと、おわびを申し上げます-。これが私の手紙の後書きです」
裁判長「公訴事実については…」
満井被告「はい。まったくそういうような事実はございません」
《満井被告は、証言台から被告人席に戻った。眼鏡を外して、上を向く。隣では、顔を紅潮させた緒方被告が、検察側や裁判長の席を見つめている》
裁判長「では弁護人の意見を」
緒方被告の弁護人「まず、総連本部の売買契約についてですが、本件取引は所有権の移転に関わるものではなく、被告にそもそも詐欺の犯意も共謀もなく、犯罪は成立しない。無罪を主張します。また(約4億8400万円詐取の詐欺罪での)追起訴についても、緒方被告は平成19年6月11日に初めて知っており、(満井被告から)預かっていた1億円についても、総連とどういうやりとりがあったか知らなかったので、無罪を主張します」
満井被告の弁護人「まず登記移転が行われたのはこの(起訴状)の通りですが、所有権移転が伴うものではなく、犯罪が成立しない。追起訴事実については、緒方被告は総連から金を受け取った事実は知らない。満井(被告)についても、総連に対してしかるべき説明をして受け取ったもので、詐欺罪は成立しない。詳細は追って、説明いたします」
《両被告の弁護人は、ともに無罪を主張した》
《次いで、検察の冒頭陳述読み上げが始まった。検察官は早口で読み上げてゆく》
検察官「検察官が証明しようとする事実は次の通り。まず被告の身上について。緒方被告は昭和35年4月に検事に任官し…。満井被告は昭和35年ごろから不動産取引に携わり…》
《詐欺事件は来年から始まる裁判員裁判の対象事件ではないため、検察側冒頭陳述は従来通り「である」調で、かなり聞き取りにくい。その冒頭陳述の読み上げを、緒方、満井両被告は表情をほとんど変えずに、じっと聞き入っている》
=(4)へ続く
2008年05月14日(水) 17時07分
【法廷ライブ】総連事件初公判(5)「犯行背景に六本木の幽霊ビル」…満井被告はなぜか不敵な笑み(産経新聞)
《検察側は、両被告が東京・六本木で「幽霊ビル」と呼ばれていた「TSKビル」の地上げに苦労していたことをさらに強調する。緒方被告は目を閉じて耳を傾ける》
検察官「平成16年2月ころ、空手団体総裁は配下を使ってTSKビルの一部を不法占拠して管理組合を結成し、TSKビルのテナントの管理を事実上始めました。平成17年10月下旬ごろ、緒方被告は満井被告とともに、TSKビルの一部を所有する会社社長に会った。緒方被告は経歴を利用して会社社長の信用を得て、売却に関する代理人になりました。しかし、満井被告が売却代金の引き下げ交渉をしたことから、被告2人は会社社長に不信感を持たれ、代理人契約も終了しました」
《検察官は時折、「ですます調」の読み上げにもなった》
検察官「その後、会社社長が所有するTSKビルの一部を都内の商社社長が経営する会社に転売する話がまとまり、その中で2人は2億5000万円の利益を得ました。しかし、空手団体総裁が不法占拠を続けていたため、地上げ事業はそれ以上進まないままでした」
《検察側は、地上げ事業の中で両被告がどうしても資金を必要としていたことを指摘する》
検察官「19年に入り、両被告は空手団体総裁に金を支払って立ち退かせることにし、明け渡しの交渉を始めました。空手団体総裁とは5億4000万円を支払うことで合意しましたが、そのうち2億9000万円の調達のメドが立たないまま交渉を続けました」
「空手団体総裁は2億9000万円について契約書を作成・締結するよう求めました。緒方被告は『私が満井に約束を守らせますから。私が保証します』などと言いましたが、資金調達のメドが立たない状況では署名できないと考え、契約書への署名を拒否しました。しかし、署名を拒否し続ければ、せっかく合意したのに、明け渡しに応じなくなる恐れがあったため、両被告は資金調達に迫られていました」
「また、両被告はTSKビルのマンション棟の2室を買い取って、転売を考え、19年2月ごろ空手団体総裁に交渉を依頼しました。3月下旬になっても交渉はまとまりませんでしたが、空手団体総裁が手付け金を支払って交渉をまとめる可能性もあったため、両被告は1、2億円程度の手付け金を準備する必要に迫られていました」
《検察側の冒頭陳述は、いよいよ両被告と朝鮮総連の関わりについて触れることになる》
検察官「総連と整理回収機構(RCC)の和解交渉が19年2月19日に打ち切られ、RCCとの訴訟に全面敗訴して、総連の土地・建物が強制競売にかけられる可能性が現実化したことから、許宗萬・総連副議長らはかつて、総連の土地を高値で買い取ってくれた満井被告に土地・建物の買い取りを依頼することにしました。趙孝済・総連常任委員は3月上旬ごろ、東京都千代田区のホテルで、総連としては土地・建物を30億円で売却して、競売を適法に回避した後、売買後も使用損害金として年3億円を買い主に支払い、5年後には5億円のプレミアムを加えた35億円で買い戻そうと考えていると説明、買い取りを持ち掛けました」
《検察側は満井被告が総連側の話を利用し、巨額の利益をあげようと目論んだことを指摘する。満井被告は検察側が指摘する構図をあざ笑うかのごとく、表情を緩める》
検察官「これに対して満井被告は、総連がRCCに巨額の債務を負っているため買い戻しができずに総連が退去する可能性が大きいため、60億円程度で転売し多額の利益を得ることができると考えました。そこで満井被告は『中国や韓国で運用しているお金が数百億円ある』などと嘘を言って信じ込ませようとしました」
検察官「満井被告はこの儲け話を逃さないため、売買交渉を引き延ばそうとしました。その一方で、実際に購入代金を出資する投資家を募り、それが難航した場合は土地・建物の登記を総連とは無関係の受け皿会社に移転させ、受け皿会社が所有している資産への投資案件として扱えば、投資を募りやすくなると考えました。さらに満井被告は元検事長として対外的な信頼の高い緒方被告が受け皿会社の代理人に就けば総連側の信用を得て、投資も集めやすいと考え、緒方被告に依頼しました」
「満井被告は19年4月上旬ごろ、購入に関し、違約金名目で総連から金銭を詐取できると緒方被告に提案しました。その詐取した金の中から緒方被告に1億円のギャランティーを分配することを約束しました」
「満井被告は4月中旬ごろ、総連の趙常任委員と会い4億3000万円の現金が必要だと要求しました。両被告は信用を得るため、在日朝鮮人に共感しているよう装うことを打ち合わせました。同月13日ころには総連の許副議長や趙常任委員と会い、在日朝鮮人の立場に共感して売買に協力すると述べ、総連側の信用を得ました」
《検察側の冒頭陳述は続く。緒方被告は目を閉じたまま。満井被告は笑みを浮かべている》
=(6)に続く
2008年05月14日(水) 17時47分
【法廷ライブ】総連事件初公判(6)登記移転「総連は反対していた」検察明言(産経新聞)
《検察側の冒頭陳述読み上げが続く。緒方重威被告は終始目を閉じ、うつむいたまま耳を傾けている。一方の満井忠男被告は、時折蔑(さげす)むような視線を検察官に送り、陳述を聞いていた》
検察官「緒方被告は、許宗萬総連副議長、趙孝済・総連財務担当常任委員、土屋公献弁護士に対し、自分が朝鮮総連に対して深い理解を示しているかのように伝え、信用させた」
「満井被告は自己の傘下のファンドに違約金の立て替え払いの必要が生じたと嘘を言い、趙氏などに4億3000万円ほどの金を要求した。趙氏は、満井被告が資金調達をしていると誤信し、満井被告の要求に応じた。緒方、満井両被告は、趙氏から詐取した金のうちの3億があれば、ビルに伴う空手団体総裁に支払うべき2億9000万円相当の求めがあっても応じられる、と判断した」
「その後、平成19年4月17日ごろ、緒方被告と空手団体総裁は、TSKビルの明け渡しに伴う立会人の署名を行おうとした。空手団体総裁は緒方被告を信じ、2億9000万円で緒方被告に署名を求めた。緒方被告は署名した」
「緒方被告は4月下旬、満井被告に対し、総連施設の鑑定を35億円に増額させようと持ちかけ、追加に発生する資金の違約金でさらに詐取することを持ちかけた。満井被告はさらに5000万円を総連に求めることにした」
《検察側は、緒方被告らがさらに総連施設の売買価格を引き上げていくカラクリを指摘し始めた》
検察官「満井被告は、趙氏と土屋弁護士に対し、売買価格を35億円に増額することを要求。趙氏と土屋弁護士は了承。売買価格が35億円になったことで、違約金が4億2000~3000万円だったのが4億8500万円になったとして、あと5900万円を要求した。土屋弁護士らは違約金は本件の購入のためと誤信してこれに応じ、2人は5900万円の交付を受けた」
「分配については、満井被告は(元銀行員の)河江浩司被告(=分離公判中)に、総連施設の購入資金を出す投資家を探すことを依頼、河江被告は了承した。また、違約金がいるといって、趙らから金を詐取したことを伝えた。そのうちの現金3億円を見せた。その上で、満井被告は河江被告に対し、満井傘下の投資家グループとは、本件土地の・建物の購入資金の出資に関する交渉をとりまとめていると嘘を言って、朝鮮総連を信じ込ませて欲しいと依頼。報酬として1億程度払うと示し、河江被告は報酬目当てのこのことを了承した」
「満井被告と河江被告は法律事務所で土屋弁護士に対し、本件の土地などの購入資金はすでに準備できているが、投資家グループと出資の条件等について交渉中であるなどと嘘を言った。その一方で投資家探しをしていたが、話は進まず、資金調達の目処はたっていなかった。満井、緒方の両被告と河江被告は善後策を協議。河江被告が以前設立したハーベスト社の代表に緒方被告が就任し、購入資金の受け皿とするが、代表者変更の登記手続きに時間を要すると言って、売買契約を引き延ばすことを考えた」
「両被告は、たとえ投資家が見つからなくても、売買代金を支払うと土屋弁護士を信じ込ませることができれば、支払いに先立って、土地建物の登記をハーベスト社に移せると話し、趙氏と土屋弁護士に対し、そのことを伝え、引き延ばしを行った」
「他方、両被告と河江被告は、東京都内の別の弁護士に対し、5月18日までに投資家を確保するように言ったが、弁護士は到底無理だと伝えた」
「土屋弁護士は、投資家の投資が突然ダメになったことに落胆し、緒方被告に『今まで聞いてた話と違う、満井さんはちゃんとファンドの人をまとめると言っていた。満井さんは我々に黙って総連から4億円以上の金を受け取っているんです』と抗議した。緒方被告は『ええ? そうなんですか?』と始めて知ったかのように装った」
「満井被告は平成19年5月25日ごろ、緒方被告と河江被告に対し、この買い取り話を逃がさないためには、購入資金の確約する投資家を仕立て上げ、売買交渉を引き延ばすしかないと提案。2人もこれを了承した」
「緒方被告は総連の土地建物の買い取りをして多額の転売利益を得るためには、売買代金の支払いに先立って、土地建物を登記をハーベスト社に移転させ、代表者が緒方被告であることの社会的信用を利用して、購入資金のを募るしかないと考えた」
「当然、総連側は両被告らの真意は一切知らず、ハーベスト社に登記を移して投資家が集まるかは不確実で、貴重な土地、建物を移転に応じることはなく、投資家が見つからないと、整理回収機構から仮装譲渡であるとの非難も受けかねない、と反対した」
=(7)に続く
2008年05月14日(水) 18時19分
【法廷ライブ】総連事件初公判(7)「確実にカネ出す」「琴線に触れた」 “詐欺のヤマ場”再現する検察(産経新聞)
《検察側の冒頭陳述読み上げは、緒方重威被告、満井忠男被告、河江浩司被告が、朝鮮総連の土地・建物を詐取したとされる状況に移った。「犯行」のヤマ場だが、1メートルほど離れて座る緒方、満井両被告に動きはない》
《検察側はまず、河江被告が、総連側の代理人である土屋公献・元日本弁護士連合会会長に送信する「報告書」の内容について、緒方被告が指示した様子に触れる。航空ベンチャー会社社長が土地・建物の買い取り資金を出してくれそうだ-と嘘の内容にするための行為だという》
検察官「航空ベンチャー会社社長は出資を断っているにもかかわらず、河江被告は緒方被告の指示通りに、『来週中に(すでに話を持ちかけている)同志の意見を確認し、確定的な話をもらうことになる』との文面に修正した」
「さらに河江被告は、緒方被告から『最後の部分に、今から言う通りの文章を入れてもらえるかな』と言われ、報告書に『最終的な売買期日の確定は、次回打ち合わせにて行えるものとの確信を得た』という文章を書き加えた」
《いずれも平成19年5月26日のことだ。さらに緒方被告は同月下旬ごろ、土屋弁護士に「航空ベンチャー会社社長は確実にお金を出してくれますから、総連のほうで独自に買い手を探したりはしないで下さい」と嘘を言ったという》
《さらに検察側は、売買代金の支払時期について、所有権移転登記が完了した後にするため、緒方被告が同月31日に総連側に話した内容を明らかにした。次のような言葉だ》
「航空ベンチャー会社社長の方で資金の準備はもうすぐ終わるので、35億円をお支払いできます。ただ、売買契約の内容は先に所有権移転登記して、それが済んだのを買い主が確認できてから売買代金を支払うという形にしてもらいたい。先に登記を移して、それを金主が登記簿を見て確認してから代金を支払うというのが絶対条件です」
「私も直接、航空ベンチャー会社社長に会って確かめました。ゼニカネの問題ではないとおっしゃっているんです。その言葉が琴線に触れました。大丈夫です」
《検察側は、こうした言葉を信用した総連側が契約に納得し、土地・建物の登記が移されたと指摘。読み上げの検察官が交代し、その後、代金が支払われないことに焦る総連側の様子を述べた》
検察官「6月11日になっても代金が支払われなかったことから、総連側が緒方被告に確認したところ、緒方被告は『航空ベンチャー会社社長は腰が引けたのかもしれない』『実は今夜、新しい人物にも会う。金主になってくれるかも』などと言い訳に終始した」
「これに対して総連側は『そもそも今回の売買は、満井自身の資金で買うという話で始まった。それを信じて買い取りをお願いしたのに、話が変わって納得いかない』などと抗議。緒方被告は『金の方を何とか努力する』と謝罪するだけだった」
《緒方被告は視線を前にやったまま微動だにせず、満井被告は小首をかしげた姿勢で目を閉じている》
検察官「総連側は緒方被告から『売買がマスコミで出て騒ぎになったら、航空ベンチャー会社社長は出資したくないと言い出すかもしれない』と言われたため、代金支払いが受けられなくなる事態に備えて所有権登記の名義を戻す準備を始めた」
《続けて検察官は、満井被告が総連から受け取った資金の一部を返還したことや、緒方被告らが口裏合わせをしようとしたこと、総連が実際に登記を戻したこと、総連資金の分配状況などについて、早口で読み上げた》
《予定より時間が押しており、裁判長が「そろそろ…」と促す。検察官は「あと5分ほど下さい」と答えた。相変わらず緒方、満井両被告の内心はうかがい知しれない》
2008年05月14日(水) 18時43分
【法廷ライブ】総連事件初公判(9)弁護側冒陳が明かす「『緒方口座』に韓国から入金」(産経新聞)
《弁護人の背後のプロジェクターには、「本件取引の状況など」という見出しが浮かんだ。総連本部についての詐欺罪に問われ、すでに東京地裁で分離公判が進行している河江浩司被告がストーリーに登場してくる》
緒方被告の弁護人「緒方被告は4月16日ごろ、満井被告を事務所に呼び、取引についての進め方を協議した。満井被告は『以前、銀座の地上げで協力してもらった河江という人物がいます。元銀行員で資金調達のプロです』と説明した。このとき、緒方被告は河江被告の存在を初めて知った」
「緒方被告、満井被告、河江被告の間で、出資に関する交渉を取りまとめているなどと朝鮮総連側に嘘を言って、投資家がいると信じ込ませようとする謀議が行われたことは終始なかった」
《弁護人は、詐欺についての共謀をこのように否定し、河江被告らがこのころ、実際に複数の知人らに資金提供を精力的に働きかけていたと説明した。そうした流れの中で、「有力候補」として浮上してきたのが東京都内の弁護士だったという》
「このような状況で、満井被告が緒方被告に河江被告を紹介することになり、都内の飲食店へ行った。河江被告は緒方被告に『受け皿会社として、昨年10月ごろに私が設立したハーベスト投資顧問株式会社を使いたいと考えています。緒方先生が代表者になって下さい』と持ちかけた」
《この会合は4月24日の夜に行われたとされるが、検察側の冒頭陳述には登場しない。河江被告は「弁舌爽やか」に、ファンドを主導する都内の弁護士に話を持ち込んでいることを説明したという》
「飲食店で満井被告が加わるのを待っていた際、河江被告が『満井被告から1億円の支払いを約束されているが、もらえるか不安だ』と言うので、緒方被告は、1億円という報酬は多額に過ぎると思いつつも、河江被告との約束を守るよう口添えした」
《報酬の約束は1500万円だったとする緒方被告の主張を、さりげなく補強した。緒方被告にはそれほど欲がなかったことを強調する内容だ。緒方被告は熱心に冒頭陳述を読んでいるが、めがねを外して目をハンカチでこするような仕草も。満井被告は目をつぶっている時間が長く、眠たそうにも見える》
《続いて「緒方被告に1億円が送金される経緯」という文字がプロジェクターに映し出された。「金の流れ」に関する話だが、満井被告と事業上の協力関係があり、韓国で会社を経営する○○(実名)という男性がここで話に登場してくる》
《緒方被告の口座には、18年3月に約7062万円が振り込まれたのを皮切りに、月内に5500万円、5月に約6678万円が振り込まれていたが、振り込み人はこの韓国男性だったという》
「当時、緒方被告が○○から金員を受け取る理由は何らなかった」
《緒方被告はこうして振り込まれた金の一部または大半を、満井被告の求めに応じ、医療機器開発会社「医療電子科学研究所」に送金していた》
「○○から事業資金として緒方被告の口座に送金された金員のうち、医療電子に対して合計1億1178万8000円が入金されていた」
「また、満井被告はTSKビル・マンション棟内の会社が所有する2室の買取交渉を行う過程で、空手団体総裁から証拠金1億円を用意するよう要求され、すでに緒方被告に預けていた7000万円に3000万円を加え1億円とした上で、緒方被告に1億円を預けている旨を総裁に告げようと考え、緒方被告に3000万円を手渡したため、緒方被告は口座に預け入れた」
《こうした経緯を経て、緒方被告は満井被告から1億円を「預かる」ことになったのだ、というのが弁護人の主張だ》
「緒方被告は、その原資が、満井被告が朝鮮総連から受け取った4億8400万円の一部であることを知らされておらず、その事実を知ったのは捜査が開始された後であった」
「以上のような経緯で保管していた1億円は、緒方被告が朝鮮総連に返還した1億5000万円の一部に充てられた」
2008年05月14日(水) 20時11分
【法廷ライブ】総連事件初公判(10)捜査批判「検事は机を叩き、罵声『一生刑務所から出られないぞ』」(産経新聞)
《緒方重威被告の弁護人による弁護側の冒頭陳述が続く。緒方被告は、弁護人の朗読に沿って、手元の陳述書ページをめくっている。一方、満井忠男被告は、陳述書に目をやらず、上を向いて読み上げを聞いている。目がときおり、きょろきょろと動いている。緒方被告の弁護人は、被告が付けた日記を例に挙げ、緒方被告に「犯意」がなかったことを強調していく》
緒方被告の弁護人「緒方被告は、河江浩司被告らに(資金調達の)交渉の進捗状況をたずねたところ『交渉中』だったため、(当初の支払い日と考えていた)5月1日の土屋公献元日弁連会長との面談をやめた。手帳の5月1日の欄に『総連支払』『午後1時30分土屋事務所』と書いた記載を、線引きして抹消した」
「5月11日、東京都内の弁護士と投資家と称する5人が訪れた。弁護士は『準備はできています。18日までには振り込みます』と明言したので、緒方被告は安堵。18日、弁護士にファクスしたところ、電話があり、契約書案の確認作業をした。まもなく成約に至ると確信し、手帳に『総連登記完了』と記載しました」
《冒頭陳述は、緒方被告が弁護士から投資を断られるシーンに。詐欺ではなく、本気で投資話を実現しようとしていた点を強調する。緒方被告は、腕組みをしてじっと陳述書を読み、満井被告も、眼鏡をかけて、赤ペンをもってページをめくり始めた》
緒方被告の弁護人「5月18日になっても何の連絡もないことから、緒方被告は河江被告に問い合わせたところ『何の連絡もありません』との返答で、不安な気持ちを強めました。土屋元日弁連会長から『大丈夫ですか』と要請があり、強く待つ気持ちになった」
「24日ころ、河江被告から『投資家から断ってきました』と連絡がありました。緒方被告が『この取引はやめる』と言い、河江被告から『こういうことがあろうかと後輩にヘッジをかけて話してあります。助けてくれると言っています』と言われました」
《助けてくれるというのは、航空ベンチャー会社社長のこと。この社長は東京地検特捜部に対し、弁護側に不利な供述をしている。弁護側は、この社長の供述の信憑性を疑うような指摘をしようとした》
緒方被告の弁護人「河江被告は…」
裁判長「そこは関係証拠として却下しています。公判前整理手続きで決まったことですから」
《公判前整理手続きで決まった証拠以外は、やむを得ない事情がない限り採用されない。弁護人は、裁判長と検察官と議論をした後、指摘に従って続ける》
緒方被告の弁護人「5月26日、緒方被告はベンチャー社長と落ちあい、河江被告と3人で面談した。『海外で60億円のファンドを運用していて、一部、崩して金が送れると聞いています。本当ですか』とたずねた。社長は『意義のあることをやるために投資家になったのであり、総連の話は大義があります。金は大丈夫』と明言しました」
《しかし、支払期限の5月31日朝になっても資金は用意されず、ひとまず朝鮮総連本部の不動産登記を先行させることを決める。緒方被告が同日朝に東京都内のホテルで、河江被告らに説得されたシーンが再現される》
河江被告「今日は金の用意ができていません。登記完了を確認後、直ちに支払います」
満井被告「登記先行のやり方は特別なことではありません」
《弁護側は、緒方被告はこのとき「通常の手続きとは違うが、売り主が納得すれば問題ない」と納得したと主張。当初から朝鮮総連本部をだまし取ろうと画策していたとする検察側の主張を否定する》
《さらに、弁護側は6月8日、公安調査庁の柳俊夫長官から緒方被告に電話があったと指摘し、“公権力の介入”も強調する》
緒方被告の弁護人「柳長官から『総連本部がハーベスト投資顧問会社に売却されたという登記があり、緒方先生が同社の代表になっていますが』と問い合わせがあった。緒方被告が『朝鮮総連は大使館機能を有しており、拠点確保のためにやった』と答えた」
「緒方被告は国家機関による責任追及を予感した」
《弁護側は、緒方被告が逮捕された後の東京地検特捜部の取り調べについても疑問を投げかける》
緒方被告の弁護人「7月18日の取り調べの際、(担当検事から)緒方被告が着席するやいなや『不動産詐欺の事実は起訴し、現金詐欺の事実で再逮捕する』と宣言された」
「2回(弁護士の)接見を求めたが拒否をされた」
「(担当検事が)突如、机を平手で激しく何度もたたき、身を乗り出して拳固を握りしめ、『一生刑務所から出られないぞ。特捜の逮捕は起訴を意味する。甘えるな』などと罵声(ばせい)を浴びせ続けた」
「検事は自らパソコンを操作して勝手に作成した供述調書の文案を示して署名を求めた。内容虚偽だったが、もはや抵抗できずに署名した」
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本当に検察のシナリオ通りなのだろうか、もっと奥が深い事件ではないか。そう思わせるのが、元公安調査庁長官、緒方重威らが朝鮮総連の不動産をめぐって詐欺容疑に問われている事件だ。
14日、東京地裁の初公判。検察、弁護側双方の陳述の内容から浮かび上がった事件の周辺を検証したい。
緒方重威。1984年から86年にかけて公安調査庁調査第二部長をつとめた。朝鮮総連の調査が主な仕事だった。公安調査庁長官、広島高検検事長を経て退官。97年、弁護士となった。
不動産会社「三正」元社長、満井忠男との出会い。それが、輝かしい彼の経歴を塗り替えていく。二人を引き合わせたのは世界空手道団体連合の朝堂院大覚総裁である。自民党の有力議員らと親交があり、裏社会で一目置かれる人物だ。緒方とは早大で同窓の弁護士を通じて知り合った。
検察側によると、緒方は平成11年ごろ、「三正」本社ビルなどの競売を回避したいと依頼を受け、満井被告と深く関わるようになった。「私が関わる以上、億単位の報酬はいただきたい」と緒方は要求したという。
その後、二人がともに取り組んだのが、六本木「TSKビル」の地上げ事業だ。戦後日本の政財界と闇社会の結びつきを象徴する建物である。朝堂院総裁がこのビルの一部を占拠し組合を結成してテナント管理をしていたことから、二人は5億4000万円で立ち退くよう総裁と交渉、合意した。しかし必要資金のうち2億9000万円のメドがつかないまま、二人は資金調達の必要に迫られていた。以上が犯行動機に関する検察側の説明だ。
さて、ここで朝鮮総連の売却話である。整理回収機構(RCC)は「朝銀東京信用組合」など破綻した在日朝鮮人系の16信用組合から引き継いだ不良債権のうち、総額628億円が実質的に朝鮮総連への貸付金だったとし、全額返還を求める訴訟を東京地裁などに起こした。
朝銀破綻処理に投入された国民の血税は総額1兆4千億円。野中広務の「ツルの一声」で資金投入が決まったという噂もある。
総連は訴訟に全面敗訴して、その土地・建物が強制競売にかけられる可能性が高まった。そこで許宗萬・総連副議長らはかつて、総連の土地を高値で買い取ってくれた満井被告に土地・建物の買い取りを依頼した。
ここから、緒方、満井が元信託銀行員の河江浩司と共謀して総連の土地・建物と4億8400万円の現金を騙し取る企てをした、というのが検察のシナリオだ。
しかし、どうしても解せないのが、売買契約の内容である。朝鮮総連の代理人は元日弁連会長の土屋公献弁護士。緒方は元高検検事長。この二人がからむ取引で、35億円の不動産代金の受け渡しがないまま、所有権移転登記が行われたことは、普通ならとうてい考えられない。しかもRCCは総連不動産の仮差押さえもしていなかった。
この不可解な事件を、検察は緒方、満井らの金欲のなせるワザとして片付けようとしている。本当にほかの動機はなかったのだろうか。
初公判で、緒方と満井が意見陳述した。
緒方 「総連会館は大使館機能もあります。それを失えば、在日の方々は棄民の状態に置かれる。社会に役立つことをしたいと考えていたところ、この案件がもたらされました。意味のある仕事であり、絶好の機会と考えました」
満井 「今回の事件の構図は安倍晋三元総理の指示で検察がやった国策捜査です」
かつて朝鮮総連の情報調査を担当していた緒方が、総連幹部に食い込むなかで、しだいにシンパシーを感じていったことはありうるだろう。
土屋は「慰安婦問題の立法解決を求める会」会長 や「日本の過去の清算を求める国際連帯協議会日本委員会」代表をつとめ、総連の代理人である。その思想信条は推して知るべしだ。
検察はこの冒頭陳述で「朝鮮総連の窮状に乗じた悪質な行為であり、到底許せない」という土屋弁護士の被害感情を披露しているが、あくまで表向きのコメントであり、本心は分からない。
緒方、土屋、総連。この三者の関係、さらにはRCCや政界に至るまで深く突き詰めていかなければ、真相は見えてこないのではないか。とりあえずは今後の裁判の成り行きを注視したい。
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朝鮮総連本部売却のキーマンから自民党の中川幹事長に政治献金?
☆スポンサーは三塚博の秘書アガリ政商だった
「三塚の元秘書が経営していた『三正』という会社なんだが、中川秀直に献金していたという話もあったりするんだが」
★この情報の出所は不明だが、中川秀直氏への政治献金については、そのうち真偽が判明するであろう。
《関連情報》
☆政界波及の予感? (ESPIO。なおブログオーナーである野田敬生氏は公安調査庁の出身)
999.01.12 エコノミスト 第77巻 第2号 通巻3376号
特集 日債銀国有化は、一つの戦後清算だ
日債銀“崩壊”の遠因を作った政界・政商人脈の深い藪
その三塚の元秘書で、三塚の政治団体「博友会」代表を務めていたことのある満井忠男も、不動産会社「三正」(東京・京橋)の社長として日債銀から約四〇〇億円を融資として引き出している。三正の債務超過五三七億円は、地上げ途中の神保町の約一〇〇〇平方メートルを、半分ずつ「キングロード」「サムフィールド」という急ごしらえの「飛ばし」の受け皿会社に割り振った。これなど公表不良債権以外の含み損を抱えた潜在的な不良債権だ。
三塚や満井の日債銀がらみと小針企業群がらみの不良債権への関与が根強く情報として流れているのは、このためである。
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政治的に処理された総連本部ビル「詐欺事件」
北朝鮮問題と検察のメンツを抱えた「捜査指揮」
「被害者なき犯罪」を摘発するのは、東京、大阪、名古屋に置かれた地検特捜部の最大の役割である。
中央政界の政治家や霞が関の高級官僚を巻き込む贈収賄、上場企業の経営者などが誘惑にかられる粉飾決算やインサイダー取引、資産家が犯しがちな脱税などは、広い意味では「国民が被害者」ということになるのだが、自分の懐が痛むわけではないので、直接の被害を意識しない。
だが、放置するのは「国家の秩序」を危うくする。そこで捜査権に公訴権を持ち、「最強の捜査機関」と謳われる地検特捜部が捜査に乗り出し、マスコミはその動きを大きく報じることで、「国家・国民に対する罪の重さ」をアピールする。
では、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の土地・建物と4億8400万円の現金を騙し取ったとして逮捕された緒方重威・元公安調査庁長官(73歳)の事件は、どう理解すればいいのか。加害者は緒方容疑者のほかは、不動産会社・三正元社長の満井忠男容疑者(73歳)と元銀行員の河江浩司容疑者(42歳)だが、被害者がいない。もちろん構図的には朝鮮総連だが、7月11日の記者会見で南昇祐(ナム・スンウ)副議長は、「被害者という認識はない」としたうえで、日本政府をこうののしった。
「(整理回収機構の競売申し立ては)在日朝鮮人から中央本部を奪うことを目的としたもので、安倍政権による凶悪な弾圧行為だ」
被害者であることを認めてしまえば、「競売」という略奪行為も認めてしまうことになるという理屈だろう。
朝銀系信組が1990年代末から2002年末にかけて相次いで経営破綻、それを日本政府は約1兆4000億円もの公的資金を投入して救済した。その債権を引き継いだ整理回収機構が、朝銀系信組が朝鮮総連に融資したと認定した分(628億円)の返済を求めるのは当然のことだろう。それを朝鮮総連は「凶悪な弾圧」というのである。
共存の気持ちを萎えさせる発言だが、捜査する東京地検特捜部は、朝鮮総連のそうしたかたくなな態度は予想できたはずだ。詐欺は、特捜部がふだん手がける贈収賄や証取法違反や脱税と違って、被害者が存在しなければならない。被害者のいない詐欺事件では、公判維持も難しい。
なのに、あえて朝鮮総連を被害者とした。理由はひとつだ。
「中央本部売却の責任者は、実質ナンバーワンといわれる許宗萬(ホ・ジョンマン)責任副議長(76歳)ですが、彼を競売妨害などの容疑で逮捕したくはなかった。だから朝鮮総連を被害者にしたんです。組織としての朝鮮総連は被害者ではないんですが、許副議長ないし部下の売買責任者個人が、緒方や満井に騙されたという理屈です」(検察関係者)
そこには、間違いなく検察の官邸への配慮がある。
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そもそも朝鮮総連にまつわる”金”の問題自体”闇”なのだが、闇は闇と結びつくというか、朝鮮総連中央本部ビルの所有権移転問題は実に不可解なことが多い。
この事件で東京地検が異例ともいえるスピード捜査を行った。週刊朝日によると官邸関係者の話として「拉致問題を政権の”命綱”とする安倍政権は、参院選挙を控え、朝鮮総連ビル問題に強い関心を持っていた。そこに漆間巌警察庁長官が6月初め、官邸へ一連の動きを報告。これを知った東京地検は、検察OBへの捜査を警察に先行されては”恥”だと、慌てて被疑事実を空欄にしたままの捜査差し押さえ礼状を準備し、捜査に乗り出したのです」と伝えている。そんなところだろう。
今や絶体絶命の崖っぷちに立たされた安倍晋三だが、なりふりかまわずの感が強いが、彼の思惑通りには行くまい。こういった事件も結果的に己に降りかかってくる可能性がある。ナンテタッテ元公安調査庁長官が絡んでいるのである。この元長官の緒方氏、いろいろおかしな事実が明らかになりつつある。昨日の毎日新聞に仲介した元不動産会社社長との関係が書かれている。
朝鮮総連本部:元長官が4億円借金 元不動産社長の頼み?
【在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の中央本部の土地と建物の売却問題に関連し、緒方重威(しげたけ)・元公安調査庁長官(73)の親族会社が、本部の売買を仲介した元不動産会社社長の男性(73)の自宅だった土地と建物を購入、緒方氏がこの土地・建物を担保に4億3000万円を借りていたことが分かった。元社長は当時、経済的事情などで融資を受けられない状態で、緒方氏は関係者に「元社長の借金で、頼まれて名前を貸した」などと話している。本部売買で重要な役割を担ったとされる元社長と緒方氏の不可解な関係が浮き彫りになった。
元社長が所有していたのは、東京都世田谷区の土地(約1070平方メートル)と建物(地下1階、地上2階、延べ床面積約1240平方メートル)。登記簿などによると、89年に元社長と関連会社が購入、02年3月まで関連会社が所有していた。別の会社に一時所有権が移った後、03年3月に緒方氏の親族が代表取締役を務める会社が購入した。
緒方氏の親族の会社が土地と建物を取得した同じ日に、緒方氏が債務者で、信販会社が抵当権者となり、債権額4億3000万円の抵当権が設定された。抵当権は現在も抹消されていない。
元社長は、旧住宅金融専門会社(住専)の大口融資先だった不動産会社を経営していたが、住宅金融債権管理機構(現整理回収機構)に対する強制執行妨害容疑で98年に逮捕された。世田谷区の土地と建物は同年4月、都世田谷都税事務所に差し押さえられた(02年3月解除)。元社長の不動産会社と子会社は04年7月負債1590億円を抱え民事再生法適用を申請し、財産保全命令を受けた。
緒方氏が4億円を超える借金をしたのは、元社長が強制執行妨害事件後、会社経営に行き詰まるなどして経済的に苦しい時期だった。関係者によると、元社長から「このままでは、借金のカタに(世田谷の)自宅などを(第三者に)取られてしまう」「借り換えたくてもできない」などと持ちかけられた緒方氏が応じたという。】(毎日新聞 2007年6月18日)
新聞では未だに匿名扱いだが、今回の総連本部の所有権移転にからんだ元不動産会社社長とは、2004年に倒産した(株)三正の元社長・満井忠男氏のことだ。この満井氏と緒方氏のただならぬ関係は、毎日新聞の記事でも明らかだが、この御仁、自民党の中川秀直幹事長ら政界にも太いパイプを持つ一方、「全国遊技業経営者協会」理事長に就任したこともある(週刊朝日)という。
緒方氏の周辺には満井氏のほか実に怪しげな人たちが蠢いている。まず株価操作事件で今年3月に逮捕された「梁山泊」グループとの関係である。この関連で「i-cf(現・オーベン)」という会社が取りざたされているが、緒方氏はここの監査役を務めていた。この「i-cf」はライブドア事件の舞台にもなっているし、そこでは変死した野口英昭氏の名前もでてくる。そしてその当時の社長がなんと緒方氏の甥だったという。どのみち魑魅魍魎の世界であることは確かのようだ。
日曜日のTBSサンデーモーニングでは、毎日新聞の岸井成格氏があくまで個人的な見解として、左翼関連の衰退に対して、オウム事件と北朝鮮関連で公安調査庁の存在が大きくなった。しかし、やりすぎて”危険な総連”がガタガタになり、その対象から脱落させてしまうと公安調査庁の存在意義がなくなってしまう危機感があるのでは、というようなことをいっていた。総連と公安調査庁との阿吽の呼吸ということか。
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*北朝鮮制裁解除 安倍晋三VS山崎拓戦争の舞台裏 2008年07月01日
という記事をエントリーしたが、取材の視点をかえると以下のような舞台裏もみえてきた。安倍晋三VS山崎拓戦争の舞台裏に田中均の名前。今回の福田政権下での、日朝交渉の舞台裏に登場したのは外務省の元アジア大洋州局長の田中均。現在、東京大学公共政策大学院の担当教員。
今回の日朝交渉・・・・背景には米国の事情と圧力があったのは明確だが、その背景で、暗躍したのが、2002年9月の小泉首相の訪朝の舞台裏をつくった田中均元アジア大洋州局長。田中は小泉訪朝まで80回に及ぶ小泉総理・官邸スタッフとの面談を行ないながら官邸主導外交を演出した。この時、田中が交渉した北朝鮮の人間はミスターXとされ、さまざまな憶測をよんだが、現段階で、誰であったかは実は判明していない。田中の北朝鮮の外交の姿勢は、日朝国交正常化を優先、拉致被害者問題についてはやや軽視の姿勢。2002年10月に帰国した拉致被害者5人に対して、北朝鮮の要求通りにいったん送り返すように主張した。この小泉政権での北朝鮮外交で、当時に副官房長官だったのが、安倍晋三。官房長官は、福田康夫だった。
「小泉訪朝で、拉致被害者の問題があきらかになって、その問題の解決を最優先するべきだと強硬に主張したのが、安倍晋三。当時の福田官房長官や、田中均元アジア大洋州局長らは、日朝国交正常化を優先させるべきとして、安倍と対立した。しかし、小泉首相は、拉致問題をめぐる世論の動向をみきわめて、最終的に、安倍らがとなえる強硬路線に舵をとりなおした。これが直接の原因となって、福田は官房長官辞め、田中均も外務省を去ることになる。安倍政権になって、当然、外務省も、親中国派といわれている田中均元アジア大洋州局長らのラインははずされ、安倍とおなじ強硬はである斉木昭隆アジア大洋州局長らが、外交のイニシアチブをにぎるようになる。しかし、拉致問題の全面解決を主張し、経済制裁をくわえたが、肝心の北朝鮮外交はまったく進まなかった。日朝の交渉がまったく閉ざされた段階で北朝鮮は、核実験をする。
ここで、動き出したのが、山崎拓や、平沢勝栄といった政治家。基本的に、田中均元アジア大洋州局長とおなじ、ミスターXのラインなどで、北朝鮮外交をやった。これは、二重外交として批判された。そして、福田政権になって、いってみれば、小泉政権時代の、福田官房長官ー田中均元アジア大洋州局長ーミスターXラインが復活。これが、今回の福田内閣の、北朝鮮の一部制裁解除といった合意がなされた背景」と簡潔に整理するのは、外務省幹部である。いってみれば、これは、安倍VS山拓、というよりも、斉木VS田中均、 という外務省の対立構図でもある。安倍・斉木VS山拓・田中均という構図に、福田首相は明確に、山拓・田中均ラインに踏み込んだ。これに猛反発したのが、安倍というわかりやすい構図。小泉元首相は静観。
田中均に関しては、2003年12月12日の東京国際フォーラムで開かれた日本とASEANとの交流を記念したレセプションで、拉致議連の顧問を務めている中川昭一経産相(当時)に対して「大臣、北朝鮮のような小さな問題ではなく、もっと大きな事に関心をもってくださいよ」などと発言し、中川は「北朝鮮による拉致で、子どもや家族が26年間も帰ってこない人たちがいる。それでも小さい問題なのか。 あなたみたいに北朝鮮のスパイみたいなようなことをしていては駄目なのだ」と激怒したというエピソードは有名。後日、中川は「田中だけは許せない」といきまいていた)
さて、今回の福田総理の北朝鮮との合意形成では、水面下で大枠をきめたのが、田中均らの元外務省グループ。実は、この動きをしって、斉木昭隆アジア大洋州局長は愕然とした。しかし、この外務相のOBの動きは巧みだった。斉木は極秘裏に安倍や山中恭子補佐官に相談したが、その時はすでにシナリオはできていた。最後は、福田総理の『首相命令』。北朝鮮に対して、毅然たる態度をとってきた斉木だったが、官僚である以上は、首相命令にしたがわざるえない。拉致担当の中山恭子補佐官は完全に外されていた」
今回、北京で開かれた日朝実務者協議では、北朝鮮は、拉致問題の再調査と、「よど号」犯の引き渡しが提案した。これに対して、日本側は、「一定の評価」として、部分的な経済制裁の解除。北朝鮮船の入港を認める。さらに、人道支援名目での経済援助の再開にふみこむとされている。
こうした今回の協議で、「北朝鮮の具体的な内容をみないで、制裁解除をみとめることは、また、北朝鮮のたくみな外交のしてやられる」と中川昭一は猛反発。「北朝鮮の最大の目的は、日本でなく米国のテロ支援国家指定解除を実施させること。そのためには、拉致問題で経済制裁をしている日本をなんとか、くどきおとさなくてはならない。つまり、日本は行きがけの駄賃みたいもの。これにまんまとのってしまっていいのか?」(中川昭一)当然、安倍晋三前首相も猛反発している。
警視庁公安部の外事課の関係者によると、「今回の日朝協議が行われる、5月に、北朝鮮から朝鮮総連の許宋万副議長(実質的に朝鮮総連のナンバー1)に『日朝協議で、経済制裁が解除されるから準備しておけ』という指示がでているといわれます。つまり、経済制裁で疲弊している北朝鮮に、物資その他を運びいれる準備をしておけという指示です。さらに『拉致問題は解決済みという基本方針は変わらない』との連絡もはいっています。 日本政府は、まんまと、北朝鮮の策略に乗せられてしまうこともありうる。だいたい、よど号の連中の引き渡しで一番問題なのは、よど号の連中が、拉致に関与している嫌疑がある。非公式では、よど号犯人に引き渡しに対して、免責どころか、捜査をしないとかさせないとかとんでもない話も入っていて、現場は怒っていますよ」以上