質問本文情報
平成十六年一月二十日提出
質問第一号
「秘 無期限」と記された「日米地位協定の考え方」と題する政府文書の存在と公開に関する質問主意書
提出者 照屋寛徳( 社会民主党・市民連合)
「秘 無期限」と記された「日米地位協定の考え方」と題する政府文書の存在と公開に関する質問主意書
日米地位協定の全面改正を求める声は、今や沖縄県民の総意である。
日米地位協定の全面改正要求は、沖縄県だけでなく米軍基地が所在する都道府県、各政党、労働界、経済団体、法曹界などに広がり、大きな国民世論に高まった感がある。
ところが、政府は、かかる日米地位協定全面改正要求に対し、「運用の改善」で足りるとの姿勢を一貫している。「運用の改善」では不十分で限界があり、全面改正すべしとの切実な要求を無視するかの如き政府の態度はとても承服できない。
日米地位協定は、余りにも多くの特権・免除を在日米軍とその軍人・軍属に与えている。私は、かねてより主権・人権・環境の視点で全面的に改正すべき、と主張してきた。
ところで、琉球新報社は日米地位協定に関する政府の基本解釈となる機密文書「日米地位協定の考え方」を入手したと報じている。(平成十六年一月一日、琉球新報)
同文書(B5版、百三十二ページ)は、一九七三年四月に外務省条約局とアメリカ局が作成したもので、日米地位協定の逐条解説書とも言うべき文書である。ところが、政府はこれまで「日米地位協定の考え方」なる文書の存在を否定し、その公開を拒んできた。
琉球新報は、平成十六年一月十三日の紙面で入手した「日米地位協定の考え方」全文を掲載した。掲載された全文を読むと政府が条文の本旨を拡大解釈し、米軍に対する過剰な譲歩をなし、結果的に県民への犠牲と負担を大きくしていることが明らかである。
日米地位協定についての政府の逐条解説とも言うべき文書が作成後三十年余も秘密扱いにされるのは理由がない。今や、日米関係は主従関係ではなく対等平等であるべきだ。「日米地位協定の考え方」を公に開示することが日米間の改正交渉にも必要不可欠であり、公開は政府が国民に果たすべき説明責任と考える。政府は、一刻も早く同文書の存在を認め、全文を公表すべきである。
以下、政府の見解をただすために質問する。
一 政府は、琉球新報が平成十六年一月十三日付朝刊紙面で、琉球新報社が入手した「秘 無期限」と記された「日米地位協定の考え方」と題する文書を全文掲載公表したことを知っているか。
(回答)
平成十六年一月十三日付けの琉球新報の朝刊紙面で、琉球新報社が「秘 無期限」と記された「日米地位協定の考え方」と題する文書を掲載したことは、承知している。
二 よもや、政府は琉球新報が全文掲載した「日米地位協定の考え方」の中身について、「知らない」「初めて知った」「政府は作成に関与していない」等と言い逃れたり、「偽造文書だ」と弁解することはないと信ずるが、掲載公表された「日米地位協定の考え方」の中身(内容)について政府の弁明があらばお示し願いたい。
(回答)
琉球新報に掲載された「日米地位協定の考え方」と題する文書を保有しておらず、同紙に掲載された文書が政府の文書かどうかについて確認できない。
三 政府は、一九七三年四月、外務省条約局とアメリカ局が作成した「日米地位協定の考え方」と題する文書の存在を認めるか。もし、文書の存在を認めないのであればその理由を明らかにされたい。
(回答)四に。
四 「日米地位協定の考え方」と題する文書の存在を認めるのであれば、同文書を全文公表する考えはあるかどうか明らかにされたい。
(回答)
三及び四について
お尋ねの昭和四十八年四月に外務省条約局とアメリカ局が作成したとされる「日米地位協定の考え方」と題する文書は、保有していない。政府以外の者がその文書を保有しているかどうか確認できないため、その文書が存在しているかどうかお答えすることは困難である.
五 政府は、琉球新報が平成十六年一月十三日付朝刊紙面で全文掲載した「日米地位協定の考え方」に基づいて、日米地位協定の解釈運用をなしてきた事実を認めるか。
認めないのであればその理由を付して明らかにされたい。
(回答)
琉球新報に掲載された「日米地位協定の考え方」と題する文書を保有しておらず、同紙に掲載された文書が政府の文書かどうかについて確認できない。
いずれにせよ、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)については、これまで個々の事案に応じて適切に解釈運用を行ってきている。
六 琉球新報平成十六年一月十三日付朝刊紙面によると、外務省元幹部の証言として、「一九八〇年代に『日米地位協定の考え方』増補版が作成された」と述べているが、かかる増補版の存在を認めるかどうか明らかにされたい。
(回答)
平成十六年一月十三日付けの琉球新報の朝刊紙面で、外務省元幹部が述べたとされている、千九百八十年代に作成された「日米地位協定の考え方」増補版に該当すると思われる文書は保有している。
七 「日米地位協定の考え方」と題する文書以外に日米地位協定に関する「擬問擬答集」「地位協定逐条説明」「条・条ペーパー」と題する文書が存在するかどうか明らかにされたい。尚、これらの文書の存在を認めるのであれば、これらの文書全文を公表する考えはあるかどうか明らかにされたい。
(回答)
お尋ねの内容からは、日米地位協定に関する「擬問擬答集」、「地位協定逐条説明」及び「条・条ペーパー」が何を指すのか必ずしも明らかでないので、お答えすることは困難である。
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平成十六年二月三日提出
質問第一二号
在沖米海兵隊とアメリカの海外基地見直しに関する質問主意書
提出者 照屋寛徳( 社会民主党・市民連合)
平成十六年二月十三日受領
答弁第一二号
内閣衆質一五九第一二号
平成十六年二月十三日
内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議長 河野洋平 殿
在沖米海兵隊とアメリカの海外基地見直しに関する質問主意書
在沖米海兵隊の削減・撤退は、沖縄県民の強い願いであり、総意である。在沖米海兵隊を含む在沖米軍基の整理・縮小は国政の課題でもあり、政府はそれに取り組む政策方針を表明している。
在沖米海兵隊は、広大な演習場を有し、甚大な演習被害、普天間飛行場からの深刻な爆音被害、海兵隊員による多発する犯罪などによって、沖縄県民の生命・身体の安全を日常的に脅かしている。そればかりか、環境破壊、生活破壊を招き、産業振興にも重大な支障をきたしている。
そもそも在沖米海兵隊が約一万六千人も狭い沖縄に駐留する戦略的な理由も必要性もないと考える。政府は、在沖米軍の整理・縮小、とりわけ在沖米海兵隊の削減・撤退をアメリカに強く要求すべきである。そのことが、長年に及んでこの国の安全保障の犠牲と負担を強いられ、今なお基地の重圧に苦しんでいる沖縄県民の強い要望である。
以下、質問する。
一 在沖四軍調整官(第三海兵遠征軍司令官)のロバート・ブラックマン中将が、二〇〇四年一月二八日、キャンプ瑞慶覧で報道関係者の取材に応じ、沖縄に駐留する第五海兵連隊第一大隊、第四海兵連隊第三大隊の二歩兵大隊、普天間基地の重輸送ヘリ中隊、第二四海兵連隊第三大隊など約三千人を二月から七ヵ月間イラクに派遣すると発表したことを政府は承知しているか。(琉球新報、沖縄タイムス、二〇〇四年一月
二九日付朝刊参照)
(回答)
お尋ねのような内容の報道があったことは、承知している。
二 政府は、ロバート・ブラックマン中将が発表した前記在沖米海兵隊約三千人のイラク派遣をどのように受け止めておるのかお示し願いたい。
(回答)
今般のイラク情勢に関するものを含め、アメリカ合衆国(以下「米国」という。)軍隊の個々の運用について見解を申し上げる立場にはない。
三 二〇〇四年一月三一日、ワシントン発共同通信によると、米国防総省は、在沖米海兵隊のうち、二月から四月にかけて順次イラクに派遣される三歩兵大隊など約三千人の大半について、イラクでの任務終了後も沖縄に戻さず米国に帰還させ、事実上削減する運用計画案を検討していることが明らかになった、と報道されているが、政府は米国防総省のかかる運用計画案検討の事実を掌握しているかどうかお示し願いたい
。(沖縄タイムス、琉球新報、二〇〇四年二月一日朝刊参照)
(回答)四に。
四 在沖米軍基地の整理・縮小を図る政府の立場からも、米国防総省による在沖米海兵隊の三千人削減は歓迎すべきことと考えるが、政府はどのように受け止めておるのかお示し願いたい。
(回答)
三及び四について
今般のイラク情勢に関するものを含め、米国軍隊の個々の運用についてその詳細を申し上げる立場にはないが、平成十五年十一月二十六日の米国国防省の発表によれば、ラムズフェルド国防長官は、「イラクの自由作戦」のために海兵隊が追加的に三大隊及びその支援部隊を派遣することを承認したとされている。また、追加的にイラクに派遣される海兵隊の部隊のうち、二大隊及び航空部隊については、現在沖縄に派遣されている部隊がこれに充てられ、予備役の一大隊で今後沖縄に派遣される予定であったものも、イラクに派遣されることとなると承知している。
今回沖縄からイラクに派遣される部隊そのものが再び沖縄に駐留することとなるかは承知していないが、米国政府からは、今回の派遣が終了した後には、本来沖縄に駐留するはずの規模の部隊が再び沖縄に展開することになるという説明を受けている。
五 米国のブッシュ大統領は、二〇〇三年一一月二五日、米軍の海外軍事力態勢の見直しについて声明を発表した。
政府は、この大統領声明をわが国の安全保障と在沖米軍基地の整理・縮小との関連でどのように受け止めておるのかお示し願いたい。
(回答)八に。
六 二〇〇三年一一月二二日、ブッシュ米大統領は、「二〇〇四米国軍事建設歳出法」(HR二六五八、公法一〇八-一三二)に署名した。同法によって「合衆国軍事施設の構成見直しに関する委員会」が設置されることとなり、在沖米軍基地の将来、とりわけ在沖米軍基地の整理・縮小を進めるうえで重要な法律と思慮する。
政府は、「二〇〇四米国軍事建設歳出法」(HR二六五八、公法一〇八-一三二)の成立をどのように受け止めておるのかお示し願いたい。
(回答)
米国議会において成立した「二千四会計年度軍事建設歳出法」(以下「軍事建設歳出法」という。)には、「在外米軍施設の構成見直しに関する委員会」(以下「見直し委員会」という。)の設置に関する条項が含まれており、見直し委員会は米国国外に所在する米国軍隊の施設の構成について検討し、その結果及び提言を二千四年十二月三十一日までに米国議会及び米国大統領に報告することとなっていると承知している。政府としては、軍事建設歳出法の成立を関心をもって受け止めており、今後の見直し委員会の活動を注視してまいりたい。
七 稲嶺惠一沖縄県知事は、「合衆国軍事施設の構成見直しに関する委員会」の公聴会に出席し、在沖米軍基地問題の解決を訴えたいと表明している。政府としても同委員会の公聴会出席、同委員会への在沖米軍基地の整理・縮小を強く訴える働きかけをすべきと考えるが政府の対応方針をお示し願いたい。
(回答)
在日米軍の軍事態勢の見直しについては、五及び八についてでお答えしたように、米国政府との間で協議を進めていく考えであり、見直し委員会において何らかの対応をする考えはない。
八 私は、在沖米海兵隊削減の一番大きな壁は日本政府だと考える。政府は、アメリカに対し、在沖米海兵隊の削減を具体的に求めてこなかった。わが国の国家財政が厳しき折、思いやり予算などによる在日米軍の存在は、大きな国民負担になっている。「わが国にとって在沖米軍基地を削減することが国益だが、政府は海兵隊を含む米軍を駐留させることが国益だと思い込んでいる」と批判する識者も多い。
政府は、米国政府が海外基地の見直し・再編を検討するこの時期に、在沖米海兵隊の削減と施設・区域の返還をアメリカ政府に要求すべきと考えるが政府の方針をお示し願いたい。
(回答)
五及び八について
米国政府は米国軍隊の全世界的な軍事態勢の見直しを行っており、我が国に駐留する米国軍隊(以下「在日米軍」という。)もその例外ではないと理解している。
米国政府との間での在日米軍の軍事態勢の見直しに関する協議においては、在日米軍が有している抑止力が効率的に維持されるとともに、沖縄を含む、米国軍隊の施設・区域が所在する地方公共団体の負担が十分念頭に置かれるべきであると考えており、こうした観点から、米国政府との協議を進めていく考えである。
九 米国政府は、国内外の米軍基地の再編を進めている。政府は、もっともっと積極的に在沖米軍の兵力削減と在沖米軍基地の整理・縮小に向け、政府間協議により力を注ぐべきと考える。
政府は、米国防総省において現在検討作業を進めている「二〇〇五年基地再編・閉鎖プラン」についてどのように政府間協議に臨むのか、その日程、協議機関とその構成を含めて明らかにされたい。
(回答)
お尋ねの「二〇〇五年基地再編・閉鎖プラン」とは、米国国防省で検討中の「米国基地再編・閉鎖(BRAC)」と題する計画を指すと考えられるが、これは、米国国内に所在する米国軍隊の施設のみを対象として行われる再編・閉鎖の計画であると承知している。沖縄に駐留する米国軍隊の施設・区域については、「米国基地再編・閉鎖(BRAC)」の対象になるとは考えていない。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a159001.htm
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