2009年10月27日火曜日

【鳩山内閣】 所信表明

所信表明演説全文

 あの暑い夏の総選挙の日から、すでに2か月がたとうとしています。また、私が内閣総理大臣の指名を受け、民主党、社会民主党、国民新党の3党連立政策合意の下に、新たな内閣を発足させてから、40日がたとうとしています。

 総選挙において、国民の皆さまは政権交代を選択されました。これは日本に民主主義が定着してから、実質的に初めてのことです。

 長年続いた政治家と官僚のもたれ合いの関係、しがらみや既得権益によって機能しなくなった政治、年金や医療への心配、そして将来への不安など、「今の日本の政治をなんとかしてくれないと困る」という国民の声が、この政権交代をもたらしたのだと私は認識しております。その意味において、あの夏の総選挙の勝利者は国民一人ひとりです。その、一人ひとりの強い意思と熱い期待に応えるべく、私たちは「今こそ日本の歴史を変える」との意気込みで、国政の変革に取り組んでまいります。

 この間、私たちは、新しい政権づくり、新しい政治の枠組みづくりに必死に取り組んでまいりました。その過程において、国民の皆さまの変革への期待を感ずる一方、「本当に変革なんてできるのだろうか」という疑いや、「政治なんて変わらない」「政治が変わっても、自分たちの生活は変わらない」というあきらめの感情が、いまだ強く国民の中にあることを痛感させられました。

 ここまでの政治不信、国民の間に広がるあきらめの感情の責任は、必ずしも従来の与党だけにあったとは思っておりません。野党であった私たち自身も、自らの責任を自覚しながら問題の解決に取り組まなければならないと考えております。

 ここに集まられた議員の皆さん。

 私たちが全力を振り絞ってお互いに闘ったあの暑い夏の日々を思い出してください。皆さんが、全国の町や村、街頭や路地裏、山や海、学校や病院で、国民の皆さまから直接聞いた声を思い出してください。

 議員の皆さん、皆さんが受け止めた、国民一人ひとりの願いを、互いにかみしめ、しっかりと、一緒に、実現していこうではありませんか。政党や政治家のためではなく、選挙のためでももちろんなく、真に国民のためになる議論を、力の限り、この国会でぶつけ合っていこうではありませんか。

 変革の本番はまさにこれからです。今日を、その新たな出発の日としようではありませんか。

 ◆戦後行政の大掃除◆

 私は、政治と行政に対する国民の信頼を回復するために、行政の無駄や因習を改め、まずは政治家が率先して汗をかくことが重要だと考えております。

 このために、鳩山内閣は、これまでの官僚依存の仕組みを排し、政治主導・国民主導の新しい政治へと百八十度転換させようとしています。各省庁における政策の決定は、官僚を介さず、大臣、副大臣、大臣政務官からなる「政務三役会議」が担うとともに、政府としての意思決定を内閣に一元化しました。また、事務次官等会議を廃止し、国民の審判を受けた政治家が自ら率先して政策の調整や決定を行うようにいたしました。重要な政策については、各閣僚委員会において徹底的に議論を重ねた上で結論を出すことにいたしました。

 この新たな体制の下、まず行うべきことは「戦後行政の大掃除」です。特に二つの面で、大きな変革を断行しなければなりません。

 ひとつめは「組織や事業の大掃除」です。

 私が主宰する行政刷新会議は、政府のすべての予算や事務・事業、さらには規制のあり方を見直していきます。税金の無駄遣いを徹底して排除するとともに、行政内部の密約や省庁間の覚書も世の中に明らかにしてまいります。すでに、本年度補正予算を見直した結果、約3兆円にも相当する不要不急の事業を停止させることができました。この3兆円は、国民の皆さまからお預かりした大事な予算として、国民の皆さまの生活を支援し、景気回復に役立つ使い途へと振り向けさせていただきます。今後も継続して、さらに徹底的に税金の無駄遣いを洗い出し、私たちから見て意味のわからない事業については、国民の皆さまに率直にその旨をお伝えすることによって、行政の奥深くまで入り込んだしがらみや既得権益を一掃してまいります。また、右肩上がりの成長期に作られた中央集権・護送船団方式の法制度を見直し、地域主権型の法制度へと抜本的に変えてまいります。加えて、国家公務員の天下りや渡りのあっせんについてもこれを全面的に禁止し、労働基本権のあり方を含めて、国家公務員制度の抜本的な改革を進めてまいります。

 情報面におきましても、行政情報の公開・提供を積極的に進め、国民と情報を共有するとともに、国民からの政策提案を募り、国民の参加によるオープンな政策決定を推進します。

 もうひとつの「大掃除」は、税金の使い途と予算の編成のあり方を徹底的に見直すことです。

 国民の利益の視点、さらには地球全体の利益の視点に立って、縦割り行政の垣根を排し、戦略的に税財政の骨格や経済運営の基本方針を立案していかなければなりません。私たちは、国民に見えるかたちで複数年度を視野に入れたトップダウン型の予算編成を行うとともに、個々の予算事業がどのような政策目標を掲げ、またそれがどのように達成されたのかが、納税者に十分に説明できるように事業を執行するよう、予算編成と執行のあり方を大きく改めてまいります。すでに、これまでは作ることを前提に考えられてきたダムや道路、空港や港などの大規模な公共事業について、国民にとって本当に必要なものかどうかを、もう一度見極めることからやり直すという発想に転換いたしました。今後もまた、私と菅副総理のもと、国家戦略室において財政のあり方を根本から見直し、「コンクリートから人へ」の理念に沿ったかたちで、硬直化した財政構造を転換してまいります。国民の暮らしを守るための財政のあるべき姿を明確にした上で、長く大きな視野に立った財政再建の道筋を検討してまいります。

 政治もまた、国民の信頼を取り戻さなければなりません。政治資金をめぐる国民の皆さまのご批判を真摯(しんし)に受け止め、政治家一人ひとりが襟を正し、透明性を確保することはもちろん、しがらみや既得権益といったものを根本から断ち切る政治を目指さなければなりません。私の政治資金の問題によって、政治への不信を持たれ、国民の皆さまにご迷惑をおかけしたことを、誠に申し訳なく思っております。今後、政治への信頼を取り戻せるよう、捜査に全面的に協力してまいります。

 ◆友愛政治の原点◆

 私もまた、この夏の選挙戦では、日本列島を北から南まで訪ね、多くの国民の皆さまの期待と悲痛な叫びを耳にしてきました。

 青森県に遊説に参った際、大勢の方々と握手させていただいた中で、私の手を離そうとしない、一人のおばあさんがいらっしゃいました。息子さんが職に就けず、自らのいのちを断つしか途がなかった、その哀しみを、そのおばあさんは私に対して切々と訴えられたのです。毎年3万人以上の方々のいのちが、絶望の中で断たれているのに、私も含め、政治にはその実感が乏しかったのではないか。おばあさんのその手の感触。その眼の中の悲しみ。私には忘れることができませんし、断じて忘れてはならない。社会の中に自らのささやかな「居場所」すら見つけることができず、いのちを断つ人が後を絶たない、しかも政治も行政もそのことに全く鈍感になっている、そのことの異常を正し、支え合いという日本の伝統を現代にふさわしいかたちで立て直すことが、私の第一の任務です。

 かつて、多くの政治家は、「政治は弱者のためにある」と断言してまいりました。大きな政府とか小さな政府とか申し上げるその前に、政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない。そのことだけは、私の友愛政治の原点として、ここに宣言させていただきます。

 今回の選挙の結果は、このような「もっとも大切なこと」をおろそかにし続けてきた政治と行政に対する痛烈な批判であり、私どもはその声に謙虚に耳を傾け、真摯に取り組まなければならないと、決意を新たにしております。

 ◆国民のいのちと生活を守る政治◆

 本当の意味での「国民主権」の国づくりをするために必要なのは、まず、何よりも、人のいのちを大切にし、国民の生活を守る政治です。

 かつて、高度経済成長の原動力となったのは、貧困から抜けだし、自らの生活や家族を守り、より安定した暮らしを実現したいという、国民の切実な思いでした。ところが、国民皆年金や国民皆保険の導入から約50年がたった今、生活の安心、そして将来への安心が再び大きく揺らいでいます。これを早急に正さなければなりません。

 年金については、今後2年間、「国家プロジェクト」として、年金記録問題について集中的な取り組みを行い、一日も早く国民の信頼を取り戻せるよう、最大限の努力を行ってまいります。そして、公平・透明で、かつ、将来にわたって安心できる新たな年金制度の創設に向けて、着実に取り組んでまいります。もとより、制度としての正確性を求めることは重要ですが、国民の生活様式の多様化に基づいた、柔軟性のある、ミスが起こってもそれを隠さずに改めていける、新しい時代の制度改革を目指します。

 医療、介護についても必死に取り組みます。新型インフルエンザ対策について万全の準備と対応を尽くすことはもちろん、財政のみの視点から医療費や介護費をひたすら抑制してきたこれまでの方針を転換し、質の高い医療・介護サービスを効率的かつ安定的に供給できる体制づくりに着手します。優れた人材を確保するとともに、地域医療や、救急、産科、小児科などの医療提供体制を再建していかなければなりません。高齢者の方々を年齢で差別する後期高齢者医療制度については、廃止に向けて新たな制度の検討を進めてまいります。

 子育てや教育は、もはや個人の問題ではなく、未来への投資として、社会全体が助け合い負担するという発想が必要です。人間らしい社会とは、本来、子どもやお年寄りなどの弱い立場の方々を社会全体で支え合うものであるはずです。子どもを産み育てることを経済的な理由であきらめることのない国、子育てや介護のために仕事をあきらめなくてもよい国、そして、すべての意志ある人が質の高い教育を受けられる国を目指していこうではありませんか。このために、財源をきちんと確保しながら、子ども手当の創設、高校の実質無償化、奨学金の大幅な拡充などを進めていきたいと思っております。

 さらに、生活保護の母子加算を年内に復活させるとともに、障害者自立支援法については早期の廃止に向け検討を進めます。また、職場や子育てなど、あらゆる面での男女共同参画を進め、すべての人々が偏見から解放され、分け隔てなく参加できる社会、先住民族であるアイヌの方々の歴史や文化を尊重するなど、多文化が共生し、誰もが尊厳をもって、生き生きと暮らせる社会を実現することが、私の進める友愛政治の目標となります。

◆人の笑顔がわが歓び◆

 先日、訪問させていただいたあるチョーク工場のお話を申し上げます。

 創業者である社長は、昭和34年の秋に、近所の養護学校の先生から頼まれて2人の卒業生を仮採用しました。毎日昼食のベルが鳴っても仕事をやめない2人に、女性工員たちは「彼女たちは私たちの娘みたいなもの。私たちが面倒みるから就職させてやってください」と懇願したそうです。そして、次の年も、また次の年も、養護学校からの採用が続きました。

 ある年、とある会でお寺のご住職が、その社長の隣に座られました。

 社長はご住職に質問しました。

 「文字も数も読めない子どもたちです。施設にいた方がきっと幸せなのに、なぜ満員電車に揺られながら毎日遅れもせずに来て、一生懸命働くのでしょう?」

 ご住職はこうおっしゃったそうです。

 「ものやお金があれば幸せだと思いますか」。続いて、「人間の究極の幸せは四つです。愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること。働くことによって愛以外の三つの幸せが得られるのです」

 「その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う」、これは社長の実体験を踏まえた感想です。

 このチョーク工場は、従業員のうち7割が「障がい」という「試練」を与えられた、いわば「チャレンジド」の方々によって構成されていますが、粉の飛びにくい、いわゆるダストレスチョークでは、全国的に有名なリーディングカンパニーになっているそうです。障がいを持った方たちも、あるいは高齢者も、難病の患者さんも、人間は、人に評価され、感謝され、必要とされてこそ幸せを感じるということを、この逸話は物語っているのではないでしょうか。

 私が尊敬するアインシュタイン博士も、次のように述べています。

 「人は他人のために存在する。何よりもまず、その人の笑顔や喜びがそのまま自分の幸せである人たちのために。そして、共感という絆(きずな)で結ばれている無数にいる見知らぬ人たちのために」

 ◆地域の「絆」◆

 ここ10年余り、日本の地域は急速に疲弊しつつあります。経済的な意味での疲弊や格差の拡大だけでなく、これまで日本の社会を支えてきた地域の「絆」が、今やずたずたに切り裂かれつつあるのです。しかし、昔を懐かしんでいるだけでは地域社会を再生することはできません。

 かつての「誰もが誰もを知っている」という地縁・血縁型の地域共同体は、もはや失われつつあります。そこで、次に私たちが目指すべきは、単純に昔ながらの共同体に戻るのではない、新しい共同体のあり方です。スポーツや芸術文化活動、子育て、介護などのボランティア活動、環境保護運動、地域防災、そしてインターネットでのつながりなどを活用して、「誰かが誰かを知っている」という信頼の市民ネットワークを編みなおすことです。「あのおじいさんは、一見偏屈そうだけど、ボランティアになると笑顔が素敵なんだ」とか「あのブラジル人は、無口だけど、ホントはやさしくて子どもにサッカー教えるのもうまいんだよ」とかいった、それぞれの価値を共有することでつながっていく、新しい「絆」をつくりたいと考えています。

 幸い、現在、全国各地で、子育て、介護、教育、街づくりなど、自分たちに身近な問題をまずは自分たちの手で解決してみようという動きが、市民やNPOなどを中心に広がっています。子育ての不安を抱えて孤独になりがちな親たちを応援するために、地域で親子教室を開催し、本音で話せる「居場所」を提供している方々もいらっしゃいます。また、こうした活動を通じて支えられた親たちの中には、逆に、支援する側として活動に参加し、自らの経験を活かした新たな「出番」を見いだす方々もいらっしゃいます。

 ◆「新しい公共」◆

 働くこと、生活の糧を得ることは容易なことではありません。しかし、同時に、働くことによって人を支え、人の役に立つことは、人間にとって大きな喜びとなります。

 私が目指したいのは、人と人が支え合い、役に立ち合う「新しい公共」の概念です。「新しい公共」とは、人を支えるという役割を、「官」と言われる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域でかかわっておられる方々一人ひとりにも参加していただき、それを社会全体として応援しようという新しい価値観です。

 国民生活の現場において、実は政治の役割は、それほど大きくないのかもしれません。政治ができることは、市民の皆さんやNPOが活発な活動を始めたときに、それを邪魔するような余分な規制、役所の仕事と予算を増やすためだけの規制を取り払うことだけかもしれません。しかし、そうやって市民やNPOの活動を側面から支援していくことこそが、21世紀の政治の役割だと私は考えています。

 新たな国づくりは、決して誰かに与えられるものではありません。政治や行政が予算を増やしさえすれば、すべての問題が解決するというものでもありません。国民一人ひとりが「自立と共生」の理念を育み発展させてこそ、社会の「絆」を再生し、人と人との信頼関係を取り戻すことができるのです。

 私は、国、地方、そして国民が一体となり、すべての人々が互いの存在をかけがえのないものだと感じあえる日本を実現するために、また、一人ひとりが「居場所と出番」を見いだすことのできる「支え合って生きていく日本」を実現するために、その先頭に立って、全力で取り組んでまいります。

◆人間のための経済へ◆

 市場における自由な経済活動が、社会の活力を生み出し、国民生活を豊かにするのは自明のことです。しかし、市場にすべてを任せ、強い者だけが生き残ればよいという発想や、国民の暮らしを犠牲にしても、経済合理性を追求するという発想がもはや成り立たないことも明らかです。

 私は、「人間のための経済」への転換を提唱したいと思います。それは、経済合理性や経済成長率に偏った評価軸で経済をとらえるのをやめようということです。経済面での自由な競争は促しつつも、雇用や人材育成といった面でのセーフティーネットを整備し、食品の安全や治安の確保、消費者の視点を重視するといった、国民の暮らしの豊かさに力点を置いた経済、そして社会へ転換させなければなりません。

 ◆経済・雇用危機の克服と安定した経済成長◆

 先の金融・経済危機は、経済や雇用に深刻な影響を及ぼし、今なお予断を許さない状況にあります。私自身、全国各地で、地域の中小企業の方々とお会いし、地域経済の疲弊や経済危機の荒波の中で、歯を食いしばって必死に努力されている中小企業主の皆さんの生の声をお伺いしてまいりました。まさにこうした方々が日本経済の底力であり、その方々を応援するのが政治の責務にほかなりません。経済の動向を注意深く見守りつつ、雇用情勢の一層の悪化や消費の腰折れ、地域経済や中小企業の資金繰りの厳しさなどの課題に対応して、日本経済を自律的な民需による回復軌道に乗せるとともに、国際的な政策協調にも留意しつつ持続的な成長を確保することは、鳩山内閣の最も重要な課題となります。

 私たちは、今国会に、金融機関の中小企業への貸し渋り、貸しはがしを是正するための法案を提出いたします。また、政府が一丸となって雇用対策に取り組むため、先般、緊急雇用対策本部を立ち上げ、職を失い生活に困窮されている方々への支援、新卒・未就職の方々への対応、中小企業者への配慮、雇用創造への本格的な取り組みなど、細やかで機動的な緊急雇用対策を政府として決定したところです。このような時にこそ、地方公共団体や企業、労働組合、NPOの方々を含め、社会全体が、支え合いの精神で雇用確保に向けた努力を行っていくべきだと考えます。

 年金、医療、介護など社会保障制度への不信感からくる、将来への漠然とした不安をぬぐい去ると同時に、子ども手当の創設、ガソリン税の暫定税率の廃止、さらには高速道路の原則無料化など、家計を直接応援することによって、国民が安心して暮らせる「人間のための経済」への転換を図っていきます。そして物心両面から個人消費の拡大を目指してまいります。

 同時に、内需を中心とした安定的な成長を実現することが極めて重要となります。世界最高の低炭素型産業、「緑の産業」を成長の柱として育てあげ、国民生活のあらゆる場面における情報通信技術の利活用の促進や、先端分野における研究開発、人材育成の強化などにより、科学技術の力で世界をリードするとともに、今一度、規制のあり方を全面的に見直し、新たな需要サイクルを創出してまいります。また、公共事業依存型の産業構造を「コンクリートから人へ」という基本方針に基づき、転換してまいります。暮らしの安心を支える医療や介護、未来への投資である子育てや教育、地域を支える農業、林業、観光などの分野で、しっかりとした産業を育て、新しい雇用と需要を生み出してまいります。さらに、わが国の空港や港を、世界、そしてアジアの国際拠点とするため、羽田の24時間国際拠点空港化など、真に必要なインフラ整備を戦略的に進めるとともに、環境分野をはじめとする成長産業を通じて、アジアの成長を強力に後押しし、わが国を含めたアジア全体の活力ある発展を促してまいります。

 ◆「地域主権」改革の断行◆

 「人間のための経済」を実現するために、私は、地域のことは地域に住む住民が決める、活気に満ちた地域社会をつくるための「地域主権」改革を断行します。

 いかなる政策にどれだけの予算を投入し、どのような地域を目指すのか、これは、本来、地域の住民自身が考え、決めるべきことです。中央集権の金太郎あめのような国家をつくるのではなく、国の縛りを極力少なくすることによって、地域で頑張っておられる住民が主役となりうる、そんな新しい国づくりに向けて全力で取り組んでまいります。そのための第一歩として、地方の自主財源の充実、強化に努めます。

 国と地方の関係も変えなければなりません。国が地方に優越する上下関係から、対等の立場で対話していける新たなパートナーシップ関係への根本的な転換です。それと同時に、国と地方が対等に協議する場の法制化を実現しなければなりません。こうした改革の土台には、地域に住む住民の皆さんに、自らの暮らす町や村の未来に対する責任を持っていただくという、住民主体の新しい発想があります。

 同時に、活気に満ちた地域社会をつくるため、国が担うべき役割は率先して果たします。戸別所得補償制度の創設を含めて農林漁業を立て直し、活力ある農山漁村を再生するとともに、生活の利便性を確保し、地域社会を活性化するため、郵便局ネットワークを地域の拠点として位置付けるなど、郵政事業の抜本的な見直しに向けて取り組んでまいります。

日本は、経済だけでなく、環境、平和、文化、科学技術など、多くの面で経験と実力を兼ね備える国です。だからこそ、国連総会で申し上げたように、ほかでもない日本が、地球温暖化や核拡散問題、アフリカをはじめとする貧困の問題など、地球規模の課題の克服に向けて立ち上がり、東洋と西洋、先進国と途上国、多様な文明の間の「架け橋」とならなければなりません。こうした役割を積極的に果たしていくことこそ、すべての国民が日本人であることに希望と誇りを持てる国になり、そして、世界の「架け橋」として国際社会から信頼される国になる第一歩となるはずです。


 世界は、今、地球温暖化という、人類の生存にかかわる脅威に直面しています。本年12月のコペンハーゲンにおけるCOP15に向けて、地球温暖化という大きな脅威に対して立ち向かっていますが、このことは、決して生易しいことではありません。

 しかし、私は確信しております。資源小国・日本が、これまで石油危機や公害問題を乗り越える中で培ってきた技術にさらに磨きをかけ、世界の先頭に立って走ることで、必ずや解決に向けた道筋を切り拓くことができると。そして、同時にそれが、日本経済にとっての大きなチャンスであることも、過去の歴史が示しております。

 私は、すべての主要国による公平かつ実効性ある国際的枠組みの構築や意欲的な目標の合意を前提として、2020年に、温室効果ガスを、1990年比で25%削減するとの目標を掲げ、国際交渉を主導してまいります。

 また、途上国支援のための「鳩山イニシアティブ」を実行することで、先進国と途上国との「架け橋」としての役割を積極的に果たし、世界規模での「環境と経済の両立」の実現、「低炭素型社会」への転換に貢献してまいります。そのため、地球と日本の環境を守り、未来の子どもたちに引き継いでいくための行動を、「チャレンジ25」と名付け、国民の皆さまと一緒に、私の政治的リーダーシップのもと、あらゆる政策を総動員し、推進してまいります。

 人類の生存の上で、核兵器の存在や核の拡散ほど深刻な問題はありません。私は、オバマ大統領が勇気を持って打ち出した「核のない世界」という提案に深く共感し、これを強く支持します。しかし、そのことは、米国のみが核廃絶に向けた責任を負うということではありません。むしろ、すべての国が責任を自覚し、行動を起こすことが求められているのです。唯一の被爆国として核廃絶を主張し、また、非核三原則を堅持してきた日本ほど、「核のない世界」の実現を説得力をもって世界に訴えることのできる国はありません。私は、世界の「架け橋」として、核軍縮や核不拡散に大きく貢献し、未来の子どもたちに「核のない世界」を残す重要な一歩を踏み出せるよう、不退転の決意で取り組みを進めてまいります。

 日本はまた、アジア太平洋地域に位置する海洋国家です。古来諸外国との交流や交易の中で、豊かな日本文化が育まれてまいりました。二度と再び日本を取り巻く海を「争いの海」にしてはいけません。友好と連帯の「実りの海」であり続けるための努力を続けることが大切です。このことは、日本のみならず、アジア太平洋地域、そして世界全体の利益だと考えます。その基盤となるのは、緊密かつ対等な日米同盟であります。ここで言う対等とは、日米両国の同盟関係が世界の平和と安全に果たせる役割や具体的な行動指針を、日本の側からも積極的に提言し、協力していけるような関係です。私は、日米の2国間関係はもとより、アジア太平洋地域の平和と繁栄、さらには、地球温暖化や「核のない世界」など、グローバルな課題の克服といった面でも、日本と米国とが連携し、協力し合う、重層的な日米同盟を深化させてまいります。また、こうした信頼関係の中で、両国間の懸案についても率直に話し合ってまいります。とりわけ、在日米軍再編につきましては、安全保障上の観点も踏まえつつ、過去の日米合意などの経緯も慎重に検証した上で、沖縄の方々が背負ってこられた負担、苦しみや悲しみに十分に思いをいたし、地元の皆さまの思いをしっかりと受け止めながら、真剣に取り組んでまいります。

 また、現在、国際社会全体が対処している最重要課題のひとつがアフガニスタン及びパキスタン支援の問題です。とりわけ、アフガニスタンは今、テロの脅威に対処しつつ、国家を再建し、社会の平和と安定を目指しています。日本としては、本当に必要とされている支援のあり方について検討の上、農業支援、元兵士に対する職業訓練、警察機能の強化等の日本の得意とする分野や方法で積極的な支援を行ってまいります。この関連では、インド洋における補給支援活動について、単純な延長は行わず、アフガニスタン支援の大きな文脈の中で、対処していく所存です。

 北朝鮮をめぐる問題に関しては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案について包括的に解決し、その上で国交正常化を図るべく、関係国とも緊密に連携しつつ対処してまいります。核問題については、累次の国連安全保障理事会決議に基づく措置を厳格に履行しつつ、6者会合を通じて非核化を実現する努力を続けます。拉致問題については、考え得るあらゆる方策を使い、一日も早い解決を目指します。

 日露関係については、政治と経済を車の両輪として進めつつ、最大の懸案である北方領土問題を最終的に解決して平和条約を締結すべく精力的に取り組んでまいります。また、ロシアをアジア太平洋地域におけるパートナーと位置付けて協力関係を強化してまいります。

 先日来、私はアジア各国の首脳と率直かつ真摯な意見交換を重ねてまいりました。韓国、中国、さらには東南アジアなどの近隣諸国との関係については、多様な価値観を相互に尊重しつつ、共通する点や協力できる点を積極的に見いだしていくことで、真の信頼関係を築き、協力を進めてまいります。

 アジア太平洋地域は、その長い歴史の中で、地震や水害など多くの自然災害に悩まされ続けてまいりました。最近でもスマトラ沖の地震災害において、日本の国際緊急援助隊が諸外国の先陣を切って被災地に到着し、救助や医療に貢献しました。世界最先端レベルと言われる日本の防災技術や救援・復興についての知識・経験、さらには非常に活発な防災・災害対策ボランティアのネットワークを、この地域全体に役立てることが今後、より必要とされてくると思っております。

 東アジア地域は、保健衛生面でいまだに大きな課題を抱えるとともに、新型インフルエンザをはじめとした新たな感染症・疾病対策の充実が急務です。この分野でも、日本の医療技術や保健所を含めた社会システム全体の貢献など、日本が果たすべき役割は極めて重要です。

 文化面での協力、交流関係の強化も重要です。

 東アジアは、多様な文化が入り交じりながら、しかし、歴史的にも、文化的にも、共通点が多くあります。政治経済の分野で厳しい交渉をすることがあっても、またイデオロギーや政治体制の違いはあっても、民衆間で、相互の文化への理解や共感を深め合っていくことが、どれほど各国間の信頼関係の醸成につながっているか、あらためて申すまでもありません。

 今後、さらに国民の間での文化交流事業を活性化させ、特に次世代の若者が、国境を越えて教育・文化・ボランティアなどの面で交流を深めることは、東アジア地域の相互の信頼関係を深化させるためにも極めて有効なものと考えております。このため、留学生の受け入れと派遣を大幅に拡充し、域内の各国言語・文化の専門家を飛躍的に増加させること、そして、日中韓で大学どうしの単位の互換制度を拡充することなどにより、30年後の東アジアやアジア太平洋協力を支える人材の育成に、長期的な視野で取り組んでまいります。

 貿易や経済連携、経済協力や環境などの分野に加えて、以上申し述べましたとおり、「人間のための経済」の一環として、「いのちと文化」の領域での協力を充実させ、他の地域に開かれた、透明性の高い協力体としての東アジア共同体構想を推進してまいりたいと考えます。

地震列島、災害列島といわれる日本列島に私たちは暮らしています。大きな自然災害が日本を見舞うときのために万全の備えをするのが政治の第一の役割であります。

 また、同時に、その際、世界中の人々が、特にアジア近隣諸国の人々が、日本をなんとか救おう、日本に暮らす人々を助けよう、日本の文化を守ろうと、友愛の精神を持って日本に駆けつけてくれるような、そんな魅力にあふれる、諸国民から愛され、信頼される日本をつくりたい。これは私の偽らざる思いであります。

 日本は、140年前、明治維新という一大変革を成し遂げた国であります。現在、鳩山内閣が取り組んでいることは、言わば、「無血の平成維新」です。

 今日の維新は、官僚依存から、国民への大政奉還であり、中央集権から地域・現場主権へ、島国から開かれた海洋国家への、国のかたちの変革の試みです。

 新しい国づくりは、誰かに与えられるものではありません。現在の日本は、黒船という外圧もなければ、敗戦による焼け野原が眼前に広がるわけでもありません。そのような中で、変革を断行することは、先人の苦労に勝るとも劣らない大きな挑戦であります。

 つまずくこともあるでしょう。頭を打つこともあるやもしれません。しかし、後世の歴史家から「21世紀の最初の10年が過ぎようとしていたあの時期に、30年後、50年後の日本を見据えた改革が断行された」と評価されるような、強く大きな志を持った政権を目指したいと思っています。

 今なら間に合います。

 これまで量的な成長を追い求めてきた日本が、従来の発想のまま成熟から衰退への路をたどるのか、それとも、新たな志と構想力をもって、成熟の先の新たなる飛躍と充実の路を見いだしていくのか、今、その選択の岐路に立っているのです。

 私は、日本が正しい路を歩んでいけるよう、自らが先頭に立ち、国民の暮らしを守るための新たな政策を推し進めてまいります。

 私は、国民の積極的な政治や行政への参加を得て、国民とともに、本当の意味で歴史を変え、日本を飛躍へと導くために、全力を尽くしてまいります。

 国民の皆さま、議員の皆さま、私たちの変革の挑戦にお力をお貸しください。

 是非とも一緒に、新しい日本をつくっていこうではありませんか。

2009年10月18日日曜日

【配信記事】 報道・記事執筆の基本

1 <報道・記事執筆の基本>
2 正確さとスピード
3 誰のために書くのか
4 <見出し>
5 1. スナップ、見出しに使う記号
6 2.見出しの注意点
7 3.ニュースソースの表示方法
8 4.見出しの具体例
9 <記事本文(クオートなど)>
10 <引用文と意訳文>
11 <句読点と修飾語>
12 <接続詞、受身、繰り返し>
13 <用語ルール>
14 <マーケット記事について>
15 <記事の署名>
16 <インタビュー>
17 <調査記事のルール>
18 <スナップからUPDATEまで>

<報道・記事執筆の基本>

正確さとスピード

正確さをスピードのために犠牲にしてはならない。
もしロイターが正確な報道機関としての評価を失うことがあれば、全てを失うことになる。
記事の訂正に正直であるというロイターのポリシーは、正確さを期するという読者へのコミットメントである。
固有名詞や数字など典型的な訂正が出る場所を二重にチェックすること。記事は公平でバランスがとれているか、また記事の構成(書き方)も公平でバランスのとれたものになっているかを出稿する前に確認しなければならない。

記事の正確性とは、正しい事実をつかむことだけではなく、信頼できるソースによる事実の解説(意味付け)のバックアップが必要である。


誰のために書くのか

記事を実際に書くときはもちろん、取材のときも読者のことを考えなくてはならない。ロイターの読者とは、複数のメディアを使ってニュースをみている金融の専門家や、教育水準が高く、世界の情報や金融や政治に関心ある読者のことである。

スナップはターゲットとなる読者を念頭に配信するべきであるし、一部の記事は特定分野の読者向けだけに書かれるかもしれない。しかし、ロイターの記事は特定のマーケットや国を超えて読まれることがあると認識しなくてはならない。高いレベルの意味付けや背景を記事に入れることが必要になる場合がある。

読者が当該記事に関する話題に詳しいと想定して記事を書いてはならない。原則的にテクニカルな専門・業界用語は文中で説明することが必要である。

望ましい記事構成
I. 見出し:ニュースで最重要な情報、ソース
II. リード:全文の要約
III. サポート:リードを補完する詳細な情報
IV. クオート:ゴールデンクオートを追求。2行程度
V. コンテクスト:意味づけ(今後や他方面への影響、見通し、課題なども)
VI. バックグラウンド:追加的な情報

文章構成・各論

<見出し>

見出しは記事の内容全てを凝縮して伝える。最良の見出しを提供できれば、読者はその後記事を読む必要がないといっても過言ではない。32文字以内という制約の中で、要点を端的に表現するものでなければならないが、短ければ短いほど良いというものではなく、32文字を最大限に活用し、そのスペースに最大量の情報を盛り込む。


1. スナップ、見出しに使う記号
=  主語やニュースソースの明示  
─  ソースを2つ入れる場合(新聞の引用など)例:利上げする─FRB議長=新聞 「 」 抜き出して伝えることで意味付けを図るような場合カッコでくくる。製品名なども。( ) 統計のスナップで事前予想や過去の数字を入れる場合などに使う。 : 「こうみる」のほか、訂正、参照、ワッペンなどの場合のみ “ ”  原則として使わない。

2.見出しの注意点

見出しの数字は原則として半角、「GDP2次速報」や「M2+CD」といった数字も半角。但しG7など固有名詞は例外。見出しのアルファベットは全角。

長文は避ける。句点「、」を入れることで読みやすさを工夫する。「、」は一回のみの使用とする。

時期を明示している場合や将来に関することと明確にわかる場合には「へ」を付けない。

統計ニュースなどは数字を入れるのが基本。 例:×外国人保有比率が過去最高(半数なのか4分の一なのか程度がわからない)   ○外国人保有比率、最高の23.7%に

市場が注目している要人の発言はできるだけ正確に発言を伝えるようにする。ただし、わかりにくい言い回しや、言い換えたほうが発言趣旨を正しく使えることができる場合は記者が判断し言い換える。

感情的な表現や過剰な修飾語は使わない。 例:利益が劇的に上昇 「劇的」は感情移入が強すぎ、かつあいまいな表現。何を示すのか不明。劇的な上昇とはどのような上昇か、明確に示すことが必要。

主観的な形容詞は避ける。

利益など量は増加/減少、指数などは上昇/低下。   原則32文字(64バイト)以内、但しタグ([外為マーケットアイ]など)や固有名詞が長い場合は最大40文字(80バイト)までとする。


3.ニュースソースの表示方法

基本型 1)ニュースソースは必ず明示する。 2)ソースの位置は、情報源であれば見出しの末尾に置く。 例:経済は良好=官房長官 2)主語と情報源が同じ場合は見出しの冒頭におく。 例:トヨタ、設備投資を増額

ニュースソースもしくは主語はできるだけ、文頭に置く。特に本文やUPDATEの見出しではスナップの形にとらわれず、主語を冒頭におく構成を考える。

例:  ☓ 来年1月以降の国内線の運賃値上げを検討=原油高でJAL   ○ JAL、原油高受け来年1月以降の国内線運賃値上げ検討

企業の社長発言は、社長の発言=会社の計画というのが明らかなので「=社長」を除いてもよい。しかし「量的緩和解除を歓迎する=トヨタ社長」という場合は、社長の意見とも言えるので「トヨタ、量的緩和解除を歓迎」とするのは避ける。ケースごとに適切に判断する。

ニュースソースの表示として、「関係筋」「関係者」「市場関係者」は多用しない。特に「複数の市場関係者」という表現は大げさなので控えたい。複数のソースに確認することは原則として前提であり、あえて言う必要はない。

原則として「=」はソースを表示する。ただ、主語とソースが一致し、かつ複数の情報を見出しに盛り込む必要がある場合は、区切りとして=を使い、情報を加えることもできる。

ニュースソースについては、主語と同一の場合(企業の発表もの)、誰が(何が)ソースが明白な場合、常識的に判断できる場合は省略してよい。たとえば、官房長官の公式発表は政府の発表なので、その場合はソースを明示しなくてもいい。 例: ○ 首相、補正予算編成を指示 ☓ 補正予算編成を指示した─首相=官房長官

与党議員やぶら下がりでの発言はソースを入れる。 ○首相が補正予算編成を指示=公明党代表   同様に広報が発表した会社の正式コメントであり、=広報担当者とする必要はない。

テレビなど他のメディアのピックアップについては、発言がライブで放送されていれば見出しに出典を入れる必要はない。本文のなかではもちろん出典の言及は必要。ニュース番組などで生の発言ではなく、原稿で読み上げられた場合や、局の判断が含まれているような場合はソースを入れる。 翻訳物の場合、原文(速報含む)の見出しにTV、PAPERなどのソースがなければ翻訳記事の見出しには入れない。

[焦点]など分析記事や特集記事の場合はソースの表示に=をつかってはならない。

4.見出しの具体例

例えば、以下の例では主語がないため見出しだけでは理解不能。見出しを見ただけでも、その記事の内容・主旨がわかるように努める。

悪い見出し例:[焦点]外国人の買いで先物が午後急騰、景気底入れを確認         (どこの市場のこと?株?債券?)

ニュースソースと主語が一緒の場合は文の前に出すほうがすっきりする。特に企業ものでは、主語とソースが同一である場合がほとんどであり、主語は見出しの一番前にもってくるのが原則。

☓ 第3四半期ライセンス収入は予想上回る、通期予想も引き上げ=独BOBSAP ○ 独BOBSAPの第3四半期ライセンス収入は予想上回る、通期予想も引き上げ

ただし、そうでない場合もある。以下の場合では主語=ソースは後ろに持ってくるほうが望ましい事例。

☓ 財務相、為替介入を実施したと表明 ○ 為替介入を実施した=財務相

この場合ソースの明示よりも為替介入を実施したことが重要。見出しで何を前に出すかはケースバイケースで考えるべきである。原則はより重要な情報を前に持ってくるということ。

下の見出しは、文の主語ではないソースを前に持ってきた結果、意味が混乱したケース。「見通し示す」という述語を入れたため、冗長さも増した。   ☓ 訪朝した米州知事、北朝鮮が11月初めに6カ国協議に復帰との見通し示す ○ 北朝鮮、11月初めに6カ国協議に復帰の見通し=訪朝した米州知事

「・・・で」はなるだけ使わない。「で」を使うと、見出しの内容を理解するために再び文頭に戻らなくてはならない。できるだけ避けるべきである

☓ 振れないリーダーシップ、覚悟と決意もった人=首相後継像で自民幹事長 ○ 次期首相像、振れないリーダーシップや覚悟と決意もった人=自民幹事長   ただし、以下のような例では、「で」を使った方がわかりやすい。

○ 為替はファンダメンタルズを反映し安定的に推移することが望ましい=円安で財務相 ☓ 円安、為替はファンダメンタルズを反映し安定的に推移することが望ましい=財務相

大原則は、より重要な情報を前に持ってくること。

☓ 衆院特別委で政治改革法案が与党の賛成多数により可決、きょう衆院通過の見通し ○ 政治改革法案を与党の賛成多数で可決=衆院特別委 ○ 政治改革法案を衆院特別委で可決、きょう衆院通過の見通し

上記の場合、重要度は、政治改革法案(何が)→可決(どうした)→衆院特別委(どこで)→きょう衆院通過の見通し(今後は)→与党の賛成多数(その他の情報)の順になる。

スナップ(見出し)は正確さとスピード優先。早く出すべきなので、内容を必要最小限にとどめる。

衆院を解散=小泉首相

これ以上の情報は最初のスナップ見出しには必要ない。ただしUPDATEでは記事内容だけでなく、見出しにも情報を追加する。

例:UPDATE1: 首相が衆院を解散、総選挙の投開票は9月11日

分析や企画記事など長文の記事には小見出しを入れる。単語を入れるのではなく、その段落の要点を簡潔な見出しとして記す。

<前文(リード)>

前文には、記事の主要構成要素を全て盛り込むことが原則。見出しにした内容は必ず入れる。前文の長さは、記事の種類にもよるが、一行40文字で、3─5行程度が望ましい。長すぎる前文はニュースのポイントが不明確になる。言い換えれば、何が重要なニュースで、何を率先して伝えるべきかをしっかり決めた上で前文を書く。

前文に入れるべき要素とは「5W1H」。すなわち、

主語  (WHO) • 出来事 (WHAT) • 時間  (WHEN) • 場所  (WHERE) • 理由  (WHY)    • 方法・手段(HOW)

前文には、必ずそのニュースが重要性あるいは意味合いを示す表現を入れること。過去最大、戦後初、三年ぶり、など。そのためには当該ニュースに関連する過去の数字や動きなどをチェックしておくことが必要。ただし、経済指標や決算数字を羅列すると読みにくいので、これは避ける。

閣僚発言などを報じる場合は、前文に直接クオートを入れることも可能。これによって、それに続く本文で引用が重複することを避ける。特に、為替など金融市場に関する発言で、実際の言葉遣いが相場に影響を与える可能性がある場合は、前文に「 」で直接引用する。ただし、その場合は、発言の意味するところを簡潔に地の文で示す努力を怠ってはならない。UPDATEでは、そのダイレクトクオートが意味するところを地の文でできるだけ示す。

ニュース分析や企画記事などは、ニュースの第一報を繰り返すことはできるだけ避け、書くべき要点を前文でしっかりと表現する。文章も、読者がそれに続く本文を読みたくなるよう、冗長にせず、表現を練ること。


<記事本文(クオートなど)>

無意味なダイレクトクオート、5行以上もあるような「・・・」は避けて、「Golden Quote(最も価値のある言葉)」を引用する。コメントの引用は正確に行う。これは曲げられない原則だが、引用が長すぎると、記事は冗長になり、読者に与える印象は悪くなる。日銀総裁など市場に大きな影響を与え、その微妙なニュアンスまで伝えることが必要な人物の発言は別として、エコノミストやアナリストの引用は、簡潔に、重要な部分だけを取り出し、他は地の文で書いたほうが読みやすい。

*クオートの羅列は避ける 例:○○は「・・・・・・」と述べた。また××は「・・・・・・」と語った。一方△△は「・・・・・」との見方を示した。

これは読みにくい。この場合は、全体の状況、つまり意見がどのように分かれているか簡潔にまとめた上で、引用の数を最小限にとどめる、などの構成が必要。

引用すべき内容は、その人物の意見や判断を示す言葉であって、指標がどうだった、というような単なる事実関係は引用としては書かない。事実関係は地の文で、理由や裏側、判断や見通しの部分をクオートにするという原則を頭に入れる。しかし、事実関係であっても、その人物しか知りえない内容や一般には公表されていない事実であれば、クオートにいれてもかまわない。

長すぎるクオートは避ける(最大でも3行程度)

<引用文と意訳文>

一般的にいって情報源が事実関係について述べている場合には意訳文がふさわしく、情報源が理由を述べたり、感情を表していたり、判断を下しているような場合には引用文が適切である。
☓ 「選挙で勝利を収めた党の党首らを招集し、連立政権設立に向けての話し合いを月曜日にも始めたい」とABC党のウイニング党首は述べ、ABC党の圧勝は彼らが掲げる反移民政策が国民に指示されたことの証であるとした。

○ 「今回の圧勝は国民がわれわれの反移民政策を支持していることの証である」とABC党のウイニング党首は述べ、選挙で勝利を収めた党の党首らを招集し連立政権設立に向けての話し合いを月曜日にも始める意向を示した。


<句読点と修飾語>

必要のない句読点は、文章の意味を変えてしまう場合があるので、避けなければならない。

語句の列記や箇条書きには読点を打つ。   例:名誉も、地位も、家庭も捨てるつもりか。   例:日本は1)3カ月の参入延期、2)通信販売解禁、3)保険自由化の拡大──などの譲歩案を示した。

誤読、難読を避けるため読点を使う。   例:晴れた夜、空を仰ぐと・・・   例:衆議院農林水産委員、長谷川四郎氏は・・・(漢字やひらがなが続く場合)      例:☓ ECBは利下げ議論、必要ない=オランダ中銀総裁   例:○ ECB、利下げを議論する必要ない=オランダ中銀総裁

「」前の助詞や動詞の後    例:小泉首相は15日の閣議で「次回サミットは・・・」と述べ・・      =「閣議で」と「次回サミット」の間にテンは不要     ☓ 首相は、「・・・」と述べた。     ○ 首相は「・・・」と述べた。     ☓ 市場参加者によると、「相場は相当に強い」、という。     ○ 市場参加者によると「相場は相当に強い」という。     ☓ 市場参加者によると、相場は相当強い、という。 ○ 市場参加者によると、相場は相当強いという。

ひとつの文章で形容詞・節を2つ以上つけるときは、意味合いに注意する。

悪い例:白い夕日で染まる花 白い夕日なのか、白い花が夕日で染まっているのかわからない。 長い形容詞・節は先に持ってくるというのが原則 改善例:夕日で染まる白い花

「・・・したもの」という表現は原則使わない。他メディアでもほとんど死語。

「豪華なスペース」「やすらぎのある空間」など過剰な修飾語は使わない(特に新製品発表のような記事で)。どうしても必要と思われるような場合は、地の文ではなく「」に入れ、あくまでも当事者(企業など)が、そう主張していることをハッキリさせる。  

<接続詞、受身、繰り返し>

接続詞はできるだけ使わない。 使用禁止:「こうしたことから」「ここにきて」 使わない努力を:「そのうえで」「このため」「これについて」「これに関し」「このように」 最小限に:「また」「さらに」「ただ」「もっとも」

前置きと繰り返しに注意。 「・・・とするなか、」=背景説明が付くことで文章が長くなる 「・・・と述べた。・・・と述べた。・・・と述べた」=繰り返しは読みにくい。 「・・・という。・・・という。・・・という」=間接話法の多様は避ける。


受身的表現は避ける。客観性を担保しようとして受身表現を多用すると、文章が冗長になるだけでなく、文意が婉曲的、間接的になり、報道責任を回避している、あるいは記者が逃げ腰になっている、という悪いイメージにつながりかねない。

☓ 10月10・11日に行われた金融政策決定会合では・・・・ ○ 10月10・11日の金融政策決定会合では・・・・ ☓ 「・・・と強く懸念されていた」 ○ 「・・・との強い懸念が出ていた」   ☓ 「・・・との指摘が聞かれている」 ○ 「・・・との指摘があった」「・・・との指摘が出ていた」   ☓ 「・・・といった売り物も観測されたという」 ○ 「・・・といった売り物もあったという」   ☓ 「・・が強まる可能性が指摘されている」 ○ 「・・が強まるとの見方が出ている」   ☓ 「・・・との声が聞かれた」 ○ 「・・・との声が出ていた」「・・・との声があった」


<用語ルール>

時間・期間 • 年は西暦(2005年)、元号(昭和・平成)は使わない。 (ヒント)平成12年=2000年が基本。 平成年から12を引くと西暦になる。 例:平成17年=05年 昭和は25を足すと西暦になる。   例:昭和60年=1985年

決算の中間期は上期・下期。(注)共同ハンドブックでは上半期・下半期となっているが、上期・下期に統一する。(意味は同じで1文字分のスペースを節約)

四半期決算は「第1・四半期」と中黒「・」を入れて表示。ただし見出しでは字数節約のため「第1四半期」と中黒を除く。

前年の同じ期間と比較するときは「前年同期比(もしくは前年比)」、直前の期と比較するときは「前期比」。

時間の表現:原則記事中は、午前/午後で表示。30分は「半」。24時は午前零時、12時は午後零時。昼の12時00分は正午。マーケットアイや行事予定は24時間表記とする。

記事の文中では日付表記が原則。前日、前月などは使ってよい。「きょう」「あす」「先週」「先々週」などは使用禁止。先週末ではなく前週末とする。

見出しでは「きょう」と「あす」をできるだけ使用する。これらが使える場合、日付は使わない。しかし、「おととい」「あさって」「しあさって」は使用禁止。

見出しについて、日時を示す表現がある場合は未来形を示す「~へ」は使用しない。 例: 首相あす衆院解散 (衆院解散へ、とはしない)


増減の表現 • 量が変化するものは増減、比率が変化するものは上昇・低下。

数字の変化については、見出しは「+-」、本文中は「プラス・マイナスもしくは増減・上昇/低下」で表示。

マイナス記号「-」の見出しは全角ハイフン。本文中は減少/低下と表すが、1─3月期のような場合は、「よこ」と打って出る記号を使用。それ以外は文字化けするので注意。

その他の注意 • 送り仮名などは「共同記者ハンドブック」に準拠。   • 翻訳略語は()内に英語の翻訳略語を入れる。 例:「国内総生産(GDP)」、「政府短期証券(FB)」  例外:GDPデフレーター 国内総生産(GDP)デフレーター、とはしない。 • 「○ヶ月、○ヶ国」ではなく、「○カ月、○カ国」。「カ」はカタカナ大文字。 • 「“”」は使用不可。「」内にもうひとつ「」を使いたい場合は『』(二重カッコ)を使う。 • 空欄は原則記事内に使わない。「・」中黒を使用するようにする(例:HD・DVD)。ただし、「こうみる」の見出しで会社名と名前の間だけは空ける。また会社名で空欄がある場合はそのまま使用する。例:ジャパン インターナショナル  例:日銀こうみる:利上げ確実=ロイター証券 山田氏

「総理」ではなく「首相」。「財務大臣」ではなく「財務相」(他の閣僚も同じ)。

「イギリス」ではなく「英国」。

氏名の表記は、記事中で最初に言及する場合、日本人、外国人ともフルネーム表記を原則とし、二回目以降の言及は苗字だけとする。日本企業の外国人社長などの氏名も日本人名と同様にフルネーム表記とする。

例外として、市場リポートでの表記は日本人、外国人とも同様に苗字と肩書きのみでも可。外国人名は、特定できる立場、肩書きのある人で慣例としてフルネームにしてない人についても、苗字のみで可とする。(例:ブッシュ大統領、ブレア首相など。) ただし、外国人でも、中国、台湾、韓国人など氏名が漢字表記の場合はフルネーム表記とする。

アルファベット(GDPなど)は見出し、本文ともに全角。ただし、翻訳などで、読み方がわからない外国の人名や地名、社名を原文表記のまま使うは半角とする。全角表記はスペースをとるため。

「その上」ではなく「そのうえ」。「その中」ではなく「そのなか」。ただし「そのうえで」はできるだけ使わない。

為替の表示:「ドル/円」とすればドルが主語。ドルの対円レートになる。

経済指標などの表示:原則は、年・月→国→当該指標 例:5月の中国CPI、例:5月全国消費者物価指数・・=総務省

金利の変化の表示については、誤解を招かないような場合(FRBの利上げとか)には0.25%の引き上げとしてよい。ただし報道頻度が比較的少ない(政策)金利などについては0.25%ポイントもしくは25ベーシスポイントとする。

FRB:米連邦準備理事会(FRB)と表示。「制度」は入れない。FEDも使わない。

非上場企業の場合、原則として本社所在地を()のなかに入れる。 

「○名」ではなく「○人」。

銀行の融資先を数える表現などに使われる「…先」という言葉は、基本的に「…社」もしくは「…企業・機関」に言い換える。

大台乗せ、水準割れなどを書く場合は、数字を丸めないで正確に表現する。「49.9%」を「50%達成」、「9999億円」を「1兆円乗せ」などとしてはならない。   • 国債入札時における応札倍率:1)原則は小数点第3位を四捨五入し、小数点第2位までを表記、2)四捨五入によって1の位の数字が変わってしまう場合には、特例として大台が変わらない範囲まで小数点以下の数字を並べてもいい(大台が変わることで、イメージ上、誤解を受けやすくなる懸念があるため)。 例:4.9972ならば、4.997倍 例:4.9999972ならば、4.999997倍


<マーケット記事について>

マーケット記事は、市場参加者のプロフェッショナルなニーズに応える専門性を維持する一方で、当該市場以外の金融市場参加者や一般読者にとっても読みやすく、わかりやすくなるよう、できるだけ平易な文章と用語を使うよう心がける。

専門的な情報が盛り込まれた記事と、読みやすい平易な表現の記事は両立する。専門用語と業界用語は区別し、業界用語はできるだけ使わない。

オプション市場やスワップ市場、クレジット市場など専門性の強いマーケットのレポートにおいても、専門用語に枕詞やカッコを使って説明を付けたり、その言葉・文章が意味する相場の動向を付け加え、よりわかりやすくする。

コメントを直接引用する場合、そのままの表現でわかりにくい場合は、書き方を工夫し、必要に応じて説明を付ける。

言い換え事例 (以下は実際にあったケース) • 「ストップ・ハンティング」→「ストップロスをつけに行く動き」 • 「ユーロ/ドルが前日海外市場安値(1.2064ドル)を割り込む形でギブンされ」→「~を割り込む形で売り込まれ」 • 「ビッド地合い」→「買われやすい地合い」 • 「こうした動きが散見され」→「こうした動きが一部にみられ」 • 「1月31日エンドのXXで0.009%ヒゲ」(クレジット市場)→「1月31日期限のXXで0.009%台程度」。 • 「103.65円付近の安値を示現した」→「103.65円付近の安値を付けた」 • 「年越えについても、次第にプレミアムがはげ落ちていく」→「プレミアム分が縮小していく」 • 「イールドカーブは5─7年ゾーンでへこみ気味で推移」→「・・ゾーンでやや低下して推移」 • 「135円を割り込んで午後寄りした」→「午後の9月限は135円を割り込んで寄り付いた」 • 「ビッド水準から一段甘くなっている」、マーケットでよく出てくる用語「甘く」。その対象により、上昇を意味したり、拡大を意味したりする曖昧な表現なので、使用の際には注意する。 • 商い薄→薄商い • 「ヘッジ売りが踏まされた」→「ヘッジ売りをしていた向きの買い戻しを誘った」 • 「余資つぶしの・・・」→「余資運用の・・・」 • 「平準バイヤー」→「定期的に買いを入れる平準バイヤー」 • 「輪番オペ」→「国債買い切りオペ」


<記事の署名>

記事署名スタイル ※(ロイター日本語サービス 山田太郎 ロイターメッセージング:taro.yamada.reuters.com@reuters.net Eメール:taro.yamada@reuters.com 電話:03-5x73-3741)

上記のスタイルで冒頭の表と本文の間にバイラインを入れる。文末にも名前と連絡先をつける。「インタビュー」「BOJウォッチャー」「兜町ウォッチャー」「永田町ウォッチャー」「情報BOX」には冒頭のバイラインはなし。文末には名前と連絡先を入れる。

複数記者の合作の場合は、中心となる記者ひとりを上記のとおりとし、文末に名前と連絡先を入れる。企画に関与した記者名は取材協力あるいは編集協力として名前だけをつける。中心の記者が特定できない場合は、冒頭のバイラインはいれず、文末に名前を並べる。

翻訳記事は、従来どおり原文筆者と翻訳者(場合によっては編集者)の名前と連絡先を文末にいれる。

SLOTが署名するケース • 焦点、アングル、検証などのフィーチャー記事には、スロットの名前を入れる。 • スポット記事のUPDATEでも、記事に大きく編集を加えた場合は入れる。 • 市場レポートには原則入れないが、SLOTが大きく手を入れた場合は入れる。

例:※(ロイター日本語ニュース 山田太郎 編集協力:鈴木一郎 ロイターメッセージング:taro.yamada.reuters.com@reuters.net Eメール:taro.yamada@reuters.com 電話:03-5x73-3741 編集:田中誠)


<インタビュー>

質問は分の冒頭を一字空け、──を付けて書く。棒線は“ヨコ”と入力し変換、2つ続ける。最後はマル、改行して一段落空ける。答えは一字あけてカギカッコでくくる。 <例> ──量的緩和の解除時期は。 「わかりません」 ──量的緩和は効いたのか。 「市場の安定を図った効果はあった。お金が当座預金残高にジャブジャブになることで、デフォルトリスクは消滅し、金融システムへの不安を和らげる効果はあったのではないか」

<調査記事のルール>

回答数が10以下の場合は「POLL」(ロイター調査)は付けない。 • 回答数100以下の場合はパーセンテージを使わず、実数を書く。 • 100以上の場合はパーセンテージを優先する。実数は必要に応じて入れる。票には必ず実数を入れる。

補足ルール 1) 100以下の回答でも50以上であれば、まず実数を書き、その後にカッコでパーセンテージを入れる。 2)50未満は実数のみで、パーセンテージをいれない。

よくある質問 1、ロイター企業調査は回答数が質問によって50を割れる可能性もあるが、以下の場合どう対応するのか?

例: 回答企業80社のうち、42社がゼロ金利解除は年内にあると回答、38社が年内にはないと回答。解除が年内にあると答えた42社のうち、3社が6月中に、24社が7-9月に、15社が10-12月にあると予想した。

回答:このケースでは、全体の回答数が50を上回っており、日本語ニュースの補足ルールのうち、1)が適用される。以下は記事例。 

記事: ロイター企業調査によると、ゼロ金利解除について解答をよせた80社のうち、42社(52.5%)がゼロ金利は年内に解除されると予想、38社(47.5%)が年内解除はないと予想した。年内の解除を予想した42社のうち、3社が6月中、24社が7-9月期、15社が10-12月期の解除を予想した。 

2、回答数が100以下の調査で、かつ50以上の場合、速報では%は使えないのか?

 例: 有効回答数が合計65で、望ましい首相は誰かとの回答が以下の通りだった場合。安倍晋三氏45、福田康夫氏18、麻生太郎氏1、その他1

回答:日本語ニュースの補足ルールは記事本文に適用されるルールで、速報もしくは見出しでは、ロイタールールが適用される

 例: 安倍氏が65人中45人、福田氏が18人

 なお、回答数が50未満の場合は、本文も実数のみの表記となる。

3、GDPや短観等の最重要指標発表前は、新聞に先がけて民間調査機関の予測を数社程度でまとめるが、その場合[ロイター調査]や[指標予測](いずれも英語で[POLL])のワッペンをつけてよいのか。

回答:10以下であればロイタールールが適用され、[ロイター調査]や[指標予測](いすれも英語で[POLL])のワッペンをつけず、ストレートニュースの形式で記事化する。

4、外資系証券などのリポートによくあるケースですが、回答数が50未満の調査に対しても、ヘッドラインや本文で%表示が付いている調査リポートがほとんど。このケースでの記事のスタイルにもロイタールールを適用するべきか。

回答:ロイタールールは、ロイターの調査が対象となる。外資系のリポートを記事化する場合は、リポートに書いてある通りに記事化する。


<スナップからUPDATEまで>

スナップ 文字数は見出しと同じく原則32文字、最大40字。ソースは原則入れる(定例の会社発表など自明な場合は不要)。企業のスナップにはカンパニーIDを付ける。一回のスナップでチェーン化して打てるのは19本まで。

スナップの目的は読者に最重要な情報を入れた事実(FACT)をいち早く伝えること。そのニュースが1)市場を動かす、2)顧客の判断に影響を与える、3)国際的な関係に重要な意味がある──と記者が判断できるときスナップを打つ。重要な情報が複数ある場合はチェーン化して複数本スナップを打つ。

スナップはニュースジャッジメントの質が問われる。あとでなぜスナップを打ったかという理由が付けられないような事実・情報はスナップすべきではない。スラングやJARGON(業界用語など)は、それを使うことが意味のある場合を除いて使用してはならない(入れる場合はカッコにくくる)。

ニューズブレーク スナップを打った後は、速やかにニューズブレークを付けてスナップの情報を補完しなくてはならない。ニューズブレークはスピードが命。スナップを打ってから5分以内に付けるのが原則。最大でも10分以内には付けること。

スナップと同じストーリーナンバーを付けること(原則SLOTが行う)。メッセージタイプはS(Rだと上書きされスナップが消えてしまう)。企業ニュースはヘッダーにカンパニーIDを入れる。持ち株会社の傘下の企業などについては、記事検索できるよう親会社のリックを「隠れリック」として入れる。

市場に大きな影響のあるようなニュースはUPDATEでフォローする。ニュースが予期されていないような突発的な場合は2パラグラフ以内におさめる(早く出稿するということ)。非常に複雑なニュースでバックグラウンドの記述が必要であったり、重要なクオートがあったりする場合は3パラグラフになってもよい。可能であれば事前にバックグラウンドを準備しておいて、スナップギャップを短くすること。

ニュースの状況説明がニューズブレークの目的。5W1Hをおさえ、マーケットに大きく影響しそうな情報は全て入れる。重要な情報がニューズブレークに入れられていれば、チェーン化して打ったスナップの情報全てをニューズブレークに必ずしも入れなくてもよい。その際はUPDATEでフォローする。


UPDATE

見出しの冒頭にはUPDATE1: とつける(全て半角、:の後は半角スペース)。UPDATE1はニューズブレークから30分以内が原則。マーケットリポートでもファーストテイクから30分以上経過した場合はUPDATEにするのが基本。

内容には1)意味づけ2)クオート、フォワードルッキングな切り口などを盛り込む。UPDATE2以降は新たな情報を入れて更新する。

2009年10月7日水曜日

【八ッ場ダム関連】 メモ:雑感

 以前私は自分が発行するメールマガジンで姉歯事件を取り上げた際、建設省(現国交省)のキャリア官僚と喧嘩して仕事を失ったいきさつを書きましたが、そのときの仕事、実は八ッ場ダムに関連する仕事でした。

 ダムで水没することになる、観光業を営む住民の移転先として候補に上がっていたスキー場が、生活を支えるのに足る観光的ポテンシャルを持っているかどうかの調査だったのです。

 国交省の仕事であるにもかかわらず候補地が国有林の中にあったので、今いろいろ物議をかもしている林野庁傘下の特殊法人を経由して私の友人の元に仕事が来ました。

 つまりその仕事は国交省から特殊法人に出され、そこから友人の会社に丸投げされたわけです。

 友人を含んだ我々(実働は5人)は視察ということで日本全国のスキー場でスキーをし、温泉に入り、おいしい食事を楽しみ、それなりの報告書を作成して常識を上回る報酬(元請段階で数千万円)を手にしました。

 一言で言えば、文字通りおいしい仕事だったわけです。

 その仕事で調査をしている最中には、来年度は海外のスキー場の視察を申請しよう、という話で盛り上がり、特殊法人の幹部職員達はその際には俺達も一緒に行くと宣言していました。観光地の視察だからラスベガスも入れよう、などとまで話していたのです。

 もちろん特殊法人の面々は調査の仕事には一切かかわりません。

 翌年の仕事は前述の私の不始末で消えてしまったのですが、テーマが何であれしかるべきスジを介して申請すればそのまま通り、請求どおりの巨額な調査費が入る、という雰囲気でした。

 無駄をなくせば財源は出ると民主党が言うと、麻生元首相は「自民党も削れるところはとことんまで削った。無駄などない」と語っていましたが、それを聞くたびに笑っていました。これを無駄と言わずに何が無駄なのでしょう。

 国交省とすれば、ダム建設反対の住民運動などは痛くも痒くもありません。運動が盛り上がれば盛り上がるほど多くの住民対策費が入るのですから。

 ダムを完成させることより、国の金をより多く使うことを使命とする官僚にとって、57年という長きに渡って多額の予算を国の財布から引っぱり出し続けた八ッ場ダムはまさに金の卵を産むガチョウだったことでしょう。

 さて、移転先の可能性調査などというローカルな仕事(我々は移転先として問題はないと言う結論を出しましたが、立ち消えになりました。最初からその土地への移転希望者などなく、調査のためだけの調査だった可能性さえあります)に多額の予算を使った国交省が、さまざまな理由で直接であれ間接であれ住民に配った額がどれほどになるかは普通の感覚を持った人なら容易に類推ができます。

 それこそ折につけては手厚く扱ってきたことでしょう。その最後の厚遇がダムの竣工まで続くはずでした。

 一方、ダム建設中止に反対している住民の言いたいこと、今ひとつピンと来ないと思っているのは私だけでしょうか。先祖の墓まで移設したなどと語っていますが、それと完成させて欲しいという主張とはどうつながるのでしょう。道路も完成し、新しい家も作ることが出来て、しかもふるさとの自然が残るのならご先祖様も納得すると思うのですが。

 何度も足を運んだ吾妻渓谷はすばらしい景観を持っています。ふるさとではなくても残したいと思います。ましてそれがふるさとである人たちが、ダムの底に沈めてもらいたいなどと思うでしょうか。

 前原国交大臣の視察に際し、中止ありきの視察なら会う必要がない、と言って住民側は話し合いの場への出席を拒否しました。

 ダムの建設反対で使い続けてきた戦術でしょう。話し合いを拒否するたびに何らかの成果を勝ち取ってきた歴史があるのかもしれません。

 しかしそれは建設反対と言う立場で初めて意味を持ちます。建設中止に反対の立場で話し合いを拒否しても、話はぴたりと止まってしまい、何の進展も望めません。まして話し合いを拒否することによって建設が始まるはずがありません。

 止める立場で有効だった戦術が推進する立場では自らの首を絞めることになるのです。

 建設中止の立場にある住民が今やるべきことは、建設中止が前提であろうとなかろうと大臣を話し合いの場に引っ張り出し自分の主張をぶつけることではないでしょうか。

 そんな当たり前のことも分からなくなるくらい、これまで厚遇されてきたのではないか、と私は思ってしまいます。
 もちろん住民の方々を悪く言う気はありません。明らかに被害者だからです。

 先祖から受け継いできた土地で営んできた観光が、ダムの建設問題で揺れ動き、振り回されて観光どころではなくなり、気がつけば建設省の援助がなければ暮らしさえもおぼつかなくなるところまで追い込まれた結果が、ダム建設中止反対なのです。

 逆側から見れば、住民を脅し、賺(すか)し、追い詰めて生活そのものを破壊した後に援助の手を差し伸べ、援助なしでは生きて行けなくしたうえで掌中に抱き込もうとするのが彼らの手です。

 悪いのは反対運動でさえ予算獲得の材料にし、住民をもてあそんだ国交省の官僚とかつての長期政権です。

 友人に頼まれ軽い気持ちで手伝ってしまいましたが、八ッ場ダムの報道を見るにつけ、複雑な気持ちになります。  

2009年10月2日金曜日

【財政再建】 日経(見逃されている巨額の財源)

1 官から民への資金の流れは止められない

 現在、日本の家計部門のネットの金融資産は、ほぼ全てが国に吸い上げられています。それが政官の無駄な経費や、費用対効果の小さい公共事業などに使われてきた結果、過去長期にわたって国内総生産(GDP)や家計部門の金融資産が増えないことにつながりました。これに対し民間企業は、いかに効率的に資金を使うかというROE(自己資本利益率)など指標の良しあしで世界の投資家から評価を受けています。民間のお金を民間に回すことは、限られた資金を国全体で効率的に運用することになります。

 すなわち、家計部門の金融資産を官から民へ誘導することが、経済の活性化に大きな役割を果たすことは明らかです。

 ところで、約1400兆円の家計部門の金融資産のうち、公的部門が預かっているお金だけを取り出しても、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に約122兆円、ゆうちょ銀行(郵便貯金)に約180兆円、かんぽ生命は102兆円(出所:2009年日本郵政グループディスクロージャー誌)と、合計で約400兆円以上にのぼります。では400兆円をどう運用しているかを見ると、GPIFでは財政投融資を合わせて86兆円を国債をはじめとする国内債券、ゆうちょ銀行は162兆円を国債・地方債、かんぽ生命は74兆円を国債・地方債で運用しています。合計で80%以上に相当する約322兆円を国債・地方債で運用しているのです。さらに民間とはいえ公的色彩が強い企業年金にも100兆円預けていますが、これも50~60%が国債で運用されていると考えられます。こうした公的部門は、国民の金融資産を吸収して、国債・地方債を消化する機関になってしまった感があります。こうして資金を得た国が、先述のような非効率な運用を続けた結果がここ10年の低成長経済でした。

 いわゆる小泉改革には賛否両論があると思います。特に郵政民営化についての再検証は必要でしょうが、少なくとも民営化によって郵便貯金や簡易保険で集めたお金を民間に返すという視点に限っては、極めて正しいと考えてます。この流れを加速し、公的年金や企業年金の運用も民間企業への還元に回るようにすることこそ、今の日本に最も必要なことだと思います。民主党は政官のもたれ合いによる無駄を省くとの視点を持っているようですが、そうであれば、貴重な国民の金融資産が、国債・地方債を通して安易に無駄な支出に充当されないようにして、国の非効率な予算の膨張を止めることから始めるべきです。

民主党政権になった今こそ、金融経済対策と国民の生活再建のために直ちに見直されて良いものだと考えています。

 厚生労働省の09年度の公的年金の財政検証では、名目運用利回りの目標は4.1%となっています。その前提となる経済状況は物価上昇率1.0%、名目賃金上昇率2.5%となっており、それで現役時代の所得の50%を達成(所得代替率50%)するとしています。目先の経済状況はデフレを脱し切れていないため、これらの前提は保守的なものに見えますので、この経済環境なら4.1%の運用利回りを守る必要はないとの議論もあり得ますが、国債の大量発行が続き、長期的なインフレ懸念が強い中、長期的に見た場合、財政検証の数値が誤りだとは言えません。したがって4.1%という目標は最低限守るべき水準と考えられます。ちなみに前提条件はやや違いますが、日本と同様に成熟社会である欧米諸国でも名目運用利回りの目標値は日本よりはるかに高く設定しています。例えば米国は5.7%(07年信託基金報告書)、カナダは6.8%(04年第21回レポート)、英国では6.0%(00年国民保険基金長期財政見通し)です。日本は06年まで3.2%が目標で、現在は4.1%ですので、これらの諸国より相当に低い運用が許されてきたといえそうです。

 この目標利回りが長期的に達成できない場合、他の条件が一定ならば、当然所得代替率50%は維持できません。長期の話ですので、単年度でこの目標利回りを達成しなければならないということではありません。事実、公的年金の市場運用は07年度が約5兆8000億円、08年度が約9兆7000億円の巨額の赤字となり、今年度第1四半期は株式市場の上昇によって4兆5000億円の黒字に転じました。しかし、収益の絶対額だけではなく、この振れ幅(ボラティリティー)自体もコントロールしていかなければなりません。公的年金運用手法の改善は国民の老後の生活を考えた場合に、一刻を争う課題となっています。

(2)公的年金運用の状況

 現状、公的年金の運用比率は下記の通りです。

・国内債券 70.72%(市場運用51.10%+財投債19.62%)
・国内株式 11.28%
・外国債券  8.35%
・外国株式  8.76%
※09年度第1四半期運用状況より

 GPIFの資産規模は世界の年金基金の中でも圧倒的に大きいことから、マーケット規模の大きい国債での運用が多くなることはある程度自然であると思います。しかし、国債が大量に発行されている中、国債などの債券の価格も将来の(下落方向への)変動が懸念されており、その状況によっては他の運用にも制約をき来たすことになります。そもそも、低利回りの資産を長期に運用する状態が継続すれば、目標運用利回りとの比較で恒常的な逆ザヤになりかねません。

(3)公的年金の運用をPEファンドに向けることの意義

 公的部門が預かる家計部門の巨額の資金を国が吸い上げて非効率な支出に充当されていることがそもそもの構造的な問題です。その典型例が公的年金の運用状況だと考えます。 国内産業の視点に立つと、現状の公的年金の運用では肝心の国内企業に資金が回っていません。すなわち、国内株式での運用は全体のわずか11%程度に過ぎず、後は国と海外企業に資金を回しているのです。

 さらに国内企業にカネが回っている部分についても、年金には自ら企業価値を向上させる機能はないため、せっかくの資金に規律が効かない形になっています。これに対しPEファンドは「ハンズオン」と呼ばれる積極的な経営関与によって、企業価値向上、ひいては経済社会の効率化や活性化、イノベーション(技術革新)の創出といった効果をもたらすことが知られています。仮に年金資金がPEファンドに流入し、PEファンドが企業に投資する形態を取れば、規律が効いた形で企業の再生や価値向上を図り、結果的に日本経済全体に好影響が出てくるでしょう。

 米国においては、年金基金からPEファンドへの投資は極めて活発であり、PEファンドにとり最大の出資者層となっています。米国では1990年代以降のIT(情報技術)革命にPEファンドの一形態であるベンチャーキャピタル(VC)が大きな役割を果たしたことに疑問の余地はありません。米国ベンチャーキャピタル協会の資料によれば、08年時点で上場している企業のうち、過去にVCに支えられた企業から以下の事実が見受けられます。

・米国での雇用規模が延べ1100万人にのぼる
・総売り上げ規模は2.9兆ドルにおよぶ
・売り上げ総額は米GDPの21%に相当する
米国Private Equity Councilによれば、2000年代の産業再編を先導したPEファンドは、企業経営の効率化を達成しながらも全体として雇用を増加させています。つまり以下のようなことが言えます。

・10社のうち8社のPEポートフォリオ会社においてPE投資後に雇用が維持あるいは創出されている
・米国のPEファンドが取り組んだ大型案件において、米国内での雇用が02年から05年に掛けて13%伸びた。同時期の全ての米国大企業の雇用増加は3%程度であったことを勘案すると、PE傘下の大企業の雇用増加率は突出している
・投資時点から2年の間に、投資対象となったそれぞれの業界平均を6%上回る雇用創出実績を残している

 この10年の日本は、GDPも家計部門の金融資産もほとんど増えていません。国が家計部門の金融資産を吸い上げて非効率な支出に回してきたためです。この資金の一部でもPEファンドに回し、企業経営を効率化するとともに、雇用創出を伴う経済活性化に役立てることが非常に重要です。また、目先の経済環境に鑑みれば、PEファンドが経営不振企業の再生や再編を担っていくことこそ、何よりも必要な政策のはずです。

3 PEファンドへの投資は高リスク運用か

 ここまで読んで、公的年金の運用方針を改善し、PEファンドに資金を振り向けることの重要性はご理解いただけたものと思いますが、実現に向けては、まだ大きなハードルが残っています。それはPEファンドに対する誤解です。

 政官の両方に大きな誤解があると思うのは「国民の大事な資産をPEファンドのような高リスクの運用に回すなどとんでもない」「PEファンドなんて敵対的な連中やハゲタカであって、けしからん」といった類(たぐい)の議論です。後者の議論は種類の違う各種投資ファンドの混同によって生じているものです。残念ですが、連載第1回に戻って理解を得ていく必要がありそうです。

 ここでは「果たしてPEファンドへの投資は高リスクで低リターン、すなわち回避すべき運用方法なのかどうか」を検証します。

 当社では公的年金が運用対象としている4資産(国内債券・国内株式・海外債券・海外株式)について、その5年、10年の運用利回りとリスク(変動率=ボラティリティー)を分析し、それとPEファンド(バイアウトファンド)の運用利回り・リスクとを比較してみました。

 図1は株式についてです。日本株の場合、09年3月までの5年間・10年間の日経平均株価のリターン(株価上昇率と配当を合わせたトータルリターン)はいずれもマイナス5%程度と、非常に不振でした。また、米国株も日本円換算では5年保有でマイナス5%、10年保有でもマイナス2%と不振でした。すなわち「株式は長期保有すればリターンが上がる」というのは、日米両国で既に当てはまらなくなりつつあります。リスクも総じて20%以上と高く、割に合わない投資といっても過言ではありません。

日本国債の場合は過去5年、10年ともおおむね2%台、米国債(日本円換算)もともに5%前後のリターンとなっており、リスクも低いことが分かります。しかしGPIFのポートフォリオの大半を占める日本国債は、その運用目標利回りである4.1%を大きく下回っています。

米国のバイアウトファンドのパフォーマンスです。5年保有で14%、10年保有で12%と高いリターンを上げています。リスクも20%程度と小さくはありませんが、株式よりは低い傾向にあります。一般に日本でも当社を含め、ある程度投資実績のあるPEファンドのリターン目標は年率20%程度ですので、このデータは皮膚感覚に合っているように思います。

これらから言えるのはPEファンドへの投資を「高リスク投資だ」と決め付ける風潮は全くの誤りということです。

 なお、専門的になりますので簡潔に補足したい重要な点は、PEファンドとその他資産との相関の低さです。「相関」とは簡単に言えば「1つの資産への投資リターンに対し、もう1つの資産への投資リターンがどれだけ引きずられるか」という指標です。この数値が1であれば「完全に同じ動き」、0であれば「全く関係を受けない」ということですので、低ければ低いほど「リスク分散が効いている」ことになるのです。PEファンドの場合、株式との相関が0.5~0.6、債券とはほとんど相関関係がないとされています。これは同じオルタナティブ(代替資産)投資でも、ヘッジファンドと株式との相関が0.8と高いことと比べても、PEファンドの優位性を如実に示すものです。主要4資産にPEファンドを加えることで運用資産(ポートフォリオ)全体のリスクが大幅に低下する、すなわち「損益の振れが小さくなる」ことを意味しますので、国民の大事な資産を預かる機関こそ、運用リスク回避のためにPEファンドへの投資を行なうことが重要なのです。

4 終わりに

 以上のように、公的年金などによるPEファンドへの投資は家計部門の金融資産を安定的に増大させ、老後の心配を減らす上で避けては通れない重要な手法であるばかりでなく、企業経営・経済の活性化のためにも必要な社会インフラの整備とも位置付けられます。

 連載第23回でも書いたように、世界の主要な公的年金はその資産の10~15%程度をPEファンドに投資しています。典型例として、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は最近、PEファンドへの資産配分比率を14.3%に引き上げると発表ました。

 これにならい、仮に公的年金122兆円の14.3%が振り向けられれば、17兆5000億円がPEファンドを経由して企業に流入することになります。それも単なる受け身の株式投資と違い、企業経営に積極的に参画することで企業を活性化し、産業再編を推進し、新産業を育成するための資金流入で、経済の活性化や企業価値向上を通した株式市場の活性化に大いに役立つはずです。

 公的部門全体が預かる資産400兆円、これに企業年金を加えて約500兆円もの家計部門の資産の14.3%がPEファンドに流入すれば、70兆円以上もの生きた資金が企業に流入することになります。現在の日本の独立系PEファンドの資金規模が全体で2兆円にも満たないのと比べると、劇的な変化です。

 これは荒唐無稽(こうとうむけい)な話でしょうか。日本以外の主要各国のPEファンドへの年間資金流入額をGDP比で見ると以下のようになります。

・米国 3.5%
・英国 1.7%
・スウェーデン 1.3%  (2007年 IFSL Research)

 日本のGDPが約500兆円なので、仮に日本が米国並みの資金流入を目指すとすれば、年間16兆5000億円の資金流入が必要です。今から始めれば5年後には残高が70兆円になっても何ら不思議ではありません。「日本にはまだ実績を重ねたファンドが少ない」など、色々な反論はあるでしょうが、当社を含めある程度の実績がある独立系PEファンド運営チームは何社か存在します。できない理由を並べ立てる前に「まずはやってみる」という政治的な判断が必要だと思います。

 民主党政権になった今こそ、公的部門に滞留し、国が吸い上げて非効率な投資に充当してきた資金の一部を日本の独立系PEファンドへの投資に回し、経済を活性化することが期待されます(余談ながら、独立系ではなく、銀行・証券系のPEファンドは、国民の資産を預ける以上、利益相反の観点から極めて慎重に検討されるべきものだと考えます)。

 「公的年金やその他公的機関の運用資産配分を少し変えるだけで、国債発行も増税もなく、10兆円単位の経済政策の財源が出る」という事実に、もっと政治や国民の目が向けられていいはずだと筆者は思います。


安東泰志
http://bizplus.nikkei.co.jp/manda/ando.cfm?i=20090929mi000mi&p=1

2009年9月27日日曜日

【新聞記事】 産経(中井国家公安委員長)

 色々な意見があった。中には「言論統制」などと言い出す輩もいたのは事実である。が、中井国家公安委員長が述べたように、警察が中立性を保っていたかというと必ずしも言えないとなるだろう。

(追記)
長い間、公安委員には新聞社の役員が一名定席としてついていた。それが産経新聞吉田氏に代わり元弁護士連合会の山本氏へと入れ替わっている。

葛西敬之(2006年2月22日 )JR東社長(親米保守)
長谷川眞理子(2007年3月13日 )総合研究大学院大学教授、放送大学客員教授
高木剛(2009年12月7日 )元日本労働組合総連合会(連合)の会長
田尾健二郎(2007年12月19日)広島高等裁判所長官
山本剛嗣(2010年5月27日)元日本弁護士連合会副会長山本剛嗣


民主党政権になり入れ替わった前委員
佐藤行雄(外務省・宮崎県警察本部長)
吉田信行(産経新聞社専務取締役)
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【新政権発足】「警察も都合のよい情報発信してきた」 長官会見禁止で中井国家公安委員長 
2009.9.17 13:55

 中井洽国家公安委員長は17日の記者会見で、各省庁の事務次官会見と同様に警察庁長官の記者会見も禁止したことについて「(警察庁を含む)すべての役所は、政治的中立を保たねばならないが、いろんな形で(政権と)つるまって、自分たちの都合のよい情報を発信し続けてきた」と述べた。

 中井委員長は報道陣から「都合のよい情報発信をしてきた役所には警察も含まれるのか」と問われ、「そうだと思っている」と回答。その上で、「(都合のよい情報発信をするのは)60年同じ政権が続いているんだから。恨み辛みではない。警察が中立性を保ったと、マスコミがいうとは思わなかった」とも述べた。

警察庁長官の記者会見が中止に
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090917-OYT1T00591.htm

 中井国家公安委員長は17日午前、警察庁で就任記者会見に臨み、民主党が政権公約で容疑者の取り調べの録音・録画(可視化)を掲げている点について「一方的に可視化するのではなく、捜査の武器となるものも含め検討していきたい」と述べ、司法取引やおとり捜査などの導入も同時に検討する意向を明らかにした。

 中井委員長は可視化について「すべての事件で実施したい」と明言する一方、「治安への国民の要望も満たさなければならず、全面的な可視化だけでは済まない」とも述べた。

 また、現在の国家公安委員会のあり方に触れて「警察が事務局を務める今のシステムで、チェック機能が果たせるのか」と疑問を呈し、警察庁から独立した事務局設置も検討する方針を示した。

 一方、鳩山政権が各省庁の次官らによる会見を原則禁止する方針を示したため、17日に予定されていた警察庁長官の会見は中止された。

(2009年9月17日13時41分 読売新聞)

会見中止の警察庁長官は陪席に 中井国家公安委員長
http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009091801000821.html

 府省庁の事務次官などの記者会見禁止問題で、中井洽国家公安委員長は18日、警察庁長官の定例記者会見は来週以降も行わず、毎週木曜日の国家公安委員会の審議内容は、中井委員長自身が会見して説明することを明らかにした。長官は会見に陪席させる。

 これとは別に、記者クラブなどから長官の会見要請があった際は、警察庁が可否を判断し、国家公安委員会の了解を求めるよう指示したという。

 中井委員長は「公安委員会の内容を報告するのが長官というのは違う」と指摘。会見は国家公安委員会が主催し、委員長が出張などの場合は、別の公安委員を出席させる意向を示した。

 警察庁は17日に予定されていた長官による定例の記者会見を中止。記者クラブ側は長官の会見を続けるよう求めていた。

2009年9月24日木曜日

【八ッ場ダム関連】 国会質問

自民党政権下のとある議会でのやり取りである
 この八ッ場ダム関連の基礎データーは、非常に恣意的なものが多く、まずは工事ありきで作られたのではないか。と思われるものが非常に多いのも特徴である。

しかし。前原を国土交通省、つまり前の建設省と運輸省の仕事は彼には荷が重かったとしか思えない。


T議員
 じゃ、続きましてちょっと国土交通省さんにお伺いしたいと思います。
道路特定財源のときにいろいろとお尋ねしようと思っていたんですけれども、なかなか国会の方で審議時間が取れなくて質問できなかったものですから。
 費用便益分析についていろいろと議論になったわけですけれども、実は私の地元の群馬県に八ツ場ダムというダムがありまして、これは昭和四十二年に着工されておりまして、もう四十二年たっているわけなんですね、着工から。しかしまだ完成していなくて、当初計画だと二千百億円の事業予算を組んでいたんですが、変更を重ねまして事業予算が四千六百億円になったということでございます。
あとまた工期も、本当は平成十二年に完成しているはずだったのが、平成二十二年に一回延長されて、今回また更に平成二十七年までまた延長されたということで、工事の予算もどんどん膨らんでいる、工期もどんどん長くなっているということで非常に議論がされているところでございますが、国会の参議院の本会議でも同僚の議員がこの問題について質問させていただいたと思いますけれども、この中でいろいろと国土交通省さんにそのいわゆるBバイCと言われる費用便益分析のいろんな資料をいただきました。
 ところが、その算定された資料を詳しくもっと出してくれというふうにお話ししたところ、ないということなんですね。
 今日お手元にお配りいたしました資料を見ていただきたいんですけれども、この中の洪水調整に係る便益というのがございまして、ブロックがA、B、C、D、E、F、G、こういろいろあります。
十ブロックに分けて、それぞれのブロックごとにこのダムを造ることによってどれだけ洪水の被害が減少するかという便益を出しているんですけれども、その一番基本となる年平均被害軽減額、①というところですね、それぞれブロックごとの。
これを算出された根拠がないという、資料がないというふうに説明を事前に昨日受けたんですけれども、それは本当でしょうか。確認の、念のためにお伺いさせていただきたいと思います。
H副大臣
 これ、私もないはずがないと思っておりまして、捜していただいたんですけれども、これが本当にないわけでありまして、これ、この分野に関しての文書の保存期間は一応三年ということにはなっているものの、これ今事業中の案件でありますから、本来あるべきだと私も思っております。しかしながら、それがないということでございます。
T議員
 ないものを前提にこの事業を継続すべきかという結論を出されたというのは本当に疑問で、何というか信じられないですね、納得いかないですよね。
 四千六百億円もの税金をこれから使って建設すると、それでなくても今ダムの不要論がどんどん出ているのに、そのBバイCを出したときの基の数字がないという、その前提でこの事業継続を決定するということはおかしいと思いませんか。副大臣として、政治家として御感想をお伺いしたいと思います。
H副大臣
 これ、ないというものの、これ隠し立てするような資料でもないはずなんですね。これは関東地方整備局事業評価委員会で、前、了承いただくときにはちゃんと説明もし了承いただいているわけでありますから、本来、これあってしかるべきでありますが、その時点で、御了承いただいた時点ではそれはちゃんとあったということだと私は思っております。
T議員 
その了承が正しいと、適正だという前提でのお話ですけれども、この後ちょっとお話ししますけれども、私は、全然適正じゃない評価の便益出しているのがいっぱいありますので、ちょっと一例というか、二例というか、三例ぐらいお示しをしたいと思います。
 まず、ブロックごとの被害軽減額、この出し方がまずおかしいと。
私は、検証してみないと、前提がおかしいと思うんで、そういうおかしい部分はいっぱいあると思うんですけれども、それはまあ百歩譲ってこれを前提に考えた場合でも、一番右から二行目のブロック別便益というのがありますね。
これはそれぞれの地域ごとに、ダムを造ることによってはんらんがどれだけ被害額が減少できるかという数字なんですが、これブロックごとに上流から下流まで全部分けてあるんですね。
それで、もし台風とか大雨で洪水になったときにこのブロックがすべて一遍に洪水になるということはあり得ないんですよね。どこか一回決壊すれば、その地域は洪水で水浸しになって水害を受けますけれども、そこで水がもうはけるわけですから、下の部分とか違うところでは洪水の被害が起きるわけないんです。
ところが、これは同時発生的に起きるという前提で積算されているんですね。これおかしくないですか。
便益マニュアル、中にもそういう意見が出ています。だけど、それを無視してこの数字で出しているということでございます。
 これ、こういうおかしな計算の仕方を前提としたBバイCというのは全く納得いかないんですが、どうでしょうか。
H副大臣
 様々な降雨のパターンに対応するということだと思うんですが、詳しくは河川局の方から答えさせていただいてよろしいでしょうか。──ですから、かつてのいろんな雨の降るパターンというのがどんどんどんどん変わってきているし、最近の集中豪雨というようなものも、そのすべてのパターンに対応できるようにしているということだと私は理解しております。
T議員
 その認識は違っております。
 何年かに一度のごとにこれ被害額出しているんですね。二百年に一度の台風、百年に一度の台風、それぞれのごとに確率を出して出していると。
それは一応整合性はあります。だけど、同時にこのブロックが、十ブロックがすべて洪水になるということはあり得ないと。そのあり得ない前提でこの便益を出していることに対しておかしいと思いませんかというふうにお尋ねしているんです。これ、大臣、政治家としてお答えいただきたいと思います。
H副大臣
 そういうケースもあり得るだろうというふうに思っております。
T議員
 それ、絶対あり得ません。全部、全地域が一遍に洪水になるようなというのは、それこそ何十億年に一度の台風か何かじゃないとないんじゃないですか。それはよく調べていただきたいというふうに思います。一つ取ってもこれはおかしい。
 次に、もう時間がないんで余りあれなんですけれども、二番目のところを見ていただきたいと思いますけれども、河川の水量確保に係る便益の算定というふうにあるんですね。
これを見ると、名勝吾妻峡に必要な水量を確保することによる景観改善等の効果を便益として算定したと、景観改善と書いてあるんですね。
ダムを造って何で景観改善なんですか。これは水を流すということで言っているらしいんですけれども、元々、今水は流れているんです。それをダムで止めておいて、また水を流して、それで景観改善だ、それで便益があるんだというふうにこれは出しているんですけれども、おかしくないですか、これ。どういうふうに。
 ちょっと大臣にお伺い今日はするというふうに言っていたので……
H副大臣
 副大臣でございます。
T議員
 あっ、副大臣にお伺いしたいと思いますので、お答えお願いします。
H副大臣
 これは景観改善等の効果を算定するに当たって、いわゆる仮想的市場評価法、CVM。要するに、こういうように水が流れることに対して幾ら払うかというアンケートに基づいて調査したものであり、これも費用便益マニュアルの規定のとおりにCVMという方法を利用させていただいていると聞いております。
T議員
 私がお尋ねしているのはそのマニュアルがおかしくないかということでお尋ねしているんです。
そのマニュアルどおりやっていたらこうなっちゃうんですね。だから、これはおかしいんです、何とかCV何とかというのはおかしいんです。
 このアンケートも見させていただきましたら、すごいインチキがあるんですね。一回当たり、次のページ見ていただくと、支払意志額百四円とあるんですけれども、百四円の出し方がすごい恣意的な偏ったアンケートで出しているわけなんです。
 近く、群馬県で違う三波石というところもあるんですけれども、これは違うダムのところの渓谷を言っているわけですけれども、これも、元々水が流れていたところをダムを造ることによって水がなくなっちゃった。それを、水を流すことによって、幾ら払って水を流すのを見たいですかという、そういうアンケートなんですね。
そんなばかげた話ないと思うんですね。元々ダムがなければ水が流れているのに、それで、ダムで水がなくなっちゃって、じゃ、水を流すから幾ら払ったら見たいですかという、そういうやり方しているんです。それで、お金払いたくないという人がほとんどなんですけれども、アンケートを取った。そんなのでお金ばかばかしくて払いたくないって、それは当然だと思うんですけれども。
 それと、河川清掃などボランティアであればやってもいいよという人がいるんですね。中には払ってもいいという人がいるんです。払ってもいいという人に対して幾らまでいいかという聞き方ならいいんですけれども、ボランティアをやって、ボランティアだったらやってもいいよと、要はお金は払いたくないんだけれどもボランティアだったらいいよという人まで、改めてもう一度、お金は幾ら払ったらいいかという聞き方するわけですね。
それも、百円だったらいいよ、二百円だったらいいよ、三百円だったらいいよって、百円と答えた人に対して、次、二百円ならいいよと、そういうやり方なんですね。
だから、非常に誤った結果が、これ誘導、恣意的に出てきちゃうんですね。そうすると、この百四円という金額の出し方も私はおかしいというふうに思います。
 それと、もっとおかしいのはこの次の年便益、年間利用見込み数七百三十九万二千四百人とありますけれども、これはどこから来たのかというと、次の三枚目、見ていただきたいと思います。
 これは、今回造る八ツ場ダムの近くの長野原、嬬恋、草津、六合、吾妻、この町村に来る観光客、年間の観光客全員を基の数にしているんですね。吾妻渓谷というのはほとんど泊まらないですよ、今でも。草津温泉行く人はみんな通りますけれども、ほとんど通過します。このために来る人というのは十万人もいないんじゃないですか、十数万人しかいないというふうに地元の人言っていました。
それなのに七百万人、これを造ることによって七百万人の観光客が来ると。元々、草津温泉とかいろいろ長野原とか嬬恋とか、こういうところに来る人たちは全部吾妻に来る、吾妻渓谷、八ツ場ダムに来るという前提で出しているんですね。これはおかしいというふうに思いませんか。
H副大臣
 この入り込み客等々についての考え方は、これはいろいろあろうかと思います。ですから、この問題に関してはやっぱり点検をしていかなきゃいかぬなと私自身も思います。
 ただし、今回のこの水量に係る便益というのは、洪水調節に係る便益が八千二百七十六億円に対して百五十五億円ということでありますから、こういう言い方したらちょっと怒られるかも分かりませんが、大したことではないのかなと。いや、金額的に。それよりも、それよりも私が思うのは、これ以上コストを増やさないということがこのプロジェクトでは一番重要だと思っています。
T議員
 一事が万事なんですね。こういうところのアンケートでこういう適当なアンケートを作って便益を膨らませている。
さっきの洪水の被害額もそうです。十か所が一遍に洪水になるわけないのに、十か所起きる前提で積算されている。全くおかしいんですね。
 それとあと、次の、せっかくだから(2)も見ていただきたいと思いますけれども、もう一個アンケートやっているんですね。これもやっぱり群馬県の相俣ダムというところでダムを造ったことによって水が流れない。
水を流すことに対して幾らまで払っていいですかという同じようなアンケートを取っているんですね。
これは地域の世帯全員を、何というんですか、標本の母数としています。アンケート調査をやって、それやると、これも金額の払い方のアンケートは、さっき言ったように非常に何というかだまされやすい評価になっちゃうんですね。
 これを見ると、相俣ダムの下に赤谷川というんですか、そういうのがあるんですね。
そこの水を流すことによって川が復元すると、それに対して幾ら払ってもいいですかというやっぱり尋ね方なんですね。こういう赤谷川なんて普通知らないと思いますよ、ほとんど。そのためにお金を払って見に行きたいという人は余りいないと思うんですけれども、その人に対して一応やったんですね。
そうすると、支払意志額というのは月に四百七十九円も払っていいというアンケート結果が出ちゃうんですね。月ですよ。年間にすると五千七百四十八円も払って赤谷川というところに、今までダムでせき止められたところに水を流すことによって水が流れる、それを見るために年間五千七百四十八円も払いたいという人が出たという結果が出ているんですよ、このアンケートに。
普通あり得ませんよね。五千円も払って今アクアラインだって通りたくないのに、こんな赤谷川という川の水を流すことに対して五千七百円も払いたいと。
 しかも、この近隣の世帯四万二千五百七十六世帯が全部が行くという前提になっているんですね。この四万二千五百七十六世帯というのは、この次の三ページ見ていただくと分かりますけれども、中之条町からずっと出ております、この世帯数ですね。この世帯、四万二千五百七十六世帯が五千七百四十八円お金を払って毎年行くと、このダムを見に行くと、そういう前提でこの便益を出しているという。
 これこそ便益の水増しというか、インチキな積み上げとしか言いようがないと思うんですけれども、副大臣、おかしいと思いませんか、こういう出し方について。副大臣に今日はお伺いしたいと思っているので、よろしくお願いします。
H副大臣
 今のは世帯の話ですよね、世帯で五千幾ら、だけど一人当たりということではないですよね、確認をさせていただきますけれども。
 この便益がどうかということを言われますと、これは今まで専門家の意見を聞きながらまとめてきた便益マニュアルにのっとって行っているということで、素人の私がこれ以上いろいろ口を挟むのはどうかと思いますが、しかしながら、私なりの個人的な、個人的な感覚ですよ、個人的な感覚だと、いささかやっぱりおかしな面があるのかなというふうには感じます。
 しかし、地元の要望にこたえて造らせていただいているダムですから、一刻も早くコストを削減しながら完成、本体事業に入れるように全力を挙げることが必要だと考えております。
H議員
 これは是非、一般の感覚でとらえていただきたいと思いますね。専門家の考え方がもしこれが正しいということになったら大変なことになっちゃいますよ。こんなめちゃくちゃなアンケートに基づいてこんなめちゃくちゃな便益で出されたらもう何でもできちゃいますね。費用便益分析やって幾らでも数字ができちゃうという、これは非常に恐ろしいことだというふうに思っております。
 今度もし時間があればアンケートを全部皆さんにお配りして見ていただきたいと思います。いかにいいかげんなアンケートのやり方を取っているかということでございます。四万二千五百七十六世帯が毎年、年間五千七百円も払って見に行くようなものじゃないと思いますよ。その辺は是非検討していただきたい。
 あと、計画も、今回ダムの計画が高さが減少されたんです。元々高かったものが低くされた。何かどういうことでやったのか知りませんけれども、計画を変更になっていると。
それだったら、最初の計画は何だったんだというふうに思うんですね。そういったことも含めて、このダムについては分からないことがいっぱいあり過ぎます。是非もう一回、この二・九という費用便益分析の数字をもう一回改めていただきたいと思います。それから本体工事に着手していただきたいと思います。
H副大臣
 現在、利根川の河川整備計画を策定すべく、この五月二十三日に、第四回の有識者会議を開催しました。学識経験者や地域の方々の御意見をお聞きしつつ様々な角度から検討を行っているところでありまして、八ツ場ダムの費用便益分析についても、その過程の中で不断の見直し、点検を行うこととさせていただきます。
T議員
 早急に見直しをしていただいて、是非御報告していただきたいと思います。内容については是非国会の中で議論させていただきたいと思います。
 これで私の質問を終わります。


問題になった国土交通省のデーター

2009年9月23日水曜日

【雑誌記事】 鳩山政権の組閣

 あくまでも読み物として。
案の定、この記事を引越しをしているときにには、霞ヶ関との戦いに先手などとはとても言えない状態であり。官僚に丸め込まれたと言っていいだろう。

この記事は九州の(NET IB)の記事である。がどうも、希望・願望記事であったらしい。
どうも、インサイドやインサイダー・インサイドラインと同じような名前の記事が多いのであるが、時間を置いてから読むと頓珍漢な記事が多いのが特徴のように思えてしまう。

この記事ではないが、インサイドラインの歳川隆雄氏の記事は、ひどいもので検察リーク一色で、検察情報に関しては、半分程度あたっているようなものの政局にしては、鉛筆を転がして記事を書いている程度の信用度しかない。

ネット社会が充実してくるし従い過去の記事がどんどん残されていく。その結果、信用度の低い評論家・ジャーナリストは名前だけでは生き残れないであろう。


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鳩山政権「組閣の裏側」 若手政治家たちの野望
[政界インサイドレポート]
2009年09月17日 10:48 更新

<霞ヶ関との戦いに先手>
 鳩山新内閣が、国民の期待を背負って船出した。新大臣たちは就任会見で
「八ッ場ダムの建設中止」(前原誠司・国土交通相)、
「後期高齢者医療制度の廃止」(長妻昭・厚生労働相)、
「インド洋の給油活動は延長しない」(北沢俊美・防衛相)、
「日米密約の調査命令を出した」(岡田克也・外相)などと民主党のマニフェストを直線的に実行する姿勢を示し、《政治の転換》を強く印象づけた。

 経済政策では、連立を組む国民新党の亀井静香・金融相が、「住宅ローンや中小企業が抱える借金の元本返済の3年猶予を検討する」とぶちあげて金融界に衝撃を与えているが、これは亀井氏の独断パフォーマンスではなく、鳩山首相が総選挙前に一度言及していたものだ。

 《脱官僚依存》を掲げる鳩山政権は、霞ヶ関との戦いにも先手を取った。
 鳩山官邸は事務次官会議の廃止に続いて、各省庁に次官、局長などの定例記者会見の原則中止を通達し、新内閣発足最初の閣僚懇談会で、役所側が民主党議員を個別に味方に引き込んで族議員化させないために、官僚と国会議員の接触そのものを制限する方針を申し合わせた。

 これでは役所側は新政権の政策に反対の声を上げることもできない。

 “お坊ちゃん”の鳩山首相にしては戦上手なやりかただが、実は、主導しているのは薬害エイズ問題で役人とのケンカには定評がある菅直人・副首相兼国家戦略相だ。

 「菅さんは6月に英国の議会制度と官僚操縦の仕組みを視察し、政権交代後の対霞ヶ関戦略を練ってきた。副総理という政権ナンバーツーの実権を得て、早速、実行に移している」と、菅側近はいう。

 霞ヶ関との戦いは、その菅氏の国家戦略局(当面は室)と、仙谷由人・行政刷新相の行政刷新会議が担う。

 菅氏や岡田氏、前原氏らが闘志満々で改革姿勢を前面に出しているのは、それぞれの持ち場で手柄をあげ、いずれやってくるポスト鳩山の後継首相レースをにらんで早くも競い合っているからに他ならない。

<早くも始まった「ポスト鳩山」レース>
 閣僚人事はまさに権力闘争だった。民主党の次世代リーダーたちの出世争いも明暗を分けた。

 一歩後退したのは、鳩山氏と代表選挙を争い、次期代表の最右翼と見られていた岡田氏だ。岡田氏は総選挙中から幹事長として「政権移行チーム」を率い、新政権の骨格作りを主導するつもりだったが、「そうした事前の動きが小沢(一郎)さんと鳩山側近たちの警戒を呼び、早い段階で外相に内定して体よく新内閣の官邸から遠ざけられた」(民主党幹部)とされる。

 その結果、内閣は鳩山首相と菅副首相の2頭体制、党務と国会運営は小沢幹事長が握るという、かつてのトロイカが完全復活し、菅氏がポスト鳩山の有力候補として復活した。

 もう1人、防衛相候補として入閣有力と見られながら、土壇場で外されたのが反小沢派の代表格の1人、野田佳彦氏だ。事前の身体検査で「集団的自衛権行使に前向き」なことが社民党との連立の障害になると判断された。そのことが入閣見送りの理由とされているが、同じ主張の持ち主は党内に多い。防衛相以外の選択もあった。

 むしろ、前原氏や仙谷氏ら「反小沢派」のなかでの大臣レースに敗れたのだ。

 鳩山側近議員が打ち明ける。

 「岡田さんを別格にすれば、反小沢勢力の大臣枠は前原、仙谷、長妻の3人。それ以上は増やせない。政策通で実績のある3人に比べて、野田氏はセールスポイントが弱かった」

 野田氏は格下の財務副大臣に内定したが、同じ当選5回ながら松下政経塾の後輩で小沢氏、鳩山氏に近い原口一博氏が有力閣僚の総務相に起用されており、出世レースに大きく水をあけられることになった。逆にこれまで出遅れていた原口氏は、ニューリーダーの1人として飛躍するきっかけを得た。

 新内閣の看板大臣の1人、長妻・厚労相も先を見ている。長妻氏は、鳩山首相から行政刷新相就任の打診を受けながら、それを蹴って難題山積の厚生労働相を希望した。それは、「あえて火中の栗を拾い、実績をあげて、ポスト鳩山で先行している岡田氏や前原氏に一気に並び、後継者レースに名乗りをあげようと意欲を燃やしている」(民主党スタッフ)と見られている。

 若手政治家たちが権力の座に野望を隠さず、政策実行力で競い合うのであれば、民主党という政党だけでなく、日本の政治も活性化するだろう。総裁選に有力候補が次々と出馬を見送り、権力闘争の力さえ失ってしまった自民党とは対照的だ。

 「首相を辞めたら政界引退する」と表明している鳩山氏が、ことさら自分がリーダーシップを発揮しようと力むのではなく、若い大臣、副大臣たちの功名心をうまく利用して政権を運営していくなら、かなりの成果をあげることができるのではないか。

<党内支配力増した小沢>

 新政権には、一見目立たない形で「小沢色」が反映されている。

 小沢氏は総選挙で新人候補を大量当選させ、民主党内で150人ともいわれる圧倒的勢力を得たものの、“小沢派”は当選1~3回の実力未知数の議員が多く、閣僚に押し込む人材が決定的に不足している。片腕の山岡賢治氏も、国対委員長に留任させた。

 鳩山内閣の大臣で小沢側近といえるのは、中井洽・国家公安委員長ぐらいしかいない。そこで小沢氏は、参院選対策として重視する農家の戸別所得補償制度を担当する農水相に、同盟を組む左派(旧社会党出身議員)から、選対委員長として自分を支えた赤松広隆氏を起用した。

 それだけではない。

 参院から3人の大臣が就任した背後にも小沢氏の影がちらつく。

 鳩山首相は当初、参院の大臣枠は直嶋正行・経済産業相の1人を想定していたとされるが、小沢氏の腹心、輿石東・参院議員会長が「大臣枠2人」を要求し、結果的に千葉景子・法相、北沢防衛相を加えて3人となった。

 小沢派「一新会」の議員がうそぶく。

 「小沢派の党内勢力からいえば、大臣5人以上送ってもおかしくない。だが、入閣適齢期の者が少ないから、左派と参院にポストを割り振ったということだ」

 もっとも、農水相の赤松氏は農業政策には詳しくないし、北沢防衛相もベテランとはいえ防衛関連の役職の経験はあまりない。

 参院の3人枠には、別の思惑も働いたようだ。

 民主党参院議員が語る。

 「千葉と北沢は、来年の参院選後に交代する江田五月・参院議長の後任の議長候補だったが、入閣でその芽は消えた。残っているのは輿石1人。小沢さんは腹心の輿石議長を確定させるために、ライバル2人を大臣で処遇した。これで参院での小沢さんの影響力がますます強まった」

 鳩山新内閣は、決して「適材適所」とは言い切れないのだ。