2009年4月17日金曜日

【東京地検】 マスメディア考察(石塚健司)

DNDメディア局の出口氏のコラムから(産経 石塚健司)


これは、きっとブレークし、多くの議論のテーマを提供することでしょう。 それというのも、民主の小沢一郎代表の公設秘書の違法献金事件をめぐる一連 の検察捜査の不確かな行方と、リーク情報をまき散らす新聞メディアの問題が クローズアップされている、という絶妙のタイミングと、「厚いベールに包ま れた特捜部の内部で何が起きているのか」を、事件捜査の核心を突いて、取材 メモや長年の蓄積から"危険な構図"を浮かび上がらせることに成功しているからにほかなりません。加えて、 これが単なる事件の暴露本という次元に留まらず、捜査機関とメディアの関係、 刑事訴訟法の運用、組織の人事、適法と適正の問題などに言及し、そしてなに より人間物語として読む人の心に強く響いてくるのです。


例えば、ノーパンしゃぶしゃぶと揶揄されて世間にその愚劣さを印象づけた 旧大蔵省キャリアと証券会社の接待汚職事件、そのキャリアは収賄罪で起訴さ れるのですが、当時は官官接待がごく一般的で恒常化していた状況にありまし た。そこで、このキャリアの逮捕にむけてさらに悪質さを加えないと逮捕令状 が取れない懸念があったため、「女性関係の遊興費も証券側に負担させてい た」とする、情報を持ち込むのです。捜査の結果、それはでっち上げと判明するのですが、この重要な逮捕 の決め手となる事実を隠し、「嘘をついてキャリアの逮捕を了承させた」との 疑念が、法務省首脳から持ち上がることになったという。


しかも、その接待した大手証券のMOF担側は、実は、捜査する側の現職検事 をも接待している事実が浮上するが、組織を守るためその事実は隠ぺいされて いたのです。これが産経新聞のスクープとして暴かれるのは、捜査終了後のこ とでした(71P「不祥事にフタをした東京地検」)。


産経新聞の取材に対応した、当時の法務省官房長の但木敬一氏(後の検事総 長)は、事が発覚する数日前に大蔵省からの連絡で、現職検事接待の件を知っ たのですが、接待回数が多かった検事について、こういうのです。「A証券のM OF担と(検事)は、もともと高校、大学の同窓だったそうだから、飲食代金を 相手に払わせたとはいっても、友人としての付き合いという面があったのでは ないか」と。


こう擁護するのは、おそらく但木は知らなかったのだろう、収賄 で起訴された旧大蔵キャリアが、贈賄側のE銀行のMOF担とは学生時代からの友 人だったということを、と書いているのです。「特捜部は、旧友との飲食であ っても容赦しなかった」と指摘し、これらが事前に分かっていれば、旧大蔵キ ャリアの逮捕はなかった可能性があるとみているのです。


現職検事も接待というのは、石塚さんのスクープだったのですね。「但木が あの夜、初めて接待検事について質問をぶつけられたときに見せた沈痛な表情 は、今も忘れがたい」と述懐し、深夜、ほろ酔いの顔で宿舎に帰宅したところ を表玄関で待っていた私(石塚さん)に気付くと、「ついに来たかという顔で、 単身で暮らす部屋に招き入れ、訥々と語り出した」という。


但木にとっては、接待を受けた二人の検事は、大学の後輩で期待をかけた人 材で、旧大蔵省への出向という新たな分野を切り開く先駆者でもあった。


「郷に入れば郷に従えじゃないが、どっちもまじめな奴だから、大蔵の空気 になじもうと懸命だっただろうな」とかばいながら、法務省の但木の立場から すれば、この事実をもっと早く把握したかった、とその怒りの矛先を東京地検 特捜部に向けられ、「地検特捜の幹部たちが信用できない存在と映ったに違い ない」と、石塚さんは書いているのです。


そして、事件から11年後の冷静な目で、改めてこの捜査を振り返ると、「時 代」が求める生贄とされた大蔵キャリアの姿は、「やはり哀れに思える」と同 情を寄せながら、地検特捜の強引な捜査手法に憤りを隠さないのです。接待汚職の 捜査が「適法」だったことは、裁判の結果が物語っている通りだが、果たして 「適正」だったといえるだろうか、と自問し、地検の首脳の次の言葉を伝えて います。


「地検は二つの過ちを犯したと思っている。ひとつは、接待検事の件を隠し たこと。もうひとつは、大蔵キャリアの女性関係費用のこと。最高検がこの二 つをきちんと把握できていたら、逮捕は許されなかったのではないかと思う」。


特捜検事には、法律という武器を駆使する知力、供述を引き出す気迫ととも に、何より病巣の本質を見抜く確かな眼力が求められてきました。彼らを支え てきたのは、戦後日本の健全な発展を支えてきたのだという、強い自負と使命 感で、私(石塚さん)たち記者は、そんな使命感に共感し、より早くよりつぶ さに特捜部の捜査を伝えるため、互いに鎬を削ってきた。


根底には、彼らの眼 力に対する揺るぎない信頼があったと思う、という。特捜の機能不全、捜査職 人がいない、停滞する事件処理、それに人事、その信頼が崩れた理由をいくつ かこう指摘し、とくに特捜副部長のポストが、法務官僚の経歴に箔をつけるた めのものになり下がってしまったのが大きな原因だという。法務省に戻って政 治家らと付き合う立場になったとき、その紹介の場面で、特捜と聞くと、政治 家の態度が著しく違ってくる。そのための特捜副部長ポスト、というのですか ら、悲しい話です。


「特捜部の能力の低下は、事件処理の停滞を招いているなら、まだ問題は少 ない。それより恐ろしいのは…」と石塚さんは続けて、「素人が多くなった特 捜部が、誤った情報に乗せられて独自捜査に打って出た場合だ」と指摘し、誤 った情報をもとに捜査の筋書きが描かれると、その結果として行きつく先は、 捜査が途中で空中分解するか、無理やり筋書きにあてはめた強引な捜査が行わ れるからだ、という。


なるほど、ねぇ。じっとしていればいいものを、力もないのに勢い、傲慢に 権力を振りかざす、行き詰ると、さらに組織を増強し、無理するから真っ当な 判断ができなくなってさらにおかしくなる。それでも辻褄をあわせようと、今 度は世論操作に訴えて、背後の黒い噂を印象づけるようなリークをメディアに 流す。最近、これと似たようなニュースをどっかで聞いたような…。


しかし、これは週刊誌のゴシップじゃないのです。それらすべてが、実際事 件として扱われ、逮捕・起訴、そしてメディアから悪として仕立てら れるのですから、恐ろしいことです。第2章:「あり得ない」逮捕劇、第3章: 恫喝(全部で4章の構成)が、この本の核心となります。それが、「防衛利権 のフィクサー」とマスコミに取り上げられた秋山氏に及ぶ、なんとも裏情報に 基づいた、"でっち上げ"の事実、背後にさまざまな利権がうごめいているよう な逮捕劇、政治家への資金還流のデマゴギー、不合理な勾留延長、恫喝まがい の取り調べ、脱税容疑で起訴という一連の捜査のプロセスで地検特捜が意図した、 「強引な捜査」の内幕を次々に暴露しているのです。


詳細は、あえて控えますが、この2つの章の凄いところは、これまでどこに も書かれていない新事実が盛りだくさんであること、秋山氏と石塚さんが長年 の友人であったこと、その秋山氏にやはり石塚さんが紹介した弁護士が永野 義一氏でした。昭和42年に検事任官し、在職27年のうちほぼ半分を東京地検特捜部 と同地検刑事部で過ごした、「職人肌の捜査検事」で、やはり親密な間柄と紹介されていました。


特捜に入って最初の上司が後の検事総長となる、ミスター特捜こと吉永佑介 氏で、吉永イズムの源流は、昭和39年当時、特捜部長で、「特捜の鬼」と称さ れた河井信太郎氏の「河井イズム」だという。永野氏のその特異な経歴と手腕 を評価し、ある上司と対立して地方に飛ばされたのだが、吉永氏が東京地検検 事正のとき、特捜副部長に復帰させて元閣僚らを逮捕した共和汚職事件などの 捜査を指揮した、という。平成9年に最高検検事を最後に退職し、赤坂で開業 し、「市井の弁護士」を貫いているのだそうだ。


そこから、秋山氏、永野弁護士、そして石塚さんの苦悶が始まることになる のです。平成20年のことです。この裁判は、秋山氏が家族や息子、息子の友人 らに捜査が及ぶと"恫喝"されたにせよ、その自白調書に署名し、検察側の証拠 に同意してしまったことを覆して検察と争うことを選択した秋山氏に勝ち目は 薄い戦いになったとしても、この本で明らかにしたように「存在しなかった政界工 作資金」、「特捜部の面目を保つための強引な捜査」、「真実の究明より有罪 の判決を得ることのみに全力を注いだような取り調べ」が、次々に法廷で明ら かにされていくのは確かです。


石塚さんは、「あとがき」で、友人が特捜部の捜査によって追い詰められて いく過程をつぶさにみた体験は、私の考えを大きく変え、それが今回の執筆の 原動力にもなった、と語り、「今やこれほど信頼できない官僚集団になってし まったのだと事実を知った後では、番記者の立ち位置にも少し修正を加える必要 があるのではないかとすら感じている」とも付け加えています。


秋山氏に捜査が及んだ300日、社会部を統括する職責のある立場では、現場 記者が書くことに制限を加えることは控えねばならならず、紙面化されたもの と矛盾する事実を伝えることを避けてきた、という。これも、いつも私心がな い石塚さんらしい対応ですが、人一倍正義感の強い彼ですから、本音のところ は、どんな思いだったのでしょう。


『特捜崩壊』を小沢代表の公設秘書の違法献金事件と重ね合わせて読んだ方 も多いのではないか、と思います。新聞記者は、番記者もいいが捜査当局が、 この状態が続くのであれば、新聞の責任も大いにある、ということを肝に銘じ なければなりません。まず、各紙、ぜひ一度、拘置所からの秋山氏の手紙を読 んで、フィクサー秋山氏に関わる犯罪捜査のプロセスと、それに基づいてどん な記事をこれまで書き飛ばしてきたかーを総点検し、新聞社の事件取材のあり 方を考えてみる時期にきているのではないか、と思います。


石塚さんは、そのとっても大事なメディアの責任についてリスクを覚悟で出 版という形で問いかけました。さすがに新聞記者です、秋山氏の帳簿や 資金管理のずさんさを「ザル勘定」と指摘し、その危うい状態にも容赦なく突 っ込んでいました。彼の、ぎりぎりの抑制の効いた執筆ぶりは、その行間から 熱いものが伝わってきました。この本で、いったいどれだけの人が救わ れることでしょうか。


『特捜崩壊』の第4章「特捜部がなくしたのも」は、「特捜に撤退なし、は 吉永だからできた」、「検察ファッショへの戒め」、「ミスターが憂えた未 来」、「法務と大蔵、夜の接点」などの見出しが並んでいます。往年の名物、 特捜部長ら歴代の検察首脳の顔触れが列伝風に綴られていました。


読みながら、毎日新聞の司法記者でロッキード事件などで名をはせた山本祐 司記者の『東京地検特捜部、日本最強の捜査機関・その光と影』(現代評論 社)を思い起こしていました。そこで山本氏は、「検察の外と内に現れた地殻 変動―その地響きの中で、東京地検特捜部はどんな位置づけをされ、どこへ行 くのか」と問いかけていました。私には、石塚さんの『特捜崩壊』が、山本氏 の『東京地検特捜部・その光と影』の続編に思えてくるようです。山本氏のこ の本の出版は、1980年4月24日とあり、それから数えてほぼ30年の歳月が経っ ているのですね。


地検特捜の、その捜査のあり方や、手順がいつも熱心に語られるのは、ある いは繰り返し批判が浴びせられるのは、それほど地検特捜への期待が強いとい う証左だと思います。石塚さんも原稿の末尾に、次の世代の特捜検事たちへの 期待を込めて、何年か先に今度は『特捜再生』の物語を書ける日がくる事を祈 っている、と筆を置いています。


さて、いい仕事をしましたね、石塚さん、GOOD JOB!でした。今度、慰労 会をやらなきゃなりませんね。この本の中でも、シークレット情報が散りばめ られていますが、弁護士の永野さんが触れた総理って?官房長官って?あるい は、闇に消えた疑獄の数々を聞かせてほしいものです。

http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm090422.html

2009年4月15日水曜日

【雑誌記事】 プレジデント(給料の格差、税金の不平等)

『プレジデント』(5月4日号)で、「給料の格差、税金の不平等 - 日本のサラリーマンは世界一つらいよ!」と題した特集を掲載しています。


◆サラリーマンの平均年収は10年間で30万円減少
◆この10年間でワーキングプア増大、一方で年収2千万円以上の層が増加
◆この10年間で、株式配当は3倍、役員報酬は20%増 
◆非正規社員は1,737万人(34%)を占めるまでに増大
◆根強い女性差別、学歴差別賃金 
◆企業規模別・産業別の格差賃金 
◆非正規社員、ワーキングプアは結婚も困難


(追記)

異議は認めない。亀井静香
http://shadow-city.blogzine.jp/net/2009/10/post_3692.html#more

平成11年度比の増減、資本金10億以上の企業。
配当は中間配当含まず
          企業配当    従業員給与
平成12年度     +470億     +1983億
平成13年度    -2221億      -619億
平成14年度    +4701億   -2兆1114億
平成15年度  +1兆6054億   -2兆2475億
平成16年度  +1兆6130億   -2兆2880億
平成17年度  +4兆2457億   -2兆833億
平成18年度  +6兆4260億   -1兆4435億
平成19年度  +4兆5706億   -8兆7967億

  合 計   +18兆7560億  -18兆8341億


労働者平均所得と企業経常利益
98年465万円 98年21.2兆円
99年461万円 99年26.9兆円
00年461万円 00年35.9兆円
01年454万円 01年28.2兆円
02年448万円 02年31.0兆円
03年444万円 03年36.2兆円
04年439万円 04年44.7兆円
05年437万円 05年51.7兆円
06年435万円 06年54.4兆円

2009年4月6日月曜日

【憲法9条】 国益のために海外派兵をする国

益川教授「改憲は自由に兵器使うため」 9条に思い
2009年3月9日3時0分
http://www.asahi.com/national/update/0308/TKY200903080143.html

ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・京都産業大教授(69)が8日、東京都千代田区の明治大で講演した。自身も呼びかけ人をつとめる「九条科学者の会」の発足4周年記念の一環。ユーモアを交えながら平和への思いを語った。

 益川教授は「改憲派は、なぜ憲法を変えたがるのか」という問いを何度も投げかけた。「ぼくは物理屋。因果律で考える癖がある。『なぜ』と。彼らは条文に不備があるからと言っているが、解釈改憲で自衛隊がソマリアまで行く時代。条文不備のせいじゃない。9条があったのでは出来ないことをやりたいからに違いない。つまり自由に兵器を使うということです」

 幼いころ名古屋で空襲に遭った経験を振り返った。名古屋大の先輩の被爆体験を話しながら、感極まって声を詰まらせた。「私は、子にも孫にもあんな思いはさせたくない。国家が国家の名のもとに始める戦争は嫌です。好きな人はやってください……あ、いや、それも困る」。ひょうひょうとした口ぶりに、床まで人で埋まった会場は、何度も笑いに包まれた。

 講演は約1時間。戦争は突然起きるわけではないと訴えた益川教授は「最終的には理性の問題です。一つのかけらを見た時に、人間としてそこから何を想像できるか。鋭い目を持てば戦争の予兆は見える。その時、反応しなければならない」と締めくくった。(谷津憲郎)

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●「戦争ができる国」になるための法制の関係年表(作成:田中隆)●
1990年 イラク、クウェート侵攻。国連平和協力法案・廃案
(1990年10月提出、11月には廃案)
戦後初、自衛隊を海外へ派遣するための法案が出されたが、反対の声が大きく1ヶ月で廃案。背景には、イラクのクウェート侵攻。
1991年 湾岸戦争
1992年 PKO法。陸上自衛隊・カンボジアへ
(91年9月提出、92年6月に成立)
湾岸戦争のトラウマ
戦後はじめて自衛隊が海外に派遣されます。それまで国際社会の紛争の解決や和平のためには、日本は経済的支援を続けてきました。湾岸戦争の際には、戦費130億ドルを出したにもかかわらず、「感謝されなかった」として「トラウマ」が残ったとされました。92年9月に陸上自衛隊がカンボジアへ派遣。
1994年 政治改革、北朝鮮核疑惑、読売新聞社・改憲案、警察庁に生活安全局。
1997年 日米防衛協力の指針(新ガイドライン)。
1999年 周辺事態法・憲法調査会設置法・盗聴法・国旗国家法・地方分権一括法・司法改革審議会法・金融再生法など成立。
2000年 「米国と日本・成熟したパートナーシップ」(アーミテージ報告)。
2001年 4月 小泉純一郎内閣成立。米・ブッシュ政権は1月に成立。
9月 「同時多発テロ」(9・11事件)。
10月 アフガン空爆開始。
11月 「テロ」特措法成立。米軍支援のための補給艦隊インド洋へ。
(法案提出からわずか3週間での可決、制定)
「反テロ戦争」テロと戦うための特措法
自衛隊の支援艦隊がインド洋にて米軍の機動部隊に燃料を補給。戦闘行為そのものに参加したわけではないが、明らかにこれは「参戦」行為。
「同時多発テロ」を契機に派兵のための法制づくりが加速します。10月、ブッシュ政権は報復戦争に突入しアフガンに空爆開始。世界中がこの流れに、「ヒステリー的」に同調していきます。
2002年 4月 有事3法案提出。通常国会で継続審議。
9月 アメリカ「国家安全保障戦略」(ブッシュ・ドクトリン)。
2003年 3月 米英軍、イラク攻撃開始。中央教育審議会最終報告。
6月 有事3法成立。
7月 イラク特措法成立。
背景は、02年10月に出された「ブッシュ・ドクトリン」。
東京都安全・安心まちづくり条例。
2004年 2月 陸海空3自衛隊イラク派遣。陸上自衛隊・サマワに駐屯。
04年2月に、戦後初めて自衛隊が戦地に赴任した。イラクからは08年暮に撤退。
6月 有事10案件(国民保護法など)成立。
2005年 1月 日本経団連「わが国の基本問題を考える」
9月 総選挙で自民党圧勝(郵政・総選挙)。郵政改革法成立。
11月 自民党大会・新憲法草案。
2006年 5月 米軍・自衛隊再編合意(2+2)。改憲手続法案提出。行革関連法成立。
9月 安倍晋三内閣成立。「教育再生会議」設置(10月)
12月 教育基本法「改正」、防衛省昇格法成立。
2007年 1月 日本経団連「希望の国、日本」。安倍首相「戦後レジームの脱却」
5月 改憲手続法成立。規制改革会議・第1次答申。
6月 教育3法、米軍再編特措法、イラク派兵延長法など成立。情報保全隊問題。
7月 参議院選挙で自民党歴史的惨敗(年金・政治とカネ・構造改革・憲法)。
9月 安倍内閣退陣。福田康夫内閣成立。
11月 「テロ」特措法期限切れ、補給艦隊インド洋から帰還
———この間、格差社会、絶対的貧困・窮乏が社会問題化。構造改革への批判が急速に強まる。
2008年 1月 新「テロ」特措法、参議院で否決、衆議院再可決で成立。
(08年1月成立)
インド洋での給油は継続中
4月 後期高齢者医療制度実施。名古屋高裁・イラク派兵違憲判決。
5月 改憲反対の世論拡大。9条世界会議。
9月 福田内閣退陣。麻生太郎内閣成立。
11月 アメリカ大統領選挙。オバマ候補(民主党)当選。
———この間、サブプライムローン問題に端を発した世界金融危機。世界同時不況。
2009年 2月 東京都議会・安全・安心まちづくり条例「改正」案
3月 ソマリア沖に護衛艦派兵、海賊対処法案提出。

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視点を変えてこの20年を振り返ると
 ここで別の視点から、これまでの法制の動きを分析してみたいと思います。「戦争に参加できる国」にしたいと考えている人たちにとってみれば、この20年をどのように捉え、また課題を設定しているのでしょうか? 

 1990年からこの20年間において、派兵法だけみると様相はかなり変わりました。野党や市民の反対の声により、たった1ヶ月で廃案になった時代から、今では海外派兵は日常化しているといってもいいでしょう。しかし、それでも出すたびに期限付きの「特措法」を作らなくてはならず、そして出せたのも兵站部隊のみ。しかも、与野党が逆転した参議院では、新「テロ」特措法は否決続き。加えて、イラク派兵違憲判決が2008年4月に出され、大きな衝撃を受けました。またイラク戦争の失敗をアメリカのみならず国際社会も認め、軍事力で平和は構築できないということにみんなが気づきはじめます。「反テロ戦争」の失敗が明らかになり、世論もイラク戦争に賛成した日本政府の姿勢について、不支持を示しています。

 そして明文改憲=9条改憲については、憲法改正の手続き法である、国民投票法の制定は安倍政権下で行われましたが、世論としては9条護憲の声の高まりがあり、発議しても国民投票で9条改正が否決される可能性も高い・・・。

 などなど、「派兵や後方支援のための法制をしつつ、明文改憲で軍隊を明記、集団的自衛権も認めるなど、名実共に “戦争できる国“にしたい」と考えていた人たちは、「こんなはずじゃなかった・・・」と思っているのでは、ないでしょうか?

 もし私が彼らの立場だったとしたら、「ならば、新たな手段」ということで知恵を絞るでしょう。そして考え出されたのが、「警察活動」を口実にした「海賊対処法」ではないでしょうか。

ソマリア沖派兵と海賊対処法
 最初にソマリア沖の海賊の話題が国会で持ち出されたのは、2008年10月の衆院テロ防止特別委員会にて。民主党の長島昭久氏が、「海上保安庁の巡視艇がソマリア沖の海賊対策に当たるのは困難」との趣旨の答弁を政府から引き出したうえで、「自衛隊艦艇のエスコート(護衛)は海賊対策にかなり効果がある」と麻生首相に提案をしたことに始まりました。それからわずか3ヶ月あまりで、国会議論も承認も得ず、2009年1月28日に麻生首相が指示を出し、海上警備行動での海自の派兵が決定されました。


 3月14日、護衛艦「さざなみ」「さみだれ」が派兵されました。海上警備行動は、海上保安庁の能力を超えた不審船などに対して、海上自衛隊が行う治安維持活動で、日本近海を想定した規定です。日本の民間船舶を海賊から守る、護衛するという目的なので、軍事行動ではなく、警察行動だと言いながら、「戦闘地域」への戦闘用艦艇の派遣が行われたのです。海賊が来て発砲ということになれば、日本の軍隊が平和憲法下ではじめて戦端を開いた瞬間になるでしょう。

 そして現在、国会にて審議中の海賊対処法は、この派兵を法的に追認し、しかも恒久化する法制です。海賊対処法は、護衛の対象を外国船籍の保護にまで拡大するもの。また、停船命令を無視した海賊船への射撃が可能になります。つまり武器使用の基準がこれまでよりずっと緩和されるのです。また期限をもうけている特措法でもありません。そして今回の政府の憲法解釈は、「海賊は国や国に準じる組織ではない、なので憲法が禁じている武力行使ではない」としていますが、その解釈だとテロ組織との武力行使も可能ということになり得るのです。

 ソマリア沖派遣と、海賊対処法は、警察活動を口実にして「9条」を大きく迂回しつつ、自衛隊を戦闘に突入させようとしている策動です。





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ついに! 国益のために海外派兵をする国になった日本

2009年3月14日にソマリア沖に海上自衛隊の艦隊が出港しました。まもなくソマリア沖に到着し船団護衛任務につくことになりますが、ソマリア沖は「実戦海域」であり、護衛艦は「戦闘艦」です。そして今回の派遣の目的は、「日本のシーレーン確保のため。日本の国益、実益のため」とはっきりと国会でも答弁されています。これはどういうことでしょうか? 

 日本はアメリカの対テロ戦争であるアフガニスタンのOEFにも、給油活動を行い参加しました。NATOにとってこの作戦の法的根拠は自衛戦争であり、法的にNATOとまったく関係ない日本が、言わば他人の自衛戦争に参加している。対テロ戦への貢献という「世界益」の大義があろうと、違憲行為です。しかし違憲の度合いから言うと、今回のソマリア沖への海自艦隊派遣の方が、格段に大きい。なぜなら私たちは、第二次世界大戦後、軍隊を外に出さなきゃ守れないような「国益」は放棄したはずだからです。極端なことを言うと、私たちの国に原油が入ってこなくなり、電気が止まろうが、それでも私たちは、軍事行動で国益を求めない、そう誓ったはずです。こうして見ると、曲がりなりにも「世界益」を掲げたOEF給油活動の方が、マシに見えます。

 今、当たり前のように、メディアや政治家は、「日本の船を襲う海賊だから取り締まるのは当たり前。我が国の国益のために自衛隊が出ていくのは当然」といった論調です。そして世論調査によると、9割の人が今回の派遣については、「賛成」もしくは「海賊だから仕方ない」と思っているそうです。一方で、憲法9条の改憲についての世論調査では、6割の人が9条は守った方がいいとう数字が出ていると聞きます。ということは、9条護憲だけれど、今回のソマリア沖の海自の派遣には賛成、という人がかなりの数、いるということになります。 そのような人は、いったいどういう考えなのか。私にとって、国家主義的なゴリゴリの改憲派よりも意識が遠い人たちに感じます。

もはや護憲派は「敗北宣言」をするべきでは?

私は、立場上、9条護憲の皆さんの集まりから講演を頼まれることが多いのですが、たびたび面食らう場面があります。アフガニスタンやアフリカの紛争のこと、国連の平和維持軍の活動を説明した後、日本の平和貢献に話が及びます。すると、突然怒り出す人がいるのです。私は、「平和貢献には軍を出す以外に色々な方法があり、平和憲法をもっている日本は敢えて自衛隊を出さないことでそのイメージを更に強化し、他国にはできない貢献ができる」という意見なのですが、そういう人は、自衛隊を出す出さないを議論しなければならないような面倒な国とは付き合うな! つまり、アフガニスタンみたいな国と付き合うから日本は自衛隊を出さなければならなくなるし、自衛隊の存在価値を高めてしまう、ということらしいのです。

 自衛隊の海外派遣の必要なしという点では、私と同じですが、目的意識は180度違います。護憲派は、これまでカンボジアなど国連平和維持活動「世界益」の派遣にもちゃんと強く反対の声を表明してきました。しかし、小泉さんが現れて、アフガニスタンとイラクの対テロ戦争というあやふやな「世界益」への派遣になったのですが、その声は逆に小さくなっていきました。そして、今回のソマリア沖派遣、もろ「国益」です。戦後最大の違憲派兵に対して、反対意見は最小。「自分の国さえ良ければ」という「一国平和主義」に護憲派自身が陥ってしまっているのではないでしょうか。

 私は護憲派として「敗北宣言」をしようと考えています。つまり、9条は日本人にもったいない。ただそれだけのことだったのだと。
(4月6日談)

2009年4月3日金曜日

【日米同盟】 海賊対策

<なぜ すぐ自衛艦 ソマリア>

海保の国際的取組み黙殺

梅田正己
http://jcj-daily.sakura.ne.jp/watching000.htm 

 海賊対策のためとして、護衛艦2隻が「給油海域」のインド洋を越えソマリア沖へ出航した。

 しかし海賊取締りは戦争ではない。戦争ではないのに、なぜすぐ「軍艦」出動となるのか。この疑問をマスコミも素通りしたまま事態は突き進む。

海賊対策は海保の役割

 海賊の取締りは、本来海上保安庁の仕事だ。だから海上保安庁の巡視船も武器を装備し、ヘリコプターも搭載している。

 そして実際、そのための訓練も行われてきた。同庁のホームページを見ると、今年1月の「海保ニュース」№9に、「官民連携による海賊対策訓練の実施」として、次のような記事がある。

 「(昨年)11月17日及び12月12日の両月、東南アジア公海上において、東南アジアへ派遣中の巡視船「しきしま」と日本関係船舶及び関係者により海賊対策訓練を実施しました。

 同訓練には、日本関係船舶が海賊船から追跡・接近等を受けた場合を想定した実働訓練を実施し、同船へ海上保安官を移乗させ安全確認を行う訓練……等を実施しました」

 こうした共同訓練は以後も継続して行なわれている。2月20日付の朝日には同社の松井健記者による訓練光景の写真と記事が掲載された。

 「フィリピンのマニラ湾で19日、日本の海上保安庁とフィリピン沿岸警備隊が海賊対策の連携訓練をした。海賊に襲われた日本の商船をフィリピン沿岸警備隊の特殊部隊が制圧するシナリオ。マニラに派遣された第11管区海上保安本部の巡視船乗組員がフィリピンの隊員に臨検などの方法を指導した」

海保の国際貢献の実績

 海保の巡視船の船腹には、JAPAN COAST GUARDと書かれている。「日本沿岸警備隊」だ。しかし東南アジア海域まで出かけて他国との合同訓練を積んできた。

 『世界』3月号の前田哲男さんの寄稿「海賊対策にはソフト・パワーを」によると、IBM(国際海事局)の統計では、00年当時世界の過半数を占めた東南アジアの海賊発生件数(262件)は、08年にはインドネシア海域で28件と9割減、マラッカ海峡ではわずか2件に激減したという。

 そしてこのめざましい成功の基礎には日本のODAによる巡視船提供や共同訓練などがあったとして、前田さんはこう評価している。

 「日本は海上保安協力を通じ、海上警察の執行機関として重要な国際貢献を果たしてきた」

 日本の海上保安庁はこのような国際的実績をもつ。一方、海上自衛隊は海賊取締りの訓練などやってはこなかった。今回のソマリア沖にも海上犯罪対策の専門家である海上保安官が同行する。

 海賊対策は海上保安庁の仕事だ。にもかかわらずソマリア沖海賊問題に関しては、どうやって自衛艦を出すかだけが取り上げられてきた。海保が取り組んできた国際的な努力は今も黙殺されたままだ。

 冷戦後、自民党と自衛隊幹部を突き動かしてきたのは、何とかして自衛隊を海外に出したいという衝動だった。カンボジアからルワンダ、ゴラン高原、インド洋、イラクと、足取りを見れば、それは明らかだ。そして今回も、その衝動が海保の国際的取組みの実績をはじき飛ばし、護衛艦2隻を遠くアフリカ沖へと向かわせたのである。

機関紙ジャーナリスト 2009年3月25日号

追記

ジブチ共和国における日本国の自衛隊等の地位に関する日本国政府とジブチ共和国政府との間の交換公文について
平成21年4月3日

 平成21年4月3日、中曽根外務大臣とユスフ・ジブチ外務・国際協力大臣は、「ジブチ共和国における日本国の自衛隊等の地位に関する日本国政府とジブチ共和国政府との間の書簡」の署名及び交換を行いました。

 この交換公文は、海賊対処に従事する自衛隊等が円滑に活動を行うことができるよう、自衛隊の基本的な活動拠点となるジブチとの間で、ジブチにおける自衛隊や自衛隊員等の法的地位を適切な形で確保することを目的とするものです。

 我が国としては、ソマリア沖海賊の根絶に向け、引き続き、ジブチを始めとする周辺諸国と緊密に協力していく考えです。

2009年3月26日木曜日

【西松事件】 捜査を推進した検事達

 この記事は、昨年(2009年3月末)のものに追加をして書いているので、記事の期間が広がり多少分かりつらい事は勘弁願いたい。

 西松事件の着手し小沢氏および小沢氏秘書である大久保氏を逮捕・起訴をするために特捜部は、東京地検、東京高検、最高検の決済を仰ぐ。つまり、どこかがNoと言えば着手はしないと言う事である。ところが今回は着手をしたと言う事は、東京地検、東京高検、最高検のすべてがGOサインを出したと言う事である。

ちょうど、資料庫であるココログからの移転で色々なメモを見ながら、当時の検察の検事たちの移動先をまとめて、控えておこうと思う。

「関係者」という言葉は用いたくは無いのではあるが、名前を出せないようなので東京地検関係者としましょう。

今回の小沢氏に仕掛けた「西松事件」は、当時・東京地検検事正であった岩村修二氏(60)がGOサインを出したと言われている。彼は現在(この資料庫移転時・2010/06/14)現在には、仙台高等検察庁検事長へと移動している。

この岩村氏が、特捜部長時代の2003年に自民党・坂井隆憲元衆院議員の政治資金規正法違反事件を指揮をしている。

Wikiによると

2003年3月7日、業際研事件が引き金となり、献金約1億6800万円を不正処理の政治資金規正法違反容疑と公設秘書給与約2400万円を国から騙し取った詐取容疑で、衆議院本会議にて逮捕許諾決議が可決し、東京地検特捜部に逮捕され、自民党を除名処分に。3月25日、衆議院本会議にて議員辞職勧告決議可決されるも辞職拒否。同年10月10日衆議院解散までの約7ヶ月間、議員在職。12月18日に保釈金2000万円で9ヶ月ぶりに保釈。

2004年10月、東京地裁で懲役2年8ヶ月の実刑判決、控訴するも後に自ら取り下げ、量刑が確定。


このように書かれている。
リクルート事件の江副容疑者への判決が下った同じ日、大蔵省出身の当時自民党所属の代議士、坂井隆憲氏の秘書が逮捕され、続いて代議士本人も逮捕されている。

岩村氏は、どちらかと言うと理論派と言われてはいるが、普通社会では理屈屋といわれる人種に当るだろう。坂井氏の場合も、従来は形式犯という見方が強く、立件は略式や在宅での起訴だったものを、ハードルを地検自らが下げた形となる。結果、彼はハードルを下げたままで事件に当る事になったと言う事であろう。

日大の岩井奉信教授が西松事件の際に設置をされた民主党の第三者委員会の中で、「今回は、ハードルを下げて判例を取りにいった」ように思えると語ったのが非常に印象的であった。

つまり、形式犯と言われがちな政治資金規正法違反のハードルを下げて、フリーハンドで政治家を摘発できるように判例を取るために仕掛けたとも思える。「地検関係者」によると、証拠を読ませたら右に出るものはいないとのこと。つまり屁理屈上手と言う事であろうか。

次は、事件当時は、最高検検事であった谷川恒太氏である。彼は現在(2010/6)は、宇都宮地地方検察庁の検事正である。谷川氏は、同期の大鶴氏に出世では遅れを取っていたのであるが、あまりにも大鶴氏の捜査が強引過ぎるとの批判から入れ替えられてという。

この谷川恒太氏がヤマリン事件で、鈴木宗男氏を取り調べた検事であり当時は東京地検副部長という立場であった。西松事件や陸山会問題では東京地検次席検事という立場である。この彼が一躍有名になったのが、週刊朝日への抗議ならびに山口編集長への出頭命令がtwitterで駆け巡ったのをご存知の方も多いと思う。

週刊朝日との顛末は下記のURLでご覧いただけます。

彼は、この呼び出し事件で一躍有名になり過ぎて、いち早く移動を願い出たとも聞く。鈴木宗男氏の話(週刊誌に書かれていた記事であるが)によると
「礼儀正しかった記憶がありますが、私の疑惑を取り上げた『サンデー毎日』の記事を机に置き、ムネオハウスやアフリカへのODA(政府開発援助)疑惑は本当ですか』などと聴かれました。警察と違って検察は“手足”がないので、マスコミ情報に依拠せざるを得ないのでしょう」との印象を受けたとの事。




鈴木宗男氏のヤマリンつながりでもう一名忘れてはいけない検事が吉田正喜東京地検・特捜部副部長と言う事になる。ヤマリン事件当時は、東京地検の検事であった。彼が、鈴木宗男氏と佐藤優氏を逮捕して取り調べ、公判を担当した検事である。

ヤマリン事件というよりムネオ事件を指揮したのが、最高検伊藤鉄男次長検事である。東京高検次席検事、東京地検検事正と出世をし東京地検ナンバー2となったのだが、足利事件の菅谷さんが釈放され謝ったのだが、「絶対許さない、私の目の前に来て謝ってほしい」と言われる始末。

この吉田特捜副部長が西松事件と陸山会事件で石川議員の取調べにもあたっているのであるが、石川議員に向かって「そろそろ小沢の呪縛から離れたらどうだ」と威嚇していた「特捜のエース」がこの吉田氏だと言われている。石川議員が拘置所で弁護士と面会した際に「検事は、まるでヘビのような男だった」と語ったとも言われている。

この吉田氏に関しては、昨年のサンデー毎日にも面白い記事が載っていた。
もう一人、ムネオ事件の中枢にいた検事がいる。今回の捜査の最前線、特捜部特殊第1班の吉田正喜副部長(52)だ。さぞヤリ手かと思いきや、ムネオ事件の公判過程で「失点」が露呈した。鈴木氏にワイロを贈ったとされる会社社長の陳述書には、こうある。

〈鈴木代議士に渡したお金の趣旨は官房副長官就任のお祝いでした。しかし、私を取り調べた吉田正喜検事から「業者が政治家にお金を渡すのは『お礼』か『お願い』しかないとこまごまと説明され、「どちらなのだ」と言われて、この件は「お礼」という趣旨では通らないと思い、「お願い」としてしまったのです〉

「渡したカネは林野庁への口利きのお願い」という特捜部が描くストーリー通りの供述を強要したことを暴露されていたのだ。

覚えているだろうか、石川議員の話を。「小沢が不起訴になっても、検察審査会がある。そして、2回起訴相当になる。今度は弁護士によって、国民によって小沢は断罪される」と言ったのがこの吉田特捜副部長である。


特捜部副部長の名前が出たのですから、当然特捜部部長ということになる。ご存知有名人の東京地検特捜部・佐久間達哉部長と言う事である。もっとも彼も大津地検検事正となる事が決まったようである。当初は、甲府だと聞いていたのだが甲府の検事正は4月に決まったので・・・さてどのような経緯であったか。

佐藤栄佐久前福島県知事の汚職事件とされる時に、佐久間氏は副部長であり特捜部長があの有名な大鶴基成氏であった。その佐藤栄佐久氏の事件の顛末はたびたび語られている事から事件をご存知の方も多いと思う。この大鶴氏が特捜部長時代に指揮をしたのが、ライブドア事件や村上ファンド事件である。つまり見る方が見たなら実質はほとんどの捜査は失敗続きともいえる。

この、元福島県知事・佐藤氏の事件の際に摘発をしたのが、水谷建設であり検察の証人でありながら、「証言はうそである」と佐藤氏側の弁護士である宗像氏に語っているのである。






佐久間氏が副部長時代に手がけた事件に防衛施設庁の談合事件があるのだが、このたび(2010年7月)東京地検特捜部部長に就任をする堺徹副部長も、この防衛施設庁の談合事件の捜査をしている。つまり、大鶴・佐久間・堺氏の3名は防衛施設庁談合事件を手掛けた仲間と言う事になる。堺徹・東京地検公安部長は、特捜副部長時代に旧緑資源機構の官製談合事件も手がけ公安部長、そして特捜部長という形で移動をしている。


この佐久間氏と同期なのが、三井環事件と郵便不正事件で名を馳せてしまった、元大阪地検特捜部部長・大坪弘道氏である。現在は京都地検・次席検事である。そもそも三井環事件は、大阪地検・加納駿亮検事正が、高知地検検事正時代に調査活動費約400万円以上を指摘に流用していたことを告発をしようとしたことに端を発している。

三井氏は、当初は確かに私憤からだと本人も語ってはいるが、「あまりの酷さに本格的に告発」をしようと考えたようである。

 1997年11月、特捜部長時代「関西検察のエース」と呼ばれていた大阪地検次席検事(当時)の加納駿亮(かのう・しゅんすけ)氏が指揮した京都地検での贈収賄事件で、三井氏(当時、大阪高検刑事部検事)の進言により、ある教授の逮捕が見送られた。この事件は内偵不足が明らかだったのだ。結局、この独自捜査は失敗に終わる。そしてそれは、指揮官である加納氏の責任であった。

 その後、三井氏は当時の高松高検の村田恒検事長にこの京都事件の顛末(てんまつ)と自身の意見を手紙に書いて送った。ところが、この手紙が思わぬ災いのきっかけとなってしまう。 1998年春、村田検事長が京都地検の武内徳文検事正と会い、彼に手紙の件を話し、それが大阪高検の幹部に伝わった。そして、それが加納氏に伝わってしまったのだ。それ以降、加納氏は三井氏に対し不快感を露骨に表すようになる。そして、三井氏は関西検察にいることができない状況になってしまった。

 そこで、三井氏は大阪高検・荒川検事長に異動願いを出した。

1998年4月、三井氏は名古屋高検総務部長に着任。その年の末、法務省筋は三井氏の高松高検次席検事への異動を提案したが、加納氏らがこれに異を唱え、見送りとなる。このことは、三井氏が加納氏を告発する遠因となる。

 1999年7月、三井氏は名古屋高検総務部長から大阪高検公安部長へ異動になった。

 ここでまた加納氏らの〝横やり〟が入る。本来、高検公安部長の給料は検事2号俸ポストなのだが、三井氏は3号俸ポストのまま据え置かれた。これは加納氏の逆恨みによるものであった。

 このとき三井氏は、この加納氏の行為を自分に対する侮辱であると同時に、自らが愛する「検察への冒とく」と受け止め、調査活動費・裏金問題で加納氏を告発しようと決意する。

この三井氏を逮捕をしたのが大坪弘道氏だという。当時検事総長であった原田明夫氏と森山眞弓元法務大臣の姿がテレビに映し出される度に、この事件の醜さを思い出すのだが、この検察の不正を隠すために鈴木宗男氏の事件が大きく報道をされた結果三井氏は、来年まで刑務所に留め置かれる事となってしまった。また鈴木宗男氏も現在上告中である。

話は前後するが、大坪氏が仕掛けた郵便不正事件であるが、西松事件に対抗をしたものなのか、それとも捜査のタイミングが総選挙真近か言われていた時期であったことから非難がおきていたものを大阪でも事件を起こし目をそらさす目的と民主党議員の摘発が目的ではなかったか疑いがもたれている。

現実に名前が取りざたをされた民主党・石井一議員に関して裁判中に下記のような記事まで出ている。





写真をごらん戴いたらお分かりになると思うのだが、原田検事総長と誰が写っているか。2004年小泉内閣時代のものである。

小泉内閣時代に起きた、この三井環事件がある意味ででは、内閣に検察が弱みを握られたかもしくは、相身互いの関係になってしまったように思えてならない。






この大坪弘道氏の部下であった田中素子氏である。彼女は、昨年3月に名古屋地検特捜部長に就任しているのであるが、名古屋に移動をするまでは大阪地検で大坪氏の下で郵便不正事件などを手がけていたのである。

今になると郵便不正事件の捜査の怪しさが暴露されているのだが、西松事件と前後して郵便不正事件が起きているのであるが、大阪で最初に摘発をされた新生企業社長の宇田敏代(当時容疑者)は、福島県で同様の事業をしていたと言う。その福島県から大阪へ移転をして犯罪に手を染めたと言う事であるが、なぜに東京ではなく大阪であったのだろうか。

名古屋地検に大坪氏の部下であった田中特捜部長がおり、滋賀の大津地検には佐久間検事正、京都地検に大坪次席検事という事になる。新幹線でも1時間以内・車でも2時間以内の距離に現・元特捜部長が3人揃った事になる。なにやら充分に悪巧みが出来そうな位置関係である。

佐久間氏で忘れてはならないのは、2010年6月15日付けで辞職をした樋渡利秋元検事総長である。彼、樋渡氏の秘蔵子として佐久間氏をかわいがったと言われているのであるが、樋渡氏が検事総長まで上り詰められた理由は2点であろうか。
一つ目が「総長にまで上り詰めたのは司法制度改革審議会の事務局長として裁判員制度創設の功績が大きい。
二つ目が特捜部時代のリクルート事件での、江副浩正元会長の事情聴取であろうか。半蔵門病院に入院中の江副氏を病室で事情聴取を行うという荒業を用いている。

その樋渡氏の後釜が大林宏氏である。2010年6月17日付けのようである。この大林氏は東京高検検事長からの出世となるが、このたびの西松事件や陸山会問題は半分はこの大林氏の人事が絡んでいるのであろうか。既定路線とされながらも民主党の小沢氏の「検事総長を民間から登用」の一言が効いたようである。

現実には、民間からの登用は可能なのである。が部下のいじめに遭うだろうとと思われる。

 検事総長は、検察庁法15条1項で一級の検察官とされ、同法19条1項で一級の検察官の任命資格が定められています。

第十九条 一級の検察官の任命及び叙級は、次の各号に掲げる資格のいずれかを有する者についてこれを行う。
 一 八年以上二級の検事、判事補、簡易裁判所判事又は弁護士の職に在つた者
 二 最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官又は判事の職に在つた者

さてこの大林氏の東京高検検事長の後任に、広島高検検事長であった笠間治雄氏が就任するようである。さてこの人物に関しては、郷原氏は総長になって欲しかったという。


笠間東京検事長には格別の意味があります。特捜部長経験者の中で最も適切な判断ができる人で、この人が東京にいたら昨年3月以降の東京特捜の暴走捜査はなかったはずです。総長になってもらいたかった
昨年の3月20日前後に記録をして残していたものを加筆をしたらずいぶん長くなってしまった。これもまた何かの役にたつこともあるだろう・・・・か。

しかし、メモを書き足しながら、ほとんどロクナやつはいない・・・という気になってしまう。

2009年3月24日火曜日

【西松事件】 小沢氏の会見&ぶらさがり

 毎日のようにいろいろな事件が起きているが、この西松事件ほど、摩訶不思議な事件も珍しい。野党第一党の党首であり、次の総選挙で政権交代が起きたら、内閣総理大臣になろうかという民主党小沢一郎党首の公設第一秘書を、突然逮捕・起訴をしてしまうという前代未聞の事件である。


3月4日記者会見
民主党の小沢一郎代表は4日午前、自らの公設第一秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕されたことを受けて、東京・永田町の同党本部で記者会見した。会見の詳細は以下の通り。

「今回の問題について私から報告と説明をいたします。まずこのたび私の秘書である大久保の逮捕を含めて、西松建設からの政治献金にかかわる関連のことで強制捜査が行われたわけですが、いわゆる強制捜査の根拠を聞きますと、その政治団体からの献金か、あるいは企業からの献金か、その認識の違いを根拠にし、企業からの献金を認識した上で虚偽の記載をしたと。こういう検察の言い分のようであります。このような、この種の問題で今まで逮捕、強制捜査というようなやり方をした例はまったくなかったと思います。まさに検察の強制捜査の、今回は、普通の従来からのやり方を超えた、異常な手法であったと思っております。それから、衆院の総選挙が取りざたされている時期において、このような今までやられたことのなかったような異例の捜査が行われたことに関して、私は非常に政治的にも法律的にも不公正な国家権力、検察権力の行使だというふうな感じを持っております」

 「事実関係について申し上げますが、私ども政治家はみんな国民のみなさんから法人であれ、個人であれ、献金をいただいて、その浄財でもって政治活動をやってきているわけです。私はそのみなさんからの浄財を収入、献金の入りも出も、支出も含めてすべて公開をいたしてきております。したがって、この2つの政治団体から献金を、寄付を受けたということについてはこれも政治資金規正法にのっとって適法に処理し、報告をし、公開されているところだ。したがって、献金を受けたということはその通り事実でございます。私は秘書からの報告についてもこの政治団体が寄付をしてくれるということでございましたから、政治資金管理団体で受領することにしたということで、私はもっとも当たり前の当然のことだろうと解釈をいたしております。もしこれが西松建設そのものからの企業献金だという認識に立っているとすれば、政党支部は企業献金を受けることが許されておりますので、そういう企業献金という認識に立っていたとすれば、政党支部でそれを受領すればなんの問題も起きなかったわけでして、私どもの資金管理団体の担当者はそれは政治団体からの寄付という認識のもとであったから、政治資金管理団体で受領したということであったと報告を受けているし、また、私は、それは至極当たり前のことだろうと思っております」

「献金していただくみなさんにそのお金の趣旨や、いろいろな意味において、そういうことをお聞きするということは、それは、好意に対して失礼なことでもございますし、通常、これは政治献金の場合だけじゃなくして、私はそのような詮索(せんさく)をすることはないんだろうと思っております。そういう意味で私どもとしてはまったく政治資金規正法に、その通り、忠実にそれにのっとって報告をしてオープンになっている問題でありまして、このような逮捕を含めた強制捜査を受けるいわれはないというふうに考えております」

「このような、いわゆる検察権力、国家権力がこういう形で強制捜査を行うと。この種の問題でこういう形で行うということは、普通の民主主義社会ではあり得ないことだと思います。したがって、日本の場合でもこのようなことは前例がなかった。今回のことで一番心配しているのは、このように強制力を持つ公権力が思うままにその権力を行使するというようなことが今後もまた行われるということになれば、本当に国民の人権を守ることはできないし、社会は暗澹(あんたん)たるものに陥ってしまうだろうと、そのように思っていて、日本の民主主義の成熟のということを考える上においても、先に申し上げたように、今度のこの種の問題で逮捕、強制捜査というやり方は大変民主主義を危うくするものであり、公正さを著しく欠くものであると考えている次第です。何ら政治資金規正法に違反する点はありません」

 「そして、さらに付け加えて言えば、その献金が何らかの形で私や私の秘書が相手方に対して便宜を供与したとか、何らかの利益を与える行為を伴っていたということがあるとするならば、それは、私はあまんじて捜査を受けます。しかし、私も秘書もまったくそういう事実はありません。したがって、今申し上げましたように、今回の強制捜査についてはその公正さについて、納得がいかない。疑いを抱かざるを得ないというのが私の現時点での認識でございます」

 「事実関係はもうみなさんもご存じの通り、ごくごく単純、簡単なものですから、おわかりのことと思います。これ以上の事実関係の説明はありませんし、不要だと思います。私がこの件についてみなさまにご報告とご説明を申し上げるのは、以上でございます」

--党内外から代表辞任を求める声が上がっているが、進退についてどう考えるか

 「今申し上げましたように、私自身として、何らやましいこともありませんし、また私の秘書の行った行為は、政治資金規正法にのっとって適法にきちんと処理し、届け出た。そして公にされていることでありますので、私としては、それによってどうこうということを考えてはおりません」

--献金を受けたときは西松建設が出所というのは知っていたか。そのことを知っていたけども政治団体を経由していたから問題ないと判断したのか

 「私が直接やったわけではありませんけれども、すべての献金について秘書ないし、担当者がやっておりますが、今回の大久保の話によれば、今さっきから説明している通り、政治団体からの献金であるという認識であったから、政治資金管理団体でそれを受領したということに尽きると思います」

 --公設第1秘書が逮捕された事態は政権交代を目指す民主党にとって大きな衝撃だ。次期衆院選への影響、特に政治と金にまつわる事件が起きると政治不信が高まると思うが、選挙に向けてどのような訴えをするのか

 「私は、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、政治献金については収入、支出、入りも出もすべて公開をいたしております。今回の問題になっている献金についても全部報告して、きちんと処理を適法にいたしています。したがって、大久保が今、逮捕されておりますけれども、遠からずその嫌疑は晴れるものと信じておりますので、私はそのことによって、少なくとも私自身と民主党に対するそういった国民みなさんの疑念は晴らすことができると思っております」

 --小沢代表の秘書だけではなく多くの議員が2つの政治団体から献金を受けているが、なぜ検察のターゲットが小沢氏の秘書になったと考えるか

 「全く分かりません。先ほど申し上げたように、私は今、民主党、野党第一党の党首、代表をしています。そして、政治献金に関しては、何度も言うように、すべて法にのっとって報告しオープンにいたしております。多分収支を全部オープンにしているのは私だけではないかと思っておりますが、それがどうのという意味じゃありませんが、私はそういうふうに明朗にきちんといたしております。それにもかかわらず、このような、一方的ないわゆるこじつけたような理由でもって、検察権力の発動ということは非常に公正を欠く、政治的にも法律的にも公正を欠く行為ではないかと感じております」

 --代表から謝罪の言葉がないが、秘書が逮捕され世間に動揺を与えたことへの謝罪もないということでよいか

 「私は何度も何度も申し上げておりますように、何らやましい点もありませんし、また政治資金規正法にのっとって正確に処理し報告し、そして収支も全部オープンにしています。従って、今回、秘書が逮捕される、強制捜査を受けるということについては全く合点がいかない、理解できないところでございます。従いまして、必ず近いうちにその嫌疑が晴れ、私どもの正当性が証明されるものと思っておりますので、そういう意味において、今、おわびするというその意味においては、理由は私は見あたらないと思っております」

 --「近いうちに嫌疑が晴れるだろう」ということで謝罪はないが、起訴された場合でもその考えは変わらないという認識でいいか

 「私は起訴などということはないというふうに信じております。そして起訴に値するような法律違反、違法なことはやっていない。そういうふうに思って、そう認識しております」

--ゼネコンから多額の献金が入っていたことが分かった。自民党と同質ではないかという指摘については

 「あなたはそのゼネコンだけの話をいたしますが、私は、たいへん大勢の個人のみなさんからも献金をいただいていますし、ゼネコンだけじゃなくその他の企業についても身に余るほど献金をいただいております。心から皆さんに感謝しております。従いまして私の旧来から政治資金に関して、そのほかの日本社会全体の関しての私の考えですけれども、献金を企業はいけないとか、だれはいけないとかそういう意味で制約するやり方ではなくて、献金はどこから受けたって構わないけれども、それはどこからいただき何に使ったかすべて公開しろと」

「それを国民がみて、ああこういうところからもらってんのか、こういうふうにつかってんのかということが判断できるような仕組みに。いわゆるディスクロージャー。一般の企業でも何でも同じですが、行政でもそうです。なかなか真実をオープンにしない。そういう、私は公にしない社会の体質がいけないという風に思っております。従いまして、従来からの私の主張はあくまでも明朗、公開、オープン、何事も。そして、それが妥当かどうかは、国民が、主権者が審判を下すというのがわたくしは民主主義の在り方だと思っておりますので、その、今の自民党と同じ体質だというようなたぐいの意見は全く心外であります」

 「私はずっと以前から全部公開しろといってきました。自民党はひたすらいやがってきたわけであります。それは年金や医療の、社会保険庁の行政を見てもそうじゃないですか。全部隠してきたじゃないですか。これがオープンになっていればもっともっと早く改善できただろうと思っております。行政各省庁、全部そうです。ですから、わたくしはディスクロージャー、日本をよりオープンな社会にして、国民が判断する資料を、材料を国民のまえに提供するという社会にすべきだというのがわたくしの持論だ」

 --政治団体の献金や金額をチェックする機能はあるのか

 「チェックつうのはどういう意味ですか」

 --政治団体が献金を受けてますよね

 「はい、はい」

 --大きな金額の背景を小沢代表事務所では調べないのか

 「一般的にいって、私はわたくしの事務所だけでなくして、献金くれるという方について、このおカネは、どういうところから出るのかということは普通の一般常識として、個人間でもみんな同じだと思いますが、どっから持ってきたカネだとか、そういうたぐいの詮索(せんさく)はしないのがわたくしは大多数だと思っております。従ってその意味で、献金してくださる皆さんの善意を信じてやっているというのが現状だと思います。個人で言えば全くもう、知らない人からもたくさん献金をいただいております。その意味で、先般も申し上げましたように、お金そのものが、違法であるということが、明らかに違法だと分かったときはそれは返却することにして、それでけじめを付けているつもりであります」

 --個人献金ではなく企業献金だという疑惑がある。政治改革を進めてきた政治家として脱法行為なのではないかという疑惑をどう思うのか

 「ですから、私どもの政治資金の処理の仕方としてはその政治団体の原資がどういう形でどういうところから入ってくるのか、それは知るすべもありません。そういう意味で、政治団体という、(政治団体)からの寄付ということだったので、政治団体で受領したということであります。そして、もし、あなたおっしゃったように、西松建設の中でそのような脱法といいますか、違法な形で作られたおカネだとはっきりした時点で、さっき申し上げましたように、それは返却するつもりであります」

 --なぜ釈明が今日になったのか

 「別に意図的に遅らしたわけでも何でもありません。全く予期しなかったことでありますから。あ~、大久保がどうなってんのか、それすら分かりませんし、そういうことを問い合わせたりなんかしている間に時間が経過したということだけでございます。ですからきょうは役員会でお話しし、そのすぐ後で皆さんにご報告、説明しているということであります」

 --秘書は政治団体からの献金だったという認識だったというと、便宜供与はなかったという話だが、捜査の過程でこれが覆った場合、代表としてどのような対応をとるか

 「私は覆ることはないと。さっきから言っている通り。必ず近いうちに嫌疑は晴れると。正当に適法に対応してきたということになるものと信じております」

 --献金の原資が脱法的であれば返却するということか

 「そうです。過去にも、水谷建設だったかな。それも嫌疑が確定した段階できちんと返却いたしました。今まだ確定していないでしょ。確定したときにはそのつもりでおります」

 --代表には陸山会の代表者であり、監督する責任があると思う。その際に代表者としてどこまでチェックし、担当者から聞き取りし、関係情報まで目を通しているのか

 「政治家は1人で政治活動を全部やることは不可能です。ですからスタッフ、秘書のサポートを借りながら活動を続けているわけであります。この政治資金につきましても、私も、みなさんご承知のように、非力ながら民主党の代表として選ばれて、務めさせていただいております。全国、一生懸命、国民のみなさまに語りかけ、話しかけ、あるいはわれわれの政策をご理解していただく努力が最大の私は党首、代表としての任務だと思って、ずっと就任以来やってきました」

 「民主党になってから、だけではありませんけれども、私も40年やっておりますので、最初の当選したときよりもだんだんそういう仕事が増えてきております。従いまして、細かな政治献金の一つ一つについて私が全部チェックするということはいたしておりません。秘書を信頼してやる以外に現実問題として不可能なことでありまして、報告は受けて、全体の報告は受けて、それを了としてきておりますけれども、個別の一つ一つについてまでの目を通す時間的、能力的余裕は現実にはないということであります」

 --多額の献金を出す場合、企業側は自分たちが献金を出していることは分かってもらいたいだろう。西松建設のにおいすらしない状態だったのか

 「私が直接、窓口としてやっていたわけではありません。従いまして、大久保の話を、報告を聞けば、自分としてはもう政治団体としての寄付行為、献金だという認識で法律にのっとって処理したという報告を受けておりますので、私はその意味で、さっきから申し上げておりますように、どういうふうにしてその原資がつくられたかというところまでは知り得る術がありませんので、私は秘書が、担当者がそういうことをそのまま受け取ったということについて至極自然のことだと思っております」

3月6日 ぶらさがり

民主党の小沢一郎代表は6日昼、自身の秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕された事件について、現段階ではその責任をとって代表職を辞任する考えのないことを改めて強調した。東京・永田町の民主党本部で記者団の質問に答えた。詳報は以下の通り。

 --秘書逮捕後、次々と事件に関して疑惑の報道がされているが

 「あのー、疑惑が出ているとは私は思っておりません。私自身は、それこそいま、いろいろと報道されてますが、そういうこの間の会見でも申し上げましたが、いわゆる、今の状況ですと、何か私が収賄の被疑者のような報道がされてますけれども、この間も申し上げましたように、私は、そういう事実は全くないということは、今もって変わっておりません。

 それで、個別のことについては私は秘書を信頼して、秘書に任せておりますので、個々の一つひとつの献金のことはわかりません。

 ただ、政治献金であっても何であっても、献金してくれる方、あるいは、一般社会で言えば、慈善事業に寄付してくれる方とか、そういう意味ではありがたく、献金はいただいて、その浄財で政治活動をしておりますし、また、ずっと政治活動続けていく中で、今、問題になってる西松建設うんぬんのだけではなくて、いろんな、会社の方であれ、個人の方であれ、お礼とお願いのごあいさつをするのは当たり前だと思いますんで、そういう意味では、私は何も問題はないんじゃないかと思っております。

 あと、個別のことは、大久保(隆規容疑者、公設第1秘書)が逮捕されて、いませんので、聞くわけにいかないので、その個々の具体的なことについては、私わかりませんので、申し上げるのはちょっと今は無理です」
--政治団体からの献金で、実際は西松からの献金とはわかっていなかったとのことだが、西松あてに請求書が出されていたということだが、食い違いがあるが、どう説明するのか

 「どういう形で具体的な手続きとしてやってたか、それは分かりませんが、多分、政治団体からの寄付なので、政治団体で、事務的に受けたということだと思います。

 それで、その2つですか、の政治団体のお金がどのような形で集められたのか、そういうことは他の人は知る術はありませんし、このお金はどういうお金ですかということは、今言ったように、一般社会でもせっかくの行為に対して、そのようなことは詮索(せんさく)することはありえないと思ってますので、私はそういう意味では、政治団体から、政治団体ということで事務処理をしてきたということは、事務的には問題ないんじゃないかと思っております」
 --大久保容疑者しか、細かいことわからないということだが、大久保容疑者が起訴された場合に代表の責任はどう取るのか

 「起訴された場合っつっても、今、大久保が逮捕されている理由ちゅうのは、要するに報告書に実態は、西松のお金がすべての団体だったちゅうことなんでしょ。団体のお金は、政治団体のお金は、西松の会社のお金だったちゅうことでしょ。

 それは、全くわからないわけですから、ですから、その意味では、政治団体から政治団体というふうに、事務的に処理していたということ自体はですね、もちろん、そういう事実が最初からわかっていれば、それは企業の献金が許されている、政党支部で受ければいいことですし、後になってわかったということであれば、それは、収支報告を訂正するということで、従来からも自民党の、あるいは、総理の方々であっても、修正報告ということで、みんな済まされてきたことだと思うんです。

 ですから、今、私の秘書が逮捕、そういうレベルの問題で、逮捕されたということはね、それは本当にさらに、それ以上の何かがあるということであれば、私、会見でも言ったでしょ。収賄の容疑があるとかいうたぐいのこと、そして、私と大久保も含めて、そういう事実上の行為が、斡旋(あっせん)したとか、口利きしたとか、便宜を図ったとか、そういうことをやったというんなら、それはもう、どんな捜査を受けてもやむを得ないし、当たり前のことだと思います。

 私は、そして大久保もそうだと確信してますが、そういうたぐいのことは事実として一切ないということでございますので、そういう意味において、あたかも何かそのような、犯罪をおかしているかのような前提で論じられるのは、ちょっと私としては心外だと、この間の会見でも申し上げた通りです」

--この間の会見で、小沢代表は検察批判を展開されたが、言い過ぎだという声が出ているが

 「あ、そうですか。そう、言うんじゃ、言葉遣いがまずかったなら、訂正するのはいくらでもしますけど、現実に今、言ったように、私どもは報告書の結果として、認識の違いあったことは、多分そうなんでしょうね、結果を見れば。

 しかし、政治団体から政治団体へという事務的な作業をしただけですから、その種の問題で、即、逮捕とはいまだかつてなかったことで、ですから、それ以上の犯罪があるという前提の立ってのことだと。
 ならば、別ですけれど、私としては、繰り返しますが、そういった行動は一切しておりませんし、大久保もしてないと確信しております」

 --西松建設サイドが、小沢代表に何かを期待していたということについては

 「それは、あの、例えば、私の個人で献金してくださっている方も、何百とおられます。それぞれ献金する方々の気持ちは、それぞれ違う思いを持っていると思います。

 ただ、本当に一般の方々が自分の収入から、献金してくださるのは、これを使って、政治活動をしながら、いい政治をしてください。そして、自分たちの日本が、自分たちの生活が、平和で安定して生活できるような、そういう社会をつくってくださいという、そういう期待をして、献金してくださっているんだと思います。

 ほいで、また、企業の方もそれぞれの思いはあるかと思いますが、私どもとしては、その献金を今、言ったと同じように、お国のために、みんなのために使ってくださいという善意と受け止めて、ありがたくいただいております。
 ですから、内心の思いまでは分かりませんけれども、今、申し上げましたように善意を信じておるということであります」

--民主党内から進退に言及する発言も出ているが

 「現時点においては、今、申し上げましたように、その政治資金の報告書の問題についての認識の違いはありますけれども、その事務的な違いは別として、それ以外の犯罪的な事実や行為は一切しておりませんので、私としては、現段階で、その問題について、自分の進退については考えておりません。いずれ、きちんと結論が出てからのことだと思っております」

 --西松建設との付き合いはいつぐらいからで、どういう関係だったのか

 「西松建設と関連の企業グループのみなさんが、私を応援する後援会をつくってくれました。それで、私は年に1回、みんなが集まったときには出席して、お礼のごあいさつを申し上げたということでございます。

 ですから、私は多分、その席には、そんなあの、社長だの、何だの、トップの人は出席しておらなかったと思います。こんどあれ、何て社長でしたっけ、辞めた元の、いずれにしても、その社長さんともまったく面識はないと思います」

 --東京地検が、秘書逮捕に関連して、小沢代表から事情を聴きたいという意向があるようだが
 「あなた方の質問にもちゃんと答えてんですから、どなたでもお話したいということであれば、地検であろうが、他の方であろうが、可能な限り話し合いはいつでもいたします」

3月7日 ぶらさがり

--西松建設の違法献金疑惑について、政府高官が「自民党には捜査が及ばない」と発言した問題で、与野党から批判が出ているが、見解は

 「うん、ボクは直接その話は聞いてませんので、コメントする立場じゃないですけれども、それが事実とすれば、ちょっと奇異な感じがしますね」

 --二階俊博経済産業相に捜査の手が伸びているという情報があるが、見解は

 「それはもう、人様のことですから分かりません」

 --小沢氏は昨日、自らの進退問題について「結論が出た段階で判断する」と述べたが、結論とはいつの段階を言うのか

 「それは分からない。最終的にこうだという結論が出たときということです」

 --それは起訴された段階か。判決が出た段階か

 「だから、その時点、私どもはその今回の逮捕についても合点がいかないということ言っているわけですし、それから、従って、それが起訴されたり、あるいは裁判で罪になったりというようなことは考えていないというのが現状の段階ですから、まあ、いずれにしても、時期がいつか私から何日とか、いつごろとかということではないと思います。常識的に、最終的な結論が出た場合ということで申し上げました」

 --自民党の議員は献金を返金する意向を示しているが。

 「ですから最初から申し上げております。これもまた、そういった違法な仕方で、脱法か、な仕方で政治団体の原資が集められたものだったということが、今はまだマスコミを通じてしか分からないわけですから、それが確定した時点におきましては、私は最初からそういう場合には返金したいと言っております。ですから、それは変わりありません」

--二階氏については裏献金を受けていたと報じられている。自民党の説明責任についてはどう考えているか

 「それはもう、今さっきも言ったように、二階さんのことについて私は分かりませんから。とやかく今、論評する何ものも持っておりません。それから、自民党の国民に対する、本人と自民党の国民に対する説明責任は、それはそれぞれ、本人と自民党が考えることだと思います」

 --逮捕された大久保隆規秘書は岩手県内で影響が大きかったという話が出ているが

 「私は、彼がそれだけの力というか、影響力とか、いうのを持っているとは思いませんし、また、それをいろんなかたちで行使したというふうには思っておりません」

 --大久保秘書が西松建設本社に行き、西松建設幹部と献金方法の詳細について話し合っていたそうだ。そのことを知っていたか。事務所の体質として問題はないか

 「あの、会見の時からずっとこの問題、起きてから、申し上げておりましたが、献金は本当に大勢の方々から個人、法人問わず頂いておりますから、個別の献金のことにつきましては、私は報告は受けておりませんから分かりません。ただ、一般論として、献金してくださる方にお願いを申し上げるということは、直接、お願いできる方もあるし、それから大勢ですから、直接、お願いでもって、会って回ることもできない方も、そのような方には今回も、あるいは今年もよろしくお願いしますという文書でお願いをしておるということは知っております。それは、いずれにしても、献金をしてくださる方に、その、よろしくお願いしますということ自体は、これは社会通念的にも、政治献金だけじゃなくてそれはごくごく当然、自然のことだと思います」

 --衆院選に向けた地方行脚の再開のめどは
 「地方行脚、したいけれども、こうやって、もう諸君に囲まれてちゃ、地方行脚もできないから、できるだけ早く、もう、地方へ出て、晴れてみなさんとまた話し合い、ふれあいの期待を設けられたい、できるだけ早くそういう機会がまた来るように、というふうに願っています」

【名古屋市長選】
 --名古屋市長選に関して昨日、立候補予定の河村たかし衆院議員と面会していたが、どんな言葉をかけたのか

 「市長選挙については、まあ、もう、すでにみんな知っていると思うけれど、県連、市議団、県議団の中で、いろいろ、議論があって、最終的に私に調整を任せるということで県連会長以下、市議団と県議団の代表もおいでになって、そして任されたわけです。

 そこで河村君を呼んで、とにかく彼がなんとしても出るということであれば、仲間のみんなが了解するようなことじゃきゃだめだよということで、私が提示しましたのは、推薦するにあたってきちんと誓約してくれと。そのひとつは政策の決定、発表にあたっては、特に名古屋市議団のみなさんと十分、話し合った上で結論を得るようにしてくれと。それからもうひとつは、市長選に回るとすれば、(衆院愛知)1区の後継の候補者の問題がありますから、これについては市長選の選挙の結果がどうであれ、河村君自身と後援会、この両者が全面的に県連、そして最終的には党本部の決めた候補者を全力で推薦すると。この2つを誓約してくれということで、話しまして、そして昨日、誓約書に本人と後援会長の署名・捺印の誓約書の文書を持ってこられましたので、それでじゃあ、ということで、みなさんと話し合ってくれということで帰ってもらいました。

ですから、それでよしとなれば、次の常幹(党常任幹事会)にかけられるかどうか、まだちょっと分かりませんけれども、よしとなれば推薦ということになるだろうと思います」

 --どんな言葉を河村氏にかけたか

 「特に、議員の場合は、それは民主党所属の議員としての最低のルールは守らなければいけないけれど、ある程度、自由気ままな言動も許されるけれども、首長ということになると本当に市民の生活そのものの問題だし、またみんなの協力と理解を得られなければ現実、市政、できないのだから。そういう意味で、今言った2つのことだけはきちんと守って、守るということを約束した上で、というふうに話をしました」

--この後、「鳩山一郎50年祭」に出席するのか

 「(鳩山由紀夫)幹事長から、ぜひちょっとでもいいから顔を出してくれというお話がありましたので、行くつもりでおります」

3月10日記者会見

 --今日午前の党常任幹事会でどのような説明したのか。新聞各社の世論調査で代表を辞任すべきだとの声が多いが、進退についてどう考えるか

 「まずは、先週から、私の政治資金にかかわることで大変、同志の仲間のみなさんはもちろんのことですが、国民のみなさんにも大変、迷惑をおかけし、ご心配をおかけいたしましたことをこの機会におわびを申し上げたいと思います。

今日の常任幹事会では、まず、そのことを申し上げながら、特段、そんなに詳しい話をしたということではありません。もう単純な事実でございますので、もう、みなさんもお分かりの通りで、まあ少し、ちょっと経過を申し上げたとすれば、3日でしたかね、3日だな、あれ、3日の朝に大久保(隆規秘書)から急に突然、連絡がありまして、これまた『地検からちょっと話を聞きたいという連絡があった』ということで、『ああそうか』と。『そんならありのままに話してくればいいじゃないか』と。『はい、そうします。分かりました』と言って、出かけたっきりなんですけれども、午後に会うということになっておったようですけれども、ボクも1時間、2時間すれば終わって連絡があるかと思っていましたが、全然なくて、マスコミみなさんからの情報で逮捕するとか、されたとかという話を聞いておったことでして、大変、突然、逮捕ということで、びっくりいたしました。私が今日、常任幹事会で申し上げましたのは、その出だしのところでございます。

それから、もうひとつ、言いましたのは、私の政治家としての生涯かけての大目標は、ひとつは官僚主導の政治行政を国民主導の、国民の側に立った政治行政に改めると。それがひとつ。それからもうひとつは、日本に真の議会制民主主義を早く定着させなければいけないと。以前から諸君にもお話ししていたと思いますが、このふたつを実現するには、政権を代える以外ない。それが私の政治家としての生涯の大目標であり、夢であり、使命であるということで、私個人うんぬんの問題ではないと。その大いなる目標を達成したいと。何としても実現したいということを申し上げたということであります。

 第2のことでございますけれども、大久保の逮捕から1週間を経過して、もう8日目ですかね、に、なったわけですが、その間、私も、これもまた申し上げておりますように、収賄罪か何かの被疑者、犯人のような、ずーっと毎日、毎日の報道でございましたから、国民のみなさんがそういう中で、辞めた方がよかろうというふうに思われるとしても、それはむべなるかなと。そういうふうに感じるだろうなというふうに思っております。

ただ、まだ収支報告書の事務処理の問題点という以外に何も明らかにされていないわけでございますので、私はそういう意味で、事柄がその他のことも含めまして明らかになれば、その時点で、国民のみなさんのご判断をいただければいいのではないかと。従いまして、私は進退については、最終的な結論が出るまでは現時点ではまったく考えておりません」

 --世論調査は厳しい数字も出ているが、衆院選への影響も進退の判断材料になるか

 「今、申し上げましたように、私の政治家としての最大の大目標、目標は、そして私はそれを使命と感じておりますが、それは政権交代、それによって国民主導の、国民の側に立った政治行政を確立する。そしてこの大激変が予想される、世界的な激変が予想される今日の中で、1日も早く議会制民主主義を日本の社会に定着させる。そのことが私の大使命であると。また、生涯かけての目標でありますから、そのためには総選挙で勝利を得なければなりません。私の今後の行動の基準は、あくまでもその点において、物差しをそこにおいて判断したいと。そう思っております」

 --小沢氏の地元の建設業者が「小沢氏との関係が深くないと公共事業を受注できない」と話しているとの報道があるが

 「それはどなたが言っているのか分かりませんけれども、いろんな方もおられますし、また、そういった私どもとの関係と、そういった公共事業の受注のうんぬんという結果とは関係があるとは私は思っておりません」

3月12日 ぶらさがり
 --連合の笹森清前会長が先月代表と会った際、代表が「円高なので、済州(チェジュ)島を買ってしまえ」と言っていたと紹介したが事実関係は

「なにチェジュ島って?」

 --済州島、韓国の。

「そんなこと言ってませんよ。あのー、なんだ今、対馬を韓国資本が買ってるんですって。何だか僕は知らないけれど。お互いの自由なんだから、そりゃあ、日本だって韓国の土地買えるんだから、そんなことは問題ないんじゃないですか。何か問題あるの?」

 --チェジュ島を買ってしまえとは言っていない?

「チェジュ?チェジュ?」

 --済州島

「いや、特定の話じゃないですよ。対馬を何か一生懸命買ってるっていう話あったんじゃなかったかな。確か、韓国資本が事実。だからそれはお互い自由だから、外国の企業だって土地買えるんだから、それはお互いさまだから。日本だって韓国の、買えるでしょ」

 --昨日の午前参院の若手5人と会った際に、元秘書の石川知裕衆院議員の参考人聴取が報道されていることを「選挙妨害だ」と言ったと伝えられているが、そのような事実はあるのか

「いやあ、僕自身は言ってませんよ。ただ、そういう選挙の直前で、みんなに迷惑をかける、という類の話はしました」

 --石川氏について東京地検が参考人として事情を聴きたいようだが、今把握されている事実関係は?

「事実関係っちゅうのは?」

--実際、石川議員が事情を聴かれているかどうか

「ああ、あれはうちではあなた方がよく言うような金庫番というような類の者はおりません。うーん、先輩から後輩へ、それぞれそのときどきで経理を担当していますから、石川も経理の担当をしておったことがありますから、まあ、その意味で参考意見聞きたいっちゅうこっちゃないですか。もう、ありのまま話してくればいいと思います」

 --石川氏から、地検が事情を聴きたいとの意向を持っていることは、伝えられているのか

「あなた方の報道からです。いいですか?」

3月17日 記者会見

民主党の小沢一郎代表は17日午後、党本部で記者会見し、自らの進退について「結論が出ましたときに今後のことについては判断を致したい」と述べた。記者会見の詳細は次の通り。

 --西松建設の事件だが、検察の強制調査着手以来、報道でいろんな疑い指摘されているが、そういったことに対してどう説明するのか。あるいは現状を今どのようにとらえていて、進退を含めた今後の政治活動についてどう考えているのか

 「あの、事実関係は、もう皆さんもお分かりの通り、ごくごく単純な事実であります。献金を受けておったことは事実でありますし、そして政治資金規正法の、法の趣旨にのっとってその通り報告をしていたしてきたところでございます。うーん、いろいろと今、捜査をいたしているところと推測しておりますけれども、検察当局の公正な結論が出ますことを期待しております。また私の今後のことにつきましては、いずれそう遠くないうちに当局の判断が示されるものと思いますので、私としては、最初から申しあげております通り、政治資金規正法の趣旨にのっとって、政治団体からの寄付だから政治団体で受けたと、その通りに報告をしたということでありますので、それが理解してもらえることを期待しておりますし、いずれにいたしましても、その結論が出ましたときに判断を、今後のことについては判断を致したいと思っております」

--検察当局の結論ということだが、代表は、ご自身も大久保秘書も潔白だという主張をしているととらえているが、仮に起訴になった場合でも、その内容が逮捕容疑と同じあるいは範囲に留まってそれ以上、事件が進展することがない場合は、逮捕以後の対応と同様、代表職にとどまる考えか

 「今お話し申しあげました通り、私もそして、きっと大久保自身も、法の趣旨にのっとって正直に報告をしてきただけだという認識だと思いますので、しかし、現実に逮捕されておるわけでございますので、いずれ、検察当局が結論を下すだろうと思いますので、私自身の今後のことについてもその結論を見た上で、私どもとしては逮捕、起訴されるというのは、今言ったように政治資金規正法上のその通り、法律の趣旨の通り報告をしているわけですので、なんも悪いことをしていないという認識でおりますので、その意味で繰り返しますが、検察当局も公正な結論を出していただくことを期待しております。いずれにしろ、その結論が出る前に、とやかく言う問題ではないと思いますので、結論が出てから、また皆さんとお目にかかる機会になりましたら、そのときにお話ししたいと思います」

--進退について判断する際の基準は。また、検察の判断が示されて以降、どのぐらいで判断を示すのか。もう一つは、今後、4月の千葉県知事選はじめ、地方選が続々とある。こうした地方選の結果が、総選挙に影響があるかないかが代表の判断に含まれるのか。もし、代表職にとどまると判断すれば、その段階から地方行脚を再開するのか

 「結論が出ましたならば、これはあの、法律解釈の問題が、かなりの、その認識の違いですから、政治資金規正法の。おー、判断を、私自身も、よく見聞きして、きちんと認識した上でどういうことの結論なのかということをよく認識した上で、そんな、それ以降、遠くなく私自身の考えを申しあげたいと思っております。それから地方選挙、これは私自身がいろんな意味で、仲間の皆さんやら支援者の皆さんに、ご迷惑をかけているということは、先日来も申し上げております。

今、地元からは、ぜひ応援に入ってくれ、応援に来てくれ、という要請がありますけれども、私としては、このように大きな問題になっておることですので、その結論を見た上でというふうに、考えてはおりますが、いずれにしても、この選挙戦、これはもう、いつも言っていることですけれども、地方選挙と国政選挙とは必ずしもリンクしているとは、あのー、限りません。

えー、千葉の選挙も、わが党は最終的に推薦候補を擁立しましたけども、自民党はどっちだかわかんない分裂状態にありますし、秋田もかなり自民も我が方も、ねじれたまんまのお話になっていますし。まあ、名古屋の方だけはどうにか民主党一本で戦える態勢をつくりたいというふうに思ってますし、地元の皆さんもまた候補者と目されている人も、今懸命のコンセンサスを得るための努力をしているようでございます。

まあ、従いまして、この地方選挙、非常に大事な選挙戦でございますけれども、そのことが、さっきから言われている、私自身の今後のこととイコールのことではまったくない。地方選挙負けるたんびにどうたこうだっつう話ではない。じゃ、勝ったときはそれでいいのかっちゅうことにもなりますし、それとこれとは質の違う話だと思っております。それから、選挙がいつか分かりませんので、えー、早くということは主張は変わりませんけれども、まあ、いずれにしろ、この問題の決着をつけて、その上でどうするかということは考えていきたいと思います」

--昨日の参議院の予算委員会で、この事件に関連して麻生太郎首相が、「明らかに違法であったゆえに逮捕ということになったんだ」と述べた。個別の事案に対して首相がこのような答弁をするのは通常は考えられないが、この点についてどうお考えか。また、ここへ来て検察の捜査や報道に対する問題について、検察への批判も出てきている。これについて現時点ではどう考えるか

 「あのー、検察は法律を学ぶときは準司法的性格を持っているという表現の仕方で、よくものの本には書いておりますけれども、行政の一部であるっちゅうことは間違いのないことであります。したがって、その行政の長がそのような発言するちゅうことは、多分いまだかつてなかったことだろうと思いますし、それは総理として最高の責任者として、いかがかと思っております。それから検察の捜査につきましては、今、さっきから申しあげてます通り、私どもは、政治資金規正法の趣旨にのっとって、献金を受け取った相手方を記載するという趣旨にのっとってやっておりますので、公平な公正な結論を出してくれるものと期待しております。前から言ってます通り、私自身がその、収支報告書以外のいわゆる犯罪に手を染めていたと、関与していたということであるならば、私はどのような処置をされようが、処罰されようが、そりゃあもう、甘んじて受けなきゃなりません。しかし、私はそういうことを、まったく事実としてありませんし、秘書の大久保もそのようなことはないものと信じております」

--代表の地元の選挙区支部は地元の建設会社から広く献金を受けているが、こうした建設会社の一部は、ゼネコンからの依頼や指示で献金をしたということが報道の取材などで出てきているが、そういった献金をしている企業のバックにゼネコンがついているということは把握しているのか。またそのような事実についてはどのように考えるか

 「あのー、地元の皆さんの応援は、投票だけでなくして、金銭的にも本当に有り難い支援をいただいております。それは別に建設関係だけの方ではありません。そしてまた、その方々は、いわゆるゼネコン、ゼネコンちゅうと大手をイメージしますが、そういう関係とはまったく違った、もうずーっと、何十年来の支援者の方々がほとんどでございます。ですから、その意味におきましては、私も皆、よく存じ上げてる方々ですけれども、それといわゆる大手ゼネコンとのつながりうんぬんということは、まったく認識しておりません」

--先週の記者会見では、進退について、政権交代をもの差しに判断するという趣旨の話をしていたが、今日は検察の結論という発言が多い。世論調査や千葉県知事選の結果など、世論の動向で自分の進退を判断するということあるのか。また民主党はかつて問題が起こるとすぐ代表の交代が起きてきたが、今は非常に冷静だ。民主党の同僚議員に対して思うことがあればうかがいたい

 「私どもの大目標と大きな責任、使命というのは、政権を担ってそして本当に一つは国民の側に立った、国民主導の政治を実現すること。それから、先進国の中でたった一つ日本だけが本格的な政権交代ちゅうのがないというこの現実。その意味において、議会制民主主義、政権交代、国民の手によって政権が選ばれる。そういう中で緊張した国民サイドの政治を実施していくと。本来の民主主義の機能を十分発揮できるようにと。

こういう大きな眼目でもって次の総選挙に臨もうと、そう思っているところでありますので、私自身の個人的なうんぬんという話とはまったく異質なものでありまして、これはもうずっと前から何度も諸君には申し上げている通り、私個人の欲や何かでやっているわけではありません。今言った大いなる目標と大いなる責任を、使命を果たしていくと。

その一点に絞って、私のこの政治家人生の集大成として全力を挙げて頑張っていきたいと、そのように思っております。現実の選挙、さっきも言った通り、地方の選挙はいろいろな複雑な地域の事情が絡みます。本来ならば欧米のように、議会制民主主義あるいは大統領制もまあ、アメリカあたりはあります、大統領制ですが、実質的に民主主義というのはほぼイコール現実の姿は政党政治であります。

ですから欧米各国では大きな、まあ日本で言えば県知事とか政令指定都市とかいう選挙は政党間で争われます。ご存じの通りです。だけれども、わが国の場合は、まだそこまで民主主義というか政党政治というか、それが定着しているわけではありませんので、どうしても国政と地方選挙とは、選ぶ方の主権者の側、そのときそのときの地方選挙の場合は、事情があっての選挙戦になるということもありますので、地方選挙イコール国政選挙、民主党の政権への道うんぬんというふうにとらえてはおりません。これもまた何回も諸君にお話ししてきたとおりであります。ですから、もちろん勝利することに越したことはないんで、これは全力で頑張んなきゃいけませんが、今さっき言ったように、千葉でも秋田でもその地域のいろんな事情で、いろんな紆余(うよ)曲折があるということは知っての通りでございますので、そういういろんな事情の中でも、ぜひとも何とか私どもに近い考えの人に当選してもらって、そしてそういった諸々の力を合わせて総選挙に臨みたいということが私の気持ちであります」

 --冷静な民主党に一言
「あ、党内?党内のことは僕も、皆さんの四六時中監視の中にありますんで、党内の皆さんとはなかなか接触する機会がありませんけれども、いずれにしてもこの問題の決着がついて、そして党内の皆さんのご意見も、ご判断を伺いながら、その後のことについては考えていきたいと思います」

--事実関係の確認になるが、代表自身が現在までに東京地検特捜部の事情聴取を受けていることはないか。また大久保容疑者を除いて、事務所の他の秘書らが聴取を受けていることはないか。またテーマは変わるが、今日、代表は党本部で台湾民進党の蔡英文党首と会っていたようだが、事実関係とどのような話をしたかを説明いただきたい

 「あのー、私はときどきそういう質問に出くわしますが、いまだ地検から何の連絡も受けておりません。また、うちの秘書といいますか、うちではもう皆さんもご存じの通り、俗に政界では金庫番、金庫番という言い方がありますけれども、うちの事務所では金庫番といわれるような存在はまったくありません。みんなそれぞれが、そのときどきの先輩から後輩へ、あるいは、向き不向きもありますけれども、それぞれが順番に代わって経理を行っているということでございます。ですからその経理のことについてのお尋ねについてはあるかと思いますけれども、それ以上のものではないと思います」

 --台湾の件
 「あ、台湾。はい、台湾の民進党の党首とお会いたしました。本当に、久しぶりの、台湾の方とは、政界の関係の人と会うのは久しぶりでございましたので、そういう意味で、特に皆さんが知りたいような政治話をしたわけではありません。お互いに、その境遇ちゅうかな、立場ちゅうかな、それが非常に似てますねと、民進党と民主党と。

ただ私が言ったのは、台湾の方が日本より一歩先んじて民主主義が進んでいる。あの国民党の半世紀にわたる独裁から、選挙による総統選出ということになっていると。これは台湾の皆さんが、本当に政権交代という民主主義の姿を体験したわけだから、私はそういう意味において、わが国においても、日本国民も、一度この政権交代を体験しさえすれば、みんな私はあの、優秀な国民だと思ってますので、実体験さえすれば、ああこういうことが民主主義なのかということをすぐ理解することができますので、とにかく一度、本格的な政権交代。私も15、6年前のときに、これでできたと一瞬思ったんですけれども、短期間で終わってしまいました。今度こそはいわゆる二大政党的な選挙の中で、政権を代える、それによって本当の、民主主義と国民側に立った政治を実現すると。そういうようなことで話をしました」

--代表の事件を受けて、政治資金規正法改正の議論が活発になってきている。民主党内の一部では、いわゆる公共事業の受注企業からの献金を全面的に禁止すべきだという意見や個人献金の条件を緩和して企業献金から個人献金に移行すべきだという意見が出ている。代表の考えとは少々違うと思うが、今後の政治資金規正法の改正のあり方についての考えは

 「あのー、私の考えと違うちゅうわけじゃありません。私は日本の社会はもう少しオープンにすべきだと。政治資金も同じ。あるいは行政も同じ。民間の会社経営も同じ。もう少しディスクロージャー。これを徹底することによって、国民がその資料を基に判断するというのがもっとも民主的な私は社会だと言っているわけであります。

ただ、私自身の不徳の致すところもあって、こういうことになっておりまして、その中から企業献金。公共事業ということではなくて、公共事業といいますとね、あなた方はそのゼネコンのことばっかり思い浮かぶでしょうけれども、ほとんどの企業が、例えばこの間、防衛庁のああいう汚職事件ありましたが、三菱重工をはじめ、それこそ何千億の事業を引き受けているわけでしょう。

大小あっても、全部、ほとんどの企業が国や市町村と県と都道府県市町村と何らかの形で関係ありますから、禁止するということであれば、私は企業献金、そして今回それこそ問題になっている団体献金。これを全面的に禁止するということだと思います。

公共事業でもって仕分けはできない、事実上。ですから、いろんな業界が政治団体、個人、会社や業界、政治団体いっぱい持っているでしょう。その政治団体通じて寄付っちゅうこともいっぱい行われていることでしょう。そうすっとその出資者はかなりのケースで企業でしょう。だから、そういう意味では今度のことの問題を教訓とすれば、全企業、企業、団体献金を禁止するということならば、私はいいんじゃないか。それで、なるべく個人献金しやすいような制度的なものにするとか、あるいはみなさん方がもう少し強力に啓蒙(けいもう)活動をやっていただくとか。

なにしろ、オバマさん600億(円)ものお金集めてやってきたわけですから、だからそれが個人献金の金額にするとどの程度の割合なのかは私は知りませんけれども、いずれにしても本当に大勢の人が、トータルの量は別として、数では献金したことは間違いわけですから、その意味で私は日本においても、そういうような、もしやるとするならば企業献金、団体献金の禁止、徹底しなきゃ意味がないと、そう思います」

3月24日記者会見
「えー、それでは、この度の私の政治団体をめぐる問題につきまして、私の思いと現在の心境を、申し上げさせていただきたいと思います。まずもって、私自身の政治資金団体をめぐる問題につきまして、仲間の皆さん、同志の皆さんをはじめとして、国民の本当に大勢の皆さまにご心配とご迷惑をおかけいたしましたことを心からおわび申し上げるものでございます。

 今月の3日に秘書の大久保が逮捕されて以来、私自身が犯罪を犯したような、印象を与える状況の中で、本当に自分自身、悔しい思いと、無念の思いを抱きながら、必死に耐えて頑張って参りました。このような状況にもかかわりもせず、仲間の皆さん、そして大勢の国民の皆さんからお励ましの言葉をいただきました。私は、この皆さんの激励がなかったならば、今日まで、耐えてくることはできなかったように思いまして、本当に国民の皆様の大勢の方々の負けるな、頑張れという声に励まされ、今日まで参りました。本当に、国民の皆様に、そして同志の皆さんに心から感謝を申し上げます。

 私は、今月3日の逮捕以来、皆さんの前で機会ある度に申し上げてまいりましたが、私自身が収賄罪と、犯罪に手を染めていたということであるならば、それはどのような捜査でも、どのような処罰でも甘んじて受けると。しかし、自分にはそういう事実がないと繰り返し、皆様にも申し上げてまいりました。本日はその意味で、私の主張してきたことが、事実であるということが明らかになったのではないかと、そう思っております。しかしながら、それはそれとして、秘書が結果として逮捕され、起訴されたと、このことについての自分の責任は非常に大きいと、特に民主党に期待してくださった、また直接、激励してくださった皆さんに大変申し訳ない、そういう思いでいっぱいでございます。

きょうの秘書の起訴の理由を聞きますと、収支報告書の政治資金規正法違反、すなわち収支報告書の記載の仕方についての問題が起訴の根拠と、理由とされております。私どもとしては、献金を受けた事実はそのまま報告しておりますし、献金をいただいた相手方をそのまま記載するのが、規制法の法の趣旨であるというふうに理解しておりまして、その認識の差が今日の起訴という事実になったことと思います。

 今までの過去の例を見ましても、この種の問題につきまして、逮捕、強制捜査、起訴という事例は記憶にありません。そういう意味で政治資金規正法の趣旨から言っても、またそういう点から言っても、私としては、合点がいかない、納得がいかないというのが、今日の心境でございます。特に総選挙、まさに秒読みの段階に控えておる今日でありまして、私の責任の重大さを感じると同時に、そういった形での結果につきましては、自分としては納得できないという思いでございます。

 従いまして、先程来、役員会、常任幹事会に私の心境を述べさせていただきました。私は、40年になんなんとする政治生活でございますが、別に代表の地位や、あるいは政権を取って総理うんぬんということになんの未練も執着もありません。ただ思いは、何としても、日本に議会制民主主義を定着させる、それが私の自民党を離党して以来の大目標でありまして、自分の思いであり、そしてこれが、最後の機会だと。この機会になんとしても、国民の皆さんの理解を得て、政権の交代を実現することによって、官僚機構の上に立った自公政権、これを覆して本当に国民主導の、国民の側にたった政治を実現させる、それが、私の最後の政治家としての仕事だと、そう思っています。

 その意味におきまして、みなさんのご理解をいただいて、本当にこの目的をみんなと一緒に力を合わせて今後も頑張っていきたいという趣旨の話を役員会、常幹(常任幹事会)においても行いました。その役員会でも、とにかく、そういう大目標を、そして大いなる使命を達成するために、一緒に頑張ろうと、本当に温かいご支援の声をいただきました。私といたしましては、本当に微力で、ふびんな才能でしかありませんけど、本当にみんなと一緒に、みんなのこういった温かいご支援をいただいて、自分の、そして民主党の、国民の皆さんの期待に応えるよう、今後も頑張ってまいりたい、そのように決意を新たにいたしたところでございます。

 今回のことにつきましては、本当に、仲間の皆さんに、そして多くの民主党に期待する皆さんに、ご心配とご迷惑をおかけしたことを重ねておわびを申し上げながら、私の報告と、今日の心境といたしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします」

--代表を辞任せずに続投するということでいいのか。また、進退に関しては衆院選への影響を第一に考えるということだったが、この点はどう判断したのか。

 「進退については、今申し上げましたように、私ひとりで決するという、今あまりにも大事な大きな問題でございますので、役員会の皆様のご判断を仰ぎ、また常幹の皆さんのご意見、ご判断を仰いだ、ということでございます。それから、衆議院の総選挙で政権交代を実現し、本当に国民主導の、国民の側に立った政治を実現するということが、私の政治家としての生涯の目標であり、夢であり、そして今日、最後の自分の仕事だと心得ております。したがいまして、今後もそのことをこれからのいろいろな状況、どうなるか分かりませんが、そのことを前提にして、それで今後も考えていきたいと思います」

 --秘書が刑事被告人になることで、民主党へのダメージや世論の批判がある中で、あえて代表に留まることが政権交代に、民主党にとってどういう形でプラスになるという判断があったのか。そして、選挙の顔としてあくまで選挙の時期や捜査の進展にかかわらず、代表を続けるという理解でよいか。

 「今、先ほどの質問にも答えました通り、私の目標、そして私の夢は、政治家としての夢は、日本に本当の議会制民主主義を定着させること。そのためには、本格的な政権交代ということによって、主権者の国民の皆さんの議会制民主主義への理解を深めることが私はできると。

そしてまた政権交代しか本来の民主主義の機能であるこのことによってしか、日本に議会制民主主義が定着することがないだろうと、そういう思いに立っておりますので、そのことの私が、今日、皆様のご理解の下で、代表をこのまま続けるということに、ご承認いただいたわけでありますけれど、あくまでも総選挙で勝利ということを前提に、何事も、私自身、考えていきたいと思います。今日の時点において、私が代表をそのまま続けることが、プラスかマイナスか、それは私に判断することはできません。すべて国民の皆さんの受け取り方次第だと思っております。繰り返しますが、いずれにしても、総選挙で政権交代を実現して、国民のための政治、議会制民主主義を定着させる。その一点で今後も対処していきたいと思っております」 

--総選挙に勝利した場合は、これまで通り内閣総理大臣に就任する考えはあるのか。検察をこれまでしていたが…

 「うん?」
 --検察批判をしていたが、政権交代を実現して、内閣総理大臣として政権運営にあたる場合にも、検察と戦い裁判闘争を続けるのか。

 「あのー、第一点はもう何度も言いますように、私が民主党の代表として民主党が過半数を国民、皆さんにいただいたときは、それはその責任を果たすのは当然だとそう思っております。それから私たちの戦いといっちゃあなんですが、選挙戦の相手は別に検察ではありません。自公政権でございます。そういう意味において、検察は検察の職責を果たしたということであろうと思いますが、いずれにしろ、私どもの対決するのは自公政権。これは国民のためにならない。そういう思いの中でこれからの選挙に向けて努力してまいりたいと思います」

 --今回の事件では、違法行為があったかどうかということとは別に、西松建設という違法行為をしていたとみられる企業から、国民の感覚で言えば非常に多額の政治献金が代表のところに来ていたことが明らかになった。そのこと自体について、普通の感覚では理解できない、これだけの額の政治献金がきていながらいろんな事実が分かっていなかったのか、という意識が国民の中にあると思うが、そのような意識を国民が持っていることを理解しているか。民主党のイメージが傷ついたと思うが、「政治とカネ」の問題を含めてどう改善していくのか。

 「あのー、事務所の不動産のときにも皆さんから同じようなことを言われました。私は、今、西松建設、西松建設といわれますが、別に西松建設からいただいていたわけではありません。数で言えば、はるかに個人の皆さんからの献金が私の献金の中身でございます。したがって、私はその献金を、浄財を、ありがたくちょうだいして、そしてそれを政治活動に使うという点において何ら、国民の皆さん、また献金をしていただいた皆さんに隠すべき点も恥ずる点もありません。今回のことにつきましても、確かに大きなお金であることは間違いありませんが、それを別に隠していたわけでもありませんし、使い道をこれまた事務所経費をこの間も申しあげましたが、マスコミに全部公開をいたしました。そういう意味であとは主権者の皆さんが判断することであろうと思っております」

--代表の持論は政治資金をすべて公開し国民の判断に委ねる、ということだが、今回の事件はダミーの政治団体を使い、いわばその盲点をついたことになっている。しかもその経緯を秘書が知っていたということが起訴の内容になっている。強制捜査が異例というのはあるとしても、秘書が小沢代表の持論を骨抜きにするような内容で起訴されたことについて、自身の言行に照らして反省するところがあるのか、ないのか。また、今回の事件を機に民主党の議員は小沢代表は自分たちと比べて政治資金がなぜ必要かという声がある。かつての自民党の派閥の幹部でもないのに、なぜお金が政治活動に必要なのか説明を

 「第一の点ですが、これはダミー云々とか迂回して云々とかの議論がみなさんの中で、いろいろ言われているが、先ほど申し上げように、政治資金規正法の趣旨は献金を受け取った相手方を明らかにするということであると解釈し、その通りの事務作業をしたものと思っている。私のディスクロージャー、オープンにということは、その意味で矛盾する問題ではない。みなさんもお分かりと思います。こういうことを申し上げると差し支えあるかもしれないが、若い政治家の方々以上にはるかにスタッフもいっぱいいるし、いろんな意味で選挙をはじめ、いろんなお手伝いもさしていただいて、また会館の他に事務所があるのはけしからんという議論に立てば別だが、当然、人も事務所経費もある。その意味においてまったく同列にそれを論評されると、ちょっと私もどう答弁したらいいのか。あなた方の方が実態はよく分かっているはずですから。

その意味において私は政治活動の経費も、たぶんほかの人以上にかかっていることは間違いないと思っているし、それがある意味においては代表として、また年長のものとして、いろんな形で秘書が手伝いをしたり、なんなりするということが、ごく自然のことと思っている」

 --今朝の代議士会で一部議員から「新生民主党」で総選挙に臨むべきだとの声が出た。代表を代えてということだが、こうした声が党内から出ていることについて、どのように受け止めているか

 「そういう意見もあるだろうと思います。従って私は自分ひとりでこのまま続けるということを決めるには、大きな問題である。そう思って幹事長に諮りまして、役員会、常任幹事会という党の機関のみなさんの意見や判断をいただき、一緒にがんばろうとの結論になった」

--今後の世論調査で小沢代表は辞めるべきだとの声が依然高かった場合、そして民主党の支持率が浮上しなかった場合、それを受けて代表辞任の考えはあるのか。また、小沢代表は会見の中で涙ぐんでいたが、この間のつらかった日々を思い浮かべたのか、あるいは検察への怒りなのか 同志の温かい声を受けた涙なのか

 「これから国民のみなさんがどういう受け止め方をするか、それについては予測は私にもわかりません。ただ、何度も申し上げますように次の総選挙で国民のみなさんの支持を得る、そして今の官僚機構に支えられた自公政権に代わって、国民サイドに立った政権を打ち立てる。それがひいては議会制民主主義の定着につながるとの思いをもっている。常にそのようにことを基準に考えたい。私はこのようなことを言っては僭越に聞こえるかもしれないが、自分自身、国民の中に入っていろんな意見を聞き、直接声を交わしているつもりです。そういうことは、そういう中から自分で判断する。

 男が不覚な涙で恐縮ですが、つらかったからというわけではない。本当に私があたかも犯罪を犯したかのような世間の状況のなかで、多く仲間のみなさん、特に一般のみなさんから本当に多くの励ましの言葉をいただいた。そのことを申し上げるときに胸が詰まって不覚の涙ということです」

 --党内ではきちんと説明をしてほしいとの声がある。秘書の逮捕直後の世論調査では、多くの国民が最初の会見のときの代表の説明は納得できないとの声があった。逮捕から今日までを振り返り、十分な説明責任を果たしたと考えるのか

 「もし私の説明に分からない点があれば、私は全国行脚するときには毎日のように、みなさんの質問に答えているわけで、どうか国民のみなさんの中にそういう声があれば、代弁してそれを質問してください。私はなんにも隠すこともなんもありません」

2009年3月23日月曜日

【雑誌記事】 米TIME(小沢一郎)

表紙:「独りでも闘う男(The Maverick)」

独占インタビューで小沢一郎は、どうやって日本をリードし、チェンジしていくかを明らかにした。ただ、日本は彼についていけるか?

小沢一郎氏:「日本を救いたいと願う男」
米TIME(タイム)誌 マイケル・エリオット国際版編集長、ココ・マスターズ東京支局長(東京)
2009年3月23日付(紹介記事は下記関連記事参照)

 民主党の小沢一郎代表は、実務的な仕事が性に合っていて、「賑々しい表舞台に立つのはそれほど好きではない」と話す。しかし、これからは脚光を浴びることに慣れる必要があるだろう。現在の世論の動向が持続し、もし(大きな「もし」の話だが)日本で最近明らかになった政治献金のスキャンダルで致命傷を負わなければ、小沢代表はもうすぐ日本の次の首相に就任するかもしれない。衆議院の総選挙は、9月10日までには実施されることになっている。しかし、東京の観測筋は、選挙は早ければ5月24日になることもあると見ている。その日は奇しくも小沢代表の67歳の誕生日である。民主党が現実に自由民主党に代わって政権を担うことになれば、それは歴史上、画期的なことと言わなければならない。自民党は日本の戦後政治体制が固まった1955年から(1993年のごく短期間を除いて)常に日本の政治を牛耳ってきた。今回の選挙の結果次第では、単に野党の旧来の指導者ではなく、日本の政界の舞台裏で20年近く辣腕をふるってきた異色の政治家が政権の座に就くことになる。その小沢代表は、自民党をひどく嫌い、日本がその持てる力を十分に発揮するためには、国とその政治の在り方を変えなければならないと従来から主張している人物だ。

 日本人に変化が必要だと納得させるのは、容易なことではない。しかし、国が斬新な理念で政治に取り組む人物を緊急に必要としているという正にそのために、小沢代表はいま、待ち焦がれた政権に手の届きそうなところにいる。世界規模の不況は、他のどの先進諸国よりも深刻な打撃を日本に与えた。輸出は激減し、日本経済は10%以上も収縮し、国内の大企業は浮き足立っている。「現状を維持する」姿勢が解決策として今ほど見当違いである時代は滅多にない。けれども、自民党は信頼するに足る景気回復への取り組みを示すことができないように思われており、国民は金で動く政党のその場しのぎの対策と失策にうんざりしている。

 日本は旧態依然とした政治家をご用済みにすることを切望しているように見える。しかし、小沢代表は見かけほどに、実際に現政治体制のアウトサイダーなのであろうか?小沢代表はまた、そのときが来たら日本をどこに導こうとしているのだろうか?

 まず、今回のスキャンダルである。それは、小沢代表の権力掌握を頓挫させる可能性が十分にある。小沢代表の第一秘書である大久保隆規氏は3月3日、西松建設のダミー団体から違法な政治献金を受け取って虚偽の報告をしたとして、東京地検に逮捕された。これらの献金は同代表の政治資金に組み入れられたとされている。当TIME誌が3月7日に行った取材で小沢代表は、この逮捕に「非常に驚いた」と語り、この種の事件は従来、「政治資金の収支報告書に関する記載ミス」として、記載の修正だけで済まされてきた、と説明した。捜査はその後、西松建設から自民党所属の国会議員への献金疑惑に広がっているが、これまでのところ、焦点は依然として民主党に向けられている。党代表を辞任する気はない、と小沢氏は述べているが、秘書逮捕のニュースが公表されて数日後に行われた日本の三大新聞の世論調査では、回答者の多数が代表を辞すべきだと答えている。


小沢代表のパラドックス

 日本の現首相である麻生太郎氏(同氏は2006年に小泉純一郎氏が退任して以来3人目の首相で、前任者たちと同様に精彩を欠いている)と比較すると、小沢代表に対する支持率の方が上回っている。それにもかかわらず、西松建設の政治献金スキャンダルにおける同代表の位置に関するすっきりしない印象は、日本の政治で小沢代表が占めている立場のパラドックスを反映している。小沢代表は日本の戦後政治体制の最も過激な批判者として抜きんでている(自民党が1993年に政権の座から滑り落ちるきっかけとなったのは、自民党を離党するという小沢氏の決断だった)。同時に、代表自身がそうした体制のこれ以上ない見本でもある。

 日本の非常に多くの政治家たち(もう1人の異色の政治家である小泉純一郎氏も含む)と同様に、小沢代表も政治家の息子として、27歳で衆議院に初当選して政界入りした。ワシントンにある戦略国際問題研究所(CSIS)の日本部長であるマイケル・グリーン氏は20年以上前から小沢氏を知っているが、その当時の小沢氏のことを、本州北部の岩手県にある選挙区に「予算を持ってくることに励む」旧来型の政治家だったと記憶している。小沢代表の政界の指南役は田中角栄氏や金丸信氏である。田中氏は1972年から1974年まで日本の首相を務め、小沢氏を息子のようにかわいがり、結婚のお膳立てまでした。また金丸氏は、副首相と自民党副総裁にまでなった。田中氏や金丸氏は政界の伝説的なフィクサー(黒幕)であり、小沢代表も自民党を離党するまではそうだった。両氏とも結局は汚職事件で失脚した。1980年代になって日本中が好景気に沸いたとき、評論家たちは日本のこのような有様を「経済は一流、政治は三流」であるとしきりに口にした。好むと好まざるとにかかわらず、小沢代表の経歴の大半は、そのように忌み嫌われる政治システムそのものにどっぷり浸かっていたのである。今回のスキャンダルが明るみに出たとたん、小沢代表の支持率が落ちたのは驚くに当たらない。

 しかし、小沢代表は決して政界の内幕にあって細工するだけの人物ではなかったし、今もそうではない。同代表は1990年代初期から、日本は「普通の国」でなければならない、つまり、自国本来の国益を有し、国の目標は選挙で選ばれた政治家たちが定め、官僚は政策を決めるのではなく、政治家の決めた政策の実施をその仕事とするべきだ、というビジョンを明確に打ち出している。東京の永田町にある民主党の質素な党本部で行われた当誌のインタビュー取材で、日本は「普通の国」になるべきだという分析は今でも当たっているかとの質問に、小沢代表は「まったく該当する」と強く肯定し、「政治が官僚によって主導されている今日の在り方を、私たちは根本的に変えなければならないし、それを、政治家が政策を立案して自分たちの責任で実行していくという政治体制に変えていかなければならない」と述べた。現在の自民党政権に対する小沢代表の侮蔑感には、きわめて根深いものがある。代表は「与党の中には、全面的に官僚に依存しきっていて、まったく無為に過ごしている人々がいる」と話した。

 最近の自民党政治の実績がお粗末に過ぎることは、確かにほとんど議論の余地がない。小泉首相後の3人の後継リーダーたち(安倍晋三、福田康夫、麻生太郎の各氏)は、後になるほど見劣りしてくるように思える。先月、麻生内閣の中川昭一財務大臣は、重要な国際会議の後で開かれた記者会見の席で、酒に酔っていたように見える応答ぶりを披露し、辞任を余儀なくされた。タンタロン・リサーチ・ジャパンCEOのイェスパー・コール氏は「従来なら、概して不況は自民党にとって追い風になっていた。しかし、今回は情けない状況である。政府はまったく信用されていない。打ち出されてくる政策は、あくび交じりの対応どころか、全くの無関心で迎えられている」とコメントした。

 また、日本はとてつもなく大きな課題に直面しているという小沢代表の指摘も、まったくその通りである。日本国内では人口の急速な高齢化が進む一方で、出生率は低下し続けている。65歳以上の高齢層は現在の2800万人から2025年までに3500万人へと飛躍的に増加し、人口の35%近くに達すると見込まれている。この人口構造の変化は、日本の企業に働き手の激減という重圧をかけるものであり、政治指導者たちが真っ正面からこの問題に向き合おうとするならば(そのような人物はこれまでに見当たらないが)、多数の移民を受け入れることでしか事態の改善策にはならない。そのためには、これまで閉鎖的だった社会を外に向かって開く準備をしなければならない。さらに、高齢化社会は医療保障と年金に対する要求で大混乱に陥るであろう。

 海外においては、日本は東でよみがえりつつあるライバル国と張り合わなければならない。わずか20年前には、「日本はやがて米国をしのぐ世界一の経済大国となるだろう」と予言する日本関連の書籍が多く出版された(いま読み返すと今昔の感に唖然とする)。日本がかつてそうであったように、現在では中国の経済モデルが世界でもてはやされている。これまでアジアでは、日本と中国が同時に強力な経済力を誇り合ったことはない。それは、そうした状態が起きるのは不可能だということを意味するのではなく、どちらの国も、お互いに苦々しいライバル国同士として競い合わないようにするためには、賢明なリーダーが必要であることを意味する。(米国もまた、東アジアのこの2大国がどちらも米国にとって重要なパートナーであることを、双方に納得させる賢明さが必要である。)

 とりわけ日本は、その戦後の繁栄と社会の安定をもたらした経済モデルが破綻したことに対応しなければならない。日本の輸出志向産業は目覚ましい成功を収めて、日本が世界第2位の経済大国に成長する原動力となったし、終身雇用という企業方針は気前のよいいろいろな手当制度とあいまって、西欧諸国ではお馴染みの包括的な社会セーフティネットを不要なものにしていた。そして、バブル経済が訪れた。1980年代に金融市場が自由化された後、日本は、現代のアメリカ人がアーミッシュ〔訳注:キリスト教プロテスタントの一派。規律から現代文明を拒否して自動車や電気を用いず質素な生活様式を保持する〕の農民一家ほどにも思えるような、借金をして浪費する経済に突入した。株価は成層圏に届くほどに高騰し、不動産価格は狂乱的に跳ね上がったので、東京の中心に位置する皇居近くの地価は、カリフォルニア全土のそれをも上回るという比喩がはやった。

 このようなバブル経済は、当然ながら弾ける。バブル(泡)は弾けるものなのだ。日本の官僚たちが金融システムの危機に直面して術なく右往左往する間に、日本経済は「失われた10年」と称される長いトンネルに入った。株式市場は急落し、ある時期に下げ止まったのち、さらに落ち込んだ(日経指数は1989年のピーク時から82%も失われ、最近、26年ぶりの底値を記録した)。かつて世界中が瞠目した日本の諸銀行に、公的資金の注入が行われた。新しい世紀に入ると、中国と米国の需要に引っ張られ、日本の経済成長はようやく勢いを盛り返しかけた。しかし、それも新たな世界不況と外需の不振のために再び打ちのめされた。この2月、日本の輸出は前年比で実に46%も落ち込んでいる。


生活保障の模索

 何をしなければならないかについて、小沢代表の分析は明快である。代表は「従来のやり方に立ち戻ることはもとより論外である。(中略)私たちは市場原理と自由競争を、終身雇用制度にうまく組み込まなければならない」と認識している。成功への鍵は、輸出依存度を低くし、もっと国内需要に頼るようにすることである。これは、民主党の政策文書が「すでに20年も前から言われてきたことである」と辛辣に指摘する処方箋である。しかし、日本人にお金を金庫にしまっておかないでせっせと買い物をするよう説得するのは、口で奨励するだけでは全く効果がないことを、小沢代表はよく認識している。同代表は「生活が保障されているという安心感を国民に与えなければならない」と述べた。その点で、人口問題に難題を抱えている現状では、医療保険制度と年金制度で真の改革が必須となる。小沢氏は「若い世代ですら、将来は年金が受給されないのではないかと不安に思っている」と指摘する。前述のコール氏はさらに、「日本人に『定年後の生活は心配ない』と請け負うためにできる施策があれば、必要とされる分まで国内需要を押し上げることに大いに役立つだろう」と説明している。

 これに対して懐疑的な人々もいる。長年にわたり日本についての研究成果を発表してきた米コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授(政治学)は、民主党がセーフティネットを強化しようとしていることを認めつつも、オバマ米大統領が数週間のうちに米議会で可決させたような景気刺激策を提案する決意が同党にあるだろうか、と疑問を呈している。小沢代表は、政策を注意深く考え抜く人というよりも、カーティス氏の言葉を借りれば「自分自身がカール・ローブ氏〔訳注:ブッシュ前大統領の首席補佐官〕になっているように見える」。

 しかし、首相となった場合には、小沢代表はまさに政策を注意深く考え抜かなければならなくなる。これまで、日本は自らの国益を意識する「普通の国」でなければならないという小沢氏の決意が、「米国にとっては同氏が付き合いにくいパートナーとなりそうだ」と思わせる時が何度かあった。例えば、小沢氏は最近、民主党政権のもとでは、東アジアにおける米国のプレゼンスは横須賀を基地とする第7艦隊だけで「十分だろう」と述べた。これは、日本にある他のすべての米軍基地は閉鎖されるべきだという含みのあるコメントである。米国との関係が「日本にとって最も重要な国際関係である」と言う一方で、小沢代表は米国と距離を置いている。同代表はTIME誌に「米国が単独で決め、あるいは実行する軍事行動には、日本は追従することはできない。しかし、国際紛争の解決が国際社会の協力を得て国連の枠組みの中で取り決められるならば(中略)日本は最大限の積極的な協力を惜しむべきではない」と語っている。

 CSISのグリーン氏は、小沢氏の「エイハブ船長〔訳注:復讐の念にとりつかれた『白鯨』の船長〕のような自民党潰しの執念」は、時として反米的な口調も辞さない態度になって現れ、日米同盟関係に巻き添え的な被害を及ぼすという。しかし、日本のどんなリーダーも世の中の現実をわきまえている。小沢氏は首相になれば、権力を維持するためにも「米国との強い結びつきを求めるであろう」と、グリーン氏は見ている。


怖じ気を克服して

 目下のところ、日本が直面している最大の課題は国内問題である。バブル経済の崩壊後、怖じ気づいてしまった日本人は、物事がかつてのままではならないということを知っている。「日本人は根本からの変革を望んでいる。しかし、そのために一票を投じる候補者が誰もいない」と、東京の日本大学で政治学を教える岩井奉信教授は言う。コール氏は「真の問題は、政治が再び若い世代にとって魅力あるものとなるかどうかだ。つまり、自分の今の生活だけでなく、将来に影響するのだから、実際に政治に関わる必要があるのだと意識させ得るかどうかだ」と分析する。

 問題の核心はそこにある。時に日本の将来に関する明快な分析に加えて、自民党に取って代わるという強い気概を持ち合わせて行動しているように見える小沢代表ほど、日本の政治文化のなかに深く浸ってきた人物が、変化を推し進める魅力ある担い手になり得るかどうかに、問題はとどまるものではない。21世紀が要求している経済と社会の在り方に向かって、身を切るような変革を成し遂げる意欲が日本にあるかどうか、ということである。

 確かに、日本には脱皮する能力がある。この国は現代に入って2度、それを成し遂げた。1度目は19世紀後半の明治維新以降のことだ。長年にわたって鎖国されていた社会を徹底的に近代化し、欧州列強の1つであったロシアとの戦争で勝利した。2度目は、敗戦の灰燼から新たな経済を立ち上げた1945年以後である。

 しかし、日本にはいつも、予測できない未来よりも、分かりやすいと思われる過去へのノスタルジアがある。東京の太田記念美術館では3月、楊洲周延〔訳注:ようちゅう・ちかのぶ。明治期に活躍した浮世絵師。憲政資料室所蔵の『枢密院会議之図』も周延の作品〕による見事な浮世絵展〔訳注:『生誕170年記念 楊洲周延展』〕が催されている。これは、西洋の音楽、軍服、鉄砲、フープスカートのドレスといった西洋の風俗が、日本古来のものに取って代わり始めた明治時代を偲ばせる作品の展示だ。

 古典的な浮世絵という枠の中に描かれている近代の様子は、奇妙で落ち着かない気持ちをかき立てる。まるで、浮世絵師が新しい世界にあっさりと溶け込むことができなかったかのようであり、おそらくはそれを嫌がっていたのであろう。例えば、ある浮世絵作品では、伝統的な着物姿で髪をつややかに結った女性が、下ろした髪を後ろになびかせて楽しそうに自転車に乗る少女を物憂げに見つめている。

 日本は自転車にまたがり、敢然と未来に乗り出そうとペダルをこぐのだろうか?多くの人がその答えを知りたいと望んでおり、それは日本人だけではない。

取材協力:オダ・ユキ記者(東京)
日本語訳:民主党国際局