2009年6月5日金曜日

【経済事件メモ】 水谷建設と白川司郎

水谷建設と白川司郎

経済事件は5年乃至10年周期で、同じ人脈、同じ手口で繰り返されることが多い。そういう意味では、当局の捜査対象なったり、マスコミ報道された企業や人物以外の周辺人脈まで、チェックしておくと後の事件の全体像を把握する上で、役に立つことが多い。

 さて、今回取り上げる記事は、東京地検特捜部の捜査対象として注目されている水谷建設と周辺人脈について「潮流ジャーナル」で取り上げたものだ。今から10年ほど前、1995年の秋から半年以上かけて取材した内容を、1996年2月から数回連載されている。

 水谷建設について企業研究の対象としたのは同誌が最初だったと思う。プロ向けの専門記事として書いたので、事件関係に詳しい記者しか、この記事には関心をもたなかった。ただし現在関心を持たれている企業、人脈の原型となる構図はここに現れているはずだ。

 日付や役職、企業名などは執筆当時のままである。

★住専リスト『窪田』の背景に注目される、建設、政界人脈の広がり
 白川司郎、水谷建設など話題の人物、企業が登場

 『住専』とつけば、何でもマスコミは飛びつくご時勢である。住専がらみといえばそれだけで、悪の代名詞のように騒がれる風潮は疑問だが、先頃公表された、大口融資先リストに登場する企業およびその周辺グループの概要を調べると、なかなか興味深い会社が幾つも登場している。その中には本誌も過去に取り上げたものも数多くあるのだが、ここでは、京都の窪田グループを見てみたい。

 何故窪田グループなのか。

 大蔵省発表のリストでは、窪田グループは総合住金の融資先として5位にランクされている。もっともトップの末野興産からみると残高にして130億円であり、住専全体でみるとさらに下位になる。であるから、これまでの住専報道では目立つ存在ではなかった。しかし、民間調査会社の調査報告書によれば、他の金融機関からの負債も合わせると総額では1000億円以上ともいわれる。

 本誌では、これまでも別の記事で、太陽グループと日本リースの不良債権処理についてレポートしているが、これは『住専』の不良債権問題はさらに大きな銀行、ノンバンク全体の問題として評価すべきと考えるからだ。

 また、同社の登記簿謄本の役員欄を溯って見ると、政界、財界と太いパイプをもつといいわれる人物が登場する。

 また、その人物とのかかわりから、窪田グループが手掛けているゴルフ場の造成工事にここ数年の“急成長”ぶりが業界で注目されている建設会社も登場する。

 そういう意味で、この窪田グループのゴルフ場、住専問題以上に情報関係者の関心を呼んでいる。

 テレビタレントの北野誠氏が夕刊紙で、「財テクのつもりで買ったゴルフ会員権が値上がるどころか、完成できず、被害者の会の通知が送られてきた…」とネタ話にしていたゴルフ場がある。

 『ノース広島カントリークラブ』(広島県三次市)は平成4年に開発許可を得て、全体36ホールのうち平成7年秋には18ホールがオープンする予定だった。ところが、資金難で造成工事が遅れ、現在ストップ状態にある。昨年暮れに会社側と会員有志との間で話し合いがもたれるなど、会社側は事態の悪化を防ごうとしている。

 会員も会社側に協力して、完成を待とうというグループと、解約を要求するグループと2派あるようで、一本化はできていない。そういうところへ噴出したのがこの住専問題。オーナー会社の窪田グループが大口融資先リストに乗っているわけで、このゴルフ場の先行きは厳しいものになりそうだ。

 北野誠氏は同じタレント仲間のやしきたかじんから紹介されたという。夕刊紙記事では損したかのようにぼやいているが、実際は早々と解約したらしい。このゴルフ場、広島の山奥にあるにもかかわらず、外に上岡龍太郎、西城秀樹の関係者など芸能界関係者の会員も多いようだ。

 開発会社はノース広島開発(株)(広島県三次市秋町字梅ヶ原1111番地の1 代表取締役 窪田孝治氏 資本金1000万円)といい、一度同地で頓挫したゴルフ場物件の所有会社を買収したものだ。

 その新しいオーナーが窪田グループ。中心の(株)窪田(京都市中京区河原町2条下ル一之船入町366 代表取締役窪田孝治氏 資本金9500万円)は、京都に貸しビル数十棟、沖縄などでリゾートホテルを経営する不動産業者。創業者の窪田操氏は現在は代表取締役を退いているが、実質的実権はいまだに同氏が握っているという。 バブル時代に急成長し、その青年時代が劇画のモデルにもなったともいう。自伝を出版したりもし、いわゆる立志伝中の人物であるが、その反面、謎めいた部分も多いといわれる。

 民間調査会社の調査報告書によれば、グループでの負債総額は1000億円を超える。「住専」関係では前述したように総合住金からの融資約130億円が焦げ付いており、そのうち84億円が損失見込額とされている。
 大蔵省の査定では『既存の融資対象物件の事業計画が進展せず、多額の資金が固定化している先に対し、資金使途や融資額の妥当性把握のための資料等を徴求することなく、多額の資金に応需しているもの』とされている。実態がよくわからないまま貸し込んだ、ということである。

 ちなみに同社の本社ビルには平成6年8月30日付けで京都市の差押、さらに9月21日には京都府の差押登記が設定されている。

 現状は、ビルの家賃収入やホテルの収入でしのいでいるということなのだが、金利の支払いもままならない状況であるともいわれる。銀行、ノンバンクなども差押、競売などの回収を急ぐ様子もない。このあたり、マスコミでも話題になっている住専の大口貸付先と似たような状況である。一般個人あるいは小口の業者であれば、たちまち差押、競売と取り立てを急ぐにもかかわらず、窪田に対しては協調的ともいわれている。それゆえか、同社は単なる不動産会社以上の人脈、や力をもっていると、京都の同業者や金融関係者ではささやかれている。京都市郊外に広い土地を買収しはじめているという噂すらあるのである。今のところ、確証のある話ではない。やっかみもあるのかもしれないが、こうした話がまことしやかに流れるように、この窪田という会社の“実力”は通常の不動産会社とはやや異質なものとして見られていることは確かだ。

 グループ本体が登記簿謄本などをみる限りでは、差押などの設定がなされているにもかかわらず、「ゴルフ場を必ず完成させる」という根拠となる資金的背景がどこにあるのか興味深いものがある。中断している工事も新しい業者が決まったようで、再開するとしている。

◎日安保、水谷建設をつなぐ人脈 

 もともと、このゴルフ場について、建設工事発注先としては、日鉄商事が広島県には届けられていた。ところが、実際の工事は東海興業と水谷建設が受注している。

 バブル崩壊によって、日鉄商事側の状況が変わったのだという。ちなみにこのノース広島カントリーの土地には一切抵当権等がついていない。日鉄商事側もファイナンスがつけられなかったということである。
 窪田側としては、既に会員権を売り出していることから、どうしても着工しなければならなかった。そこで、ある人物が登場する。

 (株)窪田の登記簿謄本によれば、平成5年5月6日から同年9月21日まで、白川司郎という人物が代表取締役として就任している。

 「会長の人脈から日安保という会社の白川氏の紹介で、東海興業と水谷建設が工事を請け負うことになった」とノース広島開発では説明する。

 日安保とは日本安全保障警備(株)の略称であり、青森県6カ所村の原子力再処理施設を警備する会社である。この会社は元警視総監などいわゆるヤメ警組といわれる人脈の警備会社。しかし白川司郎氏は警察官僚出身ではない。同氏は三塚博氏の元秘書であり、平成3年頃吹き荒れた三塚博スキャンダルの中で、マスコミの情報源ともなった人物。三塚氏に限らず、政財界に太いパイプをもつといわれている。

 その白川司郎氏が、建設会社を紹介するだけでなく、日安保が保証することで、東海興業、水谷建設の工事受注が決定したのだという。その際に白川氏が窪田の代表取締役に就任する理由が発生したものと思われるが窪田ではそれについては明らかにしていない。

 ともあれ、東海興業が防水工事とゴルフクラブ、水谷建設がゴルフ場造成工事を受注して平成5年秋には着工したわけだ。

 ここで登場する、水谷建設という会社、なじみのない社名だが、注目しておきたい。

 同社は三重県桑名市に本社をおく建設会社。売上420億円は、いわゆる大手ゼネコンから比べるとさほどでもないが、同社は土木下請け工事を専門とするサブコンとして全国展開する数少ない会社の一つという。バブル末期に急成長し、バブル崩壊後も、その業績を維持しつづけるということで、ここ数年急激に力をつけてきたと、業界の注目を集めている建設会社なのである。 なぜ、注目されるかというと、大きなダムなどの工事で、業界関係者にいわせると「取れるはずがない工事を受注している」というのである。知っての通り、建設業界は長年談合で成り立ってきただけに、大きなプロジェクトになると、受注業者はだいたい読める仕組みになっている。それが、意外ところで、同社が工事を取るケースが多いというのである。

 たしかに、建設業界はゼネコン疑惑以後の、一般競走入札導入の動きで、情報漏れもおおくなり、入札が中止になるような混乱もある。それに加えて、同社が技術力、価格競争力といった、本来の建設会社としての地力をつけて来たということもあるのだろうが、それにしても同じ建設業界で噂になるだけの力の背景がどのあたりにあるのか、関心をもたれていたことも事実である。

 で、この窪田のノース広島カントリークラブ工事から、はからずもその人脈の一端が見えて来たのである。ノース広島カントリークラブ、窪田、水谷建設を結ぶ人脈を探ることで、単なる『住専』の不良再建問題を超えた人脈の構図が見えてきそうな気配である。

★住専リスト『窪田』の背景で注目される建設・政界人脈の広がり
 『涼仙ゴルフクラブ』にみる水谷建設成長の原点

 東の桃源社、西の末野興産という東西の“住専借金王”に捜査の手が入り住専問題もひとつの山場を迎えたが、こうした住専融資先リスト上位に登場する会社に集中した巨額資金の行方に加え、彼らに特権的な利益を与えた人脈、金脈の解明こそが、今後の課題である。渦中の2大借金王については、捜査当局の動きを注目するとして、本誌では興味深い人脈が浮上した「窪田」グループの周辺をその象徴的な開発プロジェクトから見て行く作業を続けよう。

◎もうひとつの「ゴルフ場」と水谷建設

 水谷建設(株)は三重県桑名市に本社を置く建設会社である。

 創業は昭和21年5月、法人設立は昭和35年12月である。資本金は4800万円。

 同社は総合建設業のゼネコンに対して、サブコンと呼ばれる専門工事業者である。公共工事などでも、元請けのゼネコンから発注をうけ、実際の工事を行う下請けの施工業者である。建設業界は元請け、下請けあわせて50数万社といわれ、受注高数千億円のスーパーゼネコンと呼ばれるところから、数千万円の零細業者まで、数多くの業者がひしめき合っているが、水谷建設は、一般的な下請けというイメージとは程遠く、大型機械を駆使した土木工事の分野で、トップクラスの業績を上げている。

 民間調査会社の調査報告書によれば、同社は創業社長の水谷一三氏の死亡後、長男の水谷正氏が昭和48年代表に就任した。 その後平成元年には水谷正氏も死亡したため、実弟の水谷勤氏が代表取締役に就任。残る2人の兄弟、紀夫、功の各氏らと協力して経営にあたってきたという。そして、ここ数年、業界でも注目を集める業績を残している。

 その一つが、地元での、自社関連ゴルフ場の開発、オープンである。

 その『涼仙ゴルフクラブ』(三重県員弁郡員弁町)は、平成4年7月の開業で、会員権の募集価格は4000万円といわれている。(実際の売り出し価格は3500万円前後)ともいわれているが、業界誌記者によれば、平成2年春が会員権相場のピークで、その後のバブル崩壊で相場は暴落している。『涼仙ゴルフクラブ』の開発はその丁度端境期にあたり、その価格は、当時としてみれば、業界関係者からすれば、異常な高値とはいえないものの、桑名周辺には『桑名国際』をはじめ、有名ゴルフコースが集中しており、かなり強気の展開だったとはいえそうだ。

 なにしろ「クラブハウスだけで40億円はかかっているらしい。どこからか琴の音が聞こえてくるような凝った作り」(地元住民)という評判になるほどであるから、相当資金を次ぎ込んだことは間違いないようだ。

 しかし、会員募集は、91年11月という微妙な時期からとはいえ、3500万円とも4000万円ともいわれるそれの縁故募集500名が「ほぼ完売した」(業界誌記者)という。「地元の有力銀行が協力して法人への『はめ込み』が行われることはよくあります」(同)ということもあるというが。

 ところで、この『涼仙ゴルフクラブ』実際の経営は大東開発(株)(三重県桑名市大字福島753-2)という会社が行っている。代表取締役は水谷紀夫氏。3兄弟の一人である。

 ゴルフ場の土地には大東開発(株)を債務者に平成3年8月31日付けで、東海銀行が極度額120億円、大垣共立銀行が同60億円、三重銀行が同60億円の根抵当権を設定している。極度額合計で240億円ということになる。民間調査会社の調査報告書によれば、長期の借入金は215億円に上っているという。

 それだけの資金調達をした上で、大東開発が建設会社に工事発注したわけだが、この場合、『ノース広島』の時と異なり水谷建設が“元請け”にはなっていない。工事はゼネコンの前田建設工業と鹿島のJVで受注しているが、実際の造成は水谷建設が「下請け」しているわけだ。

 わざわざ、建設コストを高くしてもゼネコンを入れるあたり、日ごろのお得意先へのサービスということもあるのかもしれないが、前田建設工業と鹿島とは、特に水谷建設との関係が深いといわれている。

 しかし、じっさいのコストは、建設会社が、自社の建物を建てるのと同じで、かなりコストダウン出来てもおかしくはない。そうなると、200億円以上の建設費用はバブル当時とはいえかなり余裕があったのではないかといわれる。さらに、会員権も「完売」したのであれば、このゴルフ場開発によって、それなりの資金を同社は確保できたのではないか、と見る向きもある。 実際、登記簿謄本によれば、『涼仙ゴルフクラブ』の土地に設定された根抵当権はまだ抹消されていない。(もっとも、根抵当権の極度額であるから、返済が終わっていないということにはならないが)

 業界関係者によれば、水谷建設の進撃が始まるのは、このゴルフ場の建設と前後してからだという。しかも、ノース広島カントリークラブで因縁の深いことを示した、白川司郎氏の存在もその成長を支えた一人であるという。同氏の存在というものが、一建設業者の成長とどのようにかかわっているのか。ゴルフ場開発でみられる資金的余裕(?)と白川司郎氏との接点は同社の業績にどのように結び付いてゆくのか。

 ちなみに民間調査会社の調査報告書によれば、平成6年10月末の手持ち受注残450億円のうち、8割以上がダム工事、電力関係となっている。情報通によれば同社の成長を見るうえで特に注目すべきは、東北地方の巨大プロジェクトだというのであるが…。

2009年6月4日木曜日

【第三委員会】 総務省担当者

【総務省担当者からのヒアリング】
行政企画局政治資金課課長補佐 市川 靖之 氏
(質問 .1)
-(政治資金)収支報告書上、寄附の内訳への記載が求められる寄附者の氏名について、資金の拠出者と実際に寄附を行った者とが相違する場合に、資金の拠出者を記載することが求められているのか。
(回答)
-総務省に問い合わせてもらっても、寄附をした者を書いてくださいとしか言えない。会計責任者が法の趣旨に則り実態を把握して記載してくださいとしか言えない。
(質問 .2)
-政治資金規正法上、寄附者となることができない政治団体は存在するのか。仮に存在するのであれば、どのような政治団体が該当するのか。
(回答)
-政治団体の定義は、資料の3条等で法律上定義されている。また、寄附をできない政治団体は、設立届けを出していない政治団体、二年間収支報告を行っていない政治団体である(3条、5条、6条、17条2項等について説明)。
(質問 .3)
-ある企業・団体が、人員、資金などをすべて負担して政治団体を設立し、完全に支配している場合、その政治団体が行った寄附については、政治資金収支報告書には、「寄附者」をどのように記載すればよいのか。
(回答)
-個別の事案については回答できないが、完全に支配しているという意味も明確ではなく回答しにくいが、政治団体であればこの法律の趣旨に則って報告書の記載・提出をお願いしたい。
(質問 .4)
-政治資金規正法22条の6に定める「本人の名義以外の名義・・で」、「匿名で」とは、それぞれどのような行為を言うのか。
(回答)
-本人の名義以外の名義を使うケース、氏名等を表示しないケースが該当する。

【委員会側コメント】
 「政治資金の寄附についてAが資金を出して、その資金でBが寄附をしてきたという場合、それを受け取った政治団体の会計責任者は、収支報告書に寄附者としてAを記載すれば良いのかBを記載すれば良いのか」との質問を、総務省担当者に対して繰り返し行ったが、「法の趣旨に則り、実態に基づいて適切に記載して頂きたい」との回答を繰り返すばかりであった。これでは、全国に無数に存在する政治団体、政党、政党支部の会計担当は、寄附者について収支報告書にどう記載したら良いのかまったくわからない。それを会計責任者が自分で判断し、間違っていたら罰則が適用されるというのでは、とても会計責任者はやっていられない。これは、今回の事件を機に検討が開始されている、企業団体献金の全面禁止をめぐる議論にも重大な影響を与えかねない(個人献金も、その資金の出所がわからないと受け取れないということになる)。
 政治資金規正法の解釈・運用に関して重大な問題があることが、今回のヒアリングで明らかになったというべきであろう。



政治資金規正法を所管する総務省の担当者(自治行政局選挙部政治資金課の市川課長補佐)が出席。

委員たちは、この法律が収支報告書に記載せよと定める「寄付者」が、形式的に寄付行為を行った者なのか、それとも実際のカネの出所か、どちらを指すのか明確にしようとしている。

しかし、判明したのは、この法律は非常にあいまいな部分が多く、場合によっては捜査当局が都合良く運用しうる、ということだった。

西松事件において、2つの政治団体(=寄付行為者)が報告書に記載されているのだから、西松建設(=資金拠出者)が伏せられたことに問題はなかったと明言してきた委員の1人、郷原氏は、ちょっとげんなりしたのではないだろうか。

◆罰則規定があいまい

郷原氏(G)と総務省担当者(A)のやり取りはこう。

G:我々が聞きたかったのは、寄付の行為者と資金の拠出者が違う場合、寄付の行為者だけでなく資金の拠出者も収支報告書にも書かなければならないのか?
A:拠出というのが、多種多様な世の中、形態がある。拠出という一語を持って、先生が考えているような結論になるかどうかは定かではない。
G:要するに、寄付をしたという金銭の移転という外形的行為をした人を書けということで、それ以外の人を書けとは政治資金規正法は求めていないのでは?
A:法律のことしか我々は言えないが、寄付というのはこういう定義で、寄付をした者を記載しろとなっている。
G:ということですよね。それ以外の人を書けとはなっていないんですよね。
A:寄付をした者を記載しなさいとなっている。
(委員苦笑)
G:その寄付をした者の意味は供与と交付とあるわけで、外形的に金銭を移転させる行為を自分の名前で行う場合……。
A:まあ、条文上は外形的にとは明文としては書いていない。金銭物品その他財産上の利益の供与または交付という風に書いている。
G:とすると、単純化して言った場合、Aという人がBという人にお金を渡して、Bという人が政治団体や政党などに寄付した場合、それを受け取った側は、もしお金が出ているのは実はBじゃなくてAなんだとある程度認識していた場合、どう収支報告書に記載すべきか尋ねられたら、どう答えるのか。
A:我々としては、寄付はこういう定義で、寄付をした者を記載してくださいと答える。

こうした役人然とした煮え切らない対応に、郷原氏は当然、こう突っ込む。

「行政庁が基本的にこうすべきだという解釈を示すべきだと思う。それがなければ、罰則の適用を捜査機関、司法当局がどうにでも解釈してしまう」

委員たちにあれこれ言われ、総務省担当者は最後はこう嘆く。

「(政治資金規正法は)議員立法で、主たる改正も国会で議論されたという経緯を考えると、何というのか、政府提案の法律に比べると、言い難い部分があるが……」

つまり、自民の議員先生方が勝手に穴だらけの法律を作ったんだから、役人側としては何とも言えない部分があるんだ、と。

「トンネル献金」など日常茶飯事の自民党の先生方が、自分たちが摘発されないように抜け道のある法律をつくったわけだから、法解釈があいまいになるのは当然なのだ。


以下、もう少し詳しいテープ起こし。

※A=総務省担当者、G=郷原信郎・名城大教授、S=桜井敬子・学習院大教授、I=飯尾潤・政策研究大学院大教授

G:金銭が移転する、経済的利益が移転する、という場合の広く含む概念が「寄付」ではないのか。
A:供与、交付どちらも含むので、おっしゃる通りだろう。
G:我々が聞きたかったのは、寄付の行為者と資金の拠出者が違う場合、寄付の行為者だけでなく資金の拠出者も収支報告書にも書かなければならないのか? 資金の拠出者が違う場合であっても、記載しなくて良いのか?
A:拠出というのが、多種多様な世の中、形態がある。拠出という一語を持って、先生が考えているような結論になるかどうかは定かではない。
G:要するに、寄付をしたという金銭の移転という外形的行為をした人を書けということで、それ以外の人を書けとは政治資金規正法は求めていないのでは?
A:法律のことしか我々は言えないが、寄付というのはこういう定義で、寄付をした者を記載しろとなっている。
G:ということですよね。それ以外の人を書けとはなっていないんですよね。
A:寄付をした者を記載しなさいとなっている。
(苦笑)
G:その寄付をした者の意味は供与と交付とあるわけで、外形的に金銭を移転させる行為を自分の名前で行う場合……。
A:まあ、条文上は外形的にとは明文としては書いていない。金銭物品その他財産上の利益の供与または交付という風に書いている。
G:とすると、単純化して言った場合、Aという人がBという人にお金を渡して、Bという人が政治団体や政党などに寄付した場合、それを受け取った側は、もしお金が出ているのは実はBじゃなくてAなんだとある程度認識していた場合、どう収支報告書に記載すべきか尋ねられたら、どう答えるのか。
A:我々としては、寄付はこういう定義で、寄付をした者を記載してくださいと答える。
G:それ以上に、収支報告書に記載すべき人はこういう意味なんだとは教えないということ?
A:教えないというか、条文としてはここまでしか書いていないので、個々具体の資金の拠出の形態がさまざまあるのは容易に想像されますし、用件を我々が個々具体的に把握するのは不可能なので、法律上はこうなっているという紹介にとどまるしかない。
S:そうすると、形式が整っていることに行政、総務省としては関心を置いて法の運用をしていると理解してよいのか?
A:そこはですね、関心があるというより、非常に政治活動の自由と密接に関係しているので、行政府がこの政治団体の活動に一般的に考えて関与するのはいかがかという風に考えている。ですから、法律上の書類上の形式審査しか認められていないんだろうと考えている。関心がないというより、法律上、そういう権限しかないと。
(略)
A:補足して説明すると、基本理念、この法律の基本的な考え方は、収支の状況を明らかにすることをむねとし、これに対する判断は国民にゆだねる。適切に執行していくことが我々の考えだろうと。
G:その収支の状況を明らかにするというのが、どこまで求められているのかが分からないと、どうやっていいのか分からないということになると思うが。収支報告書を提出する方は。どう記載すればよいか疑問に思った場合は、どこに聞けば良いのか。
A:我々も法律に書いてある範囲でお答えする。
G:そのときに、非常に迷うと思う。資金の拠出者と寄付の外形的行為をした人が違う時には、どうしたらいいのかと聞いて、法律に書いてある通りと言われても、書きようがないとなってしまうと思う。これじゃ収支報告書我々書けませんと言われたらどうするのか。
A:収支報告書を作成するのは会計責任者なので、そこは法律の趣旨に乗っ取って会計責任者が判断してもらう。
G:会計責任者が、この法律上求められている義務がどういうことなのか分からないとなった場合、誰かに教えてもらわなければならない。どうするのか。
A:繰り返しになるが、我々としては寄付の定義を述べ、その寄付をした人を記載してくださいと言うにとどまる。
I:それはやっぱり寄付する人がそういう風にその趣旨に対してきちんと行動するということですね?
A:はい。2条2項に書かれているが、政治団体はその責任を自覚し、政治資金の収支に当たってはいやしくも国民の疑惑を招かないよう法律に基づき公明正大に行わなければならないという基本理念がある。そこに基づいて会計責任者が適切に判断してもらいたい。
S:じゃあ、自己責任でやってくれということですか? 罰則があるので、構成要件としての意味合いもありますよね? その法の解釈が。予測可能性が担当者の人には答えられない感じがするのだが。関連して29条に、報告書の真実性の確保のための措置とあるが、真実性とは何か。定義は。
A:実態に即して記載していただくということ。
S:実態とはどこまでが実態か?
A:実態を把握しているのが会計責任者。
G:まさにその通りだが、でも、何が求められているのか分からなければ、実態をどう表現していいのか分からないのでは。
S:だから、25条の虚偽記入の「虚偽」の概念がまさに問題になるのだが、そこをどうするかで刑罰を受けるかもしれないという、そういう制裁がありうるという中で(会計責任者は)記載しなければならない。(しかし)具体的な基準が示されていないことになるが。
(略)
G:本来どう罰則が適用されるかということは、政治資金規正法のルールの周知が徹底されて、それを守っていればいいんだけれども、意図的に守らない政治団体とか会計責任者がいれば罰則を適用しますよ、となるはず。ですから、行政庁が基本的にこうすべきだという解釈を示すべきだと思う。それがなければ、罰則の適用を捜査機関、司法当局がどうにでも解釈してしまう。まずは総務省として寄付が何を意味するのか、供与が何を意味するのか、交付が何を意味するのかという条文の意味を説明するのが普通だろうと思うが。
A:議員立法で、主たる改正も国会で議論されたという経緯を考えると、何というのか、政府提案の法律に比べると、言い難い部分があるが……。

【総務省関連】 郷原信郎氏定例記者レクの概要

 西松事件で一貫して、マスコミ報道のあり方と検察の恣意的捜査に異を唱えていた郷原信郎氏が、日本郵政のガバナンスとコンプライアンスを検証をはじめている。この記事をココログから引越しをしたのが2010年に入ってからなので、引越しの時点では総務省の顧問と言う立場である。なお記事は、アップされた日付けとなっている。


2009.6.4
第62回定例記者レクの概要

名城大学コンプライアンス研究センター 郷原信郎
今日は二つのテーマを用意しました。まず一昨日、6月1日の二階経産大臣の派閥に対する西松建設の例の関連団体からのパーティ券の購入について、収支報告書の虚偽記入で告発を受けていた事件について不起訴処分をした件。この件は、政治団体の方の収支報告書の虚偽記入の問題と、お金を出していたほうの西松建設側が他人名義の寄付、この事件では他人名義のパーティ券の購入の容疑にも問われていて、同様に告発をされていたのですが、こちらの方も不起訴になりました。この2つの問題に分けて考えてみる必要があると思うんです。

まず政治団体側の問題です。この「新しい波」という二階氏の派閥の政治団体の側に収支報告書の虚偽記入罪が成立するかどうかということに関して、読売新聞の記事が一番詳しかったのですが、パーティ券の購入を西松建設側に依頼したのは二階経産省の秘書で、新しい波事務局では西松側と接触がなく、2団体がどうしてもダミーだということを認識していなかったという理由で、嫌疑不十分で不起訴になったということだそうです。こちらの方の不起訴はこういう事実関係を前提にすれば致し方ないのかなという感じがします。陸山会の問題では、直接、西松建設関連の政治団体側や西松側との接触があったのは、小沢氏の秘書の、逮捕された大久保秘書だったのだろうと思います。

ところが、今回は派閥のパーティ券の問題で、このパーティの主催をする政治団体というのは、二階さんという政治家そのものでなくて、派閥だということなので、この政治団体の収支報告書の記載などは、二階氏の秘書などではなく、派閥の側の担当者が行っていることになります。こうなると、仮にこの2団体が西松建設のダミーであったとしても、ダミーだということの認識がなかったということは十分考えられるところで、これは仕方がないという感じがします。もちろん、それにはもっと隠された事実があって、この派閥の関係者も丸ごと西松建設との関わりを知っていたとか、そういったところにも関わっていたというような可能性もないではないかも知れませんけれども、少なくともそういうような事実が出て来てないということになると、ここは政治資金規正法違反に問うのは認識の点で無理だというのは、これはいちおう理解できるところだという感じがします。

問題はもう1つの西松建設側の被疑事実です。こちらはこの読売新聞にも書いてあるように、「一方、国沢被告は違法献金の仕組みを考案したが、民主党の小沢一郎前代表の秘書の事件ですでに起訴されているため、起訴するまでもないと判断した」と。だから、起訴猶予だと言うんですけども。こういう理由で起訴猶予にできるかなという感じがします。まず、この西松建設側、国沢社長はもともと確か7千万ぐらいの外為法違反の事実で逮捕されてたんです。それで、今回この小沢代表の秘書が逮捕されたと同時に、再逮捕されたわけです、政治資金法違反で。その事実は陸山会に対する100万円の他人名義の寄付の事実です。そして、起訴の段階で500万円に膨らんだわけです。当初は陸山会に対する寄付でしたが、それをなんとか金額を増やしたかったんでしょう。小沢さんが代表を務める政党支部のほうへの寄付も含めて、他人名義の寄付500万ということで起訴されたわけです。ただ、少なくとも逮捕拘留容疑は100万円の他人名義の寄付だったのです。

一方、今回起訴猶予になった他人名義のパーティ券の購入ですけども、これは収支報告書によりますと、6月21日に愛知のパーティで120万、それから7月28日に東京のパーティで100万、それから6月26日にこれも愛知で60万、7月20日に60万。トータルすると340万になります。となると、起訴事実の500万と340万を比較しても、そんなに小さな金額ではない。3分の2ぐらいですよね。しかも逮捕拘留事実の100万と比較すると3倍以上です。これがなぜ、すでに小沢前代表の秘書の事件で起訴されているために起訴するまでもないというのか。これでは起訴猶予にする理由にならないのではないかという感じがします。

敢えてそこを忖度すると、もともとこの件は外為法違反のほうが本件で、そっちの方が量刑上も重要な事実なんだから、この他人名義の寄付だとか、他人名義のパーティ券の購入の部分は端パイだ。最初から大して重要じゃないんだというのならわかります、そういうのであれば。ただ、そうであれば、最初から100万円だけの事実で再逮捕するのかというところが疑問になりますし、もう1つはもしそういう考え方で外為が主体で、政治資金規正法違反は大して重要じゃないと言うのであれば、6月19日の西松建設側の第1回公判のときにも、全体のうちわずかの部分しか書かないのが当然だと思います。その被告人の起訴された事件の中ではほんのちいさなもので、量刑上もそれほど重要性はないんだけども、そこのところだけを世間に対して目立つようにしたいという他の目的をもって、政治資金のところばかり冒陳の記述を膨らませるということは通あってはならないと思いますし、その辺のバランスが問題になるのではないかと思います。いろんなところで今後のこの事件をめぐる動きにも関わってくるのではないかという気がします。

いずれにしても、二階派の政治団体のほうの虚偽記入について嫌疑不十分は致し方ないという気がしますが、西松建設側の不起訴理由については、私はちょっとおかしいのではないかという感じがします。そういったところに、そもそも自民党側の事件には手をつけたくない、という検察の姿勢がうかがわれるのではないかと思います。
もう1つのテーマが、例の日本郵政株式会社の西川社長が続投する・しないということで、今大変な騒ぎになっていて、鳩山総務大臣がこの続投の人事案は認可しないということを言っているということなんですが。この問題を企業の、会社のコーポレートガバナンスの観点からどう考えたらいいのか。これはちょっとむずかしい問題ですね。今回、私も少し考えてみました。

まず、そもそも日本郵政株式会社というのはどういう経緯でできたのか。日本郵政株式会社法というのは基本的にどういう考え方の法律なのかということを考えてみないといけないのではないかと思います。要は例の郵政民営化の流れの中で、それまで日本郵政公社だったものが、分割されて民営化されたわけです。そのときに公社から民営会社になって、100%株式を国が保有する会社になった。一方で、こういう役員の人事に対する国の介入ということで、会社の取締役の選任・解任、並びに監査役の選任・解任の決議は総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないということになったわけです。要するに、これは郵政民営化に伴って、それまで公社だったものを完全に民間会社にしていくのだけれども、そのプロセスでまだ公社的なといいますか、公的な性格の強い会社という存在にどうしてもならざるを得ない、その移行期では。その移行期において役員の選任・解任についての所管官庁の認可というような制度を残したということになります。

一方で、すでに民営会社になって、株式会社化されているわけですけども、その株式は国が100%すべて持っているわけです。今回、問題になっているのは、民営会社になった、民間会社になったんだけども、100%国が株式を持っているという状況で、その保有している株式を所管している大臣は財務大臣、そして郵政公社のところからきている、民間会社になっても国の介入、管理が予定されている、その認可権のところは総務大臣の所管。そこで両方の大臣の意見が違っているのをどうしていくのかということになっているわけです。

この問題、どうしてこういった認可をしないということが出て来ているかというと、例のかんぽの宿の問題で、要するにこの問題に関して、日本郵政の西川社長が責任をとるべきだという考え方を鳩山総務大臣はしているわけです。これがむしろ公的な会社としての社長の責任なんだと。こういった問題を引き起こした以上、公的な会社の社長の人事のあり方として辞任するのが当然だという考え方にもとづいて、それを今回の認可のところでそういう結果を実現しようとしているわけです。

そう考えると、株式を担当している財務大臣のところで「株主として異論はない、それでそのまま続投してもらってかまわない」という話と、総務大臣のところでの認可の話とはまったく方向の違う話なんだと思うんです。財務大臣のほうというのは株主の立場ですから、要するにこの会社の経営者として、会社の利益を生んでもらわないといけない、損失を出さないようにしてもらわないと困るという観点から、この西川社長が続投するんだという人事は会社にとって必ずしもマイナスではないという判断をしたということだと思います。

ところが、公的な性格を持った会社ということになると、国民の意思というものをある程度反映させて、多くの国民が疑念を持っている問題について、きちんと決着をさせないと、国民の信頼を得て事業を行っていくことができないという観点から、総務大臣が認可権限に基づいて「この人事はノーだ」と言っているのであり、株主の利益の問題とは別の観点の判断なのかなという感じがします。

私は、この問題に関しては、今の過渡期状況をどのようにとらえるかということにもよるんですけれども、やはり総務大臣の立場での判断が、これがむしろ優先されるべきなのかなと思います。問題はその総務大臣の判断が適切なのかどうかということだと思います。第三者委員会がこのかんぽの宿の売却に関していろんな問題があったことを指摘はしているけども、結論としてはそれは違法ではなかったという判断を示している。そこが非常に微妙なんですね。違法ではなかったかも知れないけども、この西川社長の下で進めようとしてきたかんぽの宿の問題が、そのまま社長が続投することが適切ではないと言えるような問題なのかどうか、ということを改めて総務大臣の判断が適切かどうかということを考えなきゃいけないわけで、財務大臣が、株主の立場でいいといっているから別に問題ないんだという理屈はちょっとおかしいんじゃないかという感じがします。

かんぽの宿問題も非常に微妙なので、これはなんとも言えないところなんですけど、そこをもう一回じっくり鳩山総務大臣は何をもって「これは絶対に続投は認められないんだ」と言うか。それに対して、そうじゃないんだと。これは続投することを容認することが、むしろ公的な性格を持った会社としても適当なんだと言えるのかどうか。そこを詰めて考えていかないといけない。そこがポイントなんじゃないかと思っています。

私の方からは以上です。

□□ プロセスから、どうして総務相が考えが優先されるべきだというふうになるのでしょうか。

郷原 私の考え方は、完全に公社だったところから、完全に民営会社になる。最終的には民営会社として認可というのがなくなっていくプロセスなんです。今どういう段階にあるかということなんだけれども、おそらく日本郵政という会社にはまだかなり公的な性格が残っていて、その公的な性格というところに関して、総務大臣の認可権というのが残っている。とすると、その公的な性格を持っているところというところが、おそらくかんぽの宿の売却問題に関しても、そういう制約の下で売却すべきだということになっているわけでしょう。だから、ここでこの西川社長の下で売却をしようとしたことに関して、ああいう、いわゆる不祥事というのが発生して、それに対して国民の疑惑を招いたということが問題になっているわけで、もしこれが本当に絶対許されないような不祥事を起こしたのに、社長が経営責任をとろうとしないということであれば、それについて総務大臣が、認可権に基づいて「ノー」というのは当然のことではないかと思います。それを「いや、今後ちゃんとやっていくんだから、株主に対して迷惑かけないんだからいいや」ということで考えられるかと言ったら、おそらくそうは考えられないだろうと思います。そういった公的な性格の部分を考えて、やはり認可ということは残っているわけだから、総務大臣がそういう観点から認可しないというのは、理屈上はおかしくはないと思っているんです。それと関係なく、「財務大臣が100%の株式をすべて所管しているんだから、財務大臣がいいと言えば、総務大臣が口を出すべきではない」とは言えないだろうと思います。

問題は総務大臣が言っている「認可しない」というのは、これが適切なのかどうかというのは、もうちょっと議論を詰めないといけないところで、今問題になっているのは、総務大臣と財務大臣が意見が違っていて、調整不可能になってどうしたらいいのかという話をしているんだけれども、僕はむしろ総務大臣の認可権限というのは、ちょっと本件については無視できないだろう。そうであれば、総理大臣が総務大臣とよく話をして、それで納得するかどうかの話であって、財務大臣は引っ込んでいた方がいいんじゃないかということなんです。

□□ コーポレートガバナンスという観点から、つまり日本郵政は傘下に4事業会社をぶら下げている持ち株会社であるわけです。今回、かんぽである日本郵政、持ち株会社のところで不動産事業売却ということで、そこが問われているわけですけれども、一方でそれ以外にも郵便事業会社での郵便不正とか、傘下の事業会社でもいろいろ起きていると。だから鳩山大臣はトータルで日本郵政グループのガバナンスがなっていないという説明をもって、退任の要求をしているわけですけれども、その考え方はどうなんでしょうか。つまり一説には持ち株のトップに傘下の郵便事業のところまで責任を求めるのは酷じゃないかという考え方もあるようですけども、そこはコーポレートガバナンスという観点から見ると、どうですか。

郷原 やはりそれは連結ベースで、グループベースで考えるのが最近の会社法とか、企業のコーポレートガバナンスの潮流でしょうね。それは別におかしなことではない。やはり、もともとは1つの公社だったものが分割されて、それを持ち株会社として、どうやって全体をうまくマネージしていくのかということは、これはやはり持ち株会社自体の問題でもあるし、しかも私は例の郵便不正事件というのは、日経ビジネスオンラインにも前にちょっと書いたのですが、郵政民営化を進めていく過程で、競争原理を徹底するという前提であれば、もう少し料金設定も自由にしないといけないはずなのに、郵便法という古いスキームがそのまま残っていて、たしか第三者郵便は120円、それから大口割引60円と、その下が障害者割引で突然8円になっちゃうわけでしょう。そういうような硬直的な価格設定のもとで、郵便事業会社側で取扱い数量を確保しろと。受注量を確保しろと言われたって、できないでしょう。それで郵便料金の収入の問題と、量を確保の問題をトータルで考えると、8円という料金での受託にもかなり重きを置かざるをえなくなったというようなところが背景にあるのではないかと思います。そうだとすると、これは郵政民営化という国の政策の進め方の問題であって、ある意味では日本郵政株式会社という持ち株会社の経営方針とか、経営姿勢がもっとも問われる問題と言えるのではないか。そういう意味では、その問題も併せて、社長続投を認可するかしないかという判断の材料にするというのは全然おかしくないと思いますね。

□□ 郷原さんは、例えば今のかんぽの宿の問題とか、例の郵便会社の問題とか、そういうことが起きた結果としての日本郵政グループ全体のコーポレートガバナンスの問題について、これはやっぱり問題があるよねと。今、見えてる事実からしても問題あるよねと。ついては、これは今の企業社会の普通の常識であれば、企業責任をとってもいいような、そういう問題を起こしたのであるというふうに見られるのか、いや、そこまでは行かないよねというような問題なのか、どちらでしょうか。

郷原 私はむしろそういう意味で考えると、郵政民営化を円滑に進めていくプロセスに失敗しているんじゃないか。それは国の方針で始めたことなんだけども、それをやはり全体の企業グループのトップとして着実に、円滑に進めていこうというのは経営者の責務じゃないですか。それが果たされてないのでその過程でこんな問題が発生しているわけだから、やはり責任を問われるのは当然じゃないかと思うんです。その責任の重さの判断については事実に基づいて細かく考えていかなければいけないので、その当否について私の立場ではっきりしたことは言えませんが、鳩山総務大臣が「これは辞任に値する。それを辞任させない、続投させるという判断がおかしい」というのは、それなりに理屈は通っているということです。

□□ これ、どこに真実があるのかむずかしいと思うんですけれども、この制度設計に問題があるとしたら、それを来てまだ2年に満たない西川社長に全責任を被せるということになんとなく割り切れない感じがあるんですよね。
郷原 そうですね。だから、そこは私も今回の問題とか、日本郵政株式会社のコーポレートガバナンス全体について細かく検討したわけじゃないので、西川社長が持ち株会社の社長の立場でいったいどこまでのことができたのかについては、ちょっとなんとも言えないんですが、しかし、基本的にこの郵政民営化のスキーム、その船が向かっていく方向自体がまともじゃないんじゃないかと思われるときに、その船の船長さんなんだから、船長さんはやっぱりしっかりしてもらわないと困る。おかしいんだったら、おかしいってちゃんと言ってもらわないと困るでしょう。それを、そのまま船長として船を操縦してきて1つの方向に舵を切ってきた。その結果、こういう問題が発生しているということは、かなり重大な問題と受け止めてもらわないといけないんじゃないかということですね。

□□ 所感をおうかがいしたいんですけれども。小沢問題の強制捜査があってちょうど丸3ヶ月になるんですが、この間、郷原さんは一方の側に立って、検察捜査について一石を投じて、この間世の中にいろんな論争を呼び起こしてきたと思うんです。その成果、ありやなしやと。この3ヶ月の時点で中間総括を聞かせていただけますか。

郷原 改めて振り返ってみると、3月4日だから、ちょうど3ヶ月前ですか。大久保秘書の逮捕、強制捜査着手の翌日に記者レクをやって、そこで20人余りの人が来てくれて、私が今回の強制捜査の対象となった政治資金規正法違反の事実について、いろんな問題点を指摘した。そのとき記者レクに集まった人のうちかなりの割合の記者の人たちがそれなりのアウトプットを行ってくれた。週刊誌とか新聞、通信社とか、いろんな人がいたわけですけども。それが今までにはなかったような、この種の検察捜査に対する社会の反応につながったということは言えるんじゃないか、そういう意味では私がこの記者レクの場で発言をした意味はあったかなという気はするんです。

もちろん最初は、捜査の状況がまったくわからなかったわけだから、いろんな仮定の下で考えるしかなかったし、基本的には捜査の行方を見守りながらコメントをしていくしかなかったわけです。私は検察の内部の情報はまったく入手し得ない立場で、外からこの事件を見て、考えられるだけのことを考えて、ものを言ってきたつもりですが、基本的には私が外から見て予測したことは、ほぼその通りの展開になっていったのではないかと思います。司法クラブの方々は検察の内部から情報をとろう、とろうとされてたんだと思うんですけども、意外と離れたところから客観的にものを見ていったほうが正確に動きが予測できたという面があるのではないかという感じがします。

一方で、私が検察捜査の問題を指摘して、一方でそれが政治的に民主党の小沢代表の辞任の時期を遅らせることになったとか、有利に働いたという面もあるかもしれないんですが、これはまったく私の意図するところではありません。私は政治的にはいろんな場で言ってますけれども、もともと小沢的政治手法というのは支持しないというか、あまり自分としては評価しないという立場であって、別に小沢さんを延命させようというような意図で発言をしていたわけではまったくありません。私は検察捜査のあり方についてものを言うのは、検察に長くお世話になってきた自分の義務だと思っています。こういうかたちで問題のある捜査がもしそのまま容認されて、その程度の捜査で今後重大な政治的影響が生じさせられるということになったら、日本の民主主義にとっても重大な脅威になるだけでなく、ほんとに検察の組織自体にとってもマイナスだし、後輩たちの、これから良い仕事をやっていかないといけない特捜検察にとっても絶対マイナスだと思うんです。

その問題に関しては民主党の設置した第三者委員会の報告書、たぶん来週ぐらいには公表できることになると思うので、そちらのほうをぜひよく読んでもらいたいと思います。われわれ第三者委員会のほうでは別に特別の新たな調査とかやったわけじゃなくて、公表されている資料――収支報告書とか、あるいは西松検察の内部調査委員会の報告書とか、そういったものにもとづいて改めて今回の事件を見るしかなかったわけですが、いくつかはっきり言えることは、今回の西松建設の事件は、私が今まで思っていた以上に刑事事件として問題があると考える根拠になるような事実が、第三者委員会の事実確認の中でたくさん出て来たということです。1つは、多くの人は西松建設の政治団体から陸山会に対する寄付は2003年以前にも行われていたが時効にかかっていた。2003年以降のものだけが時効にかかっていなくて捜査の対象にされ、起訴された、というふうに思っていると思いますし、私もそうだったんですけども、そうじゃないんです。この陸山会に対する寄付は2003年以降だけです。それ以前はありません。これは収支報告書を調べてみてもらえばいい。2002年までは小沢氏が党首をしていた自由党の政治資金団体、改革国民会議に対して行われていた。その寄付がほぼそっくりそのまま振り替わるかたちで陸山会のほうに行くようになったんです。

ですから、その段階で小沢さんが自由党の党首として民主党に合併したわけですから、合併に伴う事務手続的なものとして、陸山会の収支報告書に西松検察から従来改革国民会議で受けていた寄附を、どう記載するかについて、政治団体だから資金管理団体で寄附を受けても問題ないという判断が行われたと見るのが自然ではないかなと思います。とすると、捜査の最初の段階で言われていた、西松建設の政治団体はそもそも小沢氏への政治資金を流すために、そういったことを画策してつくった団体なんだ、という話はいったいどこから出てきていたのだろう、ということが大変疑問になります。これは少なくとも政治資金収支報告書を見ると明らかです。

『思考停止社会』で様々な分野の事例について世の中が大変誤解をしている問題を書きましたけれども、この西松献金事件もひょっとしたら世の中が大変な誤解をしているのではないかという感じがします。それ以外にもいろいろありますが。その辺は第三者委員会の報告書の中で書くことになると思います。

2009年6月2日火曜日

【沖縄密約資料】 核持込及び公開文書

  共同通信による「60年安保の核密約」記事は、なかなかのヒットだった。配信を受けた新聞社の中で、東京新聞は1面、北海道新聞も1面。ほかにも多くの地方紙がこのニュースを大きく扱ったようだ。(私に見落としのない限り)全国紙の朝日新聞、読売新聞は、この件を全く報じていない。毎日新聞は「一部報道を官房長官が1日の会見で否定した」という形で報じたが、せめて、最低でもそのくらいの記事にはすべきだろう。「一部報道」という引用のやり方も、いい加減に止めたらどうかと思うが、まったく無視することはなかろう。

そして、である。この共同通信の記事が配信された後の、外務省の記者会見が、会見記録のテキストを読む限り、どうやら、全く盛り上がっていない。ふつうなら、スクープされた怒り・情けなさもあって、容赦ない質問が飛び交う、、、ものだと思っていた。しかし、実情は違ったようだ。以下は、外務省のHPに記載された6月1日の薮中三十二外務事務次官の会見記録(当該箇所のみ抜粋)である。


(問)一部報道で、「60年安保の核持ち込み密約」があったと報じられています。報道によれば、外務官僚が文書を管理して出す出さないを判断していたと、そして総理、外務大臣にも教えたり教えなかったりと、実際に引継ぎもされていたと、具体的に匿名ですが4人の次官の証言も報じられていると、これについて、事実関係を教えてください。

(事務次官)これは明白であり、そのような密約は存在しないということ、これは繰り返し歴代の総理、外務大臣も説明をされておられますけれども、これに尽きているということですし、私が承知していることもそれに尽きているということです。

(問)特段引き継がれてはいないと。

(事務次官)全くありません。

(問)その4人の中には、日本政府は国民に嘘をついていたと証言されている方もいます。否定するということは、その4人の方が嘘をついているというご認識なのでしょうか。

(事務次官)その4人の方というのが、どういう方で、どのような形でインタビューされたのかよくわかりませんが、私が申し上げたいことは、そのような密約は存在しないということです。私自身もそれ以外一切承知していませんし、大事なことは歴代の総理も外務大臣もきちんと明確に説明をされていると、これに尽きていると私は考えています。

(問)国民の方から見ると、どちらが本当なのか、むしろ具体的な4人の方のお話の内容からみると、外務省の方が嘘をついているのではないかと思うのではないかと思うのですが、80年代から90年代に次官をされていたということで、ある程度特定されるのですが、外務省として話しを聞いて事実関係を調べるというお気持ちはあるのでしょうか。

(事務次官)その必要は全くないと思っています。我々としての説明は一貫している訳ですから、それ以上の事は必要ないと考えております。


会見記録が実際のQ&Aを忠実に再現しているものと考えたら、この核密約問題に関する質問は4つ。北朝鮮問題があったとはいえ、全体の問答からすれば、全体の5分の1弱の分量しかない。事の重大さに比べたら、いかにも質問が少ないではないか。加えて、質問がどうにも優しい。別に、言葉を荒げる必要はないが、この会見録の感じからすると、記者たちは、ずいぶんと「物分かり」が良さそうだ。

例えば、3つめの(問)。質問者は「次官経験者の4人は嘘をついたということか」と聞いているのに、藪中次官はそれに答えず、「密約は存在しない」と言っている。質問の仕方を説経したいわけではないが、もっと、たたみかけて聞けばいいのに、と思う。「では、次官経験者4人が嘘をついたということでいいですね?」とか、「藪中次官は正直者だけれども、藪中次官の先輩の4人は嘘つきなんですね?」とか。あるいは「こんなデタラメを書かれたわけだから、共同通信には当然、抗議したんですね?」とか。

だいたいにおいて、米国でこれに関する公文書が公開されているにもかかわらず、日本政府は「密約はない」と言い続ける。その図式こそが、滑稽極まりないのだ。そして、そういう、「公然たる嘘」を許してきたメディア側の責任も相当に重い。

例として適切かどうか分からないが、数年前、北海道警察の裏金問題を追及した際、当時の取材班は取材をスタートさせる際、「裏金の存在を公式に警察に認めさせる」ことを目標に置いた。なぜなら、公式に認めさせない限り、いくら悪弊を暴く記事であっても、「書きっぱなし」で終わる可能性が高かったからだ。警察の裏金自体はその時点でも、過去、週刊誌や全国紙などで何度も報道されていた。警察の裏金の存在を暴くこと自体は、何も、全く新しい話ではなかった。しかし、それに関する過去の報道は、「裏金の存在を暴く → 警察は否定 → そのうちウヤムヤになる」というパターンの繰り返しだったのである。これでは、世の中、悪弊はなかなか是正されないのだ。北海道警察が裏金の存在を認めるに至ったのは、原田宏二さんという元道警の大幹部が、実名で名乗り出て、その存在を暴露したことが大きく寄与しているが、「認めさせるまで報道を続ける」というしつこさも結構な役割を担っていたと思う。

今回の「核密約」報道も、何となく、これに似ているように思える。もちろん、見えぬところで取材は継続しているかもしれないし、この先、さらに驚くような関連ニュースが出るのかもしれない。だから即断はできないのだが、しかし、例えば、報道後、最初の外務大臣会見だった2日の会見では、記者側から核密約の質問は全く出ていない。公式な記者会見での質問だけが取材ではないが、少なくともスクープされたネタに関して質問も出ないのだから、やる気の無さは覆い隠しようもない。

「会見で質問してもどうせ否定するから」などと思ってはいけない。たしかに、公の記者会見で「はい、確かに密約はございました」などと認めることは、ほぼあり得ないだろう。しかし、外務省幹部に厳しい質問を矢継ぎ早に浴びせ、それに対して何と答えたか・答えなかったかは記録に残せる。その繰り返しが大事なのである。「知る権利の代行者であるわれわれ記者は、この問題を看過しませんよ」という姿勢を見せ続けることが、まずは大事なのだ。そして、そういう会見記録の集積は、その時々の政治や官僚の姿勢を映し出す。国民には政治的判断の大きな材料になるし、後の世代にとっても価値ある記録になるはずだ。

密約を公式に認めさせることはできないにしても、せめて、会見でそれぐらいの質問は重ねて欲しい。「もう、会見はいやだ。取りやめにしたい」。相手にそう思わせてこそ、記者だと思う。


日米核密約/政府は真実を語るときだ 

 外交には秘密が付いて回るとはいえ、これはどうにも釈然としない。1960年の日米安全保障条約改定の際、核兵器を積んだ米軍艦船などの日本立ち寄りを黙認したとされる日米両政府間の密約である。

 その中身については、これまで何度か米側の開示公文書で明らかになっている。ところが、日本政府は一貫して密約の存在を否定し続けてきた。

 一方の政府が開示した公文書の内容と、もう一方の政府の説明が百八十度食い違う。不可解な「ねじれ」が解消されないなか、新たな証言が飛び出した。

 4人の外務事務次官経験者が共同通信社に明らかにしたもので、密約は次官らによって管理され、その判断で一部の首相と外相にだけ伝えられていたという。

 うち1人は、核に関する非公開の日米了解があり、次官の引き継ぎ事項になっていたことは「大秘密だった」と語った。密約をめぐる日本側の文書が外務省にあったという証言のほか、国会で事実と違う答弁を続け、「何か恥ずかしいなという思いがあった」と振り返った元次官もいる。

 次官といえば事務方のトップだ。外交現場の中枢にいた複数の当事者の証言が、何を物語るか。1人の元次官が明言したように、政府が長年くり返してきた説明がうそだったということだろう。

 国民に対する背信というほかない。同時に、「持たず、つくらず、持ち込ませず」という日本の「非核三原則」にも、重大な疑念を抱かせてしまう。

 問題はそれだけではない。核兵器の持ち込みという、戦後日本の根幹にかかわる問題が、限られた首相にしか伝えられていなかったという点だ。密約の内容を話していい首相と、そうでない首相を役人サイドで選別していたというから、官僚主導も極まっていた感がある。

 これらの証言について、河村建夫官房長官はあらためて密約を否定し、「米政府から事前協議がない以上、核持ち込みがないことに疑いを持っていない」と語った。

 従来とまったく変わらない見解を述べる対応には、歴代次官の証言がもつ重みを真剣に受け止めようという姿勢はうかがえない。日米安保への影響を懸念しているのかもしれないが、政府への信頼が大きく損なわれてしまう。

 こんな証言があってなお、重大な食い違いを放置していては、失うものの方が大きい。政府は真実を語るときだ。
(6/8 09:57)



米核密約証言 もはや言い逃れはできない
2009年6月2日

 1960年に日米安全保障条約(安保条約)が改定された際、米艦船や航空機に搭載された核兵器の持ち込みを、日本は黙認するという密約が日米間で交わされていたことが一段と鮮明になった。今回は外務官僚機構トップにいた人たちの証言だけに、政府も言い逃れはできまい。全容を国民に開示し、うそをついてきたことを率直に謝罪すべきだ。

 政府は、核兵器の持ち込みに関する事前協議制度について、日米間の合意は安保条約第6条の実施に関する交換公文と「核持ち込み」を事前協議の対象にするとの藤山・マッカーサー口頭了解以外にないとし、密約を否定。米政府から事前協議の申し入れがない以上、「核兵器の持ち込みはない」と答弁してきた。

 ところが、密約は外務省の歴代事務次官が管理、一部の首相や外相に伝えてきたと4人の次官経験者が証言した。

 密約の存在を裏付ける資料は米国の公文書公開に伴い、2000年ごろから報道されてきた。今回の証言を受け、政府はあらためて密約を否定しているが、事務方のトップを務めた次官の証言は重い。

 現在の日米安保条約は、51年のサンフランシスコ平和条約と同時に締結された安保条約を失効させた上で新たに成立した。

 旧安保条約に基づく米軍の駐留を引き続き認め、実態は改定とみなされ、「60年安保」ともいわれる。密約はその際、「秘密議事録」の形で文書化された。

 事前協議制度を設け、その運用として「現行の手続き」が盛り込まれたとされる。つまりは「旧安保の慣行でよい」との合意である。

 米政府戦略は「核兵器の存在は肯定も否定もしない」態度で一貫している。今後も米側から事前協議の申し入れがあり得ないのは明らかだ。

 日本は世界で唯一の被爆国であり、「核兵器は持たず、作らず、持ち込ませず」の三原則を唱えている。

 沖縄返還前の67年12月、沖縄を含む日本全体への「核兵器持ち込み反対」の世論に押され、当時の佐藤栄作首相が国会で表明、歴代政府もこれを国是として認めてきた。非核三原則の国是に反する密約を認めるわけにはいかない。政府は真相を明らかにし、改めるべきは改めるべきだ。


<核密約>河村官房長官が改めて否定
6月1日19時29分配信 毎日新聞

 河村建夫官房長官は1日の記者会見で、1960年の日米安全保障条約改定に際し、両政府が結んだ日本への「核持ち込み」黙認の密約を外務省が組織的に管理していたとの一部報道について、「(同条約で定めた)核持ち込みの事前協議がない以上、核持ち込みはなかったということに全く疑いを持っていない」と述べ、密約を改めて否定した。

 藪中三十二外務事務次官も会見で「密約はないと歴代首相、外相が説明している。それに尽きる」と否定した。

 一方、共産党の市田忠義書記局長は同日の会見で「事実とすれば、『非核三原則』を国是とする政府が国民をだまし続けてきたことに他ならない」と指摘。「核持ち込み」に関する密約があったと証言したとされる元外務事務次官4人を国会に参考人招致して真相究明すべきだとの認識を示した。【中澤雄大】

1. 刑事1~3審における明白な事実認定の誤まり

(1) 民事1審の原告本人尋問の中で言及したところであるが、本件事件の争点となっている1034号電信案(甲42)の3項「請求権」の項で、原文は「本大臣より重ねて何か政治的に解決する方法を探求されたく、なおせっかくの320がうまくいかず、316という端数となっては対外説明が難しくなる旨付言しておいた」とあるが、刑事1審判決でも2審でも最高裁決定でも「対米説明」と認定されており、明白な事実誤認を冒しています。

 対外とは、外務省及び政府からの外のという意味、要するに国会だとか、メディアだとかを指すものです。甲42の証拠の原文も「対外説明」とあるし、文脈上も対米説明では意味をなさないのだから「対米説明」は全くの事実誤認である。

 然るに刑事1~3審はこの明白な誤まりを是正することなく確定させている。最高裁決定を含め刑事確定判決の脆弱さを感じざるを得ません。尚、民事1審判決はこの点につき何の根拠も示さずに是正されている。

(2) 同じく民事1審原告尋問の中で指摘したところであるが、無罪判決を言渡した1審判決でさえ、吉野証人の嘘を看破れず、「秘密書簡発出の点に終局的には米国側からの要求を阻止できたことが認められ、以上の事実を総合してみると、体裁を整えることや秘密書簡発出を巡る折衝もなお違法ということはできない」と判示した(乙2p61)のです。この点が誤判であったことは、米公文書の存在や、2006年2月以降の吉野発言によって明らかであります。この点も刑事判決の事実認定のもろさを示しています。

(3) ①次に堀籠幸男現最高裁判事が本件刑事最決の判例解説を書いております。担当調査官が当該判例解説を書くと聞いておりますので、堀籠判事が、当該担当調査官であったと推察します。

 同判事は解説のp159で以下のとおり述べています。

 「いわば戦争によって失ったわが国の領土の一部を外交交渉という平和的手段により返還してもらうという重大な国家目的を達成するために、わが国の外交担当者が米国の外交担当者と行った一種の操作が対米請求権の財源問題である。すなわち、沖縄の施政権返還に伴い日本側がアメリカに支払う金員は、いわば政治的な?み金として3億2千万ドルと決ったが、そのうちから400万ドルは対米請求権の財源として使用することが合意された。しかしアメリカ側は財源の実質的負担は日本がすることになったとして国内を説得する必要があり、他方、日本側は請求権の財源を日本が負担するものではないとして国内を説得する必要があったため、右400万ドルが3億2千万ドルのうちから支払われることを秘匿しておくという合意がなされたものと考えられる。

 そうだとすると、我国が沖縄の施政権返還に伴い支払うべき金員の総額については国会の承認を得るものとされているのであるから、対米請求権の財源の処理の仕方について、それぞれの国内対策上若干の形式上の操作を加えたことは、外交交渉の過程ではある程度やむを得ないところであって、外交担当者に授権された範囲内のことであるというべく、違法とまではいえないのではなかろうか」
と記述している。

 これらは、本件最高裁決定を担当した最高裁判事の事実認識や法的評価を端的に示していると見るのが自然である。

② しかしながら、これらの事実認識が悉く間違っていたことは、本訴1・2審で提出した証拠によって明らかです。

   甲11(柏木・ジューリック秘密覚書)、甲24の1~5(ケーススタディ)、甲1の1~3(2002年発掘の米公文書)、甲2~5(2000年発掘の米公文書)、甲38(若泉敬論文)、2006年2月吉野発言などによって、明らかであります。

 解説が示した「沖縄の施政権の返還に伴い、日本がアメリカに支払う金員は3億2千万$に決まった」というのが抑々客観事実に反することであるし、400万$を米側は財源の実質的負担は日本が負担することになったとして国内を説得する必要がありとあるが、日本が米国に頼み込んだことで、アメリカが国内説得の必要性は全く感じていなかったものです。沖縄密約の出発点は、1969年の日米共同声明の前に柏木・ジューリック間で掴み金5億2000万$弱を日本が支払うということから始まっており、これに加算されたのが復元補償費の本件400万$とVoAの移転費1600万$の合計2千万$であり、この総額の中味を国内説明できるように、偽装し直した上で協定化する作業が大蔵省から外務省へ押しつけられたというのが歴史の真実なのである。

 ところで、刑事公判では、日米共同声明の時にすでに沖縄返還の財政取り決めは大方決着ついていたことは一切法廷に顕出されていなかった。刑事弁護人の弁論要旨には一切触れられていないことからもそのことは判る。

従って、最高裁第1小法廷の判事の認識と評価が「国内対策上若干の形式上の操作を加えた」とか、「外交担当者に授権された範囲内のことであり、違法とまでとはいえない」と外務省に同情的評価を与えていたということは全く的はずれという外ないのである。

刑事裁判として成り立たせるためには、日米共同声明の時点からの事実と証拠が刑事公判廷に顕出され、1034号電信文が法の保護に値する秘密なのか否か、佐藤政権の権力犯罪を示す証拠なのか否かが論ぜられなければならなかったのである。

米国の情報自由法によって、近時情報公開された前述の事実なり証拠が刑事公判で顕出されていれば、控訴人が無罪であったことは必定である。

2.
(1) 民事控訴審になってからも、密約を裏付ける米公文書が発掘され、控訴人は甲107~112、113として提出することができました。前者は「米国による沖縄の地権者に対する『自発的支払い』について、日本政府が、電信文の漏出により国会においてかなりの苦境に陥っており、(日本政府が)信託基金の設立延期を米国側に要請し、米財務省がこれに応えて1973年に延期を決定したというものです。

 後者は、沖縄返還後も、有事の際に米軍が核兵器を持ち込むことを日本側を認めた米公文書の発掘です。甲38の若泉敬論文の正しさを裏付けるものです。

 このように今後も米の情報自由法による米公文書の開示と発掘によって、続々と密約やその内容と詳細が発掘され、1034号電信文案が法の保護に値する秘密に該らず、却って佐藤政権の権力犯罪を示すことが一層明らかになっていくことが確実に予測できます。

(2) 今の処、吉野発言以外に告白する関係者は出現していませんが、外務省関係者、検察関係者から出て来ないとは限りません。

 又、日本で政権が交代した時に、外務省が隠してやまない沖縄交渉関連文書が出て来ないとも限りません。それらが出て来た時、控訴人の冤罪性が益々磐石なものとなることはあれ、検察主張立証の正しさを裏付けるものは出て来ようがあり得ません。同じく刑事最決の正しさを裏付けるものは出て来ようがあり得ません。

3. 吉野文六は、本件一審判決後も朝日新聞記者の取材に応じ、それは甲88の1~4のインタビュー記事となっている。ここでも数々の事実を重ねて暴露している。

 国家公務員は退職後も守秘義務が課せられている。しかし、外務省や政府高官や司法当局から、吉野の国家公務員法違反の言及はない。吉野が真実を述べているから手も足も出せないのである。

4. 真実は裁判の出発点である。

 沖縄密約事件において、今や真実が何かは明らかである。東京高裁第9民事部におかれては、刑事最高裁の誤判を正し、公正な判決を言渡されんことを期待するものであります。


六五年の日韓協定は、日本から韓国に無償三億ドル、年利3・5%の有償二億ドルの計五億ドルの経済協力をすることで締結された。三十五年に及んだ植民地支配の清算名目の金額と比べても、沖縄返還で動いた金の規模の大きさが想像できる

【吉野勉強会】 佐藤優・渡辺秀生

吉野勉強会 佐藤優・渡辺秀生氏と陸軍中野学校を語る

2009年6月1日月曜日

会見の主導権

西松事件が起き、民主党が第三者委員会を作った。
その、第三者委員会の最終報告会が行われたときに、神保氏が飯尾氏に対して質問をし結果、検察・警察と司法記者クラブとの力関係が顕になり記者会見の主導権を誰が握っているのかが問われる。

記者クラブが今まで言ってきたことが官僚によって覆された瞬間でもある。

【国内メディア】 「輿論」(Public Opinion)と「世論」(Popular  Sentiments)

 元毎日新聞記者の池田 龍夫氏が、日刊ベリタに寄稿をしている。彼、池田氏は、に沖縄返還密約訴訟でもよく知られていて自分も彼の記事を楽しみにしている読者の一人である。

西山事件で、西山氏がどのような人生を歩む結果になったのか、また毎日新聞がどのようにたたかれたかれたのか。その経験が、彼の記事を見ていて伝わってくる思いである。

「小沢問題」と報道の責任 過剰な世論調査、物足りぬ背景分析 池田龍夫
2009年06月01日09時12分 メディア展望

 小沢一郎氏が47歳で自民党幹事長に就任(1989年)してから20年、日本の政治地図が大きく塗り替えられてきたのに、小沢氏は〝政界の戦略家〟であり続けた。その小沢氏が、野党・民主党代表となって3年を経た2009年5月11日、突然「代表辞任」を表明して世間を驚かせた。

 東京地検特捜部が3月3日、小沢氏の公設第一秘書・大久保隆規容疑者を政治資金規正法違反(政治資金収支報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕してから、民主党に対する世間の〝風当たり〟が高まり、テンヤワンヤの騒動となった。

 「衆院解散・総選挙近し」と観測されていた時期に、野党第一党代表に照準を合わせたような強制捜査が果たして公正と言い切れるだろうか……。小沢氏は「この捜査は、政治的、法律的に不公正な国家権力の行使だ」(各紙3・4夕刊)と激しく反発した。大久保容疑者起訴(3・24)を経て、「検察vs小沢」の構図がさらに鮮明となり、民主党は窮地に追い込まれていった。

 「西松建設事件」は昨年春の〝内部告発〟が端緒で、海外事業を利用して裏金を作った外為法違反事件だった。捜査の過程で政治献金に流用された疑惑が浮上した事件である。大久保容疑者の起訴状によると、「大久保秘書は2003年から4年間で西松建設から計3500万円の献金を受け取ったのに同社OBが代表を務める政治団体からの献金と偽って政治資金収支報告書に記載した」との疑いだ。

 その間、マスコミの世論調査すべてが、小沢代表に不利な調査結果を報じており、小沢氏が「代表を続けることは、近づく総選挙にマイナス」と判断したに違いない。大久保逮捕から2カ月余の政局混迷に辟易していた国民は多く、「小沢代表辞意」を伝えた新聞各紙(5・12朝刊)は「遅すぎる決断」と論評し、「今後は政策で競うべきだ」と、一様に伝えていた。ただ、小沢民主党側の「政治献金の処理」が不透明だったにしても、これでもか…これでもかの〝世論のバッシング〟は一方的で、行き過ぎの印象を否めなかった。

 そこで、検察・小沢側双方の説明責任不足や世論調査などへの疑問点・問題点を洗ってみた。

▽〝小沢バッシング〟のような報道ぶり

 1946年に当用漢字が公布される以前、「輿論」(Public Opinion)と「世論」(Popular  Sentiments)には区別があり、輿論は「多数意見」、「世論」は「全体の気分」を意味する言葉だった。佐藤卓己・京大准教授はこの違いを重視し、輿論は「理性的討議による市民の合意」、世論を「情緒的な参加による大衆の共感」と定義している。

 今回の「検察vs小沢」で特に際立ったのが、マスコミの「世論調査」報道だった。学問的定義はともかく、「世論調査」データ(数字)に基づいて記事を作成、紙面制作や放送に利用する傾向が、ますます顕著になってきた。「面接調査」から「電話調査」へ調査方法が時代とともに変貌して、作業は容易になった。

 従来の「面接調査」は、手間とコストがかかり過ぎたうえ、家族形態の変化も調査方法転換の理由になった。「電話調査」にも試行錯誤はあったが、現在はRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)が主流。コンピューターがランダムに発生させる番号に電話して質問する方式だが、携帯電話普及によって調査対象者の年齢構成に支障を来す難題も生じている。

 3月3日の「小沢代表の公設秘書逮捕」の衝撃を受け、メディア界は世論調査合戦の様相を呈した。各社が毎月実施している調査では、内閣支持率・政党支持率がメインテーマだが、3、4月の調査は「小沢代表と政治資金疑惑」に重点を移した調査方法だった。中でも『朝日』『読売』が3月に2回も全国調査した(いずれも一面トップ)のは異例で、一連の報道を検証すると……。

 [朝日3・9朝刊]「小沢代表辞任を57%/民主支持は小幅減」の大見出し。麻生内閣については「支持しますか。支持しませんか」の質問(支持14%・不支持70%)だが、小沢氏に関する質問は長ったらしく、誘導的な印象を感じたので具体例を一部引用して参考に供したい。

 ▽質問①「民主党の小沢代表の秘書が、西松建設の違法な政治献金問題で逮捕されました。小沢代表は『企業からの献金と認識していなかった。やましいことはない』と弁明しています。小沢代表の説明に納得できますか」

 回答=納得できる12%、納得できない77%
 ▽質問②「小沢さんは、民主党の代表を続ける方がよいと思いますか。辞めた方がよいと思いますか」
 回答=続ける方がよい26%、辞める方がよい57%
 ▽質問③「小沢代表の政治献金をめぐる問題で、あなたの民主党に対する印象はよくなりましたか、悪くなりましたか」
 回答=よくなった1%、悪くなった40%、変わらない56%

 [朝日3・30朝刊]「小沢代表辞任を63%/比例投票先、民・自が接近」の大見出し。小沢氏に関する項目は更に多い(質問は要約)。
 ▽質問①「比例区の投票先は何党か」
 回答=自27%(前回24)民31%(36)
 ▽質問②「小沢さんの説明をどう感じたか」
 回答=十分だ7%、不十分だ86%
 ▽質問③「小沢さんは代表を続けるべきか」
 回答=続けよ24%(26)辞めろ63%(57)
 ▽質問④民主党への印象は?」
 回答=よくなった1%、悪くなった46%
 ▽質問⑤「小沢さんの検察批判を納得できるか」
 回答=納得できる22%、納得できない65%

 [読売3・9朝刊]「小沢代表辞任を53%/説明納得できず8割」の大見出し。
 ▽質問①「西松事件に関する小沢氏の説明は?」
 回答=納得11・5%、納得せず80・8%
 ▽質問②「小沢氏は代表を辞任すべきか」
 回答=辞任を53・1%、不必要36・1%

 [読売3・27朝刊]「小沢氏続投に納得せず68%/首相に相応しい麻生氏が逆転」の大見出し。
 ▽質問①「首相に相応しい人は?」
 回答=麻生氏32・2%、小沢氏23・2%
 ▽質問②「小沢氏の代表続行は?」
 回答=続行を22・4%、納得せず67・8%
 ▽質問③「小沢氏の説明に納得したか」
 回答=納得した7・9%、納得せず83・5%

▽検察側の説明責任も厳しく問うべき

 『読売』が5・11朝刊一面トップで「小沢氏続投『納得せず』7割/内閣支持率上昇29%」と報じた当日午後、小沢氏は代表辞任を表明しており、〝引導を渡した〟ような印象を受けた。

 一連の「小沢報道」を振り返って、小沢代表に説明責任を求める過剰報道に比較して、検察側強制捜査に対する説明責任の追究が足りなかった。

 政治資金の虚偽記載は形式犯に過ぎないのに、突然逮捕に踏み切った理由は何か? 検察ОBを含む有識者多数から説明を求める声が噴出したが、検察幹部は「政治的意図など全くなく、厳正に捜査した結果だ。我々の責任は裁判できっちり説明すること」と述べるに留まっており、却って検察独善の批判を招いている。この点に関するメディア側の追究は甘く、国民の「知る権利」に応えていたとは思えない。

 メディアの矛先は専ら、政局に注がれ、小沢氏の〝金銭疑惑〟洗い出しに取材対象を絞ったようにも勘繰れる。メディアが「世論」をどう捕らえ、報じるかはジャーナリズム永遠の課題であることを再認識し、今回の「小沢報道」を真摯に検証するよう要望したい。

 世論調査の在り方を論じた『朝日』オピニオン面(4・24朝刊)で、元世論調査センター長が「最近の世論調査は、対象者が知らないことを、しかも突然質問することが多い。そのため質問の前に長々と説明をする。そこに、誘導的な言葉が入り込む危険はないだろうか。説明の仕方次第で調査数字がかなり左右されてしまう可能性がある」と問題を提起。

これを受けて宮崎哲哉氏(評論家)が「極端に言えば、メディアがある方向に予めバイアスのかかった世論調査を設計してしまえば、結論をも操作できるということになってしまう。…大胆な提起だが、内閣支持率を一面トップで取り上げるのを止めるという指針を示したらどうか。他のメディアにも世論調査の扱い方に関し慎重さを求めるいい機会になる」と強調していた。

 一見科学的に映る世論調査数字に依拠し過ぎた報道に警鐘を鳴らす指摘だと思う。

 民主党は5月16日の両院議員総会で鳩山由紀夫氏を新代表に選出。全党結束して態勢立て直しに全力を挙げ、〝政権選択〟総選挙に命運を賭けることになった。